河川シンポ

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(4) 横断面形調査要領では メッシュの中心点と 中心点を通る等高線が内接円に交わる 2 点を結んだ 2 直線の山麓側の角度 ( メッシュの中心点を通る等高線がない場合は 中心点に最も近接している等高線から類推する角度 ) を計測し 10 度括約で求める とされている 横断面形の概念図を図 4.4

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粒子画像流速測定法を用いた室内流速測定法に関する研究

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第 2 章測量業務標準歩掛 ( 参考資料 ) 第 2 章測量業務標準歩掛 ( 参考資料 ) 測量業務標準歩掛における, 各作業の直接人件費に対する機械経費, 通信運搬費等, 材料費の割合の構成を下表に示す なお, 下表に示す各資機材等の種類, は標準歩掛設定に用いた標準的なものであり, 契約ではない

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6. 現況堤防の安全性に関する検討方法および条件 6.1 浸透問題に関する検討方法および条件 検討方法 現況堤防の安全性に関する検討は 河川堤防の構造検討の手引き( 平成 14 年 7 月 ): 財団法人国土技術研究センター に準拠して実施する 安全性の照査 1) 堤防のモデル化 (1)

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Q3 現在の川幅で 源泉に影響を与えないように河床を掘削し さらに堤防を幅の小さいパラペット ( 胸壁 ) で嵩上げするなどの河道改修を行えないのですか? A3 河床掘削やパラペット ( 胸壁 ) による堤防嵩上げは技術的 制度的に困難です [ 河床掘削について ] 県では 温泉旅館の廃業補償を行っ

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目 次 桂川本川 桂川 ( 上 ) 雑水川 七谷川 犬飼川 法貴谷川 千々川 東所川 園部川 天神川 陣田川

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図3 標定点配置図 表1 UAVとカメラの諸元 項 目 UAV 図4 UAV外観 カメラ では対空標識を設置した 標定点の位置座標 性 能 機体重量 3400g 最大速度 18m/s 運用限界高度 海抜 4500m 最大フライト時間 約15分 動作環境温度 センサ Type4/3 COM

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国土技術政策総合研究所 研究資料

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1 UAV 写真測量による簡易な河川地形把握手法を活用した河道管理の検討 平成 29 年 8 月 2 日 東京大学大学院情報学環特任講師齋藤正徳

調和のとれた河川管理 新たな技術を導入し計測する際に 計測精度 項目等はニーズと合致しているか 対策 施工コストに対して モニタリングコストは妥当か を考える必要がある 河川管理目標 課題 ( ニーズ ) Penrose triangle ペンローズの三角形部分的には正しいように見えるが 全体としては 成立しない 計測 モニタリング 対策 施工 画像の出典 : Wiktionary (2016/11/02 16:41 UTC 版 ) 2

< 本日の発表内容 > 〇河川管理の課題〇 UAV 等に関する現在の技術動向〇研究事例 UAV-SfMによる河道管理〇河川管理におけるAIの活用方策について 3

河川管理の課題 4

洪水被害の要因等について 過去の洪水の被災要因として 流下能力不足による越水 浸食が大半を占める 河道の変化が堤防や施設に与える影響が大きく 河道の管理が重要 堤防決壊の要因 過去 20 年間の水害原因別被害構成比の推移 内水 その他 土砂災害 無堤溢水 水害の被害構成として 内水 越流が大きく 浸透による決壊が少ない 出典 ; 国土交通省治水課資料 有堤溢水 破堤 部位間の相互作用 樹林化による河道の二極化 変流の発生による高速流派生による堤防浸食 ( 出典 ) 土木学会 ; 社会インフラ メンテナンス学 ( 河川編 ),2016 河道の変化 ( 樹林化 ) によって 偏流の発生による堤防の浸食 流下能力の低下が生じる 樹木管理が最重要 5

河道内の樹林化について 全国の樹林化の状況として 河道内における樹木の面積の割合が上昇している 河川水辺の国勢調査により 樹木のうち ヤナギ 竹林 ハリエンジュが 6 割を占める ヤナギは 特に成長速度が速く 1 年に 2m 成長する 国土交通省水管理 国土保全局河川環境課資料 6

イタリアにおける河道管理の現状と課題 イタリアでは 1950 年代 ~1960 年代にかけ ダム建設 砂利採取 河道直線化等が実施され 多くの河川で河床低下 (10m) 川幅の縮小 (50%) が発生している その変化は 現在進行形であり 河床変動計算結果による予測では 2023 年まで続くと想定されている ポー川 ブレンタ川 1887 年 1999 年 2017 年 (Google earth) ポー川流域で 1960-1980 年の期間に年間 300 万 m3( 年間土砂生産量と同等 ) の砂利採取が実施 アルノ川 網状から交互砂州へと変化 樹林化 川幅の縮小が発生 ピアーヴエ川 穿入河道化が発生 橋脚の基礎の露出が発生 平均川幅が縮小している ( 出典 ) Nicola Surian, Massimo Rinaladi, Morphological response to river engineering and management in alluvial channels in Italy, Geomorphology, 2003 7

将来の河道断面形状について 河道に流入する土砂量や攪乱頻度に応じて 将来の河道断面を見据えた掘削のあり方を検討する必要がある 攪乱小河川 ( 流入土砂量小 ) 攪乱大河川 ( 流入土砂量大 ) 砂 現状 現状 流入土砂が多く 掘削しても再堆積 将来 ( 対策なし ) 中州が発達樹林化 比高拡大 洪水流の集中 浸食 堤防決壊 将来河道 ( 対策あり ) 河床掘削 堆積 低水路内の砂州の樹林化により 局所的な偏流が発生し 流下能力の低下や堤防浸食の発生へと繋がる恐れがあるため 砂州の地形変化や植生変化を監視し 樹林化する前に 砂州の掘削等を行う必要がある 砂州の掘削のあり方は 渡良瀬川で実施している掘削路 ( 清水ら ) が代表的 低水路幅を拡幅した場合 土砂堆積により 元の断面に戻るため 再堆積しにくいよう 穿入河道化を意識してはどうか 掘削形状は 斜め掘削 船底掘削 河岸存置型掘削等を実施 8

河川掘削について ( 対策 ) 甚大な被害に直結する堤防の管理は重要であるが それと同等に 低水路の管理が重要 流下能力の低下 局所洗堀を予防するために 低水路幅や地被状態の管理 ( 樹林化抑制等 ) が必要ではないか 事例 ( 阿賀川 ) 出水後の澪筋 攪乱の減少 土砂供給量の減少 出水前の澪筋 中州の切り下げ ( 掘削 + 樹木伐採 ) により洪水流の集中を抑制 洪水による攪乱により自然営力で局所洗堀箇所を閉塞させた 澪筋幅が減少した場合 洪水が河道全体で流下せず 澪筋に流れが集中 砂州の樹林化や局所洗堀が発生 < 対策案 > 出典 ) 福岡ら : 土砂環境の変化に対応した洪水流と河床変動予測技術 河川技術論文集,2008. 出典 ) 北陸地方整備局より 2012 全国樹林化 WS 等より抜粋 供給土砂量見合いの適切な澪筋幅 ( 低水路幅 ) を設定し 澪筋が減少しないよう 砂州の掘削や植生管理 ( 樹木伐採 ) を実施 澪筋幅拡大による河床の安定化 樹林化した砂州の減少による流木の発生の抑制 9

樹木管理について 全国的に課題となっているヤナギ等に対し 成長する前の段階で対策を施すことにより コスト縮減を図る 信濃川中流域 千代川 焼き払いは 地表面に定着している萌芽したヤナギは死滅させ オギ等の地下茎は影響を受けないことが影響 毎年実施している高水敷の焼き払いにより草本類のオギが優先し 木本類の抑制に貢献している 出典 ) 新潟大学紙谷ら河川財団資料より 2 年に 1 回のブルによる踏み倒しによって 樹木伐採コストの縮減 出典 ) 中国地方整備局より 2012 全国樹林化 WS 等より抜粋 那賀川 淀川 アキグミ群落は 5 年で一般的な樹高まで成長 除根せず 切り株から萌芽する枝葉を大きくなる前に伐採 コストダウン 芽掻きにより枯死すれば 外来種の駆除に期待 樹木伐採伐根のコスト縮減のため 秋季出水の供給種子から発生した実生株を 毎年速やかに伐採する手法を採用 出典 ) 四国地方整備局より 2012 全国樹林化 WS 等より抜粋 出典 ) 近畿地方整備局より 2012 全国樹林化 WS 等より抜粋 10

UAV 写真測量を活用した河道管理手法 洪水に対する氾濫リスクの低減に資する または 早期対策によるコスト縮減に資する河川維持管理行為を重点的に実施する 現在の主要な河川管理項目目的課題 UAV 写真測量の活用の視点 日常巡視週 1 回 ~2 回 出水期前 / 出水後 / 台風期前の職員の堤防点検 船上巡視による低水護岸 ( 河岸 ) 河道の点検 (1~2 回 / 年 ) 異常及び変化等を概括的に把握 治水上の機能について異常及び変化を発見 観測 計測する 巡視 点検で 発見される亀裂や陥没等の表面上のデータは 堤防の破堤に対する安全性と関係性がない ( 森 服部ら,2015) 低水護岸の流出や洗掘は 発見が遅れると その後の河岸浸食 破堤に繋がる可能性がある 死角箇所を網羅的に発見する 定量化を図る 被災後の緊急点検 復旧のための被災の早期把握 把握に時間を要する 出水後の洪水痕跡調査 定期縦横断測量 (1 回 /5 年 出水後 ) 河道の粗度管理のため ( 流れやすさの把握 ) 手間がかかる 砂州などの変化が激しい箇所の経年変化を捉えられていない 中小洪水で変化する低水路内の地形を把握し 洪水に対する水位上昇の危険性を評価する 樹木調査 (5 年 ~10 年に 1 回の航空写真測量により実施 また 年 1 回の目視点検により実施 ) 流下能力の把握 樹木の繁茂の傾向は把握されるが 経年変化を定量化されていない 成熟する前の幼木の早期段階で 対策を実施し 伐採コストを削減する 11

UAV 河川調査に関する現在の技術動向 12

将来の河道管理イメージ 職員の徒歩による目視や地上測量で 地形の変化や変状を把握している従来手法から 将来 UAV を始めとして 様々な機器を活用し 河道管理の高度化が進むと想定 航空 LP 測量 ( 固定翼 ) 計測機器 ; レーザ機器 カメラ 計測範囲 ; 水系 ( 直轄区間 ) MMS 堤体調査 計測機器 ; レーザ機器 カメラ 計測範囲 ; 堤体 左岸 右岸 UAV 写真 LP 測量 計測機器 ; カメラ 計測範囲 ; 堤防上から見えない範囲 ( 低水路 砂州 河道内樹木 ) 13

UAV における現在の技術的な課題 UAV による計測の制約として 飛翔時間が挙げられ 現在は約 30 分が限界である また UAV に搭載する機器の重量によって飛翔時間が短くなる 価格 ( 機材単体価格 ) 150 万円 100 万円 50 万円 20 万円 1 万円 多様な機種 / メーカー R 社 U 社 Y 社 H 社 S 社 T 社 K 社 P 社 D 社 D 社 D 社 P 社 D 社 O 社 O 社 D 社 P 社 5 分 10 分 20 分 30 分飛翔可能時間 単体の機動性には限界有り UAV の機材費用と広域機動性 ( 飛翔時間めやす ) H28.5 時点 14

UAV に関する既往研究 土木学会の論文 ( 河川技術 水工学 ) を中心に関連研究を検索 UAVに搭載する機器はデジカメ 画像データの活用とする研究が多い 年度論文名著者タイトルポイント ( 齋藤記入 ) 搭載機器一次データ 2 次データ 2014 土木情報学 田中成典 ( 関西 大学, 今井龍一 ( 国総研 ) ら LP データと過年度の河川定期横断測量成果を用いた横断図生成手法に関する研究 直接 UAV を使用していないが 航空レーザー測量 (LP) と地上測量を比較し LP データのフィルタリング方法を提案している 課題としては 植生が繁茂している面では 補間や推定する方法しかない LP GPS 点群データ横断図 2016 河川技術論文集 掛波優作, 赤松良久 ( 山口大学 ) ら UAV-SfM 手法を用いた高解像度かつ簡便な河道測量技術の検証 ( ) 1 リーチ区間において 水中部の地上測量と UAV による写真データを用い 標高データの精度の比較検証を実施 水中部は光の屈折により補正が必要 デジカメ GPS 画像 地形デー タ (X Y,Z) 2009 水文 水資源学会誌 長井正彦 ( 東京大学 ) ら 無人ヘリコプターによる河川環境モニタリング手法の開発 1 リーチ区間において 無人ヘリに デジタルカメラ 赤外線カメラを搭載し 植物の赤領域と青領域の波長帯の吸収能力を利用し 波長の反射度合から植物の活性度を推定している デジカメ 赤外線カメラ GPS 画像 反射波 植生の活性度 2016 水工学論文集 渡辺豊 ( ルーチェサーチ ) 河原能久 ( 広島大学 ) UAV を利用した空中写真の河川地形計測への適用性 ( ) 2 横断面において 地上測量と UAV を用いた画像から SfM による 3 次元形状とを比較検証 樹木が繁茂している箇所は UAV によるものは地表を捉えることはできない 水中部は光の屈折率 1.33 の補正を行えば一致する デジカメ GPS 画像横断図 2015 水工学論文集 藤田一郎 ( 神戸大学 ) ら マルチコプターから撮影されたブレ動画の高精度補正に基づく Aerial STIV の開発 ( ) 1 リーチにおいて UAV に搭載したカメラにより 洪水中の河川水の表面流速を計測 背景画像から自動でブレ補正を実施 デジカメ画像表面流速 2016 河川技術論文集 原田守啓, 沢田和秀 ( 岐阜大学 ) ら UAV と水域可視化処理による河川地形計測手法の検討 ( ) 1 リーチにおいて UAV に搭載したカメラにより 画像を水中可視化し 水中の地形及び河床材料の調査を実施し 従来手法と比較検証を実施 デジカメ 画像 横断図 河床材料 2015 河川技術論文集 佐貫方城 ( ウエスコ ) ら 3 種の航空測量技術を使用した河道地形の効率的測量の実装展開に向けた比較検討 ( ) 1 リーチにおける複数断面において 航空機写真測量 有人ヘリ LP 測量 UAV 写真測量の 3 手法を比較 スケールにより調査コストが異なる デジカメ画像横断図 2016 河川技術論文集 原田紹臣 ( 三井共同建設コンサル ) 中谷加奈 ( 京都大学 ) 里深好文 ( 立命館 ) 水山高久 ( 政策研究大学 ) 小型ドローン空撮機及び数値解析モデルを活用した山地河川の土砂管理に関する一考察 砂防堰堤 1 基の上流において UAV-SfM により 土砂捕捉量を算定 砂防ダムは 調査しにくい地点が多く また 土砂捕捉量によって 土砂調節効果に大きく影響されるので 定期的な調査が求められ 本手法は有効である デジカメ 画像 砂防ダム 上流堆積 土砂量 15

SfM とは SfM ( Structure from Motion ) 〇オーバーラップした写真画像から 撮影対象の 3 次元形状を復元する技術 GPS により位置情報を持った静止画を取得 ( ラップ率 60% 以上 ) 位置情報により静止画を整列 ラップした写真から類似点を抽出し XYZ の情報を持った点群を発生 点群を線で結びポリゴンを作成 16

UAV で何がどこまで計測できるのか ( まとめ ) 1 リーチスケールで従来手法との精度について比較検証している事例が多い デジカメによる画像から 計測可能な項目として下記の技術が挙げられる SfM による 3 次元地形 STIV による表面流速 水中可視化による河床材料 ( 直径 4cm 以上 ) SfM による 3 次元地形の適応範囲として 水中は平常時において水深 2m まで計測可能 植生や樹木が繁茂している箇所は表層の高さを計測することになる 裸地や除草している箇所 ( 堤防 砂州等 ) は標高を計測可能 セグメントスケール ( 数十キロ ) で調査 管理している河川の現場において UAVを活用した実証実験の事例がない 17

UAV と他の計測方法とのコスト比較 河川地形計測方法について UAV と有人飛行計測とをコスト比較したところ 水系単位のスケールであれば 有人飛行の方が安価である デジタル航空カメラ +SfM 1400m 空間スケール別のコスト比較 ( リーチスケールの UAV-SfM のコストを 1 とした場合 ) 対象スケール航測技術水系セグメントリーチ デジ航 50 10 2 ヘリ LP 300m ヘリ LP 100 15 3 UAV 100 13 1 UAV-SfM 60m 従来の定期縦横断測量と比較して, 情報量は圧倒的に多い. 樹木, 草本等の植物が繁茂する区間, 水深が浅い場面では,UAV-SfM が有利. 要求される計測精度, 規模, 頻度に応じた使い分けを提案. 出典 ) 第 31 回インフラ イノベーション研究会岐阜大学資料 佐貫方城, 渡辺敏, 宮田真考, 草加大輝 : 3 種の航空測量技術を使用した河道地形の効率的測量の実装展開に向けた比較検討, 河川技術論文集,21, pp.105-110, 2015. 18

UAV-LPの計測事例 UAVは手軽さ 迅速性の観点から災害時の状況把握に有効である 330 TOKI仕様 大きさ 1.8m 1.8m 羽根の枚数 8枚 搭載機器 VUX-1 RIEGL製 330 視野による超広角データ収集 VUX-1仕様 最短距離 3m アイセーフ レーザクラス1(JIS C 6802) 有効測定レート 500,000測定/秒まで 視野角(FOV) 330 最大差動飛行高度AGL 350m/1,150ft 出典 第31回 インフラ イノベーション研究会 株 中日本航空資料 19

UAV-LP の計測事例 レーザの優位性は解析速度と植生下 ( 樹木〇 草地 ) の地形把握 出典 ) 第 31 回インフラ イノベーション研究会 ( 株 ) 中日本航空資料 20

航空レーザ計測の原理とグリーンレーザ 航空レーザ計測の原理 GNSS GNSS 飛行機やヘリコプターから地上に向けてレーザを発射し 地表面で反射して戻ってきたレーザの時間差から 3 次元データを取得する測量技術 航空機の空間位置を測定 航空機の姿勢を測定 IMU パルス状に発射したレーザ光が地表面から反射されてきたものを検知し その往復時間から地表面までの距離を測定 機上 GNSS レーザ測距装置 カラーデジタルカメラ GNSS 補正情報を提供 電子基準点 地上 GNSS 近赤外 か? 緑 か? 波形の違い であるということ したがって 計測方法は同じである 出典 ) 国土交通省近畿地方整備局福井河川国道事務所資料 21

グリーンレーザ機材の特徴 レーザ測距装置は 水域用と陸域用の 2 つを搭載し 同時に運用する また スキャン方式は楕円方式 ( オブリークスキャン ) を採用しているため 樹木 建物 地形等の側面データも取得できる 航空レーザ測量のうち 水中の計測においては可視域のレーザ光 ( 緑色 ) を用いることで 河床の地形も計測が可能になる 陸域用レーザ レーザ波長 :1,064nm 照射頻度 : 最大 500kHz 対地高度 : 最大 1,600m 計測密度 :10 点 /m 2 IMU ( 姿勢制御装置 ) 水域用レーザ レーザ波長 :515nm 照射頻度 :35kHz 対地高度 :500m 計測密度 :1 点 /m 2 デジタルカメラ バンド数 :4 バンド (RGB+ 近赤外 ) 画素数 :8,000 万画素 使用した機材 (ChiropteraⅡ) 測深性能は 透明度や水質に大きく依存するが 最大で 15m 程度 ( 九頭竜川では 5m) 出典 ) 国土交通省近畿地方整備局福井河川国道事務所資料 水域用レーザ ( 緑色 ) と陸域用レーザ ( 赤色 ) の反射 水面での反射 水底での反射 水深 ALB による測深概念図 水面高 河床高 22

主題図の作成 航空写真図により 河道の状況を把握 比高図により水深分布や砂州の比高を把握 出典 国土交通省近畿地方整備局福井河川国道事務所 資料 赤色立体地図により 樹木分布等を確認 水深分布図より水深分布比高を把握 23

河岸浸食の対策検討への適用 平面図 横断図 平均断面積計算書 測点 点間距離 根固め工断面積平均断面立積 No.0-60m 0.00 0.0 No.0 60.00 18.9 9.45 567.0 No.1 20.00 16.0 17.45 349.0 No.2 20.00 15.8 15.90 318.0 No.3 20.00 11.0 13.40 268.0 No.4 20.00 9.1 10.05 201.0 No.5 20.00 10.4 9.75 195.0 No.6 20.00 8.2 9.30 186.0 No.7 20.00 11.8 10.00 200.0 No.7+40 40.00 0.0 5.90 236.0 合計 240.00 2520.0 根固めブロック V=2,520m3 出典 ) 国土交通省近畿地方整備局福井河川国道事務所資料 24

UAV の活用事例 ( 下水道分野 ) 硫化水素中毒の危険がある下水道管渠の点検を UAV を用いて点検 ( 現場実証中 ) 赤外線センサーで 壁面との距離を計測しながら延長 100m を自律飛行 機体のサイズは A3 程度 下水管直径 400mm を飛行 壁面にぶつかっても壊れないよう周囲をガード 出典 ) 日経コンストラクション 2017.6 月号 25

UAV の活用事例 ( 橋梁打音 ) UAV にマイクとハンマーを取り付け 捉えた音を点検員が聞き取り コンクリートの健全性を診断する 将来は UAV 打音から得られた音を AI を活用し 良しあしを判断する技術を開発中 出典 ) NEC ホームページ 26

UAV 写真測量を活用した簡易な 河川管理手法の検討 27

研究目的と概要 ( 現状の課題 ) 国管理河川では 5 年に 1 回の地形測量や目視を基本とする樹木調査が実施されているが 低水路内の地形の変化や樹林化速度は著しく 経年変化を客観的に把握されていない 県管理河川では 災害発生後に災害申請のために地形測量を実施するのみの河川が多く 事前の状況が把握されていない ( 研究の目的 ) 砂州地形や河川植生の経年変化を 安価な方法で計測し 簡易に流下能力を評価する手法について その実行可能性を現場実証を通じて確認する 簡易な評価手法イメージ 画像データ オルソ画像 RMDIS 等既存 DB 河川管理者 UAV 写真測量 (1 回 / 年 ; 変化が著しい箇所や危険個所 ) 静止画像 繋ぎ合わせ画像 低水護岸の写真平面図 標高 3 次元データ DSM 横断図 左岸 右岸 DSM UAV による現場撮影 出典 ) 齋藤 湧田ら 河川技術論文集 2017 SfM による解析 SfM:Structure from Motion オーバーラップしている静止画像から対象物の 3 次元形状を復元する技術 3D 点群作成 DEM データ作成 DSM: 植生表層の標高データ DEM: 地表面の標高データ 水位縦断図 河川管理業務 28

本研究の特徴 UAV-SfM から得れた表層データ (DSM) は 植生繁茂下の地表面は計測不可及び植生のどの位置を計測しているか不明である 直接 地表面を計測することに注力を注ぐのではなく 植生の SfM 計測値と実測高の関係性を求め DSM から地表面 (DEM) 等を推定する方法を研究 従来手法 河川の横断イメージ 本研究 樹木調査航空写真 定期横断測量 地表面の標高 箇所ごとの樹木の粗密判定や平均高さ UAV-SfM(DSM) 植生繁茂下の地表面は計測不可 植生のどの位置を計測しているか不明 UAV-SfM(DSM) オルソ画像 水位計算により流下能力算定 植生の種類 SfM 計測値 実測値 検証 ヤナギ A m am A/a 竹林 B m bm B/b セイタカアワダチソウ C m cm C/c 地表面の標高 ( 推定値 ) 樹木繁茂面積 群落ごとの植生高 ( 推定値 ) 出典 ) 齋藤 湧田ら 河川技術論文集 2017 過去計測の植生の種類ごとの平均値を使用 水位計算 29

従来手法と本研究 現地実証より 従来手法と比較し 外業時間が約 1/5 に短縮 地形データ作成までのコストが約 1/3 に縮減 本研究は 危険個所等を頻度多く計測する手法として適している 従来手法 項目外業内業 定期縦横断測量 (1 回 /5 年 ) 樹木調査 (1 回 /5~10 年 ) 地上測量 各横断ラインの標高データ 静止画像 野帳記録データ 航空写真撮影 樹木の高さの現地調査 横断図の作成 写真や現地調査結果から樹種を判定 樹木繁茂の面積の算出及び各箇所の平均高さ水位縦断図 200m 間隔の横断図 樹木繁茂面積 高さ 標高 計算水位 平均河床河川縦断 H WL 本研究 項目外業内業 UAV 写真測量 (1 回 / 年 ; 変化が著しい箇所や危険個所 ) UAV 飛行の監視 SfM による DSM 作成 蓄積された群落ごとの平均植生評価高を差し引き DEM を作成 DSM,DEM から樹木の繁茂量を算定 オルソ画像から樹種を判定 DSM ( 表層 ) DEM ( 地表面 ) 標高 計算水位 危険個所 H WL 出典 ) 齋藤 湧田ら 河川技術論文集 2017 静止画像 オルソ画像 樹木繁茂量群落種類 平均河床河川縦断 30

現場実証概要 ( 計測精度検証 ) UAV 写真測量から得られた標高 3 次元データ (A) 及び画像データ (B) の計測精度を検証した (A) 裸地 水域 植生部の各地表面の状態に対し 標高値の測定精度の実測値との差を検証 ( 正解データは従来の地上測量 定期横断測量等 ) (B) SfM から得られたオルソ画像を活用して写真平面図を作成し 堤防から死角領域に位置している低水護岸等の変状を確認 実証現場概要 計測機器 名取川 広瀬川合流付近平成 28 年 10 月 7 日 14 日に実施 B サイト 広瀬川 凡例 UAV 飛行範囲 低水護岸 Inspire1(DJI 社製 ) 市販の 4K カメラを搭載 計測時間 〇砂州 A(600m 200m) 45 分 (3 フライト ) 〇砂州 B(600m 300m) 105 分 (5 フライト ) 計測条件 〇対地高度 60m 〇写真撮影のラップ率 縦断方向 60% 横断方向 90% 5.8kp 5.6kp 名取川 5.0kp Aサイト 4.8kp 一部樹林化 4.6kp 出典 ) 齋藤 湧田ら 河川技術論文集 2017 ( 出典 ; 国土交通省東北地方整備局仙台河川国道事務所 ) 31

名取川実証 _ 結果 _ 砂州 A SfM による 3D データ 樹林化範囲用砂州 A 飛行ルート オルソ画像 計測条件 解析条件等〇画像数 ; 静止画 783 枚〇グランド解像度 ;1.8cm/pixl 〇面積 ;0.17km2 〇エラー除去 ; 設定なし〇 SfM 処理時間 ;10 時間 28 分 3 次元形状 (DSM モデル ) 出典 ) 齋藤 湧田ら 河川技術論文集 2017 32

名取川実証 _ 結果 _ 砂州 B SfM による 3D データ 樹林化範囲用砂州 B オルソ画像 飛行ルート 3 次元形状 (DSM モデル ) 計測条件 解析条件等〇画像数 ; 静止画 1413 枚〇グランド解像度 ;1.8cm/pix 〇面積 ;0.259km2 〇エラー除去 ; 設定なし〇 SfM 処理時間 ;30 時間 24 分 出典 ) 齋藤 湧田ら 河川技術論文集 2017 33

現場実証結果 定期横断測量 (H28 実施 ) の測線上において UAV-SfM と実測値とを比較 植生域については ポール計測による植生実測高と差分 (UAV-SfM 定期横断測量 ) とを比較 また UAV-SfM で生成されたオルソ画像より 船上巡視の対象である低水護岸の変状を確認できるかどうか検証 B サイト 5.8kp 5.6kp 283 点 /m2 の点群データ 標高 (m) 12.0 地表面実測値 10.0 横断図 (4.6kp) 植生表層実測値 8.0 6.0 UAV-SfM(DSM) 4.0 W.L.=0.3 2.0 0.0-2.0 100 150 200 250 300 植生区分 出典 ) 齋藤 湧田ら 河川技術論文集 2017 畑地 裸地 アズマネザサ 水域 左岸堤防からの横断方向距 水域 シロヤナギ 横断 5 測線上 ( 数 m 間隔 ) の位置と対応する点を抽出 水域 低水護岸 地上解像度 1.8cm/pixl であり 水中部の根固めブロックの様子も十分把握可能 34

現場実証結果 UAV-SfM から得られた地形データ (DSM) と定期横断測量結果との比較結果として 下記の内容が把握された 裸地部では 従来測量 ( 実測値 ) と同等の計測精度 水中部では 濁りの影響で 水深が深い領域において従来測量 ( 実測値 ) より浅めに計測 植生部では 繁茂している表層に空隙がある場合は より下層の位置を捉える等 植生の繁茂形態に応じて 計測精度が異なった 裸地部 UAV 計測値と従来測量との関係 水中部 UAV 計測値と従来測量との関係 植生部 < 当初の想定 > UAV 簡易写真測量は植生の表層を計測 UAV-SfM 標高 (m) 実測値 6 5 4 3 2 1 0 n=43 平均値 =0.02m SD=0.18m 0 1 2 3 4 5 6 標高 (m) UAV-SfM 従来測量と同等 ( 要求精度 ±15cm) 水深 (m) 実測値 3 2.5 2 1.5 1 0.5 0 n=58 n=58 平均値 =-0.31m RMSE=0.45m SD=0.32m 0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 水深 (m) UAV-SfM 水の屈折率 (1.33 倍 ) の補正実施 UAV 計測値は従来より浅めに評価 DSM DEM 草地裸地樹木 拡散型 中間型 水域 < 実証結果 > 植生の中層や下層を計測した群落あり DSM DSM 密集型 定期横断測量 DSM 出典 ) 齋藤 湧田ら 河川技術論文集 2017 35

植生の種類ごとの UAV-SfM の植生評価高 群落ごとに DSM の植生高の定量的なデータが蓄積されれば 新たに計測した DSM から 群落ごとの UAV-SfM の植生高評価値の過去の蓄積データの平均値を差し引くことで DSM から流下能力算定に必要な植生下の DEM や樹木繁茂量を簡易かつ安価に推定することが可能となる 表植生の群落ごとの UAV-SfM により得られた植生高と実測値 UAV-SfM 値実測値群落名 (a) 1 (b) 2 a/b 3 アズマネザサ 5.6m ヨシ 1.3m セイタカアワダチソウ 6.1m 0.9 2.2m 0.6 0.7~2.0m 0.9~2.3m 1.0 カナムグラ 1.0m 0.6m 1.7 オギ 1.3~1.6m 2.1~2.2m 0.7 イタドリ 0.5~1.2m 2.3~3.3m 0.3 モウソウチク 13~18m 10~22m 1.0 オニグルミ 4.0m 5.0m 0.8 検証地点数 n= 1 密集型 n= 1 n= 2 n= 1 n= 2 n= 2 n= 2 n= 1 繁茂類型 中間型 密集型 密集型 中間型 拡散型 密集型 密集型 1 UAV-SfM から得られた DSM と定期横断測量結果の差分により算出 2 ポールを用い地表面から植生の枝葉の最頂部までの高さを現地計測 3 (a) の群落ごとの平均値を (b) の群落ごとの平均値で除した H28 年度実施 特性の環境条件下における計測結果 時期 ;10 月 風速 ;0~4m/s 今後 複数の環境条件下における計測を実施し UAV-SfM の植生高評価値を定量化 植生の種類ごとの UAV-SfM(DSM) 植生の種類ごとの実測値 実測値 UAV SfM 拡散型 DSM 出典 ) 齋藤 湧田ら 河川技術論文集 2017 中間型 DSM 密集型 DSM 河川管理 計測時の環境条件に応じて DSM から DEM 等を推定 36

UAV 写真測量を活用した河道管理手法 UAV 写真測量により得られたデータを様々な方法により加工することで 流下能力の感度分析 環境調査 低水護岸の状況把握等の河川管理の場面で利活用が可能となる データ取得から解析までの流れ 河道管理への活用 ヤナギ等は成長速度を考慮する必要あり 過去の蓄積された UAV-SfM 植生評価高 DEM ( 地表面 ) 標高 水位縦断図 計算水位 危険個所 平均河床河川縦断 H WL 流下能力の感度分析 時期 ;1 回 / 年 目的 ; 流下能力が不足している箇所において 中小洪水による地形の変化 樹木繁茂の水位上昇の影響を把握し 洪水に対するリスク管理を実施 静止画像 DSM ( 表層 ) SfM により作成 差し引く植生区分を判定 樹木繁茂量 ( 範囲 高さ ) 樹木管理 時期 ;1 回 / 年 目的 ; 成熟する前に幼木等の段階から早期に対策を実施し 樹木伐採量のコスト縮減 UAV 写真測量 (1 回 / 年 ; 変化が著しい箇所や危険個所 ) オルソ画像 抽出 植生区分図 オルソ画像から樹種を判定 環境調査 時期 ;1 回 / 年 目的 ; 人為的インパクトに対する応答を把握 例えば 外来種の有無 出典 ) 齋藤 湧田ら 河川技術論文集 2017 低水護岸洗堀等の近接画像 船上巡視に代え UAV-SfM により得られたオルソ画像より確認 船上巡視 時期 ;1 回 / 年 目的 ; 洗掘 異常堆積 低水護岸の陥没 流出等の把握 37

Deep Learning を活用した植生自動判別 5 年に 1 回の河川水辺の国勢調査で 植生区分の判別を行っているが 大いに手間がかかっている また 成長が著しいヤナギ等について 成長する前の段階や侵入した段階で 早期に発見することで 対策を講じ コスト縮減はできないか UAV により得られた静止画像から Deep learning を用い自動的に植生区分を判別したい UAV-SfM オルソ画像 植生区分図 自動化 撮影日 ;H28.10.7 対地高度 ;60m 地上解像度 ; 約 2cm/pixl 左図の画像を見ながら植生区分を環境情報図作成に従事している実務者が 2 日間かけ判定 その他の情報は一切用いていない 38

AI のインフラ管理の活用事例 一般的なビデオカメラを取り付けた自動車から撮影した路面の映像を分析することで 路面のわだち掘れとひび割れを同時に検出 わだち掘れ検出のイメージ ひび割れ検出のイメージ データ取得 類型 測定機器 スマホ型 市販のビデオカメラ 従来の路面の目視点検や専用機器による調査に比べ 安価で効率的に路面の健全度の見える化を実現 測定データ 動画 測定データ 不明 データ処理 データ処理 処理後データ ディープラーニング技術 ひび割れ わだち掘れ データ利活用 使用するデータひび割れ わだち掘れサービスの利用道路管理者者 使用する場面 路面の維持管理 本システムを用いた一般道での実証実験において 専門技術者の目視点検と同等のレベルで路面のわだち掘れとひび割れを同時に検出できることを確認した 出典 NEC HP より http://jpn.nec.com/press/201701/20170131_01.html#ex01 39

AI のインフラ管理の活用事例 Twitter データを活用して災害の発生を推定 目撃以外の情報を排除 発言者の位置を推定 災害の発生を定量的に判定 時刻内容写真 14:08:15 竜巻 (((o(* *)o))) 雨やばし ( -_- ) http://t.co/eogb3m05f9 非公開 14:09:50 竜巻が!!! 我が家付近雨雷風が凄いです 14:12:24 春日部市竜巻なう! 雷と雨! 写真では分かりづらいけど竜巻もゴミ撒き散らして出た! 被害が出るほどではないけどビビった (`Δ ) http://t.co/gb4k4df2wm 14:13:15 竜巻やばい! 雨と雷もやばい! http://t.co/lmgok8vewa 14:14:00 竜巻やんばーーーーーー!! 雷やば雨やば! カラス大変そう http://t.co/eyokig66xh 災害発生推定方法 ( アプローチ ) 1 データ収集 2 伝聞情報除去 3 場所推定 災害のキーワードを含む発言を収集 発言から伝聞情報を除去 発言のあった場所を推定 4 発災推定 災害発言の急激な増加から発災を推定 SNS 災害関連発言 目撃 観察直接伝聞間接伝聞リツイート A 市 B 市 C 市 発災推定 出典第 34 回インフライノベーション研究会資料富士通資料 40

AI のインフラ管理の活用事例 道路分野において AI の活用事例として トンネル 舗装面のひび割れの自動検出が盛んに実証実験が実施されている 一方 河川の分野では Deep learning を用い 洪水予測 水質の変化予測 土砂動態の要因分析に関する研究事例がある 事例 < 深層学習の適応による洪水予測精度の向上 > 学習 予測 入力データとして 雨量情報 上流の水位情報のみで 予測しており 精度が不十分と思慮される 特にピーク時の精度が不十分 ( 出典 ) 一言正之 桜庭雅明 ( 日本工営株式会社中央研究所 ) 河川技術論文集 2016. 41

AI の分類 42

河川管理における情報通信技術の活用の方向性について 現在 将来 データ取得 河川管理に必要な外業を伴うデータ収集 〇計測機器を導入 ( 人工衛星 UAV ) 低コスト 短時間化 ビッグデータ化 ( 点群 ) データ処理 図面作成 ( 植生図 ) 等の単純作業を伴う資料整理 〇人工知能により処理 ( 機械学習 Deep Learning) 判断 現地確認や資料等を基に判断する行為 ( 河道掘削計画 樹木伐採の判断等 ) 〇 AI が判断 河川管理者の技術進展 経験していない事象の対応 〇 AIが職員の判断を支援 技術や暗黙知を定量的に評価 技術伝承 43