Wnt3 positively and negatively regu Title differentiation of human periodonta Author(s) 吉澤, 佑世 Journal, (): - URL Rig

Similar documents



1. Caov-3 細胞株 A2780 細胞株においてシスプラチン単剤 シスプラチンとトポテカン併用添加での殺細胞効果を MTS assay を用い検討した 2. Caov-3 細胞株においてシスプラチンによって誘導される Akt の活性化に対し トポテカンが影響するか否かを調べるために シスプラチ






( 様式甲 5) 学位論文内容の要旨 論文提出者氏名 論文審査担当者 主査 教授 大道正英 髙橋優子 副査副査 教授教授 岡 田 仁 克 辻 求 副査 教授 瀧内比呂也 主論文題名 Versican G1 and G3 domains are upregulated and latent trans



るが AML 細胞における Notch シグナルの正確な役割はまだわかっていない mtor シグナル伝達系も白血病細胞の増殖に関与しており Palomero らのグループが Notch と mtor のクロストークについて報告している その報告によると 活性型 Notch が HES1 の発現を誘導

( 続紙 1 ) 京都大学 博士 ( 薬学 ) 氏名 大西正俊 論文題目 出血性脳障害におけるミクログリアおよびMAPキナーゼ経路の役割に関する研究 ( 論文内容の要旨 ) 脳内出血は 高血圧などの原因により脳血管が破綻し 脳実質へ出血した病態をいう 漏出する血液中の種々の因子の中でも 血液凝固に関

<4D F736F F D F4390B38CE3816A90528DB88C8B89CA2E646F63>

Helicobacter pylori H. pylori H. pylori Helicobacter pylori

骨形成における LIPUS と HSP の関係性が明らかとなった さらに BMP シグナリングが阻害されたような症例にも効果的な LIPUS を用いた骨治癒法の提案に繋がる可能性が示唆された < 方法 > 10%FBS と 抗生剤を添加した α-mem 培地を作製し 新生児マウス頭蓋骨採取骨芽細胞を

( 様式甲 5) 学位論文内容の要旨 論文提出者氏名 論文審査担当者 主査 教授 花房俊昭 宮村昌利 副査副査 教授教授 朝 日 通 雄 勝 間 田 敬 弘 副査 教授 森田大 主論文題名 Effects of Acarbose on the Acceleration of Postprandial

関係があると報告もされており 卵巣明細胞腺癌において PI3K 経路は非常に重要であると考えられる PI3K 経路が活性化すると mtor ならびに HIF-1αが活性化することが知られている HIF-1αは様々な癌種における薬理学的な標的の一つであるが 卵巣癌においても同様である そこで 本研究で

ASC は 8 週齢 ICR メスマウスの皮下脂肪組織をコラゲナーゼ処理後 遠心分離で得たペレットとして単離し BMSC は同じマウスの大腿骨からフラッシュアウトにより獲得した 10%FBS 1% 抗生剤を含む DMEM にて それぞれ培養を行った FACS Passage 2 (P2) の ASC

脳組織傷害時におけるミクログリア形態変化および機能 Title変化に関する培養脳組織切片を用いた研究 ( Abstract_ 要旨 ) Author(s) 岡村, 敏行 Citation Kyoto University ( 京都大学 ) Issue Date URL http


学位論文の内容の要旨 論文提出者氏名 松尾祐介 論文審査担当者 主査淺原弘嗣 副査関矢一郎 金井正美 論文題目 Local fibroblast proliferation but not influx is responsible for synovial hyperplasia in a mur

μ μ μ

様式 C-19 科学研究費補助金研究成果報告書 平成 21 年 6 月 2 日現在 研究種目 : 若手研究 (B) 研究期間 :26 ~ 28 課題番号 : 研究課題名 ( 和文 ) 炭酸ガスおよび半導体レーザーによるオーラルアンチエイジング 研究課題名 ( 英文 ) Oral an

学位論文の内容の要旨 論文提出者氏名 小川憲人 論文審査担当者 主査田中真二 副査北川昌伸 渡邉守 論文題目 Clinical significance of platelet derived growth factor -C and -D in gastric cancer ( 論文内容の要旨 )


子として同定され 前立腺癌をはじめとした癌細胞や不死化細胞で著しい発現低下が認められ 癌抑制遺伝子として発見された Dkk-3 は前立腺癌以外にも膵臓癌 乳癌 子宮内膜癌 大腸癌 脳腫瘍 子宮頸癌など様々な癌で発現が低下し 癌抑制遺伝子としてアポトーシス促進的に働くと考えられている 先行研究では ヒ

東邦大学学術リポジトリ タイトル別タイトル作成者 ( 著者 ) 公開者 Epstein Barr virus infection and var 1 in synovial tissues of rheumatoid 関節リウマチ滑膜組織における Epstein Barr ウイルス感染症と Epst

九州大学病院の遺伝子治療臨床研究実施計画(慢性重症虚血肢(閉塞

学位論文の要約

in vivo

( 様式甲 5) 学位論文内容の要旨 論文提出者氏名 論文審査担当者 主査 教授 森脇真一 井上善博 副査副査 教授教授 東 治 人 上 田 晃 一 副査 教授 朝日通雄 主論文題名 Transgene number-dependent, gene expression rate-independe

学位論文の内容の要旨 論文提出者氏名 佐藤雄哉 論文審査担当者 主査田中真二 副査三宅智 明石巧 論文題目 Relationship between expression of IGFBP7 and clinicopathological variables in gastric cancer (

インプラント周囲炎を惹起してから 1 ヶ月毎に 4 ヶ月間 放射線学的周囲骨レベル probing depth clinical attachment level modified gingival index を測定した 実験 2: インプラント周囲炎の進行状況の評価結紮線によってインプラント周囲

られる 糖尿病を合併した高血圧の治療の薬物治療の第一選択薬はアンジオテンシン変換酵素 (ACE) 阻害薬とアンジオテンシン II 受容体拮抗薬 (ARB) である このクラスの薬剤は単なる降圧効果のみならず 様々な臓器保護作用を有しているが ACE 阻害薬や ARB のプラセボ比較試験で糖尿病の新規


妊娠認識および胎盤形成時のウシ子宮におけるI型IFNシグナル調節機構に関する研究 [全文の要約]


( 様式乙 8) 学位論文内容の要旨 論文提出者氏名 論文審査担当者 主査 教授 米田博 藤原眞也 副査副査 教授教授 黒岩敏彦千原精志郎 副査 教授 佐浦隆一 主論文題名 Anhedonia in Japanese patients with Parkinson s disease ( 日本人パー

<4D F736F F D208A7788CA90528DB895F18D908F912097E996D893DE8C8E2E646F63>

ス化した さらに 正常から上皮性異形成 上皮性異形成から浸潤癌への変化に伴い有意に発現が変化する 15 遺伝子を同定し 報告した [Int J Cancer. 132(3) (2013)] 本研究では 上記データベースから 特に異形成から浸潤癌への移行で重要な役割を果たす可能性がある

抑制することが知られている 今回はヒト子宮内膜におけるコレステロール硫酸のプロテ アーゼ活性に対する効果を検討することとした コレステロール硫酸の着床期特異的な発現の機序を解明するために 合成酵素であるコ レステロール硫酸基転移酵素 (SULT2B1b) に着目した ヒト子宮内膜は排卵後 脱落膜 化

ヒト慢性根尖性歯周炎のbasic fibroblast growth factor とそのreceptor

博第265号



Microsoft Word - 学位論文内容の要旨 .doc

図 B 細胞受容体を介した NF-κB 活性化モデル

前立腺癌は男性特有の癌で 米国においては癌死亡者数の第 2 位 ( 約 20%) を占めてい ます 日本でも前立腺癌の罹患率 死亡者数は急激に上昇しており 現在は重篤な男性悪性腫瘍疾患の1つとなって図 1 います 図 1 初期段階の前立腺癌は男性ホルモン ( アンドロゲン ) に反応し増殖します そ

-119-

Mincle は死細胞由来の内因性リガンドを認識し 炎症応答を誘導することが報告されているが 非感染性炎症における Mincle の意義は全く不明である 最近 肥満の脂肪組織で生じる線維化により 脂肪組織の脂肪蓄積量が制限され 肝臓などの非脂肪組織に脂肪が沈着し ( 異所性脂肪蓄積 ) 全身のインス

<4D F736F F D C668DDA94C5817A8AEE90B68CA45F927D946791E58BA493AF838A838A815B83585F8AB28DD79645>

平成14年度研究報告


く 細胞傷害活性の無い CD4 + ヘルパー T 細胞が必須と判明した 吉田らは 1988 年 C57BL/6 マウスが腹腔内に移植した BALB/c マウス由来の Meth A 腫瘍細胞 (CTL 耐性細胞株 ) を拒絶すること 1991 年 同種異系移植によって誘導されるマクロファージ (AIM

論文題目  腸管分化に関わるmiRNAの探索とその発現制御解析

( 様式甲 5) 氏 名 忌部 尚 ( ふりがな ) ( いんべひさし ) 学 位 の 種 類 博士 ( 医学 ) 学位授与番号 甲第 号 学位審査年月日 平成 29 年 1 月 11 日 学位授与の要件 学位規則第 4 条第 1 項該当 Benifuuki green tea, containin

研究目的 1. 電波ばく露による免疫細胞への影響に関する研究 我々の体には 恒常性を保つために 生体内に侵入した異物を生体外に排除する 免疫と呼ばれる防御システムが存在する 免疫力の低下は感染を引き起こしやすくなり 健康を損ないやすくなる そこで 2 10W/kgのSARで電波ばく露を行い 免疫細胞

報告にも示されている. 本研究では,S1P がもつ細胞遊走作用に着目し, ヒト T 細胞のモデルである Jurkat 細胞を用いて血小板由来 S1P の関与を明らかにすることを目的とした. 動脈硬化などの病態を想定し, 血小板と T リンパ球の細胞間クロストークにおける血小板由来 S1P の関与につ

学位論文の内容の要旨 論文提出者氏名 野上彩子 論文審査担当者 主査神奈木真理 副査北川昌伸 東田修二 論文題目 FLT3-ITD confers resistance to the PI3K/Akt pathway inhibitors by protecting the mtor/4ebp1/m

cover

結果 この CRE サイトには転写因子 c-jun, ATF2 が結合することが明らかになった また これら の転写因子は炎症性サイトカイン TNFα で刺激したヒト正常肝細胞でも活性化し YTHDC2 の転写 に寄与していることが示唆された ( 参考論文 (A), 1; Tanabe et al.

解禁日時 :2019 年 2 月 4 日 ( 月 ) 午後 7 時 ( 日本時間 ) プレス通知資料 ( 研究成果 ) 報道関係各位 2019 年 2 月 1 日 国立大学法人東京医科歯科大学 国立研究開発法人日本医療研究開発機構 IL13Rα2 が血管新生を介して悪性黒色腫 ( メラノーマ ) を

博士の学位論文審査結果の要旨

の活性化が背景となるヒト悪性腫瘍の治療薬開発につながる 図4 研究である 研究内容 私たちは図3に示すようなyeast two hybrid 法を用いて AKT分子に結合する細胞内分子のスクリーニングを行った この結果 これまで機能の分からなかったプロトオンコジン TCL1がAKTと結合し多量体を形

報道発表資料 2006 年 4 月 13 日 独立行政法人理化学研究所 抗ウイルス免疫発動機構の解明 - 免疫 アレルギー制御のための新たな標的分子を発見 - ポイント 異物センサー TLR のシグナル伝達機構を解析 インターフェロン産生に必須な分子 IKK アルファ を発見 免疫 アレルギーの有効

犬の糖尿病は治療に一生涯のインスリン投与を必要とする ヒトでは 1 型に分類されている糖尿病である しかし ヒトでは肥満が原因となり 相対的にインスリン作用が不足する 2 型糖尿病が主体であり 犬とヒトとでは糖尿病発症メカニズムが大きく異なっていると考えられている そこで 本研究ではインスリン抵抗性

µ µ µ µ

学位論文の内容の要旨 論文提出者氏名 小島光暁 論文審査担当者 主査森尾友宏 副査槇田浩史 清水重臣 論文題目 Novel role of group VIB Ca 2+ -independent phospholipase A 2γ in leukocyte-endothelial cell in

学位論文の内容の要旨 論文提出者氏名 山田淳 論文審査担当者 主査副査 大川淳野田政樹 上阪等 論文題目 Follistatin Alleviates Synovitis and Articular Cartilage Degeneration Induced by Carrageenan ( 論文

現し Gasc1 発現低下は多動 固執傾向 様々な学習 記憶障害などの行動異常や 樹状突起スパイン密度の増加と長期増強の亢進というシナプスの異常を引き起こすことを発見し これらの表現型がヒト自閉スペクトラム症 (ASD) など神経発達症の病態と一部類することを見出した しかしながら Gasc1 発現

ヒト脂肪組織由来幹細胞における外因性脂肪酸結合タンパク (FABP)4 FABP 5 の影響 糖尿病 肥満の病態解明と脂肪幹細胞再生治療への可能性 ポイント 脂肪幹細胞の脂肪分化誘導に伴い FABP4( 脂肪細胞型 ) FABP5( 表皮型 ) が発現亢進し 分泌されることを確認しました トランスク

Peroxisome Proliferator-Activated Receptor a (PPARa)アゴニストの薬理作用メカニズムの解明

( 図 ) IP3 と IRBIT( アービット ) が IP3 受容体に競合して結合する様子

新規遺伝子ARIAによる血管新生調節機構の解明

血漿エクソソーム由来microRNAを用いたグリオブラストーマ診断バイオマーカーの探索 [全文の要約]

日本標準商品分類番号 カリジノゲナーゼの血管新生抑制作用 カリジノゲナーゼは強力な血管拡張物質であるキニンを遊離することにより 高血圧や末梢循環障害の治療に広く用いられてきた 最近では 糖尿病モデルラットにおいて増加する眼内液中 VEGF 濃度を低下させることにより 血管透過性を抑制す


糖鎖の新しい機能を発見:補体系をコントロールして健康な脳神経を維持する

の感染が阻止されるという いわゆる 二度なし現象 の原理であり 予防接種 ( ワクチン ) を行う根拠でもあります 特定の抗原を認識する記憶 B 細胞は体内を循環していますがその数は非常に少なく その中で抗原に遭遇した僅かな記憶 B 細胞が著しく増殖し 効率良く形質細胞に分化することが 大量の抗体産

博士学位申請論文内容の要旨

別紙 < 研究の背景と経緯 > 自閉症は 全人口の約 2% が罹患する非常に頻度の高い神経発達障害です 近年 クロマチンリモデ リング因子 ( 5) である CHD8 が自閉症の原因遺伝子として同定され 大変注目を集めています ( 図 1) 本研究グループは これまでに CHD8 遺伝子変異を持つ

研究成果報告書

能性を示した < 方法 > M-CSF RANKL VEGF-C Ds-Red それぞれの全長 cdnaを レトロウイルスを用いてHeLa 細胞に遺伝子導入した これによりM-CSFとDs-Redを発現するHeLa 細胞 (HeLa-M) RANKLと Ds-Redを発現するHeLa 細胞 (HeL

Microsoft Word - FHA_13FD0159_Y.doc

報道発表資料 2007 年 4 月 11 日 独立行政法人理化学研究所 傷害を受けた網膜細胞を薬で再生する手法を発見 - 移植治療と異なる薬物による新たな再生治療への第一歩 - ポイント マウス サルの網膜の再生を促進することに成功 網膜だけでなく 難治性神経変性疾患の再生治療にも期待できる 神経回

<4D F736F F D208FBC F95B65F90528DB88C8B89CA97768E7C2E646F63>

検体採取 患者の検査前準備 検体採取のタイミング 記号 添加物 ( キャップ色等 ) 採取材料 採取量 測定材料 P EDTA-2Na( 薄紫 ) 血液 7 ml RNA 検体ラベル ( 単項目オーダー時 ) ホンハ ンテスト 注 外 N60 氷 MINテイリョウ. 採取容器について 0

ルグリセロールと脂肪酸に分解され吸収される それらは腸上皮細胞に吸収されたのちに再び中性脂肪へと生合成されカイロミクロンとなる DGAT1 は腸管で脂質の再合成 吸収に関与していることから DGAT1 KO マウスで認められているフェノタイプが腸 DGAT1 欠如に由来していることが考えられる 実際

考えられている 一部の痒疹反応は, 長時間持続する蕁麻疹様の反応から始まり, 持続性の丘疹や結節を形成するに至る マウスでは IgE 存在下に抗原を投与すると, 即時型アレルギー反応, 遅発型アレルギー反応に引き続いて, 好塩基球依存性の第 3 相反応 (IgE-CAI: IgE-dependent

一次サンプル採取マニュアル PM 共通 0001 Department of Clinical Laboratory, Kyoto University Hospital その他の検体検査 >> 8C. 遺伝子関連検査受託終了項目 23th May EGFR 遺伝子変異検

PRESS RELEASE (2014/2/6) 北海道大学総務企画部広報課 札幌市北区北 8 条西 5 丁目 TEL FAX URL:

Untitled

八村敏志 TCR が発現しない. 抗原の経口投与 DO11.1 TCR トランスジェニックマウスに経口免疫寛容を誘導するために 粗精製 OVA を mg/ml の濃度で溶解した水溶液を作製し 7 日間自由摂取させた また Foxp3 の発現を検討する実験では RAG / OVA3 3 マウスおよび

2017 年 12 月 15 日 報道機関各位 国立大学法人東北大学大学院医学系研究科国立大学法人九州大学生体防御医学研究所国立研究開発法人日本医療研究開発機構 ヒト胎盤幹細胞の樹立に世界で初めて成功 - 生殖医療 再生医療への貢献が期待 - 研究のポイント 注 胎盤幹細胞 (TS 細胞 ) 1 は

学位論文の内容の要旨 論文提出者氏名 神谷綾子 論文審査担当者 主査北川昌伸副査田中真二 石川俊平 論文題目 Prognostic value of tropomyosin-related kinases A, B, and C in gastric cancer ( 論文内容の要旨 ) < 要旨

法医学問題「想定問答」(記者会見後:平成15年  月  日)

Untitled

学位論文内容の要旨 Abstract Background This study was aimed to evaluate the expression of T-LAK cell originated protein kinase (TOPK) in the cultured glioma ce

Transcription:

Wnt3 positively and negatively regu Title differentiation of human periodonta Author(s) 吉澤, 佑世 Journal, (): - URL http://hdl.handle.net/10130/3408 Right Posted at the Institutional Resources for Unique Colle Available from http://ir.tdc.ac.jp/

氏名 吉澤佑世 学位博士 ( 歯学 ) 学位記番号第 2024 号 ( 甲第 1258 号 ) 学位授与年月日 学位授与の要件 平成 26 年 3 月 31 日 学位規則第 4 条第 1 項 論文審査委員主査阿部伸一教授 副査片倉朗教授 副査齋藤淳教授 副査 古澤成博教授 副査東俊文教授 学位論文名 Wnt3 positively and negatively regulates osteoblast differentiation of human periodontal ligament cells 学位論文内容の要旨 1. 研究目的骨のリモデリングは注目すべき代謝機構であり 骨形成と骨吸収はとても複雑なメカニズムで行われていることが示されている 骨の恒常性を司るサイトカインである TGF- や BMP は 骨形成において促進と抑制の二相性のはたらきを持つ Wnt signaling も骨形成において重要なシグナルであり 近年 Wnt signaling のアンタゴニストが骨形成において重要な役割を持つことが明らかにされてきている ヒト歯根膜細胞 (HPDL 細胞 ) は骨芽細胞に潜在的に分化する能力を備えていることが in vitro の実験において示されており 歯槽骨の再生における細胞源として注目されている しかしながら HPDL 細胞の骨芽細胞分化と Wnt signaling の関係性については不明な点が多い 本研究では Wnt signaling のアゴニストである Wnt3A を複数回投与し Wnt signaling を持続的に活性化した時 HPDL 細胞の骨芽細胞分化能に与える影響を明らかにした 2. 研究方法正常 HPDL 細胞を SCGM で 5-8 継代培養 1 10 5 cells/cm 2 で播種し 各条件で 72 時間培養後 それぞれの分析に用いた 培地には α-mem 無血清培地を用い 10 ng/ml の Wnt3A で単回 もしくは複数回 (12 時間 24 時間毎 ) 処理した アルカリフォスファターゼ (ALP) 活性は ALP 活性染色で検出した リン酸化 Smad1/5 とリン酸化 Akt はウエスタンブロット法にて検出し 骨芽細胞分化関連遺伝子 (ALP BSP IGF-1 RUNX2 MSX-2 Col1A1) の発現は定量的リアルタイム PCR にて測定した (n=5) また HPDL 細胞を GSK3β の特異的インヒビターである CHIR99021 を用いて同条件で処理 培養し 評価した

3. 研究成績および結論 Wnt3A 単回投与は ALP 活性陽性細胞数を増加し ALP の mrna の発現が複数回投与に比較して有意に増加した (p<0.01) Wnt3A 複数回投与は対照的に ALP 活性を減少し 有意に ALP 発現を減少した (p<0.01) Wnt3A 複数回投与は骨芽細胞分化マーカー (BSP IGF-1 RUNX2 MSX-2) の発現を減少した Wnt3A 単回投与は Smad1/5 と Akt のリン酸化を引き起こしたが Wnt3A 複数回投与は Smad1/5 と Akt のリン酸化を強く阻害した CHIR99021 単回投与では ALP 活性と ALP の発現は増加したが CHIR99021 複数回投与では ALP 活性と ALP の発現が単回投与に比較して有意に減少した (p<0.01) CHIR99021 複数回投与は CHIR99021 単回投与に比較して MSX-2 の発現もまた有意に減少した (p<0.01) 我々は以前 TGF-β1 の骨芽細胞分化の抑制モデルを確立し この抑制機序には IGF-1 の減少と それに伴う PI3K/Akt 経路の減弱が深く関わっていることを報告した 本研究の結果から HPDL 細胞において Wnt signaling の持続的活性化は HPDL 細胞の骨芽細胞分化を抑制する可能性が示された また その抑制には Smad 経路と PI3K/Akt 経路のダウンレギュレーションが大きく関わっており Wnt3A は HPDL 細胞の骨芽細胞分化に対し 促進と抑制の二相性の働きを持つことが示唆された

最終試験の結果の要旨および担当者 報告番号甲第 1258 号氏名吉澤佑世 主査阿部伸一教授 副査片倉朗教授 最終試験担当者 齋藤淳教授 古澤成博 教授 東俊文教授 最終試験施行日 試験科目 平成 25 年 11 月 12 日 歯科保存学 試験方法 試験問題 口頭試問 主題ならびに関連問題 結果の要旨 本審査委員会は主題ならびに関連問題について最終試験を行った結果 十分な学識を 有することを認め 合格と判定した

学位論文審査の要旨 骨の形成と吸収は様々な細胞内シグナルと そのクロストークによって成り立っている その中でも近年注目を集めているのが Wnt signaling であり 骨代謝に対してまだまだ不明な点が多い 骨の恒常性を司る TGF- や BMP は 骨形成において促進と抑制の二相性のはたらきを持つと報告されており Wnt signaling のアンタゴニストが骨形成において重要な役割を持つことも報告されている ヒト歯根膜細胞 (HPDL 細胞 ) は骨芽細胞分化能を潜在的に持っているが 歯槽骨の再生における細胞源としてそのメカニズムが注目されているにもかかわらず Wnt signaling の影響についてはまだ明らかにされていない 本研究では Wnt signaling のアゴニストである Wnt3A が HPDL 細胞の骨芽細胞分化に与える影響を検証した これらの内容より Wnt3A は HPDL 細胞の骨芽細胞分化に対し 促進と抑制の二相性の働きを持つことが示された 本審査委員会では (1) なぜこれらのシグナルとアゴニストを選んだのか (2) なぜ HPDL 細胞を実験材料として選択したのか (3) 実験モデルの反復投与の意義は何か (4) これらの結果の臨床的な意味は何か について討論を行い 質疑がなされた (1) については Wnt3A は一般的に実験に用いられ 購入可能なリコンビナント Wnt タンパクであり カノニカル Wnt 経路のアゴニストである また 骨形成に促進的に働くということが示されており その HPDL 細胞での働きがいまだ解明されていないため PI3K/Akt 経路 Smad 経路は骨の恒常性において必須であることが示されているため (2) については 歯学において HPDL 細胞は歯槽骨形再生の重要な細胞源であり その分化メカニズムの解明は病態や治癒において重要であるため (3) については 反復投与によってパラクリンやオートクリンなどを排除することでそのシグナル タンパクの作用のみでどういった分子が動いているのかを細かく検索できるため (4) については 歯周炎や根尖性歯周炎による歯槽骨の破壊や 難治性の症例の骨形成の治癒遅延などにはこれらのシグナルが関わり合い 骨形成にストップが生じることで骨の再生がなされないのではないかと考えられる その分子レベルでのメカニズムの解明が病態や治療薬の開発の一助になるのではないかと考えられる との解答を得た また 英文表記 図表の修正等についての指摘が行われた 論文内容及びその質疑により概ね妥当な解答が得られたことにより 本研究は今後の歯学の進歩 発展に寄与するところ大であり 学位授与に値すると判定した