Microsoft PowerPoint - 22_容量市場(松久保)

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1. はじめに 1 需要曲線の考え方については 第 8 回検討会 (2/1) 第 9 回検討会 (3/5) において 事務局案を提示してご議論いただいている 本日は これまでの議論を踏まえて 需要曲線の設計に必要となる考え方について整理を行う 具体的には 需要曲線の設計にあたり 目標調達量 目標調達

我が国における電力卸取引の現状と今後の役割 一般社団法人日本卸電力取引所國松亮一 -0- C2018Japan Electric Power Exchange All Rights Reserved

整力を確保する一方 小売部門が GC までの自社需要の想定誤差に対する予備力を確保する対 応をしていることから 一部の旧一般電気事業者については 送配電部門と小売部門が確保し ている予備力の合計値が 調整力公募制度開始以前と比較して増加している ( 卸電力取引所活性化の必要性 ) 旧一般電気事業者の

バイオマス比率をめぐる現状 課題と対応の方向性 1 FIT 認定を受けたバイオマス発電設備については 毎の総売電量のうち そのにおける各区分のバイオマス燃料の投入比率 ( バイオマス比率 ) を乗じた分が FIT による売電量となっている 現状 各区分のバイオマス比率については FIT 入札の落札案

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御意見の内容 御意見に対する電力 ガス取引監視等委員会事務局の考え方ることは可能です このような訴求は 小売電気事業者が行うことを想定したものですが 消費者においても そのような訴求を行っている小売電気事業者から電気の小売供給を受け 自らが実質的に再生可能エネルギーに由来する電気を消費していることを

FIT/ 非 FIT 認定設備が併存する場合の逆潮流の扱いに関する検討状況 現在 一需要家内に FIT 認定設備と非 FIT 認定設備が併存する場合には FIT 制度に基づく買取量 ( 逆潮流量 ) を正確に計量するため 非 FIT 認定設備からの逆潮流は禁止されている (FIT 法施行規則第 5

報告書の主な内容 2012 年度冬季の電力需給の結果分析 2012 年度冬季電力需給の事前想定と実績とを比較 検証 2013 年度夏季の電力需給の見通し 需要面と供給面の精査を行い 各電力会社の需給バランスについて安定供給が可能であるかを検証 電力需給検証小委員会としての要請 2013 年度夏季の電

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図 2: 今後の主な市場整備等 2. ベースロード電源市場等 2.1. 契約見直しの必要性新電力がベースロード電源 ( 石炭火力 水力 原子力等 ) にアクセスすることを容易にし 小売競争を更に活性化させることを目的として ベースロード電源市場を創設するとともに ベースロード電源を保有する旧一般電気

資料 2 接続可能量 (2017 年度算定値 ) の算定について 平成 29 年 9 月資源エネルギー庁

整力を確保する一方 小売部門が GC までの自社需要の想定誤差に対する予備力を確保する対 応をしていることから 一部の旧一般電気事業者については 送配電部門と小売部門が確保し ている予備力の合計値が 調整力公募制度開始以前と比較して増加している ( 卸電力取引所活性化の必要性 ) 旧一般電気事業者の

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整力を確保する一方 小売部門が GC までの自社需要の想定誤差に対する予備力を確保する対 応をしていることから 一部の旧一般電気事業者については 送配電部門と小売部門が確保し ている予備力の合計値が 調整力公募制度開始以前と比較して増加している ( 卸電力取引所活性化の必要性 ) 旧一般電気事業者の

資料 3 第 21 回制度設計専門会合事務局提出資料 ~ 卸電力市場活性化に係る事業者ヒアリング ~ 平成 29 年 8 月 28 日 ( 月 )

電力システム改革に関する意見 <ポイント>

FEPC INFOBASE i - 電気事業制度

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電解水素製造の経済性 再エネからの水素製造 - 余剰電力の特定 - 再エネの水素製造への利用方法 エネルギー貯蔵としての再エネ水素 まとめ Copyright 215, IEEJ, All rights reserved 2

参考 :SWITCH モデルの概要 SW ITCH モデル は既存の発電所 系統 需要データを基にして 各地域における将来の自然エネルギーの普及 ( 設備容量 ) をシミュレーションし 発電コストや CO 排出量などを計算するモデルです このモデルでは さらに需要と気象の時間変動データから 自然エネ

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UIプロジェクトX

Ⅰ. 論点の明確化 1

表 1 小売電気事業者( 新電力とみなし小売電気事業者の総計 ) の平成 29 年 3 月分 販売電力量 ( エリア別 ) 販売電力量合計 ( 単位 :MWh) その他需要 合計 北海道 260,709 1,129,470 1,028, ,749 8,428 2,730,690 東北 1

Ⅰ. 認定制度 1. 認定制度 の現状 2. 認定時期について 3. 認定案件の適正な事業実施に向けて 4. 調達価格の決定時期

1. 調整力公募について 本年 4 月に施行された第 2 弾の改正電事法により 新しいライセンス制度が導入されたことを受け 一般送配電事業者が電力供給区域の周波数制御 需給バランス調整を行うこととなっている そのために必要な調整力を調達するにあたって 一般送配電事業者は原則として公募の方法で調達する

種類以上 再生可能エネルギー 100% のメニューだけでも 5~60 種類あり 新規参入が低調になりやすい家庭部 門においても 豊富な選択肢が確保されている 表 1: 米国の全面自由化実施州における新規参入状況 自由化中断 廃止州 : 7 州 ( カリフォルニア ネバダ アリゾナ ニューメキシコ モ

これは 平成 27 年 12 月現在の清掃一組の清掃工場等の施設配置図です 建替え中の杉並清掃工場を除く 20 工場でごみ焼却による熱エネルギーを利用した発電を行っています 施設全体の焼却能力の規模としては 1 日当たり 11,700 トンとなります また 全工場の発電能力規模の合計は約 28 万キ

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日本市場における 2020/2030 年に向けた太陽光発電導入量予測 のポイント 2020 年までの短 中期の太陽光発電システム導入量を予測 FIT 制度や電力事業をめぐる動き等を高精度に分析して導入量予測を提示しました 2030 年までの長期の太陽光発電システム導入量を予測省エネルギー スマート社

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注 1: 要件の判断に係る算定に当たっては 複数の発電用の電気工作物が同一の接続地点に接続している場合は 一つの発電用の電気工作物とみなす 注 2: 特定発電用電気工作物に該当しない電気工作物は 発電事業の要件 ( 小売電気事業用等接続最大電力の合計が 1 万 kw 又は 10 万 kw を超えるも

部分供給については 例えば 以下の3パターンが考えられる ( 別紙 1 参照 ) パターン1: 区域において一般電気事業者であった小売電気事業者 ( 又は他の小売電気事業者 ) が一定量のベース供給を行い 他の小売電気事業者 ( 又は区域において一般電気事業者であった小売電気事業者 ) がを行う供給

i-1 電気事業制度についてー 1 自由化 2000 年 3 月から大口需要家に対する電力小売が自由化 その後 2004 年 4 月 2005 年 4 月と 自由化範囲が段階的に拡大 さらに 電力システム改革専門委員会での検討を踏まえ 2016 年 4 月から小売全面自由化が開始された (j-3 参

前回の御議論 2 1) 第 6 回連系線利用検討会において 下記のような御意見があった 経過措置の転売を禁止することで効率性を低下させているため 転売を可能とすることについても 改めて検討すべき 経過措置が 10 年という長期であるにもかかわらず 経過措置を転売不可とすると 非効率性が増す側面もある

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申込代行事業者さまへのお知らせについて

資料 1 申込代行事業者さまにご確認 ご対応いただく内容 1. 同封資料の内容について ご確認をお願いいたします 1 今回 当社からご確認させていただく対象は ( 資料 2) 今回確認の対象となる発電所一覧 に記載している発電所です 複数の発電所を申込みいただいた申込代行事業者さまについては ダイレ

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( 太陽光 風力については 1/2~5/6 の間で設定 中小水力 地熱 バイオマスについては 1/3~2/3 の間で設定 )) 7 適用又は延長期間 2 年間 ( 平成 31 年度末まで ) 8 必要性等 1 政策目的及びその根拠 租税特別措置等により実現しようとする政策目的 長期エネルギー需給見通

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Ⅱ 主な改革内容 上記の 3 つの目的からなる電力システム改革につき 以下の 3 つの柱を中心として 大胆な改革を現実的なスケジュールの下で着実に実行する 1. 広域系統運用の拡大 電力需給のひっ迫や出力変動のある再生可能エネルギーの導入拡大に対応するため 国の監督の下に 報告徴収等により系統利用者

発電単価 [JPY/kWh] 差が大きい ピークシフトによる経済的価値が大きい Time 0 時 23 時 30 分 発電単価 [JPY/kWh] 差が小さい ピークシフトしても経済的価値

電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法改正に関する意見書

2 空 白

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新電力のシェアの推移 全販売電力量に占める新電力のシェアは 216 年 4 月の全面自由化直後は約 5% だったが 217 年 5 月に 1% を超え 218 年 1 月時点では約 12% となっている 電圧別では 特別高圧 高圧分野 ( 大口需要家向け ) は時期により変動しつつも 全体的には上昇

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RIETI Highlight Vol.66

経営指標の概要 ( 電気事業 ) 1. 経営の状況 ( 電気事業全体で算出 ) 算出式 ( 法適用事業 ) 算出式 ( 法非適用事業 ) 1 経常収支比率 (%) 1 収益的収支比率 (%) 指標の意味 経常収益 100 経常費用 総収益 100 総費用 + 地方債償還金 法適用企業に用いる経常収支

はじめに 発電投資は これまでは総括原価方式の下 規制料金を通じて回収されてきた しかしながら 小売全面自由化以降は 原則 市場での取引を通じて または市場価格を指標として投資回収される仕組みに移行していくと考えられるため 投資回収の予見性はこれまでと比して低下する また 固定価格買取制度を通じた再

はじめに 1 電源 Ⅱ 事前予約の検証について 四国エリアにおいては 太陽光発電の計画差 ( 下振れ ) により十分な予備力が確保できなくなるおそれがある場合に電源 Ⅱ 事前予約を実施しています 今回 2018 年 8 月 9 月における電源 Ⅱ 事前予約の実績について事後検証を実施しました

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中国国内需給動向と中露石油ガス貿易

第 1 回容量市場の在り方等に関する検討会資料 4 容量市場の基本的な考え方について ( 容量市場創設に向けた検討状況の整理 ) 平成 29 年 8 月 9 日 容量市場の在り方等に関する検討会事務局

2 政策体系における政策目的の位置付け 3 達成目標及び測定指標 1. 地球温暖化対策の推進 1-2 国内における温室効果ガスの排出抑制 租税特別措置等により達成しようとする目標 2030 年の電源構成における再生可能エネルギーの割合を 22~24% とする 租税特別措置等による達成目標に係る測定指

1. 非 FIT 非化石証書の取引について 2. 非 FIT 非化石証書の価格等について 3. 非 FIT 非化石証書の種類について 4. 非 FIT 非化石証書の約定 / 未約定分の取り扱いについて 5. 市場創設スケジュールについて 6. 非化石証書の取引に伴う収入の取り扱いについて 1

Q 切り替えする手続きが面倒じゃないの? A 新しく契約する電力会社へ申し込みをするだけで 今の電力会社へ連絡はせずに切り替えができます また Web でも簡単に申し込み手続きができるようになります Q 停電が増えたり 電気が不安定になったりしないの? A 新電力と契約した場合でも 電気を送る電線や

1. 目的 実施計画 高度なエネルギーマネジメント技術により 需要家側のエネルギーリソースを統合的に制御することで バーチャルパワープラントの構築を図る < 高度なエネルギーマネジメント技術 > 蓄熱槽を活用した DR 複数建物 DR 多彩なエネルギーリソースのアグリゲーション < 便益 > 系統安

緒論 : 電気事業者による地球温暖化対策への考え方 産業界における地球温暖化対策については 事業実態を把握している事業者自身が 技術動向その他の経営判断の要素を総合的に勘案して 費用対効果の高い対策を自ら立案 実施する自主的取り組みが最も有効であると考えており 電気事業者としても 平成 28 年 2

海外における電力自由化動向

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れなくなる 特に 小規模の新規参入事業者にとって このリスクに対応するシステムが設けられていなければならない すなわち 万が一 小売販売事業者が倒産した場合には 送電を担う旧電力会社の責任で電力供給が保証されることになっており そのためには 在来の地域独占の旧電力会社が その発電量を補償する仕組みに

説明 年間断面におけるマージンの値 2 間接オークション導入が 2018 年 10 月 1 日からとなったことを踏まえ 10 月以降分のマージンについて間接オークション導入後に適用される送配電等業務指針に基づき設定する 変更後の送配電等業務指針では 実需給断面におけるマージンが必要な場合を除き 原則

余白 1

( 余 ) 1

エネルギー規制 制度改革アクションプラン (11 月 1 日 ) の概要 重点課題と詳細リスト 現時点で政府が取り組むこととしている又は検討中の事項を 実施 検討事項詳細リスト (77 項目 ) として取りまとめ その中から 3つの柱で計 26 項目の重点課題を特定 1 電力システムの改革 (9 項

今年度の算定項目 P2 今年度の算定項目は以下のとおり (1)2016 年度の需要実績等に基づく接続可能量 (2017 年度算定値 ) 風力の接続可能量 (2017 年度算定値 ) 太陽光の接続可能量 (2017 年度算定値 ) (2)2014 年度 ~2016 年度の需要実績等に基づく指定ルール事

再生可能エネルギーの自立に向けた取組の加速化 1 FIT 制度の創設当初は 量 の拡大を重視し 固定価格と買取義務に依拠した売電モデルの下で 高コストで大量 多様なプレーヤーが再生可能エネルギー発電事業に参入 世界的に脱炭素化へのモメンタムが高まり 再生可能エネルギーがコスト競争力のある主力電源とな

次世代エネルギーシステムの提言 2011 年 9 月 16 日 株式会社日本総合研究所 創発戦略センター Copyright (C) 2011 The Japan Research Institute, Limited. All Rights Reserved.[tv1.0]

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3. 制度見直しの方向性 3-1. 送配電関連設備に係る費用の利用者間の負担 送配電網の利用者として 送配電網に接続している発電者と需要家が挙げられるが 現行制度上 送配電関連設備に係る費用は 発電側による電源接続時の初期費用負担を除き 需要側のみが負担 ( 小売電気事業者が託送料金を負担し それを

特別企画コンファレンス

1. 入札制度について (1) 総論 (1-1) 保証金における不可抗力事由の取扱い (1-2) 旧制度下の認定案件の失効状況 (2) バイオマス発電について (2-1) バイオマス液体燃料区分の取扱い ( 新規のバイオマス燃料種の取扱いを含む ) (2-2)2018 年度の入札量 (2-3) 石炭

監視手法に関する調査 分析 我が国の卸電力取引に係る競争状況 不正取引を監視し それを踏まえた対応を検討するための基礎資料として活用するため ( 6) の諸外国の規制当局や取引所に係る調査 分析を行う 調査に当たっては文献 インターネット 各国の規制当局及び取引所の関係者等へのヒアリングを通じ 幅広

熱効率( 既存の発電技術 コンバインドサイクル発電 今後の技術開発 1700 級 ( 約 57%) %)(送電端 HV 級 ( 約 50%) 1500 級 ( 約 52%

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第2回 制度設計専門会合 事務局提出資料

スマートグリッドと電気自動車

スライド 1

量割当て優先で容間接オークションの概要 間接オークション は 原則として全ての連系線利用を エネルギー市場の取引 (JEPX のスポット取引等 ) を介して行うこととする仕組み ( ) であり 2018 年度から導入予定 1 現行ルールでは 先着優先 で連系線の容量を割り当てている 現状において J

接続契約締結先 電源接続案件募集プロセスへの参加の有無 東京電力パワーグリッド株式会社 有 ( エリア名 : 栃木県北部 中部エリア ) 無 工事費負担金 20,000,000 円 ( 税抜き ) 連系工事期間 特定 ( 買取 ) 契約締結先 平成 29 年 9 月 25 日 ~ 平成 31 年 1

今回の調査の背景と狙いについて当社では国のエネルギー基本計画の中で ZEH 普及に関する方針が明記された 200 年より 実 邸のエネルギー収支を調査し 結果から見えてくる課題を解決することが ZEH の拡大につなが ると考え PV 搭載住宅のエネルギー収支実邸調査 を実施してきました 205 年

説明 年間断面におけるマージンの値 2 間接オークション導入が 2018 年 10 月 1 日からとなったことを踏まえ 10 月以降分のマージンについて間接オークション導入後に適用される送配電等業務指針に基づき設定する 変更後の送配電等業務指針では 実需給断面におけるマージンが必要な場合を除き 原則

電気事業分科会資料

目次 1. エネルギー基本計画見直しのポイント 2 2. エネルギー基本計画における電源別に見た論点 6 3. 電力システム改革の進捗状況 電力及び関連業界に与える影響 14 ご参考資料 17 1

. 石垣島における電力系統の概要 Copyright The Okinawa Electric Power Company, Incorporated. All Rights Reserved.

本日の議論 ( 背景等 ) 全面自由化された小売分野における健全な競争を促すためには 競争的な電源調達環境が必要不可欠 具体的には 相対取引 取引所取引などの形を問わず 小売電気事業者が如何に競争条件下で電源にアクセスできるかが重要となる こうした観点から これまでも 常時バックアップの導入 運用改

スライド 1

本日の内容 2 一般送配電事業者が電源 Ⅰ の公募調達を行うに当たり 広域機関は 一般送配電事業者が募集量を設定する際の基本となる考え方を示す必要がある 217 年度の調整力公募における電源 Ⅰ 必要量の基本的な考え方について改めて整理したので 電源 Ⅰ Ⅰ 必要量の考え方等についてご議論いただきた

資料 4 非化石価値取引市場について 2017 年 11 月 28 日 資源エネルギー庁

MARKALモデルによる2050年の水素エネルギーの導入量の推計

再生可能エネルギー発電と二次電池を導入した地域電力システムのシミュレーションによる設計

はじめに Ⅰ 豊かで活力ある経済社会を支えるエネルギー政策のあり方 はじめに Ⅰ 1 エネルギー政策に関する基本的考え方と現在のエネルギー情勢 (1) エネルギー問題は 国民生活と事業活動の基盤となる極めて重要な政策課題 (2) 安全性の確保を大前提に 安定供給 経済合理性 環境適合性のバランス S

既設風力発電事業の採算性(事業者)

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新たな電力市場と原発 石炭火力の問題点 特に容量市場について 2019 年 3 月 20 日 松久保肇 ( 原子力資料情報室 ) 1

2 制度改革前 (1995 年以前 ) 1995 年 ~ 電力システム改革後 (2016 年 ~) 新電力の販売電力量は 104.2 億 kwh 比率は 14.3%(2018 年 10 月現在 ) 自由化前は 5.2%

3 800 700 600 500 400 300 200 100 2018 年の電力卸取引所スポット市場の変動幅 (2018 年平均価格を 100 としたときの変動幅 ) 0 1/1 12/31 現状 容量が不足は発生していないが 需給ひっ迫時に価格の高騰が発生している 計画外停止や 燃料不足などで発電量が不足したこと一因 本来であれば卸電力取引所の上場商品で需給調整は十分に達成可能だが 現状は流動性が不十分なため 価格変動が大きく 指標性が不十分

4 再エネ発電時間帯は 市場価格が低下 稼働できない電源や収 益性が下がる電源が増 加 収益性低の電源の廃炉 適切に電源新設投資が 行われない 容量不足 市場価格の高止まり

5 卸電力市場ベースロード電源市場

6 電力需要 (kw) 容量市場 (kw 価値 ) 非化石価値取引市場 (kwh 単位 ) スポット市場 時間前市場 (kwh 価値 ) 調整力市場 (kwh 価値 ) 先渡市場 ベースロード電源市場 (kwh 価値 ) https://www.kepco.co.jp/energy_supply/supply/denkiyoho/availability/reference_juyou.html を加工

7 容量確保策の類型 日本もこれを導入する計画

8 容量市場とは? 発電側には一定の供給義務あり

9 容量市場にはだれが参加できてだれが負担するの? 取引対象年 ( 取引年 +4 年後 ) で容量に期待できる発電所は FIT 電源除きすべて参加可能 容量認定方法 : 水力 火力 原子力と VRE( 変動性再生可能エネルギー 太陽光 風力など ) では見積り方が違う 水力 火力 原子力 : 発電電力合計から 所内消費電力等を差し引いたもの VRE:L5 法 ( 過去 20 年間の最大 3 日平均電力発生日において 指定された時刻の発電出力下位 5 日分の平均値 ) により算出 市場参加者 売り手 : 発電事業者 買い手 : 電力広域的運営推進機関が目標調達量を一括して買い取り コスト負担 小売電気事業者と一般送配電事業者が費用支払い 最終的に消費者が負担する

10 容量市場の価格決定方法 日本では新設ガスコンバインドサイクル発電所を 40 年で回収する前提で計算 現時点での価格は 9307 円 /kw 仮に 9307 円で約定した場合 100 万 kw 級の発電所だと年間 93 億円をもらえることに! 指標価格 150% 指標価格 (Net CONE)

11 容量市場のコスト 現時点での Net CONE 価格は 9,307 円 /kw 現時点での容量市場開設は 2020 年 初回受け渡し年は 2024 年 現時点の必要供給力は約 1.8 億 kw 仮に 9,307 円で 1.8 億 kw を確保する場合 費用は約 1.67 兆円 ( ただし既存相対契約で KW 価値への対価とみなされる支払いがあった場合 容量市場での収益分は減額することが望ましいとの指針策定見込み ) 小売り事業者の負担額は ピーク容量時のシェアで決まる 費用発生は実需給の発生する 2024 年以降 ただし 経産省は 平均的 中長期的に見れば 容量市場の導入後も 小売事業者全体としての費用負担の範囲は変わらない ( 追加の負担を求める制度ではない ) と説明している 2010 年度末以前に建設された電源の容量確保契約金額に対する控除率 仮に 1.67 兆円を 2017 年度の販売電力量 8632 億 kwh で按分すると 1.93 円 /kwh ( 月間電力使用量 400~500kWh の場合 負担額は 773~967 円 )

12 英国の容量市場 どんな電源が落札したか? 2021-22の調達目標量 :46,300MW 調達量 :50,400MW 容量価格 : 8.40/kW 消費者負担: 4.23 億 ( 約 600 億円 ) 2018-19の価格は 19.4/kW 総額約 9.7 億 (1400 億円 ) 7926MW 4644MW 444MW 23022MW 2565MW 英国の原発設備容量は約 8000MW 英国の LNG 設備容量は約 35000MW 英国の石炭設備容量は約 3000MW https://home.kpmg/content/dam/kpmg/uk/pdf/2018/02/capacity-market-auction-results.pdf

13 PJM 新規 改修 再稼働 既存 米 PJM の容量市場 どんな電源が落札したか? 2021/22 の確保容量 :165,333MW 容量価格 :120 ドル /MW-d 消費者負担 :93 億ドル ( 約 1 兆円 ) 2021/22のオークション結果その他 Net CONE は 300 ドル /MW-d 前後 容量価格の 2 倍以上 この新規増加分が容量市場によるものか? むしろシェールガス革命の影響と考えた方が妥当では? 0 百万ドル 2,000 百万ドル 4,000 百万ドル 6,000 百万ドル 8,000 百万ドル DR Energy Efficiency Resources 輸入石炭ガス水力原子力石油太陽光廃棄物発電風力 PJM 過去オークション結果の推移 ( 左収益 右清算価格 ) 石炭 原子力シェア50% 近辺で推移直近では35% まで下落 100% $200 50% $100 0% 2007/ 2008 2008/ 2009 2009/ 2010 2010/ 2011 2011/ 2012 2012/ 2013 2013/ 2014 2014/ 2015 2015/ 2016 2016/ 2017 2017/ 2018 2018/ 2019 2019/ 2020 2020/ 2021 2021/ 2022 $0 DR Energy Efficiency Resources 輸入石炭ガス水力原子力石油太陽光廃棄物発電風力清算価格

14 350 300 英国の電力市場価格 (N2EX Day Ahead Auction) の変動幅比較 (2013 2018) ( 各年の平均価格を 100 としたときの変動幅 ) 2018 2013 250 200 150 100 50 0 1/1 12/31 容量市場導入後 (2018) でも電力市場のスパイクは発生

15 そもそも論 1 やれることはやったのか? 電源開発電源切り出し 電源開発の保有する発電所 1700 万 kw 中 62 万 kw しか市場に供給されていない 系統の有効活用 複数エリア 年度で予備率 8% を下回る予測 系統有効利用で予備率 8% を割るエリアは 0 新設電源分の予測への 組み入れ 未計上電源を盛り込むと 最も厳しい 2021 年 度でも余裕度は 9.1% 以上に

16 エリアの予備率将来予測複数エリア 年度で予備率 8% を下回る

17 連系線活用で予備率 8% を下回るエリアは 0 に https://www.occto.or.jp/kyoukei/torimatome/files/180330_kyoukei_torimatome.pdf

18 未計上電源を盛り込むと 余裕度はさらに増加 供給計画未計上電源は 1,170 万 kw 内 一般送配電事業者に系統アクセス申し込みがあり 工事計画届け出のある電源は 105 万 kw

19 そもそも論 2 負担の公平性 安全性 環境負荷 既設電源は国民負担で建設 = 容量市場で二重取り 電源の 8 割は 旧一電 電源開発が保有 初期費用を回収済みの電源が有利 = 老朽化原発や古い火力発電所の稼働延長にインセンティブを与える せめて 総括原価方式で投資回収が進んでいた電源については FIT 電源と同様の扱いをとるべき

20 そもそも論 3 容量市場は必要か? 送電網拡充や蓄電池の活用 DR 等で安定化は可能 火力 原子力を優遇する容量市場と再エネ主力化は矛盾 市場はいつまでも非効率か? 中長期に火力 原子力を優遇することの意味

21 改正電気事業法 ( 第 2 弾 ) における関連規定 第 28 条の40 推進機関は 第 28 条の4の目的を達成するため 次に掲げる業務を行う 一 ~ 四 ( 略 ) 五入札の実施その他の方法により発電用の電気工作物を維持し 及び運用する者を募集する業務その他の発電用の電気工作物の設置を促進するための業務を行うこと 六 ~ 十 ( 略 ) 現在 OCCTO にて 容量市場上場にともなう業務規程等の改定に関するパブリックコメントを実施中 (4 月 2 日まで )

22 まとめ 電力自由化のなかで 投資回収予見性が下がることで 一時的に容量不足に陥るリスクは存在 ただし 卸電力市場が成熟してくれば 投資回収予見性は高まる 容量市場の導入は固定費の回収が終わった = 老朽化した電源の稼働延長を促す 原発は老朽化してリスクの高いもの 火発は CO2 排出量の多いものの稼働継続を促す 日本の場合 電源は地域独占体制のもと 国民負担で建設 維持されてきた 結果 旧一電と電源開発が電源の 8 割を握る 容量市場は複雑かつ大規模なシステムであり 導入したら 撤退することは難しい リスクを過大に言い立てるのではなく まずはやれることをやってから考えるべき

23 0:00 1:00 2:00 3:00 L5 法で算定した場合 再エネは過小評価にならないか? K90 法や欧米で用いられるELCC 法など評価の方法はいろいろある 0:00 1:00 2:00 3:00 東京電力管区の夏のピーク需要発生日の電力供給推移 4:00 4:00 5:00 6:00 7:00 8:00 9:00 10:00 11:00 12:00 2018/7/23 九州電力管区の夏のピーク需要発生日の電力供給推移 5:00 6:00 7:00 8:00 9:00 10:00 11:00 12:00 13:00 13:00 14:00 14:00 15:00 15:00 16:00 16:00 17:00 17:00 18:00 18:00 19:00 19:00 20:00 20:00 21:00 21:00 22:00 22:00 23:00 23:00 万 kwh 6000 5000 4000 3000 2000 1000 0-1000 MWh 20000 15000 10000 5000 0-5000 2018/7/26 太陽光風力原子力火力水力地熱バイオマス揚水連系線