38 第 2 章給食管理の相談 5 保育所での食物アレルギーへの対応のあり方は 相談内容 近年 食物アレルギー児が増加傾向にあります 食物アレルギーは 発育の盛んな乳幼児期に発症する場合が多く 乳幼児に食事を提供する保育所の食物アレルギー対応は 給食管理 献立調製上の重要課題です どのように対応すべ

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第3章 調査のまとめ

第3章 学校給食での対応

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2. 平成 9 年遠隔診療通知の 別表 に掲げられている遠隔診療の対象及び内 容は 平成 9 年遠隔診療通知の 2 留意事項 (3) イ に示しているとお り 例示であること 3. 平成 9 年遠隔診療通知の 1 基本的考え方 において 診療は 医師又は歯科医師と患者が直接対面して行われることが基本

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4 研修について考慮する事項 1. 研修の対象者 a. 職種横断的な研修か 限定した職種への研修か b. 部署 部門を横断する研修か 部署及び部門別か c. 職種別の研修か 2. 研修内容とプログラム a. 研修の企画においては 対象者や研修内容に応じて開催時刻を考慮する b. 全員への周知が必要な

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2. 検討 ~ 医療に関する事故の特殊性など (1) 医師等による医療行為における事故 医師等が患者に対してどのような医療行為を施すべきかという判断は 医師等の医学的な専門知識 技能に加え 医師等の経験 患者の体質 その時の患者の容態 使用可能な医療機器等の設備等に基づきなされるものである ( 個別

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サービス担当者会議で検討し 介護支援専門員が判断 決定するものとする 通所系サービス 栄養改善加算について問 31 対象となる 栄養ケア ステーション の範囲はどのようなものか 公益社団法人日本栄養士会又は都道府県栄養士会が設置 運営する 栄養士会栄養ケア ステーション に限るものとする 通所介護

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(1) 家庭的保育事業 項目 国基準 区分 保育業者 家庭的保育者 市町村長が行う研修を修了した保育士 保育士と同等以上の知識及び経験を有すると市町村長が認める者 家庭的保育補助者 市町村長が行う研修を修了した者 数 0~2 歳児 3:1( 家庭的保育補助者を置く場合 5:2) 保育を行う専用居室

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38 第 2 章給食管理の相談 5 保育所での食物アレルギーへの対応のあり方は 相談内容 近年 食物アレルギー児が増加傾向にあります 食物アレルギーは 発育の盛んな乳幼児期に発症する場合が多く 乳幼児に食事を提供する保育所の食物アレルギー対応は 給食管理 献立調製上の重要課題です どのように対応すべきでしょうか ポイント 1 管理栄養士 栄養士は 乳幼児の食物アレルギー事故を防ぐために 完全除去 解除 の方針に則りつつ 完全除去 の場合にも 栄養指導 栄養管理上 乳幼児の発育 発達段階に適合した適切な給食管理を行うこと 2 管理栄養士 栄養士は 乳幼児のアレルギー原因食物の正確な把握 および 除去の徹底と混入 誤食などのリスク回避のための明確な基準を作るうえで中心的な役割を果たすこと 回 答 1 困りごとの診断保育所での食物アレルギーへの対応は 基本的には 保育所が あらかじめ保護者から申告のあったアレルギー原因食物を除去した食物アレルギー食を提供することで足りると考えられます 保護者の申告内容が不十分で アレルギー原因食物の除去ができなかった場合の責任は 特段の事由のない限り 本人 ( 保護者 ) が負うことになりま

第 2 章 給食管理の相談 39 す また 保護者も想定していなかった食物アレルギー ( 申告のあったものとは別のアレルギー原因食物によるアレルギー症状の発症 ) についても 特段の事由のない限り 保育所は責任を負いません この点は 特定原材料等 ( 特定原材料 と 特定原材料に準ずるもの ) にあたるアレルギー原因食物についても同様です つまり 保護者からの申告がない限り 特定原材料等を含む給食を提供しても 保育所に落ち度があったことにはならないと考えられます ( 事故を一般的に予防する見地から 特定原材料等で献立として他に代替できるものは あえて給食で使用しないという方針はあるでしょう 後述 ) もっとも 複数の食物アレルギーをもつ人も少なくないことを考えると ( 交差抗原性も 複数の食物アレルギーの原因となります ) 保護者から申告を受ける際には 適切な質問などをして申告内容の精度を高める工夫をするのが望ましいでしょう (2(1) 参照 ) また 保育所は 以下の各リスクを回避するために適切な注意を払って対処することが求められます (2(2) 参照 ) 加工食品中のアレルギー原因物質 混入( コンタミネーション ) 誤食管理栄養士 栄養士は 乳幼児の食物アレルギー事故を防ぐために 完全除去 解除 の方針に則りつつ 完全除去 の場合にも 栄養指導 栄養管理上 乳幼児の発育 発達段階に適合した適切な給食管理 献立調製を行わなければなりません また 乳幼児のアレルギー原因食物の正確な把握 および 食物アレルギー事故の防止策の整備にも中心的な役割を果たします

40 第 2 章給食管理の相談 2 対応 (1) アレルギー原因食物の把握ア食物アレルギー児 アレルギー原因食物の把握食物アレルギー児を受け入れる際には その乳幼児のアレルギー原因食物を正確に把握します アレルギー原因食物の把握は 保護者記入用の調査票や医師の指示書 診断書に基づいた生活管理指導表 ( 診断時 + 年 1 回の更新 ) の提出 保護者との面談などによって行います イ保護者との面談保護者との面談は 施設長や食物アレルギー担当責任者 ( 管理栄養士 栄養士 ) 給食担当者 ( 調理員 ) 保育士など複数で行います 関係者の多くが 状況 情報を把握 共有します (2) 食物アレルギーに対応した給食の実施基準の決定ア厚生労働省 保育所におけるアレルギー対応ガイドライン 厚生労働省 保育所におけるアレルギー対応ガイドライン ( 平 23 3 17 雇児保発 0317 第 1) に基づき アレルギー原因食物については 完全除去 解除 の両端で対応します 中途半端な対応は事故の危険性を高めるからです なお 除去した食品を解除する場合は 口頭ではなく 必ず医師の指示書または保護者からの書面による申請によることとします イ献立調製上の対処 ( ア ) 除去を意識した献立主なアレルギー原因食物である 鶏卵 牛乳 ( 乳製品 ) 小麦などを主菜として献立を調製するときは 食物アレルギー児のために代替献立を意識し これの提供が可能かを検討しておきます ( イ ) 新規に症状を誘発するリスクの高い食物の少ない献立そば ピーナッツ エビ カニ キウイ バナナなどの原因食物

第 2 章 給食管理の相談 41 は主な原因食物とは異なり 献立として他のものに代替可能な場合が多いので あえて給食で用いない方針もあるでしょう ( ウ ) 調理室における調理作業を意識した献立調理作業や配膳による混入を避けるために 適切な作業動線や作業工程のあり方を考慮して 献立を調製します ウ保育所で 初めて食べる ことを避ける食物アレルギー症状の誘発を可能な限り避けるには 特定のアレルギー原因食物の除去に加え 新規に食物アレルギーを誘発させない工夫もします そうした工夫の一つが 食物アレルギー児が 保育所の給食で 初めて食べる ことを避けることです そこで 保護者と事前に連携し 給食で使用している高リスクのアレルギー原因食物を中心に 全入所児の家庭における特定原材料等の代表的なアレルギー原因食物の摂取状況を調査して把握します また 事前に給食献立を保護者に配布し これまでに食べたことのない食物が給食に入っていないかの確認を求めます エ加工食品の原材料表示の確認加工食品は 主要な原因食物の含有量がなるべく少なく 味 価格が妥当なものにします 原材料の確認ができない食品は 使用すべきではありません オ物理的 人的環境整備献立を作る際にも考慮すべきことですが ( 上述 ) 混入 ( コンタミネーション ) を避けるために 作業動線や作業工程を工夫し 声出し確認を行います 調理された食物アレルギー食の混入予防や搬送過程での誤配の回避のために 食事に目印を付けたり 声出し確認を調理員 管理栄養士 栄養士 保育士間で励行します

42 第 2 章給食管理の相談 先輩管理栄養士からのアドバイス アレルギー原因食物の摂取によるアナフィラキシーショックは 命に関わる重篤な症状を引き起こす場合があります アレルギー原因食物に対しては 完全除去 解除 の両端で対応することが重要です

366 第 7 章専門職の責務をめぐる相談 91 こんにゃく田楽による誤嚥事故が発生したら 相談内容 84 歳 男性 ( 認知症あり ) が提供したこんにゃく田楽を誤嚥した と病棟から連絡がありました どのように対応をすればよいでしょうか ポイント 1 医療機関は 誤嚥に対処して 適切な救急救命措置 迅速な事実の報告と謝罪 被害回復 再発防止措置を行うこと 2 管理栄養士 栄養士は 医療機関の上記 1の対応 取組み ことに誤嚥を防止することを制度的に担保する再発防止策の構築に 関係職員が連携しつつ積極的に協力すること 回 答 1 困りごとの診断入院患者の誤嚥事故です これの責任は 医療の一環としての患者給食 で 栄養上 安全上 患者に危害が生じないように注意する義務を負っている医療機関 ( 厳密には医療機関の設営者 ) が負います 医療機関は 救急救命措置や被害回復措置 ( 治療その他 ) を含む患者への対応 落ち度のあった職員 ( 管理栄養士 栄養士も含まれます ) の処分 そして 再発防止策の整備などを適切に行う必要があります 管理栄養士 栄養士は積極的にこれに協力します 食事の経口摂取を行う限り 誤嚥を完全に防止することはできま

第 7 章専門職の責務をめぐる相談 367 せん それゆえ 誤嚥が起これば直ちに医療機関や関与した職員が責任を負うわけではありません 誤嚥は結果であり その前に 喫食者の食事介助 配膳 調理 献立調製そして食事箋の作成へと遡るプロセスがあります この各段階で 関与した職員が 誤嚥防止上 必要な注意を払っていたか 管理栄養士 栄養士は 患者の嚥下能力を勘案して適切に献立を調製したか 否かで責任の有無が決まります 2 対応 (1) 経緯と状況の把握事故に近いところから経緯と状況を把握します 第 1 に 事故状況の確認です こんにゃく田楽をのどに詰まらせたのはどのような状況 ( 体位 食器 一口量など ) かを明らかにします 第 2 に 事故の際の患者の身体状態の確認です 年齢や慢性疾患 循環器や呼吸器系の疾患 脳血管障害などの罹患の有無を踏まえ 患者の嚥下機能の程度 状況と食事摂取時の意識状態などを把握します あわせて 誤嚥の既往歴を調査します これまでの食事内容 ( 食事形態や食品 物性 ) で問題がなかったのか 咳やむせがなかったか 今回がはじめてか などです 第 3 に 喫食者の食事介助 ( 看視と支援 ) 配膳 調理 献立調製 ( 献立内容の決定 食材の選定 調理法の選択 ) そして 食事箋の作成 ( 食事内容の指示 ) の各段階で それぞれ関与した職員が 誤嚥を防ぐために必要な注意を払っていたかどうかを吟味します 献立調製については 患者の嚥下機能や既往歴に照らし適切であったか 医師の指示どおりの献立か などを確認します

368 第 7 章専門職の責務をめぐる相談 (2) 患者対応必要な救急救命措置を講ずることが最優先です 次いで 医療機関は 患者に 1 過誤の内容と原因 今後予想される症状等の展開とそれへの医療的な対応策などの報告と説明 2 誤嚥事故についての謝罪を行います 迅速に実施します もっとも 2については 誤嚥について 医療機関の各業務上 何の過誤もなかったならば 謝罪する必要はありません ここでいう謝罪は医療機関として行います 責任のある職員が 患者に 個人的に謝罪その他の対処を行うことは差し控えます さらに医療機関は その判断と責任で 患者の被害回復にあたることになります ( 誤嚥につき 医療機関の各業務上 何の過誤もなかったならば 被害回復の責任も生じません ) (3) 関与職員の処遇誤嚥の発生 ( 誤嚥の防止 ) につき 関係する各業務に関与した職員に落ち度があった場合 その者の処分等を検討します ( その者には患者への責任も生じます ) 管理栄養士 栄養士については 以下のように考えます ご相談のケースのような患者 (84 歳 男性 認知症あり ) には 一般に嚥下能力の低下が見られ かつ こんにゃくが誤嚥を招きやすい食材であることも一般に知られています だからといって こんにゃくを使った献立を調製した管理栄養士 栄養士に直ちに業務上の過誤があったことになるわけではありません 食材選択の適否は 献立そのものが適切に調製されているかどうか その献立において当該食材の使用が合理的であるかどうか そして 当該食材の調理法においても適切な配慮がなされているかどうかなどを総合的に勘案して判断されるべきものです その際には 食事介助が適切に行われることも想定してよいでしょう

第 7 章専門職の責務をめぐる相談 369 (4) 管理栄養士 栄養士の対処の仕方以上の (1) から (3) につき 管理栄養士 栄養士は 医療機関の適切な対応 取組みに積極的に協力します 3 再発防止策事故を 組織的 体制的な問題として受け止め 関係する職員の連携を前提に 事故を起こさない業務を制度的に担保するとの発想で再発防止策を整備します 管理栄養士 栄養士はその先頭に立ちます 以下を踏まえて再発防止策を検討します (1) 摂食 嚥下レベルに応じた食事の提供食べ物は軟らかく調理して パサパサした物は汁気を含ませ 汁物にはトロミをつけ 温かいものは温かく 冷たいものは冷たくなど 美味しく食べやすい食事を工夫します 摂食嚥下評価後であれば そのレベルにあった食事を提供します ( 摂食 嚥下の難易度を等級 ( レベル ) 化して 等級ごとに対応する嚥下食を設定する 嚥下食ピラミッド 等を参照 ) 高齢者になると 元気な者でも 食物を噛み 飲み込む力が低下し のどに詰まらせやすくなったり むせやすくなったりします もし従来の食事の形態でしばしばむせるようであれば もっと柔らかいものにしたり 隠し包丁を入れる 切り方を小さくするなどの工夫をして 少量ずつ摂取するようにします (2) 食事摂取状況の観察自己摂取する場合は 食事をかき込んでいないか 一口量が多くないか 体位が保持できているか などを確認します (3) 食事環境の整備食事をのどに詰まらせたり むせるのを防ぐためには 食べる前に起き上がってお膳を眺めたり 食事の匂いを嗅いだりなど 食べようとする心の準備をします そして 飲み込む準備として 口の中を

370 第 7 章専門職の責務をめぐる相談 お茶や水で湿らせます これら食事前の準備を行って 覚醒を促して食事に集中できるようにします 次に食べやすい姿勢を確保します 患者の状態によって可能であれば 本人に食べ方を指導します 介助度が高い場合には 介助者に食事環境づくりについて説明 提案します 介助時は 摂食状態に適切な一口量 食べるペースやリズムをその者に合わせます 時間が掛かっても焦らないことです (4) 院内体制の整備第 1 に 食事箋の作成 献立調製 調理 配膳 食事介助という一連のププロプセプスプとプしプてプ誤嚥を防止する発想に立ちます 第 2 に このプロセスの各段階での誤嚥防止上の要点を 関係する職員全員が 自己の担当業務以外も含め 理解します アクシデント レポートを開示し関係する職員全員に周知を図ります 第 3 に 個々の患者の嚥下能力の程度や誤嚥の可能性などの情報を関係する職員全員が共有できる手立てをとります 弁護士からのアドバイス ご相談のケースに類する老人保健施設での事件があります ( 横浜地判平 12 6 13 賃金と社会保障 1303 60) 裁判所は こんにゃくを提供した過失については こんにゃくを食材として選択したこと自体について施設に注意義務違反があったとは認められない 通常食材として使われ 身体にとって有用であるものについて 単に誤飲の危険性があるという一事によって食事に供したこと自体に過失があるとはいえない また 料理の提供方法に関する過失については 当施設は入所者の自立を支援する施設であり 食事について自立した入所者には 通常の家庭料理になるべく近い食事を提供することは むしろ老人保健施設の目的に合致するともいえる と判示しています