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資料 2 接続可能量 (2017 年度算定値 ) の算定について 平成 29 年 9 月資源エネルギー庁

緒論 : 電気事業者による地球温暖化対策への考え方 産業界における地球温暖化対策については 事業実態を把握している事業者自身が 技術動向その他の経営判断の要素を総合的に勘案して 費用対効果の高い対策を自ら立案 実施する自主的取り組みが最も有効であると考えており 電気事業者としても 平成 28 年 2

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H28秋_24地方税財源

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平成 21 年度資源エネルギー関連概算要求について 21 年度概算要求の考え方 1. 資源 エネルギー政策の重要性の加速度的高まり 2. 歳出 歳入一体改革の推進 予算の効率化と重点化の徹底 エネルギー安全保障の強化 資源の安定供給確保 低炭素社会の実現 Cool Earth -1-

企業経営動向調査0908

( 太陽光 風力については 1/2~5/6 の間で設定 中小水力 地熱 バイオマスについては 1/3~2/3 の間で設定 )) 7 適用又は延長期間 2 年間 ( 平成 31 年度末まで ) 8 必要性等 1 政策目的及びその根拠 租税特別措置等により実現しようとする政策目的 長期エネルギー需給見通

新とする理由⑴ 政策目的 車体課税については 平成 23 年度税制改正大綱において エコカー減税の期限到来時までに 地球温暖化対策の観点や国及び地方の財政の状況を踏まえつつ 当分の間として適用される税率の取扱いを含め 簡素化 グリーン化 負担の軽減等を行う方向で抜本的な見直しを検討 することとされて

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RIETI Highlight Vol.66

2019 年 3 月期決算説明会 2019 年 3 月期連結業績概要 2019 年 5 月 13 日 太陽誘電株式会社経営企画本部長増山津二 TAIYO YUDEN 2017

宮下第三章

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タイトル


各資産のリスク 相関の検証 分析に使用した期間 現行のポートフォリオ策定時 :1973 年 ~2003 年 (31 年間 ) 今回 :1973 年 ~2006 年 (34 年間 ) 使用データ 短期資産 : コールレート ( 有担保翌日 ) 年次リターン 国内債券 : NOMURA-BPI 総合指数

部分供給については 例えば 以下の3パターンが考えられる ( 別紙 1 参照 ) パターン1: 区域において一般電気事業者であった小売電気事業者 ( 又は他の小売電気事業者 ) が一定量のベース供給を行い 他の小売電気事業者 ( 又は区域において一般電気事業者であった小売電気事業者 ) がを行う供給

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れなくなる 特に 小規模の新規参入事業者にとって このリスクに対応するシステムが設けられていなければならない すなわち 万が一 小売販売事業者が倒産した場合には 送電を担う旧電力会社の責任で電力供給が保証されることになっており そのためには 在来の地域独占の旧電力会社が その発電量を補償する仕組みに

新電力のシェアの推移 全販売電力量に占める新電力のシェアは 216 年 4 月の全面自由化直後は約 5% だったが 217 年 5 月に 1% を超え 218 年 1 月時点では約 12% となっている 電圧別では 特別高圧 高圧分野 ( 大口需要家向け ) は時期により変動しつつも 全体的には上昇

3 流動比率 (%) 流動資産流動負債 短期的な債務に対する支払能力を表す指標である 平成 26 年度からは 会計制度の見直しに伴い 流動負債に 1 年以内に償還される企業債や賞与引当金等が計上されることとなったため それ以前と比べ 比率は下がっている 分析にあたっての一般的な考え方 当該指標は 1

公益法人の寄附金税制について

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中国国内需給動向と中露石油ガス貿易


第1章

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エネルギー規制 制度改革アクションプラン (11 月 1 日 ) の概要 重点課題と詳細リスト 現時点で政府が取り組むこととしている又は検討中の事項を 実施 検討事項詳細リスト (77 項目 ) として取りまとめ その中から 3つの柱で計 26 項目の重点課題を特定 1 電力システムの改革 (9 項

電気料金新旧単価一覧表 ( 平成 25 年 9 月 1 日実施 ) 平素は 弊社事業に対し格別のご高配を賜り 厚く御礼申し上げます また 日頃から節電にご協力いただいておりますことについて 重ねて御礼申し上げます さて 弊社は東日本大震災や新潟 福島豪雨による甚大な設備被害 原子力発電の停止による火

1. 太陽光発電のコストパフォーマンス 奈良林氏 太陽光について, 実は実力的には原発の 1/10 しか電気が出ていない. しかも, コストは 10 倍高い. ですから,100 倍コストパフォーマンスが悪いです 原発の 1/10 しか電気が出ていない 意味不明? コストパフォーマンスは,1kWh あ

また 関係省庁等においては 今般の措置も踏まえ 本スキームを前提とした以下のような制度を構築する予定である - 政府系金融機関による 災害対応型劣後ローン の供給 ( 三次補正 ) 政府系金融機関が 旧債務の負担等により新規融資を受けることが困難な被災中小企業に対して 資本性借入金 の条件に合致した

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社会保障給付の規模 伸びと経済との関係 (2) 年金 平成 16 年年金制度改革において 少子化 高齢化の進展や平均寿命の伸び等に応じて給付水準を調整する マクロ経済スライド の導入により年金給付額の伸びはの伸びとほぼ同程度に収まる ( ) マクロ経済スライド の導入により年金給付額の伸びは 1.6

検査の背景 (1) 事業者免税点制度消費一般に幅広く負担を求めるという消費税の課税の趣旨等の観点からは 消費税の納税義務を免除される事業者 ( 以下 免税事業者 という ) は極力設けないことが望ましいとされている 一方 小規模事業者の事務処理能力等を勘案し 課税期間に係る基準期間 ( 個人事業者で

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JICA 事業評価ガイドライン ( 第 2 版 ) 独立行政法人国際協力機構 評価部 2014 年 5 月 1

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2009年3月期 第2四半期決算説明会

MARKALモデルによる2050年の水素エネルギーの導入量の推計

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揮発油税等の当分の間税率とその環境効果 揮発油税の概要 揮発油税及び地方揮発油税の税率は 昭和 49 年度税制改正において税率引上げが行われた際に 暫定的な措置として 租税特別措置法により税率の特例措置が講じられて以来 平成 20 年度改正において平成 30 年 3 月末までの 10 年間の措置とし

1 検査の背景 (1) 租税特別措置の趣旨及び租税特別措置を取り巻く状況租税特別措置 ( 以下 特別措置 という ) は 租税特別措置法 ( 昭和 32 年法律第 26 号 ) に基づき 特定の個人や企業の税負担を軽減することなどにより 国による特定の政策目的を実現するための特別な政策手段であるとさ

スイッチングの状況 (2017 年 3 月時点 ) 本年 3 月末時点での新電力への契約先の切替え ( スイッチング ) 件数は約 4.7%( 約 295 万件 ) 大手電力 ( 旧一般電気事業者 ) の自社内の契約の切替件数 ( 規制 自由 ) は約 4.1% ( 約 258 万件 ) であり 合

新設 拡充又は延長を必要とする理⑴ 政策目的沖縄県内の一般消費者の生活及び産業経済に及ぼす影響を考慮して税負担を軽減する 1 沖縄の一般消費者の酒税負担を軽減する 2 価格優位性を確保することによる沖縄の酒類製造業の自立的経営を促進する ⑵ 施策の必要性 1 沖縄の一般消費者の酒税負担を軽減する沖縄

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障財源化分とする経過措置を講ずる (4) その他所要の措置を講ずる 2 消費税率の引上げ時期の変更に伴う措置 ( 国税 ) (1) 消費税の軽減税率制度の導入時期を平成 31 年 10 月 1 日とする (2) 適格請求書等保存方式が導入されるまでの間の措置について 次の措置を講ずる 1 売上げを税

本要望に対応する縮減案 3 自動車の取得段階では消費税と自動車取得税が二重課税となっており 保有段階でも自動車重量税のほかに自動車税 ( 又は軽自動車税 ) の 2 つの税が課されており 自動車ユーザーに対して複雑かつ過大な負担を強いている 特に 移動手段を車に依存せざるをえず複数台を保有する場合が

資料2 紙類の判断の基準等の設定に係る検討経緯について

東洋インキグループの環境データ(2011〜2017年)

番号文書項目現行改定案 ( 仮 ) 1 モニタリン 別表 : 各種係 グ 算定規程 ( 排出削 数 ( 単位発熱量 排出係数 年度 排出係数 (kg-co2/kwh) 全電源 限界電源 平成 21 年度 年度 排出係数 (kg-co2/kwh) 全電源 限界電源 平成 21 年度 -

新又は延長を必要とする理由設 拡充⑴ 政策目的 1 社会保障 税一体改革大綱 ( 平成 24 年 2 月 17 日閣議決定 ) 等に基づき 自動車取得税及び自動車重量税について 廃止 抜本的な見直しを強く求める 等とした平成 24 年度税制改正における与党の重点要望に沿って 国 地方を通じた関連税制

2018年度第1四半期 決算説明資料

これは 平成 27 年 12 月現在の清掃一組の清掃工場等の施設配置図です 建替え中の杉並清掃工場を除く 20 工場でごみ焼却による熱エネルギーを利用した発電を行っています 施設全体の焼却能力の規模としては 1 日当たり 11,700 トンとなります また 全工場の発電能力規模の合計は約 28 万キ

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昨年の値上げは査定による圧縮で 家庭用は全社とも10% 以内であった 電力会社にコスト抑制努力を求めるのは当然であるが 原価の大半を占める燃料費の抑制のため 2017 年 4 月には米国産シェールガスの調達が拡大して現在の6 割程度のコストで調達可能になっているという 将来への期待値 を前提とした査

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薬事法等の一部改正に伴う特許法施行令改正に係る事前評価書


FIT/ 非 FIT 認定設備が併存する場合の逆潮流の扱いに関する検討状況 現在 一需要家内に FIT 認定設備と非 FIT 認定設備が併存する場合には FIT 制度に基づく買取量 ( 逆潮流量 ) を正確に計量するため 非 FIT 認定設備からの逆潮流は禁止されている (FIT 法施行規則第 5

1. はじめに 1 需要曲線の考え方については 第 8 回検討会 (2/1) 第 9 回検討会 (3/5) において 事務局案を提示してご議論いただいている 本日は これまでの議論を踏まえて 需要曲線の設計に必要となる考え方について整理を行う 具体的には 需要曲線の設計にあたり 目標調達量 目標調達

既設風力発電事業の採算性(事業者)

第 70 回経営 経済動向調査 公益社団法人関西経済連合会 大阪商工会議所 < 目次 > 1. 国内景気 2 2. 自社業況総合判断 3 3. 自社業況個別判断 4 4. 現在の製 商品およびサービスの販売価格について 8 参考 (BSI 値の推移 ) 11 参考 ( 国内景気判断と自社業況判断の推

今回の調査の背景と狙いについて当社では国のエネルギー基本計画の中で ZEH 普及に関する方針が明記された 200 年より 実 邸のエネルギー収支を調査し 結果から見えてくる課題を解決することが ZEH の拡大につなが ると考え PV 搭載住宅のエネルギー収支実邸調査 を実施してきました 205 年

電機・電子業界「低炭素社会実行計画」の推進について

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平成22年3月期 決算概要

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参考資料2 プラスチック製品の生産・廃棄・再資源化・処理処分の状況 2016年

次世代エネルギーシステムの提言 2011 年 9 月 16 日 株式会社日本総合研究所 創発戦略センター Copyright (C) 2011 The Japan Research Institute, Limited. All Rights Reserved.[tv1.0]

. 石垣島における電力系統の概要 Copyright The Okinawa Electric Power Company, Incorporated. All Rights Reserved.

御意見の内容 御意見に対する電力 ガス取引監視等委員会事務局の考え方ることは可能です このような訴求は 小売電気事業者が行うことを想定したものですが 消費者においても そのような訴求を行っている小売電気事業者から電気の小売供給を受け 自らが実質的に再生可能エネルギーに由来する電気を消費していることを

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再生可能エネルギー全量買取法案に対する鉄鋼業界の考え方 平成 23 年 7 月 一般社団法人日本鉄鋼連盟

1. 鉄鋼業界の震災前までの主張について 基本的には再生可能エネルギーの積極的な導入は 将来的に見て我が国の低炭素社会づくりの推進にとって大変重要と認識 しかし 今般国会に上程された再生可能エネルギー全量買取法案については 特に電炉業の負担がきわめて厳しいものであることから 鉄連としては こうした電炉業に対する直接的且つ具体的な負担軽減措置が必要であると従来から訴えてきた 震災前までの説明内容 ( 要約 ) (1) 電炉業は 夜間に大きく傾斜操業 ( 夜間電力比率 77%) することで 電力コスト削減に注力 昼間の化石燃料消費低減や昼夜間の電力負荷平準化により CO2 削減やエネルギーセキュリティーに大きく貢献 (2) 電炉業は売上高に占める電力使用量割合が製造業平均の約 10 倍と圧倒的に大きく 政府法案によるサーチャージ負担額 (88 億円 ) は 経常利益 (934 億円 ) の 9.4% を占める ( 製造業平均 0.9%) (3) 鉄鋼業は 公平な負担方式 として 1 原価主義に即した昼夜間別サーチャージ制 ( 政府案の太宗を占める太陽光発電は夜間電力とは無関係 ) 2 現在の昼夜間電力料金体系に中立な定率賦課 (ex 消費税タイプ ) を提案 (4) 一方 ドイツの再生可能エネルギー法は 国際競争力の維持を目的として 電力多消費企業に対し 最大 サーチャージ額の 97.6% の軽減措置を実施 (5) 鉄連は 具体的には 電炉業に対し 電力使用原単位 (MWh/ 売上百万円 ) が一定比率 (ex 全国製造業平均の 2 倍 ) を越えた部分のサーチャージを免除 と提案 また 免除額相当部分は 全量買取制度導入に伴い 地域間調整の為に設置される清算機関に 直接公費を投入する等が考えられる 1

2. 震災後のエネルギー供給構造の変化について 今般の東日本大震災を契機として 原子力発電をはじめとした将来のエネルギー供給構造は大きく変わる可能性があり 菅総理が発言されている通り エネルギー基本計画を白紙から見直す必要がある また これに伴い 地球温暖化対策に関しても 中期削減目標 (25% 削減 ) をはじめ 地球温暖化対策基本法の抜本的な見直しが必要な状況にある こうした見直しの結果 全量買取制度の議論の前提となっていた現行の電力料金や想定したサーチャージの水準が足元から大きく上昇する可能性があるが この点は もはや電炉業のみでなく 我が国の産業全体ひいては国民全体にかかわる問題 全原発を稼働停止して 火力発電で代替した場合のコストの試算例 : ( 日本エネルギー経済研究所 2011.6.13) コストアップ :3.5 兆円 単純に電力料金に上乗せされれば 3.7 円 /kwh の上昇 電力料金が 3.7 円 /kwh 上昇した場合 製造業全体で 約 8,600 億円の負担増 経常利益の約 6% を喪失法人税額 (2009 年度 ) の約 36% に相当 国税庁会社標本調査 2009 年度の製造業全体の法人税額は約 2.4 兆円 電炉業では 経常利益の約 65% を喪失 ( 鉄連試算 ) 経常利益へのインパクト試算 鉄鋼 製造業計 (A) 製造業の経常利益 (B) ( 億円 ) 経常利益へのインハ クト (A/B) 電力需要実績 ( 億 kwh) 362 2,317 141,067 6.1% 電気料金上昇による負担額 3.7 円 /kwh 1,339 8,571 (162,516) (5.3%) ( 出所 ) 電気事業連合会 大口電力需要 財務省 法人企業統計 電力需要実績は 2010 年度実績で 沖縄電力を除いた電力会社の合計 製造業全体の経常利益は 1990~2009 年度の 20 年平均のもの 括弧内の数字は 2000~2009 年度の 10 年平均のもの 2

3. 再生可能エネルギーを 20% 導入した場合の影響試算について 現行法案は 10 年後に 397 億 kwh( 発電電力量の約 4% 相当 ) の発電量を想定するものであり 2020 年代のできるだけ早い時期に 少なくとも 20% を超える水準 との関連が不明である OECD 50 周年記念行事 (2011 年 5 月 25 日 ) における菅総理発言 仮に 再生可能エネルギーについて 2020 年代のできるだけ早い時期に 少なくとも 20% を超える水準 を全量買取制度だけで対応しようとした場合 サーチャージ額は 現行法案 (0.5 円 /kwh) の数倍に上ることも予想される サーチャージ額が 3.4 円 /kwh 上昇する可能性あり ( 注 ) ( 注 )( 鉄連試算 ) 再生可能エネルギーを 20% 導入 には 政府試算 ( 経済産業省 再生可能エネルギーの全量買取に関するフ ロシ ェクトチーム における試算 (2010 年 3 月 )) における最も導入量の多いケースで想定される発電電力量 (513 億 kwh) の約 2 倍の発電量が必要であり これを買取制度だけで実現する場合 サーチャージ額は同ケースの 1.7 円 /kwh に比例して約 2 倍の 3.4 円 /kwh とする必要があると考えられる なお ここで示すサーチャージ額は 電力の買取費用のみの分であり この他に最大約 2 兆円の系統安定化対策費用 ( 同フ ロシ ェクトチーム試算 ) が生じることに留意する必要がある サーチャージ額が 3.4 円 /kwh となった場合 製造業全体で 約 8,000 億円の負担増 経常利益の約 6% を喪失法人税額 (09 年度 ) の約 33% に相当 (2. の試算と合わせ 約 1 兆 6,600 億円の負担増 経常利益の約 12% を喪失 法人税額 (09 年度 ) の約 69% に相当 ) 国税庁会社標本調査 2009 年度の製造業全体の法人税額は約 2.4 兆円 電炉業では経常利益の約 60% を喪失 ( 鉄連試算 ) (2. の試算と合わせ 経常利益の約 125% を喪失 ) 経常利益へのインパクト試算 鉄鋼 製造業計 (A) 製造業の経常利益 (B) ( 億円 ) 経常利益へのインハ クト (A/B) 電力需要実績 ( 億 kwh) 362 2,317 141,067 5.6% 電気料金上昇による負担額 3.4 円 /kwh 1,230 7,876 (162,516) (4.8%) ( 出所 ) 電気事業連合会 大口電力需要 財務省 法人企業統計 電力需要実績は 2010 年度実績で 沖縄電力を除いた電力会社の合計 製造業全体の経常利益は 1990~2009 年度の 20 年平均のもの 括弧内の数字は 2000~2009 年度の 10 年平均のもの 3

4. 産業空洞化の深刻な懸念について 4 我が国産業は 現状でも (1) 国際的に高い法人実効税率 (2)TPP への参加の遅れ (3) 国際的公平性を欠く CO2 削減目標 に加え (4) 昨今の円高により 国際競争力を維持する上で 四重苦 にさらされている 上記 2 3 で記述したように 震災後のエネルギー供給構造の変化 あるいは 再生可能エネルギーの導入拡大 により 電力料金が著しく上昇するならば 今後 我が国で生産活動を行っていくことが きわめて厳しくなる ( 注 ) 事態も想定される ( 注 ) 電炉業は 1 自動車や産業機械の特殊部材等 日本のモノづくり産業の国際競争に不可欠な部品や 2 我が国の社会インフラ整備構築 を支える産業 電力料金の上昇は電炉業の国際競争力の喪失ひいては我が国の製造業の競争力喪失 空洞化に直結する この結果 電炉業の雇用に甚大な影響 ( 雇用者数普通鋼 11500 人 特殊鋼 56000 人 ) 日本鉄鋼連盟林田会長 記者会見 (6 月 27 日 ) 全量買取制度のサーチャージの部分について 電炉業等 電力多消費産業にきわめて影響が大きいことから負担の軽減をこれまでお願いしてきましたが エネルギー基本計画そのものが見直され 原発の稼働率が落ち 代替エネルギーになっていくと この問題はもはや電炉や特殊鋼業界だけの問題ではなく 国民全体に関わる問題だと思います 従って 政府におかれては まず大震災後の経済 社会状況を踏まえて 再生可能エネルギーの全量買取制度だけの議論をするのではなく エネルギー政策や地球温暖化対策について 全体的に経済や雇用への影響 対策の有効性 実現可能性を十分精査したうえで 必要であれば抜本的に見直し 政局と絡めず 精査した結果を国民にオープンにして議論してくこと 即ち 国民の理解 納得を得ながら進めていくことが非常に大事なことだと考えています

5 5. 震災後の状況変化を踏まえた鉄鋼連盟の要望について 上述した産業界の懸念を十分にご理解をいただき 再生可能エネルギー全量買取制度だけの議論をするのでなく 大震災後の経済 社会状況を踏まえたうえで エネルギー政策及び地球温暖化対策を抜本的に見直し この中で再生可能エネルギー全量買取制度についての位置づけ 制度のあり方についても 改めて再検討を行うべきと考える 再検討を行うにあたっては 我が国の産業や雇用に与える影響及び本制度の実現可能性等について十分精査し その結果を国民に示し 国民の理解と納得を得たうえで行っていただくことが非常に大切であると考える その際 国際競争力の維持を図るため ドイツ買取法等を参考に 電炉業等 電力多消費産業への直接的 具体的な負担軽減措置等をご審議 検討頂きたい