カリキュラムマネジメント 新学習指導要領をはじめとして 行政文書では カリキュラム マネジメント と表記されるが 学術論文では報告者を含めてカリキュラムとマネジメントを一体的に捉える意図などにより のない表記が多い 大阪教育大学田村知子

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Ⅰ 評価の基本的な考え方 1 学力のとらえ方 学力については 知識や技能だけでなく 自ら学ぶ意欲や思考力 判断力 表現力などの資質や能力などを含めて基礎 基本ととらえ その基礎 基本の確実な定着を前提に 自ら学び 自ら考える力などの 生きる力 がはぐくまれているかどうかを含めて学力ととらえる必要があ

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課題研究の進め方 これは,10 年経験者研修講座の各教科の課題研究の研修で使っている資料をまとめたものです 課題研究の進め方 と 課題研究報告書の書き方 について, 教科を限定せずに一般的に紹介してありますので, 校内研修などにご活用ください

市中学校の状況及び体力向上策 ( 学校数 : 校 生徒数 :13,836 名 ) を とした時の数値 (T 得点 ) をレーダーチャートで表示 [ ] [ ] ハンドボール ハンドボール投げ投げ H29 市中学校 H29 m 走 m 走 表中の 網掛け 数値は 平均と同等または上回っているもの 付き

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福祉科の指導法 単位数履修方法配当年次 4 R 2 年以上 科目コード EC3704 担当教員佐藤暢芳 ( 上 ) 赤塚俊治 ( 下 ) 2017 年 11 月 20 日までに履修登録し,2019 年 3 月までに単位修得してください 2014 年度までの入学者が履修登録可能です 科目の内容 福祉科

1 発達とそのメカニズム 7/21 幼児教育 保育に関する理解を深め 適切 (1) 幼児教育 保育の意義 2 幼児教育 保育の役割と機能及び現状と課題 8/21 12/15 2/13 3 幼児教育 保育と児童福祉の関係性 12/19 な環境を構成し 個々 1 幼児期にふさわしい生活 7/21 12/


Ⅲ 目指すべき姿 特別支援教育推進の基本方針を受けて 小中学校 高等学校 特別支援学校などそれぞれの場面で 具体的な取組において目指すべき姿のイメージを示します 1 小中学校普通学級 1 小中学校普通学級の目指すべき姿 支援体制 多様な学びの場 特別支援教室の有効活用 1チームによる支援校内委員会を

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2 研究の歩みから 本校では平成 4 年度より道徳教育の研究を学校経営の基盤にすえ, 継続的に研究を進めてきた しかし, 児童を取り巻く社会状況の変化や, 規範意識の低下, 生命を尊重する心情を育てる必要 性などから, 自己の生き方を見つめ, 他者との関わりを深めながらたくましく生きる児童を育てる

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習う ということで 教育を受ける側の 意味合いになると思います また 教育者とした場合 その構造は 義 ( 案 ) では この考え方に基づき 教える ことと学ぶことはダイナミックな相互作用 と捉えています 教育する 者 となると思います 看護学教育の定義を これに当てはめると 教授学習過程する者 と

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考え 主体的な学び 対話的な学び 問題意識を持つ 多面的 多角的思考 自分自身との関わりで考える 協働 対話 自らを振り返る 学級経営の充実 議論する 主体的に自分との関わりで考え 自分の感じ方 考え方を 明確にする 多様な感じ方 考え方と出会い 交流し 自分の感じ方 考え方を より明確にする 教師

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本年度の調査結果を更に詳しく分析するため 本道の課題となっている質問紙の項目について 継続して成果を上げている福井県 秋田県 広島県と比較した結果を示しています ( 全国を 100 とした場合の全道及び他県の状況をレーダーチャートで示したもの ) 1 福井県との比較 (~P51) 継続的に成果を上げ

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17 石川県 事業計画書

刊行に寄せて 青森県教育委員会では 小 中 高等学校 1 2 年間を見通した 縦の連携 を基軸とした学校教育を推進し 児童生徒の学力向上について取り組むべき方策を検討することを目的に 学力向上庁内戦略会議 を設置し 算数 数学 理科 英語の 3 教科について 児童生徒の学力向上に関する専門的な事項に

第 2 問問題のねらい青年期と自己の形成の課題について, アイデンティティや防衛機制に関する概念や理論等を活用して, 進路決定や日常生活の葛藤について考察する力を問うとともに, 日本及び世界の宗教や文化をとらえる上で大切な知識や考え方についての理解を問う ( 夏休みの課題として複数のテーマについて調

工業教育資料347号

教育 学びのイノベーション事業 ( 平成 23~25 年度 ) 総務省と連携し 一人一台の情報端末や電子黒板 無線 LAN 等が整備された環境の下で 教科指導や特別支援教育において ICT を効果的に活用して 子供たちが主体的に学習する 新たな学び を創造する実証研究を実施 小学校 (10 校 )

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(2) 平成 26 年度からの研究社会の変化に対応し未来を拓くために必要な 思考力 を育成するための新教科 未来思考科 を位置付けた教育課程, 新教科の指導内容, 指導方法及び評価方法についての研究開発を行っている 本校が考える 思考力 とは, 平成 24 年度に出された国立教育政策研究所のプロジェ

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必要性 学習指導要領の改訂により総則において情報モラルを身に付けるよう指導することを明示 背 景 ひぼう インターネット上での誹謗中傷やいじめ, 犯罪や違法 有害情報などの問題が発生している現状 情報社会に積極的に参画する態度を育てることは今後ますます重要 目 情報モラル教育とは 標 情報手段をいか

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(2) 国語 B 算数数学 B 知識 技能等を実生活の様々な場面に活用する力や 様々な課題解決のための構想を立て実践し 評価 改善する力などに関わる主として 活用 に関する問題です (3) 児童生徒質問紙児童生徒の生活習慣や意識等に関する調査です 3 平成 20 年度全国学力 学習状況調査の結果 (

(3) 指導観公民的分野は地理的分野と歴史的分野の学びの積み重ねによるところが大きい 用語や概念も高度化し 生徒の感想にも 難しい と感じるものが多くなっている そこで その難しいと感じる公民の用語などは積極的に用語集を活用し 難しい言葉に対する抵抗感を少しでも和らげるよう授業でも活用している また

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ている それらを取り入れたルーブリックを生徒に提示することにより 前回の反省点を改善し より具体的な目標を持って今回のパフォーマンスに取り組むことができると考える 同に そのような流れを繰り返すことにより 次回のパフォーマンス評価へとつながっていくものと考えている () 本単元で重点的に育成をめざす

単元構造図の簡素化とその活用 ~ 九州体育 保健体育ネットワーク研究会 2016 ファイナル in 福岡 ~ 佐賀県伊万里市立伊万里中学校教頭福井宏和 1 はじめに伊万里市立伊万里中学校は, 平成 20 年度から平成 22 年度までの3 年間, 文部科学省 国立教育政策研究所 学力の把握に関する研究

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はじめに 我が国においては 障害者の権利に関する条約 を踏まえ 誰もが相互に人格と個性を尊重し支え合い 人々の多様な在り方を相互に認め合える 共生社会 を目指し 障がいのある者と障がいのない者が共に学ぶ仕組みである インクルーシブ教育システム の理念のもと 特別支援教育を推進していく必要があります

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上に食に関する指導の充実が求められている 食環境の乱れが社会的課題とっている今日 中学生が食生活の自立を目指した学習をすることは大切なことであるので 本時は 自分や家族の食生活の中で見付けた問題点の改善に自主的に取り組むことができるように 指導を進めることにした 指導に当たっては これまでの学習を踏

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第 1 章高校教育を取り巻く現状と課題 2 高校教育を取り巻く現状と課題 (2) 県立高校の現状と課題 4 不登校生徒や中途退学者の状況 そのため, 高校と中学校 特別支援学校 地域の保健福祉部門等との連携を強化し, 教育相談体制を拡充するとともに, 生徒一人一人の自己肯定感の涵養や自己実現を積極的

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持続可能な教育の質の向上をめざして ~ 教員の多忙化解消プラン に基づく取組について ~ 平成 30 年 3 月 愛知県教育委員会

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カリキュラムマネジメント 新学習指導要領をはじめとして 行政文書では カリキュラム マネジメント と表記されるが 学術論文では報告者を含めてカリキュラムとマネジメントを一体的に捉える意図などにより のない表記が多い 大阪教育大学田村知子

カリキュラムマネジメントをどう捉えるか 教師の専門性に立脚した 学校主体のカリキュラム開発の分脈 1. 学校を基礎としたカリキュラム開発 (School Based Curriculum Development;SBCD) のマネジメントの側面 2. 教師を単なる カリキュラム ユーザー としてではなく カリキュラム メーカー / ディベロッパー としてみる 3. 1970 年代ごろ論じられた教育課程経営論を基盤として 1998 年前後に カリキュラムマネジメント の用語による研究が始められた 4. 1998/99 年学習指導要領改訂 総合的な学習の時間 創設と密接な関係がある ( 学校独自のカリキュラム開発が全ての学校に求められた )

カリキュラムマネジメントの定義 (1) 教育課程行政の裁量拡大を前提に 各学校が教育目標の具現化のために 内容 方法とそれを支える条件整備との対応関係を確保しながら ポジテイブな学校文化を媒介として カリキュラムを作り 動かし これを変えていく動態的な営みである 中留武昭 (2005) 学校改善に機能するカリキュラムマネジメント 日本教育制度学会 教育改革への提言集 第 4 集, 第 10 章 実践計画としての静的なカリキュラム観を超えて PDS 過程論を踏まえた動的なカリキュラム観を前提に 学校組織やそれと協働するコミュニティー団体等の教育目標を実践化するために 教育内容 方法上の指導系列としての教育活動と それを支援する条件整備系列の経営活動との 2 系列を 融合 してカリキュラムを開発 経営するトータルな活動 倉本哲男 (2008) アメリカにおけるカリキュラムマネジメントの研究 ふくろう出版,p.2 学校教育目標の実現に向けて カリキュラムを編成 実施 評価し 改善をはかる一連のサイクルを計画的 組織的に推進していく考え方であり手法である 天笠茂 (2013) カリキュラムを基盤とする学校経営 ぎょうせい,p.24 各学校の教育資源を最大限に活用し 教授 学習過程の最適化を志向する授業のクオリティ開発の取り組み 原田信之 (2017) 日本カリキュラム学会第 28 回大会課題研究 Ⅰ 報告 学力調査を生かしたカリキュラム評価のあり方 ドイツとの比較を通して 日本カリキュラム学会 カリキュラム研究 第 27 号,p.45

カリキュラムマネジメントの定義 (2) 学校の裁量権の拡大を前提として 学校の教育目標を実現化するために 教育活動 ( カリキュラム ) と条件整備活動との対応関係を 組織文化を媒介として PDS サイクルによって組織的 戦略的に動態化させる営み 田村知子 (2005) カリキュラムマネジメントのモデル開発 日本教育工学会論文集 29 巻 Supple 号, p.139 各学校が 学校の教育目標をよりよく達成するために 組織としてカリキュラムを創り 動かし 変えていく 継続的かつ発展的な 課題解決の営み 田村知子編著 (2011) 実践 カリキュラムマネジメント ぎょうせい, 2011,p.2 カリキュラムを主たる手段として 学校の課題を解決し 教育目標を達成していく営み 田村知子 (2014) カリキュラムマネジメントー学力向上へのアクションプラン 日本標準,p.12 各学校が教育目標を実現化するために 学校内外の諸条件 諸資源を開発 活用しながら 評価を核としたマネジメントサイクルによって カリキュラム開発と実践を組織的に動態化させる 戦略的かつ課題解決的な組織的営為である 田村知子 (2018) 第 3 章カリキュラム マネジメント研究の進展と今後の課題 日本教育経営学会編著 教育経営学の研究動向 学文社,p.24

教育活動経営活動法令 学習指導要領等実態把握課題設定 単元や授業の PDCA C 評価 A 改善 ア. 教育目標の具現化 イ. カリキュラムの PDCA C 評価 A 改善 出典 : 田村知子 2011 1 反映 2 成果 6 影響 学校内D 実施 P 計画 D 実施 P 計画 3 相互関係 8 リーダーシップ ( 人 物 財 組織と運営 時間 情報など ) 10 連携 協働 カ. 家庭 地域社会等 オ. リーダー 4 相互関係 7 リーダーシップ 9 リーダーシップ 11 規定 支援 5 相互関係 エ. 学校文化 + 個人的価値観 ( 組織文化 カリキュラム文化 生徒文化 校風文化 ) キ. 教育課程行政. 組織構造外ウ校

カリキュラムマネジメントの基軸 つながり 連関性と協働性をカリキュラムマネジメントの 基軸 と論じたのは 中留武昭 (2001) 総合的な学習の時間ーカリキュラムマネジメントの創造 日本教育綜合研究所 カリキュラム面の連関性マネジメント面の協働性カリキュラムとマネジメントをつなぐ 目標とカリキュラム 授業 目標と評価 授業と授業 単元と単元 学年間 教科と教科 総合 道徳 他 計画 実施 ( 授業 ) 評価 改善 計画 実施... 幼稚園 小学校 中学校 高校 学校の学びと生活経験 将来 子どもの中で学びがつながり 知の総合化 がおこっているか 教職員同士 ( 教科間 学年間..) 学校と保護者 保護者相互 学校と地域 保護者と地域 この学校と他の学校 ( 小中高校大学の接続など ) 子どもと教員 子どもと地域など 社会関係資本の有効性の実証化 ( 露口健司 2014 など ) 子どもの学びが自律的かつ協働的なものになっているか

カリキュラムマネジメントの基軸 カリキュラム面の連関性 つながり 単元配列表 はツールのひとつであり カリキュラム マネジメントではない 目標とカリキュラム 授業目標と評価授業と授業 単元と単元 学年間教科と教科 総合 道徳 他計画 実施 ( 授業 ) 評価 改善 計画 実施... 幼稚園 小学校 中学校 高校 学校の学びと生活経験 将来 めざすのは 学習の転移 子どもの中で学びがつながり 知の総合化 がおこっているか

カリキュラムマネジメントの意義 学習指導要領の主旨は 学校の校門 教室のドアで止まる? 制度改革 - 教室の実践 学習理論の発展 教室の実践 流す授業? やりっぱなしの授業? 教科書をこなす授業 教科書を教える授業? 大断絶? ぎこちない関係? 教科の学びと総合的な学習の時間の学びがつながっていない? 学年間で学びがつながっていない? 求められる 教科書がない教育活動 横断的な学習の充実 教育課程全体で資質 能力を育てること 活動的だが学びの浅い アクティブ ラーニング に陥る危険性の指摘 マネジメントとは 実行すること 人を通してパフォーマンスすること Joan Magretta 2001 学校の先生方は 勤務校の課題 教育目標 力を入れている授業の在り方など 自分の言葉で語れるだろうか?

カリキュラムマネジメントが機能していない例 ( 授業レベル ) 単に教科書や指導書の内容を順番にこなす いわば 教科書を教える 授業 今日は教科書 ページから と始まり 目標やねらいがない授業 教師にはねらいがあっても それが児童生徒には伝わらない授業 1 単位時間ごとの授業は意図的 計画的かつ工夫されたものであっても 中長期的に育成する資質 能力の視点が弱い, 本時主義 の授業 キャリア教育 国際理解教育 環境教育 食育 健康教育 人権教育. といった多様な教科横断的な教育課題について 総合的な学習の時間等の 1 単位時間を使って 単発的 イベント的に対応する授業 カリキュラムマネジメントが機能している例 ( 授業レベル ) 児童生徒が 何を どのように学び 何を身に付けるか を考え そのために 教科書を使って教える 授業 教師はもちろん児童生徒も 本時や単元のねらいや目標 学習課題などを意識しながら臨む授業 ねらいに迫る本質的な問いや 学びの振り返りのある授業 ひとつの単元全体, あるいは複数単元を見通し 個別的知識やスキル 概念や方略 原理をいつどのような手順で学習させるのかが設計された授業 既習事項や今後学ぶ単元との系統性や他教科等との関連性を考慮し 中長期的に育成する資質 能力 ( 目標 ) が意識された授業 教科横断的な教育課題について 総合的な学習の時間や課題研究等を核としながら 各教科 領域における関連単元を見出し 教育課題や学習対象に多面的 多角的 総合的にアプローチし 生徒の知の総合化を図る授業

カリキュラムマネジメントの基本的な方法 1 学校課題と教育目標を明らかにして共有化を図る 2 評価を核としたマネジメントサイクルをつくる ( 開発の前提 改善だけでなく 取組を継続 発展させることも重要 ) 3 教育内容 方法上の 連関性 を確保する 41や3の手法として カリキュラムに関わる各種文書の工夫 ( 年間指導計画 週案 本時案 家庭学習の手引きなどの工夫により 見える化 を図る ただし 作成することが目的とならないよう要注意) 5 組織運営上 ( 学校内および学校外 ) の 協働性 ( 協働体制と協働的な組織文化 ) をつくる 6カリキュラムの計画段階や評価段階への参画の促進により 関係者の当事者性を高め 主体的な取り組みにする ( 全員の主体的な関与を促すツールとして ワークショップ型研修は有効 ワールドカフェ アプリシエイティブ インクワイアリーなども着目されている )

目標 計画と連動 ( 参考資料 ) 評価計画に従った評価蓄積した評価データの活用 子どもの姿 を語り合う C ( 評価 ) 評価の過程で改善策を立案次年度の計画の土台とする他校の実践も参考 ( 日頃の情報収集 ) A ( 維持 改善 ) 形成的評価に基づいた単元計画の修正とその記録 目標 計画と連動 D ( 実施 ) A C P 評価規準 基準を意識した授業形成的評価を生かした指導評価データの蓄積研究授業による検証子どもによる評価 単元のサイクル 年間のサイクル D 出典 : 田村知子 2011 P ( 計画 ) C A P 段階への教職員の参画 目標と連動評価の計画 評価規準 基準の作成評価方法 評価時期の設定評価データ蓄積の方法の設定指導要録 通知表の方針決定

まとめに変えて カリキュラムマネジメントは特別なことではない 当たり前のこと やってきたことも多い しかし 今一度 実践を見直してみる価値はある カリキュラムマネジメントは手続きではない ( 基本的な方法もあるけれど ) 考え方が大事 ( 応用可能 ) 学校づくりの戦略である カリキュラムマネジメント自体は目的ではない 子どもの学びのマネジメントが目的 カリキュラムマネジメントは 管理職だけの仕事 ではない 授業に関わる者すべてがその主体である

本資料のうち 報告者著作に関する内容は 以下の図書を参照ください ( 一般書のみ掲載 ) 1) 田村知子 村川雅弘 吉冨芳正 西岡加名恵 カリキュラムマネジメント ハンドブック ぎょうせい,2016 2) 田村知子著 カリキュラムマネジメント - 学力向上へのアクションプラン 日本標準,2014 3) 田村知子編著 実践 カリキュラムマネジメント ぎょうせい,2011 ( 理論解説と 15 の小中学校実践事例 : 言語活動 読解力 キャリア教育 道徳 小中一貫教育 スタートカリキュラム 総合的な学習の時間 体力づくり 特別支援教育 別室登校 カリキュラム管理室他 ) 4) 中留武昭 田村知子 カリキュラムマネジメントが学校を変える 学事出版,2004 ( 理論解説と高等学校の実践事例 ) 5) 原田信之編著 カリキュラム マネジメントと授業の質保証 北大路書房,2018 ( 田村は序章を担当 本書は 8 カ国のカリキュラムマネジメントを比較検討 ) 6) 村川雅弘 田村知子 東村山市立大岱小学校編著 学びを起こす - 授業改革困難校をトップ校へ導いた 大岱システム の奇跡 ぎょうせい,2011 (( 言語活動の充実化を中心として飛躍的な学力向上に成功した学校 授業 校内研究 カリキュラムマネジメントの視点から多角的に分析 ) 7) 田村知子 第 3 章カリキュラム マネジメント研究の進展と今後の課題 日本教育経営学会編著 教育経営学の研究動向 学文社,2018,pp.24-35