第 4 回エネルギー輸送ルートの多様化への対応に関する検討会 日本の LNG 原油輸入と 米国シェール革命の現況 2015 年 4 月 10 日於国土交通省 ( 中央合同庁舎 3 号館 ) 伊藤庄一 戦略研究ユニット国際情勢分析第 2 グループ マネージャー 研究主幹一般財団法人日本エネルギー経済研究所
日本の LNG 原油輸入状況 (2014 年 ) 1 LNG 原油 ( 出所 ) 日本貿易月表 ( 出所 ) 日本貿易月表 課題 調達先の多様化促進 : LNG 供給国 量ともに国際市場で増加傾向 新規輸入先として北米産 LNG 輸入の重要性向上 原油 LNG よりも厳しい物理的制約 北米ルートの拡充に長期的観点から期待 国際的に競争力のある価格での調達 :LNG については 価格形成メカニズムの多様化 仕向地条項の撤廃 緩和等の課題あり
天然ガス需要の展望世界 100 万トン 300 250 200 150 日本のLNG 需給バランス ( 短期見通し ) 237 242 240 248 252 264 アフリカ 中東 米州 2 アジア 100 50 0 需要供給需要供給需要供給 欧州 アジア オセアニア 2013 実績 2014 予測 2015 予測 ( 出所 ) 日本エネルギー経済研究所 ( 出所 )IEEJ, アジア 世界エネルギーアウトルック 2014 中国 インドを含むアジアが世界のガス需要を牽引 しかし 日本を含め 将来需要については不確実性も
日本の LNG 輸入 $/MMBtu 25 20 15 10 5 0 2010 年 1 月 2010 年 5 月 2010 年 9 月 2011 年 1 月 2011 年 5 月 2011 年 9 月 2012 年 1 月 天然ガス価格 2012 年 5 月 2012 年 9 月 2013 年 1 月 2013 年 5 月 日本 JKM 英国 スペイン 米国 Henry Hub 先物 NBP 先物 2013 年 9 月 2014 年 1 月 2014 年 5 月 2014 年 9 月 2015 年 1 月 2015 年 5 月 2015 年 9 月 10 億円 ( 出所 )Energy Intelligence EIA Platts 等を基に作成 ( 出所 ) 貿易統計 800 700 600 500 400 300 200 100 0 日本の LNG 輸入量と額 合計輸入額 平均輸入価格 1 4 7 10 1 4 7 10 1 4 7 10 1 4 7 10 1 4 7 10 2010 2011 2012 2013 2014 3 円 / トン 100,000 90,000 80,000 70,000 60,000 50,000 40,000 30,000 20,000 10,000 0 原油価格の変動に左右される日本の LNG 調達 ( 原油価格変動については 参考資料 1 参照 )
各地に広がる新たな調達先 競合する世界各地のLNGプロジェクト日本企業関連の米国 LNGプロジェクト 4 ( 出所 )IEA, Mid-Term Gas Market Report 2014 ( 出所 ) 各社ホームページ等より日本エネルギー経済研究所作成 経済性の確保をめぐる各プロジェクト間の競争が熾烈化
米国の天然ガス生産動向 掘削リグあたりの新規ガス井 ( シェールガス ) 生産量 天然ガス生産量 ( 短期予測 ) 5 生産量 ( シェール層別 ) 期待される天然ガス (LNG) 輸出余力の増大 ( 出所 )EIA, March 2015.
米国の天然ガス生産 輸出の展望 6 天然ガス生産量 ( 長期予測 ) LNG 輸出シナリオ 兆 cf 兆 cf ( 出所 )EIA, Annual Energy Outlook 2014 シェール革命 が天然ガス生産量を大幅底上げ 原油価格に左右される将来的 LNG 輸出規模
米国 シェール革命 をどう見るか : 着眼点の整理 7 未知の開発ポテンシャル ( 生産拠点は徐々に拡大傾向 ) 技術革新 Break-even point は 総じて下落傾向 にあるが シェール層ごとに多様 その他の不確実性 ( 原油価格 政治的要因 環境問題 国際的競争力の維持等々 )
国土交通省 第4回エネルギー輸送ルートの多様化への対応に関する検討会 2015年4月10日 日本の原油輸入 供給ルート多様化が焦眉の課題だが 8 原油輸入量の推移 有事発生を想定した 対策強化の必要性 ホルムズ海峡 マラッカ海峡 南シナ海 東シナ海 出所 日本貿易月表 石油 原油+石油製品 のチョークポイント通過量 日本の原油調達 2014年 中東依存率 83% マラッカ海峡通過率 93% 出所 EIA, World Oil Transit Chokepoints
石油需要の展望 第 4 回エネルギー輸送ルートの多様化への対応に関する検討会 (2015 年 4 月 10 日 ) 世界アジア 9 ( 出所 )IEEJ, アジア 世界エネルギーアウトルック 2014 中国 インドを含むアジアが世界のガス需要を牽引 日本の石油需要は事実上ピークに達したが 輸入先多様化促進の重要性は不変
米国の原油生産動向 掘削リグあたりの新規石油井 ( タイトオイル ) 生産量 第 4 回エネルギー輸送ルートの多様化への対応に関する検討会 (2015 年 4 月 10 日 ) 原油生産量 10 生産量 ( シェール層別 ) ( 出所 )EIA 生産性の向上傾向 2014 年の対前年比増産量は過去 100 年強で最大規模 ( 出所 )EIA, March 2015.
米国の原油生産 輸出動向 11 石油生産 ( 短期予測 ) 米国の石油 ( 大部分が石油製品 ) 輸出 ( 出所 )EIA 少なくとも 短期的には増産基調 米国本土からの原油輸出解禁をめぐる議論の行方に要注目
石油生産量の展望 主要国の石油生産量の見通し米国の原油生産量 ( 長期予測 ) 12 ( 出所 )IEA, World Energy Outlook 2014. ( 出所 )EIA, Annual Energy Outlook 2014. 北米の原油生産ポテンシャルについても諸説有
まとめ 13 (1) エネルギー自給率が低く 天然ガスや原油を全面的に輸入依存する日本にとり 供給先の多様化促進は重要課題 (2)(1) に関し 中東や南シナ海等における有事発生を含め 地政学リスク を考慮した上での 輸送ルートの安全確保および緊急時対策の強化は喫緊の課題 (3)(1) (2) にとり 北米の シェール革命 は新たな可能性を提供し始めており 長期的な観点から日本のエネルギー安全保障戦略の中に位置づける必要性が高まっている
参考資料 1 原油価格の推移 14 ( 出所 )IEA
参考資料 2 主要な天然ガス貿易フローの展望 15 2013 年 2040 年 ( レファレンスケース ) 単位 :BCM 単位 :BCM 欧州非 OECD/ 中央アジア 166 28 北米欧州 OECD 24 14 中国 30 16 19 中東 21 58 25 南アジアアフリカ 73 東南アジア 中南米 欧州非 OECD/ 中央アジア 183 179 20 67 欧州 OECD 45 34 33 20 54 中東中国日韓台 28 30 68 52 南アジア 34 アフリカ 20 75 東南アジア 22 北米 12 31 中南米 オセアニア オセアニア パイプラインガス LNG パイプラインガス LNG ( 出所 ) 日本エネルギー経済研究所 アジア 世界エネルギーアウトルック 2014
参考資料 3 主要な原油貿易フローの展望 16 2013 年 2040 年 ( レファレンスケース ) 単位 :1000 b/d 単位 :1000 b/d 欧州 OECD 2,605 欧州非 OECD/ 中央アジア 4,125 2,075 1,018 354 2,613 中東 2,889 中国 日韓台 南アジア 245 北米 1,935 967 欧州 OECD 3,349 欧州非 OECD/ 中央アジア 5,435 362 2,601 6,656 中東 8,095 中国日韓台南アジア 848 782 北米 アフリカ 707 1,157 1,700 東南アジア 5,359 235 220 オセアニア 729 542 201 2,219 中南米 アフリカ 1,104 1,898 6,021 東南アジア 3,335 333 オセアニア 1,303 902 3,454 中南米 ( 出所 ) 日本エネルギー経済研究所 アジア 世界エネルギーアウトルック 2014
17 御清聴有難うございました