自由民主党 IT 戦略特命委員会 IoT の世界における センシングデータ流通市場の重要性 2016 年 3 月 24 日オムロン株式会社 CTO 兼技術 知財本部長宮田喜一郎
はじめに 現在 政府が推進する IoT 推進ラボ 先進的 IoT プロジェクトにて 公募テーマ センシングデータ流通市場実現のためのアーキテクチャ の技術的 法的検証 に参画 本日は 来たる IoT 時代において アプリケーション / サービス産業の 創出と地方活性化の打ち手となり得る センシングデータ流通市場 について そのコンセプトと概要をご紹介差し上げます 1
内 容 項 目 頁 オムロンのご紹介 4 IoT に対する欧米企業と日本の取り組み 6~9 ご提案 : センシングデータ流通市場の創設 11~18 2
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オムロンのご紹介 制御機器 FA システム 健康医療機器 サービス 車載電装部品 事業領域 コントローラ等 社会システム 血圧計 体重体組成計等 電子部品 キーレスエントリー等 環境関連機器 料金計算システム等 画像認識システム等 太陽光発電用パワコン等 商品 商品 商品 アプリケーション ( 顧客課題を解決するソリューション パッケージ ) 開発 強み データ ニーズ ニーズ センサセンサセンサ 技術 センシング ビジネス 顧客密着での現場ニーズの把握 4
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欧米企業は 自社ビジネスを起点に巨大 P/F * を構築中 米国 General Electric(GE) の取り組み事例 自社事業領域 他社事業領域 顧客に提供するサービス 航空機エンジン遠隔保守 風力発電システム最適化 鉄道運行システム最適化 データ P/F センサ管理 データ解析 モデリング等 他社へ提供 データ サービスデータサービスデータサービス 顧客が使用する機器 デバイス * P/F = プラットフォームの略出所 : GE 社ホームページ TechCrunch 6
狙いは P/F * 支配によるデータビジネスの拡大 自社事業領域 他社事業領域 サービス データ P/F パートナー X 業界 Y 業界 サービサー ノウハウ パートナー サービサー ノウハウ GE の P/F * を使いながら パートナー企業とともにデータ活用のノウハウを獲得 ノウハウを他サービサーに展開し P/F * の使用料から収益を得るモデル データ サービス 機器 デバイス = いかに多くのサービサーがP/F * を利用するか のビジネス * P/F = プラットフォームの略 7
日本も 第五期科学技術基本計画で P/F * 構築に着手 複合システムの連携により 産業創出と地方活性化を狙う * P/F = プラットフォームの略出所 : 第 5 期科学技術基本計画 8
システム間連携の肝は 個別 P/F * に閉じたデータの流通 インフラ維持管理 IoT サービスプラットフォームで想定する 11 分野 スマートフードチェーン地域包括ケア スマート生産 A 社 B 社 C 社 H 社 I 社 J 社 P 社 Q 社 R 社 X 社 Y 社 Z 社 橋梁メンテアプリ 精密農業アプリ デジタルヘルスアプリ 予兆管理アプリ サービス P/F サービス P/F サービス P/F サービス P/F 必要なユーザーが 必要な時に必要なセンシングデータを引き出せる仕組みが必要 データ データデータデータデータデータデータデータデータデータデータデータ センサセンサセンサセンサセンサセンサセンサセンサセンサ センサセンサセンサ * P/F = プラットフォームの略 9
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センシングデータ流通市場 (SDTM * ) とは データを必要としているユーザーと データを提供しても良いデータ保有者をマッチングし 必要時に必要なセンシングデータのやり取りを可能にする取引市場 データの提供元 センシングデータ流通市場 データの利用先 サーバー センシングデータ マッチング オーダー サーバー センサ センサ * Sensing Data Trading Market の略称 11
センシングデータの取引実行を制御する Senseek Senseek ( 特許第 5445722 号 ) の概要 容量の小さな属性データのマッチングに基づいて データの提供元から利用先へセンシングデータを適切に流通制御する センシングデータの流通のためには データの提供元と利用先の双方のメタ ( 属性 ) データのマッチングによって センシングデータを適切な提供元から適切な利用先へ流通させるためのデータフロー制御が必要 Senseek は 膨大なセンシングデータの中から必要とされるデータを最適に流通させ データ提供者と約束した以外の処理ができない取引などをコントロールするマネージャーとして機能 データの提供元 センシングデータ流通市場 データの利用先 サーバー 1 属性データ 2 マッチング 属性データ 1 サーバー 3 データフロー制御指令 センサ センサ 生データ 4 12
流通市場の創設により 実現できるようになること 例 : 見守り 現状と課題各社個別のサービス提供 見守りポット 見守りエアコン 見守りトイレ 見守りベッド 実現できるようになること屋内屋外 見守り アプリ( 介護事業者等 ) おもてなしエネルギー地域包括ケア強靭な社会 ポットエアコントイレベッド監視カメラ あくまで 点 の見守り 点から外れた瞬間に見失う いかに行動動線をカバーするか? データデータデータデータデータデータデータ センシングデータ流通市場 13
市場創設により 新産業創出の活性化も期待できる P/F センサともに持つ企業 A 社 センサのみ持つ企業 H 社 アプリ開発のみ手がける企業 X 社 アプリ アプリ データ P/F 機器 センサ 機器 センサ センシングデータ流通市場 14
今はまだ黎明期 : 国をあげた取組みが産業振興に繋がる 黎明期成長期普及期 WWW による情報の流通 パケット交換理論の発明 ARPANET の発達 インターネットの登場 WWW を介した各種サービス産業の発展 現在 SDTM * によるセンシングデータの流通 Senseek の発明 SDTM * の発達 SDTM を介した各種サービス産業の発展 国をあげて いかに産業を創出していくか * Sensing Data Trading Market( センシングデータ流通市場 ) の略称 15
世界に先駆けて 日本が市場創設を主導する意義 センシングデータの取引を可能にする グローバル スタンダードの掌握 データをやり取りするインターフェース (API) データフォーマット等 アプリケーション / サービス産業の活性化 センサを持たない企業等への事業機会の提供 ひいては 地方再生 雇用創出へつながる 日本が強い センサ産業のさらなる飛躍 16
ただし 市場の創設には 大きく 3 つの課題 1 センシングデータ流通市場の運営体制をどう組織するか 2 流通市場が機能するかどうかの技術的 法的実証をどう進めるか 3 流通市場を成立させるためのパテントプールをどう組むか 17
まとめ 世界で競争が熾烈化しつつある IoT は 日本にとって大きなチャンス 取り扱うセンシングデータの源となる センサの強みが活かせる産業 そのサービスプラットフォームで 新たな価値を創出するうえでは センシングデータ流通市場が極めて重要な機能を担う 分野横断的なデータ流通のしくみを提供することで 分野を越えたあらたなサービスの創出が可能になる 新しいサービス産業が活性化すれば 規模の大小を問わず 国内企業に恩恵を与える 結果 地方再生 雇用創出にもつながるはず 18