Powered by TCPDF (www.tcpdf.org) Title Sub Title Author 温度感受性ナノ磁性体を用いたセンチネルリンパ節の診断と温熱療法の開発 Detection of sentinel lymph nodes by magnet resonance lymphography and hyperthermia therapy using thermo-responsive magnetic nanoparticles 平岩, 訓彦 (Hiraiwa, Kunihiko) Publisher Publication year 2010 Jtitle 科学研究費補助金研究成果報告書 (2009. ) Abstract MRIによるセンチネルリンパ節の同定は 空間分解能が高く 放射性物質が不要であることなど RI 法や色素法に比してさまざまな長所が期待される 温度感受性鉄磁性体 ( サーママックス ) は加熱 冷却によって凝集 拡散が可逆性に変化する鉄磁性体であり これを用いてMRIによるラットのセンチネルリンパ節の撮像が可能であった 凝集温度の設定によりセンチネルリンパ節を標的とすることが可能と考えられた Notes 研究種目 : 若手研究 (B) 研究期間 : 2008~2009 課題番号 : 20790938 研究分野 : 医歯薬学 Genre URL 科研費の分科 細目 : 外科系臨床医学 外科学一般 Research Paper http://koara.lib.keio.ac.jp/xoonips/modules/xoonips/detail.php?koara_id=kaken_20790938seika
様式 C-19 科学研究費補助金研究成果報告書 平成 22 年 6 月 16 日現在 研究種目 : 若手研究 (B) 研究期間 :2008~2009 課題番号 :20790938 研究課題名 ( 和文 ) 温度感受性ナノ磁性体を用いたセンチネルリンパ節の診断と温熱療法の開発研究課題名 ( 英文 ) Detectionofsentinellymphnodesbymagnetresonancelymphography and hyperthermiatherapyusingthermo-responsivemagneticnanoparticles 研究代表者平岩訓彦 (HIRAIWAKUNIHIKO) 慶應義塾大学 医学部 助教研究者番号 :10338048 研究成果の概要 ( 和文 ): MRI によるセンチネルリンパ節の同定は 空間分解能が高く 放射性物質が不要であることなど RI 法や色素法に比してさまざまな長所が期待される 温度感受性鉄磁性体 ( サーママックス ) は加熱 冷却によって凝集 拡散が可逆性に変化する鉄磁性体であり これを用いて MRI によるラットのセンチネルリンパ節の撮像が可能であった 凝集温度の設定によりセンチネルリンパ節を標的とすることが可能と考えられた 研究成果の概要 ( 英文 ): Newly developed thermo-responsive magnetic nanoparticles could be targeted to the sentinel lymph node by adjusting the temperature at which they aggregate, and that they could be used as a contrast agent for the sentinel lymph node mapping by magnet resonance imaging. 交付決定額 ( 金額単位 : 円 ) 直接経費 間接経費 合計 2008 年度 2,700,000 810,000 3,510,000 2009 年度 600,000 180,000 780,000 年度年度年度 総計 3,300,000 990,000 4,290,000 研究分野 : 医歯薬学科研費の分科 細目 : 外科系臨床医学 外科学一般キーワード : 癌 低侵襲治療 ナノ磁性体 1. 研究開始当初の背景近年人口の高齢化が進み 高リスク合併症さらには進行癌のため手術不適応となる症例の増加が予想される 2. 研究の目的現時点では消化器癌に対しては侵襲の大きい外科治療が主体である また進行癌症例
に対する抗癌剤投与は血管内投与が主体であり 癌の転移で多く見られるリンパ行性をターゲットとした抗癌剤は存在しない 低侵襲で リンパ節転移を制御する治療の開発が必要である 手術不適応となる症例に対して 生体にほとんど侵襲を与えずに癌を診断 治療する方法を開発することが本研究の目的である 可能であることを確認する 4. 研究成果サーママックス (42 凝集型 ) をラット胸壁に投与し 腋窩センチネルリンパ節の造影効果が MRI にて確認された 3. 研究の方法センチネルリンパ節理論とは 腫瘍から直接のリンパ流を受けるリンパ節をセンチネルリンパ節と定義し ここに最初のリンパ節転移が生じ このセンチネルリンパ節に転移が認められなければリンパ節転移は陰性であると診断するものである 近年 消化器癌に対してもその妥当性が検証され 将来的にはセンチネルリンパ節転移陰性例において広範囲リンパ節郭清の省略 切除範囲縮小といった低侵襲治療導入の可能性が示唆される しかし 特に食道癌ではセンチネルリンパ節同定に至るまでの開胸操作そのものが過大な侵襲となり さらにセンチネルリンパ節存在部位が頚部から腹部までと多種多様で解剖学的位置関係からは予測困難であることから 現行の術中迅速病理や RT-PCR によるセンチネルリンパ節転移診断が外科的侵襲軽減をもたらすとは限らない 特に腫瘍原発巣が内視鏡下粘膜切除術 (EMR) 可能な大きさであっても深達度が粘膜下層以深にまで及ぶ場合 そのリンパ節転移頻度が高率となることから EMR は相対的適応となり外科的切除即ち広範囲リンパ節郭清が標準的治療となっているのが現状である そこでセンチネルリンパ節を標的とした他の治療法を検討し 現在センチネルリンパ節同定に使用している tracer に着目した 最近の本邦の報告によるとセンチネルリンパ節への移行性 停滞性の面から tracer の粒子径は約 50nm が最適であり 今回これとほぼ同径 ( 約 70nm) のナノ磁性体 サーママックス に着目した 本磁性体は熱応答性を有し ある設定された温度以上に加熱すると凝集するとともに 磁気回収が容易となる MRI によるセンチネルリンパ節の同定は 空間分解能が高く 放射性物質が不要であることなど RI 法や色素法に比してさまざまな長所が期待される サーママックスをラット胸壁および腸間膜に投与し センチネルリンパ節への移行 集積が認められることを確認するとともに MRI を撮像する 凝集した鉄磁性体は磁気応答性が良好であり 外部からの交流磁場による誘電加温が 胸壁 腸間膜への投与では 投与直後から 7 日後まで経時的観察を行ったが 低温凝集タイプ (36 度で凝集 ) のサーママックスは投与局所で体温によって凝集するためにリンパ管に流入せず センチネルリンパ節へは移行しなかった
42 凝集型サーママックスではセンチネルリンパ節へのサーママックスの移行が鉄染色にて確認できた 24 時間後にてもサーママックスの停滞が確認できた 投与局所で凝集しないサーママックスは センチネルリンパ節への移行に適した径を有しているものと考えられた したがって 凝集温度を調整することによって磁性体の集積部位を調整することが可能であると考えられた さらに 55 凝集型サーママックスを投与したところ センチネルリンパ節のみならず二次リンパ節での磁性体の集積が認められた 凝集した鉄磁性体は磁気応答性が良好であり 外部からの交流磁場による誘電加温が容易であることが期待できる 現時点で使用されている抗腫瘍薬に リンパ指向性を有したものが存在しないことから 上述のごとくセンチネルリンパ節へ移行 凝集したサーママックスが センチネルリンパ節での転移をターゲットとした次世代 DDS(drugdelivery system) を担うものと考える 低温凝集タイプは局所 ( 腫瘍内 ) に停滞し これに交流磁場をかけることで局所の温熱療法が期待される 高温凝集タイプはセンチネルリンパ節へと移行するので MRI を撮像することでリンパ節転移の診断を行う さらに交流磁場をかけることで センチネルリンパ節での温熱療法が期待される しかし 今回の実験では外部からの交流磁場による誘電加温は認められず サーママックスの診断薬としての有効性は示されたが 治療薬としての有効性は確認できなかった
5. 主な発表論文等 ( 研究代表者 研究分担者及び連携研究者には下線 ) 雑誌論文 ( 計 0 件 ) 学会発表 ( 計 1 件 ) 1 AACR2008annualmeeting 2008 年 4 月 14 日 Detection of mesenteric sentinel lymph nodes by magnet resonance lymphography using thermo-resoponsive magnetic nanoparticlesinrats KunihikoHiraiwa, MasakazuUeda, Koichi Aiura, Hiroya Takeuchi, Koichi Suda, Takashi Ando, Tomoyuki Irino, Takahisa Yoshikawa, Masaki Kitajima, Yuko Kitagawa. 図書 ( 計 0 件 ) 産業財産権 出願状況 ( 計 0 件 ) 取得状況 ( 計 0 件 ) 6. 研究組織 (1) 研究代表者平岩訓彦 (HIRAIWAKUNIHIKO) 慶應義塾大学 医学部 助教研究者番号 :10338048 (2) 研究分担者なし (3) 連携研究者なし