今後の観光振興策に関する意見 ~ 新たな観光ビジョン 策定への期待 ~ 平成 28 年 2 月 18 日日本商工会議所 1. 基本的考え方 観光は 地方創生 デフレ脱却 成長戦略の切り札となるものであり 特にインバウンドにかかる期待は大きい 円安 訪日ビザ発給要件の緩和などを背景に 中間層の所得が増

Similar documents
4-(1)-ウ①

関経連_事業報告書CS4.indd

Ⅰ 観光振興計画制定の背景 1 観光による地域振興 観光立国推進基本法 に基づき策定された 観光立国推進基本計画 の中で 観光立国の実現は地域経済の活性化 雇用機会の増大 国民の健康の増進 潤いのある豊かな生活環境の創造 国際相互理解の増進等の意義を有するものである と位置づけられています また 東

により 都市の魅力や付加価値の向上を図り もって持続可能なグローバル都 市形成に寄与することを目的とする活動を 総合的 戦略的に展開すること とする (2) シティマネジメントの目標とする姿中野駅周辺や西武新宿線沿線のまちづくりという将来に向けた大規模プロジェクトの推進 並びに産業振興 都市観光 地

<4D F736F F F696E74202D E9197BF33817A959F89AA8CA78ACF8CF590558BBB82C9954B977682C88E7B8DF C4816A F4390B3>

Microsoft Word _MICE_Q&A(最終案)

主な論点 資料 4 1. ワーク ライフ バランスの推進 生産性向上等の観点から 働き方とともに休み方を見直すことの必要性 重要性 (1) 有給休暇取得状況と長時間労働の国際比較 (2) 休暇取得と生産性との関係 (3) 仕事と仕事以外の生活の充実 2. 秋の連休の大型化等を実現する上での課題 (1

が実現することにより 利用希望者は認証連携でひもづけられた無料 Wi-Fi スポットについて複数回の利用登録手続が不要となり 利用者の負担軽減と利便性の向上が図られる 出典 : ICT 懇談会幹事会 ( 第 4 回 )( 平成 27(2015) 年 4 月 24 日 ) 2. 現状 日本政府観光局


H28秋_24地方税財源

2. 本市の上期観光入込客数について平成 27 年度上期観光入込客数は 総数 377,300 人で 前年の 351,600 人より 25,700 人 7.3% の増となった その内訳として 道内客が 84,900 人で 前年の 94,200 人より 9,300 人 9.9% の減 道外客が 292,

<4D F736F F F696E74202D208E9197BF C815B B838A CC95FB8CFC90AB205B8CDD8AB B83685D>

別紙 町田市観光まちづくり リーディングプロジェクト ( 案 ) 町田市

平成 31 年度 (4 年目 ) 平成 32 年度 (5 年目 ) KPI 増加分の 累計 100,000 人 112,000 人 52,200 人 4,500 千人 4,700 千人 1,250 千人 1,928 億円 1,997 億円 601 億円 5 地域再生を図るために行う事業 5-1 全体

5 地域再生を図るために行う事業 5-1 全体の概要地域の核となる観光資源のブラッシュアップ等の取組と, その観光資源の魅力を伝える戦略的なプロモーション, 観光客のニーズに応える受入態勢の整備を連動させることにより, 観光客の誘致と周遊促進が一層図るとともに, 観光客の興味を刺激する 広島県の魅力

構成 1 第 1 章 IoT 時代の新たな地域資源 1. IoT 時代の新たな地域資源とその可能性 2. 新たな地域資源の活用に向けた基本的視点 第 2 章地域におけるオープンデータ ビッグデータ利活用の推進 1. 地域におけるオープンデータ利活用の現状と課題 2. 地域におけるビッグデータ利活用の

数値目標 事業開始前 ( 現時点 ) 平成 28 年度 (1 年目 ) 平成 29 年度 (2 年目 ) 平成 30 年度 (3 年目 ) 港湾取扱貨物量 556 万トン 4 万トン 0 万トン 20 万トン 観光入込客数 2,899.4 万人回 -9.5 万人回 1.9 万人回 1.9 万人回 7

北海道MICE戦略(仮称)

2 おもてなしの推進 本県を訪れた旅行者がやすらぎと感動を覚え 再び訪れたくなる魅力ある地域づくりを進めるため 地域への誇りと愛着に基づくおもてなしを県民総参加により推進します 1 満足度 ( アンケート調査で非常に満足と答えた観光客の割合 ) 45% 以上 2 リピーター率 67% 以上 おもてな

平成 27 年度 観光庁関係 第 1 次補正予算 平成 27 年 12 月 観光庁

沖縄でのバス自動運転実証実験の実施について

資料 5 総務省提出資料 平成 30 年 12 月 21 日 総務省情報流通行政局

新設 拡充又は延長を必要とする理地方公共団体の実施する一定の地方創生事業に対して企業が寄附を行うことを促すことにより 地方創生に取り組む地方を応援することを目的とする ⑴ 政策目的 ⑵ 施策の必要性 少子高齢化に歯止めをかけ 地域の人口減少と地域経済の縮小を克服するため 国及び地方公共団体は まち

はじめに スノーリゾート地域の活性化は 国内外の旅行者がともに減少する冬期の観光振興を進める上で極めて重要であり 観光庁では平成 27 年から スノーリゾート地域の活性化に向けた検討会 を開催し スノーリゾート地域を取り巻く状況の調査 分析等を通じて 本年 4 月に今後の取組の方向性等について最終報

Taro-全員協議会【高エネ研南】

Ⅱ. 日本遺産 事業の方向性日本遺産事業の設計に先立ち 既に文化財を活用した地域振興を行っている地方自治体の先行事例 10 件について実態調査を行った その際得られた課題を踏まえ 文化財を活用 発信して地域の活性化につなげていくために 以下のような方向性が有効と考えられる (1) 地域に点在する文化

PowerPoint プレゼンテーション

併せて 先進事例を統一的なフォーマットでデータベース化する また 意欲ある地域が先進的な取組みを行った人材に 目的に応じて容易に相談できるよう 内閣官房において 各省の人材システムを再点検し 総合的なコンシェルジュ機能を強化する 各種の既存施策に加え 当面 今通常国会に提出を予定している 都市再生法

(CANACINTRA) 等と連携を図りつつ設置する案を有しており 国家中小企業コンサルタント養成 認定制度を具現化するためにいかにして事業を進めていくかが課題となっている (2) 相手国政府国家政策上の位置づけカルデロン大統領は 近代的かつ競争力のある経済の強化及び雇用の創出 を 治安 貧困撲滅

平成 30 年度上期観光入込客数状況について Ⅰ. 本市の上期観光入込客数の概要について 平成 30 年度上期観光入込客数は 総数 380,100 人で 前年の 399,700 人より 19,600 人 4.9% の 減となった (1) 道内客 道外客の状況 道内客が 98,200 人で 前年の 9

Microsoft Word - 基本方針案ver.3.33

<4D F736F F F696E74202D208E9197BF342D315F91E6338FCD323190A28B498ED089EF82C982A882AF82E BD82C889BA908593B982CC >


姫路市及びたつの市における連携中枢都市圏形成に係る連携協約 姫路市 ( 以下 甲 という ) 及びたつの市 ( 以下 乙 という ) は 連携中枢都市圏構想推進要綱 ( 平成 26 年 8 月 25 日付け総行市第 200 号総務省自治行政局長通知 ) に基づく連携中枢都市圏である播磨圏域 ( 以下

市町村における住民自治や住民参加、協働に関する取組状況調査

NEWS 2020 速報 の一部を改正する法律案 REPORT 総会の様子 2025 GDP 3 02 vol

渚泊推進対策 平成 29 年 3 月に閣議決定された 観光立国推進基本計画 において 農山漁村滞在型旅行をビジネスとして実施できる体制を持った地域を平成 32 年度までに 500 地域創出することにより 農泊 の推進による農山漁村の所得向上を実現する と位置づけられたところ 農泊 を持続的なビジネス

< 基本方針 > 一般社団法人移住 交流推進機構 ( 以下 JOIN という ) は 地方に新しい生活や人生の可能性を求めて移住 交流を希望する方々への情報発信や そのニーズに応じた地域サービスを提供するシステムを普及することにより 都市から地方への移住 交流を推進し 人口減少社会における地方の振興

女性の活躍推進に向けた公共調達及び補助金の活用に関する取組指針について

目的 川越市は 埼玉県の南西部に位置し 新河岸川の舟運や川越街道を通じた江戸との交流により発展してきました 蔵造りの町並みや時の鐘などの歴史的な観光資源に恵まれ 都心からのアクセスも良いことから 毎年多くの観光客が本市を訪れています このような中 本市では 平成 20(2008) 年に 川越市観光振

社会的責任に関する円卓会議の役割と協働プロジェクト 1. 役割 本円卓会議の役割は 安全 安心で持続可能な経済社会を実現するために 多様な担い手が様々な課題を 協働の力 で解決するための協働戦略を策定し その実現に向けて行動することにあります この役割を果たすために 現在 以下の担い手の代表等が参加

女性の活躍促進や仕事と子育て等の両立支援に取り組む企業に対するインセンティブ付与等 役員 管理職等への女性の登用促進 М 字カーブ問題の解消には企業の取組が不可欠 このため 企業の自主的な取組について 経済的に支援する 経営上のメリットにつなぐ 外部から見えるようにし当該取組の市場評価を高めるよう政

福島復興再生特別措置法の一部を改正する法律 について <1. 特定復興再生拠点区域の復興及び再生を推進するための計画制度の創設 > 従来 帰還困難区域は 将来にわたって居住を制限することを原則とした区域 として設定 平成 29 年 5 月復興庁 地元からの要望や与党からの提言を踏まえ 1 帰還困難区

資料 3-2

1. キャッシュレスの現状と推進 1

Microsoft Word - 【外務省】インフラ長寿命化(行動計画)

オリンピック パラリンピック東京大会におけるホストシティ タウン構想に係る自治体における国際交流の取組についてのアンケート 1. 調査概要配布先 : 都道府県 市区町村時期 : 平成 26 年 9 月 30 日 ~10 月 30 日 ( 年内にとりまとめ ) 調査趣旨 : 2020 年オリンピック

PowerPoint プレゼンテーション

<4D F736F F F696E74202D A F95BD90AC E31308C8E8AFA5F8C888E5A90E096BE89EF81408DC58F4994C530362E70707

学生確保の見通し及び申請者としての取組状況

地域再生計画 1 地域再生計画の名称 DMO による広域観光連携 2 地域再生計画の作成主体の名称 石巻市 東松島市 3 地域再生計画の区域 石巻市及び東松島市の全域 4 地域再生計画の目標 4-1 圏域の現状 2011 年 3 月 11 日に発生した東日本大震災から5 年が経過した これまで 復興

NICnet80

資料1:地球温暖化対策基本法案(環境大臣案の概要)

平成29年度事業計画 _1 (2)

東北観光推進機構の取り組みについて 一般社団法人東北観光推進機構 日本を訪れる外国人旅行者は ここ数年急拡大を続けており 十年前に733万人であった旅行者数が 昨年には2,400万人を超えるまでになっています 国は 観光を低迷する日本経済脱却のための成長戦略 と捉え 官民を挙げた様々な取り組みを行な

公益目的支出計画実施報告書 29 年度 (2017/4/1 から 2018/3/31 まで ) の概要 1. 公益目的財産額 10,097,432 円 2. 当該事業年度の公益目的収支差額 ((1)+(2) (3)) 10,213,503 円 (1) 前事業年度末日の公益目的収支差額 7,130,4

<4D F736F F F696E74202D20288DB791D B836792B28DB88C8B89CA288CF68A4A94C529288A5497AA94C E93785F72312E >

取組みの背景 これまでの流れ 平成 27 年 6 月 日本再興戦略 改訂 2015 の閣議決定 ( 訪日外国人からの 日本の Wi-Fi サービスは使い難い との声を受け ) 戦略市場創造プラン における新たに講ずべき具体的施策として 事業者の垣根を越えた認証手続きの簡素化 が盛り込まれる 平成 2

(5) 老上西学区 1 まちづくりの方向性 1-1. 生活拠点の形成と交通環境の充実 既存の生活拠点を中心とした 50 戸連坦制度の厳守等により市街地の拡散を抑制するこ とで 利便性の高い生活環境を維持していくものとします 老上西学区は 東側から南側にかけての一帯が市街化区域に含まれ ( 主 ) 大

し環境の整備や 大会 合宿等の誘致 グッズや特産品の物販 体験型観光など スポーツを生かしたにぎわいの創出を進めることにより 交流人口の増加を図るとともに 将来的な市への移住 定住の促進を目指す 事業 スポーツを生かした交流によるにぎわい創設事業 KPI 観光交流客数 地域ブランド調査魅力度全国ラン

平成20年度税制改正(地方税)要望事項

02 IT 導入のメリットと手順 第 1 章で見てきたように IT 技術は進展していますが ノウハウのある人材の不足やコスト負担など IT 導入に向けたハードルは依然として高く IT 導入はなかなか進んでいないようです 2016 年版中小企業白書では IT 投資の効果を分析していますので 第 2 章

1) 3 層構造による進捗管理の仕組みを理解しているか 持続可能な開発に向けた意欲目標としての 17 のゴール より具体的な行動目標としての 169 のターゲット 達成度を計測する評価するインディケーターに基づく進捗管理 2) 目標の設定と管理 優先的に取り組む目標( マテリアリティ ) の設定のプ

観光で稼ぐ! ための手引書 観光消費の拡大と域内経済への波及をめざして ~ データに基づき観光施策を作り上げる 7 つのステップ ~ 北海道経済部観光局 平成 31 年 4 月

< F2D C83588E9197BF288BC E6A74>

北海道ドライブ観光促進社会実験 実施結果 1 例N 3を表示凡アプリ利用者の属性 実験期間中 1,211 人の外国人観光客が北海道内でアプリ Drive Hokkaido! を利用 ( 実験期間中の全道の外国人レンタカー貸渡台数 19,543 台の約 6% に相当 ) 国 地域別では香港 シンガポー

アンケートの概要 平成 23 年度 平成 24 年度及び平成 25 年度グループ補助金の東北地域の交付先 7,927 に対しアンケートを実施し 5,809(73.3%) から回答があった ( アンケート調査は第 1 次 ( 平成 23 年 8 月 )~ 第 10 次 ( 平成 26 年 3 月 )

Microsoft PowerPoint - REP01_04.ppt

平成 29 年 1 月 25 日 北海道ドライブ観光パス社会実験 ( 仮称 ) のパートナーを募集! ~ 民間アプリを活用し外国人レンタカー利用者のデータを収集 ~ 北海道開発局では 平成 29 年度に 北海道ドライブ観光パス社会実験 ( 仮称 ) を実施する予定です 今般 スマートフォンのアプリケ

5 地域再生を図るために行う事業 5-1 全体の概要 棋士のまち加古川 をより幅広く発信するため 市内外の多くの人が 将棋文化にふれる機会や将棋を通じた交流を図ることができる拠点施設を整備するとともに 日本将棋連盟の公式棋戦 加古川青流戦 の開催や将棋を活かした本市独自のソフト事業を展開する 5-2

4-2 地域の課題人口の減少により 町内では老朽化した空き家 空き店舗が随所に見られるようになっており 平成 28 年 3 月に町内を調査したところ 空き家 空き店舗と思われる建物が 159 軒存在していることが判明した 特に 商店街 公共機関 医療機関等が近接する利便性の高い中心市街地における空き

資料 2-2 成長戦略改訂に向けた地域活性化の取組みについて ( 案 ) 内閣官房地域活性化統合事務局 成長戦略の改訂に向け これまでの施策の成果が実感できない地方において 新たな活力ある地域づくりと地域産業の成長のためのビジョンを提供しその具体化を図る 超高齢化 人口減少社会における持続可能な都市

17日南市277_0324

6光産業振興に向けた現状と課題 ( 東京の魅力の発信と多様な旅行者誘致の展開 ) 東京の旅行地としての魅力を効果の高い手法で海外に発信し その浸透を図ることが重要となっている そのため 国や地域ごとに旅行者の特性に応じた東京の魅力のPRと多様な形での旅行者誘致活動 ( プロモーション ) を進めるこ

地域再生計画 1 地域再生計画の名称 チャリ旅!~ 栃木県北サイクルツーリズム事業 ~ 2 地域再生計画の作成主体の名称大田原市及び矢板市並びに栃木県那須郡那須町 3 地域再生計画の区域大田原市及び矢板市並びに栃木県那須郡那須町の全域 4 地域再生計画の目標 4-1 地方創生の実現における構造的な課


untitled

数値目標 KPI 山口ゆめ花博の山口きらら博記念公園県外からの入場者数の年間利用者数 年月 申請時 - 57 万人 平成 28 年 12 月 初年度 - 57 万人 平成 30 年 3 月 2 年目 6 万人 87 万人 平成 31 年 3 月 3 年目 - 67 万人 平成 32 年 3 月 対象

スライド 0

5 地域再生を図るために行う事業 5-1 全体の概要地域全体が観光で 稼ぐ 仕組みを構築していくため, 県域 DMOに必要な人材の育成 確保 活用 観光地ブランド化や宿泊施設の充実など魅力ある観光地域づくり 県産品の知名度向上や販路拡大による稼げる観光産業の振興 旅行博や訪日旅行商談会におけるPRな

地域再生計画 1 地域再生計画の名称 琵琶湖疏水通船復活を契機とした京都 大津広域観光促進計画 2 地域再生計画の作成主体の名称 滋賀県大津市及び京都府京都市 3 地域再生計画の区域 滋賀県大津市及び京都府京都市の全域 4 地域再生計画の目標 4-1 地方創生の実現における構造的な課題大津市及び京都

数値目標 事業開始前 ( 現時点 ) 平成 28 年度増加分 (1 年目 ) 平成 29 年度増加分 (2 年目 ) 平成 30 年度増加分 (3 年目 ) 観光消費額県内の延べ宿泊者 1,503 億円 195 億円 51 億円 51 億円 348 万人 40 万人 6 万人 6 万人 数 訪日外国

Microsoft PowerPoint アンケート調査

光を巡る現状< 訪日外国人旅行者数の内訳 (2017 年 )> ( 千人 ) 20,000 18,000 16,000 14,000 12,000 10,000 8,000 6,000 4,000 2,000 0 東アジア : 韓国 台湾 香港 中国 東南アジア + インド : タイ シンガポール

Microsoft PowerPoint 榔本è−³äººè³⁄挎.pptx

観光立国の実現に向けた政府の取組 26 年 12 月 観光立国推進基本法を制定 28 年 1 月 観光庁設置 212 年 3 月 観光立国推進基本計画を閣議決定 213 年 6 月 観光立国実現に向けたアクション プログラム策定 7 月 タイ マレーシア向けビザ免除 213 年 12 月 訪日外国人

PowerPoint プレゼンテーション

(Microsoft Word - \201\2403-1\223y\222n\227\230\227p\201i\215\317\201j.doc)

<4D F736F F D2095BD90AC E93788E968BC68C7689E688C4>

(4) 対象区域 基本方針の対象区域は市街化調整区域全体とし 都市計画マスタープランにおいて田園都市ゾーン及び公園 緑地ゾーンとして位置付けられている区域を基本とします 対象区域図 市街化調整区域 2 資料 : 八潮市都市計画マスタープラン 土地利用方針図

訪日外国人旅行者に係る宿泊施設の過不足についての試算

Microsoft Word - 作成中.doc

<4D F736F F F696E74202D F CC8CBB8FF DC82C682DF816A2E B8CDD8AB B83685D>

chap03.indd

1 地域再生計画の名称 りんくうタウン活性化プロジェクト 地域再生計画 2 地域再生計画の作成主体の名称泉佐野市 3 地域再生計画の区域泉佐野市の区域の一部 ( りんくうタウン インターナショナルビジネス地区 ) 4 地域再生計画の目標 4-1 地域の現状 課題平成 6 年に開港した関西国際空港の地

PowerPoint プレゼンテーション

Microsoft Word - 【H 現在版】■ガイドラインv8.doc

日本でビジネスを始めるなら、神戸で。

持続可能な自治会活動に向けた男女共同参画の推進について(概要)

別紙 2 様式第十八 ( 第 13 条関係 ) 認定事業再編計画の内容の公表 1. 認定をした年月日平成 27 年 7 月 6 日 2. 認定事業者名 WAKUWAKU JAPAN 株式会社 3. 認定事業再編計画の目標 (1) 事業再編に係る事業の目標スカパー JSAT グループ ( 以下 スカパ

Transcription:

今後の観光振興策に関する意見 ~ 新たな観光ビジョン 策定への期待 ~ 平成 28 年 2 月 18 日日本商工会議所 1. 基本的考え方 観光は 地方創生 デフレ脱却 成長戦略の切り札となるものであり 特にインバウンドにかかる期待は大きい 円安 訪日ビザ発給要件の緩和などを背景に 中間層の所得が増えた中国など アジア諸国を中心に 訪日外国人旅行者が近年急増しており その旅行消費額も高い伸びを示している アジアの経済成長は今後も続くことが予測されており 観光はアジアの成長する力を日本の成長と地方創生に生かす最重要分野である 今年 2 月に環太平洋パートナーシップ (TPP) 協定が署名され 2 年以内の発効の見通しが立った TPP の発効により 世界の GDP の 36% 人口 8 億人の巨大な自由経済圏が生まれ ヒト モノ カネが TPP 参加国間を行き交う中で 日本の観光は大きなビジネスチャンスを迎えることになる また 2020 年の東京オリンピック パラリンピック開催は 世界の関心を日本に集め インバウンドを増やす機会となりうる 他方 国内旅行消費額の約 9 割を占める日本人の国内観光市場は 2006 年の 27.2 兆円から 2014 年の 18.9 兆円へと 大幅に減少している 政府の見通しでは 少なくとも相当長期にわたり人口減少が続くとみられており 若者の所得が伸びない現状等も考えると 今後も国内観光は停滞する可能性がある 以上のような状況を考慮すると まず今後とも増加が見込まれるインバウンドについて 国と地方 そして官と民とが協力して 受入体制を早急に強化することが不可欠である そのためには 政府が 長期的な訪日外国人旅行者数の目標を設定し その実現に積極的に取り組む意思を示すことが重要である それが全国の地方自治体のインバウンドへの取り組み さらには民間企業によるリスクを取った積極的な観光投資を引き出すことにつながるからである なお 目標設定においては 客観的な分析に基づき 主要国別 日本の地域別のものを示すことが望ましい また 2020 年 2025 年 2030 年と節目ごとの目標を設定することができれば 具体性が増し 政府の観光立国への強い意思をより明確に示すことになると考える 国内観光は インバウンドと車の両輪として取り組むべきであり まずは長期的な減少傾向を止めることが重要である また 国内の観光統計を整備し インバウンドと同様に具体的な数値目標を設定する必要がある インバウンドへの取り組みの強化は 宿泊施設の新設や更新 外国人旅行者を通じた日本の観光資源の再発見など 観光産業をイノベーションしていく力となり 国内観光の回復にも寄与する 観光は経済的活動であるばかりでなく 本来 地域内外の良いもの 優れたものを観て知識や見聞を広め 人間性を高めるという文化的 社会的な活動でもある 官民が一体となり 地域 経済 社会生活を活性化させる 国民観光運動 として 観光に対する国民的な機運醸成に取り組んでいくことも重要である 以下は 観光をめぐる現状認識と取り組むべき課題を整理したうえで 特に地方創生の視点を中心に 諸課題を解決するための国の役割について提言をまとめたものである -1-

2. 現状認識 高い伸びを続ける訪日外国人旅行者数と消費額は 今後も増加する見込み 2015 年の訪日外国人旅行者数は 円安 訪日ビザ発給要件の緩和 アジア諸国の旺盛な観光需要などを背景に 過去最高となる 1,974 万人となり 訪日外国人旅行消費額も 3 兆 4,771 億円と急増している ( 資料 1) 中国人観光客などを大量に乗せたクルーズ船の寄港も大幅に増えるなど 政府が昨年 6 月の 観光立国実現に向けたアクション プログラム 2015 で定めた 2020 年までの目標の達成はほぼ確実であり 日本における観光ポテンシャルは未だ大きい ( 資料 2 3) 世界観光機関 (UNWTO) の 2010 年から 2030 年までの全世界の旅行者数の見通しでは 年平均 3.3% で増加することが予測されており 今後もアジアを中心に 日本への外国人旅行者は増加することが見込まれる ( 資料 4) 旅行者は特定地域に集中 施設等の供給が逼迫 訪日外国人旅行者は ゴールデンルートや大都市など 特定地域に集中している ( 資料 5) また 急激なインバウンドの増加により 大都市圏の 2015 年のシティホテルの平均客室稼働率は 80% を超え 飽和状態となっている ( 資料 6) ほか 貸切バスの路上駐車等による交通渋滞等が問題になっている 加えて ホテル従業員やガイド バス運転手等の人手不足が深刻化している 日本人国内旅行者数 旅行消費額は長期的には減少傾向 他方 国内の旅行消費額は 2006 年の 30 兆円をピークに減少傾向にある インバウンドは 2012 年以降増加傾向にあるものの 日本人については 2006 年から 2014 年の推移をみると 宿泊旅行消費額が 20.6 兆円から 14.4 兆円に また 国内日帰り旅行消費額も 6.6 兆円から 4.5 兆円と それぞれ約 3 割減少している ( 資料 7) 3. 今後の重点的な観光施策の展開 (1) インバウンドの課題と対応近年のインバウンドの増加は 円安 アジア中間層の増加と 日本への関心の高まりとともに 訪日ビザ発給要件の緩和や免税店の拡大など 政府の取り組みによるところが大きい しかし 円安などの外部要因は一時的な可能性もあり インバウンドの受け入れを強化するための様々な課題について 国と地方 官民を挙げた積極的かつ早急な取り組みが必要である 1 特定都市 地域に集中するインバウンドの各地への分散観光を地方創生につなげていくためには 特定都市に偏在する外国人旅行者を 全国各地に分散 拡大していくことが必要である 震災復興の観点からは 風評被害等の影響でインバウンドの増加率が低調な 東北地方への誘客を一層強化することも求められる 各地への旅行者の分散のためには 地方における外国人旅行者の受入体制づくりと地方の魅力を発信することが何よりも重要である 訪日外国人旅行者の認知度が高い観光地は 東京 富士山 大阪 北海道 京都などに限られている ( 資料 8) 地域をより多くの外国人に知ってもらうためには 地方自治体などが比較的低コストで地域情報を発信できるローカルメディアやインターネットをはじめ あらゆる媒体を積極的に活用して 地域の観光情報の発信を強化していくことが期待される -2-

また 全国に 97 ある空港の積極的な活用も必要である 外国人旅行者が地方空港を利用して各地に直接降り立つことができれば 新たな観光機会 ニーズが生まれる インバウンド増加に取り組む地方空港に対し 着陸料軽減制度を適用すべきである そして 海上からの日本へのアプローチであるクルーズ船については 今後も地方港への寄港の増加が見込まれている 外国人旅行者の地域滞在時間を十分に確保し 各地での観光を楽しんでいただくために 海運会社 自治体および関係省庁が協力して CIQ の手続きの一層のスピードアップや 旅行者に対応した港湾施設の整備等に取り組むことが必要である こうした取り組みについては 地方創生に係る新型交付金の積極的な活用が期待される 2 交流拠点都市 の構築による観光ネットワークの確立日本商工会議所が昨年 5 月に取りまとめた提言 国と地域の再生に向けた観光振興について では 全国各地域への旅行者の分散 拡大のための方策として 交流拠点都市 の構築を提案した 交流拠点都市 は 地方空港や高速道路 高速鉄道などの交通インフラ 優れた観光資源を有し 地域鉄道やバス タクシーなどの二次交通 ( 地域公共交通 ) が整備されていて 海外と双方向の送客システムの構築が見込まれる都市を想定している 地域観光の新たな支点として 周辺地域を含めた観光圏の構築を推進していくことを目的としている ( 資料 9 10) 政府は 昨年認定した 7 つの広域観光周遊ルートや観光立国ショーケースとして選定した 3 都市 ( 北海道釧路市 石川県金沢市 長崎県長崎市 ) において 早期に 交流拠点都市 を指定するべきである 3 国際情勢等に左右されない多様な訪日外国人旅行者の受入拡大と安定的確保 2015 年の訪日外国人旅行者の 71.9% が 東アジア 中国 (499 万人 ) 韓国 (400 万人 ) 台湾 (368 万人 ) 香港 (152 万人 ) からの旅行者で占められている また 同年の外国人旅行消費額も 72.1%(2 兆 5,016 億円 ) が東アジアの旅行者によるものである ( 資料 11) こうした特定地域に依存した誘客は 経済 社会情勢により 大きな変動が生じる可能性を有しており 安定的な訪日外国人旅行者数と旅行消費額を確保するためには 東アジアだけに頼らない 欧米など多様な国からの誘客を 戦略的に進めていく必要がある 政府は 国ごとのニーズやトレンドをマーケティングし 地域や民間はそのニーズに対応した商品 サービスを開発することが求められる 特に観光先進国である欧米からの誘客は 長期滞在型旅行商品の開発や文化資源の活用促進など 日本の観光産業のイノベーションに資するものとして期待される 4 受入体制強化に向けた民間 地方自治体 政府の役割の明確化地域が自ら魅力ある観光資源開発を行い 受入環境整備を進め 他地域等との連携による魅力の多様化や広域 周遊化を図り 効果的 継続的な情報発信を行うことが必要である また 海外での誘致プロモーションなど 民間や地域の努力のみでは限界があることについては 国による支援が求められるなど国 地域 民間がそれぞれの観光振興の取り組みを加速していくことが必要である なお 旅行消費額のさらなる増加に向け 国が主体となった大型 MICE の誘致や 日本企業が実施する MI( 会議 インセンティブ旅行等 ) などにより 誘客を図っていくことも重要である -3-

(2) 国内観光の課題と対応国内観光の長期的な減少は 20 年に及ぶデフレ経済や円高による日本人の海外旅行の増加 東日本大震災など外的要因によるところが大きいが 日本人の余暇の過ごし方に関する選択肢の多様化 団体旅行から個人旅行へのトレンドの変化 地域の観光産業におけるニーズへの対応の遅れなども要因としてあげられる ( 資料 12) 国内観光を推進するためには それぞれの地域の資源を生かした魅力ある観光プログラムやルートの開発 商品化 効果的な情報発信などを継続的に実施する必要がある また グリーンツーリズム スポーツツーリズム 医療ツーリズムなど 見る観光から体験する観光へのシフトに対応した新たな観光開発 プロモーションの動きも一部の地域で生まれている また 国内観光においては 季節的 時期的な需要格差が激しく それが観光産業の安定雇用や生産性向上の大きな阻害要因となっている こうした問題の解決に向けて 国をあげて休暇取得キャンペーンを実施するなど 官民一体となって観光需要の平準化に向けた取り組みを推進していく必要がある さらに 地域別の観光客数 宿泊施設の客室数や空港容量 交通手段 通信環境など 正確な基礎データの整備が不可欠である 政府は こうした観光統計を早急に整備し一元的に提供することで 各自治体の実効性ある計画の策定 施策の実施を支援していくことが求められる なお 観光産業においては 泊食分離や電子決済の導入 IoT の活用 接客等のサービス向上などにより これまでの商習慣の改善や経営改革 生産性の向上に努めるとともに 雇用の安定 労働環境の改善を図っていく必要がある また 国 自治体は こうしたイノベーションに取り組む 観光関連の中小 ベンチャー企業への支援を行うことが必要である (3) その他今後検討が必要な課題 1 地域の魅力創造に向けたさらなる規制緩和観光にとって魅力的な資源となる歴史的建造物や史跡 古民家 さらには 河川 港湾など 全国各地域には多くの未活用観光資源があるが 関連法制の煩雑な手続きや縦割り行政により その活用が進まない 文化財保護法や河川法などのさらなる規制緩和や 地方自治体内の文化財に係る部局と観光に係る部局との連携強化などにより 様々な地域資源を観光振興につなげていくことが必要である ( 資料 13) 具体的な項目 河川 港湾等 水辺の活用を進めるための民間利用の促進と占有許可期間の延長 特別史跡や歴史的建造物等の歴史 文化資源 古民家 町家などの宿泊施設やレストラン オフィスなどへの活用促進 郷土の祭りなどの無形文化 食文化等の保存 継承支援 2 安全安心の確保等を前提とした新たな観光ニーズへの対応のための法制度の整備政府は 訪日外国人旅行者の急増などにより浮かびあがった 既存の法制度では対応しきれていない問題を整理し グローバル化に対応した観光産業のあり方について 抜本的な見直しを図る必要がある その際 安全安心 清潔など 日本が保持し続けている公共価値や公正な競争環境が損なわれることがないよう 十分な配慮が必要である ( 資料 14) 各地域が地元の観光資源情報を積極的に発信し ランドオペレーターを活用して地域に外国人旅行者を誘導することも有効である 他方 旅行業の登録を行っていないランドオペレーターが宿泊施設 バス等の各種手配を行っていることなどから様々な問題が生じており 政府はその解決に取り組むことが必要である -4-

具体的な項目 優良ランドオペレーターの登録制度の導入 地域限定旅行業の参入を促す旅行業法の登録制度の弾力化 多様な観光ニーズに対応した宿泊施設の整備の促進に向けた旅館業法 建築基準法における構造 設備基準の見直し 民泊に関する法制度の整備 安全性を前提としたバス タクシー事業者の再生と新規参入に対するルールづくり 3 地域における観光マネジメントの推進と二次交通 宿泊施設等観光インフラ整備の促進地域においては 観光産業を育成していくために 交通 宿泊 観光施設 災害対策といった観光関連情報を一元的に収集 管理し 提供する体制を構築する必要がある それにより インターネット等を活用した地域の観光情報の発信をはじめ 旅行者の受入環境整備 観光商品 サービスの開発 改善 販路開拓 マーケティングなど 地域で実効性のある観光マネジメントを推進することができる 地域の観光マネジメント推進のためにも 地域の主体的な取り組みと関係府省庁で構成される連携支援チームの支援等により 日本版 DMO(Destination Management / Marketing Organization) が有効に機能することが期待される ( 資料 15) また 地域において観光振興を図るには 観光資源へのアクセスの改善や周辺地域との連携構築の観点から 二次交通 ( 地域公共交通 ) や宿泊施設等の観光インフラ整備を促進することが必要であり 国による支援の拡充が望まれる 4 関係府省庁の垣根を越えた推進体制の構築 強化観光庁は 農業 文化 スポーツ 医療など ニューツーリズムの推進に向けて 観光と密接な関係にある関係府省庁とのさらなる連携の強化が必要である また 内閣官房と連携して観光振興策の総合調整を進め 新たな観光ビジョンにおける KPI を設定して 施策の推進状況の見える化を図るなど 積極的な取り組みを推進することが望まれる そして 政府は 地域が財政制約の厳しい中で自らビジョンを打ち出し 効果的な観光振興の取り組みを進められるよう ワンストップの相談 情報提供体制の構築を進められたい 以上 -5-