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公共債の税金について Q 公共債の利子に対する税金はどのようになっていますか? 平成 28 年 1 月 1 日以後に個人のお客様が支払いを受ける国債や地方債などの特定公社債 ( 注 1) の利子については 申告分離課税の対象となります なお 利子の支払いを受ける際に源泉徴収 ( 注 2) された税金

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新しい非居住者債券所得非課税制度の概要 < 平成 22 年度税制改正前の制度の概要 > 非居住者等が受ける振替国債及び振替地方債のについては 一定の手続要件を満たせば非課税とされていました しかし 非居住者等が受ける振替社債等のについては 原則 15% の税率により源泉徴収課税がなされていました 非

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5 配偶者控除等 配偶者控除 配偶者特別控除 扶養控除及び勤労学生控除の合計所得金額の要件 について 一律 10 万円ずつ引き上げられます 6 青色申告特別控除正規の簿記の原則により記帳している者に係る控除額が 55 万円に引き下げられ 正規の簿記の原則により記帳し かつ e5tax 等により確定申

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B 事例 1: 日本赤十字社と公益財団法人公益法人協会ともに 所得控除方式 を適用し ffff た場合に還付される税金について 前提 1 寄附先の名称等 ( 弊協会の他に 東日本大震災の義援金として日本赤十字社に寄附したものと仮定 ) 名称金額備考 日本赤十字社 ( 東日本大震災義援金 ) 30,0

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て 次に掲げる要件が定められているものに限る 以下この条において 特定新株予約権等 という ) を当該契約に従つて行使することにより当該特定新株予約権等に係る株式の取得をした場合には 当該株式の取得に係る経済的利益については 所得税を課さない ただし 当該取締役等又は権利承継相続人 ( 以下この項及

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以下本人の給与収入速報 平成 29 年度税制改正解説所得課税 ~ 配偶者控除及び配偶者特別控除の見直し 2 配偶者の給与収入が 万円超 15 万円以下の場合の改正案の控除額及び改正前後の影響について 配偶者特別控除 配偶者の給与収入 万円超 15 万円 15 万円以上 11 万円 11 万円以上 1

平成 30 年 7 月豪雨により被害を受けられた方の税務上の措置 ( 手続 )FAQ 平成 30 年 7 月広島国税局 平成 30 年 7 月豪雨により被害を受けられた方の税制上の措置 ( 手続 ) 等につきまして 照会の 多い事例を取りまとめましたので 参考としてください 目次 Ⅰ 災害にあった場

「2 所得税及び復興特別所得税の確定申告書データをお持ちでない方」からの更正の請求書・修正申告書作成編

資料2-3

障財源化分とする経過措置を講ずる (4) その他所要の措置を講ずる 2 消費税率の引上げ時期の変更に伴う措置 ( 国税 ) (1) 消費税の軽減税率制度の導入時期を平成 31 年 10 月 1 日とする (2) 適格請求書等保存方式が導入されるまでの間の措置について 次の措置を講ずる 1 売上げを税

添付書類の作成申告 申請等を行う際に税務代理権限証書などの帳票を添付する場合 添付書類として e-tax ソフトで編集し 送信することができます 帳票に書類を添付する必要がある手続の場合は 必要な添付書類を追加 ( 添付 ) して送信します 追加 添付書類 帳票 利用可能な添付書類は 次の帳票です

Transcription:

1 平 3 1. 4. 2 4 総 2 2-6 参考資料 納税実務等を巡る近年の環境変化への対応について 平成 31 年 4 月 24 日 ( 水 ) 財務省 国税庁

2 目 次 Ⅰ これまでの議論と平成 31 年度改正の状況 ( 財務省 ) 3 政府税制調査会 経済社会の構造変化を踏まえた税制のあり方に関する中間報告 2 ( 平成 29 年 11 月 ) ( 抜粋 ) 4 生命保険料控除 地震保険料控除及び住宅ローン控除に係る年末調整手続の電子化 6 国税の申告手続の電子化促進措置 7 電子帳簿保存及びスキャナ保存制度の見直し( 平成 31 年度改正 ) 8 マイナポータルを利用した法人設立届出書等の提出に係る電子署名等の省略( 平成 31 年度改正 ) 9 相続時精算課税の贈与税申告手続等における住民票の写し等の添付不要化( 平成 31 年度改正 ) 10 Ⅱ 国税庁における最近の取組状況 11 スマホ申告 の実現( 今後の取組 ) 12 個人納税者のe-Tax 利用の認証手続の簡便化 13 年末調整手続の電子化 簡便化 14 チャットボットの導入 15 企業が行う手続のオンライン ワンストップ化 16 企業が行う従業員の社会保険 税手続のオンライン ワンストップ化の対象手続案一覧( 国税関係 ) 17 電子申告(e-Tax) の普及 促進に向けた取組 18 デジタル手続法案の制定に伴う税制上の対応( 案 ) 19 行政機関間のデータ連携拡大( 今後の取組 ) 20 キャッシュレス納付の推進に向けた今後の取組 21 企業が行う従業員の社会保険 税手続のワンストップ化 ワンスオンリー化に係る政府の方針 22 マイナポータルを活用した申告の簡便化策の拡充のイメージ 23 マイナンバーカードの普及促進 24 企業保有情報の新しい提出方法に係るシステム構築計画( 検討中の方向性のイメージ ) 25 オンライン ワンストップ化及び企業保有情報の新しい提出方法に係るシステム構築計画のロードマップ 26 企業保有情報の新しい提出方法の税務手続における活用( 検討中の方向性のイメージ ) 27

Ⅰ これまでの議論と平成 31 年度改正の状況 ( 財務省 ) 3

4 2. 税務手続の電子化等の推進 経済社会の構造変化を踏まえた税制のあり方に関する中間報告 2 ( 税務手続の電子化等の推進 個人所得課税の見直し ) 平成 29 年 11 月 20 日政府税制調査会 ( 抜粋 ) (1) 国税関係 (1-1) 個人関係 ( 所得税 ) 1 現状と今後の方向性所得税の確定申告 年末調整については 現状 納税者 ( 被用者を含む ) は 多くの場合 各種控除関係書類を書面で収受し それらを参照しながら申告書を作成している 雇用者 ( 源泉徴収義務者 ) は 年末調整手続において 書面の申告書等の確認 保管に事務負担を負っている 今後は 経済社会の ICT 化を踏まえ 確定申告 年末調整手続の電子化を推進し 利便性を高めてオンライン手続の利用を促進することが必要である 特に 基本的な申告等であれば携帯電話端末 ( スマートフォン ) で簡便に手続を完結できるようにすることが重要である そして 将来的に マイナポータルの整備 活用の進捗等にあわせて着実に マイナポータル等において必要な情報を一元的に確認し 活用することができる仕組みの実現を図るべきと考えられる 2 確定申告 年末調整手続の電子化 こうした将来像に向けて まずは 確定申告 年末調整手続の電子化を進め 控除関係機関 ( 保険会社 銀行等 ) 個人 税務署 雇用者 ( 源泉徴収義務者 ) という情報の流れが基本的にオンラインで完結する仕組みを整備すべきである 規制改革実施計画 ( 平成 29 年 6 月 9 日閣議決定 ) では 年末調整について 被用者 雇用者を含めた社会全体のコスト削減の観点から 原則全ての年末調整関係書類の電子交付を可能とするとの方針が示されており その着実な実現が必要である また 医療費控除については 平成 30 年 1 月から 保険者が発行する医療費通知データを活用して電子申告を行う仕組みが開始するが 各保険者において必要なシステム整備等が行われるよう 政府として働きかけを一層行うべきである 医療費通知データの取得は まずは保険者のウェブサイトから納税者がダウンロードする方式が予定されているが マイナポータル等を活用し一層簡便に電子申告につなげる仕組みの構築について 関係省庁において引き続き協議を行う必要がある なお 将来的に 給与 報酬等の支払者から支払を受ける者のマイナポータル等に支払金額等を正確かつ効率的に通知する仕組みが整備されれば 所得情報も含めて情報を一元的に確認し活用する仕組みが実現する可能性がある これについては 働き方や収入の稼ぎ方の多様化が進展する中で 税務手続に関する利便性を高めるものとして マイナポータルの整備 活用の進捗等を踏まえ 検討を進めるべきである こうした取組を通じて 納税者の手作業を要する部分を減らしていくことにより 納税者自身で正確かつ簡便に申告を行うことができる環境整備が進

5 むと考えられる 3 携帯電話端末 ( スマートフォン ) 等からの電子申告の実現 今般 国税当局から 平成 31 年 1 月に特にニーズの強い基本的な申告の類型について 携帯電話端末 ( スマートフォン ) やタブレット型端末からの所得税の電子申告を可能とし その後も対象範囲を段階的に拡大するという方針が示された スマートフォン等が様々な手続 決済の標準的な手段となりつつある中 税務手続における対応も着実に進め 納税者の利便性を高めることが重要である 4 e-tax( 国税電子申告 納税システム ) の認証手続の簡便化 個人の e-tax 利用について 現在は ID パスワード及びマイナンバーカードを用いて本人認証を行っているが 利便性の向上を求める声が強い 国税当局では平成 31 年 1 月に個人に係る認証手続の簡便化を予定しており これにより一定程度利便性が高まると考えられるが その後も 技術の進展等により税務手続を取り巻く環境が変化する中で 情報セキュリティに係る政府全体の方針も踏まえつつ 納税者利便の向上の観点から不断に検討を行うべきである 5 マイナンバー制度の普及促進 真に利便性の高い納税環境を実現するためには マイナンバー制度を社会の情報連携インフラとして最大限活用することが不可欠である このため 政府全体として 個人情報の厳格な保護や情報セキュリティ対策等 制度に対する国民の信頼を高める措置を講じながら 国民や事業者への周知を行い マイナンバーカードの取得やマイナポータルの利用を促進する必要がある また 関係省庁で連携し マイナポータルにおける税 年金等のオンライン ワンストップサービスを実現するなど マイナンバーカードやマイナポータルの利便性を高める努力が重要である 本年 11 月 マイナポータルの本格運用等が開始したが 国民にはマイナンバー制度の利便性の実感がまだ乏しいとの指摘もあり 政府全体として真摯に受け止め取組を加速する必要がある 6 その他の環境整備 税務手続の電子化を円滑に進めるためには 租税教育や広報活動を通じ 税の役割や ICT の意義などに関する国民の理解 ( リテラシー ) を醸成することも重要である また 電子申告等の利用を促進する仕組みを設けることも一案との意見もあった なお 税務手続の電子化を進める一方で ICT への対応に困難を感じる納税者への配慮 支援も引き続き行うべきと考えられる

6 生命保険料控除 地震保険料控除及び住宅ローン控除に係る年末調整手続の電子化 平成 30 年度改正 源泉徴収義務者 ( 雇用者 ) の事務負担を軽減し 給与所得者 ( 被用者 ) の利便性を向上させる観点から 改正前の制度においては書面で源泉徴収義務者に提出がされていた生命保険料控除 地震保険料控除及び住宅ローン控除に係る年末調整関係書類について 電磁的方法による提出 ( 電子提出 ) を可能とする ( 注 1) 電子提出の対象とする年末調整関係書類生命保険料控除証明書 地震保険料控除証明書 住宅ローン控除申告書 住宅ローン控除証明書 住宅ローンの年末残高証明書 ( 注 2) 上記の見直しと併せて 住宅ローン控除証明書及び住宅ローンの年末残高証明書について 生命保険料控除証明書 地震保険料控除証明書等と同様に 電子メール等により提供を受けた住宅ローン控除証明書及び住宅ローンの年末残高証明書に記載すべき事項が記録された電子証明書を印刷した書面で 真正性を担保するための所要の措置が講じられているもの (QRコード付証明書) を住宅ローン控除申告書等に添付することを可能とする 改正後 < 生命保険料控除 地震保険料控除 > < 住宅ローン控除 > 源泉徴収義務者 源泉徴収義務者 控除証明書データ 保険料控除申告書データ 生命保険料控除証明書データ 地震保険料控除証明書データ 住宅ローンの年末残高証明書データ 住宅ローン控除申告書データ 住宅ローン控除証明書データ 住宅ローンの年末残高証明書データ 給与所得者 控除申告書作成支援システム 住宅ローン控除証明書データ 給与所得者 控除申告書作成支援システム ( 注 ) 平成 32 年分以後の所得税について適用 ( 注 ) 平成 31 年 1 月 1 日以後に自己の居住の用に供する場合における平成 32 年分以後の所得税について適用

7 国税の申告手続の電子化促進措置基礎控除の見直し案 平成 30 年度改正 経済社会のICT 化等を踏まえ 政府全体として行政手続の電子化を進めてきているが 国税の電子申告の普及は道半ばの状況 こうした中 官民あわせたコストの削減や企業の生産性向上を推進する観点から 申告データを円滑に電子提出できるよう環境整備を進めつつ まずは大法人について 電子申告の義務化を図る ( 平成 32 年 4 月 1 日以後開始する事業年度について適用 ) 大法人 ( 1) は 法人税 消費税等の納税 申告書及び添付書類の提出を電子的に行わ なければならないこととする ( 1) 内国法人のうち事業年度開始の時の資本金の額等が 1 億円を超える法人など 電子的な提出が困難と認められる一定の事 由があるとき ( 2) は 税務署長の承認に基 づき 例外的に書面による申告書等の提出 を可能とする 大法人の電子申告義務化 ( 2) サイバー攻撃 災害 経営の破綻等により インターネットが利用できず電子申告ができない場合 申告データの円滑な電子提出のための環境整備 1 提出情報等のスリム化 第三者作成書類の見直し ( 土地収用証明書等の添付省略 保存要件化 送信するイメージデータの紙原本の保存不要化) 勘定科目内訳明細書の記載内容の簡素化 ( 運用 ) 2 データ形式の柔軟化 別表 ( 明細記載を要する部分 ) 財務諸表 勘定科目内訳明細書のデータ形式の柔軟化 (CSV) 3 提出方法の拡充 添付書類の光ディスク等による提出 電子申告の送信容量の拡大 ( 運用 ) 4 提出先の一元化 ( ワンスオンリー化 ) 国 地方を通じた財務諸表の電子提出の一元化 連結法人に係る個別帰属額届出書の電子提出の一元化等 5 認証手続の簡便化 法人の認証手続の簡便化 ( 経理責任者の電子署名の不要化 代表者から委任を受けた者の電子署名による電子申告を可能とする )

電子帳簿保存及びスキャナ保存制度の見直し ( 平成 31 年度改正 ) 電子帳簿保存及びスキャナ保存制度について 適正性を担保しつつ 保存義務者の利便性向上を図る観点から 以下の見直しを行う ( 参考 ) 電子帳簿保存 : 税務署長の承認を受けた者は 国税関係帳簿書類のうち電子計算機を使用して作成しているものについて 一定の要件の下 電磁的記録による保存等が可能スキャナ保存 : 税務署長の承認を受けた者は 国税関係書類について 一定の要件の下 スキャナにより記録された電磁的記録の保存により 当該国税関係書類の保存に代えることが可能 1 申請手続の簡素化 改正前の制度( 申請手続 ) の概要 電子帳簿等の作成に使用するプログラムについては 真実性の確保 可視性の確保といった要件を確保する必要があるため事前に申請書の提出をして承認を得る必要 申請書 仕様書等 改正後 1 一定の公益社団法人が認証したソフトウェアを使用する場合には 申請書のうちソフトウェアの要件適合性を確認する部分の記載 ( 電子帳簿の作成に使用するプログラムの概要等 ) を不要とすること等により簡素化を行う 2 システムを自社開発する者について 事前に国税当局に相談できる体制を構築することを運用上実施する 法人 個人 2 申請期限の緩和 国税関係帳簿書類の電磁的記録等による保存の承認申請書の提出期限 原則 帳簿備付日の 3 月前 新規設立 ( 開業 ) の特例 設立以後 3 月内 改正前 なし 改正後 業務開始以後 2 月内 改正後 新規に業務を開始した個人開業者の承認申請期限について 新設法人の特例と同様に 特例を設ける ( 参考 ) 青色申告の承認申請書の提出期限についても 業務開始以後 2 月内の特例あり 3 スキャナ対象書類の範囲拡充 作成又は受領 申請 承認 + 改正後 過去分書類 ( 領収書 ) の届出 電子化 ( スキャン ) 保存 備付 改正後 過去分の領収書等について 税務署長への届出など一定の要件の下 書類の種類ごと 1 回に限り スキャナ保存を可能とする 改正前 作成 受領 電子化 保存 備付のプロセスを速やか ( 概ね 1 週間 ~1 か月 ) に行うことがスキャナ保存の要件 過去分の書類については 通常 作成 受領から一定期間が経過しており 速やかに 行うことができないため 過去分の書類のスキャナ保存が実質認められない ( 注 ) 上記のほか 入力期間要件の緩和など運用による柔軟化を行う なお 運用上の対応以外については平成 31 年 9 月 30 日から施行 8

マイナポータル9 マイナポータルを利用した法人設立届出書等の提出に係る電子署名等の省略 ( 平成 31 年度改正 ) 改正前 新設法人が電子情報処理組織 (e-tax) を利用して法人設立届出書等を電子提出する場合には 併せて送信者の電子署名及び電子証明書の送信が必要とされている 改正後 未来投資戦略 2018( 平成 30 年 6 月 15 日閣議決定 ) において実現することとされている法人設立手続のオンライン ワンストップ化 ( 各行政機関における法人設立手続をマイナポータルの利用により行う提出一元化 ) においては マイナポータルに必要事項を入力して送信する際に電子署名等を行う場合には 法人設立届出書等の情報に電子署名等を行うことを要しないこととする ( 平成 31 年 4 月 1 日施行 ) 改正前 改正後 ( 法人設立手続のオンライン ワンストップ化 ) 法 設 届出書 e-tax 税務署 e-tax 税務署 電子署名電子証明書 必要事項を一度のみ入力 電子署名電子証明書 不要 参考 設 関係書類 参考 登記ねっと eltax 法務省 公証人 都道府県市町村税事務所 電子署名電子証明書 登記ねっと eltax 法務省 公証人 都道府県市町村税事務所 e-gov 年金事務所労基署 ハローワーク e-gov 年金事務所労基署 ハローワーク

10 相続時精算課税の贈与税申告手続等における住民票の写し等の添付不要化 ( 平成 31 年度改正 ) 改正前 相続時精算課税の贈与税申告等においては 申請者の氏名や生年月日などの記載事項の確認等のため 住民票の写し等の書類を添付することとされていた 改正後 納税者の負担軽減を図る観点から 他の添付書類や行政機関間の情報連携等で記載事項の確認が行えるものについては 住民票の写し等の書類の添付を不要とする 具体的には 以下の手続の添付書類について 見直しを行う 手続名 添付不要とする書類 相続時精算課税の贈与税申告 障害者非課税信託申告 税理士試験受験資格認定申請 税理士試験免除申請 所得税申告 内国普通法人等の設立届出 外国普通法人となった旨の届出 収益事業の開始等の届出 手続委託型輸出物品販売場許可申請 住民票の写し 給与所得 退職所得及び公的年金等の源泉徴収票オープン型の証券投資信託の収益の分配の支払通知書配当等とみなされる金額の支払通知書上場株式配当等の支払通知書特定口座年間取引報告書未成年者口座等につき契約不履行等事由が生じた場合の報告書特定割引債の償還金の支払通知書 定款等の写し以外の書類 定款等の写し 貸借対照表以外の書類 承認免税手続事業者の承認通知書の写し ( 注 ) 上記に加え 相続財産に係る譲渡所得の課税の特例における相続税額等を記載した書類についても 添付を不要とする