中国、財新サービス業PMIは4ヶ月ぶりの低水準に(Asia Weekly(3/4~3/8)) | 第一生命経済研究所 西濵徹

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経済・物価情勢の展望(2018年1月)

【東南アジア経済】ASEANの貿易統計(5月号)~輸出は好調も、旧正月の影響を均せば増勢鈍化

FOMC 2018年のドットはわずかに上方修正

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経済・物価情勢の展望(2017年10月)

今回の金融政策報告書では 米国内の投資活動が弱いために輸出が想定ほど伸びていないとしながらも 金融業などサービス関連の好調さを示す分析や 商品価格下落がカナダ企業の投資活動を抑制する動きは底打ちしたとの指摘など カナダ景気に前向きな材料も散見されます 当面は 政策金利の据え置きを続けると見通します

経済・物価情勢の展望(2016年10月)

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4月CPI~物価は横ばいの推移 耐久財の特殊要因を背景に、市場予想を上回る3 ヶ月連続の上昇

マーケット フォーカス経済 : 中国 2019/ 5/9 投資情報部シニアエコノミスト呂福明 4 月製造業 PMI は 2 ヵ月連続 50 を超えたが やや低下 4 月 30 日 中国政府が発表した4 月製造業購買担当者指数 (PMI) は前月比 0.4ポイントの 50.1となり 伸び率がやや鈍化し

Economic Indicators   定例経済指標レポート

[ 参考 ] 先月からの主要変更点 基調判断 3 月月例 4 月月例 景気は 急速な悪化が続いており 厳しい状況にある 輸出 生産は 極めて大幅に減少している 企業収益は 極めて大幅に減少している 設備投資は 減少している 雇用情勢は 急速に悪化しつつある 個人消費は 緩やかに減少している 景気は

サマリー 1 市場の関心は米大統領選の行方に集まっています 世論調査においてドナルド トランプ氏の優勢が報じられると 市場の更なる丌確実性が懸念され リスク資産からの資金流出が記録されました 10 月の MSCI 世界株価指数はマイナス 2.01% MSCI 新興国株価指数は 0.18% と新興国が

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金融市場2018年12月号

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物価の動向 輸入物価は 2 年に入り 為替レートの円安方向への動きがあったものの 原油や石炭 等の国際価格が下落したことなどから横ばいとなった後 2 年 1 月期をピークとし て下落している このような輸入物価の動きもあり 緩やかに上昇していた国内企業物価は 2 年 1 月期より下落した 年平均でみ

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平成24年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度(閣議了解)

ロシア 3節 第 第3節 ロシア 1 マクロ経済動向 ロシア経済は 緩やかな回復基調にある 2014 年 7 以下 輸出 個人消費 消費者物価 金融市場の動 月以降のウクライナ危機発生及びクリミア併合に伴う 向を中心に概観する 欧米からの経済制裁に加え 2015 年以降 原油価格 の下落を主因として

< 豪州債券市場の市況および今後の見通し > 2016 年の豪州債券市場では 金利が低下しました 年初から 2 月にかけては 中国株をはじめ世界の株式市場が下落するなど市場のリスク回避姿勢が強まる中 金利低下が進みました 1 月末に日銀のマイナス金利導入発表を受け 欧州など他国でもさらなる金融緩和期

2 / 6 不安が生じたため 景気は腰折れをしてしまった 確かに 97 年度は消費増税以外の負担増もあったため 消費増税の影響だけで景気が腰折れしたとは判断できない しかし 前回 2014 年の消費税率 3% の引き上げは それだけで8 兆円以上の負担増になり 家計にも相当大きな負担がのしかかった

金融政策決定会合における主な意見

当面の金融政策運営について(貸出増加支援資金供給の延長等、12時29分公表)

( 億円 ) ( 億円 ) 営業利益 経常利益 当期純利益 2, 15, 1. 金 16, 額 12, 12, 9, 営業利益率 経常利益率 当期純利益率 , 6, 4. 4, 3, 2.. 2IFRS 適用企業 1 社 ( 単位 : 億円 ) 215 年度 216 年度前年度差前年度

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生活衛生関係営業の景気動向等調査 平成17年7~9月期

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チーフエコノミスト : 高田創 [ 経済予測チーム ] 山本康雄 ( 全体総括 ) 米国経済小野亮 山崎亮

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定期調査の質問のうち 代表的なものの結果 1. 日本の株価を 企業のファンダメンタルズと比較してどう評価するか 問 1. 日本の株価は企業の実力( ファンダメンタルズ ) あるいは合理的な投資価値にくらべて 1. 低すぎる 2. 高すぎる 3. ほぼ正しく評価されている 4. わからないという質問で

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リンギ安進むマレーシア~原油安による経済への影響~

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けた この間 生産指数は 上昇傾向で推移した (2) リーマン ショックによる大きな落ち込みとその後の回復局面平成 20 年年初から年央にかけては 米国を中心とする金融不安 景気の減速 原油 原材料価格の高騰などから 景気改善の動きに足踏みが見られたが 生産指数は 高水準で推移していた しかし 平成

【アジア新興経済レビュー】利下げや景気対策の動きが広がる

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1. 自社の業況判断 DI 6 四半期ぶりに大幅下落 1 全体の動向 ( 図 1-1) 現在 (14 年 4-6 月期 ) の業況判断 DI( かなり良い やや良い と回答した企業の割合から かなり悪い やや悪い と回答した企業の割合を引いた値 ) は前回 ( 月期 ) の +19 から 28 ポイ

低インフレ 乏しい利上げ観測労働市場に目を向けると 8 月の失業率は約 年ぶりの低水準となる5.3% に低下した 雇用者数も伸びており 一部では技術者不足の声も聞かれる RBAは今後数年 失業率は自然失業率とされる5.% を目指して低下が続くとの見方を示している ただ 賃金の上昇率は ~ 月期が前年

中国におけるインフレの行方 中国経済は減速しているものの 過熱の解消にはまだ至っていない 年 9 月のリーマン ショックを受けて 中国は輸出が大幅に落ち込み 景気後退を余儀なくされたが 兆元に上る内需拡大策や 金利と預金準備率の大幅な引き下げをはじめとする拡張的財政 金融政策が実施されたことを受けて

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株式市場 米国株 景気 企業業績は依然として堅調 MSCI 米国 2, % 先月の回顧 貿易摩擦への懸念から下落米国株式市場は下落しました トランプ米大統領が鉄鋼やアルミニウムの輸入を制限する方針を表明したことから 世界的な貿易摩擦への懸念が高まり下落して始まりました その後 貿

平成10年7月8日

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平成 25 年 3 月 19 日 大阪商工会議所公益社団法人関西経済連合会 第 49 回経営 経済動向調査 結果について 大阪商工会議所と関西経済連合会は 会員企業の景気判断や企業経営の実態について把握するため 四半期ごとに標記調査を共同で実施している 今回は 2 月下旬から 3 月上旬に 1,7

【アジア・新興国】東南アジア経済の見通し~19年は底堅い成長も、輸出鈍化と利上げの影響で減速傾向

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第1章

第 79 回 2017 年 5 月投資家アンケート調査結果 アンケート調査にご協力下さりました皆様 今年 5 月に実施致しましたアンケート調査にご回答下さり誠にありがとうございます このたび調査結果をまとめましたのでお送りさせていただきます ご笑覧賜れましたら幸 いです 今後もアンケート調査にご協力

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1.ASEAN 概要 (1) 現在の ASEAN(216 年 ) 加盟国 (1カ国: ブルネイ カンボジア インドネシア ラオス マレーシア ミャンマー フィリピン シンガポール タイ ベトナム ) 面積 449 万 km2 日本 (37.8 万 km2 ) の11.9 倍 世界 (1 億 3,43

[ 調査の実施要領 ] 調査時点 製 造 業 鉱 業 建 設 業 運送業 ( 除水運 ) 水 運 業 倉 庫 業 情 報 通 信 業 ガ ス 供 給 業 不 動 産 業 宿泊 飲食サービス業 卸 売 業 小 売 業 サ ー ビ ス 業 2015 年 3 月中旬 調査対象当公庫 ( 中小企業事業 )

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29 歳以下 3~39 歳 4~49 歳 5~59 歳 6~69 歳 7 歳以上 2 万円未満 2 万円以 22 年度 23 年度 24 年度 25 年度 26 年度 27 年度 28 年度 29 年度 21 年度 211 年度 212 年度 213 年度 214 年度 215 年度 216 年度

本文

Transcription:

1 / 5 発表日 :2019 年 3 月 8 日 ( 金 ) 中国 財新サービス業 PMI は 4 ヶ月ぶりの低水準に (Asia Weekly(3/4~3/8)) ~ 新規受注の大幅減が下押し圧力になるも 先行きに対する期待は依然高水準 ~ 経済指標の振り返り 第一生命経済研究所調査研究本部経済調査部 主席エコノミスト西濵徹 ( :03-5221-4522) 発表日 指標 イベントなど 結果 コンセンサス 前回 3/4( 月 ) ( マレーシア )1 月輸出 ( 前年比 ) 1 月輸入 ( 前年比 ) +1.0% 0.6% +1.2% +5.1% +1.0% 3/5( 火 ) ( 韓国 )10-12 月実質 GDP( 前年比 / 改定値 ) ( フィリピン )2 月消費者物価 ( 前年比 ) ( 中国 )2 月財新サービス業 PMI ( 豪州 ) 金融政策委員会 ( 政策金利 ) ( マレーシア ) 金融政策委員会 ( 政策金利 ) ( 香港 )1 月小売売上高 ( 前年比 / 数量ベース ) +3.8% 51.1 +6.9% +4.0% 53.5 +1.3% +4.4% 53.6 +0.1% 3/6( 水 ) ( 豪州 )10-12 月実質 GDP( 前年比 ) +2.3% +2.6% +2.7% 3/7( 木 ) ( 豪州 )1 月小売売上高 ( 前月比 / 季調済 ) +0.1% +0.3% 0.4% 3/8( 金 ) ( 中国 )2 月輸出 ( 前年比 ) 2 月輸入 ( 前年比 ) 20.7% 5.2% 5.0% 0.6% +9.1% 1.5% ( 注 ) コンセンサスは Bloomberg 及び THOMSON REUTERS 調査 灰色で囲んでいる指標は本レポートで解説を行っています は速報値 [ 中国 ]~ 新規受注の急減に伴いサービス業 PMI は大きく低下するも 先行き期待には依然底堅さがうかがえる~ 5 日 英調査会社の IHS Markit 社が発表した2 月の財新サービス業 PMI( 購買担当者景況感 ) は 51.1 と好不況の別れ目となる 50 を上回る水準を維持したものの 前月 (53.6) から 2.5pt と大幅に 低下して4ヶ月ぶりの低水準となった なお 先月末に政府機関である国家統計局及び物流購買連合会 が発表した非製造業 PMIも 54.3 と前月 (54.7) から 0.4pt 低下しており 季節調整値ながら今年は 春節 ( 旧正月 ) の連休の時期が前年から 10 日余り前倒しされて2 月の経済活動に幅広く影響を与えた ことも関係したと考えられる なお 先行きの生産に影響を与える 新規受注 (50.9) は前月比 1.7pt と大幅に低下しており 国内外問わず需要の弱さが生産の足かせになっている様子がうかがえる こう した状況を反映して 受注残 (47.8) は 2ヶ月連続で 50 割れの状況が続いている上 前月比 1.4pt 低下しているほか 雇用 (50.3) は 50 を上回る水準を維持するも同 0.8pt 低下するなど 5 日に開 幕した全人代 ( 全国人民代表大会 ) 全体会議で発表された 政府活動報告 において 雇用 が今年 の経済政策の柱に据えられたことを勘案すれば ( 詳細は5 日付レポート 中国全人代開幕 2019 年は 景 気 に重心がシフトの模様 をご参照下さい ) 足下の状況は極めて厳しいと判断出来る ただし 将 来期待 (56.6) は依然高水準で推移している上 前月比 0.4pt に留まることから 年明け以降相次い

2 / 5 で発表されている景気下支え策の効果発現に対する期待は小さくないと見込まれる 図 1 CN 財新サービス業 PMI の推移 ( 出所 )IHS Markit より第一生命経済研究所作成 [ 韓国 ]~ 改定値は速報値段階からほぼ変更なしだが 先行きの景気への下振れ要因が山積する状況も不変 ~ 5 日に発表された 10-12 月の実質 GDP 成長率は前年同期比 となり 先月発表された速報値 ( 同 ) と同じであった 前期比年率ベースでは+3.91% と速報値 ( 同 +3.92%) からわずかに下方修正されたものの 通年の経済成長率は前年比 +2.7% と速報値段階と変わらず 2 年ぶりに3% を下回る伸びに留まった 項目別では 家計消費はほぼ速報値段階から変更がなかったことに加え 政府消費もわずかな下方修正に留まる一方 輸出が財 サービスともに上方修正されたほか 設備投資や不動産投資をはじめとする固定資本投資は上方修正される動きがみられた ただし 固定資本投資が上方修正されたことで輸入が上方修正された結果 純輸出の成長率寄与度のマイナス幅がわずかに拡大して成長率が下押しされた なお 速報値段階と同様に在庫投資に伴う成長率寄与度は前期比年率ベースで+3.1pt と大幅な状況にあり 先行きは在庫調整圧力に伴う景気への下押し圧力が懸念されるほか 年明け以降の経済統計は軒並み下振れ傾向を強めており 今年の経済成長率は一段と鈍化傾向を強める可能性も高まっている 図 2 KR 実質 GDP 成長率 ( 前期比年率 ) の推移 [ フィリピン ]~ 昨年の税制改正に伴う影響が一巡してインフレ率は鈍化するも 依然インフレ目標を上回る水準 ~ 5 日に発表された2 月の消費者物価は前年同月比 +3.8% となり 前月 ( 同 +4.4%) から鈍化して丸 1 年ぶりの低い伸びとなった 昨年 1 月に行われた物品税の引き上げに伴うインフレ昂進の影響が一巡した格好となった ただし 中銀は今年のインフレ目標を1~3% と昨年 (2~4%) から上下限ともに下方にシフトさせており 依然としてインフレ目標を上回る推移が続いている 前月比は+0.17% と

3 / 5 前月 ( 同 +0.17%) と同じペースでの上昇に留まっており 昨年末にかけての原油安に伴うエネルギー価格下落の動きは一巡して上昇に転じる一方 生鮮品を中心に食料品価格は下落するなど 生活必需品を巡る物価の動きはまちまちである なお 食料品とエネルギーを除いたコアインフレ率は前年同月比 +3.88% と前月 ( 同 +4.35%) から鈍化して9ヶ月ぶりに4% を下回る水準となっている ただし 前月比は+0.26% と前月 ( 同 +0.17%) から上昇ペースが加速しており 昨年税が大幅に引き上げられた酒及びたばこ関連で価格上昇が続いているほか エネルギー価格の上昇に伴う輸送コストの上振れにより幅広い財価格に押し上げ圧力が掛かっている その一方 サービス物価の上昇圧力は後退するなど 昨年来のインフレ昂進に伴い景気の勢いに陰りが出たことが影響しているとみられる 図 3 PH インフレ率の推移 [ マレーシア ]~ 外需の頭打ち感が強まるなか 中銀は下振れリスクを意識しつつ現行のスタンスを維持の方針 ~ 4 日に発表された1 月の輸出額は前年同月比 となり 前月 ( 同 +5.1%) から伸びが鈍化した なお 前月比は+7.9% と前月 ( 同 0.4%) から3ヶ月ぶりに拡大に転じているものの 中期的な基調は減少傾向を強めるなど頭打ち感がくすぶっている 財別では 昨年末にかけての原油安に伴い原油及び石油製品関連の輸出に下押し圧力が掛かったものの LNG( 液化天然ガス ) やパーム油 木材関連などで輸出が堅調なほか 主力の輸出財である電子部品関連の輸出が過去数ヶ月に大きく下押し圧力が掛かった反動で底打ちしたことも輸出額の押し上げに繋がっている 国 地域別では 景気減速などの影響で中国向けが頭打ちしている一方 米国やEU( 欧州連合 ) 日本など先進国向けが軒並み底打ちしているほか ASEAN( 東南アジア諸国連合 ) など周辺のアジア新興国向けの底堅さが下支えしている 一方の輸入額は前年同月比 +1.0% となり 前月 ( 同 +1.0%) から横這いで推移している 前月比は+2.6% と前月 ( 同 6.2%) から3ヶ月ぶりに拡大に転じているものの 中期的な基調は減少傾向となるなど輸出同様に頭打ちしている 輸出の頭打ちを反映して資本財及び中間財関連の輸入に軒並み下押し圧力が掛かる一方 食料品をはじめとする消費財関連の底堅さが全体の押し上げに繋がっている 結果 貿易収支は+115.22 億リンギと前月 (+106.76 億リンギ ) から黒字幅が拡大した 5 日 マレーシア ネガラ銀行 ( 中銀 ) は定例の金融政策委員会を開催し 政策金利を7 会合連続で に据え置く決定を行った 会合後に発表された声明文では 世界経済について 多くの主要国及び新興国で成長のモメンタムが鈍化する兆候がみられる とした上で 先行きは 未解決の貿易摩擦の動きが世界貿易や投資活動を通じたリスク要因になる とし 国際金融市場のタイト化に加え 政治情勢や政策を巡る不確実性の高まりは金融市場の調整圧力を通じて見通しに影響を与える など 1 月

4 / 5 の前回会合時点に比べて弱気姿勢に一段とシフトしている 他方 同国経済について 昨年の経済成長率は+4.7% に鈍化した ものの 先行きは 民間セクターの堅調さが下支えに繋がる とし その理由に 堅調な雇用環境と設備増強の動き を挙げる一方 外需は 世界経済のモメンタムに歩を併せる形で景気下支えの動きが弱まる として 全体的には景気は安定的に推移する としつつ 未解決の貿易摩擦に伴う下振れリスクの具現化や国内外の経済環境を巡る不確実性の高まり 資源関連セクターでの調整長期化は景気の重石になる との見方を示している 足下のインフレ率は原油安の影響でマイナスになったが コアインフレ率は 内需の堅調さを背景に底堅く推移している とし 先行きも中期的に エネルギー価格の低下やGST( 財 サービス税 ) 廃止など政策の影響により低位での推移が見込まれる との見方を示した その上で 足下の政策金利の水準について 緩和度合いは意図した政策スタンスに一致する とした上で 経済及び金融市場環境の下振れリスクを理解しており 景気及び物価を巡るリスクバランスを注視する との見方を示しており しばらくは現行のスタンスを維持する可能性は高いと見込まれる 図 4 MY 貿易動向の推移 図 5 MY 政策金利の推移 [ 香港 ]~ 生活必需品や日用品への需要は堅調な一方 高額品に対する需要鈍化が小売全体の足かせに~ 5 日に発表された1 月の小売売上高 ( 数量ベース ) は前年同月比 +6.9% となり 前月 ( 同 +0.1%) から伸びが加速した しかし 前月比は 0.20% と前月 ( 同 1.31%) から3ヶ月連続で減少しており 中期的な基調も減少傾向を強めるなど頭打ちの様相をみせている 食料品をはじめとする生活必需品関連で旺盛な需要がうかがえるなか スーパーマーケットの売上高も久々に前年を上回る伸びとなるなど日用品を中心に底堅い動きがみられる一方 宝飾品をはじめとする高額品に対する需要は弱含んでおり 足下の雇用環境はタイトな状況が続いているにも拘らず 中国本土景気の減速懸念が消費の重石になっている様子がうかがえる

5 / 5 図 6 HK 小売売上高 ( 数量ベース ) の推移 以上 本資料は情報提供を目的として作成されたものであり 投資勧誘を目的としたものではありません 作成時点で 第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが その正確性 完全性に対する責任は負いません 見通しは予告なく変更されることがあります また 記載された内容は 第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません