Two Cases of Isolated Fracture of the PisiformBone by Jun Abe and Osamu Higuchi Department of Orthopedic Surgery, Yame Public Hospital Toshiaki Matsumura Department of Surgery, Yame Public Hospital Isolated fractures of the pisiform bone are uncommon. We reported two cases of isolated fracture of the pisiform bone. The first case was a 40-year-old male, and the second case wasa 24-year-old female. The second case showed the Guyon canal syndrome. Both cases were treated by open reduction and fixation with microscrew. Bony unions were otained in both cases. A few months after the operation both patients were asymptomatic.
豆状骨単独骨折 の2症 例 1378 a 図1症 b 例1:初 診 時X線 像 a.正 面 像:豆 状 骨 に縦 骨 折 を認 め る. b.豆 状 骨 撮 影 像:骨 折 は 明 らか で あ る. 折 面 を露 出 した.骨 折 は若 干 斜 骨 折 に近 か った(図6). 尺 側骨 折 の 嵌頓 は軽 度 で あ り,整 復 に は さほ ど困 難 を 要 さず,マ イ ク ロ ス ク リ ュー1本 に よ り骨 接合 術 を施 行 した.術 後 の整 復 状 態,固 定 性 は良 好 で あ り,知 覚 異 常 も術 直 後 よ り改 善 した(図7). 一過 性 の 尺側 手 根 屈 筋腱 炎 が み られ た もの の漸 次 改 善 し,術 後2カ 月 骨癒 合 は良 好 で あ り,と くに症 状 な く現職 に復 帰 した(図8). 考 図2症 例1:術 察 豆 状 骨 々折 は,手 根 骨 々 折 の 中 で その頻 度 は低 い, 中肉眼所 見 軽度の骨片離開 を伴 う豆状骨縦 骨折 を認 める. 矢印 は尺側手根屈筋腱. 過 去,多 くの手 根 骨 々折 にお け る豆 状 骨 々折 の 割 合 を 調 べ た 報 告 が あ る が,Schnek12}は437例 Snodgrass13)は170例 c). 中1例,本 中13例, 田 ら3)は57例 中5 例 で あ った と述 べ て い る.単 独 骨 折 は と くに珍 し く, 徒 手整 復 は困 難 で あ った.ギ プ ス シー ネ 固定 を行 い Vasilasら14 は豆状 骨 々 折 を13例 経験 し て い るが,単 帰 宅 した が,そ の 後徐 々 に手 指 尺側 の しび れ感 が 出 現 独 骨 折 は7例 で あ り他 はColles骨 折 な ど何 らかの合 併 し,半 日後 再 来 院 した.再 来 時,手 指 尺骨 神 経 領 域 に 骨 折 が あ っ た と報 告 し てい る.骨 折 型 は縦 骨 折 と横 骨 し びれ感 と知 覚 鈍麻 を認 めた.手 指 運 動 障害 は み られ 折 に大 き く分 け られ るが,そ れ は受傷 機 転 に も関係 す なか った.知 覚 異 常 は骨 片 転 位 と血 腫 に よ るGuyon管 る.ひ とつ は手 関節 背 屈 位 に て豆 状骨 直 上 を打撲 す る 症 候 群 に よる もの と考 え られ た. 直 達 外 力で あ る.平尾 ら2)は豆 状 骨 が中枢 に尺 側手 根 屈 外 来 にて 経過 観 察 す る も知 覚 改 善 は み られ な い た め 3月1日 筋,末 梢 に小 指外 転 筋,深 層 に有 鈎骨 へ の 豆 鈎靭 帯, 手 術 を施 行 した. 尺 側 に4 5中 手 骨 基 底 部 への 豆 中手 靭 帯 が付 着 し て い るた め,そ れ らの介 達 力 に よ って裂 離 骨 折 を起 こす 手術 所 見:症 例1と 同 様 に 尺側 手根 屈筋 腱 を分 け骨 18
1379 図3症 例1:術 直 後X線 整 復 状 態,固 図4症 像 定 性 は良 好 で あ る. 例1:術 後3カ 月X線 像 骨 癒 合 は良 好 で あ る. こ とを述 べ て い る.こ の 介達 力 に よる骨 折 は横 骨 折 ζ 複,側 面 像 では他 の手 根 骨 との 重複 の た めに本 骨 折 は な る.わ れわ れ の症 例2に お い て はそ の受 傷 機 転 よ り, 鮮 明 とは な りに くい.古 谷 ら1)は60 斜 位像 が 豆状 骨 の 直 達 外力 に よ る縦 骨 折 と思 われ た.症 例1に お い て は 輪 郭 を明 白 にす る に は も っ と も適 して いた と述 べ てい その 受傷 機 転 は不 明 で あ ったが,縦 骨折 で あ った こ と る.前 述 した よ うに,本 骨 折 は受 傷 機 転 よ り,Colles骨 よ り直達 外 力 に よる もの と考 え られ た. 折 を合併 す る こ と も少 な くな く,見逃 す可 能性 もあ る. 本 骨折 はわ れ わ れの2症 例 の よ うに正 面X線 像 の み 本 骨 折 が疑 わ れ る時 は,縦 骨 折 に有 用 な手根 管 撮 影 や で 発 見 され る こ とは少 ない.正 面 像 で は三 角 骨 との重 横 骨 折 に有 用 な豆 状 骨 撮影(60 斜位 像)を 追加 すべ き 19
豆状骨単独骨折の2症 例 1380 a b 図5症 例2:初 診 時X線 a.正 面 像 像 豆 状 骨 に 縦 骨 折 を認 め る. b.豆 状 骨 撮 影 像.c.手 根 管 撮 影 像. 骨 折 線 は 関 節 面 に達 し て お り,骨 片転 位 を 認 め る. c 圧 を行 う方が 望 ま しい こ とも少 な くな い と考 えた.過 去 本 骨 折 に対 す る治療 は4 6週 間 の外 固定 を行 っ て い るの が ほ とん どで あ り,手 術 例 はわ れ われ が調 べ え た範 囲 で は片 山 ら8)の1例 であ った.しか し本 症例1で は手 術 を施 行 した た め に早 期 か ら リハ ビ リテー シ ョン を行 う こ とが で き,ま た 外 固定 期 間 も短 縮 され,早 期 に復 職 可能 とな った.ま た保 存 的 治 療 で骨 癒 合 を得 た と して も,将 来 豆状 三 角 関 節 の変 形 性 関節 症 を起 こ し た り,疼 痛 残 存 の た め に豆 状骨 摘 出 を必 要 とす る こ と もあ る.Palmieri11)は 豆状 骨 々折 後2年 か ら10年,疼 痛 が残存 した症例 に対 して 摘 出術 を行 っ て い る.わ れ 図6症 例2:術 中肉眼所見 われ は本 骨 折 に対 して は著 明 な骨 片 転位 を伴 う もの, 豆 状 骨 縦 骨 折 を認 め る. 尺 側 骨 片 は 軽 度 に嵌 頓 して い る(矢 尺骨 神経 障 害 が み られ る もの,早 期 復職 を希 望 す る症 印). 例 に は観血 的 治 療 の適 応 が あ る と考 え る.ま た豆 状 骨 で あ る. は種 子 骨 で あ るが,尺 側 手根 屈 筋 腱 と小 指 外 転筋 腱 の 過 去 尺骨 神 経 障 害合 併 例 の 報告 は少 な か らず み られ 付 着 部 で あ り,本骨折 に対 して はAvulsion fractureの る.Israeli5)らは3週 間 の外 固定 で 自然 軽快 した と報 告 概 念 の も とに症例 に よ って は観 血 的 治療 が 必 要 とな る し てい る が,本 症例2は1週 場 合 も少 な くな い と考 えた. 間 の外 固 定 で ほ とん ど軽 快 をみ な か った もの の,手 術 に よ り直後 か ら著 しい改 結 善 をみ た.こ の こ と よ り,わ れ われ は も し尺 骨 神経 障 害 を起 こ して い る場合 に は,観 血 的 に神 経 に対 す る除 語 観 血 的治 療 を行 っ た豆 状骨 単 独 骨折 の2症 例 につ き 20
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