成長戦略における原子力の役割と 原産協会の活動 ( 社 ) 日本原子力産業協会国際部長喜多智彦 2010-7-21 エネルギー政策地方紙協議会 勉強会
本日のアウトライン 世界の原子力発電の現状 日本の原子力発電 成長戦略と原子力発電 成長に向けた原産協会の活動 原子力産業の海外展開 ( 政策提言 ) ベトナム原子力導入計画への協力
世界の原子力発電の現状 今年 1 月現在 432 基 3 億 8916 万 kw の原子力発電所が 30 か国 地域 地域で運転中 66 基 6500 万 kw が建設中 74 基 7460 万 kw が計画中 ( 原産協会調べ ) 世界の全発電に占める原子力のシェアは約 15% (2006 年 :OECD/NEA) 7か国が原子力発電導入計画を進めており 約 20 か国が検討中 OECD/NEA 2006 図 1
表 1 原産協会 世界の原子力発電開発の動向 2010
原子力発電を拡大 導入する国 先進国 : 米国 ロシア 日本 フィンランド 韓国 新興国 : 中国 (911( 万 kw 2020 年に 7000 万 kw) ) インド ( 514 万 kw 2020 年に 4000 万 kw) 新規導入を計画する国 : ベトナム UAE ヨルダン トルコ ポーランド サウジアラビア (( 図 2) 原子力廃止を撤回 : イタリア ドイツ スウェーデン 英国 ( イタリア 英国では今後 新規建設も )
原子力発電導入を検討中の国 図 2 経産省原子力部会国際戦略検討小委員会報告より (2009-06)
原子力発電の将来は 原子力発電計画は 計画から運転開始まで 20 年以上もかかる長期プロジェクトであり エネルギー価格 経済 政治状況など 様々な要素に左右されるため 将来予測は難しい 海外の諸機関は 現在の 4 億 kw 弱が 2020 年に 4.4~5.4 億 kw 2030 年に 4.7~7.5 7.5 億 kw 2050 年に5.8~14 億 kw へ増加することを予測 ( 図 3) ) リプレース分もあるため 高位予測では 2030 年以降 年 54 基もの建設が必要になる
原子力発電の将来予測 図 3 経産省原子力部会国際戦略検討小委員会報告より (2009-06)
日本の原子力発電 今年 3 月末現在 日本では 54 基 4,885 万 kw の原子力発電所が運転中 ( 図 4) ) 原子力で全電力の 26~34 34%( 各 2008 年 2000 年 ) を発電 2018 年頃には 40% % に上昇 ( 図 5) ) 現在 3 基 304 万 kw( ( もんじゅ含む ) を建設中 2022 年頃までに さらに 12 基 1655 万 kw を建設する計画 ( 表 2) ) 日本の新規原子力計画は 先進国では世界最大級 ( 図 6)
日本の原子力発電所所在地 図 4 原産協会 世界の原子力発電開発の動向 2010
電源別シェアの実績と見通し 図 5 原文振 原子力 エネルギー 図面集 2010
日本で建設中 計画中の原子力発電所 状況 発電所 電気出力コンクリート ( 万 kw) 炉型発注着工打設 臨界 送電開始営業運転所有 運転者 もんじゅ 28.0 FBR 1984 1985.10 1986.5 1994.4.5 1995.8.29 - 原子力機構 建設中 大間 138.3 ABWR - 2008.5.27 - (2014.1) - (2014.11) 電源開発 島根 -3 137.3 ABWR - 2005.12 - - - (2011.12) 中国電力 建設中 3 基 303.6 万 kw 電気出力コンクリート状況発電所炉型発注着工臨界送電開始営業運転所有 運転者 ( 万 kw) 打設福島第一 -7 138.0 ABWR - (2012.4) - - - (2016.10) 東京電力福島第一 -8 138.0 ABWR - (2012.4) - - - (2017.10) 浜岡 -6 140 級 ABWR (FY2015) (FY2020 以降 ) 中部電力上関 -1 137.3 ABWR - (2012.6) - - - (2018.3) 中国電力上関 -2 137.3 ABWR - (FY2017) - - - (FY2022) 浪江 小高 82.5 BWR - (FY2016) - - - (FY2021) 東北電力計画中川内 -3 159.0 APWR - (FY2013) (FY2019) 九州電力敦賀 -3 153.8 APWR - (2010.10) - - - (2016.3) 日本原電敦賀 -4 153.8 APWR - (2010.10) - - - (2017.3) 東北 東通 -2 138.5 ABWR - (FY2016 以降 ) - - - (FY2021 以降 ) 東北電力東京 東通 -1 138.5 ABWR - (2010.12) - - - (2017.3) (FY2014 東京電力東京 東通 -2 138.5 ABWR - - - - (FY2020 以降 ) 以降 ) 計画中 12 基 1655.2 万 kw 表 2 原産協会 世界の原子力発電開発の動向 2010
主要国の原子力計画 図 6 万 kw( 設備容量 ) 原産協会 世界の原子力発電開発の動向 2010 から作成
原子力は CO2 削減の切り札 現在 原子力発電によって発電由来の CO2 を約 25% % 削減している ( 図 7) この削減は 発電に伴い放出される CO2 が 石油火力の 0.74kg kg/kwhkwhに対して 原子力では0.022-0.025 0.025kg/kWHkWHと非常に低いことによるもの ( 図 8)
原子力による CO2 排出減少 図 7 原文振 原子力 エネルギー 図面集 2010
各種電源別の CO2 排出量 図 8 原文振 原子力 エネルギー 図面集 2010
成長戦略と原子力 - 政府の 新成長戦略 (1)( 新成長戦略 ~ 元気な日本 復活のシナリオ 今年 6 月に閣議決定 7 つの戦略分野 1 グリーン イノベーション 2 ライフ イノベーションイノベーション 3 アジア経済戦略 4 観光立国 5 科学 技術 情報通信立国戦略 6 雇用 人材戦略 7 金融戦略
成長戦略と原子力成長戦略と原子力 - 政府の 新成長戦略 ( 政府の 新成長戦略 (2) 新成長戦略強みを活かす成長分野フロンティアの開拓による成長分野 3 アジア経済戦略 4 観光立国 1 グリーンイノベーション 2 ライフイノベーション成長を支えるプラットフォーム 5 科学 技術 情報通信立国戦略 6 雇用 人材戦略 7 金融戦略新成長戦略強みを活かす成長分野フロンティアの開拓による成長分野 3 アジア経済戦略 4 観光立国 1 グリーンイノベーション 2 ライフイノベーション成長を支えるプラットフォーム 5 科学 技術 情報通信立国戦略 6 雇用 人材戦略 7 金融戦略
成長戦略と原子力 - 政府の 新成長戦略 (3)( 原子力との関連 (1)( 1 グリーン イノベーションイノベーション 3 アジア経済戦略 2020 年に温室効果ガス 25% 削減 再生可能エネルギーの普及拡大 原子力利用への着実な取組 革新的技術開発の前倒し アジア地域へインフラ整備パッケージ展開
成長戦略と原子力 - 政府の 新成長戦略 (4)( 原子力との関連 (2)( 2 ライフ イノベーションイノベーション 5 科学 技術 情報通信立国戦略 6 雇用 人材戦略 アジア等海外市場への展開促進 科学 技術は未来への先行投資として重要 研究開発投資を GDP4% 以上に 質の高い教育による厚い人材層の確保 ( 産官学連携 )
成長戦略と原子力 - 原子力委 経産省も発表 原子力委 成長に向けての原子力戦略 (5/25) 原子力発電 放射線利用 新たな挑戦を促す環境 国際展開 持続的成長プラットフォーム 経産省 原子力発電推進行動計画 (6/4) 新増設 リプレース 設備利用率向上等 立地地域住民や国民との相互理解促進 科学的 合理的な安全規制の充実 核燃料サイクルの早期確立 ウラン燃料の安定供給 原子力の国際的課題への対応
成長に向けた原産協会の活動 - 原子力産業の海外展開 (1) 政策提言活動 (1) H16 年 (2004 年 ) にまとめた提言 向こう 10 年間に何をすべきか の中で 原子力産業の維持 活性化のため 国は 近隣アジア諸国への我が国からの原子力機器や原子力技術の輸出に備え 原子力協定締結やファイナンス制度等の環境整備を行うべき と初めて提言 この提言は 翌 H17 年に原子力委員会がまとめた 原子力政策大綱 取り入れられた
成長に向けた原産協会の活動 - 原子力産業の海外展開 (2) 政策提言活動 (2):( 海外展開検討会 原産協会の 原子力産業海外展開検討会 ( 委員長 : 柳井俊二 元駐米大使 ) は 海外展開 特に原子力発電の新規導入国への展開を成功裏に進めるため 国が策定中の 新成長戦略 への反映を目指して 提言を取りまとめ 今年 4 月に仙谷国家戦略担当大臣 ( 当時 ) 岡田外務大臣などへ提出した
成長に向けた原産協会の活動 - 原子力産業の海外展開 (3) 海外展開検討会の提言の概要 原子力産業の海外展開を国の最重要 優先政策課題の一つであることを明確に位置づける 官民で戦略本部を設置し 受注活動を一本化 2 国間の原子力協力協定締結の促進 電気事業者とプラントメーカーが一体となった 新たな体制を構築し原子力システムを輸出 原子力輸出で新会社設立へ 新興 途上国への国際展開に対して 国の積極的な関与を求める
原子力産業の海外展開 -ベトナムの原子力導入計画 ベトナムの原子力発電導入計画は 昨年 11 月 25 日にプレ フィージビリティ スタディ報告書 ( 投資報告書 ) がベトナム国会で承認 ニントゥアン原子力発電所 (2( サイト 2 基 ) 計画 第 1プロジェクト ( フォックジン村 ) はロシアと報道 日本はビンハイ村の第二プロジェクト (2021( 年に 2 基運開計画 ) 受注目指す
ベトナム原子力導入計画 - 原産協会の協力活動 (1)( 2000 年 ベトナム原子力委員会 (VAEC( VAEC) ) と協力覚書を締結し 原子力発電導入へ協力開始 同年 原産協会内に日越協力連絡委員会を設置 産業界から拠出を得て 協力活動を進めた 原子力への理解促進 人材養成などで協力 要人 研修員の受入れ数は延べ 220 名以上 ベトナム政府要人の原子力発電所見学をアレンジ
ベトナム原子力導入計画 - 原産協会の協力活動 (2)( 2002 年からは ベトナム原子力発電導入のプレ フィージビリティ スタディに協力 ベトナムへのミッション派遣 展示会の出展 ベトナムからの要人招聘等の活動を実施 今年 3 月 ハノイに JAIF ベトナム連絡事務所 をハノイに開設 協力の拠点に 今年 5 月 ハノイの 国際原子力発電展示会 に出展
ベトナム原子力導入計画 - 新会社 を設立へ 官民共同で 原子力発電新規導入国に対し 日本として原子力発電プロジェクト提案を行うための 新会社 ( 仮称 : 国際原子力開発 ) を設立へ 新会社の準備室が 7 月に設置され 10 月正式設立に向け準備中 原産協会は 10 年間にわたって行ってきたベトナム協力の経験を新会社へスムーズに移転するべく 今後も同準備室と協力以上