平成 29 年度臨床研究に関する研修会 1
臨床研究とは 人を対象とする医学系研究 人 ( 試料 情報を含む ) を対象として 疾病の成因及び病態の理解並びに疾病の予防方法並びに医療における診断方法及び治療方法の改善又は有効性の検証を通じて 国民の健康の保持増進又は患者の疾病からの回復若しくは生活の質の向上に資する知識を得ることを目的として実施される活動をいう 2
指針の対象になる研究 個人の健康に関する情報を用いた疫学的手法による研究 侵襲 介入の有無に関わらず 研究対象者から新たに取得した試料 情報を用いる研究や 既存試料 情報を用いる研究 カルテ調査 後ろ向き観察研究も指針の対象です! 例 : 学会発表 論文作成など これらは全て倫理委員会への申請が必要です! 3
指針の対象とならないもの 傷病の予防 診断又は治療を専ら目的とする医療 情報共有のための個別の症例報告 十分な匿名化が困難な場合は 本人の同意が必要な場合があります 既存の医学的知見等について患者その他一般的な理解の普及を図るための出版物 広報物 自施設における医療評価のため 診療実績 ( 受診者数 処置数 治療成績等 ) の集計 ( 所属する医療従事者に供覧 事業報告 ) 自施設において提供される医療の質の確保のための施設内データの集積 検討 倫理委員会への申請は必要ありません 4
治験と臨床研究の違い 規制が異なる 治験 : 医薬品等 * の承認申請の際に提出すべき資料のうち臨床試験の試験成績に関する資料を収集するために行われる試験 * 医薬品 医療機器 再生医療等製品 治験の範囲は 法律で定義されている 我が国では 治験だけが 法律で規制される臨床研究である 臨床研究法が平成 29 年 4 月 14 日公布 5
臨床研究と治験の関係 臨床研究 人を対象とする医学系研究に関する倫理指針 遺伝子治療等臨床研究に関する倫理指針 臨床試験 治験 薬機法 GCP ヒトゲノム 遺伝子解析研究に関する倫理指針 臨床試験 : ヒトを対象とした介入研究臨床研究 : ヒトおよびヒト資料を用いた研究治験 : 製造販売承認申請を目的とする試験 薬機法 : 医薬品 医療機器等の品質 有効性及び安全性の確保等に関する法律 6
臨床研究に関する様々な指針 医薬品 医療機器 再生医療等製品の承認申請を目的としているか? Yes No 治験以外の臨床研究 治 験 ヒト幹細胞研究 ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針 生殖補助医療研究 ( ヒト受精胚作成を行う ) 遺伝子治療研究 遺伝子治療臨床研究に関する指針 遺伝子解析研究 ヒトゲノム 遺伝子解析研究に関する倫理指針 疫学研究 疫学研究に関する倫理指針 左記指針 他法令外臨床研究 告示告示告示告示告示告示 ヒト受精胚の作成を行う生殖補助医療研究に関する倫理指針 臨床研究に関する倫理指針 7
臨床研究に関する様々な指針 医薬品 医療機器 再生医療等製品の承認申請を目的としているか? Yes No 治験以外の臨床研究 治 験 ヒト幹細胞研究 等研究ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針 生殖補助医療研究 ( ヒト受精胚作成を行う ) 遺伝子治療研究 遺伝子治療臨床研究に関する指針 遺伝子解析研究 ヒトゲノム 遺伝子解析研究に関する倫理指針 疫学研究 疫学研究に関する倫理指針 左記指針 他法令外臨床研究 告示告示告示告示告示告示 再生医療 廃止 ヒト受精胚の作成を行う生殖補助医療研究に関する倫理指針 統合 臨床研究に関する倫理指針 再生医療等の安全性の確保等に関する法律 人を対象とする医学系研究に関する倫理指針 7
臨床研究の歴史的背景 ニュルンベルク綱領 (Nuremberg Code) 1947 年に ナチス ドイツの虐殺 人体実験に対するニュルンベルク裁判の結果として提示された研究目的の医療行為 ( 臨床試験及び臨床研究 ) をおこなうにあたって厳守すべき 10 項目の基本原則 ヘルシンキ宣言 (Declaration of Helsinki) 1964 年にヘルシンキで開催された世界医師会で採択 正式名称 : ヒトを対象とする医学研究の倫理的原則現在のものは 2013 年に修正された37 項目からなる 8
臨床研究にまつわるニュース ディオバン事件 倫理指針の見直し 聖マリアンナ医科大の不正 (2017 年 2 月 14 日 ) 神経精神科で行った 22 件の臨床研究のうち 7 件に不正 無作為に薬を割り付けず 医師が決定 うち 1 件はカルテ開示のデータを改ざん データの原本を 破棄した と嘘を伝える 9
人を対象とする医学系研究に関する倫理指針 指針は法律ではないので罰則はない しかしペナルティはある 研究費の取り消しなど!! このような背景をご理解の上で 研究の計画 申請をお願いします! 110
何故 臨床研究で倫理が問われるのか 本質的に 倫理を問われる機会が多いから 実際に 倫理で問題を起こすことが多いから 121
研究立案時の注意点 まず 確認すべき事項 意味がある研究テーマであるか 役立つ研究か 新規性があるか( 過去の論文を確認 ) 客観的な評価が可能か 実施可能か( 人員 体制 資金など ) 倫理的に問題はないか( 研究対象者の負担 予想されるリスクは )? 13
研究立案時の注意点 研究計画 適切な研究対象者の選択 適切な症例数の設定 主要評価項目の設定 評価方法の決定 倫理的配慮 研究計画書の作成 計画書に記載すべき項目をもれなく記載 14
インフォームド コンセント 研究の内容に応じてインフォームド コンセント ( 以下 IC) を受ける手続きについて適切な手順を検討し研究計画書に定める 手続きの種類 文書 IC 口頭 IC+ 記録作成 情報の通知または公開 情報の通知または公開 + 拒否機会の保障 ( オプトアウト ) 15
臨床研究法案 (H29 年 4 月 14 日公布 ) 法律の対象は治験以外の臨床研究の一部 未承認 適応外の医薬品等の臨床研究 製薬企業から資金提供を受けて実施される当該企業の製品等の臨床研究 新たな 臨床研究の実施基準 が GCP とは別に設けられる 国が新たに認定する倫理審査委員会の審査を受けなければならない 企業に契約に基づく資金提供と その情報の公表が義務づけ 165
長崎大学病院における倫理委員会申請の注意点 教育 研修について ひな形の利用について 倫理委員会への申請について 17
教育 研修について 18
教育 研修について ( 初回研修 ) 研究者等は研究の実施に先立ち 研究に関する倫理並びに当該研究の実施に必要な知識及び技術に関する教育 研修を受けなければならない 人を対象とする医学系研究に関する倫理指針第 2 章第 4 研究者等の責務 初回研修 CITI Japan e-ラーニングプログラム http://edu.citiprogram.jp/defaultjapan.asp?language=japanese e-ラーニングを受講するには IDとパスワードが必要 受講希望者は総務課研究国際 ( 内線 :2513) へ連絡 19
教育 研修について ( 継続研修 ) 研究期間中も適宜継続して 教育 研修を受けなければならない 人を対象とする医学系研究に関する倫理指針第 2 章第 4 研究者等の責務 継続研修 年に 1 回以上の研修会への参加が必須 年に 1 回以上 臨床研究に関する研修会 または それに該当する研修会等を受講していない場合 次年度 研究者として研究の実施や継続不可となります! 定期的に研修会を行っています 可能なときに受講をお願いします 20
ひな形の利用について 21
研究計画書の記載事項 1 研究の名称 2 研究の実施体制 ( 研究機関の名称及び研究者等の氏名を含む ) 3 研究の目的及び意義 4 研究の方法及び期間 5 研究対象者の選定方針 6 研究の科学的合理性の根拠 7 インフォームド コンセントを受ける手続等 ( インフォームド コンセントを受ける場合には 同規定による説明及び同意に関する事項を含む ) 8 個人情報等の取扱い ( 匿名化する場合にはその方法 匿名加工情報又は非識別加工情報を作成する場合にはその旨を含む ) 9 研究対象者に生じる負担並びに予測されるリスク及び利益 これらの総合的評価並びに当該負担及びリスクを最小化する対策 10 試料 情報 ( 研究に用いられる情報に係る資料を含む ) の保管及び廃棄の方法 11 研究機関の長への報告内容及び方法 12 研究の資金源等 研究機関の研究に係る利益相反及び個人の収益等 研究者等の研究に係る利益相反に関する状況 13 研究に関する情報公開の方法 14 研究対象者等及びその関係者からの相談等への対応 22
15 代諾者等からインフォームド コンセントを受ける場合には 規定による手続 ( 規定による代諾者等の選定方針並びに説明及び同意に関する事項を含む ) 16 インフォームド アセントを得る場合には 規定による手続 ( 説明に関する事項を含む ) 17 規定による研究を実施しようとする場合には 同規定に掲げる要件の全てを満たしていることについて判断する方法 18 研究対象者等に経済的負担又は謝礼がある場合には その旨及びその内容 19 侵襲 ( 軽微な侵襲を除く ) を伴う研究の場合には 重篤な有害事象が発生した際の対応 20 侵襲を伴う研究の場合には 当該研究によって生じた健康被害に対する補償の有無及びその内容21通常の診療を超える医療行為を伴う研究の場合には 研究対象者への研究実施後における医療の提供に関する対応22研究の実施に伴い 研究対象者の健康 子孫に受け継がれ得る遺伝的特徴等に関する重要な知見が得られる可能性がある場合には 研究対象者に係る研究結果 ( 偶発的所見を含む ) の取扱い23研究に関する業務の一部を委託する場合には 当該業務内容及び委託先の監督方法24研究対象者から取得された試料 情報について 研究対象者等から同意を受ける時点では特定されない将来の研究のために用いられる可能性又は他の研究機関に提供する可能性がある場合には その旨と同意を受ける時点において想定される内容25規定によるモニタリング及び監査を実施する場合には その実施体制及び実施手順 23
倫理指針の改正について 平成 29 年 5 月 30 日より個人情報保護法改正に伴い倫理指針が改正されました 他施設より提供された既存試料 情報を用いる場合には 当該既存試料 情報の提供に関する記録を作成しなければいけない 主幹施設の場合 : 計画書に記載 ( ひな形参照 ) して下さい 協力施設の場合 : 主観施設の指示に従って下さい 23
同意説明の内容 ( 文書 口頭 ) 1 研究の名称及び当該研究の実施について研究機関の長の許可を受けている旨 2 研究機関の名称及び研究責任者の氏名 ( 他の研究機関と共同して研究を実施する場 合には 共同研究機関の名称及び共同研究機関の研究責任者の氏名を含む ) 3 研究の目的及び意義 4 研究の方法 ( 研究対象者から取得された試料 情報の利用目的を含む ) 及び期間 5 研究対象者として選定された理由 6 研究対象者に生じる負担並びに予測されるリスク及び利益 7 研究が実施又は継続されることに同意した場合であっても随時これを撤回できる旨 ( 研究対象者等からの撤回の内容に従った措置を講じることが困難となる場合があるときは その旨及びその理由 ) 8 研究が実施又は継続されることに同意しないこと又は同意を撤回することによって 研究対象者等が不利益な取扱いを受けない旨 9 研究に関する情報公開の方法 10 研究対象者等の求めに応じて 他の研究対象者等の個人情報等の保護及び当該研究 の独創性の確保に支障がない範囲内で研究計画書及び研究の方法に関する資料を入 手又は閲覧できる旨並びにその入手又は閲覧の方法 11 個人情報等の取扱い ( 匿名化する場合にはその方法 匿名加工情報又は非識別加工 情報を作成する場合にはその旨を含む ) 25
12 試料 情報の保管及び廃棄の方法 13 研究の資金源等 研究機関の研究に係る利益相反及び個人の収益等 研究者等の研究に係る利益相反に関する状況 14 研究対象者等及びその関係者からの相談等への対応 15 研究対象者等に経済的負担又は謝礼がある場合には その旨及びその内容 16 通常の診療を超える医療行為を伴う研究の場合には 他の治療方法等に関する事項 17 通常の診療を超える医療行為を伴う研究の場合には 研究対象者への研究実施後における医療の提供に関する対応 18 研究の実施に伴い 研 x 究対象者の健康 子孫に受け継がれ得る遺伝的特徴等に関する重要な知見が得られる可能性がある場合には 研究対象者に係る研究結果 ( 偶発的所見を含む ) の取扱い 19 侵襲を伴う研究の場合には 当該研究によって生じた健康被害に対する補償の有無及びその内容 20 研究対象者から取得された試料 情報について 研究対象者等から同意を受ける時点では特定されない将来の研究のために用いられる可能性又は他の研究機関に提供する可能性がある場合には その旨と同意を受ける時点において想定される内容21侵襲 ( 軽微な侵襲を除く ) を伴う研究であって介入を行うものの場合には 研究対象者の秘密が保全されることを前提として モニタリングに従事する者及び監査に従事する者並びに倫理審査委員会が 必要な範囲内において当該研究対象者に関する試料 情 報を閲覧する旨 26
ひな形の選択 6 月 26 日に更新されました! 臨床研究センターの HP に掲載しています 27
ひな形の選択 研究計画書 同意説明文書 28
ひな形を使用するときの注意点 研究デザインに合ったひな形を使用 最新版のひな形を使用 申請前にもう一度内容を確認 ( 誤字 脱字など ) 作成文書の体裁 ( フォントをそろえる 行間 色文字 ) 1ページ目の削除をおねがいします! こちらでは修正出来ませんので ご協力をお願いします ひな形 1 ページ目 29
研究計画書の作成時の注意点 背景 目的を明確に記載する 他の研究計画書の上書き 流用 コピペは避けてください 研究対象者を具体的に設定する 何をどのような手法で明らかにしようとしているのかを明確に記載する 目的と評価項目の間に相違がないようにする など 倫理委員会では専門外や一般の委員の方も研究計画書の内容を確認し 審査します 誰が見ても研究の目的 方法 実施体制等がわかるように作成をしてください 30
研究計画書の作成時の注意点 多施設共同研究を行う場合 ( 主幹の場合 ) 1 研究 1 研究計画書 主幹施設として作成する場合はすべての共同研究施設で同じ研究計画書を用いて研究することを念頭に作成 ( 長崎大学病院に特化した記載は不要 ) 多施設共同研究に参加する場合 長崎大学病院用に新たに研究計画書の作成は不要 主幹施設が作成した研究計画書を提出 31
同意説明文書の作成時の注意点 指針に定めてある項目について必ず記載 ( ひな形を参考に! デザインに応じて省略可の項目あり ) です ます 調で記載 ( 計画書のコピペ ) 専門用語や難解な用語の使用は避ける 行間やフォントなど読みやすいように工夫 イラスト 写真 表などを用いる 研究計画書の内容と統一 多施設共同研究に参加する場合 長崎大学病院用の同意説明文書を作成 ( 主幹施設が提供したひな形を用いてもいいが 担当者や連絡先など を確認し必要に応じて修正してください!) 32
情報公開用文書の作成時の注意点 研究対象者が対象である旨がわかるように 下記の情報を公開し オプトアウトできるようにしておくことが原則 情報公開用文書に記載すべき内容 1 試料 情報の利用目的 利用方法 ( 他機関へ提供する場合はその方法も含む ) 2 3 4 5 6 利用 または提供する試料 情報の項目 利用する者の範囲 試料 情報の管理について責任を有する者の氏名または名称 研究対象者又はその代理人の求めに応じて 研究対象者が識別される試料 情報の利用または他の研究機関への提供を停止すること 5 の研究対象者やその代理人の求めを受け付ける方法 33
倫理委員会への申請について 34
申請方法 CT- ポータル 電子申請システム (CT-Portal) から申請 臨床研究センターの HP から入れます! 操作 入力で不明な点はマニュアルを確認して下さい ( 学内限定 ) 申請に関する問い合わせ : 臨床研究センター臨床研究ユニット ( 内線 :7726) 35
倫理審査の流れ 事前チェック 申請受理 研究者 申請 差し戻し (4 営業日以内 ) 再申請 臨床研究ユニット / 事務局 病院倫理委員会 審査 長崎大学病院 病院長 倫理委員会の審査内容を確認研究実施を許可 ( 許可書発行 ) 36
倫理審査の流れ 事前チェック 申請受理 研究者 申請 差し戻し (4 営業日以 臨床研究ユニッ 倫内 ) この一連のやり取りは主に理委 CTポータルのシステムで行いますト員 / 再申請会事務局 病院 審査 長崎大学病院 病院長 倫理委員会の審査内容を確認研究実施を許可 ( 許可書発行 ) 37
CT ポータルの登録について CT ポータルより申請を行う場合は ログイン ID と パスワード が必要 研究分担者として研究を行う場合も登録が必要 登録に必要な情報 氏名 所属 メールアドレス 生年月日 ( 西暦 / 月 / 日 ) CT ポータル登録の連絡先 : 総務課研究国際 ( 内線 :2513) 38
事前チェックの内容 1. CTポータルへの入力内容 ( 申請書 利益相反 ) 2. 研究計画書 3. 同意説明文書 / 情報公開用文書 4. 1~3の内容の整合性 5. 作成文書の体裁 ( フォント 文字の大きさなど ) 6. 研究者の教育研修受講歴 7. その他 : 添付書類など 内容を確認後に申請をお願いします! 39
申請における注意点 研究計画書 同意説明文書または情報公開用文書の修正履歴 コメントは全て削除して提出 臨床研究センターから差し戻された際に記載してあるコメントも再提出する際は全て削除して提出 臨床研究ユニット 事務局では内容の修正は出来ませんのでご協力をお願いします! 40
倫理委員会の開催日と申請の締め切り 開催日 : 毎月第 3 月曜日 16:00~ 申請締め切り : 開催日の 2 週前の水曜日 17:00 まで ( 時間厳守!) 事務局 臨床研究センターの事前チェックが完了した申請のみがその月の倫理委員会にて審査または報告となります 開催日の問い合わせ : 総務課研究国際 ( 内線 :2513) 又はイントラネットに掲載 41
臨床研究相談 / 事前チェックに関する問い合わせ 臨床研究センター臨床研究ユニット内線 :7726 mail:rinshou7726@umin.ac.jp 平日 9:00~17:00( 時間外は要相談 ) 臨床研究センターホームページ http://www.mh.nagasaki-u.ac.jp/research/ 42