地方消費者行政活性化交付金の活用について < 三訂版 > 2009 年 1 月 26 日弁護士池本誠司 1 月 19 日付 地方消費者行政活性化事業の提案メニュー ( 案 ) について さらに情報収集と意見交換を行ったところを踏まえ 別紙のとおり メニュー ( 案 ) 三訂版 を提供します 主な改訂箇所は 各メニュー案の実施主体や支出可能な費用項目を 具体的に記載しました 内閣府から各都道府県に対し 1 月 20 日過ぎに 活性化交付金の具体的な事業メニュー案を通知したようですが 各自治体でそれを最大限活用することが求められます もちろん現時点の実施要領が確定的なものではなく さらに協議を重ねて利用しやすい制度に高める必要があります しかし これらの事業を円滑に運営するため やはり相談員の増員や職員の増員が不可欠であり そのためには 臨時交付金 や 地方交付税 の獲得を自治体に働きかけることが不可欠です この点は 消費者行政担当課に対する要請だけでは実現困難であり 自治体の議会や首長に対する要請行動が必要です この点については 1 月 19 日付け書面をご参照ください 今後も引き続き 望ましいメニュー案と交付金利用の可能性について情報収集と提案を続け対と思います 各地で自治体と意見交換を行われた結果について 自治体の反応や検討中の多様なメニュー案について情報をお寄せ下さい 1
別紙 地方消費者行政活性化事業の提案メニュー ( 案 ) <1 月 27 日三訂版 > 内閣府説明資料(12 月 25 日版 ) に提示されている地方消費者行政活性化交付金の活用メニュー 1 消費生活センター機能強化事業週 4 日以上開設の消費生活センターの設置 拡充等 2 消費生活相談スタートアップ事業週 1~3 日開設の消費生活相談窓口を開設 機能強化 3 消費生活相談員養成事業管内の消費生活相談を担う人材の養成 4 消費生活相談員等レベルアップ事業相談員への研修開催 研修参加支援 5 消費生活相談窓口高度化事業高度に専門的な消費生活相談への対応力向上 6 広域的消費生活相談機能強化事業市町村が連携して相談事業を実施 7 食品表示 安全機能強化事業食品表示 安全分野の対応力を強化 8 消費者行政活性化オリジナル事業地域独自の消費者行政活性化の取組を支援 提案するメニューと交付金等の利用方法 (1) 消費生活相談体制の強化 拡充 財源措置の区別 1 相談員研修会の開催 参加旅費等の支援都道府県が ブロックごとに研修会 相談事例検討会 相談処理情報交換会を開催し 講師 助言者役として弁護士等の専門家やテーマによってはベテラン相談員を依頼し 開催経費 講師謝金等を支給する 相談員レベルアップ事業 市町村が所属相談員のために独自に研修会を開催し 講師謝礼や開催経費等を支出することも可能 都道府県主催の研修会に 市町村が参加相談員の旅費等を支出することも可能 ( 参加日当は困難 ) 外部団体による研修会に 自治体が参加相談員の旅費 教材費 参加費を支出することも可能 2
2 消費生活相談員の研修事業の委託と参加費支援都道府県 市町村の相談員のうち 実務経験が比較的短い者や相談員資格を持たない者を対象に 相談員養成 能力向上の研修事業を外部団体に委託して専門的な研修会を実施し これに参加する相談員の旅費 日当を支給する 消費生活相談員養成事業 対象者が相談員資格を有しない者に限定せず 実務経験が短い者も含むので その要件をあまり限定しない運用にできれば 参加日当を支出できる研修会として活用することができる 研修会の実施団体は 自治体でなく 研修会の実施能力があると認められる法人に委託することを想定している 日本消費者協会等の全国的団体でもよいし 都道府県内の適切な団体に研修事業を委託する方法でもよいと考えられる 地域の相談員団体の協力があれば 地元の消費者関係 NPO 法人や弁護士会等も受託可能ではないか 研修事業を受託する実施団体を地方においてどのように確保 選定するかが重要なポイントとなる ( 国民生活センターの研修会への参加は 別に国セン事業予算として実施される ) 3 相談員養成研修による実務研修外部団体に委託して実施する2の相談員養成研修の一環として センターにおける実務研修生として配置し 研修日当を支給する 消費生活相談員養成事業 上記 相談員養成事業 の中の研修カリキュラムとして 集合型研修会のほかに センターにおける実務研修 (OJT) を実施できることとなった 活性化交付金は人件費に支出できないが 実務研修の参加日当の支援を実質的に認めるものとして活用できる 相談員が実務研修生として研修カリキュラムに参加し 実務研修受け入れセンターとして都道府県や市町村のセンターが参加すれば 実務研修という位置づけで相談業務が実施できる 実務研修の実施要領や運営の詳細は 今後国民生活局で詰める予定だが 自治体と実務研修受託法人との間で協議しながら進めることとなる 4 都道府県版の巡回相談助言制度相談員 1 名配置の市町村センターに 他のセンターのベテラン相談員を助言者として週 1~2 日配置し 助言者に講師謝金を支給する 相談員レベルアップ事業 または オリジナル事業 ( 国民生活センターの事業として別に巡回相談助言制度があるが それを補完 拡充する制度として位置づける ただし 国民生活センターの事業の規模や有用性を見極めたうえで 検討することとなろう ) 3
5 専門家を招いて助言 研修都道府県や政令指定都市のセンターで 消費者問題に詳しい弁護士等の専門家を助言者として週 1~2 回 ( 午後 1~4 時 ) 配置し 相談員への助言や事例検討会への助言を行い 講師謝礼を支給する 相談員レベルアップ事業 または 相談窓口高度化事業 これに参加する相談員の参加日当の支出は難しい様子 6 専門家への電話質問 助言制度解決困難案件について 相談員からアドバイザー弁護士 司法書士 建築士等にすぐに電話をかけて質問し助言を受けられる制度を設け 助言者に報酬を支給する 相談窓口高度化事業 紹介票を相談者に交付して弁護士等の無料相談を紹介する制度や 弁護士による無料相談窓口の設置を議論している地域もあるようだが 相談員の苦情処理能力の高度化にフィードバックする制度 ( 例えば 相談員の同席や相談結果の報告等 ) でないと 相談窓口高度化事業 とならない可能性が高い オリジナル事業として 紹介先機関との連携強化を相談処理機能強化の一環として位置づけることができないか? 7 食品表示 安全分野の相談対応力の強化食品表示 安全分野の専門家をセンターに週 1 回配置して相談員の相談処理の協力を求めたり 安全分野の相談員向け研修会や助言制度を設け 専門家の謝礼 旅費を支出するほか 研修会に参加する相談員の旅費を支出する 食品表示 安全分野の強化事業 相談員の参加旅費は支給可能だが 日当は困難な様子 食品表示 安全分野の被害防止のため消費者への啓発事業も含まれる可能性あり 8センター共同設置複数の市町村と県が共同でセンターを設置し 相談事業を開始するための経費を支出する センター設置の物的設備は 活性化交付金の 広域的相談機能強化事業 中心となる市がセンターを設け 周辺の市町村が財政支援する方式でもよいが 県も参加して共同設置する方法も可能ではないか?( 事業者規制の情報として活用する上でも効果的である ) 相談員採用の人件費は 臨時交付金 か 地方交付税 を活用 9 消費生活相談窓口 ( 週 3 日以内 ) 消費生活センター( 週 4 日以上 ) の相談員を増員し 旅費 日当を支給する 4
臨時交付金を基金に組み込むことにより3 年間利用できる ( 国民生活局 12 月 26 日付通知書 ) 増員した相談員人件費の4 年目以降分については 地方交付税のさらなる増額により補いたい ( 国民生活局との意見交換 ) 10 現職相談員の日当を大幅に増額するなど処遇の改善 臨時交付金を基金に組み込む 4 年目以降は地方交付税 (2) 総合的な消費者行政の活性化に向けたその他の業務の拡充 強化 ( 政府の消費者行政推進の議論は 相談窓口の拡充に傾いているが 以下のような総合的な消費者行政の拡充を活性化計画に盛り込むことが重要である ただし 活性化交付金を活用するためには 相談窓口の機能強化に関連付けて計上した方が 認められやすいと思われる ) 11 相談情報の分析 活用する部門への専門家の支援消費生活相談情報の分析力の向上と悪質業者規制への活用のため 相談情報分析 悪質業者規制の担当職員に対し 弁護士等の専門家による研修会 助言制度を設け 講師謝礼を支給 オリジナル事業 12 消費者啓発事業相談情報を活用した消費者教育 啓発事業として 相談員による出前講座の拡充 地域の消費者向け啓発講座の開催などを 都道府県と市区町村の連携により展開し 講師謝礼 広報費 会場費等を支出 活性化交付金のオリジナル事業 13 消費者団体支援消費者団体を通じた消費者被害情報の収集 検討 啓発のため 消費者団体の育成に向けた活動資金の支援 適格消費者団体による不当契約条項 不当表示 不当勧誘等の情報収集 調査検討への財政支援 その他消費者団体の独自活動への財政支援 活性化交付金のオリジナル事業 民間団体への活動支援や委託事業費支出については 法人格の要件や決算監査が必要か未確認? 14 食品表示 価格調査消費者団体や公募消費者による食品表示調査 商品価格調査等の委託 相談員に対し食品安全関係の研修費を支出 啓発事業費の支出 食品表示 製品安全分野の対応力強化事業 または オリジナル事業 5
安全分野の対応力強化の趣旨に照らし 相談窓口の情報収集 分析に反映させる事業として位置づける必要があるのではないか? 15 商品テスト機能の強化商品被害 不当表示への相談対応力強化のため 商品テスト機能の刷新や追加配備の購入費 自治体独自にテストが実施できない商品について外部機関へのテスト依頼経費の支出 技術系職員の配置の人件費 活性化交付金の安全分野の対応力強化事業またはオリジナル事業 商品テスト担当の技術系職員の配置人件費は地方交付税 16 苦情処理委員会の強化苦情処理委員会の活性化のため 専門委員の増員経費 検討会の開催経費の増額 活性化交付金のオリジナル事業 担当職員の増員は地方交付税 17 関係団体の連絡協議高齢者被害防止や悪質商法被害防止のため センターと関係機関 団体の連絡協議会を設置し その他の運営経費を支出 オリジナル事業 関係民間団体関係者の参加費や諸経費が支出可能だが 職員人件費は含まない 18 都道府県と市町村の連携強化のため 外部委員を含む連絡会議を開催し その運営経費を支出すること オリジナル事業 ( 外部委員の参加費用 開催経費等 ) 行政職員の旅費等は 地方交付税 19 広報 宣伝活動センター 相談窓口の存在と利用を住民に広報するため 広報紙の発行やステッカー配布などで 印刷費 宣伝費を支出 オリジナル事業 20 以上の消費者行政の拡充に対応するため 消費者行政職員の大幅増員 臨時交付金または地方交付税 21 消費者行政職員の専門性向上のため 消費者問題の専門的研修への参加費を支給する オリジナル事業 で可能か? 臨時交付金または地方交付税か? 6