事業事前評価表 国際協力機構社会基盤 平和構築部運輸交通 情報通信グループ 1. 案件名国名 : バングラデシュ国案件名 : 和名橋梁維持管理プロジェクト 有償勘定技術支援 英名 Bridge Management Capacity Development Project 2. 事業の背景と必要性

Similar documents
事業事前評価表 国際協力機構社会基盤 平和構築部 運輸交通 情報通信グループ第二チーム 1. 案件名国名 : バングラデシュ人民共和国案件名 : 和名国際空港保安能力強化プロジェクト英名 The Project for Security Improvement of International Ai

政府説明資料

事業事前評価表 国際協力機構地球環境部環境管理第一チーム 1. 案件名 国名 : パキスタン国案件名 : 和名パンジャブ州上下水道管理能力強化プロジェクト英名 Project for Improving the Capacity of WASAs in Punjab Province 2. 事業の背

事業事前評価表

は Blue Print for Air Transportation にて民間航空長期計画を作成 アクションプラン DGCA 5-Year Strategic Plan を作成した上 航空安全に係る総合的な対策の強化を図っており 本事業はこれに寄与するもので

欠であり 運輸交通分野を中心に膨大なインフラ投資が必要になると見込まれる これらのインフラ整備にあたっては 案件ごとにマスタープランから工事まで段階を踏んで検討 建設が進められるが 対象地の地形などを確認 把握するため 検討段階に応じた精度の地図が必要となる 現在 同国では基本的な測地基準点網が整備

政府説明資料

政府説明資料

事業事前評価表 国際協力機構農村開発部農業 農村開発第一グループ第二チーム 1. 案件名国名 : インドネシア共和国案件名 : 和名農業保険実施能力向上プロジェクト英名 The Project of Capacity Development for the Implementation of Agr

ログラムの審査に産業界からも参画を得ることで 大学がエンジニア予備軍である学部学生に対し社会のニーズに即した教育を実践できるよう 促進する役割を果たしている かかる状況の下 エンジニアの量的拡大が質を伴う形で実現されるよう インドネシア政府は我が国に対し LAM-PS としての インドネシアエンジニ

事業事前評価表 国際協力機構産業開発 公共政策部法 司法チーム 1. 案件名国名 : ブラジル連邦共和国案件名 : ( 和文 ) 地域警察活動普及プロジェクト ( 英文 )Project on Nationwide Dissemination of Community Policing 2. 事業の

事業事前評価表 1. 案件名国名 : ラオス人民民主共和国案件名 : ルアンパバーン世界遺産の持続可能な管理保全能力向上プロジェクト Project for Capacity Enhancement for Sustainable World Heritage Management and Pres

護ディプロマ課程を 3 年制看護ディプロマ課程に変更したのに加え ディプロマ課程看護師の現任研修により学士が取得できる 2 年制ポスト ベーシック課程とは別に大学教育として看護学士課程制度 (4 年制 ) を導入することを定めた 学術的に高度な 4 年制看護学士課程の卒業生は輩出されたばかりであるが

事業事前評価表

事業事前評価表

事業事前評価表

<4D F736F F D208E968BC68E96914F955D89BF955C D935393B990AE94F58E968BC B A816A2E646F63>

事業事前評価表

と衝突して沈没し 147 人が死亡 2014 年 8 月にはパドマ川で約 250 人を乗せたフェリーが荒天のため転覆し 110 人が死亡等の大事故が発生している また 同国は 雨季には大型サイクロンが度々ベンガル湾から来襲し 沿岸部で遭難事故が多発するなど 地理的に自然災害の影響を受けやすい地域であ

<4D F736F F D B834E90568B4B C48C8F8E96914F955D89BF955C979D8E9690E096BE8DC58F492E646F63>

新JICAにおける事前評価(技協・無償)について

ジャカルタ大都市圏空港整備計画調査の必要性については JICA が 2008 年 1 月に実施した 次世代航空保安システム整備に係るフィージビリティー調査 でも提言がなされており 既存空港の拡張及び効率的運用を含めたジャカルタ首都圏周辺の適切な空港整備に係る長期的な計画を策定する必要性は高い インド

事業事前評価表

援 GHGインベントリ策定にかかる技術移転等 気候変動対策を推し進めるための包括的な支援を実施した 同プロジェクトの成果として 国家気候変動緩和行動計画 (RAN-GRK) に基づき州気候変動緩和行動計画 (RAD-GRK) の策定が進められるとともに 国家気候変動適応行動計画 (RAN-API)

<4D F736F F D E968BC68E96914F955D89BF955C C90BC8C6F8DCF89F1984C816A8DC58F4994C52E646F63>

事業事前評価表

政府説明資料

事業事前評価表 ( 地球規模課題対応国際科学技術協力 SATREPS) 国際協力機構農村開発部農業 農村開発第一グループ第二チーム 1. 案件名国名 : インドネシア共和国案件名 : 和名 ( 科学技術 ) 食料安全保障を目指した気候変動対応策としての農業保険における損害評価手法の構築と社会実装英名

令 (2006 年 5 号 ) では 2025 年までの国家エネルギー政策の数値目標を設定し エネルギー供給量に対する新 再生可能エネルギーの目標値を 17%( うち地熱エネルギーは 5 %) に定めた また 2010 年の Vision 25/25 において 新 再生可能エネルギーの目標値を 25

事業事前評価表 国際協力機構産業開発 公共政策部資源 エネルギーグループ第二チーム 1. 案件名国名 : ザンビア共和国案件名 : 和名ザンビアにおける鉛汚染のメカニズムの解明と健康 経済リスク評価手法および予防 修復技術の開発英名 The Project for Visualization of

事業事前評価表

事業事前評価表

<4D F736F F D208E968BC68E96914F955D89BF955C F8BC F91BA8A4A94AD B D815B83938E968BC6816A2E646F63>

政府説明資料

(CANACINTRA) 等と連携を図りつつ設置する案を有しており 国家中小企業コンサルタント養成 認定制度を具現化するためにいかにして事業を進めていくかが課題となっている (2) 相手国政府国家政策上の位置づけカルデロン大統領は 近代的かつ競争力のある経済の強化及び雇用の創出 を 治安 貧困撲滅

(Microsoft Word - \216\226\221O\225]\211\277\225\\ doc)

2008年6月XX日

無償資金協力 案件概要書 2017 年 8 月 29 日 1. 基本情報 (1) 国名 : カンボジア王国 (2) プロジェクトサイト / 対象地域名 : シハヌークビル特別市 プノンペン (3) 案件名 : 港湾近代化のための電子情報処理システム整備計画 (The Project for Port

DDL12Prnt001

区間を頻度の低い通勤線が非電化路線として運行しているのみであり 十分な公共交通手段が確保されていないため 同エリアと周辺に住む住民はバスや自動車等により通勤しているが 道路の混雑により 通勤に大きな支障が出ている 加えて 南北鉄道事業南線 ( 通勤線 ) ( 以下 本事業 という ) の対象区間には

Microsoft Word - MMR事業事前評価表.doc

JICA 事業評価ガイドライン ( 第 2 版 ) 独立行政法人国際協力機構 評価部 2014 年 5 月 1

研究は重要項目とされている 本事業は CERMEL と長崎大学の共同研究を通じて 1 対象地域におけるウイルス感染症の流行状況の解明 2 新規に同定されたウイルスの性状解析 3 公衆衛生対策上優先度の高いウイルスに対する診断法の開発を行い ガボン側研究機関のウイルス感染症研究開発の能力向上に貢献する

架鉄道三路線 ( うち 二路線は軽量 ) の総延長は 50km にとどまっている 首都圏南方については マニラ市ツツバンからカブヤオ市ママティッドまでの区間を頻度の低い通勤線が非電化路線として運行しているのみである 首都圏北方は 居住エリアが拡大しているものの 十分な公共交通手段が確保されていないた

政府説明資料

政府説明資料

0528事業事前評価表(円借款+附帯技プロ)final.doc

事業事前評価表 ( 地球規模課題対応国際科学技術協力 (SATREPS)) 農村開発部農業 農村開発部第二グループ 1. 案件名国名 : スーダン共和国案件名 : 和名ストライガ防除による食料安全保障と貧困克服英名 The project for development of counter mea

<4D F736F F D E96914F955D89BF816A836E836D83438CF68BA48CF092CA89FC D E83672E646F63>

<4D F736F F D208E968BC68E96914F955D89BF955C E8ED88ABC F288DC58F4994C5816A2E646F63>

事業事前評価表 1. 案件名 ( 国名 ) 国際協力機構南アジア部南アジア第四課 国名 : バングラデシュ人民共和国案件名 : 貧困削減戦略支援無償 ( 教育 ) (Poverty reduction efforts) 2. 事業の背景と必要性 (1) 当該国における初等教育セクターの現状と課題バン

(2) 当該国における地震防災分野の開発政策と本事業の位置づけネパール政府は 2009 年に災害リスク国家管理戦略を制定し 対象災害の一つとして地震を上げている 地震防災分野は 2009 年に設置された National Platform for Disaster Risk Reduction にお

事業事前評価表

政府説明資料

政府説明資料

<4D F736F F D C888DD994C5817A B834E B5A D8E968BC68E96914F955D89BF955C2E646F63>

相馬市 橋梁長寿命化修繕計画 平成 28 年 12 月 福島県 相馬市建設部土木課

政府説明資料

Microsoft Word - 事前評価表最終版0623final.doc

新JICAにおける事前評価(技協・無償)について

政府説明資料

事業事前評価表

支援 及び 不均衡の是正と安全な社会造りへの支援 の中で重点分野として掲げており また JICA も国別分析ペーパーの協力プログラムにおいて 首都圏の都市基盤整備プログラム や 地方開発 拠点都市圏整備プログラム の中で開発課題として位置づけている 上水道セクターにおいては 日本は下記 3.(9)


プロジェクト ( 年 ) 独 (KfW): 西ナイル地区に特化した配電網の拡充 小水力の開発 ( 年 ) 3. 事業概要 (1) 事業の目的ウガンダにおける産業活性化が期待できる地方において 長距離配電線 (33kV 配電線 ) の資機材の調達 据付を行うことによ

政府説明資料

政府説明資料

(Microsoft Word - \216\226\213\306\216\226\221O\225]\211\277\225\\Fin.doc)

国 アメリカ ロシアに次いで世界第 4 位の電力消費国となっている (2014 年 ) 国内の電力供給に関しては 1,114,408GWh の需要に対して供給量は 1,090,851GWh と 2.1% の不足 供給能力もピーク時 153,366MW の需要に対して 148,463MW と 3.2%

Microsoft Word - 事前評価

Microsoft PowerPoint - 【資料2-4-1】大阪港0927.pptx

投資環境整備プロジェクト及びベンガル湾産業成長ベルト構想 (BIG-B:Bay of Bengal Industrial Growth Belt) 2016 年 4 月 JICA 投資環境整備アドバイザー ( バングラデシュ ) 前川直行

untitled

平成 26 年度公共事業事後評価調書 1. 事業説明シート (1) ( 区分 ) 国補 県単 事業名道路事業 [ 国道橋りょう改築事業 ( 国補 )] 事業箇所南巨摩郡身延町波高島 ~ 下山地区名国道 300 号 ( 波高島バイパス ) 事業主体山梨県 (1) 事業着手年度 H12 年度 (2) 事

政府説明資料

Microsoft Word - 【外務省】インフラ長寿命化(行動計画)

政府説明資料

Microsoft Word - å‹¥ç´Žï¼”äº‰å›“è©Łä¾¡è¡¨ï¼‹ã‡·ã…‘ã…„ã…¼ã‡¯ã…fiㅫㇳㅳㅃã…−æ−•ã…Šã…�ã…Łã‡§ã…¼ã‡º2ï¼›.doc

政府説明資料

の無償資金協力で整備されたニバンガⅢ 号 (2015 年 ) 及びマヌフォラウ号 (2002 年 ) が担っているが これら定期船 2 隻は 1 回の航海で複数の離島に寄港するため 限られた時間内での離島訪問等には対応できないため マナウイ号が補完的な役割を担っている しかしながら マナウイ号は現在

Microsoft PowerPoint - 06資料06_JIC資料_0419版 [互換モード]

知創の杜 2016 vol.10

図 維持管理の流れと診断の位置付け 1) 22 22

事業事前評価表

政府説明資料

<4D F736F F D20837A D8E968BC68E96914F955D89BF955C66696E616C5F F4390B32E646F6378>

(Microsoft Word - \201\2403-1\223y\222n\227\230\227p\201i\215\317\201j.doc)

事業事前評価表 ( 地球規模課題対応国際科学技術協力 (SATREPS)) 国際協力機構地球環境部防災第一チーム 1. 案件名国名 : フィリピン共和国案件名 : 和名 フィリピンにおける極端気象の監視 情報提供システムの開発 英名 The Project for Development of Ex

H28秋_24地方税財源

2

untitled

企画書タイトル - 企画書サブタイトル -

資料 - 5 討議議事録 (M/D)

政府説明資料

の理解と参加を促進し, 開発協力を支える社会的基盤をより一層広げ, 強化するために, NGO/ 市民社会 (CSO) との連携が推進されるべきことが謳われたところである 以上の経緯と背景の下に NGO と ODA の連携に関する中期計画 ~ 協働のための 5 年間の方向性 ~ が策定されることとなっ

橋 梁 長 寿 命 化 修 繕 計 画

定量的な成果目標の設定が困難な場合 定量的な目標が設定できない理由及び定性的な成果目標 事業の妥当性を検証するための代替的な達成目標及び実績 定量的な目標が設定できない理由 迎賓施設としての機能を維持するため また 安定して一般公開等を行うために必要となる経年劣化等の不具合による改修工事等であるため

2-2 需要予測モデルの全体構造交通需要予測の方法としては,1950 年代より四段階推定法が開発され, 広く実務的に適用されてきた 四段階推定法とは, 以下の4つの手順によって交通需要を予測する方法である 四段階推定法将来人口を出発点に, 1 発生集中交通量 ( 交通が, どこで発生し, どこへ集中

504 特定事業等に係る外国人の入国 在留諸申請優先処理事業 1. 特例を設ける趣旨外国人研究者等海外からの頭脳流入の拡大により経済活性化を図る地域において 当該地域における特定事業等に係る外国人の受入れにあたり 当該外国人の入国 在留諸申請を優先的に処理する措置を講じることにより 当該地域における

Microsoft Word - 13 地域イントラ.doc

Transcription:

事業事前評価表 国際協力機構社会基盤 平和構築部運輸交通 情報通信グループ 1. 案件名国名 : バングラデシュ国案件名 : 和名橋梁維持管理プロジェクト 有償勘定技術支援 英名 Bridge Management Capacity Development Project 2. 事業の背景と必要性 (1) 当該国における道路セクターの開発実績 ( 現状 ) と課題バングラデシュでは 年率 6% 前後の GDP 成長率 1 を維持する近年の堅調な経済発展に伴い 1975 年から 2005 年までの過去 30 年間で貨物取扱量が約 8 倍にまで拡大 2 し 近年では 6~7% のペースで貨物量 旅客数ともに増加 34 を続けている 当国の主要運輸交通モードには 内陸水運 鉄道 道路があるが 旅客 貨物双方において道路利用が約 8 割 (2005 年 ) を超え 5 道路輸送への偏重が進んでいる そのため 新規の道路 橋梁の整備が進められ 特に橋梁 カルバートは 1971 年の独立時には 1,112 橋 ( 基 ) であったが その後急激に橋梁建設が進められ 2013 年には 18,356 橋 ( 基 ) 6 まで増加しており その中には円借款によって建設された橋梁も含まれている しかしながら 橋梁数の増加に伴い 応急橋であるベイリー橋の落橋や橋梁の早期損傷に対する事後保全が拡大しつつある現状に加え 1980 年代以降に急増した橋梁の老朽化を見据えた対応が求められることから 橋梁を長期間良好な状態で供するためには 橋梁維持管理の更なる効率化を図っていくことが喫緊の課題である (2) 当該国における道路セクターの開発政策と本事業の位置づけバングラデシュの 第 6 次五か年計画 (2011/12~2015/16 年度 ) において バングラデシュの道路セクターでは 効率 近代的な道路輸送システムが 同計画及び当国の中期目標である Vision 2021 を達成するために重要な役割を果たすと明記され 道路利用者コストを引き下げるために 現道の適切な維持管理が主要目標の一つに位置づけられている 国土交通政策 (2004 年 ) では 維持管理能力の向上と財源の確保及び長期的な整備計画の策定を 1 Bangladesh Bureau of Statistics 2 1975 年の 26 億トン /km から 2005 年には 200 億トン /km へ (WB, Transport Policy Note, 2009) 3 1995 年以降は毎年約 1% ずつ成長率が増加 (SOB, Statistical Yearbook of Bangladesh, 2005) 4 ダッカ-チッタゴン鉄道による輸送貨物は今後年率 5% で拡大が見込まれている (Business Plan for Bangladesh Railway, November 2008) 5 第 6 次五ヵ年計画, part 2 and Bangladesh Transport Sector Review (WB), People s Republic of Bangladesh : Revival of Inland Water Transport-Options a Strategies, 2007 6 BMMS(Bridge Maintenance Management System) データ (RHD, 2013 年 )

方針の一つとして位置づけており また 同政策を基に策定された 道路マスタープラン (2009 年 ) では 道路 橋梁の資産価値の保全を目標の一つに位置づけている (3) 道路 橋梁セクターに対する我が国及び JICA の援助方針と実績対バングラデシュ JICA 国別分析ペーパー (2013 年 4 月 ) において 全国運輸交通ネットワーク整備 が重点課題であると分析しており 対バングラデシュ国別援助方針 (2012 年 6 月 ) における重点目標としても 人とモノの効率的な移動の促進に貢献するために 運輸 交通インフラの整備を進める と定められており 本プロジェクトはこれら分析 方針に合致する JICA は現在 東部バングラデシュ橋梁改修事業 (2009 年 ) において 中小橋梁 67 橋の架け替え カチプール メグナ グムティ第 1 橋建設及び既存橋改修事業 (2013 年 ) において JICA 支援で整備した国道 1 号線の橋梁 3 橋の改修及び同第 2 橋の新設を有償資金協力で実施中である また 西部バングラデシュ橋梁改修事業準備調査 (2013 年 ) では 有償資金協力で道路橋改修事業を実施するための準備調査を実施中である 本プロジェクトはこれら我が国の援助をはじめ既に建設された または建設する可能性がある道路橋の維持管理をより確実にすることで 円借款の開発効果の増大にも非常に大きな役割を果たすことが期待されている (4) 他の援助機関の対応バングラデシュの道路 橋梁を含む運輸セクターは JICA 世界銀行(WB) アジア開発銀行 (ADB) が主要ドナーである WB は 1990 年代から 2000 年代初頭にかけて運輸省道路 国道部 (Roads and Highways Department : RHD) に対して道路修復 維持管理事業を実施 ADB は 運輸セクター改革 ダッカ チッタゴン間高速道路事業 (F/S) 等を支援している ジャムナ多目的橋建設事業は ADB 世銀 及び JICA 等の協調融資で行われている 3. 事業概要 (1) 事業目的 ( 協力プログラムにおける位置づけを含む ) 本事業は バングラデシュにおいて 橋梁維持管理体制の構築 橋梁維持管理マニュアル類の整備 橋梁マネジメントシステムの整備 RHD 職員の橋梁維持管理に必要な知識の習得により RHD の橋梁維持管理能力の向上を図り もって RHD による橋梁維持管理業務の強化に寄与するものである (2) プロジェクトサイト / 対象地域名 RHD 本部 ( 所在地 : ダッカ ) を拠点とし バングラデシュ全土の RHD が管理する国道の橋梁 カルバートを対象とする ( モデル地区はダッカゾーンの中からプロジェクト開始後に決定 )

(3) 本事業の受益者 ( ターゲットグループ ) 直接受益者 :RHD 職員 ( 約 2450 人 ) 間接受益者 : バングラデシュ国民 ( 約 1 億 5640 万人 ) (4) 事業スケジュール ( 協力期間 ) 2015 年 6 月 ~2017 年 11 月を予定 ( 計 30 ヵ月 ) (5) 総事業費 ( 日本側 ) 約 2.5 億円 (6) 相手国側実施機関運輸省道路局道路 国道部 (Roads and Highways Department, Roads Division, Ministry of Communication:RHD) (7) 投入 ( インプット ) 1) 日本側 1 専門家 ( 約 62M/M) 総括 / 橋梁維持管理計画 橋梁点検 橋梁健全度評価 橋梁補修 補強 橋梁マネジメントシステム コスト積算 業務調整 プロジェクトモニタリング 2 供与機材非破壊検査機器 3 本邦研修 2 回実施予定 2) バングラデシュ国側 1カウンターパート (C/P) の配置 Project Director:Additional Chief Engineer, Bridge Management Wing Additional Project Director:Superintendent Engineer, Planning & Data Circle Project Manager:Executive Engineer, BMMS Division Deputy Project Manager:Sub-Divisional Engineer, BMMS Division Counterpart staffs Other staffs 2 施設 設備オフィススペースの提供 (RHD 建物内 ) 3 事業費 C/P 人件費 旅費 日当 その他必要な費用 (8) 環境社会配慮 貧困削減 社会開発 1) 環境に対する影響 / 用地取得 住民移転 1 カテゴリ分類 :C 2 カテゴリ分類の根拠 : 本事業は 国際協力機構環境社会配慮ガイド

ライン (2010 年 4 月公布 ) 上 環境への望ましくない影響は最小限であると判断されるため 2) ジェンダー平等推進 平和構築 貧困削減 : コミュニティ道路における橋梁の適切な維持管理による交通アクセスの確保は 特に女性 子供や貧困層に裨益する 3) その他 : 特になし (9) 関連する援助活動 1) 我が国の援助活動 開発調査: ルプシャ橋建設計画 (1998-2000) パドマ橋建設計画(2003-2005) 無償資金協力: メグナ橋建設計画 (1985-1990) メグナグムティ橋建設計画(1991-1995) 地方道路簡易橋整備計画 (1994) ダッカ チッタゴン幹線道路中小橋梁建設計画 (1997-1999) 地方道路簡易橋整備計画(2000-2001) 地方道路橋整備計画 (2001) 有償資金協力: ジャムナ多目的橋建設事業 ( 1993-1998 ) パクシー橋建設事業 (1997-2007) ルプシャ橋建設事業(2000-2008) 東部バングラデシュ橋梁改修事業 (2009-) カチプール メグナ グムティ第 2 橋建設及び既存橋改修事業 (2013-) 技術協力: 道路橋梁維持管理アドバイザー (1998-) 2) 他ドナー等の援助活動ジャムナ多目的橋は JICA ADB 世銀等の協調融資によって建設 4. 協力の枠組み (1) 協力概要 1) 上位目標と指標上位目標 : バングラデシュ全土における RHD の橋梁維持管理業務が改善される 指標 :1. RHD によって実施される橋梁点検割合がプロジェクト開始時の XX% から XX% に増加する 2. RHD によって BMS(Bridge Management System) に登録 更新された橋梁数がプロジェクト開始時の XX 橋から XX 橋に増加する 2) プロジェクト目標と指標

プロジェクト目標 :RHD の橋梁維持管理能力が向上する 指標 :1. モデル地区において RHD が橋梁維持管理サイクルに基づき 新たに整備されたマニュアル及び BMS を活用して橋梁維持管理業務を開始する 2. 人材育成計画に基づき XX 名の RHD マスタートレーナーが講師認定試験に合格する 3) 成果 1. RHD の橋梁維持管理体制が構築される 2. 橋梁点検 診断マニュアル 橋梁補修 補強マニュアルが整備される 3. 橋梁マネジメントシステム (Bridge Management System:BMS) が構築される 4. OJT やセミナーを通じて RHD 職員が橋梁維持管理業務に必要な知識を高める 5. 前提条件 外部条件 (1) 前提条件 RHD に技術力を備えた適切なエンジニアが配置される 橋梁維持管理の政策的優先度が著しく下がらない (2) 外部条件 ( リスクコントロール ) 橋梁維持管理業務に必要な予算が確保される 橋梁維持管理業務に必要な人員が継続的に配置される 6. 評価結果本事業は バングラデシュ国の開発政策 開発ニーズ 日本の援助政策と十分に合致しており また計画の適切性が認められることから 実施の意義は高い 7. 過去の類似案件の教訓と本事業への活用 (1) 類似案件の評価結果 JICA では 道路 橋梁の維持管理に関する技術協力プロジェクトを効率的 効果的に実施していくため 道路 橋梁維持管理の技術協力に関するプロジェクト研究最終報告書 ( 平成 21 年 2 月 ) として 過去のプロジェクトからの教訓をまとめている これによると 一足飛びに最適な維持管理サイクルの確立を目指すのではなく 各要素 ( 資金 組織 技術力 基準類 データシステム 機材 ) の現状を踏まえ 実施可能なプロジェクト目標を設定する必要性が述べられている また 道路 橋梁維持管理に関する情報収集

確認調査最終報告書 ( 平成 25 年 1 月 ) において 対象国の道路 橋梁維持管理にかかる現況がどのような状態 レベルに有るかを把握するための課題の抽出の必要性及び抽出方法が提案されている (2) 本事業への教訓バングラデシュにおける橋梁維持管理にかかる現況を踏まえ 橋梁維持管理サイクルを円滑に機能させるために最も重点を置くべき活動として 橋梁維持管理体制の構築 橋梁維持管理業務に必要なツール ( 橋梁維持管理関連マニュアル BMS) の整備を抽出し 橋梁維持管理業務のうち 橋梁点検 診断 補修 補強工法の選定 工事概算費用の積算及び維持管理計画の策定に関する RHD の実施能力向上を協力計画に盛り込むこととする 8. 今後の評価計画 (1) 今後の評価に用いる主な指標 4.(1) のとおり (2) 今後の評価計画事業開始 3か月ベースライン調査事業終了 3 年度事後評価