日本内科学会雑誌第97巻第7号

Similar documents
第86回日本感染症学会総会学術集会後抄録(I)

ヒト慢性根尖性歯周炎のbasic fibroblast growth factor とそのreceptor

Ł\”ƒ-2005

第90回日本感染症学会学術講演会抄録(I)

Microsoft PowerPoint FCM.....p2005.htm

Microsoft Word - Dr. Abe.doc

( 様式甲 5) 学位論文内容の要旨 論文提出者氏名 論文審査担当者 主査 教授 森脇真一 井上善博 副査副査 教授教授 東 治 人 上 田 晃 一 副査 教授 朝日通雄 主論文題名 Transgene number-dependent, gene expression rate-independe

1-4. 免疫抗体染色 抗体とは何かリンパ球 (B 細胞 ) が作る物質 特定の ( タンパク質 ) 分子に結合する 体の中に侵入してきた病原菌や毒素に結合して 破壊したり 無毒化したりする作用を持っている 例 : 抗血清馬などに蛇毒を注射し 蛇毒に対する抗体を作らせたもの マムシなどの毒蛇にかまれ

_0212_68<5A66><4EBA><79D1>_<6821><4E86><FF08><30C8><30F3><30DC><306A><3057><FF09>.pdf

の感染が阻止されるという いわゆる 二度なし現象 の原理であり 予防接種 ( ワクチン ) を行う根拠でもあります 特定の抗原を認識する記憶 B 細胞は体内を循環していますがその数は非常に少なく その中で抗原に遭遇した僅かな記憶 B 細胞が著しく増殖し 効率良く形質細胞に分化することが 大量の抗体産

33 NCCN Guidelines Version NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology (NCCN Guidelines ) (NCCN 腫瘍学臨床診療ガイドライン ) 非ホジキンリンパ腫 2015 年第 2 版 NCCN.or

メディカルスタッフのための白血病診療ハンドブック

tnbp59-21_Web:P2/ky132379509610002944

医学部医学科 2 年免疫学講義 10/27/2016 第 9 章 -1: 体液性免疫応答 久留米大学医学部免疫学准教授 溝口恵美子

日本内科学会雑誌第98巻第4号

日本内科学会雑誌第97巻第7号

イルスが存在しており このウイルスの存在を確認することが診断につながります ウ イルス性発疹症 についての詳細は他稿を参照していただき 今回は 局所感染疾患 と 腫瘍性疾患 のウイルス感染検査と読み方について解説します 皮膚病変におけるウイルス感染検査 ( 図 2, 表 ) 表 皮膚病変におけるウイ

Microsoft Word - A7_白血病タイピングR.DOC

く 細胞傷害活性の無い CD4 + ヘルパー T 細胞が必須と判明した 吉田らは 1988 年 C57BL/6 マウスが腹腔内に移植した BALB/c マウス由来の Meth A 腫瘍細胞 (CTL 耐性細胞株 ) を拒絶すること 1991 年 同種異系移植によって誘導されるマクロファージ (AIM

10,000 L 30,000 50,000 L 30,000 50,000 L 図 1 白血球増加の主な初期対応 表 1 好中球増加 ( 好中球 >8,000/μL) の疾患 1 CML 2 / G CSF 太字は頻度の高い疾患 32

研修コーナー

パーキンソン病治療ガイドライン2002

図 B 細胞受容体を介した NF-κB 活性化モデル

本文/目次(裏白)

の活性化が背景となるヒト悪性腫瘍の治療薬開発につながる 図4 研究である 研究内容 私たちは図3に示すようなyeast two hybrid 法を用いて AKT分子に結合する細胞内分子のスクリーニングを行った この結果 これまで機能の分からなかったプロトオンコジン TCL1がAKTと結合し多量体を形

読んで見てわかる免疫腫瘍

Microsoft PowerPoint - 2_(廣瀬宗孝).ppt

PowerPoint プレゼンテーション

福島県のがん死亡の年次推移 福島県におけるがん死亡数は 女とも増加傾向にある ( 表 12) 一方 は 女とも減少傾向にあり 全国とほとんど同じ傾向にある 2012 年の全のを全国と比較すると 性では高く 女性では低くなっている 別にみると 性では膵臓 女性では大腸 膵臓 子宮でわずかな増加がみられ

MTX を使用している患者に発症するリンパ増殖性疾患は WHO 分類では 移植後リンパ増殖性疾患や HIV 感染に伴うリンパ増殖性疾患と類縁の Other iatrogenic immunodeficiency associated LPD に分類されている 関節リウマチの治療は 近年激変し 早期の

60 秒でわかるプレスリリース 2006 年 4 月 21 日 独立行政法人理化学研究所 敗血症の本質にせまる 新規治療法開発 大きく前進 - 制御性樹状細胞を用い 敗血症の治療に世界で初めて成功 - 敗血症 は 細菌などの微生物による感染が全身に広がって 発熱や機能障害などの急激な炎症反応が引き起

学位論文要旨 牛白血病ウイルス感染牛における臨床免疫学的研究 - 細胞性免疫低下が及ぼす他の疾病発生について - C linical immunological studies on cows infected with bovine leukemia virus: Occurrence of ot

免疫組織化学染色

1. 免疫学概論 免疫とは何か 異物 ( 病原体 ) による侵略を防ぐ生体固有の防御機構 免疫系 = 防衛省 炎症 = 部隊の派遣から撤収まで 免疫系の特徴 ⅰ) 自己と非自己とを識別する ⅱ) 侵入因子間の差異を認識する ( 特異的反応 ) ⅲ) 侵入因子を記憶し 再侵入に対してより強い反応を起こ

サイトメトリー12-1.indd

第58回日本臨床細胞学会 Self Assessment Slide

Erased_PDF.pdf

表 1 主な上皮性マーカー AE1/AE3 汎上皮マーカー 上皮性腫瘍の診断 肉腫などにも陽性の場合あり. 肝細胞癌には陰性 CAM5.2 低分子量サイトケラチン小細胞癌や肝細胞癌の診断扁平上皮癌などには陰性 34βE12 高分子量サイトケラチン 前立腺癌の診断 ( 基底細胞の有無 ). 基 底細胞

東邦大学学術リポジトリ タイトル別タイトル作成者 ( 著者 ) 公開者 Epstein Barr virus infection and var 1 in synovial tissues of rheumatoid 関節リウマチ滑膜組織における Epstein Barr ウイルス感染症と Epst

H26分子遺伝-19(免疫系のシグナル).ppt

日本内科学会雑誌第102巻第4号

dr

( 様式甲 5) 学位論文内容の要旨 論文提出者氏名 論文審査担当者 主査 教授 大道正英 髙橋優子 副査副査 教授教授 岡 田 仁 克 辻 求 副査 教授 瀧内比呂也 主論文題名 Versican G1 and G3 domains are upregulated and latent trans

H28_大和証券_研究業績_C本文_p indd

O1-1 O1-2 O1-3 O1-4 O1-5 O1-6

八村敏志 TCR が発現しない. 抗原の経口投与 DO11.1 TCR トランスジェニックマウスに経口免疫寛容を誘導するために 粗精製 OVA を mg/ml の濃度で溶解した水溶液を作製し 7 日間自由摂取させた また Foxp3 の発現を検討する実験では RAG / OVA3 3 マウスおよび

H26分子遺伝-20(サイトカイン).ppt

放射線専門医認定試験(2009・20回)/HOHS‐05(基礎二次)

研究目的 1. 電波ばく露による免疫細胞への影響に関する研究 我々の体には 恒常性を保つために 生体内に侵入した異物を生体外に排除する 免疫と呼ばれる防御システムが存在する 免疫力の低下は感染を引き起こしやすくなり 健康を損ないやすくなる そこで 2 10W/kgのSARで電波ばく露を行い 免疫細胞

プログラム

dr

第5章 体液

ROCKY NOTE 血球貪食症候群 (130221) 完全に知識から抜けているので基本的なところを勉強しておく HPS(hemophagocytic syndrome) はリンパ球とマクロファージの過剰な活性

報道発表資料 2006 年 6 月 21 日 独立行政法人理化学研究所 アレルギー反応を制御する新たなメカニズムを発見 - 謎の免疫細胞 記憶型 T 細胞 がアレルギー反応に必須 - ポイント アレルギー発症の細胞を可視化する緑色蛍光マウスの開発により解明 分化 発生等で重要なノッチ分子への情報伝達

PowerPoint プレゼンテーション

解禁日時 :2019 年 2 月 4 日 ( 月 ) 午後 7 時 ( 日本時間 ) プレス通知資料 ( 研究成果 ) 報道関係各位 2019 年 2 月 1 日 国立大学法人東京医科歯科大学 国立研究開発法人日本医療研究開発機構 IL13Rα2 が血管新生を介して悪性黒色腫 ( メラノーマ ) を

PowerPoint プレゼンテーション


Microsoft PowerPoint - WAK Flow H20 [互換モード]

本日の内容 HbA1c 測定方法別原理と特徴 HPLC 法 免疫法 酵素法 原理差による測定値の乖離要因

モノクローナル抗体とポリクローナル抗体の特性と

2017 年 8 月 9 日放送 結核診療における QFT-3G と T-SPOT 日本赤十字社長崎原爆諫早病院副院長福島喜代康はじめに 2015 年の本邦の新登録結核患者は 18,820 人で 前年より 1,335 人減少しました 新登録結核患者数も人口 10 万対 14.4 と減少傾向にあります

【参考文献】

報道発表資料 2006 年 4 月 13 日 独立行政法人理化学研究所 抗ウイルス免疫発動機構の解明 - 免疫 アレルギー制御のための新たな標的分子を発見 - ポイント 異物センサー TLR のシグナル伝達機構を解析 インターフェロン産生に必須な分子 IKK アルファ を発見 免疫 アレルギーの有効

<4D F736F F F696E74202D2097D58FB08E8E8CB1838F815B834E F197D58FB E96D8816A66696E616C CF68A4A2E >

日本組織適合性学会誌第20巻2号

一次サンプル採取マニュアル PM 共通 0001 Department of Clinical Laboratory, Kyoto University Hospital その他の検体検査 >> 8C. 遺伝子関連検査受託終了項目 23th May EGFR 遺伝子変異検

RNA Poly IC D-IPS-1 概要 自然免疫による病原体成分の認識は炎症反応の誘導や 獲得免疫の成立に重要な役割を果たす生体防御機構です 今回 私達はウイルス RNA を模倣する合成二本鎖 RNA アナログの Poly I:C を用いて 自然免疫応答メカニズムの解析を行いました その結果


日本医科大学医学会雑誌第7巻第2号

研究成果の概要 今回発表した研究では 独自に開発した B 細胞初代培養法 ( 誘導性胚中心様 B (igb) 細胞培養法 ; 野嶋ら, Nat. Commun. 2011) を用いて 膜型 IgE と他のクラスの抗原受容体を培養した B 細胞に発現させ それらの機能を比較しました その結果 他のクラ

DLST の実際実際に DLST を行う手順を簡単にご説明します 患者末梢血をヘパリンや EDTA 添加の採血管で採取します 調べる薬剤の数によって採血量は異なりますが, 約 10 20mL 採血します. ここからフィコール比重遠心法により単核球を得て 培養液に浮遊し 96 穴プレートでいろいろな薬

Transcription:

図 1. 細胞膜の構造と, 表面抗原 非表面抗原の区分.

表 1. 診断上重要となる主な悪性リンパ腫関連マーカー ( 非細胞表面マーカーには * を付す ) 全般 CD45 CD34 TdT * CD30 ALK1 EMA bcl2 * cyclind1 * MIB1(Ki-67) * T 細胞関連 CD1a CD2 CD3 CD5 CD7 Tcelreceptor CD4 CD8 granzymeb * TIA-1 * LCA: 白血球共通抗原造血前駆細胞リンパ球前駆細胞 ( 核 ) 活性化抗原 Hodgkin リンパ腫 未分化大細胞性リンパ腫キナーゼ上皮系抗原, 活性化抗原 ALCL 非胚中心 Bリンパ球,T リンパ球 ( 細胞質 ) 細胞周期関連蛋白 ( 核 ) mantlecel lymphoma 同上, 増殖マーカー ( 核 ) 胸腺 T リンパ球,Langerhans 組織球汎 T リンパ球系抗原同上同上同上同上 (αβ 型 /γδ 型 :T リンパ球系であることを確定する抗原 ) ヘルパー T リンパ球, 単球 ( 弱陽性 ) 細胞傷害性 T リンパ球細胞傷害蛋白 ( 細胞質 ) 同上 :T-celrestricted intracelular antigen-1( 細胞質 ) NK 細胞関連 CD56 CD16 CD57 B 細胞関連 CD10 CD19 CD20 CD22 CD79a * PAX5 * Immunoglobulin CD21 CD23 FMC7 CD 38 CD138 bcl6 * MUM1 * 汎 NK 抗原, 神経系細胞 (NCAM) 汎 NK 抗原, 好中球 NK 細胞, 神経系細胞の一部前駆 / 胚中心 Bリンパ球汎 Bリンパ球系抗原同上同上同上 ( 細胞質 ) 同上 ( 核 ) 同上 ( 重鎖 / 軽鎖 ) EBV 受容体, 濾胞樹状細胞 B-CLL/SLL, 濾胞樹状細胞非 B-CLL/SLL 系抗原形質細胞, 胸腺 Tリンパ球形質細胞胚中心 Bリンパ球 ( 核 ) 非胚中心 Bリンパ球 ( 核 ) 帰属等とは異なって, より密接している腫瘍や亜型がある場合は 内に示す

μ 図 2. 浮遊細胞 ( フローサイトメトリー ) と組織切片 ( 免疫組織化学 ) における, 抗体による抗原認識部位の違い. フローサイトメトリーでは検出目的の物質 (= マーカー = 抗原 ) に特異的な抗体に蛍光色素が直接標識されており, 免疫組織化学ではその次にビオチン標識した二次抗体, 最後にアビジン ビオチン ペルオキシダーゼ (POX) 複合体を反応性させる方法が一般的である.

表 2. 悪性リンパ腫のフローサイトメトリーで abnormalcelpopulation(acp) を見出す手がかり Immunophenotype-Ⅰ 免疫グロブリン軽鎖の発現による偏り (lightchainrestriction) の有無を見る. 反応性の正常 B リンパ球の場合は kappa 鎖と lambda 鎖の陽性細胞が混在している ( 図 4a) が, 大部分の B 細胞性リンパではいずれかに偏る ( 図 4b) ことから ACP が存在するものと判断できる. それを lightchainrestriction(lcr) といい, 一般的に kappa 鎖が lambda 鎖の 3 倍以上か lambda 鎖が kappa 鎖の 2 倍以上陽性の細胞が存在することをもって判断する. Immunophenotype-Ⅱ 正常細胞とは異なる抗原発現様式を示す群の有無を見出す方法 :(a) 汎 T 細胞系抗原 (CD2,CD3,CD5,CD7,TCRαβ 鎖 ) や汎 B 細胞系抗原 (CD19,CD20,CD22,CD79a) のうち,1 つないしそれ以上の抗原が発現していない場合,(b) 異系列の抗原が出現している場合. Immunophenotype-Ⅲ 末梢のリンパ装置では存在しないか極端に少ない細胞 (CD1a 陽性 T リンパ球,CD4 + CD8 + 細胞,γδT リンパ球, NK 細胞, 顆粒球や単球等 ) が, 特に大型細胞群において検体の全体の 10~ 20% を越えた場合,ACP であることが多い.

λ κ γδ αβα

λ λ κ κ 図 4.kappa 鎖 (FITC 標識抗体 : 横軸 ) と lambda 鎖 (phycoerythrin 標識抗体 : 縦軸 ) のフローサイトメトリーの結果 ( 二次元展開図 ). 反応性リンパ節 (a) では kappa + 細胞が若干多いものの基本的には両者が混在しているが,B 細胞性リンパ腫 (b) では明らかかつほぼ完全に kappa 鎖側にシフトしている [= 反応性パターンで存在する lambda 鎖群があるべきところ (= 水色の点線部 ) にドットの集中が無い ] ため abnormalcel population と判断できる. 図 5.CD2(FITC 標識抗体 : 横軸 ) と CD7(phycoerythrin 標識抗体 : 縦軸 ) のフローサイトメトリーの結果 ( 二次元展開図 ). 左 : 反応性リンパ節 (a) では CD2 と CD7 の双方に陽性を示す正常の反応性 T リンパ球が一つの集団として右上方の象限に存在する. 右 : 一方, ある種の T 細胞性リンパ腫では CD2 陽性 CD7 陰性という群が右下の象限に abnor malcelpopulation として観察される [= 反応性パターンで存在する CD2+ CD7+ 群があるべきところ (= 水色の点線部 ) にドットの集中が無い ] が, このような一群は反応性リンパ節では見られない.

γδ αβ 表 3. フローサイトメトリーの各チャートを読図する際のポイント 右上がり 45 度の像 ( 灰色部分 ) は非特異的な反応 ( 主に Fcreceptor 等による ) を意味している. 原則として に群は見られないので kappa 鎖と lambda 鎖を共に発現するリンパ腫であることを示すには慎重を要する. kappa 象限,lambda 象限にそれぞれ偏った群があれば lightchainrestriction を意味する. 他のチャートで B 細胞陽性群が優勢なのにもかかわらずその割合より kappa 象限と lambda 象限の和が著しく少ない時は, 免疫芽球 / 形質細胞が多いか B 細胞性腫瘍であることを意味する. 後者の場合は抗体の種類を ( 例えば polyclonal 抗体に ) 変えてみることも一法である. リンパ球増殖性病変においては CD45 陽性細胞が大部分を占めていることを確認する. 特に大型細胞群において CD45 陰性細胞が有意になったら非白血球系腫瘍を考える. 正常リンパ球より弱い蛍光強度を示す CD45 陽性群が出現している場合はリンパ芽球性リンパ腫, 大型細胞群で CD45 が陰性の場合は非白血球系病変の可能性がある. 反応性の場合,Bリンパ球は の様な群となり,CD45 象限には Bリンパ球以外が群をなす. CD22は CLL/SLL で弱陽性になることが多いとされているが, それ以外の B 細胞性リンパ腫でも減弱ないし陰性になることがある. B 細胞性リンパ腫 ( 特にリンパ芽球性 ) や顆粒球肉腫でそれぞれ CD13 と CD19 が aberant に発現する場合, 象限に細胞群がみられることになる. CD13 象限のみに陽性を示す群の sidescattergram のシグナルが低ければ (= 顆粒成分が少ないことを反映 ) 腫瘍性の可能性が高い. CD19 発現の有無にかかわらず,CD13 陽性群がある場合は,CD34,CD33,MPO の検索を追加して骨髄球系か否かを確認する. CD5 とCD20 が共陽性を示す群が 象限にみられるのはCLL/SLL,mantlecellymphoma,CD5 陽性のdifuselargeB-cellymphomaが主であり, いずれも多くの場合,CD5の発現( 蛍光 ) 強度はCD5 象限のTリンパ球のそれよりも若干弱い. この場合,FMC7 とCD23 を追加してCLL/SLL と鑑別する. かなり稀だが,CD20 陽性の T 細胞性リンパ腫の場合も 群に細胞群が生じる. CD20 の発現強度は時に二峰性を示すが, 反応性と腫瘍性の双方の場合があり, 前者の意義付けは不明である. 形質細胞( 正常では CD20 が陰性 ) がかなり多くなると,CD20 の陽性率は CD19 や CD22 のそれよりも有意に少なくなる. CD10 陽性の T 細胞性リンパ腫細胞群 ( 特に angioimmunoblastictcellymphoma の場合に生じる ) が 象限に無いかどうかチェックする. CD10 象限のみに陽性群をみるのは正常の胚中心 Bリンパ球か CD10 陽性 B 細胞性リンパ腫, ないし CD10 陽性 T 細胞性リンパ腫ながら CD2 が欠失した場合等であるが, 前 2 者については κ 鎖 λ 鎖の lightchainrestriction 等で確認する. 反応性の場合は のように Tリンパ球が一群となる. 蛍光強度がずれて 2 群に分離する現象は腫瘍性病変でみられ易いが, 反応性でも時に生じることがある. CD7 象限か TCRαβ 象限のいずれかに明瞭な偏りを示す細胞群があれば腫瘍性といえる. NK 細胞性のリンパ腫細胞の場合,CD56 象限ないし 象限に細胞群が生じる. ただ, 反応性の場合でも NK 細胞群 10~ 20% 程度混じることがあるので, 大型細胞群においてそれが優勢になれば腫瘍性の可能性がかなり高まる. 大型細胞群において CD56 象限のみに有意な群が偏った場合は,CD56 が陽性の B 細胞性リンパ腫か非造血器系腫瘍 ( 対照は小細胞性未分化癌や筋原性 / 神経原性肉腫等 ) を考えるが,CD45 や B 系抗原が陰性であれば後者となる. 免疫グロブリン軽鎖とは異なり,CD4ないしCD8のいずれか一方に極端に偏った群が出現しても, それのみで腫瘍性と断定することはできない. もちろんT 細胞性リンパ腫の表現型を反映していることもあり得る. CD4 とCD8 が共陽性を示す群を 象限に見た場合, 或いはT 系抗原が優勢なのにもかかわらずそれらが共陰性の場合,T-LBLか ATLL を考え, それぞれCD1a/CD34/TdT,HLA-DR/CD25 等を追加する. 汎 T 系抗原陽性細胞がかなり低率であるにもかかわらずCD4 弱陽性群が有意な場合は単球系の存在を考える. CD8 が極端に優勢の場合, 断定はできないものの EB virus 感染に伴う反応性変化,Hodgkin リンパ腫や癌との共存等も考えられるが一定していない. CD30,TCRγδ 陽性細胞が大型細胞群においてかなり優勢な群として出現するのは, それぞれ未分化大細胞性リンパ腫,γδT 細胞性リンパ腫の場合である. ホジキン細胞ではゲーティングを工夫すれば少数の CD30 陽性細胞が得られることがある. 反応性リンパ球増殖病変では細胞群が生じないか,minorpopulation をみるに過ぎない象限. CLL:chroniclymphocyticleukemia,SLL:smallymphocyticlymphoma,T-LBL:T-cellymphoblasticlymphoma, ATLL:adultT-celleukemia/lymphoma.

表 4. フローサイトメトリーの読図結果を示すための Pattern 分類 Pattern5/Neoplastic RightChainRestricted AberantorExpandedPopulation Myelo-Monocytic CD56 only Pattern4/ProbablyNeoplastic Pattern3/Atypical AtypicalT WhenCD1a-positivecelsandCD4 + CD8 + celsarepredominantbyflow cytometry,itis quitedificulttodistinguishthymomaorprecursort-lymphoblasticlymphomawithoutclear lackofpan-t-celantigen(s)ordefiniteaberancy.therefore,suchresultisclassifiedhere. Langerhanshistiocytosis,CD1a + andcd4 +,isalsoincluded. Pattern2/Reactivewith(a)PredominantComponent(s) Pattern1/Reactive Pattern0/Insuficientmaterialforanalysis