平成 30 年度 北海道胆振東部地震における災害対策用機械等の活動について 報告 別紙 -2 室蘭開発建設部施設整備課 白瀬和暁中條高司福澤高信 平成 30 年 9 月 6 日に胆振地方中東部を震源として発生した地震は 最大震度 7 を北海道で初めて観測し 胆振中東部に甚大な被害と道内全域に大停電

Similar documents
Microsoft PowerPoint 「平成28年熊本地震活動記録(第17報) 案-2.pptx

~ 二次的な被害を防止する ~ 第 6 節 1 図 御嶽山における降灰後の土石流に関するシミュレーション計算結果 平成 26 年 9 月の御嶽山噴火後 土砂災害防止法に基づく緊急調査が国土交通省により実施され 降灰後の土石流に関するシミュレーション結果が公表された これにより関係市町村は

22年5月 目次 .indd

2 被害量と対策効果 < 死者 負傷者 > 過去の地震を考慮した最大クラス あらゆる可能性を考慮した最大クラス 対策前 対策後 対策前 対策後 死者数約 1,400 人約 100 人約 6,700 人約 1,500 人 重傷者数約 600 人約 400 人約 3,000 人約 1,400 人 軽傷者

<4D F736F F D208DB289EA8CA7926E88E696688DD08C7689E E D E906B814592C A8F4390B38CE32E646F6378>

大規模災害時における被災自治体の支援

第 1 章実施計画の適用について 1. 実施計画の位置づけ (1) この 南海トラフ地震における具体的な応急対策活動に関する計画 に基づく宮崎県実施計画 ( 以下 実施計画 という ) は 南海トラフ地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法 ( 平成 14 年法律第 92 号 以下 特措法 と

Microsoft PowerPoint - 【確定】資料3-1_110527(避難者外し).pptx

<ハード対策の実態 > また ハード対策についてみると 防災設備として必要性が高いとされている非常用電源 電話不通時の代替通信機能 燃料備蓄が整備されている 道の駅 は 宮城など3 県内 57 駅のうち それぞれ45.6%(26 駅 ) 22.8%(13 駅 ) 17.5%(10 駅 ) といずれも

地震発生後の九州地方整備局の活動 4 月 16 日の夜明け 本震の後に再度調査を実施しておりま す その際は 道路崩壊の調査 土砂崩壊の箇所の調査 被 災地に入るための安全ルートの確認等を実施しております 次に九州地方整備局の活動について紹介させていただき ます まず最初に地震発生後の初動体制につい

PowerPoint プレゼンテーション

id5-通信局.indd

特集大規模自然災害からの復旧 復興 参考 警察が検視により確認している死者数 50 名 災害による負傷の悪化または避難生活等における身体的負担による死者数 106 名 6 月 日に発生した豪雨による被害のうち熊本地震と関連が認められた死者数 5 名建物被害全壊 8,360 棟, 半壊 3

(2) 被害の概要 (1) 人的被害 建物被害今回の地震による被害は 2018 年 9 月 13 日時点において 死者 41 人 負傷者 681 人 住家の全壊 82 棟 半壊 97 棟 一部損壊 380 棟 非住家の全壊 66 棟 半壊 64 棟 一部損壊 36 棟と報告されている また 室蘭市の

当面の事業概要 < 平成 25 年度 > 実施設計業務委託 < 平成 26 年度 > 市道 1504 号線電線共同溝整備工事 道路改築工事 < 平成 27 年度 > 市道 1504 号線電線共同溝整備工事 市道 1504,1505,1507 号線道路改築工事 < 平成 28 年度 > 市道 1504

.....u..

PowerPoint プレゼンテーション

南海トラフ巨大地震における TEC-FORCE 活動計画 ( 受援計画 ) の概要 別紙 P1 国土交通省では 南海トラフ巨大地震による広範囲の被害に備え 発災後速やかに全国の TEC-FORCE を被災地に派遣 支援することを規定 中部地方整備局では 迅速かつ的確な派遣と応急対策活動を実現するため

Microsoft PowerPoint - 参考資料 各種情報掲載HPの情報共有

161019_発表資料_後日訂正版_HP用

30 第 1 部現地における災害応急活動 阿蘇大橋付近の被害状況 ( 熊本県阿蘇郡南阿蘇村 ) 熊本城の被害状況 ( 熊本県熊本市 ) 2

目次 平成 30 年北海道胆振東部地震 の概要被害の概要地震発生後の初動体制胆振東部地震に関する活動状況復旧から復興への取組 1

平成 28 年熊本地震における対応 平成 28 年熊本地震 ( 前震 :4/14 本震 :4/16) において 電力 ガス等の分野で供給支障等の被害が発生 関係事業者が広域的な資機材 人員の融通を実施するなど 迅速な復旧に努めた結果 当初の想定よりも 早期の復旧が実現 また 復旧見通しを早い段階で提

5 地方公共団体における災害対策本部の設置状況 北海道 9 月 6 日 3 時 09 分災害対策本部設置 6 地元消防機関等の対応道内応援を含めた消防関係機関 ( 消防団員含む ) により救助活動等を実施 ( 北海道防災ヘリ救助人員延べ 28 人 ) 7 緊急消防援助隊の活動等別紙のとおり 8 消防

02一般災害対策編-第3章.indd

6 地元消防機関等の対応道内応援を含めた消防機関 ( 消防団員含む ) により救助活動等を実施 ( 北海道防災ヘリ救助人員延べ 28 人 ) 7 緊急消防援助隊の活動等別紙のとおり 8 消防庁の対応 9 月 6 日 3 時 08 分消防庁長官を長とする消防庁災害対策本部を設置 ( 第 3 次応急体制

TEC-FORCE 制度の概要 TEC-FORCE( 緊急災害対策派遣隊 ) とは大規模自然災害が発生し 又は発生するおそれがある場合において被災地方公共団体等が行う 被災状況の迅速な把握 被害の発生及び拡大防止 被災地の早期復旧その他災害応急対策に対する技術的な支援を円滑かつ迅速に実施することを目

3 避難指示等の状況 避難指示 ( 緊急 ) 2 町 69 世帯 123 人 ( 安平町 67 世帯 119 人 むかわ町 2 世帯 4 人 ) 避難勧告 2 町 32 世帯 77 人 ( 安平町 20 世帯 52 人 むかわ町 12 世帯 25 人 ) 4 避難所の状況 (9 月 19 日 14

気象庁技術報告第134号表紙#.indd

1 首都直下地震の概要想定震度分布 (23 区を中心として震度 6 強の想定 ) 首都直下地震 想定震度分布 出典 : 中央防災会議首都直下地震対策検討ワーキンググループ 首都直下地震の被害想定と対策について ( 最終報告 ) ( 平成 25 年 12 月 ) 2

< F2D81798E9197BF817C824F817A C8E862E6A7464>

近畿地方整備局 資料配付 配布日時 平成 23 年 9 月 8 日 17 時 30 分 件名土砂災害防止法に基づく土砂災害緊急情報について 概 要 土砂災害防止法に基づく 土砂災害緊急情報をお知らせします 本日 夕方から雨が予想されており 今後の降雨の状況により 河道閉塞部分での越流が始まり 土石流

2019 年1月3日熊本県熊本地方の地震の評価(平成31年2月12日公表)

熊本地震の緊急調査報告

PowerPoint プレゼンテーション

4 避難所の状況 (9 月 9 日 22 時 00 分時点 ) 開設避難所数 76 箇所 実避難者数 2,544 人 5 地方公共団体における災害対策本部の設置状況 北海道 9 月 6 日 3 時 09 分災害対策本部設置 6 地元消防機関等の対応道内応援を含めた消防関係機関 ( 消防団員含む )

<4D F736F F F696E74202D208E9197BF C FC A1817A8C46967B926E906B82D682CC91CE899E82C982C282A282C42E >

5. 被害の概要札幌市東区東 15 丁目 ( 屯田通り ) では約 3.0km にわたって道路陥没が発生し, 交通障害が生じた. 加えて, 札幌市北区の西 4 丁目北 34 条 ~37 条においても道路陥没が発生した. 札幌市清田区里塚 1 条では宅地造成地盤の液状化が生じ, 道路や家屋に著しい沈下


1 東日本大震災での多くの被害が発生!! 平成 23 年 2011 年 3 月 11 日に発生した東日本大震災は 三陸沖を震源としたマグニ チュード 9.0 仙台市内での最大震度 6 強 宮城野区 という巨大な地震でした 東部沿岸地域では 推定 7.1m 仙台港 もの津波により 家屋の浸水やライフラ

00 表紙・目次

☆配布資料_熊本地震検証

アンケート調査の概要 目的東南海 南海地震発生時の業務継続について 四国内の各市町村における取り組み状況や課題等を把握し 今後の地域防災力の強化に資することを目的としてアンケート調査を実施 実施時期平成 21 年 11 月 回答数 徳島県 24 市町村 香川県 17 市町 愛媛県 20 市町 高知県

1 見出し1

平成 3 1 年度 記者発表資料 平成 3 1 年 2 月 4 日九州地方整備局武雄河川事務所 災害時協力会社の公募について ~ 災害への迅速かつ的確な対応のため ~ 国土交通省武雄河川事務所では 災害時等における 迅速な被災状況の把握 円滑で的確な対応 を強化するため 事前に建設業等関係者の皆様と

平成 31 年度宮崎河川国道事務所災害時協力会社募集要項 1. 目的宮崎河川国道事務所では 管理する大淀川 小丸川 宮崎海岸 国道 10 号 国道 220 号 東九州自動車道 霧島砂防を主に 災害が発生し または発生のおそれがある場合に迅速な状況把握 ならびに的確な災害対応を図るため 下記の部門にお

<4D F736F F D B4C8ED294AD955C8E9197BF E894A8AFA8B7982D191E495978AFA82C982A882AF82E996688DD091D490A882CC8BAD89BB82C982C282A282C4816A48502E646F63>

熊本地震に対する四国地方整備局の対応状況 ( 平成 28 年 5 月 9 日現在 ) 被災地への支援 1) 四国地方整備局支援対策本部の設置四国地方整備局では 4 月 14 日 ( 木 ) に支援対策本部 ( 本部長 : 四国地方整備局長石橋良啓 ) を設置し 被災地域への支援を行っています 2)

4:10 防災科学技術研究所第 2 回災害対策本部会議を開催 各班による状況報告による情報共有等を実施 9:34 防災科学技術研究所第 3 回災害対策本部会議を開催 各班による状況報告による情報共有等を実施 11:50 防災科学技術研究所職員が熊本県庁 ( 熊本県災害対策本部 ) に到着 16:00

平成16年度 台風災害調査報告書(WEB).indd

大雪の際のドライブプランの検討に役立つ新たな情報提供を行います 高速道路会社が共同で 株式会社ウェザーニューズと連携した 新たな 高速道路の情報提供サイト を立ち上げます 大雪の際には情報提供サイトをご確認いただき 大雪地域へのご旅行等の見合わせや広域の迂回など ご協力をお願いします タイムライン

10/10 ( 公社 ) 日本河川協会 TEL 平成 30 年度 ( 第 40 回 ) 河川管理研修 JA 共催ビルカンファレンスホール REE /21 REE /25 REE /15 岩手県建設

奈良県ライフライン 情報共有発信マニュアル 第 3.3 版 平成 24 年 7 月 奈良県ライフライン防災対策連絡会

2012.indb

Microsoft Word - 09安城中部.docx

Microsoft Word - 5_‚æ3ŁÒ.doc

平成28年4月 地震・火山月報(防災編)

1 見出し1

平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震


<4D F736F F D E835E B82CD BD90AC E8C46967B926E906B82C982E682E98DD08A518CA995918BE082CC8E788B8B939982C982C282A282C EA95948EE688B582A282F089FC92E882B582DC82B582BD

溶結凝灰岩を含む火砕流堆積物からなっている 特にカルデラ内壁の西側では 地震による強い震動により 大規模な斜面崩壊 ( 阿蘇大橋地区 ) や中 ~ 小規模の斜面崩壊 ( 南阿蘇村立野地区 阿蘇市三久保地区など ) が多数発生している これらの崩壊土砂は崩壊地内および下部に堆積しており 一部は地震時に

sangi_p2

三郷市地震ハザードマップ

(/9) 07 年に発生した地震の概要. 佐賀県の地震活動 07 年に佐賀県で震度 以上を観測した地震は 9 回 (06 年は 85 回 ) でした ( 表 図 3) このうち 震度 3 以上を観測した地震はありませんでした (06 年は 9 回 ) 表 07 年に佐賀県内で震度 以上を観測した地震

Microsoft Word - 【河計】北陸管内における砂防部局の火山噴火対策の現状

平成23年東北地方太平洋沖地震の概要について

(Page 2)

<8B4C8ED294AD955C E31302E E82B782D782E892F18CBE816A2E786C7378>

北栄町耐震改修促進計画の目的等 目的 本計画は 町民生活に重大な影響を及ぼす恐れのある地震被害から 町民の生命 財産を保護するとともに 地震による被害を軽減し 社会秩序の維持と公共の福祉に資するため 建築物の計画的な耐震化を促進することを目的とします 計画の実施期間 本計画の実施期間は 国及び県の実

Microsoft Word - 資料2 第二次報告の想定結果(概要)  最終(確定).doc

資料1 受援計画策定ガイドラインの構成イメージ

日向灘 佐伯市で震度 2 を観測 8 日 08 時 33 分に日向灘で発生した M3.9 の地震 ( 深さ 31km) により 佐伯市 愛媛県西予市 高知県宿毛市などで震度 2 を観測したほか 大分県 宮崎県 愛媛県および高知県で震度 1 を観測しました ( 図 1) 今回の地震の震源付近 ( 図

東日本大震災 (H ) 地震時の情報収集や提供に関する課題 国 地方公共団体などが連携した被災者や物資輸送者への交通関係情報の提供 大震災直後は 各管理者から別々に通行止め情報等が提供されたため 被災地までの輸送ルートの選定が困難な状況 国が集約して提供を始めたのは10 日以上過ぎた3/

PowerPoint プレゼンテーション

第 1 章熊本地震の概要 執筆 : 阿部直樹 ( 国立研究開発法人防災科学技術研究所 ) 1-1 熊本地震動の概要 2016 年 4 月 14 日 21 時 26 分頃 熊本県熊本地方の深さ約 11km を震源とする M6.5 の地震が発生し 熊本県上益城郡益城町において震度 7を観測した また約

<8BFA98488E7391CF906B89FC8F4391A390698C7689E C4816A82C991CE82B782E988D38CA995E58F5782CC8F4997B982C982C282A282C42D332E706466>

Microsoft Word - 0-1 表紙.doc

国土技術政策総合研究所 研究資料

企業経営動向調査0908

1 見出し1

<4D F736F F D AB290FC8BA AA89C889EF817A8B4C8ED294AD955C8E9197BF2E444F43>

第 2 項交通応急対策 災害時には 道路 橋梁等の道路施設が被災するとともに 倒壊建物 がれき等による障害物や 緊急車両 一般車両による交通渋滞が発生し 緊急輸送等に支障をきたすおそれがある 町民等の避難 災害応急対策員の輸送および救助 救護のための資材 物資の輸送を確実に行うため 迅速かつ適切に交

<4D F736F F F696E74202D BD90AC E8C46967B926E906B82CC96688DD0CADFC8D92894ED8A518ED290948D C593FC82E

Microsoft Word 交通渋滞(有明アーバン)_181017

Microsoft Word - 1.3_yuki_4th.doc

佐賀県の地震活動概況 (2018 年 12 月 ) ( 1 / 10) 平成 31 年 1 月 15 日佐賀地方気象台 12 月の地震活動概況 12 月に佐賀県内で震度 1 以上を観測した地震は1 回でした (11 月はなし ) 福岡県 佐賀県 長崎県 熊本県 図 1 震央分布図 (2018 年 1

避難開始基準の把握 1 水害時の避難開始基準 釧路川では 水位観測所を設けて リアルタイム水位を公表しています 水位観測所では 災害発生の危険度に応じた基準水位が設定されています ( 基準となる水位観測所 : 標茶水位観測所 ) レベル水位 水位の意味 5 4 ( 危険 ) 3 ( 警戒 ) 2 (

図 -2 派遣先位置図 派遣先 ( 東松島市 ) 2011Google 地図データ 2011ZENRIN 派遣先 ( 東松島市 ) 凡例 浸水範囲 図 -3 派遣先浸水状況 国土地理院提供 急排水作業を行った 図 -2 に派遣先位置図を 図 -3 に派遣先浸水状況を示す 作業は 4 月 11 日 ~

重ねるハザードマップ 大雨が降ったときに危険な場所を知る 浸水のおそれがある場所 土砂災害の危険がある場所 通行止めになるおそれがある道路 が 1 つの地図上で 分かります 土石流による道路寸断のイメージ 事前通行規制区間のイメージ 道路冠水想定箇所のイメージ 浸水のイメージ 洪水時に浸水のおそれが

< F2D88D38CA98CF08AB78E9197BF955C8E862E6A7464>

PowerPoint プレゼンテーション

鬼怒川緊急対策プロジェクト 鬼怒川下流域 茨城県区間 において 水防災意識社会 の再構築を目指し 国 茨城県 常総市など 7市町が主体となり ハードとソフトが一体となった緊急対策プロジェクトを実施 ハード対策 事業費合計 約600億円 ソフト対策 円滑な避難の支援 住民の避難を促すためのソフト対策を

九州における 道の駅 に関する調査 - 災害時の避難者への対応を中心としてー ( 計画概要 ) 調査の背景等 道の駅 は 平成 16 年 10 月の新潟県中越地震 23 年 3 月の東日本大震災において 被災者の避難場所 被災情報等の発信や被災地救援のための様々な支援の拠点として活用されたことなどか

スライド 1

Microsoft Word - 02.H28秋 重点提言本文【合本】1110.doc

報道発表 平成 30 年 9 月 6 日 05 時 10 分地震火山部 平成 30 年 9 月 6 日 03 時 08 分頃の胆振地方中東部の地震について 地震の概要検知時刻 : 9 月 6 日 03 時 08 分 ( 最初に地震を検知した時刻 ) 発生時刻 : 9 月 6 日 03 時 07 分

<4D F736F F D C68EE390AB955D89BF82CC8E77906A816988C4816A2E646F6378>

(3) 設備復旧対策事例 ~ 基地局及びエントランス回線通信事業者各社で取り組んだ主な基地局あるいはネットワーク設備復旧対策としては 光ファイバー 衛星回線 無線 ( マイクロ ) 回線の活用による伝送路の復旧や 山頂などへの大ゾーン方式 ( 複数の基地局によるサービスエリアを1つの大きなゾーンとし

PowerPoint プレゼンテーション

Transcription:

平成 30 年度 北海道胆振東部地震における災害対策用機械等の活動について 報告 別紙 -2 室蘭開発建設部施設整備課 白瀬和暁中條高司福澤高信 平成 30 年 9 月 6 日に胆振地方中東部を震源として発生した地震は 最大震度 7 を北海道で初めて観測し 胆振中東部に甚大な被害と道内全域に大停電 ( ブラックアウト ) を発生させるにいたった その様な状況下で国土交通省では 北海道で初めてとなる災害対策用機械のプッシュ型支援と北海道開発局保有の散水車により地方自治体への給水支援を長期間実施したことから その活動について報告するものである キーワード : 自然災害 地震 災害支援 災害対策用機械 1. 北海道胆振東部地震の概要平成 30 年 9 月 6 日午前 3 時 7 分に胆振地方中東部を震源とする M6.7 の地震が発生した 最大震度は厚真町において北海道で初めて震度 7 を観測した ( 図 -1) 室蘭開発建設部管内では主に厚真町 安平町 むかわ町にて甚大な被害があった 札幌市清田区では 液状化が発生し 住宅が倒壊するなどの被害があった また 地震により北海道電力 ( 株 ) 苫東厚真火力発電所が停止したことにより 道内全域での大停電 ( ブラックアウト ) が発生し 大きな影響を与えた 高自動車道では 鵡川 IC 付近で多くの不陸が発生し 通行が困難となった また 苫小牧港東港にて液状化により 岸壁天端部は沈下し 舗装の亀裂が確認されたほか 苫小牧港西港や農業にも影響があった 厚真町では写真 -1 に示すとおり 大規模な土砂崩落が発生し民家や道路 河川などが土砂に飲み込まれる被害があった 崩壊面積は約 13.4k m2 ( 札幌ドーム約 440 個 ) で平成 16 年の新潟中越地震の約 1.2 倍の規模となった 北海道の発表によると地震による人的被害は厚真町 安平町 むかわ町で死者 37 名 負傷者 3 25 名 また 住家等の被害は全壊 半壊及び一部損壊を合わせて 5,178 棟となった ( 引用 : 平成 30 年北海道胆振東部地震災害検証委員会資料 3 北海道胆振東部地震被害の概要 ) 図 -1 震度分布図 ( 出典 : 気象庁推計震度分布図 ) 2. 地震災害における被災状況北海道開発局が管理している河川や道路等が本地震によって被災した 一級河川鵡川では河口付近にて堤防天端に縦断亀裂が確認されるなど 25 ヶ所が被災した 日 写真 -1 土砂崩落の空撮 ( 厚真町 ) また これら直接的な被害の他に 道内全域におよぶ

大停電 ( ブラックアウト ) が発生し 大きな社会問題となった ブラックアウトが発生した要因は 苫東厚真火力発電所が北海道全域の電力需要の約半分をまかなっていたことから 地震により緊急停止することで道内の電力需要 供給のバランスが崩れ 道内各地にある発電所も停止したことによる 3. 災害対策用機械の活動 ( プッシュ型派遣 ) (1) プッシュ型派遣通常 災害対応は先遣隊調査班により現地調査結果や被災箇所からの要請により機械を派遣する プル型 であるが 今回は大規模災害への対応のため 国土交通省ではいち早く全国各地方整備局が保有する災害対策用機械を現地要請を待たずに北海道へ派遣 ( プッシュ型 ) させることとなった そこで プッシュ型派遣として表 -1 に示すとおり 地方整備局 ( 東北 関東 北陸 中部 中国 四国 九州 ) より照明車 70 台 分解組立バックホウが 10 台 待機支援車 8 台 対策本部車 2 台が派遣された ( 写真 -2) これらの多くの災害対策用機械は 北海道開発局が災害対応の前線基地として使用した 苫東中央管理ステーション ( 以下 苫東中央 ST という ) に全て待機させることが出来ず 苫東中央 ST へ分解組立0 台 苫小牧道路事務所へ照明車 20 台 寒地土木研究所の寒冷地テストコースへ照明車 50 台と分散して待機した 加えて 室蘭開発建設部から要請をうけ 北海道開発局各開発建設部が保有する災害対策用機械もプル型で派遣された ( 表 -2) 表 -1 派遣機械の台数内訳 地方整備局機械名台数 東北地方整備局 関東地方整備局 北陸地方整備局 中部地方整備局 中国地方整備局 四国地方整備局 照明車 15 待機支援車 2 照明車 20 待機支援車 2 対策本部車 2 照明車 18 照明車 17 九州地方整備局 計 90 表 -2 北海道開発局内の派遣機械の内訳 開発建設部機械名台数 札幌開発建設部 旭川開発建設部 帯広開発建設部 照明車 2 照明車 1 釧路開発建設部照明車 1 網走開発建設部照明車 1 計 11 写真 -2 派遣された災害対策用機械 ( 苫東中央 ST) (2) 活動内容災害発生直後は土砂崩落現場の夜間救出作業 ( 写真 - 3) や鵡川堤防被災箇所の復旧工事に 照明車を派遣し 作業支援を行った また 北海道が管理する厚真川の河道閉塞対応には緊急性を伴うため 24 時間体制で 昼は北海道 ( 写真 -4) 夜間は北海道開発局が対応にあたった この被災箇所は土石流発生の危険性があることから 写真 -5 に示すとおり分解組立バックホウを無人による遠隔操作で実施し 写真 -6 のとおり作業支援には照明車を配置して夜間の作業を行った

写真 -3 夜間救出作業支援 ( 厚真町吉野地区 ) (3) プッシュ型支援の効果と課題国土交通省本省主導のプッシュ型支援により各地方整備局から災害対策用機械の派遣が行われたため 被災現場に必要な台数を迅速に派遣すること出来たが 一方で 災害規模 復旧作業に必要な台数に対してあまりにも派遣された台数が多く 稼働しなかった災害対策用機械もあった また 派遣されている操作人等も現状を把握出来ないまま派遣されており 現場において次のような混乱も生じたところである 現地は河道閉塞箇所のため軟弱地盤となっていたが 各地方整備局から派遣された分解組立バックホウは通常のクローラ幅 600 mm ( 図 -2) であった 北海道は軟弱地盤という地域特性から民間保有のものはクローラ幅が 800 mmのバックホウが導入されている そのため 災害対応において現場条件を見極めながらの現地投入となったことから作業効率が落ちてしまった また 派遣されたバックホウのクローラには舗装路走行用にゴムカバーが装着されており 出動要請のあった現場が不整地であったため 待機場所でゴムカバーを取り外した後 輸送となったことで 時間とコストがかかり非効率な面も生じてしまった 写真 -4 昼間の作業状況全景 ( 厚真町幌内地区 ) 写真 -5 夜間の作業状況 ( 厚真町幌内地区 ) 図 -2 派遣されたバックホウの標準クローラ幅 (CAT324E/324EL カタログ ) 4. 災害対策用機械の活動 ( プッシュ型以外 ) (1) 活動概要 ( 通信関連機械等 ) 表 -2 の衛星通信車は Ku-SAT という可搬型の衛星通信設備とともに 災害対策本部 町役場職員に被災現場の状況映像を提供するなどした ( 写真 -7) 写真 -6 照明車による作業支援 ( 厚真町幌内地区 )

を提供した ( 表 -3) また 北陸地方整備局の浚渫兼油回収船 白山 が支援物資の輸送や入浴 給水支援を行った ( 写真 -10) 表 -3 給水支援実績 自治体 支援場所 期間日数水量 (t) 遠浅公民館 9/11~9/17 6 34.5 写真 -7 衛星通信車設置状況 ( 厚真町 ) また リエゾンで地方自治体に派遣されている職員の作業や待機スペースを確保するため待機支援車が派遣された 通常の 4 輪駆動車でも進入できない被災現場の状況を確認するため悪路走行可能なクローラを装着した水陸両用車及び多目的支援車が派遣された ( 写真 -8) 北海道開発局保有の防災ヘリコプター ほっかい で立ち入り困難な大規模土砂崩壊の被災現場等を上空から撮影し 被災状況の全容を把握し 早期復旧の参考とした 安平町 遠浅小学校 9/14 1 8.0 安平公民館 9/11~9/17 7 8.4 安平小学校 9/11~9/13 3 7.0 花園若草会館 9/11~9/14 4 17.5 追分高校 9/13 1 2.0 安平町さかえ合宿所 9/15 1 0.5 旭陽会館 9/16~9/29 14 39.1 JA 農協敷地 ( 旭地区 ) 9/18~9/29 12 11.1 酪農家支援 9/11~9/28 18 478.8 小計 606.9 上厚真小学校 9/12 1 3.0 厚真中央小学校 9/14 1 1.0 厚南保育園 9/15 1 2.0 厚南中学校 9/15~9/20 5 4.9 京町保育園 9/15 1 2.0 ルーラルマナビィハウス 9/12~10/13 32 71.2 厚真中学校 9/12~9/16 5 17.2 ケアセンターともいきの里 9/13 1 7.3 胆振東部消防組合本部 9/13 1 3.0 厚真町給食センター 9/15 1 7.5 写真 -8 水陸両用車による状況確認 ( 厚真川上流 ) 5. 散水車による給水支援活動 (1) 給水支援の活動概要今回の地震では 市民生活に欠かせないライフラインも被害を受けている その中でも 上水道の被害が多くあり 厚真町にて 9 月 6 日 ~10 月 9 日まで 34 日間 最大 1,969 戸 安平町で 9 月 6 日 ~29 日まで 24 日間 最大 3,593 戸 日高町で 9 月 6 日 ~16 日まで 11 日間 最大 1,530 戸が断水した 当初は主に自衛隊が給水支援を実施していたが 被害状況がひどく 広域になっていたため 3 町から北海道開発局に支援の要請があり 給水装置付きの散水車を派遣し 給水支援を行った ( 写真 -9) 北海道開発局では給水装置付き散水車 ( タンク容量 6300L) が全道に 18 台配置されている この散水車を 1 日最大 11 台 のべ 158 台で支援を実施し 34 日間で合計約 1,019t の飲料用水 厚真町 厚真高校 9/17~9/20 4 26.1 宮の森こども園 9/17~9/21 5 5.9 つみきこども園 9/18~9/21 4 0.3 ケアセンターゆくり 9/18~10/13 26 66.8 町民運動公園パークゴルフ場 9/21~9/25 5 0.0 総合福祉センター 9/21 1 0.0 厚真葬苑 9/25~9/26 2 2.0 ルーラル公園 9/25~10/13 19 38.6 幌内マナビィハウス 10/4~10/10 5 0.2 朝日マナビィハウス 10/5~10/8 3 1.0 富里公園 10/6~10/10 4 1.3 酪農家支援 9/13~10/12 29 79.6 民家給水支援 10/8~10/13 6 18.5 小計 340.8 日高町小計 9/11~9/15 6 70.9 合計 1018.6

に苦慮した また 地域の基幹産業である酪農家等では町の上水道ではなく 地下水を利用している所が多く 地震の影響で再使用できない箇所については 町の上水道が復旧した後も個別の給水支援が続いた ( 写真 -11) 写真 -9 散水車による給水支援 ( 厚真町 ) (3) 給水支援の課題今回の給水支援は本格的な冬期間を迎える前に終えることができたが 同様の被害が冬季に発生した場合や断水が長引くことで給水支援が冬季に及んだ場合に 散水車は冬季に使用することを想定している車両ではないため配水管内の水が凍結 破損してしまう恐れがあることから 今後に向け運用面や凍結防止の対策等について計画的な検討を行う必要がある 6. 今後に向けた災害対策用機械等の課題整理今回の災害対応教訓に以下のような対策を検討していく必要がある 写真 -10 白山による給水支援 (1) プッシュ型支援のあり方 段階的な機械派遣台数の検討 派遣機械の基本スペックの情報共有 現場条件等の把握と情報提供方法 (2) 分解組立バックホウの運用 分解組立バックホウの低湿地対策 舗装路走行用のゴムカバーの取り扱い 遠隔操作運用の検討 (3) 給水支援 散水車 ( 給水装置付き ) の冬季対策 長期化するオペレーションでの応援体制確立 写真 -11 酪農家への給水支援 ( 安平町 ) (2) 長期化する給水支援今回の地震では 特に厚真町の被害が大きく 給水支援が 34 日間という長期化した結果となった 室蘭開発建設部の職員だけでは対応出来なかったため 全道の開発建設部より職員及び操作員として維持工事受注者の協力の下 給水支援を行った 給水箇所要請のあった箇所は日々変化したが 台数が限られているため機械の配置 7. 最後に今回発生した北海道胆振東部地震については 主に砂防事業がこれから復旧工事を行い 復興に向け本格的に動き出すが 室蘭開発建設部は 過去から有珠山の火山災害や 平成 28 年には豪雨災害により一般国道 274 号日勝峠が大きな被災を受けており 今回の地震災害の教訓を更に生かして 迅速で適切な災害対応を行うべく 関係機関と協力し 災害体制づくりを進める必要があると考える なお 最後になりますが 今回の胆振東部地震の対応にあたり 国土交通省本省 各地方整備局の応援と各開発建設部並びに道路維持業者各社のご支援とご協力をいただきましたことを 感謝いたします また 胆振東部地震でお亡くなりになられた方々のご冥福をお祈り申し上げるとともに 被災された皆様 そのご家族の方々に対して 心よりお見舞い申し上げます