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1. はじめに 本格的な地方分権の時代を迎え 市民に最も身近な地方自治体は 市民ニーズに応じた政策を自ら意志決定し それを自己責任の下に実行することがこれまで以上に求められており 地方自治体の果たすべき役割や地方自治体に寄せられる期待は ますます大きくなっています このような市民からの期待に応えるた

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4 研修について考慮する事項 1. 研修の対象者 a. 職種横断的な研修か 限定した職種への研修か b. 部署 部門を横断する研修か 部署及び部門別か c. 職種別の研修か 2. 研修内容とプログラム a. 研修の企画においては 対象者や研修内容に応じて開催時刻を考慮する b. 全員への周知が必要な

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5. 文書類に関する要求事項はどのように変わりましたか? 文書化された手順に関する特定の記述はなくなりました プロセスの運用を支援するための文書化した情報を維持し これらのプロセスが計画通りに実行されたと確信するために必要な文書化した情報を保持することは 組織の責任です 必要な文書類の程度は 事業の

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Transcription:

大学評価文化の定着 評価文化の定着とは 大学をとりまく環境 何を評価するのか いままでの機構の評価 ( 試行的評価や認証評価 ) の評価 これからの評価を進める上での課題 2

評価文化の醸成 展開から定着へ 評価文化とは 評価情報を自ら価値づけ 次の活動を選択していくこと 2000 年の試行的大学評価から現在までは 大学評価文化を醸成 展開してきた これからは 大学評価文化の定着をはかる時期である 3

評価文化の定着の先には? 定着とは 大学が評価結果を戦略的に活用し 教育研究などの質の改善 向上が図られる状況 評価文化の定着の先には 評価文化の成熟という段階がある 成熟とは 評価結果が有用な情報として 関係者 ( ステークホルダー ) に有効に利用される段階 4

わが国の大学をとりまく環境 グローバル化国際的な大学間競争市場メカニズム IT 化大学知識基盤社会あるいはサステイナブル社会の構築高度かつ安定した国際社会人材養成ニーズの高度化 ユニバーサル化進学率が 50% を超える 18 歳人口の減少 国 地方自治体あるいは世界の危機的な財政状況 教育研究の質 運営の質に対する信頼の確立 5

評価 という言葉のマジック 評価 とは ある制度や要素が その目標や目的にどの程度適合しているかを実証に基づいて判断する過程 Accreditation( 公の基準を満たしているとの認定 ) Assessment( 財産 収入などの評価 査定 ) Audit( 会計検査 監査 評価 ) Evaluation( 財産 資料 能力などの評価 見積 ) 7

質 (Quality) に関する理解 決まった基準で判定する質であり 多様性という考え方が入る余地は少ない 質とは zero defects ( 欠点がないこと ) を意味する ( 製造業 ) 欠点を最小限にすることのみならず 顧客に不満がないという視点が入る 質とは consumer satisfaction ( 顧客満足 ) を意味する ( サービス業 ) 大学の教育研究の質?? 8

大学のステークホルダー 学生やその家族 志願者やその家族 ( 高等学校や予備校も含む ) 卒業生 修了生およびそれらの雇用者 教職員や学校経営者 政策策定者 行政担当者 納税者 地域や住民 債権者 納入業者 篤志家など

大学における教育研究の 質? 関係者 (Stakeholders) が非常に多様である 学生やその家族 将来の雇用者 教職員 大学経営者 政策策定者 これらの関係者が考える 教育研究の質 は それぞれ異なり 単一の概念で質を語ることは不可能である 評価結果の発信も 想定する関係者を考慮する必要がある 10

成果の評価は必要項目 インプット アクション アウトプットそしてアウトカム ( 成果 ) の評価が 質保証や適格認定で実施される 成果の評価は 質保証や適格認定の一部ではあるが 非常に重要で かつ不可欠な作業である 政策策定や大学による質の改善 学生や家族 雇用者にとっても重要な情報を提供する 12

成果 ( アウトカム ) とは? 具体的内容 インプット ( 投入 入力 ) アクション ( 活動 行動 ) アウトプット ( 結果 出力 ) アウトカム ( 成果 効果 ) 教育研究活動等を実施するために投入された財政的 人的 物的資源をさす 教育研究活動等を実施するためのプロセスをさす 計画に基づいてインプットを動員して特定のアウトプットを産み出すために行われる行動や作業をさす インプットおよびアクションによって 大学 ( 組織内 ) で産み出される結果をさす 諸活動の対象者に対する効果や影響も含めた結果をさす 学生が実際に達成した内容 最終的に身につけたもの 刊行された論文の効果や影響などである 13

社会が期待する成果 (1) 知識基盤社会では 高等教育は個人や政府にとって戦略的な投資である 卒業 ( 修了 ) 生は 高度な技能を身につけ 多種多様な職につけるよう 幅広い教育を受けることを期待している 研究は 社会のニーズに応えるとともに 国際水準であることが期待されている 大学は その位置する地域の経済 社会 文化の発展に寄与することが期待される 14

社会が期待する成果 (2) 政府その他関係者は 学術分野における教育 基礎研究 知の創造 継承 発信など 広く社会との関わりをもつ成果を期待している それらが 効率的に 公平性をもって 高い水準で生み出されることを求めている 成果の質を測り その向上のための手段として 評価が位置づけられている 15

試行的評価の 評価 教育研究活動の改善に資する という目的は おおむね達成 諸活動の説明責任を果たす という目的については 社会全般の理解度や活用のされ方という点から問題があり 改善が必要 大学の目的 目標に即した評価 という考え方に対する違和感 ( 評価開始当初 ) 川口昭彦 ( 独立行政法人大学評価 学位授与機構編集 ) 大学評価文化の展開 わかりやすい大学評価の技法 大学評価 学位授与機構大学評価シリーズ ぎょうせい 2006 年 pp. 53-75 18

機関別認証評価の 評価 認証評価対象校に対するアンケート集計結果 ( 回収状況 : 大学および短期大学 57 校中 55 校 ) 抜粋 認証評価担当者に対するアンケート集計結果 ( 回収状況 : 担当者 198 名中 150 名 ) 抜粋 認証評価に関する検証結果報告書 より抜粋 (http://www.niad.ac.jp/n_hyouka/jouhou/index.html) 19

評価報告書の内容について 質問 5 4 3 2 1 教育研究活動等の質保証のために十分であった 教育研究活動等の改善に役立つものであった 教育研究活動等について社会の理解と支持を得ることを支援 促進するものであった 教育研究活動等に関して新たな視点が得られた 5: 強くそう思う 3: どちらともいえない 1: 全くそう思わない数字は回答した全対象大学に対する割合 (%) 20 71 9 0 0 25 64 11 0 0 15 58 25 2 0 9 42 49 0 0 20

評価結果を受けて どのような効果 影響があるか 質 問 5 4 3 2 1 教育研究活動等を全般的に把握できる 25 64 11 0 0 教育研究活動等の課題を把握できる 20 71 9 0 0 教育研究に取り組む意識が向上する 7 47 44 2 0 全体のマネジメントの改善を促進する 7 65 25 2 0 教育研究活動等の改善を促進する 9 71 18 2 0 教育研究活動等の質が保証される 16 53 31 0 0 学生の理解と支持が得られる 5 27 65 2 0 広く社会の理解と支持が得られる 5 40 53 2 0 5: 強くそう思う 3: どちらともいえない 1: 全くそう思わない数字は回答した全対象大学に対する割合 (%) 21

対象校での効果 影響 教育研究活動の状況や課題の把握に役立つ 全学マネジメントや教育研究活動の改善促進につながる 教育研究の質が保証される 部局間の壁 教員間の壁が低くなる 学内における基本的情報の収集 整理 共有化が進む 教職員の意識への効果 影響については 一定の成果が窺えるが 全構成員に浸透するまでには至っていない 22

評価全般に対する 評価担当者の反応 質問 5 4 3 2 1 教育研究活動の質が保証される 15 63 19 2 0 教育研究活動の改善が促進される 16 65 18 1 0 社会の理解と支持が支援 促進される 7 52 36 5 0 5: 強くそう思う 3: どちらともいえない 1: 全くそう思わない数字は回答した全評価担当者に対する割合 (%) 23

大学の自己評価書に対する 評価担当者の反応 質問 5 4 3 2 1 自己評価書は理解しやすかった 7 54 30 8 1 評価基準などの内容が適切に記述されていた 4 61 31 4 1 必要な根拠資料が引用 添付されていた 7 53 28 11 1 参考となる情報があればよかった 6 22 42 27 3 5: 強くそう思う 3: どちらともいえない 1: 全くそう思わない数字は回答した全評価担当者に対する割合 (%) 24

大学の自己評価書は? 自己評価書の記述の適切性 わかりやすさなどについては 対象校と評価担当者の間に認識の差がある 対象校は 資料の収集 選択に困難を感じている 評価担当者は 資料の不備 不足 提示方法の改善を求める意見が多い 自己評価書の明確さ 根拠資料の適切さなどは 大学間の差がむしろ開いている? 25

最重要課題は意識改革 大学の使命 理想像 目的の明確化 めざしている教育のアウトカムについて 自らの言葉で社会に向かって発信する 評価の戦略的活用による大学の発展 : 期待した成果が得られたのかについて 定期的に自己評価し それを第三者評価機関が検証する 大学は そのアウトカムや質の向上を可視的に社会に示す必要がある 26

評価の進化論 教育機関における評価の内部化の程度 第三者評価の位置づけ 第一段階第二段階第三段階 自己評価を通じて教育研究を改善する体制が組織として機能していない 第三者評価を受けることが 教育研究について組織的に考える機会 常設の評価体制が学内に設置され 自己改善のために評価を意図的に活用する 第三者評価は 学内の自己評価や教育改善を実行するための一つの外圧やインセンティブ 評価が日常的な改善体制と一体化している 日常的に教育研究活動の確認や修正が行われ 第三者評価への対応は その総括や報告 評価の内部浸透仮説 林隆之 ( 大学評価 学位授与機構 ) 40

第三段階にまで到達したら 機関単位の第三者評価は 大学の内部質保証体制の評価に重点を置くことが可能になる ( Audit に対応する作業 ) 自己評価が定期的に かつ的確に実施されているか? その自己評価結果を質の改善 向上に結びつける体制が整備され 機能しているか? プログラム単位の評価 41

国際的に通用する質保証システム アウトカム評価 ( 成果 効果 影響の評価 ) 分野別評価 ( プログラム単位の評価 ) プログラムによって どのような成果が期待できるのか? その期待がどの程度達成されているのか? 42