分析展 2011 新技術説明会 耳寄! 上手な 測定! より精度良く測定する秘訣をお教えします ( 応用編 ) ~ 測りにくいサンプルも 最適な電極選びで快適測定 ~ 株式会社堀場製作所
目次 ガラス電極の構造 1 電極の構造と原理 2 測定における注意点 3 電極の種類と選択法 4 サンプル測定例の紹介 5 電極メンテナンス法 6 新技術紹介 1 応答部内部液 2 内極 3 ガラス応答膜 1 比較内部液 2 内極 3 液絡部 1 1 3 3 2 2 ガラス電極 複合型電極 ガラス電極測定原理 E ガラス電極と 2 本の電極の間に発生する電圧を測定 とは理想的にはどんなサンプル溶液中でも電位が一定 内極 ( 基準極 ):Ag/AgCl 基準電位内部液 : 3.3M KCl 溶液の を算出 液絡部 : 内部液とサンプルが接する所電位が発生しないことが理想 ( 0mV) ガラス電極 E 2.303RT F ガラス電極 ガラス電極とはサンプル溶液のに応じて電位が決まる 内極 :Ag/AgCl 内部液 : 3.3M KCl (7 付近に調製 ) ガラス応答膜 ガラス電極 ガラス膜の 応答 サンプル液 o サンフ ル水 H E( 電位差 ) + H e o + ガラH+ ス膜 ガラス膜表面は それと接する溶液の の差に応じた電位を発生する 電極内部液 i e i ガラス膜で発生する電位 1あたり25 の場合は約 59mV 変化 E 2.303RT R: ガス定数 :8.31441J/ mol, T: 絶対温度 : T=t +273.15, F: ファラデー定数 :96484.56C/mol F 電位差 E mv 0 0 1 0 傾き 7 14 7 14 1
測定における注意点 測定手順 1 電極を メーターに接続 2 標準液で電極を校正 3 サンプル測定 でも 使い方は簡単 注意点を守って測定しないと正しい値が得られない 校正とは? ガラス電極は 使用頻度 保存状態により感度や不斉電位の変動が起こる 使用前には 標準液で補正する 起電力 mv - 感度 : 理論勾配に対する実測比率不斉電位 :7 標準液の時に発生する電位 1 + 0 理論勾配 25 で 59.16mV/ 7 14 校正時に電極の状態を確認 2 3 4 校正終了後の画面例 <F-7X シリース >F-72~74 1 電極状態が良好であることを確認 1 電極状態 2 再現性 3 不斉電位 4 感度 校正時 測定時の重要ポイント 1 温度を一定に保つ ガラス応答膜は温度によって電位 / が変化する 側内部液補充口を開放する E 2.303RT F 校正時の標準液とサンプルの温度を同じにする 内部液の液面の高さはサンプル液面より高くする 内部液のサンプルへの流出を促し 液絡部での電位の発生を抑制する 校正時 測定時の重要ポイント 2 読み取り OK 電極の種類 安定してから読み取る 理想は 2 分 ~3 分 読み取り NG 時間 参考 : 測定値表示の切替え <F-7X シリース >F-72~74 電極は測定サンプル別に使い分けられる 2
電極選びの基本 ( 水溶液の場合 ) その他用途別電極 測定サンプルで液絡部の形状を選択 液絡部の種類 水溶液の性状 多孔質セラミック型 スリーフ 型 微量用 大容量容器用 固体内部用 ISFET 固体表面用 ISFET 一般的な水溶液 懸濁液 粘性の高い溶液 希薄溶液 濃厚水溶液 有機溶媒含有水溶液 測定するサンプルの性状や容量に合った電極を選ぶ 有機溶媒含有溶液 ( アルコール飲料 ) 測定例 ウイスキー ( アルコール 40%) 微量サンプル測定例 アルフ ミン sat. in リン酸 Buffer 7.2 7.50 多孔質セラミック 7.40 7.30 7.20 7.10 7.00 サンプル量 300μL サンプル量 50μL 96 穴マイクロプレート (max volume 200μL) 6.90 スリーフ 型 6.80 6.70 6.60 スリーブ Tou 非水用 6.50 0 60 120 180 240 300 Time (sec) マイクロ Tou ( 微量用 ) を使用 固体 ( 食肉表面 ) 測定例 測りにくいサンプル測定例 炭酸水 豚肉表面 応答曲線繰返し安定性 ガラス表面の小さなキズ除去 アルカリ溶液 に一晩浸漬 アルカリ溶液 : エタノールと水酸化カリウムの混合溶液 7 6.5 処理前 6 5.5 5 1 回目 2 回目 3 回目 4 回目 5 回目 0 30 60 90 Time (sec.) フラット ISFET ( 固体表面用 ) を使用 処理後 3
測りにくいサンプルその他 こんな現象に心当たりはないですか? KCl と反応するサンプル比較内極 (Ag/AgCl) を侵すサンプル ガラス電極 ( タ フ ルシ ャンクション型 ) ダブルジャンクション型 ( 二重液絡構造 ) 内筒液 :3.3M KCl 外筒液 : 酢酸リチウム ガラス電極温度補償電極 2565A-10T 同じサンプルなのに測定値が毎回違う 7.50 7.40 7.30 7.20 7.10 7.00 6.90 6.80 6.70 6.60 6.50 測定 1 回目測定 2 回目測定 3 回目 0 120 240 360 480 600 Time /sec. こんな現象に心当たりはないですか? 以前よりも安定するのに時間がかかる 7.50 7.30 7.10 6.90 6.70 使用初期使用後期 校正時に電極の状態を確認 正常な電極動作の基準 不斉電位(7 標準液の時に発生する電位 ) : ±30mV 感度( 理論勾配に対する実測勾配の比率 ) : 90~105% 再現性( 校正前後の7 標準液での差 ) : ±0.05 以下 応答速度 : 3 分以内に指示値が安定すること安定判断目安 :0.01(1mV 相当 )/10 秒 6.50 0 20 40 60 80 100 Time /sec. これらの基準を満たさない場合は カ ラス応答膜, 液絡部の洗浄 内部液の交換が必要 電極状態が悪い ~ ガラス電極側の要因 ~ 感度 不斉電位が良好でない場合 ガラス応答膜の劣化 電極状態が悪い ~ 側の要因 ~ 再現性 安定性が良好でない場合 液絡部の詰まりや汚れ サンプル 劣化モード フッ酸 溶解 アルカリ ガラスの網目構造を切断 キレート剤 塩類 酸 金属イオンと置換 油脂 タンパク質 無機成分 汚れの付着 電極の交換を推奨 汚れに対しては個別の洗浄を推奨 汚れ成分 無機成分 (Ca Fe Ag) タンパク質 ( 卵 アルブミン ) Agと結合しやすい試料 ( 硫黄含有 温泉水など ) * 低導電率試料の測定でも発生 無機成分汚れ タンパク質汚れ 4
洗浄方法 試料溶液中の汚れの成分に応じた洗浄が必要! 汚れの種類 洗浄方法 一般サンプル 無機 有機成分 中性洗剤 チオ尿素入り洗浄液 (HORIBA 洗浄液 #220) 油脂類 ( インク, 食品 ) エタノール アセトンを含ませた柔らかい布での拭き取り タンパク質 ( 食品 ) タンパク質分解酵素入り洗浄液 (HORIBA 洗浄液 #250) 強アルカリ性 無機成分 1mol/L の塩酸に浸す 電極の保存法 専用の電極保護キャップを使用し ガラス応答膜を水分で潤った状態を保つ ( 乾燥させた場合は純水に一晩つけて置く ) 湿度 100% 但し 純水浸漬保存すると ガラス応答膜からの金属イオンの溶出 内部液の希釈 * 液絡部の洗浄後は内部液交換を忘れずに 不斉電位 感度低下が起こる 純水を染込ませたスホ ンシ 又は脱脂綿 まとめ 電極の特徴を理解し サンプルの性状に合った正しい電極選択を行うこと 使用前には必ず校正を行い 電極状態が良好であることを確認すること 校正時 測定時共に電極原理に基づいた作法に従うこと ( 補充口開放 温度管理 ) 測定終了時には ガラス応答膜 液絡部共に十分に洗浄を行い 汚れを残さないこと 電極保管は水に浸漬させず 湿潤状態を保つこと 新製品技術紹介 LAQUA ガラス電極 安定性向上内極をカチオン伝導性中空糸膜で被覆液絡詰まりの原因の銀イオン流出を 1/1000 に抑制 当社比 強度向上 ~STANDARD Tou~ JIS 規格 ( 強度試験 ) の 10 倍以上の強度を実現 ト ーム型構造で全方向強度 UP STANDARD Tou 新製品技術紹介 MICRO Tou( 微量用 ) 新製品技術紹介 FLAT ISFET( 固体表面用 ) サンプル量 50μL 測定の実現 液絡部位置 10mm 応答膜 φ3 液絡部位置サンプル液面従来型新型 6.5mm 96 穴マイクロプレート (max volume 200μL) サンプル液面液絡部位置 < センサ先端断面図 > φ10mm 応答膜 ソース ドレイン 100μm 応答膜とサンプル接触面の段差 100μm 以下を実現 サンプル表面へのダメージの抑制 固体表面にあるわずかな水分でふらつきのない安定な測定が可能 5
新製品技術紹介 一般的な複合電極 電極 イオン液体塩橋搭載複合電極 (IL 電極 ) 3.3M KCl の流出イオン液体のわずかな流出 サンプルの影響が従来の1/10000 以下 低電気伝導率サンプルでの正確で素早い測定 KClと反応するサンプルで測定可能 サンプルへの溶出物質 ( 従来 :3M 以上の KCl ピュア IL 電極 : イオン液体 ) の濃度比 4.6 4.55 4.5 4.45 4.4 4.35 4.3 電極を用いた測定例 20μM 硫酸 (16μS/cm) の測定結果 at 25 理論値 0 30 60 90 120 150 180 Time / sec. 新開発のイオン液体塩橋の採用により KCl を流出させること無く 安定した測定を実現 KCl タイフ PURE IL HORIBA グループブースへのご案内 2011/9/7( 水 )~ 9/9( 金 ) 10:00~17:00 幕張メッセ国際展示場 5 ホール Booth No. 5B-101, 201 最後に 本日の内容 ( 一部 ) や その他の に関わる情報 ( のおもしろ話 ) 等がホームページにあります ご興味ありましたら 是非 ご参考にしてください 弊社の製品をご使用いただいております皆様へ製品の ご愛用者登録 を行っていただくと さらに水質計測のまめ知識等が追加でご覧いただけます 皆様のご来場お待ちしております! 6