産業トピックス

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産業トピックス

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平成 21 年 9 月 5 日 角山智 投資環境レポート (2009 年 9 月 ) 1. 主な株価指数 8 月は 中国株が大幅に値下がりしました 反面 出遅れていた英国株が好調です 市場 日本株 日本新興市場 J-REIT 米国株 英国株 中国株 ( 指数 ) (TOPIX) (JASDAQ) (

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FOMC 2018年のドットはわずかに上方修正

[ 参考 ] 先月からの主要変更点 基調判断 3 月月例 4 月月例 景気は 急速な悪化が続いており 厳しい状況にある 輸出 生産は 極めて大幅に減少している 企業収益は 極めて大幅に減少している 設備投資は 減少している 雇用情勢は 急速に悪化しつつある 個人消費は 緩やかに減少している 景気は

○ユーロ

< 豪州債券市場の市況および今後の見通し > 2016 年の豪州債券市場では 金利が低下しました 年初から 2 月にかけては 中国株をはじめ世界の株式市場が下落するなど市場のリスク回避姿勢が強まる中 金利低下が進みました 1 月末に日銀のマイナス金利導入発表を受け 欧州など他国でもさらなる金融緩和期

関西経済レポート (2019 年 9 月 ) 令和元年 (2019 年 )9 月 30 日 ~ 輸出減少が継続 インバウンド消費はプラスの伸びを維持 ~ 足元の経済情勢と当面の見通し 関西経済は輸出 生産が斑模様であるが 内需が下支えとなり底堅く推移している 企業部門では 輸出は中国経済の減速等によ

Economic Indicators   定例経済指標レポート

Economic Indicators   定例経済指標レポート

金融市場2018年12月号

経済情報:日銀短観(2011年6月)の結果について.doc

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今回の金融政策報告書では 米国内の投資活動が弱いために輸出が想定ほど伸びていないとしながらも 金融業などサービス関連の好調さを示す分析や 商品価格下落がカナダ企業の投資活動を抑制する動きは底打ちしたとの指摘など カナダ景気に前向きな材料も散見されます 当面は 政策金利の据え置きを続けると見通します

マネーマーケットマンスリー

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PowerPoint プレゼンテーション

平成10年7月8日

低インフレ 乏しい利上げ観測労働市場に目を向けると 8 月の失業率は約 年ぶりの低水準となる5.3% に低下した 雇用者数も伸びており 一部では技術者不足の声も聞かれる RBAは今後数年 失業率は自然失業率とされる5.% を目指して低下が続くとの見方を示している ただ 賃金の上昇率は ~ 月期が前年

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PowerPoint プレゼンテーション

米国の利上げ見送りと日本の長期化した金融緩和

(2) 資産構成割合の推移 ( 給付確保事業 ) 1 資産配分実績の基本ポートフォリオからの乖離の推移 2 実践ポートフォリオと資産配分実績の推移 3. 運用受託機関 平成 29 年 3 月末現在 2

経済・物価情勢の展望(2016年10月)

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資料1

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平成24年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度(閣議了解)

Invesco Premia Plus Fund

米労働市場は直近の回復基調に変化なし ~FRB出口政策への影響は限定的~

サマリー 1 市場の関心は米大統領選の行方に集まっています 世論調査においてドナルド トランプ氏の優勢が報じられると 市場の更なる丌確実性が懸念され リスク資産からの資金流出が記録されました 10 月の MSCI 世界株価指数はマイナス 2.01% MSCI 新興国株価指数は 0.18% と新興国が

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産業トピックス

15 図表 1. 住宅投資 ( 季調値 指数 212 年 =) 14 図表 2. 住宅着工戸数と建設許可件数 ( 季調値年率 万戸 ) :1 13:1 14:1 15:1 16:1 17:1 18:18:2 18:3 ( 資料 )BEA

経済・物価情勢の展望(2018年1月)

( 公社 ) 近畿圏不動産流通機構市況レポート市況トレンド /1 年 7~9 月期の近畿圏市場 1. 中古マンション市場の動き 成約価格は前年比で 3 期連続上昇 1 年 7~9 月期の近畿レインズへの成約報告件数は,9 件と 前年同期比で 1.% 増加した (P1 図表 1) 新規登録件数は 15

定期調査の質問のうち 代表的なものの結果 1. 日本の株価を 企業のファンダメンタルズと比較してどう評価するか 問 1. 日本の株価は企業の実力( ファンダメンタルズ ) あるいは合理的な投資価値にくらべて 1. 低すぎる 2. 高すぎる 3. ほぼ正しく評価されている 4. わからないという質問で

ニュースリリース 農業景況調査 : 景況 平成 3 1 年 3 月 1 8 日 株式会社日本政策金融公庫 平成 30 年農業景況 DI 天候不順響き大幅大幅低下 < 農業景況調査 ( 平成 31 年 1 月調査 )> 日本政策金融公庫 ( 略称 : 日本公庫 ) 農林水産事業は 融資先の担い手農業者

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脆弱なセクターを中心にバランスシート調整を招く懸念が挙げられる 前者は あまりに も非伝統的なトランプ政権の通商政策の波及効果が読み切れないことに伴うリスク 後者 は過去の景気後退において FRB による金融引き締めが先行するケースがほとんどであっ たという経験則に基づくリスク認識である - - -

経済・物価情勢の展望(2017年7月)

金融市場2017年11月号

個人消費の回復を後押しする政策以外の要因~所得の減少に歯止め、節約志向も一段落

第1章

第 70 回経営 経済動向調査 公益社団法人関西経済連合会 大阪商工会議所 < 目次 > 1. 国内景気 2 2. 自社業況総合判断 3 3. 自社業況個別判断 4 4. 現在の製 商品およびサービスの販売価格について 8 参考 (BSI 値の推移 ) 11 参考 ( 国内景気判断と自社業況判断の推

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I. 調査結果概況 景気判断 DI( 現状判断 ) は小幅に上昇し最高値を更新 仕入原価高止まりも客単価が上昇 10 月スーパーマーケット中核店舗における景気判断 49.1 と小幅に上昇し 2010 年 4 月の調査開始以降最高値を記録した 経営動向調査によると売上高 DI が 1.1 とはじめてプ

平成23年11月1日

1. 30 第 1 運用環境 各市場の動き ( 4 月 ~ 6 月 ) 国内債券 :10 年国債利回りは狭いレンジでの取引が続きました 海外金利の上昇により 国内金利が若干上昇する場面もありましたが 日銀による緩和的な金融政策の継続により 上昇幅は限定的となりました : 東証株価指数 (TOPIX)

第 79 回 2017 年 5 月投資家アンケート調査結果 アンケート調査にご協力下さりました皆様 今年 5 月に実施致しましたアンケート調査にご回答下さり誠にありがとうございます このたび調査結果をまとめましたのでお送りさせていただきます ご笑覧賜れましたら幸 いです 今後もアンケート調査にご協力

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ファンダの鬼・柳澤 浩と小杉 篤諭の「ファンダメンタルズの学び方、活かし方セミナー!」

米国経済見通し 個人消費の加速と不透明感

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○ユーロ

[ 調査の実施要領 ] 調査時点 製 造 業 鉱 業 建 設 業 運送業 ( 除水運 ) 水 運 業 倉 庫 業 情 報 通 信 業 ガ ス 供 給 業 不 動 産 業 宿泊 飲食サービス業 卸 売 業 小 売 業 サ ー ビ ス 業 2015 年 3 月中旬 調査対象当公庫 ( 中小企業事業 )

日本経済の現状と見通し ( インフレーションを中心に ) 2017 年 2 月 17 日 関根敏隆日本銀行調査統計局

経済・物価情勢の展望(2017年10月)

SERIまんすりー2月号 今月のみどころ

当面の金融政策運営について(貸出増加支援資金供給の延長等、12時29分公表)

景気見通し調査 ( 平成 25 年 3 月期 ) 調査結果 福井商工会議所 中小企業総合支援センター 調査の概要 当調査は 福井商工会議所管内の小規模事業所の短期的な景気動向を把握するため 毎年 3 月 6 月 9 月 12 月の年 4 回実施している 調査時期 平成 25 年 3 月 13 日 (

マーケット フォーカス経済 : 中国 2019/ 5/9 投資情報部シニアエコノミスト呂福明 4 月製造業 PMI は 2 ヵ月連続 50 を超えたが やや低下 4 月 30 日 中国政府が発表した4 月製造業購買担当者指数 (PMI) は前月比 0.4ポイントの 50.1となり 伸び率がやや鈍化し

月例経済報告

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平成14年1月20日

定期調査の質問のうち 代表的なものの結果 1. 日本の株価を 企業のファンダメンタルズと比較してどう評価するか 問 1. 日本の株価は企業の実力( ファンダメンタルズ ) あるいは合理的な投資価値にくらべて 1. 低すぎる 2. 高すぎる 3. ほぼ正しく評価されている 4. わからないという質問で

月例経済報告

マネーマーケットマンスリー 2018年3月

人民元週間レポート 2019 年 3 月 29 日発行 みずほ銀行 ( 中国 ) 有限公司 中国為替資金部

オーバルネクスト ETF 情報 2010 年 2 月 15 日号 ( 株 ) オーバルネクスト 東京都中央区日本橋兜町 13-2 TEL 03(5641)5777

Outlook201812

1. 30 第 2 運用環境 各市場の動き ( 7 月 ~ 9 月 ) 国内債券 :10 年国債利回りは上昇しました 7 月末の日銀金融政策決定会合のなかで 長期金利の変動幅を経済 物価情勢などに応じて上下にある程度変動するものとしたことが 金利の上昇要因となりました 一方で 当分の間 極めて低い長

けた この間 生産指数は 上昇傾向で推移した (2) リーマン ショックによる大きな落ち込みとその後の回復局面平成 20 年年初から年央にかけては 米国を中心とする金融不安 景気の減速 原油 原材料価格の高騰などから 景気改善の動きに足踏みが見られたが 生産指数は 高水準で推移していた しかし 平成

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Economic Indicators_  定例経済指標レポート

米国株 投資家心理が落ち着けば 上昇基調に回帰と想定 株式市場 MSCI 米国 2, % 先月の回顧 長期金利の上昇を契機に急落米国株式市場は下落しました 月初に発表された1 月の雇用統計において 時間当たり賃金が市場予想を上回る伸び率となったことを受けて 長期金利が約 4 年ぶ

Currency201207

金融政策決定会合における主な意見

変額年金 ( 特別勘定 ) の現況をご覧になる方に 特にご確認いただきたい事項 投資リスクについて 変額年金保険の特別勘定の資産運用は 国内外の株式および公社債 国内外のその他の有価証券 貸付金 コールローンおよび預貯金等を主な運用対象としておりますので 株価の下落や金利の変動 為替の変動などにより

平成 25 年 3 月 19 日 大阪商工会議所公益社団法人関西経済連合会 第 49 回経営 経済動向調査 結果について 大阪商工会議所と関西経済連合会は 会員企業の景気判断や企業経営の実態について把握するため 四半期ごとに標記調査を共同で実施している 今回は 2 月下旬から 3 月上旬に 1,7

株式市場 米国株 トランプ氏の政策への期待感後退で調整も MSCI 米国 2, % 先月の回顧 米国株式市場は上昇しました 11 月 8 日 ( 現地 ) に行われた大統領選挙でトランプ氏が当選し 減税やインフラ投資の拡大などの同氏の政策に注目が集まりました 債券市場では金利が上

Outlook201806

経済学でわかる金融・証券市場の話③

国内短期金利

社団法人日本生産技能労務協会

変額年金 ( 特別勘定 ) の現況をご覧になる方に 特にご確認いただきたい事項 投資リスクについて 変額年金保険の特別勘定の資産運用は 国内外の株式および公社債 国内外のその他の有価証券 貸付金 コールローンおよび預貯金等を主な運用対象としておりますので 株価の下落や金利の変動 為替の変動などにより

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Fidelity Charts & Graphs PowerPoint Template

マクロ インサイト FRB FRB 長期金利 FRB bp 図表 1 FRB と市場の金利予測の乖離 FOMC 予測 vs 市場予測 年末 年末 2.0 市場が

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人民元週間レポート 2017 年 6 月 16 日発行 みずほ銀行 ( 中国 ) 有限公司 中国為替資金部

各資産のリスク 相関の検証 分析に使用した期間 現行のポートフォリオ策定時 :1973 年 ~2003 年 (31 年間 ) 今回 :1973 年 ~2006 年 (34 年間 ) 使用データ 短期資産 : コールレート ( 有担保翌日 ) 年次リターン 国内債券 : NOMURA-BPI 総合指数

Transcription:

平成 20 年 (2008 年 )7 月 1 日 ~ 住宅市場調整 金融不安 物価高により景気下振れリスク強まる ~ 1. 実体経済の動向 (1) 住宅市場 住宅着工の減少が 続く一方 販売には 安定化の動きも 住宅市場では 5 月の住宅着工が年率 97.5 万戸と約 17 年振りの水準に 落ち込むなど 厳しい供給調整が続いている 一方 需要サイドでは 住宅販売の減少テンポが新築 中古ともに鈍るなど 足元で安定化の動 きも見られる ( 第 1 図 ) 第 1 図 : 住宅販売戸数 2000 1800 100 1400 ( 年率 千戸 ) ( 年率 千戸 ) 新築 中古 ( 右 ) 8000 7000 000 1200 5000 1000 800 00 4000 3000 400 00 01 02 03 04 05 0 07 08 ( 年 ) 2000 ( 資料 ) 米商務省 National Association of REALTORS のデータより三菱東京 UFJ 銀行経済調査室作成 住宅販売の急激な落ち込みにブレーキがかかってきたのは 住宅価格 の下落やローン金利の低下によって住宅が購入しやすくなり 値ごろ感 から一部に購買意欲が出てきたことが一因とみられる もっとも 最近 1

住宅販売がこのま ま底打ちに向うか は不透明 ( 注の住宅ローン金利の上昇により 住宅取得可能指数 ) は低下に転じており 購買環境は再び悪化している ( 第 2 図 ) また 住宅価格の下落は一方で 価格の先安感から住宅の買い控えにつながっている面もある 住宅販売が本格的に上向くには住宅価格の見通しが明るくなる必要があるが 足元の在庫状況などをみる限り それには時間がかかりそうだ 住宅販売の先行指標である購入用の住宅ローン申請件数も依然 弱含んだままであることから 住宅販売がこのまま底打ちに向うと判断するにはまだ材料不足である ( 注 ) 中位価格の住宅を購入するために頭金 20% で住宅ローンを組んだ際 その元利支払額が収入の 25% となる所得を 100 として 現在の所得を指数化したもの 指数が下がるほど 住宅の購入が困難になることを示す 第 2 図 : 住宅取得可能指数 (Housing Affordability Index) 150 140 130 120 (5 月 ) 110 100 90 91 92 93 94 95 9 97 98 99 00 01 02 03 04 05 0 07 08( 年 ) ( 資料 )National Association of REALTORS のデータより三菱東京 UFJ 銀行経済調査室作成 (2) 雇用 消費 雇用環境の悪化に 伴い 失業期間が長 期化 雇用情勢は引続き悪化している 月の非農業雇用者数は前月比.2 万人 過去の景気後退期と比べると減少幅は小幅だが ヵ月連続でマイナスとなった 失業率は前月と同じ 5.5% で 前月の大幅上昇 (0.5% 単月では 198 年 2 月以来の大きさ ) が異常値でなかったことが確認された 新規採用の動きが鈍っているため いったん失業すると早期の再就職が難しくなってきており 失業期間 ( 中央値 ) は足元で急速に長期化している ( 第 3 図 ) こうした雇用 所得環境の悪化に加え 住宅価格下落による逆資産効果や物価上昇が個人消費を圧迫している 2

第 3 図 : 失業率と失業期間 7 失業率失業期間 ( 中央値 右目盛 ) ( 週 ) 14 13 12 5 11 4 10 9 3 8 2 7 1 95 9 97 98 99 00 01 02 03 04 05 0 07 08 ( 年 ) 5 ( 資料 ) 米労働省のデータより三菱東京 UFJ 銀行経済調査室作成 戻し減税が個人消 費を下支え こうした中 唯一 足元の消費を支えているのが戻し減税である 米商務省によると 4 月に 233 億ドル ( 年率 ) 5 月に 5771 億ドル ( 同 ) が還付され 同期の所得を大きく押し上げた 4-5 月平均の可処分所得は 1-3 月期比年率 15.2% 増と 減税がなかった場合の同 3.0% を大きく上回った このうちどの程度が消費に回ったかであるが 税還付が本格化した 5 月の貯蓄率が 5.0% に跳ね上がったことから 多くは貯蓄に回ったことが窺われる 仮に 減税を除いた所得から消費 貯蓄に回る割合が 1-3 月期平均と変わらないとすると 4-5 月に還付された減税のうちわずか約 15% しか消費に回らなかった計算になる それでも 減税規模が大きいだけに消費の押上げ効果は無視できないものがある 上記前提に立つと 4-5 月平均の消費の伸びは 減税がなかった場合に比べ 1.8% 押し上げられている ( 表 ) 表 : 戻し減税の影響試算 (10 億ドル 年率 ) 1-3 月 4 月 5 月 4-5 月 可処分所得 10497.4 10574.4 11174.7 10874. ( 前月 ( 期 ) 比年率 %) (5.1) (4.) (94.0) (15.2) 減税額 --- 23.3 577.1 300.2 可処分所得 ( 除く減税 ) --- 10551.1 10597. 10574.4 ( 前月 ( 期 ) 比年率 %) --- (1.9) (5.4) (3.0) 消費支出 10053.7 10133.0 10210.4 10171.7 ( 前月 ( 期 ) 比年率 %) (4.8) (5.0) (9.) (4.8) 消費支出 ( 除く減税 ) --- 10105.1 10149. 10127.4 ( 前月 ( 期 ) 比年率 %) --- (1.) (5.4) (3.0) 貯蓄額 43.8 39.7 555.7 297.7 ( 貯蓄率 %) (0.4) (0.4) (5.0) (2.7) 通常分 --- 44.0 44.2 44.1 減税分 --- -4.3 511.5 253. 減税のうち貯蓄した割合 --- -18. 88. 84.5 同 消費した割合 (% 累計) --- 119.8 14.8 --- ( 注 ) 減税分を除いた貯蓄率 消費性向を <1-3 月 > と同じと仮定して試算 ( 資料 ) 米商務省のデータより三菱東京 UFJ 銀行経済調査室作成 3

(3) 企業活動企業活動は低調ながら 家計部門に比べると底堅い 企業部門は 家計部門に比べると底堅さを維持している 月の ISM 製造業景況指数は前月比 +0. ポイントの 50.2 と 5 ヵ月振りに好不調の分かれ目となる 50 を上回った 好調な輸出が底堅さの一因とみられる 一方 非製造業指数は 3 ヶ月振りに 50 を小幅割り込み 緩やかな低下基調を確認した 輸出の下支えが小さい非製造業部門では 資源価格上昇によるコスト増の悪影響がより強く出ているとみられる ( 第 4 図 ) 第 4 図 :ISM 景況指数 5 0 製造業 非製造業 55 50 45 40 98 99 00 01 02 03 04 05 0 07 08 ( 年 ) ( 資料 )The Institute for Supply Management のデータより三菱東京 UFJ 銀行経済調査室作成 生産減少で設備稼 働率も低下 5 月の鉱工業生産は 公益事業 ( 電力 ) を中心に前月比 0.2% と 4 月 ( 同 0.7%) に続き 2 ヵ月連続で減少した 4- 月平均でも前期比マイナスは必至である 生産減少で設備稼働率も低下基調にあり 5 月は 79.4% に低下 長期平均 (81.0%) からの下振れが目立ってきた ( 第 5 図 ) 第 5 図 : 鉱工業設備稼働率 8 84 82 80 78 1972-2007 年の平均 81.0% 7 74 72 90 91 92 93 94 95 9 97 98 99 00 01 02 03 04 05 0 07 08( 年 ) ( 資料 )FRB のデータより三菱東京 UFJ 銀行経済調査室作成 4

(4) 物価 川上の物価上昇圧力は引続き強い製造段階では 川下への価格転嫁が徐々に進む 川上の物価上昇圧力は引続き強い 月の ISM 仕入れ価格指数をみると 製造業では 91.5 と 1979 年 7 月以来の水準に上昇 非製造業も 84.5 と 1997 年の統計開始以来の最高を更新した ( 第 図 ) 回答企業からのコメントをみると 企業にとってコスト高が経営上の大きな問題になってきていることがわかる 今のところ川下の物価は総じて安定しているが コスト高に耐えられなくなった企業を中心に 川下への価格転嫁の動きが徐々に広がりつつあり 先行きについては予断を許さない状況にある 月 11 日に発表された地区連銀景況報告 ( ベージュブック ) では 小売段階ではまちまちだが 製造段階では価格転嫁が徐々に進んでいる という報告が複数の地区連銀から寄せられた 実際 生産者物価では中間財 最終財ともにエネルギー 食料を除いたコア部分の上昇率がジリジリと高まっている なお ダラス連銀からは 価格上昇のリスクを回避するため 一部の企業は原材料在庫を積み増している との報告があった これは 企業の期待インフレ率が高まり 仮需が発生していることを示す動きである ( こうした動きが広まれば 物価上昇圧力が一段と強まるだけでなく 在庫投資の変動を通じて景気の振幅が大きくなることが懸念される ) このように 資源価格の高騰は 企業収益を圧迫するだけでなく 企業の調達行動などにも影響を及ぼし始めている可能性がある 第 図 :ISM 価格指数 100 90 製造業 非製造業 80 70 0 50 40 30 98 99 00 01 02 03 04 05 0 07 08 ( 年 ) ( 資料 )The Institute for Supply Management のデータより三菱東京 UFJ 銀行経済調査室作成 5

2. 金融動向 (1) 金融政策 月の FOMC 声明文は予想よりタカ派色が薄い内容 FRB はインフレ期待の安定を最重視 連邦準備制度理事会 (FRB) は 月 24-25 日に開かれた連邦公開市場委員会 (FOMC) で FF 金利の誘導目標を 2% に据え置いた ( 第 7 図 ) FOMC の声明文では 景気の下振れリスクは残っているものの 幾分 軽減したようだ と前回 4 月の FOMC から景気の見方を上方修正した 一方 物価については インフレ インフレ期待の上振れリスクが増した として警戒を強めている ただし 年後半から来年にかけてインフレの緩和を見込むなど 事前の予想に比べるとタカ派色が薄い内容となっており これをうけて市場では早期の利上げ観測が後退した 資源価格とそれ以外の品目の価格差が大きく開いてしまったため 今後 資源価格が大幅に下がらない限り コストが増加した分を販売価格に転嫁する動きが強まることはある程度避けられない その分 コア物価には上昇圧力がかかることになる この点 コーン FRB 副議長は 月... 11 日の講演で 物価が一時的にある程度上昇することは容認する と発言しており 今後 コア物価が多少 強含んだからといって FRB が景気や金融市場の動向を無視して即座に利上げする可能性は低いとみられる しかし 一方で副議長は それにはインフレ期待の安定が大前提だ とも述べている FRB は価格転嫁の動きを通じてインフレ期待が高まり 資源価格の高騰がホームメード インフレ ( 国内要因によるインフレ ) へ繋がっていくことを強く警戒しており 当面 インフレ期待の安定を最優先する政策運営を続けると見られる 第 7 図 :FF 金利の推移 10 8 FF 金利誘導目標 4 2 0 1990 年 1 月 1991 年 1 月 1992 年 1 月 1993 年 1 月 1994 年 1 月 1995 年 1 月 199 年 1 月 1997 年 1 月 1998 年 1 月 1999 年 1 月 2000 年 1 月 2001 年 1 月 2002 年 1 月 2003 年 1 月 2004 年 1 月 2005 年 1 月 200 年 1 月 2007 年 1 月 2008 年 1 月 ( 資料 )FRB のデータより三菱東京 UFJ 銀行経済調査室作成

(2) 株価と長期金利の動向金融不安がくすぶダウ平均株価は 5 月 2 日に年初来高値 (13058 ドル ) をつけた後 徐々り 株価は軟調推移に下げ足を強め 月下旬には 3 月につけた直近安値を下回った 金融機関の損失拡大への懸念から金融株が大きく下落 これが下げを主導した 足元では GSE( 政府支援住宅金融機関 ) の経営不安から金融市場が再び動揺しており これに原油高による景気の先行き不安などが加わって 株価は軟調に推移している 過度な利上げ織り長期金利はインフレ懸念の高まりを反映しジリ高で推移 月中旬には込みの剥落で金利昨年末以来となる 4.2% 台に上昇した FRB 高官のタカ派発言等により は低下その時点で市場は年内 3 回の利上げをフルに織り込んでいたが 市場は利上げを織り込みすぎ という一部の報道 さらには FOMC の声明文が思ったほどタカ派的でなかったことなどから 早期利上げ観測が後退 市場金利は短期中心に低下に転じ 10 年債利回りも 4% を下回った 足元では GSE の経営不安や政府による支援などの動きをめぐって 値動きの荒い展開となっている ( 第 8 図 ) 第 8 図 : 株価 長期金利の推移 14500 14000 ( ドル ) 株価 (NY ダウ ) 長期金利 ( 米国債 10 年物利回り 右目盛 ).0 5.5 13500 5.0 13000 12500 4.5 12000 4.0 11500 3.5 11000 3.0 2007 年 7 月 2007 年 8 月 2007 年 9 月 2007 年 10 月 2007 年 11 月 2007 年 12 月 2008 年 1 月 2008 年 2 月 2008 年 3 月 2008 年 4 月 2008 年 5 月 2008 年 月 2008 年 7 月 ( 資料 )Bloomberg より三菱東京 UFJ 銀行経済調査室作成 照会先 : 経済調査室 ( 次長佐久間 ) TEL:03-3240-3204 E-mail: koji_sakuma@mufg.jp 当資料は情報提供のみを目的として作成されたものであり 金融商品の売買や投資など何らかの行動を勧誘するものではありません ご利用に関しては すべてお客様御自身でご判断下さいますよう 宜しくお願い申し上げます 当資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成されていますが 当室はその正確性を保証するものではありません 内容は予告なしに変更することがありますので 予めご了承下さい また 当資料は著作物であり 著作権法により保護されております 全文または一部を転載する場合は出所を明記してください また 当資料全文は 弊行ホームページ http://www.bk.mufg.jp でもご覧いただけます 7