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新JICAにおける事前評価(技協・無償)について

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事業事前評価表 国際協力機構社会基盤 平和構築部 運輸交通 情報通信グループ第二チーム 1. 案件名国名 : バングラデシュ人民共和国案件名 : 和名国際空港保安能力強化プロジェクト英名 The Project for Security Improvement of International Ai

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0528事業事前評価表(円借款+附帯技プロ)final.doc

架鉄道三路線 ( うち 二路線は軽量 ) の総延長は 50km にとどまっている 首都圏南方については マニラ市ツツバンからカブヤオ市ママティッドまでの区間を頻度の低い通勤線が非電化路線として運行しているのみである 首都圏北方は 居住エリアが拡大しているものの 十分な公共交通手段が確保されていないた

区間を頻度の低い通勤線が非電化路線として運行しているのみであり 十分な公共交通手段が確保されていないため 同エリアと周辺に住む住民はバスや自動車等により通勤しているが 道路の混雑により 通勤に大きな支障が出ている 加えて 南北鉄道事業南線 ( 通勤線 ) ( 以下 本事業 という ) の対象区間には

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新JICAにおける事前評価(技協・無償)について

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事業事前評価表 国際協力機構農村開発部農業 農村開発第一グループ第二チーム 1. 案件名国名 : インドネシア共和国案件名 : 和名農業保険実施能力向上プロジェクト英名 The Project of Capacity Development for the Implementation of Agr

は Blue Print for Air Transportation にて民間航空長期計画を作成 アクションプラン DGCA 5-Year Strategic Plan を作成した上 航空安全に係る総合的な対策の強化を図っており 本事業はこれに寄与するもので

事業事前評価表 国際協力機構社会基盤 平和構築部運輸交通 情報通信グループ 1. 案件名国名 : バングラデシュ国案件名 : 和名橋梁維持管理プロジェクト 有償勘定技術支援 英名 Bridge Management Capacity Development Project 2. 事業の背景と必要性

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ジャカルタ大都市圏空港整備計画調査の必要性については JICA が 2008 年 1 月に実施した 次世代航空保安システム整備に係るフィージビリティー調査 でも提言がなされており 既存空港の拡張及び効率的運用を含めたジャカルタ首都圏周辺の適切な空港整備に係る長期的な計画を策定する必要性は高い インド

欠であり 運輸交通分野を中心に膨大なインフラ投資が必要になると見込まれる これらのインフラ整備にあたっては 案件ごとにマスタープランから工事まで段階を踏んで検討 建設が進められるが 対象地の地形などを確認 把握するため 検討段階に応じた精度の地図が必要となる 現在 同国では基本的な測地基準点網が整備

事業事前評価表 国際協力機構産業開発 公共政策部法 司法チーム 1. 案件名国名 : ブラジル連邦共和国案件名 : ( 和文 ) 地域警察活動普及プロジェクト ( 英文 )Project on Nationwide Dissemination of Community Policing 2. 事業の

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事業事前評価表 1. 案件名 ( 国名 ) 国際協力機構南アジア部南アジア第四課 国名 : バングラデシュ人民共和国案件名 : 貧困削減戦略支援無償 ( 教育 ) (Poverty reduction efforts) 2. 事業の背景と必要性 (1) 当該国における初等教育セクターの現状と課題バン

無償資金協力 案件概要書 2017 年 8 月 29 日 1. 基本情報 (1) 国名 : カンボジア王国 (2) プロジェクトサイト / 対象地域名 : シハヌークビル特別市 プノンペン (3) 案件名 : 港湾近代化のための電子情報処理システム整備計画 (The Project for Port

プロジェクト ( 年 ) 独 (KfW): 西ナイル地区に特化した配電網の拡充 小水力の開発 ( 年 ) 3. 事業概要 (1) 事業の目的ウガンダにおける産業活性化が期待できる地方において 長距離配電線 (33kV 配電線 ) の資機材の調達 据付を行うことによ

JICA 事業評価ガイドライン ( 第 2 版 ) 独立行政法人国際協力機構 評価部 2014 年 5 月 1

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ており 公共交通機関の拡充等のインフラ整備を通じて大都市圏を中心とした混雑緩和 物流改善が必要であるとしている 本事業はこれら方針及び分析に合致する なお 我が国はこれまで対フィリピン円借款による旅客輸送 システム整備として LRT1 号線増強事業 (I) (II) (L/A 調印 :1994 年

新JICAにおける事前評価(技協・無償)について

事業事前評価表

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研究は重要項目とされている 本事業は CERMEL と長崎大学の共同研究を通じて 1 対象地域におけるウイルス感染症の流行状況の解明 2 新規に同定されたウイルスの性状解析 3 公衆衛生対策上優先度の高いウイルスに対する診断法の開発を行い ガボン側研究機関のウイルス感染症研究開発の能力向上に貢献する

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事業事前評価表 1. 案件名国名 : ラオス人民民主共和国案件名 : ルアンパバーン世界遺産の持続可能な管理保全能力向上プロジェクト Project for Capacity Enhancement for Sustainable World Heritage Management and Pres

と衝突して沈没し 147 人が死亡 2014 年 8 月にはパドマ川で約 250 人を乗せたフェリーが荒天のため転覆し 110 人が死亡等の大事故が発生している また 同国は 雨季には大型サイクロンが度々ベンガル湾から来襲し 沿岸部で遭難事故が多発するなど 地理的に自然災害の影響を受けやすい地域であ

事業事前評価表 国際協力機構地球環境部環境管理第一チーム 1. 案件名 国名 : パキスタン国案件名 : 和名パンジャブ州上下水道管理能力強化プロジェクト英名 Project for Improving the Capacity of WASAs in Punjab Province 2. 事業の背

(CANACINTRA) 等と連携を図りつつ設置する案を有しており 国家中小企業コンサルタント養成 認定制度を具現化するためにいかにして事業を進めていくかが課題となっている (2) 相手国政府国家政策上の位置づけカルデロン大統領は 近代的かつ競争力のある経済の強化及び雇用の創出 を 治安 貧困撲滅

Microsoft Word - 事前評価表最終版0623final.doc

護ディプロマ課程を 3 年制看護ディプロマ課程に変更したのに加え ディプロマ課程看護師の現任研修により学士が取得できる 2 年制ポスト ベーシック課程とは別に大学教育として看護学士課程制度 (4 年制 ) を導入することを定めた 学術的に高度な 4 年制看護学士課程の卒業生は輩出されたばかりであるが

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事業事前評価表

2008年6月XX日

事業事前評価表

国 アメリカ ロシアに次いで世界第 4 位の電力消費国となっている (2014 年 ) 国内の電力供給に関しては 1,114,408GWh の需要に対して供給量は 1,090,851GWh と 2.1% の不足 供給能力もピーク時 153,366MW の需要に対して 148,463MW と 3.2%

ログラムの審査に産業界からも参画を得ることで 大学がエンジニア予備軍である学部学生に対し社会のニーズに即した教育を実践できるよう 促進する役割を果たしている かかる状況の下 エンジニアの量的拡大が質を伴う形で実現されるよう インドネシア政府は我が国に対し LAM-PS としての インドネシアエンジニ

事業事前評価表 ( 地球規模課題対応国際科学技術協力 SATREPS) 国際協力機構農村開発部農業 農村開発第一グループ第二チーム 1. 案件名国名 : インドネシア共和国案件名 : 和名 ( 科学技術 ) 食料安全保障を目指した気候変動対応策としての農業保険における損害評価手法の構築と社会実装英名

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News Release 2015 年 12 月 16 日 関西国際空港 大阪国際空港 2015 年 ( 平成 27 年 )11 月運営概況 ( 速報値 ) 関西国際空港発着回数 総発着回数 国際線発着回数 11 月として過去最高を記録 1~11 月の総発着回数累計 国際線発着回数累計は暦年過去最高

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事業事前評価表 国際協力機構産業開発 公共政策部資源 エネルギーグループ第二チーム 1. 案件名国名 : ザンビア共和国案件名 : 和名ザンビアにおける鉛汚染のメカニズムの解明と健康 経済リスク評価手法および予防 修復技術の開発英名 The Project for Visualization of

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事業事前評価表

事業事前評価表

令 (2006 年 5 号 ) では 2025 年までの国家エネルギー政策の数値目標を設定し エネルギー供給量に対する新 再生可能エネルギーの目標値を 17%( うち地熱エネルギーは 5 %) に定めた また 2010 年の Vision 25/25 において 新 再生可能エネルギーの目標値を 25

244650/07 酒井正子

事業事前評価表


企画書タイトル - 企画書サブタイトル -

Microsoft Word - MMR事業事前評価表.doc

Microsoft PowerPoint - 06資料06_JIC資料_0419版 [互換モード]

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(2) 当該国における地震防災分野の開発政策と本事業の位置づけネパール政府は 2009 年に災害リスク国家管理戦略を制定し 対象災害の一つとして地震を上げている 地震防災分野は 2009 年に設置された National Platform for Disaster Risk Reduction にお

報告事項 5 第 3 委員会報告資料 国による福岡空港におけるヘリ機能の移設及び 混雑空港 指定について 平成 27 年 9 月経済観光文化局

手法 という ) を検討するものとする この場合において 唯一の手法を選択することが困難であるときは 複数の手法を選択できるものとする なお 本規程の対象とする PPP/PFI 手法は次に掲げるものとする イ民間事業者が公共施設等の運営等を担う手法ロ民間事業者が公共施設等の設計 建設又は製造及び運営

Microsoft Word - H290324優先的検討規程(裁定).docx

国立大学法人富山大学 PPP/PFI 手法導入優先的検討要項

4-(1)-ウ①

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RO ( 改修 Rehabilitate- 運営等 Operate) 方式ハ民間事業者が公共施設等の設計及び建 BT( 建設 Build- 移転 Transfer) 方式設又は製造を担う手法民間建設借上方式 2 優先的検討の対象とする事業及び検討開始時期一優先的検討の対象とする事業建築物の整備等に関

Microsoft Word - 1_優先交渉権者決定 記者発表資料(最終)

西アフリカ 3億人ビジネス市場マップ ―2035年5億人市場に向けて―

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( 仮称 ) 宇治川太閤堤跡歴史公園整備運営事業特定事業の選定 宇治市 ( 以下 市 という ) は 民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律 ( 平成 11 年法律第 117 号 以下 PFI 法 という ) 第 7 条の規定により ( 仮称 ) 宇治川太閤堤跡歴史公園整備運営事

援 GHGインベントリ策定にかかる技術移転等 気候変動対策を推し進めるための包括的な支援を実施した 同プロジェクトの成果として 国家気候変動緩和行動計画 (RAN-GRK) に基づき州気候変動緩和行動計画 (RAD-GRK) の策定が進められるとともに 国家気候変動適応行動計画 (RAN-API)

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事業事前評価表 ( 地球規模課題対応国際科学技術協力 (SATREPS)) 農村開発部農業 農村開発部第二グループ 1. 案件名国名 : スーダン共和国案件名 : 和名ストライガ防除による食料安全保障と貧困克服英名 The project for development of counter mea

事業事前評価表

土地利用計画 土地利用計画面積表 土地利用の区分区分面積 ( m2 ) 比率 (%) 備考 発電施設用地パネル 19, パワーコンディショナー 緑地 5, 計画地面積 24, 太陽光パネル配置図 発電施設計画 発電施設の概要 発電設備規格

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また 関係省庁等においては 今般の措置も踏まえ 本スキームを前提とした以下のような制度を構築する予定である - 政府系金融機関による 災害対応型劣後ローン の供給 ( 三次補正 ) 政府系金融機関が 旧債務の負担等により新規融資を受けることが困難な被災中小企業に対して 資本性借入金 の条件に合致した

資料1:地球温暖化対策基本法案(環境大臣案の概要)

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事業事前評価表

豊橋市 PPP/PFI 手法導入優先的検討方針 効率的かつ効果的な公共施設等の整備等を進めることを目的として 多様なPPP/P FI 手法導入を優先的に検討するための指針 ( 平成 27 年 12 月 15 日民間資金等活用事業推進会議決定 ) に基づき 公共施設等の整備等に多様なPPP/PFI 手

Transcription:

円借款用 事業事前評価表 1. 案件名国名 : エジプト アラブ共和国案件名 : ボルグ エル アラブ国際空港拡張事業 L/A 調印日 :2016 年 3 月 1 日承諾金額 :18,200 百万円借入人 : エジプト アラブ共和国政府 (Government of the Arab Republic of Egypt) 2. 事業の背景と必要性 (1) 当該国における航空セクターの開発実績 ( 現状 ) と課題エジプトは 中東とアフリカの接点として域内の航空セクターにおいて重要な役割を果たしている エジプトにおける外貨の主要獲得源 ( 観光 石油 天然ガス輸出 スエズ運河収入及び海外労働者の送金 ) のうち 観光客と海外労働者は空路による移動が主であり 航空セクターは同国の経済開発上 重要な位置を占める エジプトの航空セクターにおける総旅客数は 2002 年から 2013 年までの約 10 年間で約 1,800 万人から約 3,100 万人へ約 72% 増加した 2014 年 6 月には選挙により選出された新大統領が就任し 今後政治及び治安の安定化が期待されることから 観光業の回復等により航空需要の伸びが見込まれる状況において 航空セクターにおけるインフラの新規開発及び拡充による旅客対応能力の向上が喫緊の課題となっている (2) 当該国における航空セクターの開発政策と本事業の位置づけエジプトの第 6 次 5 か年計画 (2007~2012 年 ) における航空セクター開発計画では カイロをはじめ ボルグ エル アラブ 紅海沿岸のハルガダ及びシナイ半島のシャルム エル シェイク各空港のターミナル整備が目標に掲げられている エジプト第 2 の都市アレキサンドリア市近郊のボルグ エル アラブ国際空港は ナイルデルタ地域の航空輸送の玄関口である 同市内にはノズハ国際空港があるが 立地上 構造上の問題から商業便の運航が出来ない等の制約があり 同空港は今後も小規模のチャーター便のみに限定使用されるため ボルグ エル アラブ国際空港の重要性は一層高まっている ボルグ エル アラブ国際空港の旅客数は 利用者の約 8 割が海外への出稼ぎを中心とするエジプト人であり 2011 年の政変後他の空港の旅客数が減少する中 先行事業 ボルグ エル アラブ空港近代化事業 (2005 年 L/A 調印 ) により新たなターミナルやエプロンが整備され 旅客対応能力が向上した結果 先行事業の供用開始年である 2010 年の約 70 万人から 2012 年には約 200 万人に急増し エジプト国内で第 4 位の旅客数を誇るに至っている 2012 年の需要予測によると 先行事業では想定していなかった湾岸諸国の労働力需要の高まりや格安航空会社の参入もあり 旅客数は 2015 年に 250 万人 2020 年には 360 万人にまで増加することが見込まれる (JICA ボルグエルアラブ空港近代化事業案件実施支援調査(SAPI) ( 2012 年 )) 先行事業開始当初の予測 (2014 年旅客数約 100 万人 ) に基づき建設された旅客ターミナルのみでは 今後需要超過によるサービスレベルの低下や運用の制約が生じることが予想され 同空港の旅客対応能力の増強は喫緊の課題である また 現在は旅客機

がターミナルから誘導路にアプローチする際 使用中の滑走路を横切る必要があり 今後の航空機発着回数の増加による事故のリスクの増加等 安全上の課題となっている 同空港の拡張 整備により旅客対応能力の向上を目指す本事業は 同課題の解決に資するものである (3) 航空セクターに対する我が国及び JICA の援助方針と実績我が国の対エジプト援助重点分野 持続的経済成長と雇用創出の実現 の中の開発課題 投資 ビジネス環境改善 の下 JICA は 運輸交通効率化プログラム に基づき これまで円借款 無償資金協力 技術協力を活用したスエズ運河開発 円借款による カイロ地下鉄 4 号線第一期事業 等により 安定的 効率的な運輸交通体系を構築するための支援を行っている 航空セクターにおいては ボルグ エル アラブ空港近代化事業 (2005 年 L/A 調印 ) により ナイルデルタの玄関口となる同空港の整備を行った 本事業は 同空港の拡張 整備により安定的 効率的な運輸交通体系を構築するための支援であり 我が国及び JICA の協力方針に合致する (4) 他の援助機関の対応エジプトの航空セクターにおいては 世銀がカイロ国際空港の改修 クウェート開発銀行が紅海沿岸のハルガダ国際空港の拡張に対し支援を行っている また イスラム開発銀行及びアフリカ開発銀行がシナイ半島のシャルム エル シェイク国際空港の拡張への支援を行っている (5) 事業の必要性本事業は エジプトの航空セクターを強化することにより同国の経済開発に資するものである 上記の通り 本事業は同国の開発政策及び開発課題 我が国及び JICA の援助重点分野とも整合しており 本邦技術活用条件 (STEP) 案件として本邦技術の活用も見込まれることから JICA が本事業の実施を支援する必要性及び妥当性は高い 3. 事業概要 (1) 事業の目的 エジプト第 2 の都市アレキサンドリア市近郊のボルグ エル アラブ国際空港の旅 客ターミナル及び周辺施設を拡張 整備することにより 同空港の旅客対応能力を強 化し 急増する航空需要への適切な対応を図り もってナイルデルタ地域の航空輸送 に係る利便性 安全性の向上に寄与するもの (2) プロジェクトサイト / 対象地域名 アレキサンドリア県ボルグ エル アラブ市 (3) 事業概要 1) ターミナル (1 階建て 約 36,000 m2 ) エプロン 関連設備 ( アクセス道路 駐車場 供給処理施設等 ) の建設 2) 誘導路 商業施設の建設 3) コンサルティング サービス ( 詳細設計レビュー 入札補助 施工監理 空港 運営管理に係る技術支援 ) (4) 総事業費 26,422 百万円 ( うち 円借款対象額 :18,200 百万円 )

(5) 事業実施スケジュール 2016 年 3 月 ~2021 年 5 月を予定 ( 計 63 ヶ月 ) 施設供用開始時 (2020 年 3 月 ) をも って事業完成とする (6) 事業実施体制 1) 借入人 : エジプト アラブ共和国政府 (The Government of the Arab Republic of Egypt) 2) 保証人 : なし 3) 事業実施機関 : エジプト空港会社 (Egyptian Airports Company) 4) 操業 運営 / 維持 管理体制 : エジプト空港会社 (Egyptian Airports Company) (7) 環境社会配慮 貧困削減 社会開発 1) 環境社会配慮 1 カテゴリ分類 :B 2 カテゴリ分類の根拠 : 本事業は 国際協力機構環境社会配慮ガイドライン (2010 年 4 月公布 ) に掲げる影響を及ぼしやすいセクター 特性および影響 を受けやすい地域に該当せず 環境への望ましくない影響は重大でないと判断 されるため 3 環境許認可 : 本事業に係る EIA は 2015 年 1 月にエジプト環境庁により承認 済 4 汚染対策 : 工事中は大気質 水質 騒音 振動 廃棄物等について 同国国内 の排出基準及び環境基準を満たすよう排水や燃料の漏洩防止や機材の防音装 置の使用等の対策が取られ 供用後の水質 騒音 振動 廃棄物等については 発着回数の調整や廃棄物の適切な分別や処理等の対策が取られる予定である 5 自然環境面 : 事業対象地域は国立公園等の影響を受けやすい地域またはその周 辺に該当せず 自然環境への望ましくない影響は最小限であると想定される 6 社会環境面 : 本事業は 既存の空港敷地内で実施されるため 用地取得及び住 民移転を伴わない 7 その他 モニタリング : 工事中は 実施機関および施工業者が 騒音 振動 水質 廃棄物等についてモニタリングする 供用時は 実施機関等が騒音 振 動 水質 廃棄物等についてモニタリングする 2) 貧困削減促進 : 特になし 3) 社会開発促進 ( ジェンダーの視点 エイズ等感染症対策 参加型開発 障害者 配慮等 ): 設計 施工段階でジェンダーに配慮した活動を行う 具体的な活動内 容については詳細設計レビュー時に検討する (8) 他ドナー等との連携 特になし (9) その他特記事項 1) 本邦技術の活用本事業は 環境負荷を低減する空港の整備を図るもので STEP 案件として以下の本邦技術の活用が見込まれる 省エネ技術を活用する空調システム 太陽光発電 LED 照明 トイレや壁面ガラスへの光触媒技術 ( 有機物 ( 汚れ ) の分解促進により清掃回数を削減する技術 )

の適用等の日本に優位性のある環境に優しい技術 2) 運営 維持管理能力向上を目的とした技術協力との連携本事業は 空港の建設 運営 維持管理計画策定 等過去の課題別研修に参加した実施機関職員を活用しつつ実施するものであり 今後とも同研修の活用を図る 3) 同地域における象徴的な技術協力案件の側面支援 本事業により ボルグ エル アラブ市と近隣諸国のみならず 同市と我が国 を間接的につなぐ国際交通網が整備されることで 同市内にあり技術協力を実 施中であるエジプト日本科学技術大学 (E-JUST) の円滑な運営 さらには国際 的な地位の向上に向けた側面支援となる 4. 事業効果 (1) 定量的効果 1) 運用 効果指標 指標名 基準値 (2013 年実績値 *) 航空旅客取扱数 ( 千人 / 年 ) 2,261 目標値 (2022 年 ) 事業完成 2 年後 3,822 (3,091) 34,864 航空機発着回数 ( 回 / 年 ) 25,986 (26,785) ( 注 ) 目標値の ( ) 内は 本事業対象となる新ターミナルで取り扱われる需要見 込みを示す * 出所 : エジプト民間航空省 Implementation Program for Borg El Arab International Airport Extension Project (2014 年 ) 2) 内部収益率 以下の前提に基づき 本事業の経済的内部収益率 (EIRR) は 17.90% 財務的内部 収益率 (FIRR) は 13.75% となる EIRR 費用 : 事業費 ( 税金を除く ) 運営 維持管理費便益 : エジプト人の旅行機会の拡充 観光収入 着陸料 駐機料 空港利用料等の増収分プロジェクトライフ :30 年 FIRR 費用 : 事業費 ( 税金を除く ) 運営 維持管理費 便益 : 着陸料 駐機料 空港利用料等の増収分 プロジェクトライフ :30 年 (2) 定性的効果旅客対応能力の向上による利便性 安全性の向上 観光客 海外労働者等の航空需要増加への対応による経済成長の促進

5. 外部条件 リスクコントロール 実施機関による誘導路の遅滞のない建設 6. 過去の類似案件の評価結果と本事業への教訓タイ バンコク国際空港拡張事業 の事後評価等において 既存空港を運用しながらの拡張事業では 航空機の安全運航の確保や利用客の利便性の確保に特に留意する必要があるとの教訓が得られている 本事業においても 既存の旅客ターミナルを運用しながら工事を行うこととなるため 上記教訓を踏まえ 詳細設計レビューの段階から既存施設の運営との調整に留意するとともに 施工監理コンサルタントの業務内容として 空港運営管理の技術支援を盛り込むこととする 7. 今後の評価計画 (1) 今後の評価に用いる指標国際線 国内線旅客者数 ( 千人 / 年 ) 国際線 国内線発着回数 ( 回 / 年 ) (2) 今後の評価のタイミング事業完成 2 年後 以上