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3402 東レ 素材 0.56 AA 3405 クラレ 素材 0.24 A 3591 ワコールホールディングス 一般消費財 サービス 0.06 BBB 3863 日本製紙 素材 0.08 A 4004 昭和電工 素材 0.27 A 4005 住友化学 素材 0.44 AAA 4062 イビデン 情報

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DISCLOSURE INSIGHT ACTION CDP フォレストレポート 2018: 日本版 運用資産総額 87 兆米ドルに達する 656 の機関投資家を代表して CDP レポート 2018 2019 年 4 月 Report writer

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目次 CDP CEOからのメッセージ 4 QUICK ESG 研究所からのメッセージ 5 森林減少および森林伐採リスクに注目する投資家の視点 6 CDP 2018 フォレストグローバル概要 8 森林減少の現状 10 CDP 2018 フォレスト質問書日本企業の回答 12 Appendix 1: CDP 回答評価 18 Appendix 2: CDP 2018 フォレスト質問書日本企業一覧 19 文中に記載している企業名は法人格を省略しています 重要なお知らせ 本レポートの内容は CDP Worldwide(CDP) の名義を明記することを条件として 誰でも利用することができる これは CDP または寄稿した著者に報告され また 本レポートに示されたデータを編集する または再販するライセンスを意味するものではない 本レポートの内容を編集または再販するためには 事前に CDP から明示の許可を取得する必要がある CDP は CDP 2018 質問書への回答に基づき データを作成し分析を行った CDP または寄稿した著者はいずれも 本レポートに含まれる情報や意見の正確性または完全性について 明示黙示を問わず 意見の表明や保証を行うものではない 特定の専門的な助言を得ることなしに 本レポートに含まれる情報に基づいて行動してはならない 法律により認められる範囲で CDP および寄稿した著者は 本レポートに含まれる情報 またはそれに基づく決定に依拠して行動するもしくは行動を控えることによる結果について いかなる負担 責任または注意義務も負わず 引き受けるものではない 本レポートで CDP および寄稿した著者によって示された情報や見解は いずれも本レポートが公表された時点の判断に基づいており 経済 政治 業界および企業特有の要因により予告なしに変更する場合がある 本レポートに含まれるゲスト解説は それぞれの著者の見解を反映したものであるが その掲載は 当該見解を支持していない CDP および寄稿した著者 ならびに関連メンバーファームまたは会社 もしくはそれぞれの株主 会員 パートナー プリンシパル 取締役 役員および ( または ) 従業員は 本レポートに記述された会社の証券を保有している場合がある 本レポートで言及された会社の証券は 州や国によっては販売の対象とならない場合や すべての種類の投資家に該当するとは限らない場合がある それらが生み出す価値や利益は変動する可能性があり 為替レートによって悪影響が及ぼされる場合もある CDP は 登録番号 1122330 の英国の団体として登録されている保証有限責任会社である CDP Worldwide を示す 2019 CDP Worldwide. All rights reserved. 03

CDP CEO からのメッセージ これまで通りのビジネスを継続することなく 課題に立ち向かうことを選択すれば 繁栄した持続可能な低炭素の未来は達成可能です 2018 年も気候変動問題への取組みにとって重要な 1 年となりました 気候変動に関する政府間パネル (IPCC) から発表されたレポートでは GHG 排出量を減少させるために 緊急の対応が必要であることが強調されています 一方 国連環境計画の報告では 現状と望ましい状況とのギャップについて 私たちは改めて認識させられました 低炭素社会に移行する機会を掴むか これまで通りの事業活動を行い未曾有のリスクに直面するか 企業や投資家がとるべき選択はこれまで以上に明確になっていると言えるでしょう このような状況の中 2018 年に気候変動対応のペースが急速に高まったことは心強く思われます より多くの企業が自社の環境データを開示し 排出量を削減するための目標を設定しています CDP が活動を開始した 18 年前 気候変動情報開示という考え方は資本市場には存在しませんでした 2018 年 世界の時価総額の 50% 以上に相当する 7,000 社を超える企業が CDP のプラットフォームを通じて環境データを開示しました これは前年比 11% の増加です 金融安定理事会の気候関連金融情報開示タスクフォース (TCFD) は CDP の活動を基にして環境開示をさらにメインストリームのものにし G20 全加盟国で義務的な気候関連情報開示への道を開きました 今年 CDP の情報開示のプラットフォームを刷新し TCFD の提言を組み込みましたが 回答した 7,000 社の企業は その提言にそった情報開示を行ったことになります (CDP に回答した上場企業の 72% は TCFD の提言の 25 項目のうち 21~25 項目に対して回答しています ) 私たちが長い間信じてきたように より大きな透明性が確保されているところに 大きな行動が生まれます 2018 年のグローバル気候行動サミットで示されたように 世界中のビジネスと金融のリーダーたちは すべての人にとって持続可能な未来を築くために緊急の措置を講じています このサミットは 実体経済全体で私たちが感じている進捗状況をタイムリーに思い出させる重要な出来事でした 現在 500 社を超える企業が 科学的根拠に基づく排出削減目標 (SBT) を設定し 再生可能電力調達 100% を目指すことを約束しています そして投資家は投資を低炭素にシフトすることを推進しています このように私たちは正しい方向に向かって大きく前進しています しかし それに満足している時間はありません パリ協定の実行に向けて まだいくつかの深刻なハードルがあります 2018 年 10 月 ブラジルでは 世界最大の炭素吸収源のひとつであるアマゾンの熱帯雨林の将来を脅かす政策を掲げる大統領が選出されました 一方 米国では トランプ大統領が 気候変動が米国経済に与えるダメージについての厳しい警告を無視し続け 代わりに規制緩和を推し進めて石炭産業の復活を試みています 気候変動の影響が激化しているという現実は否定できません 欧州全域の熱波 ケープタウンでの記録的な干ばつ アメリカ大陸でのハリケーン 北極圏での山火事など 2018 年の極端な気象現象は資本市場とより広範囲な社会に多大なコストをもたらしました IPCC によると 気温上昇を 1.5 未満に抑えるという目標を達成するためには 世界の排出量を 2030 年までに半分 2050 年までに正味ゼロにしなければなりません これは世界経済を完全に変革することに他なりません 企業 投資家 自治体そして政府があらゆる分野でこれまでになく協力してアクションを起こすことになるでしょう 今こそ 企業が取組みを強化し それに整合するような野心的な政策が必要であるという明確なシグナルを政府に示さなければなりません これまで通りのビジネスを継続せず 課題に立ち向かうことを選択すれば 繁栄した持続可能な低炭素の未来は達成可能です 私たちはその選択をしなければいけません それは可能であり また必ずそうするだろうと私は信じています CDP CEO ポール シンプソン 04

QUICK ESG 研究所からのメッセージ 森林コモディティに関する課題は 森林破壊やそれに伴う生物多様性の喪失という環境問題だけでなく ESG すべての問題に及んでいます 社会的に責任ある企業として課題に積極的に取り組み 投資家とのエンゲージメントが課題解決につながることを期待します 日本の森林は約 2,508 万ヘクタール そのうちの約 6 割に相当する 1,479 万ヘクタールが天然林等であり 約 4 割に相当する 1,029 万ヘクタールが人工林です 日本の国土面積 3,780 万ヘクタールに占める森林の割合 ( 森林率 ) は約 66% で 先進国の中では フィンランドに次いで第 2 位 世界でも有数の森林国です 1 また 一般社団法人日本土地研究所によると この数値は 150 年前からほとんど変わっていません これは 日本には 伐採した木の分だけ苗木を植える という制度があり 国を挙げて森林という資源を守って来たからに他なりません では世界はどうでしょうか FAO( 国際連合食糧農業機関 ) の Global Forest Resources Assessment 2015( 世界森林資源評価 2015) によると 世界全体の森林面積は約 40 億ヘクタールで森林率は約 31% です しかしながら 世界の森林は減少傾向にあり 毎年 331 万ヘクタールもの森林面積が減少 (2010 年から 2015 年までの平均 ) しています 2 地域的には ラテンアメリカ アフリカ 東南アジア 国では ブラジル インドネシア ナイジェリアなどで熱帯林の減少が大きくなっています 一方で 中国やインド ベトナムを中心とした東アジアの温帯林やヨーロッパでは森林面積は増加しており 地域的な偏りが見られます また 熱帯林の主な減少の要因は 農業生産活動であり パーム油 畜牛 大豆 木材 紙パルプといった農畜産物の需要に対応するための樹木の伐採や土地の開墾がその原因の約 70% を占めています 森林は 人類だけでなく 地球上の生命全体にとって不可欠であり 二酸化炭素の吸収源として地球温暖化防止の観点からも貴重な資源です CDP は世界の機関投資家を代表して 森林減少を食い止めるためのプログラムとして 森林伐採リスクの高い 畜牛 パーム油 大豆 木材商品の生産 製造 調達リスクへの企業活動の取り組みの改善と開示を促しています CDP フォレストプログラムは 2013 年に開始され 2018 年で 6 年目になります 2018 年 日本企業における質問書送付対象企業数は 139 社 回答企業数は 42 社で回答率は 30% でした また自主回答企業が 3 社ありました CDP の他のプログラムである気候変動 ウォーターセキュリティの回答率が それぞれ 59% 60% であるのと比較すると 極端に回答率が低く 今後の改善が期待されます 2018 年において 日本企業で A リストに選定されたのは 不二製油 ( パーム油 )1 社 A には 花王 ( パーム油 木材 ) ユニ チャーム ( 木材 ) 住友商事 ( 木材 ) の 3 社が認定されました 一方で 本プログラムに署名する機関投資家は 656 機関 署名運用機関の資産運用残高の合計は 87 兆米ドルに達しており 2013 年比でそれぞれ 3.6 倍 6.7 倍に増加しています 欧州のアセットオーナーを中心に責任ある投資家としての行動を積極化していますが 国内の投資家の動きはどうでしょうか そこで 今回 ESG 研究所は パーム油をテーマに企業とのエンゲージメントに注力するりそな銀行に話を聞きました 同社は 2017 年 7 月以降の 1 年間で 1,800 件を超える企業とのエンゲージメントを実施しており 自社による直接のエンゲージメントと協働エンゲージメントも積極的に活用しています アプローチは 気候変動 パーム油など個別の ESG テーマを設定して 対象企業と対話するトップダウン型です 森林コモディティに関しては 特に企業によるサプライチェーンマネジメントの強化を求めています 森林コモディティに関する課題は 森林破壊やそれに伴う生物多様性の喪失という環境問題だけでなく 児童労働や劣悪な労働環境による労働者の人権侵害や地域住民の権利侵害などの労働と人権に関わる社会問題 違法操業や政府の汚職などのガバナンス問題など ESG すべての問題に及んでいます 社会的に責任ある企業として課題に積極的に取り組み 投資家とのエンゲージメントが課題解決につながることを期待します 株式会社 QUICK ESG 研究所は CDP のゴールドデータパートナーとして評価情報を国内の投資家の皆さまに提供し また スコアリング レポートパートナーとして 専門性の高いアナリストの知見を生かし 企業の皆さまの課題の理解 戦略の構築 実行と評価 そして開示のプロセスのサポートを継続してまいります 株式会社 QUICK ESG 研究所常務執行役員広瀬悦哉 1 平成 29 年度森林 林業白書, http://www.rinya. maff.go.jp/j/kikaku/hakusyo/29hakusyo/ attach/pdf/zenbun-40.pdf 2 Global Forest Resources Assessment 2015, http://www.fao.org/3/a-i4808e.pdf 05

森林減少および森林伐採リスクに注目する投資家の視点 企業は CDP フォレスト質問書でリスクの認識や機会の把握 ガバナンス体制や事業戦略 サプライヤーとの協働や外部検証といった森林に関する幅広い取り組みについて回答を求められる 質問書の一貫性や比較可能性といった利便性から CDP プログラムを支持する署名機関投資家数は増加している フォレストプログラムの署名機関投資家は プログラムが開始した 2013 年の 184 機関から 2018 年には 656 機関に増加した 3 Norges Bank Investment Management, CLIMATE CHANGE STRATEGY EXPECTATIONS TOWARDS COMPANIES, https://www.nbim.no/ contentassets/e3f8e013de754cad905b686bdb50 f76a/nbim_climatechange_2019_web.pdf 4 Norges Bank Investment Management, Responsible investment 2018, 7 February 2019, https://www.nbim.no/en/publications/reports/2018/ responsible-investment-2018/ 5 PRI Collaboration platform: https://collaborate. unpri.org/explore/?he=off&d=off&hd=on&hg=on& sp=pub&po=0&sc=line&pg=0&q=deforestation PRI コラボレーション プラットフォームは 署名機関投資家が協働エンゲージメント参加機関の募集や情報の共有 株主提案の支援要請など ESG 問題に関する影響力向上に寄与する目的で設置された Web プラットフォームである 6 株式会社りそな銀行 スチュワードシップレポート 2018/2019,https://www.resonabank.co.jp/ nenkin/sisan/prii/pdf/stewardship_report 2018-2019.pdf 投資先企業や そのサプライチェーンにおける森林減少および森林破壊リスクに注目し 取組内容を開示している海外の代表的な大手機関投資家にノルウェー銀行 ( 中央銀行 ) 投資管理部門 (Norges Bank Investment Management: NBIM) がある NBIM は世界最大級の政府系基金であり オイルファンド として知られる ノルウェー政府年金基金グローバル (Government Pension Fund Global GPFG) の運用を担い 運用資産総額は 1 兆 207 億ドル ( 約 114 兆円 ) に上る NBIM は 気候変動や水管理 海洋の持続可能性 子どもの権利 腐敗防止 税の透明性といった注目するテーマを掲げるとともに 投資先企業への期待 (Expectation to Companies) と称する体系化したレポートも公開している 気候変動をテーマとしたレポートでは 森林は温室効果ガスの排出量削減において極めて重要な役割を担う資源であることから 投資先企業の取締役に対し サプライチェーン全体で森林破壊リスクの影響を評価し 課題への取組内容を開示することを求めている 3 NBIM は長期の機関投資家として また世界で約 9,000 社もの企業に投資するユニバーサル オーナーとして 投資先企業に積極的なエンゲージメントを実施している 2018 年は 1,420 社の企業と 3,000 回を超える対話を実施した 森林破壊に関するリスクをテーマとしたエンゲージメントには ブラジルの大豆や畜牛品の取引業者のほか インドネシアやマレーシアの銀行に対する パーム油製造業者への投融資方針を問うなどの対話が含まれる エンゲージメントの結果 成果が確認できないとして パームオイル栽培のため違法な森林伐採を繰り返す企業 2 社 および森林減少の要因である持続可能性を考慮しない天然ゴム生産業者 1 社から投資を引き揚げた 4 スチュワードシップ責任を果たす活動の一環で 森林減少および森林伐採リスクに協働で取り組む投資家も現れている 例えば 国連が支援する責任投資原則 (Principles for Responsible Investment: PRI) の署名機関投資家は 2011 年以降の累計で 森林減少をテーマとした協働エンゲージメントが 7 件 ワーキンググループが 8 件 株主提案が 7 件と PRI コラボレーション プラットフォームを通じたアクティブ オーナーシップを実践し活動を推進している 5 これらグローバルな投資家の動きを踏まえ 日本の機関投資家がどのように森林減少リスクをとらえスチュワードシップ活動を推進しているのか エンゲージメントの意義と具体的な事例について 株式会社りそな銀行のアセットマネジメント部で責任投資グループ グループリーダーを務める松原稔氏にインタビューを行った りそな銀行 ( 運用資産残高 :20 兆円超 ) は ユニバーサル オーナーとして事業の持続可能性を高めるため 企業の長期戦略に ESG 要素を組込むことを推進するとともに 外部不経済の克服という観点からトップダウンによる活動テーマを設定し パッシブ運用のエンゲージメントに取り組んでいる 同社は 2017 年 7 月から 2018 年 6 月までの 1 年間で 1,800 件を超える企業との対話 エンゲージメントを実施している 7 質問 : スチュワードシップ活動でなぜ森林減少や森林伐採という課題に注目しているのか? 森林減少に関するテーマは 投資先企業にサプライチェーンマネジメントを強化してほしいという観点と 森林の炭素吸収 貯蔵機能が気候変動のインパクトの低減にもたらす外部経済性を期待する点から重要な課題と考えている エンゲージメント活動の形式としては 自社の責任投資グループによる直接のエンゲージメントに加え 協働エンゲージメントも活用している 例えば 2017 年からは 持続可能なパーム油 の調達をテーマとしたエンゲージメントを開始した アブラヤシの果実から得られ 世界で一番使用されている植物油であるパーム油は パーム農園開発に伴う森林破壊という環境問題の他 児童労働や土地を巡る先住民との紛争という社会問題など 様々な負のインパクトが指摘されている 主要生産国はマレーシアやインドネシアといったアジアであること またパーム油を原料とした製品の使用など パーム油のサプライチェーンにかかわる企業は日本にも数多く存在するため 投資先企業と直接対話することで 持続可能なパーム油 の調達に対する取り組みを働きかけている 畜牛に関連する森林減少リスクにフォーカスした PRI が主催する協働エンゲージメントにも参加している ブラジルを中心とした南米やアメリカがエンゲージメントの対象企業であるため 協働エンゲージメントという形で情報収集や企業への働きかけを実施している 現在は畜牛がテーマであるが 今後は大豆 木材 / 紙パルプへとテーマを拡大する予定であり 日本企業がエンゲージメント対象になる可能性は十分にある 06

質問 : エンゲージメントテーマをどのように優先順位付けしているのか? エンゲージメントテーマは NGO や有識者 政府関係者や各種団体等とのステークホルダーダイアログを通じて ESG 課題をリスト化したうえで トップダウンアプローチにより優先順位付けしている 質問 : エンゲージメントは具体的にどのように実施しているのか? 持続可能なパーム油 の調達というエンゲージメントテーマを事例として挙げる パーム油事業は 川上から川下まで 数多くの企業が存在している エンゲージメントは より消費者に近い 小売企業や食品製造企業といった川下企業からはじめ 製油 化学企業 搾油 一次精製企業 パーム農園運営企業といった川上企業にアプローチするという手法をとった エンゲージメントは パーム油のサプライチェーンが持つ環境 人権リスクの説明から始めている 川下企業に対しては 持続的なパーム油 に対する取組状況を確認し 先進的に取り組んでいる企業の事例の紹介 RSPO( 持続可能なパーム油のための円卓会議 ) への加盟や RSPO の基準に則した取り組みを求める対話を実施した 川上企業に対しては 最終的に NDPE 原則 ( 森林破壊なし 泥炭地開発なし 搾取なし ) に向けた取組状況の開示を求めた 質問 : エンゲージメントの成果をどのように測っているか? ユニバーサルな視点を持った長期の投資家としてのリターンを得ること 株式市場全体 (TOPIX) を引き上げることが最終的な目標ではあるが エンゲージメントの成果は実際の企業行動の変化を KPI にしている 具体的には RSPO への加盟企業数や統合報告書開示企業数がどのくらい増えたか エンゲージメントの目指す方向へ向けて企業にどのような変化が起き どのようなアクションがとられたかを 成果として注視している 質問 :CDP フォレストプログラムのスコアや回答内容をどのように活用しているか? スコアだけを見るということはなく 投資先企業のモニタリングや検証として活かしている 今後は エンゲージメントの材料として活用することが考えられる これから更なる活用方法を考えていきたい 森林減少に関するテーマは 投資先企業にサプライチェーンマネジメントを強化してほしいという観点と 森林の炭素吸収 貯蔵機能が気候変動のインパクトの低減にもたらす外部経済性を期待する点から重要な課題と考えている りそな銀行 07

CDP 2018 フォレストグローバル概要 木材 パーム 畜牛品 大豆は 世界中で森林伐採の主な要因となっているコモディティである CDP フォレストプログラムでは 企業やその他のステークホルダーと協働し これらのコモディティに関するサプライチェーンにおける森林減少防止を促進している 森林は 気候の調整 水の供給 汚染と土壌浸食の抑制 そして生物多様性の保護に寄与している しかし コモディティ利用に由来する森林減少の割合は 2001 年以来減少していない 7 パーム油や大豆などのコモディティの生産により 2001 年から 2015 年の間に毎年平均 500 万ヘクタールの森林が失われている 8,9 森林と 水のセキュリティ そして気候変動は密接に関係している CDP2018 フォレスト質問書において最も多く報告された森林減少に関連する物理的リスクは 異常気象の深刻化と降水量パターンの変化といった 気候と水に関連したリスクであった CDP フォレストプログラムでは 企業に以下の 6 つの取組みを促進することを目指している 透明性 2018 年 全世界で 239 社が投資家要請に対して回答し ( 回答率 21%) これは 2017 年より 18% 増加している 176 社が木材 90 社がパーム油 63 社が大豆 54 社が畜牛品について報告している 2018 年に初めて 天然ゴムを質問書の対象としたが これには 16 社が回答した ガバナンス 戦略回答企業の 75% を超える 185 社が 森林関連の課題について取締役会が監督していると回答している また約 3 分の 2 の企業は森林に関する方針を策定しており (164 社 ) 長期の戦略的事業計画に森林関連の課題を盛り込んでいる (154 社 ) これら 3 つの要素をすべて満たしている企業は 過半数の 126 社であった 目標設定回答企業の約 3 分の 2(154 社 ) が 直接操業及び / またはサプライチェーンにおける森林減少や森林劣化を抑制するためのコミットメントを策定している また 156 社 (65%) の企業が 使用するコモディティの生産 / 消費に関する持続可能性を高めるための定量的な目標設定を行っていると回答した 測定 モニタリング企業が森林減少によるリスクと影響を評価するためには 自社のフットプリントにおいてどの程度そのコモディティが関連しているのか またそのコモディティの生産地について理解していなければならない 68% (163 社 ) の企業が 自社が生産 / 使用するコモディティの生産量 / 消費量を回答し 183 社 (76%) が使用するコモディティの原産地を追跡してモニタリングするためのトレーサビリティシステムを導入していると回答した リスク評価 190 社 (79%) が森林関連のリスク評価を行っていると回答した バリューチェーンにおいて関連するステージやステークホルダーを考慮に入れてしっかりとした森林関連リスク評価を行うことで 企業は森林関連リスクをよりよく理解し 軽減することができる バリューチェーンにおける協働企業のバリューチェーンにおける森林減少は複雑な問題であり そのバリューチェーン内外のさまざまなステークホルダーとの協働が必要となる 164 社 (68%) が 森林関連の課題について 何らかのイニシアチブに参画したり コミュニティや NGO 政策担当者との協働を行っている Figure 1. CDP2018 フォレスト質問書コモディティ別回答企業数 ( グローバル ) 200 150 176 回答企業数 100 90 7 Curtis, P., Slay, C., Harris, N., Tyukavina, A. and Hansen, M. (2018). Classifying drivers of global forest loss. Science, 361(6407), pp.1108-1111. 8 同上 50 63 54 16 08 9 https://news.mongabay.com/2018/09/ whatscausing-deforestation-new-study-revealsglobaldrivers/ 0 木材 パーム油 大豆 畜牛品 天然ゴム ( パイロット )

A リスト企業一覧 製造セクター 不二製油グループ本社 ( 日本 ): パーム油 Beiersdorf AG ( ドイツ ): パーム油 BillerudKorsnäs ( スウェーデン ): 木材 FIRMENICH SA ( スイス ): パーム油 L Oréal ( フランス ): パーム油 TETRA PAK ( スウェーデン ): 木材 素材セクター UPM-Kymmene Corporation ( フィンランド ): 木材 09

森林減少の現状 Table 1. 世界の森林の年平均減少面積 ( 植林による増加分も加味 ) 年 世界の森林の年平均減少面積 (1000ha) 1990-2000 年 7266.73 森林減少の現状森林は 人類だけではなく 地球上のすべての生命にとって必要不可欠なものである 世界の森林面積は 1990 年に 41 億 2800 万ヘクタールだったが 2015 年に 39 億 9900 万ヘクタールとなり 1 億 2900 万ヘクタール減少した これは 陸地面積の割合では 31.6% から 30.6% となり 全陸地の 1% に相当する森林が減少したことを示す 10 減少の要因の一つとして 東南アジアにおける天然ゴムの栽培拡大が懸念されているが 日本における輸入先も ほぼ 100% が東南アジアである (Figure3) つまり 森林減少は熱帯地域を中心とした課題であるものの 原材料の輸入を通じて日本も大きく影響を与えている これら課題とは無関係と思っている企業もサプライチェーンを通じて森林破壊リスクを抱えている可能性があるといえる 2000-2010 年 3992.93 2010-2015 年 3307.87 出典 :The Global Forest Resources Assessment 2015 (FRA 2015 Results) より作成 Table 2. 森林と関係のある企業が抱える潜在的リスク 移行リスク 市場アクセスリスク 政策 ( 経営方針 ) リスク 規制リスク 評判リスク 物理的リスク 物理的リスク 消費者や小売業者がより持続可能な方法で調達された商品を選択するなど 選好が変化することによってもたらされるリスク 生産者が森林減少ゼロ公約等を厳格化することによって 自らの事業活動が制限され 既存の土地資産が座礁資産と化すリスク 各国における規制の強化や新法の制定によりコストや課徴金が高額になるリスク 違法な森林伐採や環境被害への関与による自社の評判が損なわれるリスク 森林の減少が気温上昇の一因となり 作物収穫量の減少やコストの増加につながるリスク 出典 :Global canopy 森林減少リスクと投資価値の結びつき 2017 年 11 月より作成 Table1 は国際連合食糧農業機構 (FAO) の統計データをもとに 森林面積の年平均減少面積を示した表である 1990 年代は約 727 万ヘクタール 2000 年代は約 399 万ヘクタール 2010 年から 2015 年の 5 年間の森林の年平均減少面積は約 331 万ヘクタールと 近年ではその減少速度は低下傾向にあることが分かる しかし依然として年間約 331 万ヘクタール ( 東京都の面積の約 15 倍に匹敵する ) の森林が毎年減少している 森林面積の推移には 地域的な偏りも見られる (Figure2) 東アジアやヨーロッパでは森林面積が増加している一方 森林減少面積が大きいのは特にラテンアメリカやアフリカ 東南アジア地域の熱帯林である 熱帯林の減少の主な要因は 農業生産活動であり パーム油 畜牛 大豆 木材 紙パルプといった農畜産物の需要に対応するための樹木の伐採や土地の開墾が 熱帯林の減少原因の約 7 割を占める 11 農林水産省のデータによると 日本は大豆の 16% パーム油の 99% そして木材の約 30% をブラジル インドネシア マレーシアなどラテンアメリカや東南アジアといった熱帯地域から輸入している また 近年の森林 Figure 2. 地域別森林減少面積 { 1990-2000 年 { 2000-2010 年 { 2010-2015 年 東 / 南アフリカ 北アフリカ 西 / 中央アフリカ 東アジア 南 / 東南アジア 西 / 中央アジア ヨーロッパ カリブ 森林減少が企業にもたらすリスクと投資家の関心森林には 生物多様性の保全 二酸化炭素の吸収と貯蔵 土壌の保全および土砂の流出や崩壊の防止 木材等の林産物の生産 水源のかん養 安らぎや憩いの場としての文化 教育的な機能がある Table 2 は森林と関係のある企業が抱える潜在的なリスクをまとめた表である 多様な機能を有する森林が減少し破壊されているという課題は 規制の強化や導入 消費者の嗜好の変化や風評リスクなど 森林につながりのある企業に様々なリスクをもたらしうる 企業に投資する投資家にとって 自らのポートフォリオにおける投資リスクを把握することは重要である 森林破壊は 様々な潜在的リスクを企業にもたらし得るという観点から 近年の ESG 投資の高まりを背景に投資家の注目を集めている また 森林破壊は 気候変動に大きな影響を与えるなど 経済の基盤そのものにも関わるため ユニバーサル オーナーの立場からも関心が高い 2018 年 CDP フォレストプログラムに署名する機関投資家数は 656 機関であり その運用資産総額は 87 兆米ドルに達している 10 Food and Agriculture Organization of the United Nations, Zero-deforestation commitments,2018, http://www.fao.org/3/i9927en/i9927en.pdf 11 UN Environment, Why do forests matter?, https://www.unenvironment.org/explore-topics/ forests/why-do-forests-matter 10 中央アメリカ北アメリカオセアニア南アメリカ -4000-3000 -2000 1000 0 1000 2000 3000 面積 (1000ヘクタール ) 出典 :The Global Forest Resources Assessment 2015 (FRA 2015 Results) より作成

Figure 3. 日本におけるコモディティ別輸入先 (2017 年 ) { 14% EU { 14% 中国 { 10% カナダ { 8.5% インドネシア { 8.5% マレーシア { 8.2% フィリピン { 7.7% アメリカ { 6.2% ベトナム { 4.8% オーストラリア { 4.5% ロシア { 14% その他 木材 ( 数量 : 金額ベース ) { 69% マレーシア { 31% インドネシア { 0.05% シンガポール { 0.05% その他 パーム油 ( 数量 :Kg ベース ) { 51% オーストラリア { 44% アメリカ { 3.3% ニュージーランド { 1.4% メキシコ { 0.6% カナダ { 0.4% その他 牛肉 ( 数量 : 金額ベース ) { 73% アメリカ { 16% ブラジル { 10% カナダ { 0.8% 中国 大豆 ( 数量 : トンベース ) { 62% インドネシア { 34% タイ { 1.7% ベトナム { 1.2% ミャンマー { 0.8% マレーシア { 0.3% その他 天然ゴム ( 数量 : 金額ベース ) 出典 : 大豆 パーム油 牛肉 天然ゴム - 農林水産省農林水産物輸出入概況 2017 年木材 - 林野庁 2017 年木材輸入実績 11

CDP 2018 フォレスト質問書日本企業の回答 30 % 日本企業の回答率 (42/139) CDP フォレストは 森林減少や劣化 森林破壊の原因の一つである商業農業向け農畜産物の製造または調達リスクについて 企業が情報を開示するプラットフォームを提供している 開示が求められる対象のコモディティは 木材 パーム油 大豆および畜牛品であり 2018 年からパイロットとして天然ゴムも対象としている 本プログラムは 英国 NGO であるグローバル キャノピー プログラム (Global Canopy Programme; GCP) が実施していた フォレストフットプリント ディスクロージャー プロジェクト を CDP が統合する形で 2013 年に開始したもので 2018 年で 6 回目の調査となる 2018 年 質問書が送付された日本企業は 139 社であり 30% にあたる 42 社 12 から回答があった また自主的に回答した企業は 3 社あった なお 日本の質問書送付対象企業数は 昨年の 108 社に比べ 31 社増加した 増加の要因は CDP による質問書の送付対象の抽出定義が改訂された影響によるものである 2018 年度における質問書の送付対象の抽出定義は以下のとおりである ( 世界共通 ) 13 CDP が企業の売上構成などから定義づけする業種で 森林減少に関するリスクと関わりが大きいとみなされた企業 2017 年 CDP フォレスト質問書が送付された企業の一部 グローバル キャノピー プログラムの 2017 フォレスト 500 ランキングに選定されている企業 気候変動 ウォーターセキュリティプログラムの回答率 ( 各々 59% 60%) と比べると フォレストプログラムの回答率の低さは顕著であり 今後 回答する企業数が増えることが期待される 業種別回答率 CDP が定める抽出定義に基づき 質問書が送付された企業における業種別の回答率をみると サービス (91%) や素材 (67%) といった一部の業種では回答率が高い 一方 ホスピタリティ (20%) や小売 (7%) は低く アパレル 発電 輸送サービスの回答率は 0% と 回答率にばらつきがある (Table 3) 回答のあった 42 社中 ( グループ親会社による回答を除く 自主回答企業を含む ) 木材について回答した企業は 32 社 パーム油は 11 社 畜牛品は 7 社 大豆は 10 社であった (Figure 4) 以降では グループ親会社により回答した 3 社を除く 42 社 ( 自主回答企業を含む ) を対象として分析した結果を示す リスク評価回答企業のうち 森林関連リスクを評価している企業は 71% にあたる 30 社であった 森林関連リスクを評価している企業のうち 大半の企業が 直接操業または / およびサプライチェーンにおいて森林関連リスクを評価する頻度は 年に 1 度もしくは半年に一度以上 と回答した また企業は 森林関連リスクの評価を特定の手法ではなく 独自の手法や FSC の世界森林レジストリ 外部コンサルタントの活用など複数の方法を組み合わせて実施している (Table 4) 森林関連リスクにおいて常に考慮する要素として 森林関連リスク コモディティの利用可能性や質 規制という要素を考慮する企業が 6 割を超える一方 市場の損失や社会への影響を考慮する企業は 5 割弱にとどまる (Figure 5) また 6 割を超える企業が 森林関連リスクにおいて常に考慮するステークホルダーとして 顧客やサプライヤー 規制当局を挙げる一方 NGO や地域社会を考慮する企業は 5 割弱であった (Figure 6) 森林は多様な機能を有することから 考慮すべき要素は企業によって異なる 企業が森林関連リスクを評価する際 自社における森林コモディティとの関わりをよく認識し 各社の実態に則した要素およびステークホルダーを考慮することが望まれる Table 3. 業種別対象企業数と回答数 ( カッコ内の回答数は自主回答企業を含めた数値 ) Figure 4. コモディティ別回答企業数 (N=42) セクター 回答数 対象企業数 回答率 アパレル 0 2 0% 食品 飲料 農業関連 10 29 34% ホスピタリティ 1 5 20% 木材パーム油 11 32 インフラ関連 6 23 26% 畜牛品 12 12 グループ親会社による回答を含む 13 2017 年までは MSCI ACWI All Cap Index およびグローバル キャノピー プログラムのフォレストランキングをベースに送付先を抽出 製造 9 (11) 30 30% 素材 4 6 67% 発電 0 1 0% 小売 2 27 7% サービス 10 11 91% 輸送サービス 0 (1) 5 0% 7 大豆 0 5 10 10 15 20 25 30 35 回答企業数

Table 4. 森林関連のリスク評価 (N=30) 木材パーム油畜牛品大豆 直接の操業またはサプライチェーンにおける森林関連リスク評価を実施している企業数 25 6 2 4 森林関連リスクの評価頻度 ( 回答社数 ) 毎年 15 2 1 1 半年に1 回もしくはそれ以上 8 3 1 2 隔年 1 1 0 1 森林関連リスク評価に用いる方法 ( 回答社数 複数選択可 ) FSC 世界森林レジストリ 10 1 N/A 1 社内的な知見 24 6 2 6 外部のコンサルタント 11 4 N/A N/A 追跡 5 2 N/A N/A Global Forest Watch Commodities (GFW Commodities) 2 N/A N/A N/A Sustainability Policy Transparency Toolkit (SPOTT) 4 N/A N/A N/A 各国独自の方法およびデータベース 2 N/A N/A N/A IBAT for Business N/A N/A N/A N/A その他 6 1 N/A N/A Figure 5. 森林関連のリスクにおいて常に考慮する要素 (N=42) Figure 6. 森林関連のリスクにおいて常に考慮するステークホルダー (N=42) 社会への影響 (48%) 汚職 (57%) 森林リスクコモディティの利用可能性 (62%) 80% 60% 40% 20% 0% 森林リスクコモディティの質 (62%) 生態系及び生息地 (60%) 規制 (62%) サプライヤー (60%) 顧客 (64%) 80% 60% 40% 20% 0% 従業員 (50%) 投資家 (55%) 規制当局 (60%) 地域社会 (55%) ブランドダメージ (55%) 気候変動 (50%) 市場の損失 (43%) 関税または価格 (57%) 地域レベルでのコモディティの使用者または生産者 (50%) NGO(48%) 13

Figure 7. 取締役会で森林関連の課題について言及する頻度 (N=42) { 全ての会議で言及する { 複数の会議で言及する { 重要な議題がある場合にのみ言及する { 無回答 リスクと機会森林関連の課題をビジネス上のリスクのみではなく機会としてとらえ情報を開示する企業もある 財務的または戦略的に重大な影響を及ぼす可能性のある 森林関連リスクおよび森林関連の機会が ある と回答した企業の割合を示した表が Table 5 である 木材とパーム油に関して回答した企業のうち 7 割を超える企業がリスクと同時に機会を認識していることが分かる また ブランド価値の向上 を森林に関連した主な機会の要素と捉えている企業が最も多いことが分かる 社 ) または 複数の会議 (16 社 ) と回答した企業が回答企業の半数を超える 23 社あった (Figure 7) 一方 経営幹部や取締役レベルに対して森林課題に関するインセンティブを設けている企業は 12 社と 3 割以下にとどまる (Figure 8) 森林課題への対応を含む活動を 金銭的なインセンティブに反映させている例として 花王は Chief Purchasing Officer(CPO) に対し 森林破壊ゼロを含む複数の事業目標を総合的に考慮して評価し 業績に連動した賞与を支給している と回答している 13 6 Figure 8. 経営幹部や取締役レベルに対する森林課題に関するインセンティブの有無 (N=42) { あり { 今後 2 年以内に導入を検討 { なし { 無回答 1 7 16 12 機会と捉えている事例として 不二製油グループ本社は 持続可能なパーム油生産に強みを持つ農園会社と連携し 高付加価値なパーム油製品を製造 持続可能なパーム油の需要が高い欧米市場に向けて販売するという戦略を打ち出している 一方 畜牛品と大豆に関して回答した企業のうち 森林関連リスクがあると回答した企業と 森林関連の機会を捉えている企業はともに 33% と リスクの認識 機会の把握ともに十分ではないといえる 木材に比べ 畜牛品や大豆は CDP フォレスト質問書への回答企業数も少なく サプライチェーンを含めたリスクの認識と機会の把握の促進が期待される ガバナンス直接的な水の利用可能性に一定の重要性を見出して森林に関する方針を策定していると回答した企業は 83% にあたる 35 社あった そのうち 各コモディティに特化した方針を策定していると回答した企業は 木材では 22 社 パーム油では 6 社 畜牛品と大豆においては 0 社であった ガバナンス体制として 回答企業のうち 71% にあたる 30 社が取締役会において森林関連の課題を監督していると回答した また 取締役会において森林関連の課題について言及する頻度としては すべての会議 (7 森林減少や森林伐採への対応森林減少や森林伐採の防止に向けた取り組みを 公的にコミットしていると回答した企業は 60% にあたる 25 社であった 花王は日本企業で唯一 2014 年に国連気候サミットで採択された 森林に関するニューヨーク森林宣言 に署名している この宣言には パーム油 大豆 紙 牛肉などの農産物生産による森林減少を遅くとも 2020 年までに止める という目標が含まれている 取組事例として 花王は ティア 1 サプライヤーからパーム油工場を特定し 各工場から 50 km 以内の土地の利用における すべてのリスクをマッピングしている 同社は 環境や人権に悪影響を与えていることが懸念される工場には専門家と訪問し 操業状況を確認 必要に応じて改善を求めるなど 活動の詳細を開示している コモディティを追跡 及び監視するトレーサビリティシステムを保有していると回答した企業は 25 社あった 不二製油グループ本社は パーム油について 国や地域ではなく 工場までのトレーサビリティ把握に努め 2020 年までに搾油工場までのトレーサビリティ 100% を達成するという定量的な目標を設定している また 追跡が難しいサプライヤーに対しては 対話やサプライチェーンの見直しといった方法で トレーサビリティ実現を促している 24 5 環境および人権に配慮した方法で生産されたパーム油製品の供給体制を確保することで 市場における持続可能なパーム油需要の高まりに応えられる製品を供給する機会を認識している 持続可能なパーム油生産に強みを持つ UNITED PLANTATIONS 社 ( マレーシア ) との合弁で UNIFUJI 社を 2017 年 11 月に設立した UNIFUJI 社では UNITED PLANTATIONS 社の農園で生産された 環境 人権に配慮したパーム油を原料に パーム油の分別事業を行い 高付加価値なパーム油製品を製造し 特に持続可能なパーム油の需要の高い欧米市場に向け販売する 不二製油グループ本社 14

Table 5. 森林関連リスクおよび機会が ある と回答した企業の割合と特定された機会の要素 (N=42) 木材パーム畜牛品大豆 財務的または戦略的に重大な影響を及ぼす可能性のある 森林関連リスクが ある と回答した企業の割合 財務的または戦略的に重大な影響を及ぼす可能性のある 森林関連の機会が ある と回答した企業の割合 81% 70% 33% 33% 77% 78% 33% 33% 森林に関連した機会の要素 ( 回答社数 ) ブランド価値の向上 12 3 2 2 新規市場の創出 4 2 N/A 1 R&Dおよびイノベーション機会の創出 4 N/A N/A N/A 持続可能な原料の需要の喚起 4 N/A N/A N/A 持続可能なコモディティ市場の拡大 4 2 N/A 1 製品の安全性の向上 4 N/A N/A N/A コストの削減 1 N/A N/A N/A 規制変更への対応力向上 1 N/A N/A N/A 製造及び流通の効率化 1 N/A N/A N/A その他 1 N/A 1 N/A ティア 1 サプライヤーからパーム油工場を特定し 各工場から 50 km 以内の土地の利用における すべてのリスクをマッピングしている 保護林や泥炭地に近いパーム油工場は 自然の生息地に悪影響を与える可能性などが懸念される 花王はこれらの工場に専門家と訪問し 操業状況を確認 必要に応じて改善を求めている また 小規模農家を特定し より正確に原産地を追跡するためのシステムも導入するなど 環境保全や人権擁護に取り組んでいる 森林減少に悪影響を与えている または先住民の権利を侵害していることが懸念されるサプライヤーを特定した場合 状況改善を求める または商取引を取りやめることを検討する ( 一部抜粋 ) 花王 15

サプライヤーとの協働サプライチェーンを含めた森林減少課題に取り組む企業は 一次サプライヤーや二次サプライヤーと積極的に協働している 一次サプライヤーにおける持続可能な原材料の供給能力を向上し 改善するために協働している と回答した企業は 64% にあたる 27 社あった 森林関連リスクを管理し軽減するために 二次以下のサプライヤーと協働していると回答する企業も 18 社あった 例えば 不二製油グループ本社はサプライチェーン上のマレーシア ( サバ州 ) における小規模農家支援について説明している 同社は NGO および一次サプライヤーと共同で サプライチェーン上の小規模農家 ( 約 110 軒 ) における生産性向上と労働環境改善を目指した 4 年間の教育支援を行い 2017 年 5 月には 支援先の農家 55 軒が RSPO 認証を取得している 小規模農家からは 使用する農薬量が削減され コストカットにつながった といったコメントを得るなど 現地との対話を重視した取り組みを実施していることが伺える 外部検証 CDP は開示情報の検証 / 保証を奨励している CDP はフォレスト質問書のガイダンスで 森林分野における確立した外部検証基準はない としつつも 現在企業が使用している検定基準の開示を求めることで 今後の質問書の改訂に役立てたいとしている 日本企業においても 森林に関する情報の外部検証を受ける企業は未だ限られており ( 進捗中を含む )9 社が 検証を受けている と回答した 一方 検証を受けてないが 2 年以内に実施予定 検証基準が確立することを待っている と回答した企業は 16 社 実施予定はない と回答した企業は 9 社 また無回答企業が 7 社あった 外部検証を取得している事例としては 住友林業が 製品が持続可能で責任ある管理がなされた森林に由来したものであることを保証する FM(Forest Management) 認証や PHPL(Pengelolaan Hvtan Produksi Lestari) SGEC(Sustainable Green Ecosystem Council: 緑の循環認証会議 ) の取得状況を開示している スコアリング CDP プログラムでは 企業には最終的に A から D- までの 8 段階でスコアが付与される 企業による質問書への回答内容は 情報開示 認識 マネジメント リーダーシップ の 4 つのレベルで評価される また マネジメント と リーダーシップ においては セクター毎に質問項目に対する重みづけが行われる フォレストプログラムでは 対象となる 4 つのコモディティごとにスコアが付与される 今回 日本企業で A リストに選定されたのは 不二製油グループ ( パーム油 ) のみであった A- を得た日本企業は 花王 ( 木材 パーム油 ) ユニ チャーム ( 木材 ) 住友商事 ( 木材 ) の 3 社である 結論森林は 多様な公益的機能を持ち 地球上の生命にとって不可欠な資源である 森林の二酸化炭素の吸収や貯蔵機能は 地球温暖化防止の観点からも その役割が期待されている 森林面積の減少は熱帯地域において深刻であるが 森林の持つ多様な機能や輸入を通じた原材料の使用という面から 日本企業にとっても無関係とはいえない課題である 企業は森林関連リスクについて 直接の影響を考慮するだけではなく サプライチェーンの管理も含めた取り組みを強化することが重要である 森林減少や森林伐採の課題に対する積極的な取り組みを実践する機関投資家は 受託者責任を果たすためにも 投資リスクの低減やユニバーサル オーナーの立場から 投資先企業とエンゲージメントを図り 企業に対して取組内容の開示を求めている 企業が CDP フォレスト質問書に回答することは 森林に関するリスクや機会をより良く理解するだけではなく 外部のステークホルダー ( 投資家 ) との効果的なエンゲージメントの促進につながり 相互理解を深めることに役立つ CDP フォレスト質問書に関する日本企業の課題の一つは 回答率の低さである 日本でもいくつかの企業は課題解決に先進的に取り組み 情報開示も進み始めたため 未回答の企業との差が開き始めている より多くの企業が森林に関する課題に取り組み 情報をより積極的に開示することで 投資家と企業の建設的な対話や森林資源の持続可能な利用 課題解決に向けた活動の促進につながることが期待される 16

世界の森は年々減少を続けており 国連食糧農業機関 (FAO) が発表した 世界森林資源評価 2015 によれば 世界の森林面積約 40 億ヘクタールのうち 毎年 760 万ヘクタール ( 日本の面積の約 1/5) に相当する自然林が減少している 特にアマゾン インドネシアなど熱帯林の減少が深刻で その一因として 植林地 農地への転換を目的とした森林伐採 木材自体の利用など 人間の消費活動が深く結びついているといえる 森がなくなる ということはそこに暮らす野生生物や 森の恵みに依存しながら暮らす人々への悪影響があるだけではなく 森林伐採の過程で行われる火入れや泥炭地を開発する際の水抜きなどにより 大量の温室効果ガス排出に繋がっている地球規模の課題である 近年 パリ協定 が設定する目標達成に向け 世界的に脱炭素社会への移行が叫ばれており 特に欧米において石炭火力発電の中止や金融機関による投資撤退 ( ダイベストメント ) が進んでいる 林産物や農産物の生産に直接関わっていない企業であっても 森林減少を引き起こしているコモディティを原材料として使用しているということは 同様に気候変動を加速する原因に加担していると認識されるようになってきている しかし 森林減少の原因となるコモディティの生産自体をなくさなければならないというわけではなく 林産物や農産物といった自然資源に由来するコモディティが 周辺の生態系や地域社会などにも配慮した持続可能な方法で生産 利用される必要がある 特に インドネシア メコン川流域 ( タイ ミャンマーなど ) 極東ロシア地域の森林減少は 日本における消費も深い関係があると考えられている そのため それらの地域における木材 紙 天然ゴム パーム油の持続可能な生産と調達の実現を目指して WWF ジャパンがさまざまな企業と連携しながら活動していく中で 林産物や農産物を取り扱う企業が森林減少に関する課題に適切に対処することの重要性が明らかになっている 例えば 原材料の調達 加工 輸送などサプライチェーン上の情報を 認証制度などを活用して確認することで 森林減少に関わる原材料の排除や 地域住民や労働者の権利の尊重に繋がる また サプライチェーンの透明性を確保する意味でも 適切な方法で確認し得た情報を開示していくことも同様に重要である また日本においても 一部の金融機関から 森林減少の要因となるコモディティを取扱う企業に対する投融資等に対する方針を策定するなどの運用が開始されている 企業が森林減少防止や人権遵守を目的として 社内基準や調達方針等を整備するには こうした金融機関の取り組みも 持続可能な調達の実現を大きく加速させるものであると考えられる 公益財団法人世界自然保護基金ジャパン (WWF ジャパン ) 自然保護室森林グループ長橋本務太 17

Appendix 1: CDP 回答評価 - 企業の環境パフォーマンス指標を測る CDP のスコアリングは CDP のミッションに基づいており 持続可能な経済のための CDP の原則と価値に焦点を当て スコアは 企業が環境問題に取り組んできた歩みを表し リスクが管理されていない可能性がある場合にはそれをハイライトするためのツールである CDP は 次に挙げる 4 段階のレベルを示すスコアを用いて リーダーシップに向けた企業の進捗をハイライトするような直感的なアプローチを開発している 情報開示レベルは企業の開示度合を評価し 認識レベルはどの程度企業が自社の事業にかかわる環境問題や リスク その影響を評価しようとしているかを測っている マネジメントレベルでは環境問題に対する活動や方針 戦略をどの程度策定し実行しているかを評価し リーダーシップレベルでは企業が環境マネジメントにおけるベストプラクティスと言える活動を行っているかどうかを評価している 2018 年から CDP 質問書はセクターに焦点を当てたアプローチを採用し この新しいアプローチの下で 全企業に共通の一般的な質問と共に 影響の大きいセクターを対象としたセクター固有の質問を設定している 回答評価方法において 各質問の配点が明確に提示されている 情報開示レベルと認識レベルのスコアは 各レベルごとに獲得した点数を得点可能な点数で除した値に 100 を乗じたパーセントとして表される 質問はいくつかのカテゴリーに分類され カテゴリーごとに各セクターのウェイトが設定されている マネジメントレベルとリーダーシップレベルでは 質問のカテゴリーごとに獲得した点数を得点可能な点数で除した値に セクターのウェイトを乗じて カテゴリー別のスコアを算出する すべてのカテゴリーのスコアを合計した数値がマネジメント / リーダーシップレベルのスコアとなる 次のレベルに上がるための閾値が設定され 各質問において一定の点数を獲得できていない場合 その質問では次のレベルの評価が実施されない 最終的なスコアは到達した最も高いレベルを示している 例えば X 社が情報開示スコア 88% 認識スコア 82% マネジメントスコア 65% の評価を受けた場合 最終的なスコアは B となります また到達した最も高いレベルの中で 44% 未満のスコアの場合 ( ただしリーダーシップレベルを除く ) スコアにマイナスが付く 例えば Y 社が情報開示スコア 81% 認識スコア 42% の評価を受けた場合 最終的なスコアは C- となる 各企業のスコアは一般に公表しており CDP レポートのほかブルームバーグやグーグルファイナンス ドイツ証券取引所のウェブサイトの他 クイックの端末でも閲覧可能となっている CDP が実施する回答評価においては スコアラーの質を高め スコアラーと評価を受ける企業に利害関係がある場合には より厳しいチェック体制をとっている https://www.cdp.net/scoring-confict-of-interest 閾値 A リーダーシップマネジメント認識情報開示 A- B B- C C- D D- 60-100% 0-59% 45-65% 0-44% 45-79% 0-44% 45-79% 0-44% F: CDP フォレスト質問書の回答評価を行うのに十分な情報を提供していない 14 14 全ての企業が CDP 質問書の対象になっているわけではない 質問書の対象になっているにもかかわらず回答していない もしくは回答評価に十分な情報を提供していない場合 スコアは F となる F のスコアは 環境スチュワードシップを達成していないことを示すものではない 18

Appendix 2: CDP 2018 フォレスト質問書日本企業一覧 企業名 a 質問セクター b 木材 2018 スコア c パーム油 畜牛品 大豆 2017 回答 d 森林関連リスク評価の実施 森林課題を含む方針の策定 森林課題についての取締役会レベルでの監督 森林伐採 / 劣化を防止するコミットメントの策定 一次サプライヤーと協働しているコモディティ e 二次以降のサプライヤーと協働しているコモディティ e 第三者検証の実施 アパレルセクター アシックス 一般 F NR ワコールホールディングス 一般 F NR 食品 飲料 農業関連セクター JA グループ 一般 F NR 味の素 FBT B B C AQ Yes Yes Yes Yes T, P, S T, P, S より良い検証基準 / プロセスが出来次第 伊藤ハム米久ホールディングス FBT F NR 江崎グリコ FBT F NR カゴメ FBT F NR カルビー FBT F NR キッコーマン FBT F NR キユーピー FBT Not scored NR 非公表 住友林業 製紙 林業 B- AQ Yes Yes Yes Yes T T Yes 東洋水産 FBT F NR ニチレイ FBT F NR 日清オイリオグループ FBT F NR 日清食品ホールディングス FBT F NR 日清製粉グループ本社 FBT F NR 日本水産 FBT F NR 日本ハム FBT C AQ 非公表 日本たばこ産業 FBT F DP ハウス食品グループ本社 FBT F NR 不二製油グループ本社 FBT A B AQ Yes Yes Yes Yes P P 2 年以内 マルハニチロ FBT F NR 丸紅 FBT B B AQ 非公表 三菱商事 一般 C AQ 非公表 三菱食品 FBT SA 明治ホールディングス FBT F NR 森永製菓 FBT F NR 森永乳業 FBT Not scored NR 非公表 ヤクルト本社 FBT F NR 山崎製パン FBT F NR 雪印メグミルク FBT D D D NR No No Yes No T T, P No ホスピタリティセクター すかいらーくホールディングス 一般 F NR 西武ホールディングス 一般 F NR ゼンショーホールディングス 一般 F NR 日本マクドナルドホールディングス 一般 SA SA リゾートトラスト 一般 F NR インフラ関連セクター NIPPO 一般 F NR NTT 都市開発 一般 F 19

企業名 a 質問セクター b 木材 2018 スコア c パーム油 畜牛品 大豆 2017 回答 d 森林関連リスク評価の実施 森林課題を含む方針の策定 森林課題についての取締役会レベルでの監督 森林伐採 / 劣化を防止するコミットメントの策定 一次サプライヤーと協働しているコモディティ e 二次以降のサプライヤーと協働しているコモディティ e 第三者検証の実施 飯田グループホールディングス一般 F NR 大林組一般 F NR 鹿島建設一般 C AQ Yes Yes No No T T より良い検証基準 / プロセスが出来次第 関電工 一般 Not scored No No No No 五洋建設 一般 F NR 清水建設 一般 F NR 住友不動産 一般 F 積水化学工業 一般 B AQ Yes Yes Yes Yes T No 積水ハウス一般 B AQ Yes Yes Yes Yes T T より良い検証基準 / プロセスが出来次第 大京一般 F 大成建設一般 F AQ 大和ハウス工業一般 B NR Yes Yes Yes Yes T T 2 年以内 東京建物一般 F 戸田建設一般 F NR 西松建設一般 Not scored NR 非公表 日揮一般 F NR 野村不動産ホールディングス一般 F 長谷工コーポレーション一般 F NR 前田建設工業一般 F NR 三井不動産一般 F 三菱地所一般 F 製造セクター ADEKA 一般 F NR SUBARU 輸送機器製造 旭化成化学 F いすゞ自動車 輸送機器製造 F AQ C AQ 非公表 王子ホールディングス製紙 林業 B- AQ Yes Yes Yes Yes T T Yes 花王一般 A- A- AQ Yes Yes Yes Yes T, P T, P 2 年以内 カネカ化学 F 川崎重工業一般 F コーセー一般 Not scored NR No 2 年以内 No コクヨ一般 B- AQ Yes Yes No No T 小林製薬一般 F NR 資生堂一般 F AQ スズキ 輸送機器製造 ダイセル化学 F NR Not scored AQ 非公表 より良い検証基準 / プロセスが出来次第 タナックス製紙 林業 C AQ Yes Yes Yes Yes T T Yes トヨタ自動車 輸送機器製造 F NR 20

企業名 a 質問セクター b 木材 2018 スコア c パーム油 畜牛品 大豆 2017 回答 d 森林関連リスク評価の実施 森林課題を含む方針の策定 森林課題についての取締役会レベルでの監督 森林伐採 / 劣化を防止するコミットメントの策定 一次サプライヤーと協働しているコモディティ e 二次以降のサプライヤーと協働しているコモディティ e 第三者検証の実施 豊田自動織機 輸送機器製造 日油化学 F NR 日産自動車 日産車体 輸送機器製造 輸送機器製造 日清紡ホールディングス一般 F NR ピジョン一般 F NR 日野自動車 輸送機器製造 ポーラ オルビスホールディングス一般 F AQ 本田技研工業 マツダ 三菱自動車 ヤマハ発動機 輸送機器製造 輸送機器製造 輸送機器製造 輸送機器製造 F F F F F NR NR C C AQ 非公表 F F ユニ チャーム一般 A- AQ Yes Yes Yes Yes T ライオン一般 F NR NR より良い検証基準 / プロセスが出来次第 リンテック化学 C Yes Yes Yes No No レンゴー製紙 林業 B- AQ Yes Yes Yes Yes T T Yes 素材セクター TOYO TIRE 一般 F 住友ゴム工業一般 D D D D AQ No No No No 日本製紙製紙 林業 B- AQ Yes Yes Yes Yes T T Yes 阪和興業一般 F NR ブリヂストン一般 Not scored Yes Yes Yes Yes R R 実施中 横浜ゴム一般 Not scored Yes Yes Yes Yes 発電セクター 関西電力電力 F NR 小売セクター J. フロントリテイリング一般 F NR アインホールディングス一般 F NR 青山商事一般 F NR イオン一般 Not scored NR 非公表 イズミ一般 F NR エイチ ツー オーリテイリング一般 F NR エービーシー マート一般 F NR 小田急電鉄一般 F コスモス薬品一般 F NR 島忠一般 F NR しまむら一般 F NR スギホールディングス一般 F NR T, P, C, S, R R No 21

企業名 a 質問セクター b 木材 2018 スコア c パーム油 畜牛品 大豆 2017 回答 d 森林関連リスク評価の実施 森林課題を含む方針の策定 森林課題についての取締役会レベルでの監督 森林伐採 / 劣化を防止するコミットメントの策定 一次サプライヤーと協働しているコモディティ e 二次以降のサプライヤーと協働しているコモディティ e 第三者検証の実施 セブン & アイ ホールディングス 一般 F NR セリア 一般 F NR 相鉄ホールディングス 一般 F 高島屋 一般 F NR ツルハホールディングス 一般 Not scored NR 非公表 ドンキホーテホールディングス 一般 F NR ニトリホールディングス 一般 F NR ファーストリテイリング 一般 F NR マツモトキヨシホールディングス 一般 F NR 丸井グループ 一般 F NR 三越伊勢丹ホールディングス 一般 F NR ユニー ファミリーマートホールディングス 一般 F NR ユニーグループ ホールディングス 一般 F NR 良品計画 一般 F NR ローソン 一般 F NR サービスセクター PALTAC 一般 F 伊藤忠商事 一般 B- AQ 非公表 住友商事 一般 A- NR 非公表 双日 一般 B AQ 非公表 大東建託 一般 D D- D- AQ Yes Yes Yes Yes T Yes 大日本印刷 一般 B- AQ Yes Yes Yes No T T Yes トッパン フォームズ 一般 SA 凸版印刷 一般 C AQ Yes Yes Yes Yes T T Yes 豊田通商 一般 B B B- AQ 非公表 長瀬産業 一般 Not scored AQ No Yes Yes No No 三井物産 一般 B- D- D- D- AQ 非公表 輸送サービスセクター 九州旅客鉄道 輸送サービス 近鉄グループホールディングス一般 F 東武鉄道 南海電気鉄道 輸送サービス 輸送サービス 西日本鉄道一般 F 東日本旅客鉄道 輸送サービス F F C Yes Yes Yes Yes T F より良い検証基準 / プロセスが出来次第 22 a 主要な事業内容別に五十音順に掲載 法人格省略 b FBT: 食品 飲料 タバコ c SA: グループ親会社により回答 Not scored: スコアリング対象外 d AQ: 回答 DP: 回答辞退 NR: 無回答 SA: グループ親会社により回答 e T: 木材 P: パーム C: 畜牛品 S: 大豆 R: 天然ゴム

レポートライター & スコアリングパートナー サポーター : 本レポートは 2019 年 4 月 4 日に開催された報告会にて発表し 以下の機関から後援頂きました 23

DISCLOSURE INSIGHT ACTION CDP Japan Contacts CDP Contacts CDP Japan Trustees Report Writer Contacts Michiyo Morisawa Director Japan Aika Okusa Ai Kishioka Kae Takase Kanako Inoue Ken Yamaguchi Kyoko Narita Misato Yamaura Miyako Enokibori Morgan Gillespy Director, Forests Viera Ukropcova Senior projects officer, Forests viera.ukropcova@cdp.net CDP Worldwide 4th Floor Plantation Place South 60 Great Tower Street London EC3R 5AD Tel: +44 (0) 20 3818 3900 www.cdp.net info@cdp.net Representative: Takejiro Sueyoshi Michiyo Morisawa Takeshi Mizuguchi Tohru Nakashizuka Etsuya Hirose Senior Executive Officer etsuya.hirose@quick.jp Naomi Komatsu Analyst naomi.komatsu@quick.jp Atsushi Suzuki Analyst atsushi.suzuki58@quick.jp QUICK Corp ESG Research Center Nihonbashi Mitsui Tower 2-1-1, Nihonbashi Muromachi, Chuo-ku, Tokyo 103-8317 https://www.esg.quick.co.jp/ Mizuki Ida Takahiro Kato Tsuyoshi Yoshioka CDP Worldwide-Japan 2-2-1 Otemachi. Chiyoda-ku Tokyo 100-0004 Japan Tel: +81 (0) 3 6225 2232 japan@cdp.net