FEPC INFOBASE i - 電気事業制度

Similar documents
i-1 電気事業制度についてー 1 自由化 2000 年 3 月から大口需要家に対する電力小売が自由化 その後 2004 年 4 月 2005 年 4 月と 自由化範囲が段階的に拡大 さらに 電力システム改革専門委員会での検討を踏まえ 2016 年 4 月から小売全面自由化が開始された (j-3 参

Microsoft Word - 報告書.doc

05JPOWER_p1-40PDF.p....

i-1 電力の自由化 平成 12 年 3 月から大口需要家に対する電力小売が自由化 さらに 電気事業分科会における検討の結果 平成 16 年 4 月 平成 17 年 4 月と 自由化範囲が段階的に拡大 小売の部分自由化 (1) 自由化範囲の拡大 小売の部分自由化は 平成 12 年 3 月より 特別高

Ⅱ 主な改革内容 上記の 3 つの目的からなる電力システム改革につき 以下の 3 つの柱を中心として 大胆な改革を現実的なスケジュールの下で着実に実行する 1. 広域系統運用の拡大 電力需給のひっ迫や出力変動のある再生可能エネルギーの導入拡大に対応するため 国の監督の下に 報告徴収等により系統利用者

我が国における電力卸取引の現状と今後の役割 一般社団法人日本卸電力取引所國松亮一 -0- C2018Japan Electric Power Exchange All Rights Reserved

図 2: 今後の主な市場整備等 2. ベースロード電源市場等 2.1. 契約見直しの必要性新電力がベースロード電源 ( 石炭火力 水力 原子力等 ) にアクセスすることを容易にし 小売競争を更に活性化させることを目的として ベースロード電源市場を創設するとともに ベースロード電源を保有する旧一般電気

整力を確保する一方 小売部門が GC までの自社需要の想定誤差に対する予備力を確保する対 応をしていることから 一部の旧一般電気事業者については 送配電部門と小売部門が確保し ている予備力の合計値が 調整力公募制度開始以前と比較して増加している ( 卸電力取引所活性化の必要性 ) 旧一般電気事業者の

これは 平成 27 年 12 月現在の清掃一組の清掃工場等の施設配置図です 建替え中の杉並清掃工場を除く 20 工場でごみ焼却による熱エネルギーを利用した発電を行っています 施設全体の焼却能力の規模としては 1 日当たり 11,700 トンとなります また 全工場の発電能力規模の合計は約 28 万キ

御意見の内容 御意見に対する電力 ガス取引監視等委員会事務局の考え方ることは可能です このような訴求は 小売電気事業者が行うことを想定したものですが 消費者においても そのような訴求を行っている小売電気事業者から電気の小売供給を受け 自らが実質的に再生可能エネルギーに由来する電気を消費していることを

整力を確保する一方 小売部門が GC までの自社需要の想定誤差に対する予備力を確保する対 応をしていることから 一部の旧一般電気事業者については 送配電部門と小売部門が確保し ている予備力の合計値が 調整力公募制度開始以前と比較して増加している ( 卸電力取引所活性化の必要性 ) 旧一般電気事業者の

資料 3 第 21 回制度設計専門会合事務局提出資料 ~ 卸電力市場活性化に係る事業者ヒアリング ~ 平成 29 年 8 月 28 日 ( 月 )

整力を確保する一方 小売部門が GC までの自社需要の想定誤差に対する予備力を確保する対 応をしていることから 一部の旧一般電気事業者については 送配電部門と小売部門が確保し ている予備力の合計値が 調整力公募制度開始以前と比較して増加している ( 卸電力取引所活性化の必要性 ) 旧一般電気事業者の

下水道は私たちの安全で快適なくらしを支えています

電力システム改革に関する意見 <ポイント>

<4D F736F F F696E74202D F8D7793FC94CC E F181408E9197BF31312D32816A2E B8CDD8AB B83685D>

PowerPoint プレゼンテーション

部分供給については 例えば 以下の3パターンが考えられる ( 別紙 1 参照 ) パターン1: 区域において一般電気事業者であった小売電気事業者 ( 又は他の小売電気事業者 ) が一定量のベース供給を行い 他の小売電気事業者 ( 又は区域において一般電気事業者であった小売電気事業者 ) がを行う供給

Microsoft PowerPoint - 22_容量市場(松久保)

1. はじめに 1 需要曲線の考え方については 第 8 回検討会 (2/1) 第 9 回検討会 (3/5) において 事務局案を提示してご議論いただいている 本日は これまでの議論を踏まえて 需要曲線の設計に必要となる考え方について整理を行う 具体的には 需要曲線の設計にあたり 目標調達量 目標調達

一体的な制度改革による総合エネルギー市場の創出 1 1 光熱費 という言葉があるように 消費者にとってエネルギー市場は一体のもの 他方で 従来 我が国のエネルギー市場は 電力 ガス 熱等の業態ごとに制度的な 市場の垣根 が存在 ( ) 石油や LP ガスは既に参入規制なく 自由な市場 一体的な制度改

1. 非 FIT 非化石証書の取引について 2. 非 FIT 非化石証書の価格等について 3. 非 FIT 非化石証書の種類について 4. 非 FIT 非化石証書の約定 / 未約定分の取り扱いについて 5. 市場創設スケジュールについて 6. 非化石証書の取引に伴う収入の取り扱いについて 1

大阪電力選べる環境づくり協議会

スライド 1

1. 調整力公募について 本年 4 月に施行された第 2 弾の改正電事法により 新しいライセンス制度が導入されたことを受け 一般送配電事業者が電力供給区域の周波数制御 需給バランス調整を行うこととなっている そのために必要な調整力を調達するにあたって 一般送配電事業者は原則として公募の方法で調達する

資料 2 接続可能量 (2017 年度算定値 ) の算定について 平成 29 年 9 月資源エネルギー庁

PowerPoint プレゼンテーション

バイオマス比率をめぐる現状 課題と対応の方向性 1 FIT 認定を受けたバイオマス発電設備については 毎の総売電量のうち そのにおける各区分のバイオマス燃料の投入比率 ( バイオマス比率 ) を乗じた分が FIT による売電量となっている 現状 各区分のバイオマス比率については FIT 入札の落札案

PowerPoint プレゼンテーション

( 考慮すべき視点 ) 内管について 都市ガスでは需要家の所有資産であるがガス事業者に技術基準適合維持義務を課しており 所有資産と保安責任区分とは一致していない LPガスでは 一般にガスメータの出口より先の消費設備までが需要家の資産であり 資産区分と保安責任区分が一致している 欧米ではガスメータを境

エネルギー規制 制度改革アクションプラン (11 月 1 日 ) の概要 重点課題と詳細リスト 現時点で政府が取り組むこととしている又は検討中の事項を 実施 検討事項詳細リスト (77 項目 ) として取りまとめ その中から 3つの柱で計 26 項目の重点課題を特定 1 電力システムの改革 (9 項

FIT/ 非 FIT 認定設備が併存する場合の逆潮流の扱いに関する検討状況 現在 一需要家内に FIT 認定設備と非 FIT 認定設備が併存する場合には FIT 制度に基づく買取量 ( 逆潮流量 ) を正確に計量するため 非 FIT 認定設備からの逆潮流は禁止されている (FIT 法施行規則第 5

Microsoft Word - 報告書.doc

□120714システム選択(伴さん).ppt

規制の事前評価の実施に関するガイドライン(素案)

PowerPoint プレゼンテーション

検討結果 電力小売事業の全面自由化時 (2016 年 /4 月 ) から使用される 需要家スイッチング支援システム を中心にした スイッチング関連業務に関するルール の建付けについて 検討した結果を報告します 1. スイッチング関係ルールを 広域機関ルール として以下のように策定する ( 対象のルー

余白 1

報告書の主な内容 2012 年度冬季の電力需給の結果分析 2012 年度冬季電力需給の事前想定と実績とを比較 検証 2013 年度夏季の電力需給の見通し 需要面と供給面の精査を行い 各電力会社の需給バランスについて安定供給が可能であるかを検証 電力需給検証小委員会としての要請 2013 年度夏季の電

Q 切り替えする手続きが面倒じゃないの? A 新しく契約する電力会社へ申し込みをするだけで 今の電力会社へ連絡はせずに切り替えができます また Web でも簡単に申し込み手続きができるようになります Q 停電が増えたり 電気が不安定になったりしないの? A 新電力と契約した場合でも 電気を送る電線や

問 3. いつから小売の全面自由化が行われるのですか 答.2016 年 ( 平成 28 年 )4 月 1 日です 問 4. いつから小売電気事業者の変更申込みが可能となるのですか 答.2016 年 ( 平成 28 年 )1 月より小売電気事業者により変更申込みの事前受付が本格化し 来年 3 月以降

PowerPoint プレゼンテーション

本日の議論 ( 背景等 ) 全面自由化された小売分野における健全な競争を促すためには 競争的な電源調達環境が必要不可欠 具体的には 相対取引 取引所取引などの形を問わず 小売電気事業者が如何に競争条件下で電源にアクセスできるかが重要となる こうした観点から これまでも 常時バックアップの導入 運用改

注 1: 要件の判断に係る算定に当たっては 複数の発電用の電気工作物が同一の接続地点に接続している場合は 一つの発電用の電気工作物とみなす 注 2: 特定発電用電気工作物に該当しない電気工作物は 発電事業の要件 ( 小売電気事業用等接続最大電力の合計が 1 万 kw 又は 10 万 kw を超えるも

表 1 小売電気事業者( 新電力とみなし小売電気事業者の総計 ) の平成 29 年 3 月分 販売電力量 ( エリア別 ) 販売電力量合計 ( 単位 :MWh) その他需要 合計 北海道 260,709 1,129,470 1,028, ,749 8,428 2,730,690 東北 1

新電力のシェアの推移 全販売電力量に占める新電力のシェアは 216 年 4 月の全面自由化直後は約 5% だったが 217 年 5 月に 1% を超え 218 年 1 月時点では約 12% となっている 電圧別では 特別高圧 高圧分野 ( 大口需要家向け ) は時期により変動しつつも 全体的には上昇

問 3. いつから小売の全面自由化が行われるのですか 答.2016 年 ( 平成 28 年 )4 月 1 日です 問 4. いつから小売電気事業者の変更申込みが可能となるのですか 答.2016 年 ( 平成 28 年 )4 月から 小売全面自由化が始まっており 既に申込みは可能です 問 5. 小売電

農地中間管理機構 ( 仮称 ) の制度の骨格 ( 案 ) 資料 農地中間管理機構の指定都道府県のコントロールの下に適切に構造改革 生産コスト引下げを推進するため 都道府県段階に設置する 1 都道府県知事は 農地中間管理事業を公平かつ適正に行うことができる法人 ( 地方公共団体の第 3セク

第2回 制度設計専門会合 事務局提出資料

スイッチングの状況 (2017 年 3 月時点 ) 本年 3 月末時点での新電力への契約先の切替え ( スイッチング ) 件数は約 4.7%( 約 295 万件 ) 大手電力 ( 旧一般電気事業者 ) の自社内の契約の切替件数 ( 規制 自由 ) は約 4.1% ( 約 258 万件 ) であり 合

スライド 1

Ⅰ. 認定制度 1. 認定制度 の現状 2. 認定時期について 3. 認定案件の適正な事業実施に向けて 4. 調達価格の決定時期

資料1:地球温暖化対策基本法案(環境大臣案の概要)

前回の御議論 2 1) 第 6 回連系線利用検討会において 下記のような御意見があった 経過措置の転売を禁止することで効率性を低下させているため 転売を可能とすることについても 改めて検討すべき 経過措置が 10 年という長期であるにもかかわらず 経過措置を転売不可とすると 非効率性が増す側面もある

問 19. 自由化後に新規参入のガス小売事業者と契約した場合 その後に引っ越しをすると どうなるのですか 海外への転勤などで契約廃止の手続をするにはどうすれば良いですか 問 20. 持ち家 ( 戸建住宅 マンション又は集合住宅 ) に住んでいるのですが 新規参入のガス小売事業者からガスを買うことはで

2 I. 電力小売自由化後の課題 II. 都市ガス自由化に向けての課題 III.LP ガスの課題 まとめ

PowerPoint プレゼンテーション

資料 4 非化石価値取引市場について 2017 年 11 月 28 日 資源エネルギー庁

することを可能とするとともに 投資対象についても 株式以外の有価証券を対象に加えることとする ただし 指標連動型 ETF( 現物拠出 現物交換型 ETF 及び 金銭拠出 現物交換型 ETFのうち指標に連動するもの ) について 満たすべき要件を設けることとする 具体的には 1 現物拠出型 ETFにつ

量割当て優先で容間接オークションの概要 間接オークション は 原則として全ての連系線利用を エネルギー市場の取引 (JEPX のスポット取引等 ) を介して行うこととする仕組み ( ) であり 2018 年度から導入予定 1 現行ルールでは 先着優先 で連系線の容量を割り当てている 現状において J

電気事業分科会資料

<4D F736F F F696E74202D C5817A936497CD8EA BB8CE382CC89CE97CD94AD A8E912E >

PowerPoint プレゼンテーション

スライド 1

3. 制度見直しの方向性 3-1. 送配電関連設備に係る費用の利用者間の負担 送配電網の利用者として 送配電網に接続している発電者と需要家が挙げられるが 現行制度上 送配電関連設備に係る費用は 発電側による電源接続時の初期費用負担を除き 需要側のみが負担 ( 小売電気事業者が託送料金を負担し それを

系統情報の公表の考え方 平成 24 年 12 月平成 26 年 3 月改定平成 27 年 11 月改定平成 28 年 4 月改定資源エネルギー庁電力 ガス事業部 1. 検討の背景 平成 27 年 4 月に電力広域的運営推進機関が発足して以降 旧一般電気事業者等の系統に関する情報 ( 以下 系統情報

申込代行事業者さまへのお知らせについて

Ⅰ. 震災により明らかになった電力供給システムの問題点 東日本大震災により我が国の電力供給システムに内在していた問題点が顕在化 その一端として 例えば以下のような事態が生じた 需要家が工夫できる度合いや 電気の必要性の大小にかかわらず 一律の計画停電や電力使用制限によらなければ需要抑制ができず 国民

成 29 年には小売の地域独占が撤廃され 料金規制が原則廃止される 小売全面自由化を機に 課税の公平性 を担保することは 新規参入を促進すると同時に 競争の活性化による料金抑制 更なる天然ガス利用拡大に寄与し ガスシステム改革の目的達成に資することから 抜本的な現行課税方式の見直しが必要である 2

資料 1 申込代行事業者さまにご確認 ご対応いただく内容 1. 同封資料の内容について ご確認をお願いいたします 1 今回 当社からご確認させていただく対象は ( 資料 2) 今回確認の対象となる発電所一覧 に記載している発電所です 複数の発電所を申込みいただいた申込代行事業者さまについては ダイレ

RIETI Highlight Vol.66

参考 :SWITCH モデルの概要 SW ITCH モデル は既存の発電所 系統 需要データを基にして 各地域における将来の自然エネルギーの普及 ( 設備容量 ) をシミュレーションし 発電コストや CO 排出量などを計算するモデルです このモデルでは さらに需要と気象の時間変動データから 自然エネ

2017(平成29)年度第1四半期 決算説明資料

電解水素製造の経済性 再エネからの水素製造 - 余剰電力の特定 - 再エネの水素製造への利用方法 エネルギー貯蔵としての再エネ水素 まとめ Copyright 215, IEEJ, All rights reserved 2

日本市場における 2020/2030 年に向けた太陽光発電導入量予測 のポイント 2020 年までの短 中期の太陽光発電システム導入量を予測 FIT 制度や電力事業をめぐる動き等を高精度に分析して導入量予測を提示しました 2030 年までの長期の太陽光発電システム導入量を予測省エネルギー スマート社

( 太陽光 風力については 1/2~5/6 の間で設定 中小水力 地熱 バイオマスについては 1/3~2/3 の間で設定 )) 7 適用又は延長期間 2 年間 ( 平成 31 年度末まで ) 8 必要性等 1 政策目的及びその根拠 租税特別措置等により実現しようとする政策目的 長期エネルギー需給見通

PowerPoint プレゼンテーション

適正な電力取引についての指針 目次 第一部適正な電力取引についての指針の必要性と構成 1 第二部適正な電力取引についての指針 Ⅰ 小売分野における適正な電力取引の在り方 1 考え方 3 (1) 小売供給 (2) 経過措置料金による小売供給 2 公正かつ有効な競争の観点から望ましい行為及び問題となる行

<4D F736F F F696E74202D A E83585F936497CD89FC8A76938A8E918FC194EF2E >

検討の進め方 出所 ) 第 4 回調整力の細分化及び広域調達の技術的検討に関する作業会資料 3( 赤枠削除 ) 217/chousei_sagyokai_4_haifu.html 2 第 11

第 1 章 我が国のエネルギーの現状と電力自由化 第 章 我が国のエネルギーの現状と電力自由化 1. 我が国のエネルギーの現状 (1) エネルギー消費 我が国のエネルギー消費は 経済の発展とともに増加してきましたが 世紀に入り経済成長がストップしたことや省エネが進んだことから 年度から 年度にかけて

<4D F736F F D E96914F8CF6955C8C5E82CC8EA98CC88A948EAE8EE693BE82C682CD2E646F63>

スライド 1

携帯電話の料金その他の提供条件に関する タスクフォース 取りまとめ 平成 27 年 12 月 16 日

2 政策体系における政策目的の位置付け 3 達成目標及び測定指標 1. 地球温暖化対策の推進 1-2 国内における温室効果ガスの排出抑制 租税特別措置等により達成しようとする目標 2030 年の電源構成における再生可能エネルギーの割合を 22~24% とする 租税特別措置等による達成目標に係る測定指

電気 ガス 熱供給の自由化と新築物件 既築物件における選択肢 ( 上 ) 藤本祐太郎長島 大野 常松法律事務所弁護士 本誌発行日である 2019 年 4 月 1 日をもって 電力自由化 熱供給自由化からちょうど 3 年 ガス自由化からちょうど 2 年が経過した 電気についていえば 500 社超の事業

緒論 : 電気事業者による地球温暖化対策への考え方 産業界における地球温暖化対策については 事業実態を把握している事業者自身が 技術動向その他の経営判断の要素を総合的に勘案して 費用対効果の高い対策を自ら立案 実施する自主的取り組みが最も有効であると考えており 電気事業者としても 平成 28 年 2

電力自由化にともなう一般電気事業者の電気事業営業利益への影響に関する実証分析 内田浩史ゼミ B 新家史也 1 はじめに 日本では 1995 年から段階的に電気事業で自由化が行われた この論文では電力自由化にともない電気事業に新しく参入した特定規模電気事業者の存在が既存の電力会社である一

力率 1.0(100%) の場合 100% の定格出力まで有効電力として発電し 出力できます 力率 0.95(95%) の場合は 定格出力の 95% 以上は有効電力として出力できません 太陽光発電所への影響 パワコンの最大出力が 95% になるので 最大出力付近ではピークカットされます パワコンの出

Microsoft Word - H290324優先的検討規程(裁定).docx

1. 目的 実施計画 高度なエネルギーマネジメント技術により 需要家側のエネルギーリソースを統合的に制御することで バーチャルパワープラントの構築を図る < 高度なエネルギーマネジメント技術 > 蓄熱槽を活用した DR 複数建物 DR 多彩なエネルギーリソースのアグリゲーション < 便益 > 系統安

小売電気事業者総覧第 2 章事業者戦略 東京電力エナジーパートナー 業種販売戦略顧客獲得目標ブランド戦略 大手電力より割安な料金メニュー ガスや通信などの各種商材とのセット販売で競合を迎え撃ち Web サービスの充実などで顧客拡大を狙う さらに 顧客の暮らし全般をサポートする新サービスを

4. 再生可能エネルギーの小規模な地域送配電ネットワークへの導入円滑化 分散型供給システムのあり方 (1) 基本的な考え方再生可能エネルギーの小規模な地域送配電ネットワークへの導入円滑化のため 電気事業分科会で示された3つの論点 24 を踏まえ 特定電気事業者及び特定供給について 送配電ネットワーク

< 目的 > 専ら被保険者の利益 にはそぐわない目的で運用が行われるとの懸念を払拭し 運用に対する国民の信頼を高める 運用の多様化 高度化が進む中で 適切にリスクを管理しつつ 機動的な対応を可能に GPIF ガバナンス強化のイメージ ( 案 ) < 方向性 > 1 独任制から合議制への転換基本ポート

スライド 1

監視手法に関する調査 分析 我が国の卸電力取引に係る競争状況 不正取引を監視し それを踏まえた対応を検討するための基礎資料として活用するため ( 6) の諸外国の規制当局や取引所に係る調査 分析を行う 調査に当たっては文献 インターネット 各国の規制当局及び取引所の関係者等へのヒアリングを通じ 幅広

2014年7月30日 東京電力株式会社

Ⅰ. 論点の明確化 1

商品設計の再検討について 2 商品設計のイメージとして議論してきた調整力の要件をより詳細に検討した結果 見直しが必要と考えられえる箇所が顕在化してきたため その箇所について新たに議論をしたい なお 本資料の内容は 資料 6 需給調整市場に関する意見募集について ( 案 ) の 3 項に組み入れる予定

電力システム改革の検討状況

Transcription:

FEPC INFOBASE i - 電気事業制度

i-1 電気事業制度についてー 1 自由化 2000 年 3 月から大口需要家に対する電力小売が自由化 その後 2004 年 4 月 2005 年 4 月と 自由化範囲が段階的に拡大 さらに 電力システム改革専門委員会での検討を踏まえ 2016 年 4 月から小売全面自由化が開始された (i-3 参照 ) (1) 自由化範囲の拡大小売の部分自由化は 2000 年 3 月より 特別高圧 (2 万 V 以上 ) で受電する使用規模が概ね 2,000 kw 以上の大口お客さま ( 大規模工場 大規模ビル等 ) を対象として始まった ( 沖縄電力の供給区域は 6 万 V 以上で受電する使用規模が概ね 2 万 kw 以上の需要家が対象 ) その後 2004 年 4 月から使用規模 500kW 以上 2005 年 4 月から 50kW 以上の高圧で受電するお客さままで自由化範囲が拡大した ( 沖縄電力の供給区域では 2004 年 4 月に特別高圧で受電する使用規模 2,000kW 以上のお客さままで拡大 ) 小売全面自由化の拡大の是非について 2007 年 4 月より電気事業分科会において検討が行われ 全面自由化に伴い 相当程度の追加的費用が発生すると見込まれる一方 効率化効果がどの程度実現しうるかは不確実であり 家庭部門のお客さまにメリットがもたらされない可能性があることや お客さまの選択肢の確保状況等について 既自由化部門において十分とは評価できないこと 実際に全面自由化を実施した欧米諸国について 電気料金が上昇していることなどが指摘された こうした検討を踏まえ 2008 年 3 月に基本答申 今後の望ましい電気事業制度の在り方について が取りまとめられ この時点においては更なる自由化範囲の拡大は望ましくないとの結論が示された ただし 制度改革の効果を定期的に検証し 一定期間 (5 年後を目途 ) が経過した際に改めて全面自由化の是非について検討を行うべきと提言されている その後 2011 年の東日本大震災以降 需要家への多様な選択肢の提供や 多様な供給力の最大活用の観点がより重要とされ 2012 年 2 月から総合資源エネルギー調査会総合部会電力システム改革専門委員会において検討が行われた その結果 電気事業法が改正され 2016 年 4 月からは 家庭も含めた全てのお客さまが自由に電力会社を選ぶことができる 電力小売全面自由化 が実施された (2) 自由化の概要小売電気事業は登録制となり 2016 年 4 月以降は登録済みの小売電気事業者であれば 家庭も含め全てのお客さまに対し供給が可能となり その需給契約は当事者間の自由交渉による私契約が原則となった 全てのお客さまは その地域の電力会社のほかに 2016 年 3 月までは特定規模電気事業者 (PPS) と呼ばれていた小売電気事業者なども含め 自由に小売電気事業者や料金メニューを選択できるようになった 全面自由化後も電力の安定供給を確保するため 送配電事業者による措置 (i-2 参照 ) に加え 小売電気事業者による措置として 全ての小売電気事業者は 自らのお客さまの電力需要を賄うために必要な供給力を確保することが義務付けられた 同時に 家庭など小口のお客さま保護のため 小売電気事業者に契約条件の説明義務等を課すとともに 全面自由化後も一定期間は従来の電力会社の従来と同じメニューが選択可能とされている ( 料金規制の経過措置 ) この経過措置は 国が各種制度の整備 競争状況のレビューを行ったうえで 2020 年以降に廃止されることとなっている 併せて 全面自由化後の電力市場の厳正な監視を行うため 電力 ガス取引監視等委員会 が設立され 相談窓口が設置されるとともに 電力の小売営業に関する指針 に基づき 誤解を生じやすい説明を行った小売電気事業者や不適切な営業活動を行った小売電気事業者に対し改善指導を行っている なお 2016 年 3 月以前から自由化対象となっていたお客さまも含め 全てのお客さまは 誰からも電気の供給を受けられなくなることのないよう セーフティネットとして最終的な電気の供給を地域の電力会社から受けられることとなっている ( 一般送配電事業者に対する最終保障サービス義務 )

i-2 電気事業制度についてー 2 送配電部門の公平性 透明性 送配電部門の中立性を確保するための 情報の目的外利用の禁止 内部相互補助の禁止( 会計分離 ) 差別的取扱いの禁止 これらを一層確保する観点からの 法的分離による発送電分離の実施 (2020 年 ) 地域ごとに発電 送配電 販売 ( 小売 ) を一貫して行う一般電気事業者の存在を前提として進められてきた我が国の電力自由化において 新規参入の事業者 ( 特定規模電気事業者等 ) との間の送配電設備利用の公平性 透明性を向上させるため 2003 年 6 月に成立した改正電気事業法において 一般電気事業者の送配電部門において1 情報の目的外利用の禁止 2 内部相互補助の禁止 ( 会計分離 ) 3 差別的取扱いの禁止の3 点が担保された ( 行為規制 ) また あわせて行政も事後チェック機能の整備を図ってきた 3 差別的取扱いの禁止送配電部門の託送に係る業務において 特定の電気事業者 ( 自社の発電 販売部門を含む ) に対して 不当に差別的な取扱いをしないことを法的に担保 4 行政による事後監視 紛争処理機能の整備上記規制を確実に担保し得るよう 高度な専門性を持って 中立 公正な事後監視 紛争処理を行う仕組みを経済産業省内に整備 充実 1 情報の目的外利用の禁止送配電部門が 託送業務において知り得た情報を 当該業務の本来の目的以外の目的のために 自己若しくは自己の関係事業者又は他の事業者で利用し 又は提供しないことを 法的に担保 2 内部相互補助の禁止託送等の業務により送配電部門に生じた利益が 他の部門に使われていないことを監視するため 送配電部門の託送等の業務に係る収支計算書等の作成及び公表を義務付け また 2016 年 4 月に電力小売全面自由化が実施されたことに伴い これまで小売部門と配電部門が一体となって需要家にサービスを提供していた低圧の領域においても配電部門の公平性 透明性の確保が必要となり 配電部門とその他部門 ( 発電 販売 ) の業務を分離し 配電部門の中立性を確保する いわゆる営配分離が実施された さらに 2020( 平成 32) 年 4 月には 送配電部門の中立性を一層確保する観点から 法的分離による発送電分離が行われることになっている これに伴い 一般送配電事業者 送電事業者が 小売電気事業や発電事業を行うことが禁止される ( 兼業規制による法的分離 ) また 適正な競争関係を確保するため 一般送配電事業者 送電事業者と そのグループの発電事業者や小売電気事業者に対し 取締役の兼職禁止等の行為規制も課されることになる

i-3 電気事業制度についてー 3 広域的運営推進機関 電力システム改革の第 1 弾として広域的運営推進機関 ( 広域機関 ) を設立 広域機関は 定款 業務規程 役員の選解任 予算等 多くの事項に経済産業大臣の認可を必要とする電気事業法で規定された認可法人 全ての電気事業者が広域機関への加入義務を負う 電力システム改革の第 1 弾として広域的運営推進機関 ( 広域機関 ) の設立が電気事業法に規定された これに基づき 2015 年 4 月 1 日に 電力広域的運営推進機関 が設立され 同日に業務を開始している 広域機関は 電源の広域的な活用に必要な送配電網の整備を進めるとともに 全国大で平常時 緊急時の需給調整機能を強化することを目的としており 電気の需給の状況を監視し 電気の需給の状況が悪化した電気事業者に対し 他の電気事業者からの電気の供給の指示等の業務を行うことにより電気の安定供給を確保する 広域機関が行う業務として 需給計画 系統計画を取りまとめ 周波数変換設備 地域間連系線等の送電インフラの増強や区域 ( エリア ) を超えた全国大での系統運用等を図る 平常時において 各区域 ( エリア ) の送配電事業者による需給バランス 周波数調整に関し 広域的な運用の調整を行う 災害等による需給ひっ迫時において 電源の焚き増しや電力融通を指示することで 需給調整を行う 中立的に新規電源の接続の受付や系統情報の公開に係る業務を行うなどを定めている 広域機関は 定款 業務規程 役員の選解任 予算等 多くの事項に経済産業大臣の認可を必要とする電気事業法で規定された認可法人となっている また 全ての電気事業者が広域機関に加入して会員となることが義務付けられており 電気供給事業者 に対する指導や勧告 電気供給事業者からの苦情の処理及び紛争の解決も行っている なお 広域機関の業務開始に伴い 送配電等業務支援機関 ( いわゆる中立機関 ) として 2005 年 4 月から業務を行ってきた電力系統利用協議会 (ESCJ) は廃止された 広域機関と各電気事業者の関係 ( 出典 ) 広域機関 Web サイト

i-4 電気事業制度についてー 4 今後の電源に関わる取引 ( 市場の整備 ) 電力システム改革で掲げられた 3 つの目的 (1 安定供給の確保 2 電気 整備される各市場の関係 ( 実需給と取引時期の関係 ) 料金の最大限の抑制 3 事業者の事業機会と需要家の選択肢拡大 ) や 電源等の価値 1 年以上前 数ヶ月 ~1 日前直前実需給 3E + S について 事業者の経済合理的な行動を通じてより効率的に達成する観点から 本来は一つの電源から提供する価値 (kw 価値 Δ kw 価値 kwh 価値 非化石価値など ) を 複数に分けて取引する市 電力量 kwh 価値 先渡市場 ベースロード市場 スポット市場 1 時間前市場 場の整備に向けた検討が進められている 容量 ( 供給力 ) kw 価値 容量市場 確保した電源の最適運用 調整力 kw 価値 調整力公募 移行 需給調整市場 今後の市場整備の方向性 電源等の価値 電力量 kwh 価値 容量 ( 供給力 ) kw 価値 調整力 kw 価値 取引される価値 ( 商品 ) 実際に発電された電気 発電することが出来る能力 短期間で需給調整出来る能力 取引される市場 卸電力市場 (1 時間前 スポット 先渡 ) 相対取引 ベースロード市場 容量市場 調整力公募 需給調整市場 その他 非化石価値等 新市場における取引時期は 今後の検討によって変動しうる ( 出典 ) 第 1 回電力システム改革貫徹のための政策小委員会 (2016/9/27) 資料をもとに作成 各制度の導入時期 非化石価値取引市場 各制度等 2017 年度 2018 年度 2019 年度 ベースロード市場 容量市場 取引開始 ベースロード市場が先行 2020 年度 2021 年度 ~ 受渡開始 取引開始 容量契約発行 (2024 年度 ~) その他 非化石価値等 非化石電源で発電された電気に付随する環境価値 非化石価値取引市場 需給調整市場 広域運用開始 広域調達開始 (2021 年度 ~) 一つの市場において 複数の価値を取り扱う場合も考えられる ( 出典 ) 第 2 回電力 ガス基本政策小委員会 (2017/2/9) 資料をもとに作成 非化石価値取引市場 取引開始 (FIT 電源のみ ) 5 月 取引開始 ( 全非化石電源 ) ( 出典 ) 電力 ガス基本政策小委員会第 23 回制度検討作業部会 (2018/5/18) 資料をもとに作成 ベースロード市場 容量市場 需給調整市場 非化石価値取引市場

i-4 ベースロード市場 大手電力会社が保有する石炭火力や大型水力 原子力などのベースロード電源の一定量を市場に供出することにより これまで LNG 火力などミドルロード電源で顧客の需要に対応してきた新電力の調達環境を改善し 競争活性化につなげることが市場創設の狙い (2019 年度の創設を予定 ) 大手電力会社が市場に供出する際の供出価格は 新電力と大手電力会社の小売部門とのイコールフッティングを図る観点から グループ内の小売電気事業者に対する自己のベースロード電源の卸供給料金と比較して不当に高い水準とならないよう ベースロード電源の発電平均コストを基礎とした価格が上限 旧一般電気事業者と新規参入の供給力の違いとベースロード市場 ( イメージ ) 旧一般電気事業者 新規参入者 ピーク ( 石油等 ) ピーク ( 石油等 ) ミドル (LNG 等 ) VS ベースロード ( 石炭等 ) ミドル (LNG 等 ) 0 3 ベースロード ( 石炭火力 大型水力 原子力等 ) 更なる競争を促進 6 9 12 15 18 21 24( 時 ) 0 3 ベースロード不足分 ( ミドルで代替 ) 6 9 12 15 18 21 24( 時 ) 電源供出 ベースロード市場 ( 新設 ) 電源調達 ( 出典 ) 電力 ガス基本政策小委員会第 23 回制度検討作業部会 (2018/5/18) 資料

i-4 容量市場 卸電力市場における取引量の拡大や FIT 制度等に伴う再エネの導入拡大により 電源投資の予見性が低下 国全体で必要となる供給力 調整力を確保するための設備の新設や維持が困難になっていくことが懸念される中 電力の供給能力の価値 (kw 価値 ) を供給量の価値 (kwh 価値 ) から切り離し 別々に取引する場を設けることで 発電事業者が投資の予見性を高め 発電設備の新設や維持を促すことが市場創設の狙い (2020 年度の創設を予定 ) 容量市場では 発電事業者などが kw 価値を提供し 小売電気事業者が需要実績に応じて対価を支払う また 取引は 市場管理者である電力広域的運営推進機関が一括調達する形で仲介する仕組み 容量市場のイメージ ( イメージ ) 市場管理者である電力広域的運営推進機関 ( 広域機関 ) が 実需給の数年前から容量オークションを開催してkW 価値を一括確保 その後 小売電気事業者等から必要な費用を徴収し 落札者に支払いする 容量市場創設後の収入 ( イメージ ) 容量市場が導入されることで 事前に確保した容量 (kw 価値 ) に対して 稼働し ていない期間 (kwh = 0 の期間 ) でも 一定の収入を得ることができる 容量オークション N-4(4 年前 ) N-1(1 年前 ) N( 実需給年 ) kw 価値一括確保 容量オークション kw 価値一括確保 容量確保契約 ( 仮称 ) 発効 落札者 ( 発電事業者等 ) 市場管理者 ( 広域機関 ) 容量確保契約 ( 仮称 ) 終了 支払 時間 可変費 ( 燃料費等 ) 発電費用 固定費 ( 減価償却費等 ) 売電収入 ( 稼働中のみ ) 発電収入 容量市場による収入 ピーク時に電気を確実に供給できる能力 (kw) に応じて一定の収入が得られる仕組み ( 固定費の全てをカバーするわけではない ) 請求 徴収 稼働期間 非稼働期間 稼働期間 非稼働期間 小売電気事業者 一般送配電事業者 ( 出典 ) 電力 ガス基本政策小委員会第 23 回制度検討作業部会 (2018/5/18) 資料 ( 出典 ) 電力 ガス基本政策小委員会第 23 回制度検討作業部会 (2018/5/18) 資料

i-4 需給調整市場 周波数制御や電力需給のバランス調整に活用する調整力を取引する市場 (2021 年度の創設を予定 ) 2016 年 4 月に施行された第 2 弾の改正電気事業法に基づく新たなライセンス制度のもと 一般送配電事業者は 電力供給区域の周波数制御や需給バランスの調整を行っている 現在 一般送配電事業者は 一般送配電事業者が行う調整力の公募調達に係る考え方 に基づき 公募により各エリアの調整力を調達しているが より柔軟に調整力の調達や取引を行うことが狙い 将来的に エリアを超えた広域的な調整力の調達 運用を行うことで より効率的な需給運用の実現を目指している 現在 2021 年度以降 各エリアの一般送配電事業者が公募により調整力を調達 一般送配電事業者がエリアを超えて市場から調整力を調達 一般送配電事業者 A 公募 一般送配電事業者 A 一般送配電事業者 B 一般送配電事業者 C 電源 A 一般送配電事業者 B 電源 A 一般送配電事業者 C 需給調整市場 公募 公募 電源 A 電源 A 電源 B 電源 B 電源 C 電源 C 電源 B 電源 C 電源 B 電源 C 電源 は旧一電電源 新電力電源 DR 等 広域調整 運用にあたっては連系線運用の変更やシステム改修が必要となるため 2021 年度以降 段階的に広域的な調達 運用を拡大 ( 出典 ) 電力 ガス基本政策小委員会第 17 回制度検討作業部会 (2017/12/26) 資料より作成

i-4 非化石価値取引市場 非化石電源 ( 再生可能エネルギーや原子力など ) により発電された電気の 非化石価値 を証書として取引する市場 エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用及び化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律 ( エネルギー供給構造高度化法 ) に基づく小売電気事業者に対する非化石目標(2030 年 44%) 達成の後押しや 需要家の選択肢の拡大 FIT 賦課金による国民負担軽減が狙い 2018 年 5 月 18 日より まずは FIT 電源分の非化石証書の取引が開始されている なお FIT 電源以外分の非化石証書の取引は 住宅用太陽光発電の FIT 買取期間が初めて終了する 2019 年度に発電された分から取引対象とすることを目途にしつつ 詳細検討が進められている FIT 電源由来の非化石価値取引市場のイメージ FIT 発電事業者 FIT 電気 ( 非化石価値無 ) 環境価値は電気から分離されている 小売電気事業者 非化石価値取引市場 証書購入 電気 ( 非化石価値有 ) 需要家 証書発行 証書売却収入 費用負担調整機関 (GIO) FIT 賦課金 FIT 電気 ( 非化石価値無 ) 非化石証書電気 ( 非化石価値有 ) 証書売却収入 ( 出典 ) 電力 ガス基本政策小委員会第 17 回制度検討作業部会 (2017/12/26) 資料

i-5 電気事業制度についてー 5 卸電力取引所 日本卸電力取引所は 私設の任意の取引所として創設され 2005 年 4 月から スポット取引 先渡定型取引 先渡掲示板取引 の3 種類の電気の現物取引を開始 その後 先渡市場取引 (2009 年 4 月 ) 時間前市場取引 (2009 年 5 月 ) 分散型 グリーン売電市場取引 (2012 年 6 月 ) を創設 小売全面自由化に伴い取引所における取引機会拡大 適正価格形成の重要性が増すため 日本卸電力取引所は 2016 年 4 月に電気事業法に基づく国の指定法人に指定された また 2016 年 4 月から スポット取引および時間前市場取引は休祭日を含めて 365 日オープンになるとともに 時間前市場取引は各商品の受け渡しの 1 時間前までの取引が可能な制度に変更となった 2018 年からは非化石価値取引市場が創設された 日本卸電力取引所は 総合資源エネルギー調査会電気事業分科会報告答申 今後の望ましい電気事業制度の骨格について (2003 年 2 月 ) の主旨に基づき 2003 年 11 月に私設任意に設立され 2005 年 4 月 1 日から電力取引を開始している 日本卸電力取引所の運営 日本卸電力取引所は 現物のスポット取引並びに先渡し取引等の仲介を円滑かつ中立的に運営することを共通の目的として 中間法人法に基づいて組織された有限責任中間法人であったが 2009 年 6 月 中間法人法の廃止に伴い 一般社団法人となった また 小売全面自由化に伴い取引所における取引機会拡大 適正価格形成の重要性が増すため 2016 年 4 月に電気事業法に基づく国の指定法人に指定された 基金を拠出し社員総会の議決権を有する 社員 は 旧一般電気事業者 9 社を含む計 21 社 (2018 年 4 月末時点 ) 卸電力取引を行う 取引会員数 は 旧一般電気事業者 9 社を含む計 143 社 (2018 年 8 月 28 日時点 ) 日本卸電力取引所の主な組織 日本卸電力取引所は 公平公正な取引を実現するため 社員総会および理事会の下に以下のような委員会が設置されている < 常設委員会 > 市場取引監視委員会: 市場における取引の公正および公正な価格形成を図るために市場における取引を監視 紛争処理委員会 : 取引会員間に生じた紛争の仲介に関し必要な事項を定め 紛争の解決にあたる 運営委員会 : 取引所の運営 定款の改廃 ルールの執行および見直しなど運営に関わる諸課題を検討 市場取引検証特別委員会: 旧一般電気事業者の取引所への投入量が 電気事業分科会における自主表明に基づく適切なものであるかを検証 日本卸電力取引所での取引の種類 2005 年 4 月の取引所創設以来 課題 ニーズを踏まえ取引可能な商品が順次追加されてきた 取引は電気の実物取引であり 他の商品取引所で行われている金融的手法による取引は行われていない また いずれの取引市場も地域別市場ではなく 全国市場である < 2005 年 4 月の取引所取引開始当初からの取引 > スポット取引 : 翌日受け渡しされる電気の取引 先渡定型取引 : 一定期間後に受け渡しされる電気の取引 先渡掲示板取引: 掲示板への自由な書き込みによる取引 ( 次画面へ続く )

i-5 電気事業制度についてー 5 卸電力取引所 ( 続き ) < 2008 年 11 月から開始された取引 > グリーン電力の卸電力試行取引: 原子力 水力 風力 太陽光など発電時に CO2 を排出しない発電設備から発電される電気の試行取引 京都メカニズムクレジット試行取引 < 2009 年 4 月から開始された取引 > 先渡市場取引: 約定した電気の受け渡しを匿名のままスポット取引を通じて取引所が行い 売買代金の精算も取引所が仲介する取引 卸取引活性化に向けた取組み 旧一般電気事業者は 卸電力市場の活性化を図るため 余剰電源を限界費用ベースでスポッ ト市場に供出するなどの自主的取組みを実施している 2017 年 4 月からは 自社供給 ( 社 内取引 ) 分も含めて取引所を介して売買するグロスビディング を順次開始するなど スポッ ト市場の取引量は着実に増加してきている 海外においても取引の透明化 効率化 取引所取引の流動性 価格指標性の向上といった意義があるとされている取組み < 2009 年 9 月から開始された取引 > 時間前市場取引 : 前日計画策定後の不測の需給ミスマッチに対応するための市場取引 < 2012 年 6 月から開始された取引 > 分散型 グリーン売電市場取引 : 自家発やコジュネ等の小口の余剰発電分の売電が可 能な市場取引 < 2016 年 4 月から開始された取引 > 1 時間前市場取引 : 当日市場として受け渡しの 1 時間前まで取引が可能な ザラバ仕法の 1 時間前市場を新たに創設 従来のシングルプライスオークション方式の時間前市場は廃止 先渡定型取引の廃止: 先渡定型取引を廃止し 先渡市場取引に集中 掲示板市場を分散型 グリーン売電市場と統合 365 日営業 : 土日祝日等も市場を開場 < 2018 年から開始された取引 > 非化石価値取引市場 : 電気に付随する非化石価値を顕在化させ市場で取引

i-6 日本の電気事業体制 わが国の電気事業体制は 1951 年以降 60 年以上にわたり 地域ごとに 発電 送配電 販売 ( 小売 ) を一貫して行う一般電気事業者による責任供給体制が続いてきた 2014 年の電気事業法の改正により 2016 年 4 月以降は電気事業の類型が見直され 発電 送配電 小売の事業区分となり それぞれの事業者がそれぞれの責任を全うすることで安定供給が確保されることとなった (i-3 参照 ) 2014 年の電気事業法改正で 上記電気事業類型が見直され 2016 年 4 月以降は 発電事業 ( 届出制 ) 送配電事業( 許可制 ) 小売電気事業( 登録制 ) の 3 類型となった 従来の一般電気事業者 ( 旧一般電気事業者 ) は 引き続き 発電事業 送配電事業 小売電気事業を兼業しているが 2015 年の電気事業法改正では 電力市場における活発な競争を実現する観点から 送配電部門の中立性を高めるため 原則として 2020 年 4 月に送配電事業の法的分離 ( 分社化 ) が実施されることとなった ( 東京電力は先行して 2016 年 4 月に法的分離 ( 分社化 ) を実施 ) わが国の電気事業体制は 一般のお客さまに電気を販売することを目的とする一般電気事業者が 電気の生産から販売に至るまでの発電 送配電 販売 ( 小売 ) を一貫して担い 自社のサービス区域のお客さまに電気をお届けする責任供給体制となっていた 一般電気事業者は 1951 年 5 月の電力再編成によって誕生した 9 電力会社と沖縄復帰に伴い 1972 年 5 月に発足した沖縄電力の 10 社からなっており 各社 株式会社組織の民間会社である 1995 年の電気事業法改正で 一般電気事業者に電気を卸供給する卸電気事業の規制を課す範囲が一定規模以上 ( 発電設備の出力合計が 200 万 kw 超 ) に限定され 許可を受けない非電気事業者でも入札制度を通じて自由に発電事業に参入できるようになった これにより 卸電気事業者は 電源開発 ( 株 ) 日本原子力発電( 株 ) の 2 社となったが 既に卸電気事業に係わる許可を受けている公営水力 共同火力も引き続き卸電気事業者とみなされた そして 卸電気事業者以外の卸供給を営む者は卸供給事業者とされ いわゆる独立発電事業者 (IPP) がこれにあたる また 特定の地点のお客さまに電気を供給する特定電気事業に係わる制度が創設された

i-7 特定供給 特定供給とは 自身が持つ発電設備で発電した電気を密接な関係性を持つ者に供給することをいい 以下の場合に限り 経済産業大臣の許可を得て行うことができる 1 事業者と供給の相手方との間に資本関係や人的関係等の密接な関係がある 2 一般の需要家の利益を阻害するおそれがないこの場合 需要家との間で密接な関係が存在することから 自家発自家消費に類似し下性格を有するものと認められ 需要家への供給条件の説明義務等は課せられていない