亜硝酸態窒素除去 タルシオン A-62MP(FG) はじめに平成 26 年 1 月 14 日 水質基準に関する省令 ( 平成 15 年厚生労働省令第 101 号 ) の一部が改正され 亜硝酸態窒素に係る基準 (0.04mg/L) が追加され 平成 26 年 4 月 1 日から施行となりました ( 厚

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亜硝酸態窒素除去 タルシオン A-62MP(FG) はじめに平成 26 年 1 月 14 日 水質基準に関する省令 ( 平成 15 年厚生労働省令第 101 号 ) の一部が改正され 亜硝酸態窒素に係る基準 (0.04mg/L) が追加され 平成 26 年 4 月 1 日から施行となりました ( 厚生労働省ホームページ ) 従来の硝酸態および亜硝酸態窒素 (10mg/L) 以下と比べると 格段に厳しく規制されることとなり 亜硝酸態窒素 1 項目だけのために水道水基準不適合となるケースも考えられます 塩再生 A-62MP(FG) 亜硝酸態窒素を除去する方法は 逆浸透膜イオン交換などが考えられます 亜硝酸態窒素以外にも除去すべき項目がある場合には 逆浸透膜が優位になることがありますが 硝酸と亜硝酸除去のみが目的の場合には 塩再生できるイオン交換法が小型 安価 安全でかなり優位な方法です 塩再生できる陰イオン交換樹脂 ( タイプⅠ) は 性能の差はありますが硝酸及び亜硝酸を除去できます しかし A-62MP(FG) は 一般のタイプⅠ 樹脂と比べ 硝酸及び亜硝酸を選択的に吸着できる官能基を持っていることから 硝酸及び亜硝酸をより低濃度に処理でき また実際の交換能力も大きくなっています 亜硝酸態窒素に対する除去性能今回 信頼できる協力会社様に テスト 分析を依頼し 以下にその結果をお知らせします また メーカーであるサーマックス社の硝酸に対する選択除去のテ ータも追記します 設計のカ イト ラインにお使いください 私どもでは樹脂のみでなく FRP タンク 自動再生コントロールハ ルフ 塩タンク等周辺機器もご 提案させていただきますので お気軽にご相談ください 2014 年 5 月 神奈川県逗子市桜山 6-10-26 有限会社ジュンズ コーポレーション 代表取締役小西潤

亜硝酸態窒素除去試験 試験方法 (1) 福岡県内水道水にチオ硫酸ナトリウムを少量添加し 残留塩素を除いた (2) これに亜硝酸態窒素として15mg/L,20.5mg/L,30.05mg/L となるように亜硝酸ナトリウムを添加し試験原水とした (3)10mm のガラスカラムに A-62MP(FG) を 10mL 充填し ( 樹脂層高 132) SV=20 で通液した (4) 樹脂通過水を適宜サンフ リンク し イオンクロマトグラフにて亜硝酸態窒素濃度を測定した *SV=20 20BV/Hr のこと BV は樹脂量 (Bed Volume) 1 時間当たり樹脂量 の 20 倍量の原水を流すこと 今回樹脂量が 10mL であるから 200mL/Hr の流速でカラムに通水した 1. 原水分析分析項目 水道水 1 2 3 電気伝導率 (μs/cm) 203 250 213 210 NO2-N(mg/L) - 4.7 0.45 0.05 NO3-NO3(mg/L) 6.2 - - - SO4-SO4(mg/L) 10.3 - - - 2. 亜硝酸態窒素測定結果 14.7mg/L 通過量 (BV) NO2-N(mg/L) 300 <0.006 390 <0.006 480 0.020 510 0.032 540 0.055 570 0.082 660 0.280

20.45mg/L 通過量 (BV) NO2-N(mg/L) 480 <0.006 660 <0.006 840 <0.006 1020 0.018 1110 0.038 1170 0.060 1200 0.073 1290 0.124 30.05mg/L 通過量 (BV) NO2-N(mg/L) 480 <0.006 840 <0.006 1020 <0.006 1200 0.011 1380 0.024 1470 0.031 1560 0.038 1650 0.045 1800 0.055 亜硝酸態窒素を 0.04mg/L 以下に処理できる水量は 1 原水でおよそ 500BV. 2 原水でおよそ 1100BV 3 原水でおよそ 1500BV となった 1 原水の 5mg/L( 実際 4.7mg/L) は 自然水でこれより高い濃度はないであろう を想定 3 原水の 0.05mg/L は 基準値をごくわずか超えてしまっている を想定

試験結果からの交換容量 1 原水の場合 NO2-N 4.7mg/L 3.28 = 15.42mg/L NO2-NO2 NO2-NO2 15.42 mg/l 1.087 = 16.76 mg/l as CaCO3 NO3-NO3 6.2 0.81 = 5.02 mg/l as CaCO3 SO4-SO4 10.3 1.04=10.71mg/L as CaCO3 16.76+5.02+10.71 = 32.49 mg/l 1 原水の負荷 500BV をブレークポイントとすると 32.49 500 =16.25 g as CaCO3 / L-R 樹脂 1L あたりの交換能力 2 原水の場合 NO2-N 0.45 3.28 =1.47 mg/l NO2-NO2 NO2-NO2 1.47 1.087=1.59 mg/l as CaCO3 NO3-NO3 6.2 0.81 =5.02 SO4-SO4 10.3 1.04= 10.71 1.59+5.02+10.71= 17.32 mg/l 2 原水の負荷 1100BV をブレークポイントとすると 17.32 1100 = 19.05 g as CaCO3 / L-R 3 原水の場合 NO2-N 0.05 3.28=0.16mg/L NO2-NO2 NO2-NO2 0.16 1.087=0.17 mg/l as CaCO3 NO3-NO3 6.2 0.81= 5.02 SO4-SO4 10.3 1.04= 10.71 0.17+5.02+10.71 = 15.9 mg/l 3 原水の負荷 1500BV をブレークポイントとすると 15.9 1500 = 23.85 g as CaCO3 / L-R まとめ亜硝酸態窒素を 0.04mg/L 以下に処理できる能力は 水道水レベルの塩濃度の中に 1 亜硝酸態窒素が 4.7mg/L( 高濃度 ) ある場合は 樹脂量の 500 倍通水して再生 0.05mg/L( 低濃度 ) ある場合は 樹脂量の 1500 倍通水して再生する 2 樹脂 1lあたりの交換容量は 炭酸カルシウム換算で 16~23 g ( 亜硝酸 硝酸 硫酸 の炭酸カルシウム換算値の合計で )

A-62MP(FG) の交換容量この樹脂は 硫酸イオン (SO4) より硝酸 亜硝酸イオン (NO3,NO2) を優先的に吸着します 硝酸イオンと亜硝酸イオンの間の優先順位は不明ですが 従来からほぼ同じと考えられています ( サーマックス社のコメントによる ) 注意 :A-62MP(FG) は 硝酸 亜硝酸に対して選択性が高い樹脂ですが 100% ではありま せん 原水の硝酸 (NO3) 硫酸 (SO4) の濃度が高くなれば 亜硝酸に対する交換能 力は低下します またリン酸 (PO4) などほかにも影響を与えるものも考えられます 以下にサーマックス社研究所内での硝酸吸着に対する比較テ ータをご紹介します 樹脂 : タルシオン A-23P ( タイプⅠ ゲル 総交換容量 1.3meq/ml ) タルシオン A-27MP ( タイプⅠ マクロホ ーラス 総交換容量 1.3meq/ml ) タルシオン A-62MP ( タイプⅠ マクロホ ーラス 総交換容量 1.0meq/ml 硝酸 亜硝酸選択) 再生レベル : いずれも 100 g as NaCl / L-R 原水 : 研究所内プロセス水を 硝酸 (NO3): 硫酸 (SO4) が 1:1, 1:2, 1:3 になるよう調整 (w :w) ( 各濃度記述なし ) テスト : 3 種類の樹脂に 3 種類の原水をそれぞれ SV=20 の流速で { 破過ではなく 飽和するまで } 通水し その時の硝酸 (NO3) の吸着量を比較した NO3 : SO4 比率 1 : 1 1 : 2 1 : 3 A-23P 0.307 0.285 0.210 NO3 (meq/ml) A-27MP 0.285 0.267 0.213 A-62MP 0.414 0.410 0.412 まとめ : A-62MP は 他のタイプⅠの樹脂と比べ 硫酸濃度が硝酸濃度の 3 倍になっても硝酸に対する吸着量はほとんど変わらない ( 選択性に優れている ) 総交換容量で劣っていても硝酸の吸着性に優れている

A-62MP と A-62MP(FG) の違い (FG) は 樹脂自体のフ ラスチック臭を低減させる処理を追加で行ったものにつける枝番です 樹脂の構造や性能に影響ありません 以上