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4. ごみ処理システムの検討 4.1 検討目的及び検討方法 4.1.1 検討目的施設全体の規模や整備費に影響する各設備 ( 処理方式 排ガス処理設備 余熱利用設備等 ) の方式について 導入実績や各特長等を踏まえた検討を行い その上で ごみ処理の単独処理及び広域処理の経済面 ( 整備費用のコスト等 ) を比較するための仮の想定として ごみ処理システムを設定しました 4.1.2 検討方法本検討会においては 施設規模に大きく影響する下記設備について それぞれの特徴や導入実績を整理し検討を行いました なお 導入実績の調査対象は 平成 27 年度の時点で東京都内 ( 島しょ部除く ) にて稼働中の焼却施設としました 1. ごみ処理方式 2. 排ガス処理設備 3. 余熱利用設備 4.2 ごみ処理方式 4.2.1 ごみ処理方式の種類主要なごみ処理方式である 焼却炉 ( ストーカ炉 流動床炉 ロータリーキルン ) ガス化溶融炉 メタンガス化施設 について それぞれの特徴や導入実績を整理し検討を行いました -26-

4.2.2 ごみ処理方式の特徴主要なごみ処理方式について 各方式の特徴を示します ( 表 4.1) 表 4.1 ごみ処理方式の特徴 メリットデメリット焼却炉ストーカ炉 流動床炉 ロータリーキルン ガス化溶融炉 メタンガス化施設 導入実績 1 3 件 件 件 2 件 件 炉内の圧力変動や温度変化が少なく 構造上燃焼時間が長時間になる 安定した燃焼管理 ( 排ガス処理 ) がで 排出される灰の処理 処分が必要ときる なる 破砕などの前処理が不要 低質ごみ( 水分が多いごみ ) からプラ 炉内に空気を押込み 砂を流動させスチック含有率が多い高質ごみまでごみを短時間で浮遊燃焼させるた処理が可能 め 燃焼の制御が難しい 焼却炉内や集じん機に負担がかかるため ストーカ炉に比べてランニングコストが高くなる 破砕などの前処理が必要 飛灰発生量が多くなる傾向にある 低湿ごみ ( 水分が多いごみ ) からプラスチック含有率が多い高質ごみまで処理が可能 破砕などの前処理が不要 機器点数が多いため メンテナンスに手間がかかり ランニングコストが高くなる 1,3 以上の高温で燃焼させるた ランニングコストが高い め ダイオキシン類の発生量を抑え 溶融スラグについて需要と供給のることができる バランスが確立しておらず 一部の 生成される溶融スラグは道路の路盤施設ではリサイクルが確立されて材などに活用することができる いない 高効率のエネルギー回収が可能とな メタン発酵に適するごみの分別区るため発電量が多くなり CO 2 発生分の変更 もしくは破砕選別等の前量も減少する 処理を行う必要がある 発酵残渣等の処理を行うシステムとして焼却施設等の施設が必要となる 専用の設備が必要となるため 焼却施設と併設した場合 施設規模が大きくなり より広い施設用地が必要となる -27-

4.2.3 ごみ処理方式の導入実績東京都内の竣工年別 施設規模別の各処理方式の導入実績を図 4.1 及び図 4.2 に示します 平成 27 年度時点で稼働している都内の施設においては ストーカ炉の実績が最も多く 規模にかかわらず導入されています 近年では流動床炉の導入実績は少なく 29 年度以降は導入されていません また メタンガス化施設については導入実績が 件となっています 件数 3 3 2 2 1 1 31 13 7 7 4 3 1 1 1 1 2 ~199 年 1991 年 ~2 年 21 年 ~21 年 211 年 ~ 合計 ストーカ炉流動床炉ガス化溶融炉 図 4.1 竣工年別導入実績 ( 平成 27 年度 ) 件数 3 3 2 2 1 1 12 7 8 4 1 1 1 1 2 1 31 2 ストーカ炉流動床炉ガス化溶融炉 図 4.2 処理規模別導入実績 ( 平成 27 年度 ) -28-

4.2.4 ごみ処理方式のまとめ東村山市が位置している多摩地域においては 東京たま広域資源循環組合にて焼却灰のエコセメント化事業を行っています そのため 焼却残さがスラグ ( エコセメント化できない ) となる ガス化溶融炉 については課題があります また メタンガス化施設 については 発酵残さを堆肥 液肥として再利用している事例もあるものの 分別区分の変更と分別の徹底が必要となります また 残さ処理のための焼却炉等を併設する事例が多く 施設全体の規模や施設整備費が過大となることや これまでの導入実績から 採用については課題があります そのため 本検討会においては 焼却炉 を処理方式として仮に設定し 単独処理及び広域処理の検討を進めるものとしました 今後 施設整備基本計画の策定段階においては より詳細な分析 評価を行い 焼却炉形式を設定する必要があります なお 平成 1 年 12 月に環境省より示された通知においては 国庫補助要件の例外として 焼却灰をセメントや各種土木材料として再利用する場合 等 溶融固化設備を整備することが合理的でないと判断できる場合には 溶融固化設備の設置を要しないとされています -29-

4.3 排ガス処理設備 4.3.1 ばいじん処理設備の種類ばいじん処理設備については ろ過式集塵器 ( バグフィルタ ) 電気集塵器 遠心力集塵器 について検討を行いました 東京都内の焼却施設における 竣工年別のばいじん処理設備の導入実績を図 4.3 に示します 平成 1 年度の ダイオキシン類対策特別措置法 の制定に伴い 東京都内の全ての既存焼却施設でろ過式集塵機 ( バグフィルタ ) への設備更新が行われたが 1 施設については一部において電気集塵器が継続使用されています 平成 1 年度以降に整備された施設については全てろ過式集塵器 ( バグフィルタ ) が導入されています 件数 4 3 3 2 2 1 1 37 16 9 9 3 1 1 ~199 年 1991 年 ~2 年 21 年 ~21 年 211 年 ~ 合計 バグフィルタ電気集塵器その他 図 4.3 東京都内におけるばいじん処理設備の導入実績 ( 平成 27 年度 ) 4.3.2 ばいじん処理設備のまとめばいじん処理設備については 集塵効率の高い ろ過式集塵器 ( バグフィルタ ) は 平成 1 年以降に整備されたすべての施設で導入されており 導入実績が最も多いことから 本検討会においては ろ過式集塵器 ( バグフィルタ ) をばいじん処理設備として仮に設定し 単独処理及び広域処理の検討を進めるものとしました -3-

4.3.3 HCl SOx 除去設備 HCl SOx 除去設備については 乾式法 及び 湿式法 について検討を行いました 各方式の主な特徴について 以下に示します ( 表 4.2) 表 4.2 HCl SOx 除去設備の特徴 項目乾式法湿式法 除去 効果 投入量を多くすることで除去率を高めることが可能 乾式法に比べて酸性ガス 有毒ガス 水銀 重金属類の除去に優れている 飛灰処理量多い少ない 汚水処理量少ない多い 塩化水素約 1~2ppm 以下約 1ppm 以下 建築面積 大きい ( 排水処理設備等が必要となるため ) 設備コスト 高い 薬剤コスト 再加熱蒸気分 ( 売電分 ) 多い 売電量多い少ない 乾式法 は設備の省スペース性 発電量の多さにおいて優れており 湿式法 は有毒ガス等の除去性能において優れています 東京二十三区清掃一部事務組合の所有施設においては 基本的に 湿式法 が導入されていますが 多摩地域においては1 施設を除き 乾式法 が採用されています 4.3.4 HCl SOx 除去設備のまとめ HCl SOx 除去設備について 設備の省スペース性 発電量の多さにおいて優れる 乾式法 は 多摩地域の多くの施設で導入されおり また乾式法に比べて酸性ガス 有毒ガス 水銀 重金属類の除去性能において優れる 湿式法 は 東京二十三区清掃一部事務組合の多くの施設において導入されています いずれの方式も十分な実績を有し 信頼できる設備であることから 本検討会においては 乾式法 湿式法 両方の特性 価格を確認しながら検討を行うこととしました 今後 施設整備基本計画の策定段階においては より詳細な分析 評価を行い 設定する必要があります -31-

4.3. NOx 除去設備 NOx 除去設備については 燃料制御法 無触媒脱硝法 触媒脱硝法 について検討を行いました 各方式の主な特徴について 表 4.3 に示します 東京二十三区清掃一部事務組合の所有施設においては 全て触媒脱硝方式が導入されていますが 多摩地域においては施設により異なり 同程度の導入実績があります 表 4.3 NOx 除去設備の特徴 項目燃焼制御法無触媒脱硝法触媒脱硝法 概要 高温域において空気がさらされることにより発生する NOx( サーマル NOx) を焼却炉内での運転条件を整えることにより抑制するものであり 主な方法として炉内水噴射法 低酸素運転等がある 高温の排ガス中にアンモニア (NH 3 ) やアンモニア水 尿素水等の還元剤を吹き込み 触媒を用いないで NOx を N 2 と H 2 O に分解除去する方法であり 自己脱硝反応を積極的に利用したもの 触媒層に排ガスを通す方法であり 触媒 ( バナジウム チタン等 ) のもとで還元剤を添加して NOx を N 2 に還元する脱硝法 特徴 運転費 設備費が安い 保守点検の必要性がほとんど無い 運転操作が容易である 無触媒脱硝法または触媒脱硝法と併用することが多い 排ガスの性状に無関係に適用できる 装置が簡単で運転保守が容易である 高い脱硝効率が得られる 近年ではダイオキシン類対策のため低温活性触媒も研究 開発されている 4.3.6 NOx 除去設備のまとめ NOx 除去設備については 無触媒脱硝法 触媒脱硝法 のいずれの方式も多くの導入実績があります 装置が簡単で運転保守が容易な 無触媒脱硝法 でも 燃焼制御 を併用することにより 十分な NOx 除去性能を確保でき 信頼できる設備といえますが 本検討会においては 触媒脱硝法 を NOx 除去設備として仮に設定し 検討を進めるものとしました -32-

4.4 余熱利用設備 東京都内の焼却施設における 竣工年別の発電設備の導入実績を図 4.4 に示します 近年に建設された焼却施設の多くで発電用の蒸気タービンが設置され 場内利用だけでなく売電にも活用されています 3 2 26 2 件数 1 1 13 8 6 1 1 2 2 1 ~199 年 1991 年 ~2 年 21 年 ~21 年 211 年 ~ 合計 9 蒸気タービン ( 売電有 ) 蒸気タービン ( 売電無 ) 無し 図 4.4 東京都内における発電設備の導入実績 ( 平成 27 年度 ) 本検討会においては 近年の処理施設の多くで導入されている余熱を効率的に利用できる 蒸気タービン を設定し 検討を進めるものとしました 4. 処理システムの検討以上より 表 4.4 の処理システムを想定し 本検討会の単独処理及び広域処理の検討を進めるものとしました なお 処理システムについては 施設整備基本計画段階において改めて精査するものとします 表 4.4 処理システム ( 案 ) 処理システム 採用方式案 エネルギー回収推進施設 焼却炉 排ガス処理設備 ばいじん処理設備 ろ過式集塵器 ( バグフィルタ ) HCl SOx 除去設備 湿式及び乾式 NOx 除去設備 触媒脱硝方式 余熱利用設備 蒸気タービン -33-