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ロタウイルスワクチンは初回接種を1 価で始めた場合は 1 価の2 回接種 5 価で始めた場合は 5 価の3 回接種 となります 母子感染予防の場合のスケジュール案を示す 母子感染予防以外の目的で受ける場合は 4 週間の間隔をあけて2 回接種し 1 回目 の接種から20~24 週あけて3 回目を接種生

ヒブ ( インフルエンザ菌 b 型 ) 対象者 : 生後 2ヶ月から5 歳未満までのお子さん標準的な接種開始期間は 生後 2ヶ月から7ヶ月未満です 生後 2ヶ月を過ぎたら 早目に接種しましょう 接種方法 : 接種開始時の年齢により接種方法が異なります 接種開始が生後 2ヶ月から7ヶ月未満の場合 (

<B 型肝炎 (HBV)> ~ 平成 28 年 10 月 1 日から定期の予防接種になりました ~ このワクチンは B 型肝炎ウイルス (HBV) の感染を予防するためのワクチンです 乳幼児感染すると一過性感染あるいは持続性感染 ( キャリア ) を起こします そのうち約 10~15 パーセントは

日本小児科学会が推奨する予防接種スケジュール

生ワクチン 不活化ワクチン ジフテリア 百日咳 破傷風 不活化ポリオ混合ワクチン の接種から20~24 週あけて3 回目を接種 別の種類のワクチンを接種する場合は 中 27 日 ( いわゆる4 週間 ) 以上あけて受けます 別の種類のワクチンを接種する場合は 中 6 日 ( いわゆる1 週間 ) 以

小児用肺炎球菌ワクチン 対象者 : 生後 2カ月 ~5 歳未満の方接種費用 : 無料ただし 接種開始が2 歳以上の場合は自己負担あり (1100 円 ) 接種回数 : 接種開始年齢によって異なります 接種開始月 年齢接種回数 接種間隔接種費用 生後 2 月から 7 月未満 生後 7 月から 12 月

48小児感染_一般演題リスト160909

日本小児科学会が推奨する予防接種スケジュールの主な変更点 2014 年 1 月 12 日 1)13 価結合型肺炎球菌ワクチンの追加接種についての記載を訂正 追加しました 2)B 型肝炎母子感染予防のためのワクチン接種時期が 生後 か月 から 生直後 1 6 か月 に変更と なりました (

始前に出生したお子さんについては できるだけ早く 1 回目の接種を開始できるように 指導をお願いします スムーズに定期接種を進めるために定期接種といっても 予防接種をスムーズに進めるためには 保護者の理解が不可欠です しかし B 型肝炎ワクチンの接種効果は一生を左右する重要なものですが 逆にすぐに効

割合が10% 前後となっています 新生児期以降は 4-5ヶ月頃から頻度が増加します ( 図 1) 原因菌に関しては 本邦ではインフルエンザ菌が原因となる頻度がもっとも高く 50% 以上を占めています 次いで肺炎球菌が20~30% と多く インフルエンザ菌と肺炎球菌で 原因菌の80% 近くを占めていま

日本小児科学会が推奨する予防接種スケジュール 014 年 10 月 1 日版日本小児科学会 乳児期幼児期学童期 / 思春期 ワクチン 種類 直後 6 週 以上 インフルエンザ菌 b 型 ( ヒブ )

ヘモフィルスインフルエンザ菌b型(Hib)ワクチン<医療従事者用>

子宮頸がん予防ワクチン及びヒブ・小児用肺炎球菌ワクチンの接種助成事業スタート

Microsoft Word - 予防接種2011

0 歳 0カ月 乳幼児の予防接種スケジュール ( 例 : その 1) 同時接種を希望するが 1 回に受ける数は 2 種類以下を希望する場合 ( 受診回数 : インフルエンザを除いて 18 回 ) 1 歳 カ月 日本小児科学会推奨案 ジフテリア 百日咳 破傷風混合ワクチン生ワクチン別の種類のワクチンを

生ワクチン乳幼児の予防接種スケジュール ( 例 : その 1) 同時接種を希望するが 1 回に受ける数は 2 種類以下を希望する場合 ( 受診回数 : インフルエンザを除いて 18 回回または 19 回 ) 0 歳 0カ月 カ月 カ月 1 歳 カ月 13 カ月 1 15 カ月 16 カ月 17 カ月

平成 24 年 7 月改定版 すべての予防接種につきましては 次のページに記載してあります 平成 24 年度予防接種日程表 ( 国の通知により 内容が変わる場合があります 毎月の 広報みなみちた でご確認ください 新 麻しん風しん混合 3 期 4 期 ( 個別 ) 対象 :3 期 ( 中学 1 年生

H30_業務の概要18.予防接種

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肝臓の細胞が壊れるる感染があります 肝B 型慢性肝疾患とは? B 型慢性肝疾患は B 型肝炎ウイルスの感染が原因で起こる肝臓の病気です B 型肝炎ウイルスに感染すると ウイルスは肝臓の細胞で増殖します 増殖したウイルスを排除しようと体の免疫機能が働きますが ウイルスだけを狙うことができず 感染した肝

このワクチンの接種前に 確認すべきことは? ワクチン接種を受ける人または家族の方などは このワクチンの効果や副反応などの注意すべき点について十分理解できるまで説明を受けてください 説明に同意した上で接種を受けてください 医師が問診 検温および診察の結果から 接種できるかどうか判断します 次の人は こ

肺炎球菌感染症とワクチン 走査型電子顕微鏡 グラム陽性双球菌 表面は莢膜多糖体 ( ホ リサッカライト ) で覆われている ホ リサッカライト の抗原性による少なくとも 90 種類の血清型が存在 血清型特異抗体と補体が同一血清型あるいは交差血清型の肺炎球菌に対する感染防御を担っている

9 予防接種

2017 年 3 月臨時増刊号 [No.165] 平成 28 年のトピックス 1 新たに報告された HIV 感染者 AIDS 患者を合わせた数は 464 件で 前年から 29 件増加した HIV 感染者は前年から 3 件 AIDS 患者は前年から 26 件増加した ( 図 -1) 2 HIV 感染者


会計 10 一般会計所管課健康推進課款 4 衛生費事業名インフルエンザ予防接種費項 1 保健衛生費目 2 予防費補助単独の別単独 前年度 要求段階 財政課長内示 総務部長 市長査定 最終調整 予算計上 増減 1 当初要求 2 追加要求等 3 4( 増減額 ) 5( 増減額 ) 6=

次の人は 医師が健康状態や体質に基づいて 接種の適否を判断します 心臓や血管 腎臓 肝臓 血液の障害や発育の障害などの基礎疾患がある人 他のワクチンの接種を受けて 2 日以内に発熱があった人や全身性の発疹などアレルギーが疑われる症状が出たことがある人 過去にけいれんをおこしたことがある人 過去に免疫

第1 入間市の概要

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横浜市感染症発生状況 ( 平成 30 年 ) ( : 第 50 週に診断された感染症 ) 二類感染症 ( 結核を除く ) 月別届出状況 該当なし 三類感染症月別届出状況 1 月 2 月 3 月 4 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 10 月 11 月 12 月計 細菌性赤痢

2. 定期接種ンの 接種方法等について ( 表 2) ンの 種類 1 歳未満 生 BCG MR 麻疹風疹 接種回数接種方法接種回数 1 回上腕外側のほぼ中央部に菅針を用いて2か所に圧刺 ( 経皮接種 ) 1 期は1 歳以上 2 歳未満 2 期は5 歳以上 7 歳未満で小学校入学前の 1 年間 ( 年

(Microsoft PowerPoint \217\254\216\231\227\\\226h\220\332\216\355\202\314\214\273\217\363.ppt)

種の血清型 (6A,9A,9L,18B,18F) に対する交差免疫もあるため これを含めるとカバー率はさらに上昇する PCV7でカバーできる薬剤耐性肺炎球菌の割合が カバーできない薬剤耐性肺炎球菌より高いため 薬剤耐性肺炎球菌だけでみると90% がカバーできるとされている ワクチン接種前に既に肺炎球

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報告風しん

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Microsoft Word _ソリリス点滴静注300mg 同意説明文書 aHUS-ICF-1712.docx

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別紙様式 (Ⅱ)-1 添付ファイル用 本資料の作成日 :2016 年 10 月 12 日商品名 : ビフィズス菌 BB( ビービー ) 12 安全性評価シート 食経験の評価 1 喫食実績 ( 喫食実績が あり の場合 : 実績に基づく安全性の評価を記載 ) による食経験の評価ビフィズス菌 BB-12

2012 年 11 月 21 日放送 変貌する侵襲性溶血性レンサ球菌感染症 北里大学北里生命科学研究所特任教授生方公子はじめに b 溶血性レンサ球菌は 咽頭 / 扁桃炎や膿痂疹などの局所感染症から 髄膜炎や劇症型感染症などの全身性感染症まで 幅広い感染症を引き起こす細菌です わが国では 急速な少子

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第 88 回日本感染症学会学術講演会第 62 回日本化学療法学会総会合同学会採択演題一覧 ( 一般演題ポスター ) 登録番号 発表形式 セッション名 日にち 時間 部屋名 NO. 発表順 一般演題 ( ポスター ) 尿路 骨盤 性器感染症 1 6 月 18 日 14:10-14:50 ア

も 医療関連施設という集団の中での免疫の度合いを高めることを基本的な目標として 書かれています 医療関係者に対するワクチン接種の考え方 この後は 医療関係者に対するワクチン接種の基本的な考え方について ワクチン毎 に分けて述べていこうと思います 1)B 型肝炎ワクチンまず B 型肝炎ワクチンについて

審査結果 平成 26 年 2 月 7 日 [ 販売名 ] 1 ヘプタバックス-Ⅱ 2 ビームゲン 同注 0.25mL 同注 0.5mL [ 一般名 ] 組換え沈降 B 型肝炎ワクチン ( 酵母由来 ) [ 申請者名 ] 1 MSD 株式会社 2 一般財団法人化学及血清療法研究所 [ 申請年月日 ]

で3 回の接種が必要で 費用が4 万円から6 万円と高額になることからワクチン接種への公費助成を表明する自治体が全国に広がっております 年少時に接種することで将来の医療費も削減できるということで 小学校 6 年生から中学 3 年生までの女子児童 生徒を対象に必要とされる3 回分のワクチン接種費用を全

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成人用 (65 歳以上 ) 予防接種予診票 任意接種用 本冊子は 肺炎球菌ワクチン 沈降 13 価肺炎球菌結合型ワクチン ( 無毒性変異ジフテリ ア毒素結合体 ) プレベナー 13 水性懸濁注 の接種をご希望の方への説明文書および 予診票 ( 複写式 2 枚綴り ) で 1 セットになっております

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染症であり ついで淋菌感染症となります 病状としては外尿道口からの排膿や排尿時痛を呈する尿道炎が最も多く 病名としてはクラミジア性尿道炎 淋菌性尿道炎となります また 淋菌もクラミジアも検出されない尿道炎 ( 非クラミジア性非淋菌性尿道炎とよびます ) が その次に頻度の高い疾患ということになります

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2 (2) 異なった種類のワクチンを接種する場合の間隔 生ワクチン BCG 麻しん風しん混合 (MR) ロタウィルス 水痘 おたふくかぜ 不活化ワクチン ヒブ 小児用肺炎球菌 四種混合 三種混合 不活化ポリオ 日本脳炎 二種混合 B 型肝炎 インフルエンザ 27 日以上あける 不活化ワクチン生ワクチ

未承認薬 適応外薬の要望に対する企業見解 ( 別添様式 ) 1. 要望内容に関連する事項 会社名要望された医薬品要望内容 CSL ベーリング株式会社要望番号 Ⅱ-175 成分名 (10%) 人免疫グロブリン G ( 一般名 ) プリビジェン (Privigen) 販売名 未承認薬 適応 外薬の分類

平成 30 年 9 月 10 日第 11 回ワクチン評価に関する小委員会資料 資料 1-1 肺炎球菌ワクチン (PPSV23) について 経緯平成 22 年 7 月第 11 回感染症分科会予防接種部会において 肺炎球菌ポリサッカライドワクチン ( 成人用 ) に関するファクトシート が報告された 平

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1. 今回の変更に関する整理 効能 効果及び用法 用量 ( 添付文書より転載 ) 従来製剤 ( バイアル製剤 ) と製法変更製剤 ( シリンジ製剤 ) で変更はない 効能 効果 用法 容量 B 型肝炎の予防通常 0.5mL ずつ4 週間隔で2 回 更に 20~24 週を経過した後に1 回 0.5mL

インフルエンザ、鳥インフルエンザと新型インフルエンザの違い

現在にいたっております その結果 現在 HPVワクチンは定期接種でありながら 接種対象となる12 歳から16 歳の女子に対する接種がほとんど行われていないのが現状です このような状況は先進国では日本だけで見られていることであり 将来 子宮頸がんの発症が他国に比べて著しく高くなるというような事態が起き

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研究の詳細な説明 1. 背景病原微生物は 様々なタンパク質を作ることにより宿主の生体防御システムに対抗しています その分子メカニズムの一つとして病原微生物のタンパク質分解酵素が宿主の抗体を切断 分解することが知られております 抗体が切断 分解されると宿主は病原微生物を排除することが出来なくなります

00【議連提出資料】B型肝炎ワクチンの定期接種化について

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2017 年 2 月 1 日放送 ウイルス性肺炎の現状と治療戦略 国立病院機構沖縄病院統括診療部長比嘉太はじめに肺炎は実地臨床でよく遭遇するコモンディジーズの一つであると同時に 死亡率も高い重要な疾患です 肺炎の原因となる病原体は数多くあり 極めて多様な病態を呈します ウイルス感染症の診断法の進歩に

事務連絡 令和元年 6 月 21 日 ( 公社 ) 岡山県医師会 ( 一社 ) 岡山県病院協会 御中 岡山県保健福祉部健康推進課 手足口病に関する注意喚起について このことについて 厚生労働省健康局結核感染症課から別添のとおり事務連絡が ありましたので 御了知いただくとともに 貴会員への周知をお願い

熊本県感染症情報 ( 第 31 週 ) 県内 170 観測医の患者数 (7 月 28 日 ~8 月 3 日 ) 今週前週今週前週 インフルエンザ 0 1 百日咳 0 0 RS ウイルス感染症 7 0 ヘルパンギーナ 咽頭結膜熱 A 群溶血性レンサ球菌咽頭炎 感染性胃腸炎

化を明らかにすることにより 自閉症発症のリスクに関わるメカニズムを明らかにすることが期待されます 本研究成果は 本年 京都において開催される Neuro2013 において 6 月 22 日に発表されます (P ) お問い合わせ先 東北大学大学院医学系研究科 発生発達神経科学分野教授大隅典

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次の人は このワクチンの接種を受けることはできません 明らかに発熱 ( 通常 37.5 以上 ) している人 重篤な急性疾患にかかっている人 過去にこのワクチンに含まれている成分 ( ジフテリアトキソイドを含む ) でアナフィラキシーをおこしたことがある人 上記以外に医師が予防接種を行うことが不適当

鹿児島県感染症発生動向調査事業 ( 内容に関するお問い合わせ : 健康増進課感染症保健係 ) 感染症のホームページアドレス 第 20 週の手足口病の定点当た

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後などに慢性の下痢をおこしているケースでは ランブル鞭毛虫や赤痢アメーバなどの原虫が原因になっていることが多いようです 二番目に海外渡航者にリスクのある感染症は 蚊が媒介するデング熱やマラリアなどの疾患で この種の感染症は滞在する地域によりリスクが異なります たとえば デング熱は東南アジアや中南米で

り感染し 麻薬注射や刺青なども原因になります 輸血の安全性や医療環境の改善によって 医原性の感染は例外的な場合になりました 日本では約 100 万人の B 型肝炎ウイルスキャリアがいます その大部分は成人で, 昔の母子感染を含む小児期の感染に由来します 1986 年から B 型肝炎ウイルスキャリアの

今週前週今週前週 2/18~2/24 インフルエンザ ヘルパンギーナ 4 4 RS ウイルス感染症 流行性耳下腺炎 ( おたふくかぜ ) 7 4 咽頭結膜熱 急性出血性結膜炎 0 0 A 群溶血性レンサ球菌咽頭炎 流行性角結膜炎 ( はやり目

2.2. 緒言肺炎球菌はヒトの主要な細菌の一つである 肺炎球菌は莢膜を有するグラム陽性双球菌で 鼻咽腔の常在菌であるが 上気道の近接部位に感染すること ( 局所感染 ) や血流に乗って遠隔組織に広がること ( 侵襲性感染 ) がある 世界中において肺炎球菌は多くの疾患や死亡の主たる原因菌である 世界

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抗菌薬の殺菌作用抗菌薬の殺菌作用には濃度依存性と時間依存性の 2 種類があり 抗菌薬の効果および用法 用量の設定に大きな影響を与えます 濃度依存性タイプでは 濃度を高めると濃度依存的に殺菌作用を示します 濃度依存性タイプの抗菌薬としては キノロン系薬やアミノ配糖体系薬が挙げられます 一方 時間依存性

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小児用肺炎球菌ワクチン ( プレビナー ) の接種を始めます 小児の細菌性髄膜炎の原因菌は下記のとおりで 肺炎球菌はインフルエンザ桿菌 (H1b 菌 ) についで2 位を占めています 1. 肺炎球菌とは? 肺炎球菌は 子どもの細菌感染症の二大原因菌の一つ 肺炎球菌はまわりを莢膜 ( きょうまく ) という固い殻に覆われた菌で 人間の免疫が攻撃しにくい構造をしています とくに小さい子ども とくに赤ちゃんのうちは まだこの細菌に対する抵抗力がありません このため 細菌性髄膜炎など症状の重い病気を起こしたりします 風邪やインフルエンザにかかった後に 肺炎を起こしたり 中耳炎を起こすのはこの菌であることが多 いのです 肺炎球菌の写真 2. かかりやすい年齢は? 肺炎球菌の感染症は とくに子どもと高齢者が要注意縦軸に肺炎球菌による重い感染症の頻度を そして横軸に年齢をとったグラフを書くと U 字型のカーブになります つまり 肺炎球菌による感染症にかかりやすいのは 特に免疫力の弱い小さな子どもやお年寄りです この傾向は世界で共通してみられるもので このため世界的には子どもやお年寄りに肺炎球菌のワクチンを接種して 肺炎球菌による感染症の予防をしています 日本の発症分布 アメリカの発症分布 生方公子 : 日医雑誌 138(4): 715, 2009 より引用改変

Robinson KA, et al. JAMA. 2001;285:1729-1735 より引用改変 3. 肺炎球菌による子どもの病気は肺炎球菌は細菌性髄膜炎 菌血症 肺炎 中耳炎などを起こします肺炎球菌は文字通り 肺炎の原因になる細菌です でもそれだけではありません ほかにも 細菌性髄膜炎 菌血症 中耳炎といった病気を起こします 肺炎球菌というのは実はそこら中にいる菌で 子どもの多くが鼻の奥や気道に保菌しています 保菌しているだけでは問題ありませんが 残念ながら小さな子どもは肺炎球菌に対する抵抗力をもっていませんので 比較的簡単に肺炎球菌に感染してしまいます カゼをひくと中耳炎になることがありませんか? これはカゼによって粘膜の抵抗力が落ちると 耳で感染症を起こすためです このように 肺炎球菌は 耳で感染症を起こすと 中耳炎 に 肺に入り込んで 肺炎 に 血の中に入り込んで 菌血症 に 脳や脊髄を覆っている髄膜の中に入り込んで 細菌性髄膜炎 を発症します 肺炎球菌によるおもな子どもの病気 これらの病気は もちろん他の細菌やウイルスが原因で起こることもありますが 肺炎球菌が主要原因であることがほとんどで 菌血症では 80%(1 番目 ) 肺炎の場合は 30%(1 番目 ) 細菌性髄膜炎では 20-30%(2 番目 ) 細菌性の中耳炎の場合は 30%(2 番目 ) が肺炎球菌が原因となっています 4. 肺炎球菌感染症どうしたらよいの? 肺炎球菌による病気は抗生物質で治療しますが 現在抗生物質が効きにくい耐性肺炎球菌が増加し 治療が困難になってきています ですから子どもの肺炎球菌感染症は予防が大切です その予防ワクチンが子どもの肺炎球菌ワクチンなのです 子どもの肺炎球菌感染症は 小児用の肺炎球菌ワクチンで予防できます 小児用の肺炎球菌ワクチンは 2009 年現在 100 カ国近くで使われていて 定期接種をしている国では細菌性髄膜炎などの重い感染症の発症率が 9 8% 下がりました 子どもの肺炎球菌感染症は 小児用の肺炎球菌ワクチンで予防できます 小児用の肺炎球菌ワ

クチンは 2009 年現在 100 カ国近くで使われていて 定期接種をしている国では細菌性髄膜炎などの重い感染症の発症率が 98% 下がりました 定期接種開始前と開始後の発症率 の比較 ( アメリカ ) MMWR 2008; 57(06):144-148 より作図 ワクチンに含まれている肺炎球菌の 7 つの型による感染症の発症率 2007 年に WHO( 世界保健機関 ) は小児用の肺炎球菌ワクチンを世界中で定期接種とするように推奨を出しました それだけ先進国 発展途上国を問わず各国で肺炎球菌による病気の被害が多いためです 小さな子どもは肺炎球菌に対して抵抗力をもっていませんが 小児用の肺炎球菌ワクチンを接種すると抵抗力ができるようになるので 一番この病気にかかりやすい年齢の間 肺炎球菌からお子さんを守ってあげることができます 神谷斉先生の説明小児用肺炎球菌ワクチンと Hib ワクチンの導入効果は明白である しかしいくら良いワクチンでも 接種率が高くならなければ意味がない わが国でワクチン接種率を高め その接種率を維持するためには大きな課題がある

罹る前に予防するのが今後の感染症対策のあり方現在 感染症の治療においては薬剤耐性化が大きな問題となっている かつては肺炎球菌による肺炎や菌血症 髄膜炎に罹ったとしても ペニシリンを投与することで 高い治癒率が期待できた しかし最近では 抗菌薬に対する細菌の耐性化が進み 抗菌薬を投与しても感染が遷延化して なかなか治癒しないことも多い そうした状況を鑑みると 感染症は罹ってから抗菌薬で治すのではなく 罹る前にワクチンで予防するのが今後の医療に求められる方向性だと考えられる このたび 日本でも小児用肺炎球菌ワクチン ( プレベナー ) が承認された プレベナーは 約 90 種類ある肺炎球菌の血清型のうち 小児の侵襲性肺炎球菌感染症に高頻度で認められる 7 種類の血清型をカバーする ( 図 1) 日本で一足先に承認され接種開始されている Hib ワクチンと同様 海外では既にその導入効果が認められているワクチンである

米国ではプレベナーの定期接種後に侵襲性肺炎球菌感染症が激減プレベナー は これまでに世界 100 カ国近くで発売されている このうち北米や欧州諸国を含む世界 43 ヵ国ではいわゆる定期接種が行われている (2009 年 12 月現在 ) 米国では 2000 年以降 プレベナーの定期接種が行われてきたが その結果 5 歳未満の小児における侵襲性肺炎球菌感染症の発症率は著しく減少し ( 図 2) プレベナーがカバーする 7 種類の血清型による発症率は 2004 年には 97% にまで減少した

また米国では同時期に 65 歳以上の高齢者においても侵襲性肺炎球菌感染症の発症率が 65% 低下している ( 図 3) 65 歳以上の高齢者はプレベナーの接種対象ではないが これは小児での肺炎球菌感染例が減ったために 小児を感染源とした家族内 集団内感染が減ったことに起因する間接的な効果 (herd immunity) の影響だといわれている このデータはつまり 乳幼児にプレベナーの接種をすることで 社会全体の肺炎球菌感染症の発症率を抑制できることを示唆している

髄膜炎セット という考えの下 Hib ワクチンと肺炎球菌ワクチンの同時接種をプレベナーの接種スケジュールは 生後 2~3 ヵ月から 6 ヵ月にかけて 3 回 その後 12~15 ヵ月に 4 回目 ( 追加接種 ) を接種するスケジュールである ( 図 4) 細菌性髄膜炎の発症を効率的に予防するためには Hib ワクチンとプレベナーを同時に接種することも考慮したい 現在 保護者の中には情報不足のため Hib ワクチンさえ接種していれば細菌性髄膜炎が防げると思っている方も多いと聞くが 細菌性髄膜炎対策を考えれば 両方のワクチンを 細菌性髄膜炎セット としてとらえ 両ワクチンの必要性を保護者にも伝える必要がある また 生後 3~6 ヵ月の期間には定期接種である DPT ワクチンの接種が 3 回あるため ワクチンの接種率を高めるためには Hib 肺炎球菌 DPT の 3 本のワクチンを同時接種するのがよい方法だと考える なお プレベナーも Hib ワクチンも接種回数については 生後 2-3 ヵ月から開始した場合には 4 回接種するが 年齢が上がれば接種回数を減らしても 十分な免疫が獲得できることが分かっている ( プレベナーの接種回数は図 4 を参照 ) しかし 回数を減らせるからという理由だけで接種時期を遅らせて その間に重篤な感染症に罹ってしまったら意味がない 成長してからの接種は 病気などの理由で生後 3 ヵ月から接種できなかった場合を想定したものだと考えたい 日本における接種スケジュール標準 :2~7ヶ月から始めて4 回接種 1. 初回接種 12~7 ヵ月で接種開始 :4 週間間隔で3 回接種 27~12 ヵ月で接種開始 :4 週間間隔で2 回接種 312~24ヶ月で接種開始 :60 日以上の間隔で2 回接種 424ヶ月以上 9 歳まで :1 回接種 2. 追加接種 12~7 ヵ月で接種開始 : 生後 12~15ヶ月に1 回接種 27~12 ヵ月で接種開始 : 初回の2 回目から60 日以上あけて 1 歳前後で追加接種 312~24ヶ月で接種開始 : なし 424ヶ月以上 : なし通常 生ワクチンの接種をした場合 27 日以上 不活化ワクチンの接種を受けた場合 6 日以上間隔をおいて本剤を接種しますが 医師が必要と認めた場合には 同時に接種することができます

国民の疾患教育の充実がワクチン接種への理解を深めるわが国でも Hib ワクチンとプレベナーの接種率が高まれば 小児期の重篤な細菌感染症の発症率は著しく低下すると考えられる しかし 接種率を高めそれを維持していくことは 今後に残された大きな課題である 一般の治療薬と違い ワクチンは健康な児に接種するため 発熱や副反応に対する懸念が大きく それが予防接種を普及させる上で大きな障害となっている 日本での予防接種の普及をさまたげる背景の一つには 国民に対する疾患教育の欠如がある 日本は国際的にみて 啓発活動の必要性に関する認識も活動レベルも非常に遅れている マスコミの報道の姿勢にも問題があり かつては死者が 1 例でると大きく取り上げるが その裏で 99 例の命が救われていることは報道してこなかった しかし 最も変わらなくてはならないのは学校教育である 一般の方が学校教育を通じて病気に対する知識を身に付けることができれば ワクチン接種に対する理解も深まると考えられる 厚生労働省と文部科学省が協力して国民に対する疾患教育の推進にあたることを強く期待する 現時点で考えられることとして一つの効果的なアプローチは 母親たちのコミュニケーションを盛り上げることである Hib ワクチンの例などをみると じつは小児科医が母親にワクチン接種の重要性について時間をかけて説明するよりも 母親どうしの会話の中で ワクチンを接種したら病気に罹らなかった 少し発熱したけど 髄膜炎に罹ることを考えたら ワクチン接種はお勧めよ と話題になり お互いに伝えあってもらう方が影響力は大きいのではないかと考えられる しかし最終的には 国レベルにおいて ワクチン接種によって予防できる疾患があることを社会に広く認知させる啓発活動を行うことが大変重要である ワクチン接種に要する費用を支援する制度が必要 Hib ワクチンとプレベナーは どちらも複数回の接種が必要であり 任意接種では家庭の負担額はかなりのものになる どちらのワクチンも海外では多くの国で接種費用を国が補助しており わが国でもワクチン接種率を高めるように何らかの制度を整えることが必要である ワクチン接種に要する費用については ワクチンを無料化する方法もあるが 医療財源を考慮すると 個人的には保険適応にして一定の負担を国民に求めることも選択肢になりうると考えている 自分の体は自分で守るという発想は重要であり 将来的に感染症に罹らないで済むことを考えると 自分や子供たちへの投資と考えることもできるだろう 有効性の高いワクチンが利用可能となっても それを普及させなければ宝の持ち腐れである ワクチン接種率を高め 小児の細菌性髄膜炎を効率的に予防するためには 国民の意識や国の制度を変えていくことが非常に重要である