JCM 支援事業 ( 補助金制度 ) の 利用実績 大阪カーボン カンファレンス 2018 公益財団法人地球環境センター (O-JCM 事務局 ) 気候変動対策課課長松田直子 2018 年 1 月 8 日
本日の内容 1. 二国間クレジット (JCM) について 2.JCM 設備補助事業の概要 3.JCMを通じた現地環境インフラへの貢献 4. 採択案件一覧 (2013 年度 ~2018 年度 1 次公募 ) 国別 分野別事業件数 事業進捗状況 5. 事業事例紹介 既に設置工事が完了した事業(4 例 ) 6.JCM 設備補助事業による累積 CO2 排出削減量予測
二国間クレジット制度 (JCM) について Joint Crediting Mechanism 途上国への優れた低炭素技術等の普及を通じ 地球規模での温暖化対策に貢献するとともに 日本からの排出削減への貢献を適切に評価し 我が国の削減目標の達成に活用 本制度を活用し 環境性能に優れた技術 製品は一般的に初期コストが高く 途上国への普及が困難という課題に対応 (JCM 資金支援事業等のプロジェクト組成に係る支援を実施中 ) 日本 ( 環境省 ) 優れた低炭素技術等の普及や緩和活動の実施 両国代表からなる合同委員会で管理 運営 パートナー国 (2018 年 1 月現在 17 カ国 ) JCM プロジェクト 測定 報告 検証 日本の削減目標達成に活用 クレジット 温室効果ガスの排出削減 吸収量 出典 : 環境省作成の資料を基に GEC 追記 1
JCM 設備補助事業の概要 年度 予算 ( 億円 ) 2019 (3 年計 )81 2018 (3 年計 )69 2017 (3 年計 )60 2016 (3 年計 )67 2015 (3 年計 )72 2014 (3 年計 )36 2013 ( 単年 )12 初期投資費用の 1/2 以下を補助 環境省 国際コンソーシアム ( 日本の民間団体を含む ) JICA など政府系金融機関が支援するプロジェクトと連携した資金支援を含む MRV の実施により GHG 排出削減量を測定 クレジットの発行後は 1/2 以上を日本政府に納入 補助対象者 ( 日本の民間団体を含む ) 国際コンソーシアム 補助対象 17 のパートナー国へ エネルギー起源 CO2 排出削減のための設備 機器を導入する事業 ( 工事費 設備費 事務費等を含む ) 事業実施期間 最大 3 年間補助対象要件 補助交付決定を受けた後に設備の設置工事に着手し 3 年以内に完工すること また JCM プロジェクトとしての登録及びクレジットの発行を目指すこと 出典 : 環境省作成の資料を基に GEC 追記 2
JCM を通じた現地環境インフラへの貢献 JCM 設備補助事業では 平成 29 年 7 月に策定した 海外展開戦略 ( 環境 ) に基づき 環境インフラの海外展開促進も目指しています 1 インフラ施設 ( 水道施設 港湾等 ) への省エネ機器導入例 ) 横浜ウォーター 横浜港埠頭 2 環境配慮型の都市 地域開発計画に寄与例 )JFE エンジニアリング 裕幸計装 3 大規模な再生可能エネルギーの安定供給 ( 水力 メガソーラー等 ) 例 ) シャープエネルギーソリューション 長大 1 ベトナム / 横浜ウォーターダナン市水道公社への高効率ポンプの導入 3 ミャンマー /JFE エンジニアリングヤンゴン市における廃棄物発電 3モンゴル / シャープエネルギーソリューションダルハン市における20MW 太陽光発電システムの導入 5
環境省 JCM 資金支援事業採択案件一覧 (2013~2018 年度 1 次公募 ) 6 3
JCM 設備補助事業国別事業件数 ( 年度別 ) 2018 年度 :1 次公募採択分まで 10 ヵ国 :33 件 10 ヵ国 :35 件 5 ヵ国 :12 件 8 ヵ国 :19 件 9 ヵ国 :17 件 3 ヵ国 :7 件 2017 年度 2018 年度では 事業規模が大きな案件が増加 事業の 76% が ASEAN 諸国に集中 特にインドネシア ベトナム タイでの事業数が多く フィリピン案件は急増 事業数の少ないアフリカや中東 大洋州での提案に期待 4
JCM 設備補助技術分野別事業件数 ( 年度別 ) 2018 年度 :1 次公募採択分まで 各年度の採択事業での技術分野の件数 エネルギー生産 + 省エネ 廃棄物 CO2 排出削減量が 10,000tCO2 を超える技術別事業数 廃熱回収 バイオマス 8% 交通 4% 廃棄物 4% 省エネ 17% エネルギー生産 小水力発電 17% 交通 風力発電 4% 太陽光発電 46% 省エネルギー CO2 削減量が大きい事業ほど 費用対効果が良い傾向有り CO2 排出削減量が多く 費用対効果の高い事業提案に期待 5
JCM 署名国 設備補助事業進捗状況 署名日 JCM 署名国 2013 年度 2014 年度 2015 年度 2016 年度 2017 年度 2018 年度 2013.1.08 モンコ ル 〇 〇 3.19 ハ ンク ラテ シュ 5.27 エチオヒ ア 6.12 ケニア 6.29 モルテ ィフ 7.02 ヘ トナム 〇〇 8.07 ラオス 8.26 イント ネシア 12.09 コスタリカ 2014.1.13 ハ ラオ 〇 4.11 カンホ シ ア 〇 7.25 メキシコ 〇 2015.5.13 サウシ アラヒ ア 5.26 チリ 〇 9.16 ミャンマー 11.19 タイ 〇〇 〇〇〇 2017.1.12 フィリヒ ン 〇〇〇 : 工事完了 (2018.12.1 時点での運転開始 ) 事業 : 推進中の事業 6
JCM 設備補助事業 (2014 年度 ) パートナー国 : インドネシアセメント工場における廃熱利用発電プロジェクト実施者 :( 日本側 )JFEエンジニアリング株式会社 ( インドネシア側 ) セメンインドネシア社 GHG 排出削減プロジェクトの概要 本事業では セメンインドネシア社トゥバン工場 ( 東ジャワ州トゥバン ) にあるセメント生産プロセスに廃熱回収設備を設置し 熱エネルギーを回収して電気エネルギーに転換し 工場の電気エネルギーの一部を賄う事で省エネルギーを図り 結果として 温室効果ガス排出削減を図るものである 想定 GHG 削減量 122,000 tco2/ 年 正味代替電力量 発電量 A B C D E(A*B*C*D) 実質的な発電容量 (MW) 年間稼働日数 ( 日 / 年 ) セメンインドネシア社トゥバン工場 時間 ( 時間 / 日 ) 稼働率 電力量 (MWh) 乾季 28 182.5 24 0.85 104,244 雨季 22 182.5 24 0.85 81,906 自家消費電力量 2.4 365 24 1 21,024 正味代替電力量 165,126 リファレンス排出量 (RE y ) = 正味代替電力量 * グリッド係数 =165,126 MWh/y * 0.741 tco 2 e/mwh 122,000 tco 2 e/ 年 プロジェクト排出量 (PE y ) = 0 排出削減量 (ER y ) = RE y PE y 122,000 tco 2 / 年 Pre-Heater Kiln Clinker Cooler PH Boiler AQC Boiler Turbine & Generator JCM 設備補助事業実施サイト Steam トゥバン工場 ( 東ジャワ州トゥバン市 ) インドネシア人口第二の都市スラバヤから北西 100km 7
JCM 設備補助事業 (2015 年度 ) 衛生陶器生産工場への高効率焼成炉の導入プロジェクト実施者 :( 日本側 )TOTO 株式会社 ( ベトナム側 )TOTO Vietnam Co., LTD. GHG 排出削減プロジェクトの概要 ハノイ市郊外にある第 2 タンロン工業団地の衛生陶器生産工場において 高効率焼成炉 ( トンネル窯 シャトル窯 ) を導入する トンネル窯では 製品冷却の過程で温められた空気をバーナー用の燃焼空気として回収し 空気の加熱に必要なガス消費量を削減する シャトル窯では 排ガス放出経路の途中に設置する熱交換器により 排ガスの熱を回収し バーナーの燃焼空気の加熱に利用することで 空気の加熱に必要なガス消費量を削減する これらによりガス消費量を最大 3 割減らすことが期待される パートナー国 : ベトナム トンネル窯 ( 概略図 ) シャトル窯 ( 概略図 ) モニタリング装置 台車 冷却時廃熱の一部をバーナー用の燃焼空気として使用 入口 ガス 燃焼空気 バーナー 冷却時廃熱 出口 熱交換器により 排ガスの熱を回収し バーナー用の燃焼空気として使用 シャトル窯扉 台車出し入れ 台車 排ガス ( 高温 ) バーナー 燃焼空気 ( 室温 ) 排ガス ( 低温 ) 燃焼空気 ( 高温 ) モニタリング装置 ガス 想定 GHG 排出削減量 JCM 設備補助事業実施サイト 1,410 tco 2 / 年トンネル窯 :1,248 tco 2 / 年シャトル窯 : 162 tco 2 / 年 RE p =GC PJ,p (η RE η PJ ) EF fuel PE p =GC PJ,p EF fuel RE p : プロジェクト期間 pにおけるリファレンス排出量 (tco 2 /p) GC PJ,p : プロジェクト期間 pにおけるプロジェクト燃料消費量 (Nm 3 /p) η PJ : プロジェクトにおける原単位 (kcal/kg) η RE : リファレンスの原単位 (kcal/kg) EF fuel : 燃料排出係数 (tco 2 /Nm 3 ) PE p : プロジェクト期間 pにおけるプロジェクト排出量 (tco 2 /p) プロジェクトサイトはハノイ市中心部から南東約 25km にある Thang Long Industrial ParkⅡ 内に建設する TOTO Vietnam 第 3 工場 地図データ 2016Google 8
JCM 設備補助事業 (2016 年度 ) エアコン部品製造工場群への 3.4MW 屋根置き太陽光発電システム導入 プロジェクト実施者 :( 日本側 ) シャープ株式会社 ( タイ王国側 ) SNC Former Public Co., Ltd. / SNC Pyongsan Evolution Co.,Ltd. SNC Creativity Anthology Co., Ltd. / Ultimate Parts Co.,Ltd./ Infinity Parts Co.,Ltd. GHG 排出削減プロジェクトの概要 本事業では タイ王国 SNC グループのエアコン部品製造工場群の工場屋根に総設備容量 3.4MW の太陽光発電システムを設置し 発電した電力を各工場で自家消費するものである 自家消費分は電力会社から電気を購入する必要がなくなり 同量はクリーンな太陽光発電システムで発電されたものであり CO 2 排出量の削減を実現する パートナー国 : タイ王国 想定 GHG 排出削減量 本事業の太陽光発電システムの 10 年間平均の年間推定有効総発電量は 3,535MWh/ 年 CO2 排出係数を掛けた CO2 排出削減量は 1,963 t-co2/ 年と想定される JCM 設備補助事業実施サイト 本事業サイトは バンコクスワンナプーム国際空港から車で南東に約 1 時間 40 分ほど走った SNC グループの工場群である バンコク スワンナプーム国際空港 SNC 工場群 9
JCM 設備補助事業 (2016 年度 ) パートナー国 : ミャンマー物流センターにおける省エネ冷凍システムの導入プロジェクト実施者 :( 日本側 ) 両備ホールディングス株式会社 ( ミャンマー側 )Ryobi Myanmar Distribution Service Co., Ltd. GHG 排出削減プロジェクトの概要 1) ミャンマー国で冷蔵 冷凍食品の消費量が増加する一方 電力不足により物流拠点の拡充は難しい 本事業では 同国の物流センターに高効率の冷凍設備を設置し 優れた省エネ性で冷却設備全体の消費電力を削減し エネルギー由来 CO2 排出量削減に貢献する 2) 高効率冷凍機では アンモニアを一次冷媒 CO2 を二次冷媒として使用する 地球温暖化係数が大きい代替フロンを使用するものと比較し GHG 排出量削減が見込める 冷蔵倉庫内 -25 冷蔵倉庫クーラー CO2 機械室 NH3/CO2 冷凍機 冷却水 屋外 冷却塔 想定 GHG 排出削減量 125t CO 2 / 年 GHG 排出削減量 = リファレンス排出量 プロジェクト排出量 GHG 排出量 (tco 2 / 年 ) = 電力消費量 (MWh/ 年 ) CO2 排出係数 (tco 2 /MWh) グリッド排出係数 = 0.425 (tco 2 /MWh) JCM 設備補助事業実施サイト プロジェクトサイトはヤンゴン中心部から南東に約 20km にあるティラワ工業団地内 倉庫建設予定地 SEZ ゲート 地図データ 2017Google 10
累積 CO2 排出削減量予測 2030 年までの累積 CO2 排出削減量 ( 見込み ) 820 万 tonco2/ 年 H25~H30 年度 1 次までの採択案件の年間削減予測量に基づいた予測値 ( 各案件の法定耐用年数までの積み上げ ) 11
JCM 等に関する GEC 問合せ先 GEC 大阪本部大阪市鶴見区緑地公園 2-110 ( 地下鉄鶴見緑地線 鶴見緑地 駅徒歩 5 分 ) Tel: 06-6915-4122( 気候変動対策課 ) GEC 東京事務所東京都文京区本郷三丁目 19-4 本郷大関ビル4 階 ( 東京メトロ丸の内線 本郷三丁目 駅徒歩 10 分 ) Tel: 03-6801-8860 Web: http://gec.jp/jp 12