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⑤5 地方公共団体における検証等に関する調査結果

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1. 子育て短期支援事業の概要 根拠法 子育て短期支援事業 は 児童福祉法 ( 昭和 22 年法律第 164 号 以下 法 という ) 第 6 条の 3 第 3 項に規定する市町村が実施する事業 用語の意味 児童 児童福祉法第 4 条に規定する者をいう 保護者 児童福祉法第 6 条に規定する者をいう

⑦7 課題と提言

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別添2 乳児家庭全戸訪問事業の実施状況

資料1-1 HTLV-1母子感染対策事業における妊婦健康診査とフォローアップ等の状況について

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児童虐待防止対策体制総合強化プラン 平成 30 年 12 月 18 日 児童虐待防止対策に関する関係府省庁連絡会議決定 1. 目的 2016 年 5 月に全会一致で成立した児童福祉法等の一部を改正する法律 ( 平成 28 年法律第 63 号 以下 平成 28 年改正法 という ) においては 子ども

横浜市育児支援家庭訪問事業実施要綱 制 定平成 17 年 5 月 20 日福子地第 126 号 最近改正平成 28 年 10 月 1 日ここ第 2713 号 ( 目的 ) 第 1 条この要綱は 児童福祉法 ( 法律第 164 号 昭和 22 年 12 月 12 日 ) 第 21 条の10の2 及び養

【資料3】「児童福祉法等の一部を改正する法律」の概要(7.22現在)

平成 25 年度の県内の児童相談所が相談対応した被虐待児童の年齢構成を見ると 0~ 学齢前だけで全体の 41.6% を占めています 平成 25 年度被虐待児の年齢構成 ( 県 ) 中学生 11.9% 高校生 その他 7.1% 3 歳未満 20.3% 小学生 39.5% 3 歳 ~ 学齢前児童 21.

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Ⅲ 各種施策及び事業の動向 第 1 妊娠 出産期から乳幼児期にかけての子育て支援 4 乳児健康診査 (1) 根拠法令等 母子保健法 厚生省児童家庭局長通知 仙台市乳児健康診査実施要領 (2) 制度の概要 事業目的 対象者 実施機関 一般健康診査 精密健康診査 乳児の心身の異常を早期に発見し, 早期に

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Microsoft Word - ☆結果の概要.doc

に養育されるよう また 児童を家庭及び当該養育環境において養育することが適当でない場合は 児童ができる限り 良好な家庭的環境 において養育されるよう 必要な措置を講ずることとする ( 同法第 3 条の2) なお 家庭 とは 実父母や親族等を養育者とする環境を 家庭における養育環境と同様の養育環境 と

愛知県アルコール健康障害対策推進計画 の概要 Ⅰ はじめに 1 計画策定の趣旨酒類は私たちの生活に豊かさと潤いを与える一方で 多量の飲酒 未成年者や妊婦の飲酒等の不適切な飲酒は アルコール健康障害の原因となる アルコール健康障害は 本人の健康問題だけでなく 家族への深刻な影響や飲酒運転 自殺等の重大

自民党 児童の養護と未来を考える議員連盟 及び 超党派 児童虐待から子どもを守る議員の会 合同勉強会 中核市市長会資料 平成 31 年 2 月 15 日 中核市市長会会長倉敷市長伊東香織

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乳幼児健康診査について

はじめての子どもが生まれる前に 赤ちゃんの世話をしたことがある割合 (25 年度と 20 年度の 比較 ) 利用ニーズ把握のための調査 ( 平成 20 年 ( 市民意識調査 ) 25 年 ( 未就学児 )) < 平成 20 年 > 無回答 2.9% < 平成 25 年 > 無回答 %

時期場面子ども自身の問題 乳 児 期 乳児訪問 1~2 か月訪問 乳児健診 (3~4 か月 7~8 か月 10 か月 ) 健診時に要チェック項目がある ( 体重増加が悪い 先天性の疾患がある等 ) 既往歴がある ( 硬膜下血腫 頭蓋骨骨折 ) 気持ちを苛立たせるような泣き声 あやしても泣き止まない

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目次 1 目的 4P 2 運用 5P 3 妊婦 親子連絡票を用いた連携手順 6P 資料 [ 別紙 1] 気がかりな妊婦 親子管理台帳 [ 別紙 2] 妊婦 親子連絡票 ( 発信用 ) [ 別紙 3] 妊婦 親子連絡票 ( 返信用 ) [ 別紙 4] 気がかりな妊婦 親子管理台帳 ( 受信 ) [ 添

要保護児童対策地域協議会の支援対象3 母子保健 子育て支援における児童福祉分野との役割分担 ~ 杉並区の要保護児童対策地域協議会の仕組み~ (1) 進行管理の役割分担杉並区では平成 24 年 6 月 児童福祉法や関係法令 通知に基づき 杉並区要保護児童対策地域協議会設置要綱を改正し 子ども家庭支援セ

2コアメンバー会議の開催時期コアメンバー会議は 事実確認調査で得られた情報や相談 通報内容に基づき 緊急性を判断し 緊急性が高いと判断される事例については 早急に開催します 3 協議内容 虐待の事実認定情報の内容により虐待の事実の有無の判断を行います 情報の内容虐待の事実の有無の判断 高齢者の権利を

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Microsoft PowerPoint - 中板委員提出資料

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平成30年度精神保健に関する技術研修過程(自治体推薦による申込研修)

長野県プレスリリース 平成16年7月23日

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資料 3 全国精神保健福祉センター長会による自殺予防総合対策センターの業務のあり方に関するアンケート調査の結果全国精神保健福祉センター長会会長田邊等 全国精神保健福祉センター長会は 自殺予防総合対策センターの業務の在り方に関する検討チームにて 参考資料として使用されることを目的として 研修 講演 講

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児童相談所が虐待通告や子育ての悩み相談に対して確実に対応できる体制強化 滋賀県彦根子ども家庭相談センター菅野道英 児童相談所の使命 2 子どもの発達上のニーズを適切に充たし 現在 ~ 未来の 生きやすさ を保障する 子どもが発達の過程で示すさまざまな症状や問題についての相談に応じ 専門的支援を行って

併せて 妊娠 出産 更年期など女性特有の生涯にわたる健康問題を気軽に相談できるよう 対 応を充実させる必要があります はじめての子どもが生まれる前に 赤ちゃんの世話をしたことがある割合 (25 年度と 20 年度の 比較 ) 横浜市利用ニーズ把握のための調査 ( 平成 20 年 ( 市民意識調査 )

子宮頸がん予防措置の実施の推進に関する法律案要綱

学力向上のための取り組み

「子ども・若者の生活困窮支援のあり方に関する研究」報告書

02-1 目次11ポイント

児童虐待防止対策の経緯 児童福祉法による要保護児童対策として対応 平成 12 年 児童虐待の防止等に関する法律 ( 児童虐待防止法 ) の成立 (11 月施行 ) 1 児童虐待の定義 ( 身体的虐待 性的虐待 ネグレクト 心理的虐待 ) 2 住民の通告義務等 平成 16 年 平成 19 年 児童虐待


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平成 29 年中の救急出動件数等 ( 速報値 ) の公表 平成 30 年 3 月 14 日 消防庁 平成 29 年中の救急出動件数等の速報値を取りまとめましたので公表します U 救急出動件数 搬送人員とも過去最多 平成 29 年中の救急自動車による救急出動件数は 634 万 2,096 件 ( 対前

障害者虐待の防止と対応

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1 発達とそのメカニズム 7/21 幼児教育 保育に関する理解を深め 適切 (1) 幼児教育 保育の意義 2 幼児教育 保育の役割と機能及び現状と課題 8/21 12/15 2/13 3 幼児教育 保育と児童福祉の関係性 12/19 な環境を構成し 個々 1 幼児期にふさわしい生活 7/21 12/

乳児家庭全戸訪問事業(一部改正)

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表 1 高齢者虐待の判断件数 相談通報件数 ( 平成 26 年度対比 ) 養介護施設従事者等 ( 1) によるもの虐待判断件数相談 通報件数 ( 3) ( 4) 養護者 ( 2) によるもの虐待判断件数相談 通報件数 ( 3) ( 4) 27 年度 408 件 1,640 件 15,976 件 26

資料 4 医療等に関する個人情報 の範囲について 検討事項 医療等分野において情報の利活用と保護を推進する観点から 医療等に関する個人情報 の範囲をどのように定めるべきか 個別法の対象となる個人情報としては まずは 医療機関などにおいて取り扱われる個人情報が考えられるが そのほかに 介護関係 保健関

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15 第1章妊娠出産子育てをめぐる妻の年齢要因

02世帯

第1章第2章第3章第4章第5章第6章第7章指標宅50 市町村要保護児童対策地域協議会実務マニュアル在て(2) 在宅支援アセスメントシートを利用する前に ここでは 在宅支援アセスメントシート ( 様式 3 P.63) を利用する前の準備として ジェノグラム ( 家族関係図 ) やエコマップの書き方等を

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Ⅰ 児童福祉法の理念の明確化等 全ての児童が健全に育成されるよう 児童を中心に その福祉の保障等の内容を明確化する (1) 児童の福祉を保障するための原理の明確化 児童は 適切な養育を受け 健やかな成長 発達や自立等を保障されること等の権利を有することを明確化 ( 児童福祉法 ) (2) 家庭と同様

函館市の障がい者虐待の現状について 1 養護者による障がい者虐待についての対応状況 (1) 相談 通報対応件数および相談 通報者 函館市要援護高齢者 障がい者対策協議会 平成 30 年 2 月 7 日 1 件の事例に対し複数のものから相談 通報があった場合, それぞれの該当項目に重複して計上されるた

Microsoft Word - 04 Ⅳ章 doc

事務連絡 平成 26 年 11 月 12 日 各 都道府県 政 令 市 特 別 区 母子保健主管部 ( 局 ) 御中 厚生労働省雇用均等 児童家庭局母子保健課 健やか親子 21( 第 2 次 ) の指標及び目標の決定並びに今後の調査方法について 母子保健行政及び 健やか親子 21 の推進につきまして

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医療的ケア児について

Microsoft Word 結果の概要(1世帯)

資料

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28. 社会的養護 児童相談所へ通告したけれど その後どうなっているのかがわからない 一時保護所に措置されたと はきいたが ある日突然クリニックに風邪を引いて受診してきた 児童相談所からのフィードバックがな いということがよくきかれる 子ども虐待対応の現状児童相談所への通告件数は増加の一途をたどって

安心して育 子育てに自信 集計後設定 児ができる母が持てない母 親の増加 親の割合 父親の育児参加に満足する母親の割合 産後うつ病のリスクのある産婦の割合 子どもの健やかな成長のためには 母親が安心かつ自信を持って育児することが重要である 引き続き 育児不安の軽減や虐待予防に取り組む必要があり 健や

妊産婦のメンタルヘルスケア

出産・育児調査2018~妊娠・出産・育児の各期において、女性の満足度に影響する意識や行動は異なる。多くは子どもの人数によっても違い、各期で周囲がとるべき行動は変わっていく~

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第 1 章アンケートの概要 1-1 調査の目的 1-2 対象者 1-3 調査方法 1-4 実施期間 1-5 調査結果サンプル数 第 2 章アンケート調査結果 2-1 回答者自身について (1) 問 2: 年齢 (2) 問 5: 同居している家族 2-2 結婚について (1) 問

Ⅰ 障害福祉計画の策定にあたって

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通知(写入)

- 目次 - 乳幼児健診情報システムの全体構造と詳細 1 Ⅰ. データの入力方法 5 Ⅱ. 入力したデータの集計方法 10 Ⅲ. 分析結果の作成方法 1 Ⅳ. 都道府県へ報告する際の報告用ファイルの作成方法 15

第 10 回児童虐待対応における司法関与及び特別養子縁組制度の利用促進の在り方に関する検討会 平成 29 年 1 月 16 日 参考資料 2 児童虐待対応における司法関与の在り方について ( これまでの議論の整理 ) 1. はじめに 平成 28 年 3 月 10 日に取りまとめられた 新たな子ども家

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資料4_1いじめ防止対策推進法(概要)

 

障害児・発達障害支援_

45,000 ( 人 ) 40,000 乳少幼年児人人口口 35,000 < 世田谷区の人口の推移 > 世田谷区の総人口 児童人口ともに増加傾向にあり 特に乳幼児の増加が著しい <この 5 年間の人口の増減 ( 平成 22 年 27 年 )> 総人口 26,985 人増 0~5 歳の人口 4,904

行田市高齢者虐待防止事業について

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(1) 庁内外の関係機関と密に連携を図りつつ必要に応じてひとり親家庭を訪問 1 背景ひとり親家庭からの相談窓口に寄せられる相談件数は増加傾向にある また養育に問題を抱える父母からの相談 父母や子どもが精神的に不安定であるケースに関する相談等 相談内容やその背景も複雑化してきていることから 碧南市では

和光市保育の必要性の認定に関する条例施行規則 ( 制定準備資料 ) 資料 2 1 条例第 3 条第 1 項関係 ( 保育の必要性の基準 ) 市長は 小学校就学前子どものうちその保護者のいずれもが次の各号のいずれかの事由 ( 以下 保育の必要性の基準 という ) に該当するものを法第 19 条第 1

柏市母子保健計画

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Transcription:

子ども虐待による死亡事例等の検証結果等について ( 第 13 次報告 ) の概要社会保障審議会児童部会児童虐待等要保護事例の検証に関する専門委員会 平成 29 年 8 月 1. 検証対象 (1) 死亡事例厚生労働省が 都道府県 指定都市及び児童相談所設置市 ( 以下 都道府県等 という ) に対する調査により把握した 平成 27 年 4 月 1 日から平成 28 年 3 月 31 日までの間に発生し 又は表面化した子ども虐待による死亡事例 72 例 (84 人 ) を対象とした 区分 心中以外の虐待死 第 13 次報告 心中による虐待死 ( 未遂を含む ) 計 心中以外の虐待死 ( 参考 ) 第 12 次報告 心中による虐待死 ( 未遂を含む ) 例数 48(8) 24(0) 72(8) 43 21 64 人数 52(8) 32(0) 84(8) 44 27 71 未遂とは 親は生存したが子どもは死亡した事例をいう ( ) 内は 都道府県等が虐待による死亡と断定できないと報告のあった事例について 本委員会にて検証を行い 虐待死として検証すべきと判断された事例の内数 (2) 重症事例 ( 死亡に至らなかった事例 ) 厚生労働省が 都道府県等に対する調査により把握した 平成 27 年 4 月 1 日から 6 月 30 日までの間に全国の児童相談所が虐待相談として受理した事例の中で 同年 9 月 1 日時点までに 身体的虐待 等による生命の危険にかかわる受傷 又は 養育の放棄 怠慢 等のために衰弱死の危険性があった事例 8 例 (8 人 ) を対象とした 計 参考 死亡事例数及び人数 ( 第 1 次報告から第 12 次報告 ) 第 1 次報告 ( 平成 17 年 4 月 ) H15.7.1~ H15.12.31 (6 か月間 ) 第 2 次報告 ( 平成 18 年 3 月 ) H16.1.1~ H16.12.31 第 3 次報告 ( 平成 19 年 6 月 ) H17.1.1~ H17.12.31 第 4 次報告 ( 平成 20 年 3 月 ) H18.1.1~ H18.12.31 第 5 次報告 ( 平成 21 年 7 月 ) H19.1.1~ H20.3.31 (1 年 3 か月間 ) 第 6 次報告 ( 平成 22 年 7 月 ) H20.4.1~ H21.3.31 第 7 次報告 ( 平成 23 年 7 月 ) 第 9 次報告 ( 平成 25 年 7 月 ) 第 10 次報告 ( 平成 26 年 9 月 ) 心中心心中心心中心心中心心中心心中心心中心心中心心中心心中心心中心心中心計計計計計計計計計計計以外中以外中以外中以外中以外中以外中以外中以外中以外中以外中以外中以外中 計 例数 24-24 48 5 53 51 19 70 52 48 100 73 42 115 64 43 107 47 30 77 45 37 82 56 29 85 49 29 78 36 27 63 43 21 64 人数 25-25 50 8 58 56 30 86 61 65 126 78 64 142 67 61 128 49 39 88 51 47 98 58 41 99 51 39 90 36 33 69 44 27 71 H21.4.1~ H22.3.31 第 8 次報告 ( 平成 24 年 7 月 ) H22.4.1~ H23.3.31 H23.4.1~ H24.3.31 H24.4.1~ H25.3.31 第 11 次報告 ( 平成 27 年 10 月 ) H25.4.1~ H26.3.31 第 12 次報告 ( 平成 28 年 9 月 ) H26.4.1~ H27.3.31 1

2. 死亡事例 (72 例 84 人 ) の分析 (1) 心中以外の虐待死 (48 例 52 人 ) 死亡した子どもの年齢は 0 歳が 30 人 (57.7%) と最も多く 特に 0 歳のうち月齢 0 か月児が 13 人 (43.3%) と高い割合を占めた 虐待の種類は 身体的虐待が 35 人 (67.3%) ネグレクトが 12 人 (23.1%) 直接の死因は 頭部外傷 頚部絞扼 ( けいぶこうやく ) による窒息 が各 8 人 (17.4% ) で最も多かった 主たる加害者は 実母 が 26 人 (50.0%) と最も多く 次いで 実父 が 12 人 (23.1%) 次に 実母と実父 が 5 人 (9.6%) であった 加害の動機 ( 複数回答 ) としては 保護を怠ったことによる死亡 が 6 人 (11.5%) と最も多く 次いで しつけのつもり 子どもの存在の拒否 否定 泣き止まないことにいらだったため が 5 人 (9.6%) であった 実母が抱える問題 ( 複数回答 ) として 予期しない妊娠 / 計画していない妊娠 が 18 人 (34.6%) と最も多く 次いで 妊婦健診未受診 が 17 人 (32.7%) 若年 (10 代 ) 妊娠 が 13 人 (25.0%) であった 乳幼児健康診査の受診状況では 3~4 か月児健診 の未受診者が 4 人 (14.8% ) 1 歳 6 か月児健診 の未受診者が 4 人 (23.5% ) 3 歳児健診 の未受診者が 4 人 (40.0% ) であった 養育者 ( 実母 ) の心理的 精神的問題等では 養育能力の低さ が 20 例 (41.7%) 育児不安 が 12 例 (25.0%) であった 養育能力の低さとは 子どもの成長発達を促すために必要な関わり ( 授乳や食事 保清 情緒的な要求への応答 子どもの体調変化の把握 安全面への配慮等 ) が適切にできない場合としている (2) 心中による虐待死 ( 未遂を含む )(24 例 32 人 ) 死亡した子どもの年齢は 0 歳が 6 人 (18.8%) で最多であるが 0 歳から 17 歳までの各年齢に分散している傾向 直接の死因は 頚部絞扼 ( けいぶこうやく ) による窒息 が 9 人 (31.0% ) と最も多く 次いで 溺水 が 7 人 (24.1% ) 火災による熱傷 一酸化炭素中毒 が 6 人 (20.7%) であった 主たる加害者は 実母 が 29 人 (90.6%) と最も多く 次いで 実父 が 3 人 (9.4%) であった 加害の動機 ( 複数回答 ) としては 保護者自身の精神疾患 精神不安 が 13 人 (40.6%) と最も多く 次いで 育児不安や育児負担感 が 11 人 (34.4%) であった 乳幼児健康診査の受診状況では 3~4 か月児健診 の未受診者が 5 人 (23.8% ) 1 歳 6 か月児健診 の未受診者が 4 人 (25.0% ) 3 歳児健診 の未受診者が 8 人 (57.1% ) であった (3) 関係機関の関与 心中以外の虐待死の事例では 児童相談所の関与ありが 16 例 (33.3%) 市町村 ( 虐待対応担当部署 ) の関与ありが 19 例 (39.6%) 心中による虐待死の事例では 児童相談所の関与ありが 9 例 (37.5%) 市町村 ( 虐待対応担当部署 ) の関与ありが 11 例 (45.8%) であった 要保護児童対策地域協議会で検討されていた事例は 心中以外の虐待死が 14 例 (29.2%) 心中による虐待死事例が 8 例 (33.3%) であった この割合は 不明 未記入 とした回答を除いた数を合計数として算出した有効割合 2

3. 重症事例 (8 例 8 人 ) の分析 ( 個別調査票による調査の結果 ) (1) 重症となった子どもの特性 重症となった子どもの受傷時の年齢は 0 歳 が 6 人と最も多く 受傷した 0 歳児を月齢別にみると 月齢 2 か月 と 9 か月 が各 2 人で最多であった (2) 虐待の類型と加害の状況 虐待の類型は 身体的虐待 が 5 人 ネグレクト が 3 人であった 直接の受傷要因は 頭部外傷 が 6 人と最も多かった 主たる加害者は 実母 実母と実父 がそれぞれ 3 人であった (3) 関係機関の関与 重症の受傷以前において 児童相談所の関与ありが 2 例 市町村 ( 虐待対応担当部署 ) の関与ありが 2 例であった 重症の受傷以前において 要保護児童対策地域協議会で検討されていた事例は 2 例であった (4) 重症となった受傷後の対応状況 すべての事例について 重症となった受傷後に医療機関へ入院しており このうち 入院の対応をした診療科は 小児科 が 4 例 脳外科 総合診療科 救急救命 小児科 脳神経外科 がそれぞれ 1 例ずつであった また 医療機関に一時保護委託した事例は 4 例であった すべての事例について 受傷後に要保護児童対策地域協議会に登録された 平成 27 年 9 月 1 日時点で加害者と同居していない事例は 4 例あり このうち 援助方針として 家族再統合 としているものが 2 例 分離 としているものはなかった 検証の実施状況について 行政機関内部における検証を実施した事例は 1 例 第三者による検証を実施した事例はなかった 3

4. 個別ヒアリング調査結果の分析 検証対象事例のうち 特徴的で かつ 特に重大であると考えられる事例 (5 例 ) について 都道府県 市町村及び関係機関等を対象に 事例発生当時の状況や対応等の詳細に関してヒアリング調査を実施した (1) 事例の概要 事例 1 DV を行う継父による暴力によって 長女が死亡した事例 事例 2 特定妊婦であった実母及びその内縁の夫が 次女に対し十分な栄養を与えず 顔面に熱傷を負わせ死亡させた事例 事例 3 飛び込み出産をした実母及び実父が 長男を放置し死亡させた事例 事例 4 実母が措置解除後の次男の頭を殴打したことで死亡させた事例 事例 5 産後うつ状態の実母が 双子の子どもとともに団地から飛び降り 心中により死亡した事例 (2) 各事例が抱える問題点とその対応策のまとめ 1 DV と虐待が併存した場合の対応 DV が行われている場合は 虐待防止の観点から 子どもの安全確保も確実に実施すること 配偶者 パートナーが虐待を深刻化させたり 改善させたりすることから 配偶者 パートナーの関係 ( 横の関係 ) を含めたアセスメントが重要 2 特定妊婦への対応 妊娠届受理から母子保健支援まで迅速に対応すること 要保護なのか 要支援なのかを明確にした適切な支援が重要 家庭の表面にとらわれることなく 内情や生活史に踏み込んで情報を把握することが必要 妊娠及び出産時の問題等を一過性のものとせず 産後の育児においてもハイリスクと認識し対応することが重要 3 産後うつ病を抱える母親を心中等から守るための対応 希死念慮や自殺企図の可能性がある養育者の場合は 実際の行動へ結び付く可能性があると同時に子どもへ危害が及ぶことを十分に想定した上で対応すること 母親の気持ちに寄り添いながら できるだけ早期に精神科へ繋ぐこと 養育者の病状について主治医から情報を得る等 精神科医と密な連携を図ること 要保護児童対策地域協議会にて積極的な情報共有を行い 緊急介入が必要な場合の具体的な対応や役割分担等を予め協議しておくこと 4 家庭におけるステップファミリー への対応 家族の成育歴 夫婦関係などの情報が把握しづらい場合もあるため より一層 情報把握及び虐待リスクの評価を慎重に行うこと 再婚 ( 事実婚含む ) により 夫婦のいずれかと生物学的には親子関係のない子ども ( 養 子縁組をしている場合は 法的には親子関係が存在する ) がともに生活する家族形態 5 居所が変更した場合の情報共有 居所変更の情報を把握した段階で 転居先に危機意識を含め 的確に情報提供を行うこと 一時的な居所 であっても 転居前と後のどちらの自治体が支援を主導するか決定し 要保護児童対策地域協議会にて 事例全体を俯瞰し 適切にマネジメントできるようにすること 関係機関から物理的に遠方になるとき等は 十分なリスクアセスメントを行い 各関係機関が共通認識をもって対応する必要があること 6 措置解除の際の注意点 保護者の養育態度や家庭状況を正確に把握し アセスメントした上で家庭復帰につなげること 家庭復帰にあたっては 要保護児童等地域協議会を活用し 虐待リスクを再評価することが必要 施設は 積極的に親子統合にむけた評価やアプローチをしていく姿勢が必要 家庭支援専門相談員に対する研修が必要 4

5. 特集 疑義事例 ( 虐待による死亡と断定できないと報告のあった事例 ) 社会保障審議会児童部会新たな子ども家庭福祉のあり方に関する専門委員会報告 ( 提言 ) の指摘を受け 第 13 次報告から新たに 疑義事例として 都道府県等が虐待による死亡と断定できない事例についても調査対象とすることとした 今回 都道府県等より報告のあった疑義事例のうち 虐待死として検証すべきと判断した事例は 8 例 (8 人 ) 保留とした事例は 3 例 (3 人 ) 虐待死として検証すべきと判断できなかった事例は 1 例 (1 人 ) であった 内容 (1) 本委員会で虐待死として検証すべきと判断した疑義事例の概要 8 例 (8 人 ) 年齢では 0 歳児が最も多く 虐待の類型では身体的虐待が最も多く 主たる加害者では実母が最も多かった これらは 虐待死として報告があった事例と同様の傾向であった (2) 本委員会で虐待死として検証すべきと判断した疑義事例 ( 一部 ) 実母の既往歴による事故の可能性が否定された事例ア概要乳児が外傷性急性硬膜下血腫で死亡 母子家庭であり実母は精神疾患の治療中で 養育能力に不安があることから 要保護児童対策地域協議会の対象事例として取り扱われていた 本児は出産後 乳児院を経て在宅へ移行 イ疑義事例とした要点 ( 都道府県等が疑義事例と判断した根拠 ) 実母は 過去にも 精神疾患の症状に伴う意識消失により 本児を落とすことがあった 虐待 ( ネグレクト ) のある家庭ではあったが 事故の可能性が否定できず 虐待による死亡とは断定できない ウ虐待死として検証すべき事例と判断した要点 ( 本委員会の結論 ) 本児を落とした事実は 事故よりも養育能力の不足ととらえるべき 司法判断は 責任能力の有無等が焦点となりえるが 虐待死を考えるときは 子どもの安全保護の観点で検討することが必要である エその他施設から在宅への移行については 慎重に検討する必要がある (3) 本委員会で虐待死として検証すべきと判断した疑義事例のまとめ 都道府県等が疑義事例とした理由 : 死産の可能性が否定できないことや 死因が不明であること 加害者が殺人に問われていないこと 事故の可能性が否定できないこと 虐待行為が直接的死因か不明又は死因ではないこと等 本委員会が虐待死として検証すべき事例と判断した理由 : 生産であった ( 死産ではなかった ) 可能性は否定できないこと 事故よりも養育能力の不足ととらえるべきこと 死亡の原因は適切な養育で避けられたこと 確定判決を待たずとも 十分に情報が得られ経過から判断ができること等 5

5 地方公共団体における検証等に関する調査結果国及び地方公共団体は 重大な子ども虐待事例についての調査研究及び検証を行うことが責務とされており 地方公共団体が行う検証については 地方公共団体における児童虐待による死亡事例等の検証について ( 平成 20 年 3 月 14 日付雇児総発第 0314002 号厚生労働省雇用均等 児童家庭局総務課長通知 ) により詳細を示している 今回 平成 28 年 9 月 1 日現在の 地方公共団体における検証組織の設置状況 地方公共団体が行う検証の実施状況 国の検証報告の活用状況 について調査した結果は以下のとおりである ( 調査対象 : 地方公共団体 ( 各都道府県 指定都市 児童相談所設置市 ) 数 69 か所 ) ⑴ 地方公共団体における検証組織の設置状況 1 検証組織の設置の有無地方公共団体における検証組織の設置状況については 検証組織を設置している地方公共団体が 69 か所 (100.0%) であり すべての地方公共団体に検証組織が設置されている そのうち設置されている検証組織が常設である地方公共団体は 54 か所 事例毎に随時設置される地方公共団体は 15 か所であった 表 5-1-1 検証組織の設置状況 設置 内訳 区分 地方公共団体数 設置率 69 100.0% 常設 54 事例毎に随時設置 15 2 検証組織の設置形態検証組織の設置形態は 児童福祉審議会の下部組織として設置している地方公共団体が 23 か所 (33.3%) 地方社会福祉審議会の下部組織として設置している地方公共団体が 34 か所 (49.3%) 単独設置をしている地方公共団体が 11 か所 (15.9%) であった 190