持続可能な紙利用のためのコンソーシアム (CSPU) 主催 シンポジウム 富士ゼロックスの用紙調達活動について 2016 年 7 月 8 日 総務部環境経営グループ 鈴木克彦
< 本日お話すること> 弊社 富士ゼロックスの概要 1. 用紙の環境配慮 1.1. 富士ゼロックスの基本的な考え方 1.2. 環境に配慮した商品づくりの歴史 2. 用紙のトレーサビリティ強化の動き 2.1. 社会からの要請 2.2. 持続可能な調達を目指して 3. 今後の課題
富士ゼロックスの概要 設立 :1962 年 2 月 資本金 :200 億円 株主構成 : 富士フイルムホールディングス 75%, ゼロックス リミテッド ( 英国 ) 25% 従業員数 : 単体 : 8,530 人 連結: 46,945 人 (2015 年 3 月末現在 ) 富士ゼロックスの営業領域 3 2011 Fuji Xerox Co., Ltd. All rights reserved.
富士ゼロックスの事業の歩み 1960 年代 1970 年代 1980 年代 1990 年代 2000 年代 市場独占期競合参入 市場拡大期デジタル化 カラー化高機能化 次の 50 年へ カラ - 化 サービス ソリューション 海外展開加速 デジタル化 環境性能追求 ライトレンズの時代 1962 年操業 2012 年創立 50 周年 4 2011 Fuji Xerox Co., Ltd. All rights reserved.
1. 用紙の環境配慮 1.1. 富士ゼロックスの基本的な考え方 n 1999 年 お客様や社会の環境保全活動に貢献することにおいて世界のトップレベルを目指すという意志を込めて 国内外の富士ゼロックスおよび関連会社で共有するビジョンを制定しました 富士ゼロックスの環境保全の活動のすべてはこのビジョンの達成を目指しています 私たちが目指すもの 知の創造と活用をすすめる環境の構築 世界の相互信頼と文化の発展への貢献 一人ひとりの成長の実感と喜びの実現 楽しむ心 信頼と思いやり 冒険心 多様性の尊重 お客様の満足 連携 環境 私たちが大切にすること プロフェショナリズム 高い倫理観 科学的思考 エコロジー & セーフティビジョン富士ゼロックスおよび関連会社は 環境との調和を最大限に尊重した活動を事業のあらゆる側面で展開し 安全で環境にやさしい商品 サービスおよび情報を提供することにより お客様や社会の環境保全活動に貢献することにおいて世界のトップレベルを実現する エコロジー & セーフティ基本方針 1. 法規制 自主規制の順守 6. 環境マーケティングの実践 2. 省資源 / 省エネルギーへの取り組み 7. 情報の公開 3. 最新技術の開発 導入 8. 不測の事態への対応 4. 管理システムの改善 強化 9. 教育 啓発 5. 社会との調和の向上 10. パートナーとの協業 5
DHC_ D 1. 用紙の環境配慮 1.2. 環境に配慮した商品づくりの歴史 n 富士ゼロックスは 創立時から現在に至るまで社会環境の変化への対応とあるべき商品の姿を目指し 用紙の開発と環境保全に向けた活動を続けています 富士ゼロックス用紙の環境対応活動 l 用紙の全面中性紙化 l 本格的リサイクル用紙導入 l ニュージーランド植林事業参加 l 国内初 FSC 認証紙 C 2 導入 l 環境 健康 安全に関する調達規程 制定 ( 用紙調達基準 ) l 自社植森林パルプ配合 FSC 認証紙 FR 導入 l グリーン購入法対応 G70 導入 l 省資源対応 FSC 認証紙 SP 導入 l グリーン購入法対応 GR100 導入 l グリーン購入法対応 GR70-W 導入 1984 年 1990 年 1996 年 2002 年 2004 年 2005 年 2008 年 2009 年 2010 年 l 用紙調達基準改訂 2012 年 社会の動き l 酸性紙劣化問題 l 紙ゴミ 古紙余り問題 l 製紙会社古紙偽装問題 l グリーン購入法 : コピー用紙基準改定 l グリーン購入法 : コピー用紙基準改定 6
2. 用紙のトレーサビリティ強化の動き 2.1. 社会からの要請 n 2004 年制定の調達基準に基づき 用紙について取引先企業に毎年調査を実施してきました n 一方 NGO 等の要求が高まり 当社の調達先の活動に対しても批判が高まっていました 調達基準 ( 用紙基準 ) l 持続可能な森林管理 l 再生パルプのトレーサビリティ管理 l 化学物質の遵法管理 l 無塩素漂白 l 工場の環境管理 l 保護価値の高い天然林の大規模伐採または皆伐 l 地域住民の権利の侵害 l 役人に対する収賄 n 継続した環境配慮の取り組みとして 用紙調達基準の見直しを進めました 取引先企業の事業活動全体の評価基準を検討 環境 NGO や専門家の助言を参考に新基準を策定 基準に不適合の取引先企業との取引停止を経営提案 調達基準 用紙基準 + 取引先基準 7
2. 用紙のトレーサビリティ強化の動き 2.1. 社会からの要請 n 用紙調達の取り組み改善検討の最中 マスメディアで 環境破壊によって製造されたコピー用紙が 富士ゼロックスによってオーストラリアのオフィスに供給されている と取り上げられました n Program: Foreign Correspondent (2011 年 8 月 2 日 20:00~20:30) Australian Broadcasting Corporation( オーストラリアの公共放送 ) ~スマトラ島の森林破壊に関する特集 ~ ~ スマトラ トラ捕獲の様子大規模伐採 ~ コピー用紙の製造工程 ~ ( 原材料が製紙工場へ皆伐地域住民の権利の侵害 ( 皆伐 ) ) の操業実態 ~ ~~ 8
2. 用紙のトレーサビリティ強化の動き 2.1. 社会からの要請 ABC による番組放送 お客様からの批判 富士ゼロックスオーストラリア取引停止を発表 8 月 4 日 お客様からの賛同 8 月 2 日 富士ゼロックスグループ全体で取引停止を決定 8 月 17 日社外へ公表 9 月 1 日 番組を見てショックを受けている 富士ゼロックスはその用紙サプライヤーと取引をやめるべきだ 私は富士ゼロックスの顧客だが 富士ゼロックスがしかるべき対応が無いようなら今後サポートはしない 富士ゼロックスは 環境破壊に加担していることを意味する 今回の素早い決定を支持する 環境保全に向けて取引停止を決定したことを評価したい また 顧客として 価格に関係なく貴社の商品を選択するだろう この決定は グループワイドに展開されなければならない 用紙調達基準の改正を加速 9
2. 用紙のトレーサビリティ強化の動き 2.2. 持続可能な調達を目指して n 2012 年 5 月に用紙調達基準を改定し 環境 地域住民 企業倫理 など CSR 観点の基準を定め 基準を満たした企業からのみ 用紙を調達することを義務付けました 調達基準 用紙基準 取引先基準 + l 環境の保全 l 地域住民の権利の保護 l 企業倫理の徹底 取引先基準 l 環境の保全操業する国および地域の法令を順守していることはもとより 保護価値の高い森林の保護や森林生態系に配慮した操業を行っていること l 地域住民の権利の保護周辺住民の権利 ( 生活権や居住権等 ) が守られているとともに 周辺住民の権利に重大な影響を与える可能性がある場合に 当該住民に対して十分な対話を行っていること l 企業倫理の徹底労働者の人権が守られていること 公正な取引が慣習的に行われていること 反社会的勢力や団体との関係を断っていること 10
2. 用紙のトレーサビリティ強化の動き 2.2. 持続可能な調達を目指して n 新たな調達基準に基づき 調達先企業の遵守状況を毎年調査し その結果を経営層が参加する会議で確認しています 調達基準 調達先企業 l 持続可能な森林管理 l 再生パルプのトレーサビリティ管理 l 化学物質の遵法管理 l 無塩素漂白 l 工場の環境管理 + l 環境の保全 l 地域住民の権利の保護 l 企業倫理の徹底 遵守を要請 状況を報告 u 遵守状況に問題がある場合には 経営層が取引停止も含めて判断します 11
3. 今後の課題 : 紙を使い続けるために 今後の課題と対応 1. 調達基準管理体制の維持 徹底 2. 増加する管理コストの吸収 製紙会社様やお客様のご協力をいただき 安心して紙を使っていただけるように 自社の管理を徹底します そして 紙を持続的に使用できる社会を目指します 12
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Appendix: 取引先企業の工場監査 n 日本国内で実績及び専門的知見をもつメンバーによる工場監査を実施しています 1. 取引先基準および用紙基準への適合状況の確認 < 工場監査フローの概要 > 2. 取引先を総合的見地で評価し 必要に応じて改善を促す < 総合評価のイメージ > 調査票を送付 / 回答依頼 ( 事前 ) 書類監査 書類監査および現場視察 助言 / 改善依頼 改善状況確認 改善点を抽出し 改善を促す 14