IT スキル標準に準拠した 大学カリキュラムの改善 情報科学科 70510029 河原崎徹
目次 研究の背景及び目的 ITスキル標準の紹介 ITスキル標準に関するアンケートの調査結果 大学教育へのITスキル標準の適用 提案方法 提案 今後の課題 参考文献 謝辞
背景 1 世界の IT 産業の人材戦略 世界各国の動き アメリカ 各大学では 積極的な産学連携教育を実施している 中国など ( 新興国 ) 国家プロジェクトとして高度 IT 人材の育成強化を目指している
背景 2 我が国の現状 高度 IT 人材育成に関する国家戦略がない上に 産学官の連携も比較的に十分ではないとされている そのため 1 学生の間では 大学で習得した知識を企業に入ってからなかなか生かせないというケースが多く むしろ どうせ会社に入ってから一から学び直せばいい と考える学生も少なくない 2 結果的に企業側は 大学教育に期待できない現状にある これを長期的に見れば 教育機関の学力の低下だけでなく 国のIT 人材力の低下にもつながると懸念されている
背景 3 IT スキル標準の策定 国全体の競争力を上げるために 経済産業省が策定し 普及を急いだ その結果 IT スキル標準は 大手 IT 企業を中心に普及が進み 基本的な人材育成メカニズムとして機能してきているとされ 教育機関での活用も期待されている 研修サービスを提供する企業や大学 専門学校などでは IT スキル標準を客観的な指標として位置づけ 教育 訓練プログラムを整備しつつある ベンダー資格試験の一部では IT スキル標準の職種であげられている知識項目を試験科目に取り込む動きも出ている
目的 本研究では 国内 IT 人材力の増加 産学連携の強化及び即戦力の向上につながる IT 人材育成を目的とした IT スキル標準に準拠した大学カリキュラムのモデルを提案する
IT スキル標準 (ITSS) ITSS(IT Skill Standard/IT スキル標準 ) は 経済産業省が策定した IT 人材のスキル体系で IT サービスにかかわるプロフェッショナルの教育 訓練などに 業界として有用な ものさし IT スキル標準フレームワーク 1IT エンジニアにとっては IT スキル標準フレームワークを参照することで 必要なスキルを取得することができ 個人のスキルレベルの向上につながる 2 現在取得しているスキルをあらためて認識 評価することで 次に進むべきレベルや強化すべきスキルが見え キャリアパスを上手に検討し イメージすることもできる
IT スキル標準フレームワーク 横方向に 11 職種 35 種類の専門分野を定義し 縦方向に個人の能力や実績を 7 段階のレベルで設定している図表
アンケート調査の結果 ( 一部 ) 対象人数 : 学部 2 年男 42 人 女 30 人 修士 1 年 25 人 教育機関への IT スキル標準の導入について 学生にアンケート調査を実施 会社を選択する際に重視するもの ( 人材制度関係の割合 ) 学部 2 年男子 31% 女子 24% 修士 1 年 29% 2 大就職要素である 仕事環境 社内雰囲気 給与 福利厚生 と肩が並ぶ ように高い割合を示している 授業及び就職先を選ぶ際 高い割合の学生が IT スキル標準を参考として利用したい IT スキル標準に基づく大学カリキュラムの作成が学生に役立つか 修士 1 年 48% 学部 2 年男子 88% 女子 80% 修士より 将来のことをさほど考えていない学部生のほうが 道を示してくれる 道標 のようなものを強く望んでいるのではないか IT スキル標準に基づく大学カリキュラムの作成に当たって 対象となる学生を学部生に限定したほうがより効果が得られるのではないかと予想できる
大学教育への IT スキル標準の適用 情報処理技術者試験 準拠 適用 大学カリキュラム 補完 IT スキル標準フレームワーク 参照 知識体系 (BOK) 連携 J07-IS カリキュラム UISS ETSS 共通の参照モデルとして より広い範囲に影響力を持つ標準化の推進 大学教育としての基準を補完する形で適用
IT スキル標準に基づく大学カリキュラムの改善方法情報学部カリキュラムの各科目の分布を調べる 共通キャリア スキルフレームワーク 情報処理技術者試験 対比 静岡大学カリキュラム
対比結果 1 ITSS において 各プログラム (CS,IS,ID) はどの職種に適応可能か またその職種にどれくらいの潜在的な適応度があるかについて調べることができる
対比結果 2 試験の重点範囲にもかかわらず 各プログラムの科目に反映されていない BOK の知識項目が まだ沢山あるという問題点がうかがえる ( 例 ) IT ストラテジスト試験の出題範囲 システム戦略 4 対応する科目が少ない システム企画経営戦略マネジメント技術戦略マネジメントビジネスインダストリ企業活動法務 4 4 3 4 4 3 対応するする科目なし そのため 現在の大学カリキュラムには 高度なスキルを持った IT プロフェッショナルを育てる潜在的な能力があるが 知識などといった教育するためのツールが足りていないと言える
IT スキル標準に準拠した大学カリキュラムの提案 提案 1 情報処理技術者試験の試験範囲となる知識の充実化 ( 不十分の知識の補足 :1 既存授業 2 新設授業 ) 提案 2 IT スキル標準フレームワークに基づく進路指針の設定 ( 指導教員 授業担当教員がメンターとしての機能を果たす ) 提案 3 学生全体に行き渡ることを目標とする産学連携を含めた実践教育の実施 (1 現場社員によるセミナーの定期化 2 インターンシップ先の多様化 )
結論 企業や社会のニーズに合った大学教育が不足しているという問題を解決すべく IT スキル標準を用いた提案を 3 つ行った
今後の課題 今回の研究では 実際の運用には至らなかったことから 現実性の評価及び効果の検証を今後の課題として指摘する
参考文献 1 [1] 高度 IT 人材の育成をめざして (PDF) http://www.meti.go.jp/committee/materials/downloadfiles/g70727a02j.pdf [2] 高度 IT 人材の育成について (PDF) http://www.ipsj.or.jp/10jigyo/forum/kodo-it-material/yahiro.pdf [3] 産学官連携による高度な情報通信人材の育成強化に向けて (( 社 ) 日本経済団体連合会,2005 年 6 月 21 日 ) http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2005/039/honbun.html#part3 [4] 情報処理推進機構 >> IT 人材育成 >> IT スキル標準センター >> IT スキル標準に関するご紹介 http://www.ipa.go.jp/jinzai/itss/itss2.html [5] ITSS まる分かりガイド 転職 求人情報サイトのマイナビ転職 http://tenshoku.mynavi.jp/eng/itss/about/index.cfm [6] ITSS をやさしく解説 _ 北海道 ITSS ITIL 研究会 http://www.deos.co.jp/itssken/h17/hp/kaisetsu/kaisetsu-itss6.html [7] 経済産業省独立行政法人情報処理推進機構 : 共通キャリア スキルフレームワーク ( 第一版 ) ( 情報処理推進機構,2008 年 )
参考文献 2 [8] 情報処理技術者試験センター :JITEC トップ > 試験の概要 http://www.jitec.jp/1_08gaiyou/_index_gaiyou.html [9] J07-IS カリキュラムの概要 ( 本文 ) (PDF) http://open.shonan.bunkyo.ac.jp/~miyagawa/is/isecom/material/j07-is/ [10] 情報処理学会全国大会発表資料 (PDF) http://open.shonan.bunkyo.ac.jp/~miyagawa/is/isecom/material/j07-is/ [11] 情報処理技術者試験試験要綱 Ver1.0 (PDF) http://www.jitec.jp/1_00topic/topic_20081027_hani_youkou.pdf [12] 付録 1(ISBOK の簡易版 )(PDF) http://open.shonan.bunkyo.ac.jp/~miyagawa/is/isecom/material/j07-is/ [13] 付録 5( モデルカリキュラム - 科目詳細 )(PDF) http://open.shonan.bunkyo.ac.jp/~miyagawa/is/isecom/material/j07-is/ [14] SYLLABUS2007 授業内容紹介 ( 静岡大学情報学部,2007 年 ) [15] 静岡大学情報学部ホームページ > 学科 カリキュラム http://www.inf.shizuoka.ac.jp/courses/
以上 ご清聴有難うございました