News Release 令和元年 6 月 3 日 福岡市経済観光文化局産学連携課 福岡市政記者各位, 福岡経済記者各位 あだち九州大学安達 ちは千波 や矢 教授の有機 EL の 研究成果から新たなスタートアップ企業が誕生! これまで福岡市は, 有機 EL の研究開発について, 公益財団法人九州先端

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研究の背景有機薄膜太陽電池は フレキシブル 低コストで環境に優しいことから 次世代太陽電池として着目されています 最近では エネルギー変換効率が % を超える報告もあり 実用化が期待されています 有機薄膜太陽電池デバイスの内部では 図 に示すように (I) 励起子の生成 (II) 分子界面での電荷生

「世界初、高出力半導体レーザーを8分の1の狭スペクトル幅で発振に成功」

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報道発表資料 2000 年 2 月 17 日 独立行政法人理化学研究所 北海道大学 新しい結晶成長プロセスによる 低欠陥 高品質の GaN 結晶薄膜基板作製に成功 理化学研究所 ( 小林俊一理事長 ) は 北海道大学との共同研究により 従来よりも低欠陥 高品質の窒化ガリウム (GaN) 結晶薄膜基板

平成 28 年 10 月 25 日 報道機関各位 東北大学大学院工学研究科 熱ふく射スペクトル制御に基づく高効率な太陽熱光起電力発電システムを開発 世界トップレベルの発電効率を達成 概要 東北大学大学院工学研究科の湯上浩雄 ( 機械機能創成専攻教授 ) 清水信 ( 同専攻助教 ) および小桧山朝華

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1 マイクロワット閾値を持つ シリコンラマンレーザー 大阪府立大学大学院 工学研究科 電子物理工学分野准教授 高橋 和

記者発表資料

【NanotechJapan Bulletin】10-9 INNOVATIONの最先端<第4回>

エネルギー ついて説明します 2. 研究手法 成果上で述べたような熱輻射パワーの高速変化を実現するためには 物体から熱輻射が生じる過程をミクロな視点から考える必要があります 一般に 物体の温度を上昇させると 物体内の電子の動きが活発になり 光 ( 電磁波 ) を放出するようになります こうして電子か

機械学習により熱電変換性能を最大にするナノ構造の設計を実現

←ちゃんとしたロゴに変更

シャープ100年史:第7章

世界最高面密度の量子ドットの自己形成に成功

背景と経緯 現代の電子機器は電流により動作しています しかし電子の電気的性質 ( 電荷 ) の流れである電流を利用した場合 ジュール熱 ( 注 3) による巨大なエネルギー損失を避けることが原理的に不可能です このため近年は素子の発熱 高電力化が深刻な問題となり この状況を打開する新しい電子技術の開

記 者 発 表(予 定)

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Microsoft Word - プレス原稿_0528【最終版】

Microsoft PowerPoint - 第11回半導体工学

記 者 発 表(予 定)

平成 30 年 8 月 6 日 報道機関各位 東京工業大学 東北大学 日本工業大学 高出力な全固体電池で超高速充放電を実現全固体電池の実用化に向けて大きな一歩 要点 5V 程度の高電圧を発生する全固体電池で極めて低い界面抵抗を実現 14 ma/cm 2 の高い電流密度での超高速充放電が可能に 界面形

平成 28 年 12 月 27 日 科学技術振興機構 ( J S T ) 有機 EL ディスプレイの電子注入層と輸送層用の新物質を開発 ~ 有機 EL ディスプレイの製造への活用に期待 ~ ポイント 金属リチウムと同じくらい電子を放出しやすく安定な物質と 従来の有機輸送層よりも 3 桁以上電子が動き

Microsystem Integration & Packaging Laboratory

レーザ

高集積化が可能な低電流スピントロニクス素子の開発に成功 ~ 固体電解質を用いたイオン移動で実現低電流 大容量メモリの実現へ前進 ~ 配布日時 : 平成 28 年 1 月 12 日 14 時国立研究開発法人物質 材料研究機構東京理科大学概要 1. 国立研究開発法人物質 材料研究機構国際ナノアーキテクト

報道機関各位 平成 27 年 3 月 20 日 ( 同時提供資料 ) 栃木県政記者クラブ 国立大学法人宇都宮大学 埼玉県政記者クラブ 学校法人 埼玉医科大学 文部科学記者会, 科学記者会 学校法人 早稲田大学 任意の偏光を持つテラヘルツ光の解析法を開発 ( 報道解禁日 :3 月 24 日午後 7 時

Microsoft Word - JHS2022のLED製品分類のポジションペーパー(第3版) Yanagi.doc

配信先 : 東北大学 宮城県政記者会 東北電力記者クラブ科学技術振興機構 文部科学記者会 科学記者会配付日時 : 平成 30 年 5 月 25 日午後 2 時 ( 日本時間 ) 解禁日時 : 平成 30 年 5 月 29 日午前 0 時 ( 日本時間 ) 報道機関各位 平成 30 年 5 月 25

PowerPoint プレゼンテーション

令和元年 6 月 4 日 科学技術振興機構 (JST) 北 海 道 大 学 名 古 屋 大 学 東 京 理 科 大 学 電力使用量を調整する経済的価値を明らかに ~ 発電コストの時間変動に着目した解析 制御技術を開発 ~ ポイント 電力需要ピーク時に電力使用量を調整するデマンドレスポンスは その経済

プレスリリース 2017 年 4 月 14 日 報道関係者各位 慶應義塾大学 有機単層結晶薄膜の電子物性の評価に成功 - 太陽電池や電子デバイスへの応用に期待 - 慶應義塾基礎科学 基盤工学インスティテュートの渋田昌弘研究員 ( 慶應義塾大学大学院理工学研究科専任講師 ) および中嶋敦主任研究員 (

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とになる LED での自然放出では, 自然 に電子が高エネルギー準位から低エネルギー準位へと遷移するが, 共振器内の発光部のように, 高いエネルギーを有する電子だけでなく, 光も多く存在する場合, その光が, 次の電子の遷移を 誘導 する この電子の遷移に伴う光の放出を 誘導放出 と呼ぶ ( 図 1

平成 28 年 6 月 3 日 報道機関各位 東京工業大学広報センター長 岡田 清 カラー画像と近赤外線画像を同時に撮影可能なイメージングシステムを開発 - 次世代画像センシングに向けオリンパスと共同開発 - 要点 可視光と近赤外光を同時に撮像可能な撮像素子の開発 撮像データをリアルタイムで処理する

PRESS RELEASE (2015/10/23) 北海道大学総務企画部広報課 札幌市北区北 8 条西 5 丁目 TEL FAX URL:

1 薄膜 BOX-SOI (SOTB) を用いた 2M ビット SRAM の超低電圧 0.37V 動作を実証 大規模集積化に成功 超低電圧 超低電力 LSI 実現に目処 独立行政法人新エネルギー 産業技術総合開発機構 ( 理事長古川一夫 / 以下 NEDOと略記 ) 超低電圧デバイス技術研究組合(

報道関係者各位 平成 24 年 4 月 13 日 筑波大学 ナノ材料で Cs( セシウム ) イオンを結晶中に捕獲 研究成果のポイント : 放射性セシウム除染の切り札になりうる成果セシウムイオンを効率的にナノ空間 ナノの檻にぴったり収容して捕獲 除去 国立大学法人筑波大学 学長山田信博 ( 以下 筑

..... 兆円 約 5.1 兆円 年 2010 年 約 12 兆円 小型 中型 大型 車載パネル用 ビデオ

がんを見つけて破壊するナノ粒子を開発 ~ 試薬を混合するだけでナノ粒子の中空化とハイブリッド化を同時に達成 ~ 名古屋大学未来材料 システム研究所 ( 所長 : 興戸正純 ) の林幸壱朗 ( はやしこういちろう ) 助教 丸橋卓磨 ( まるはしたくま ) 大学院生 余語利信 ( よごとしのぶ ) 教


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研究成果報告書

背景 現代社会を支えるコンピューティングや光通信では, 情報の担い手として, 電子の電荷と, その電荷を変換して生成した光 ( 光電変換 ) を利用しています このような通常の情報処理に用いる電荷以外に, 電子にはスピンという状態があります このスピンの集団は磁石の性質を持ち, 情報の保持に電力が不

特長 01 裏面入射型 S12362/S12363 シリーズは 裏面入射型構造を採用したフォトダイオードアレイです 構造上デリケートなボンディングワイヤを使用せず フォトダイオードアレイの出力端子と基板電極をバンプボンディングによって直接接続しています これによって 基板の配線は基板内部に納められて

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背景光触媒材料として利用される二酸化チタン (TiO2) には, ルチル型とアナターゼ型がある このうちアナターゼ型はルチル型より触媒活性が高いことが知られているが, その違いを生み出す要因は不明だった 光触媒活性は, 光吸収により形成されたキャリアが結晶表面に到達して分子と相互作用する過程と, キ

支援財団研究活動助成 生体超分子を利用利用した 3 次元メモリデバイスメモリデバイスの研究 奈良先端科学技術大学院大学物質創成科学研究科小原孝介

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フォトニック結晶の現状と今後の展開可能性について

POCO 社の EDM グラファイト電極材料は 長年の技術と実績があり成形性や被加工性が良好で その構造ならびに物性の制御が比較的に容易であることから 今後ますます需要が伸びる材料です POCO 社では あらゆる工業製品に対応するため 各種の電極材料を多数用意しました EDM-1 EDM-3 EDM

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平成 27 年 12 月 11 日 報道機関各位 東北大学原子分子材料科学高等研究機構 (AIMR) 東北大学大学院理学研究科東北大学学際科学フロンティア研究所 電子 正孔対が作る原子層半導体の作製に成功 - グラフェンを超える電子デバイス応用へ道 - 概要 東北大学原子分子材料科学高等研究機構 (

厚生労働省委託事業 「 平成25年度 適切な石綿含有建材の分析の実施支援事業 」アスベスト分析マニュアル1.00版

02.参考資料標準試料データ

AlGaN/GaN HFETにおける 仮想ゲート型電流コラプスのSPICE回路モデル

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Crystals( 光学結晶 ) 価格表 台形状プリズム (ATR 用 ) (\, 税別 ) 長さ x 幅 x 厚み KRS-5 Ge ZnSe (mm) 再研磨 x 20 x 1 62,400 67,200 40,000 58,000

普及し始めている それに伴い, 光学部品やレーザー光源の低価格化が進んでいるため, ファイバーレーザーを光源として用いることで, ひずみ計測システムのコストを抑えることができる しかしながら, 一般的なファイバーレーザーでは, 帯域が狭いため, センサの光源として使用することができない そのため本研

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平成 30 年度日本財団助成事業 光 を総合的に学習する巡回型展示物の制作 の 展示物制作業務 展示物制作概要 公益財団法人日本科学技術振興財団

8.1 有機シンチレータ 有機物質中のシンチレーション機構 有機物質の蛍光過程 単一分子のエネルギー準位の励起によって生じる 分子の種類にのみよる ( 物理的状態には関係ない 気体でも固体でも 溶液の一部でも同様の蛍光が観測できる * 無機物質では規則的な格子結晶が過程の元になっているの

平成20年度実績報告

報道発表資料 2008 年 11 月 10 日 独立行政法人理化学研究所 メタン酸化反応で生成する分子の散乱状態を可視化 複数の反応経路を観測 - メタンと酸素原子の反応は 挿入 引き抜き のどっち? に結論 - ポイント 成層圏における酸素原子とメタンの化学反応を実験室で再現 メタン酸化反応で生成

記者発表開催について

平成 30 年 1 月 5 日 報道機関各位 東北大学大学院工学研究科 低温で利用可能な弾性熱量効果を確認 フロンガスを用いない地球環境にやさしい低温用固体冷却素子 としての応用が期待 発表のポイント 従来材料では 210K が最低温度であった超弾性注 1 に付随する冷却効果 ( 弾性熱量効果注 2

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Microsoft PowerPoint - 阪大XFELシンポジウム_Tono.ppt [互換モード]

京都大学博士 ( 工学 ) 氏名宮口克一 論文題目 塩素固定化材を用いた断面修復材と犠牲陽極材を併用した断面修復工法の鉄筋防食性能に関する研究 ( 論文内容の要旨 ) 本論文は, 塩害を受けたコンクリート構造物の対策として一般的な対策のひとつである, 断面修復工法を検討の対象とし, その耐久性をより

各位 2019 年 7 月 3 日 東京 2020 オリンピック聖火リレーサポーティングパートナーに決定! 当社 ( 社長 : 大田勝幸 ) は 公益財団法人東京オリンピック パラリンピック競技大会組織委 員会と 東京 2020 オリンピック聖火リレーサポーティングパートナーシップ契約 を本日締結

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報道機関各位 平成 30 年 5 月 14 日 東北大学国際集積エレクトロニクス研究開発センター 株式会社アドバンテスト アドバンテスト社製メモリテスターを用いて 磁気ランダムアクセスメモリ (STT-MRAM) の歩留まり率の向上と高性能化を実証 300mm ウェハ全面における平均値で歩留まり率の

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フロントエンド IC 付光センサ S CR S CR 各種光量の検出に適した小型 APD Si APD とプリアンプを一体化した小型光デバイスです 外乱光の影響を低減するための DC フィードバック回路を内蔵していま す また 優れたノイズ特性 周波数特性を実現しています

1. 概要有機半導体は 現在 主に用いられているシリコンなどの無機半導体と比べて以下の特長があり 次世代トランジスタなどエレクトロニクス素子への応用開発研究が盛んに行われています 1 塗布法 印刷法といった簡便かつ比較的低温での作製が容易 2 薄型 3 低コスト 4 プラスティック RFID タグや

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令和元年 6 月 1 3 日 科学技術振興機構 (JST) 日本原子力研究開発機構東北大学金属材料研究所東北大学材料科学高等研究所 (AIMR) 理化学研究所東京大学大学院工学系研究科 スピン流が機械的な動力を運ぶことを実証 ミクロな量子力学からマクロな機械運動を生み出す新手法 ポイント スピン流が

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News Release 平成 19 年 12 月 20 日 平成 28 年 10 月 6 日株式会社 MCJ マウスコンピューター Windows Hello 機能対応 生体認証の顔認証カメラと指紋認証リーダーを発売 簡単 安心セキュリティを コンパクトかつ低価格で実現 当社子会社である株式会社マ

偏光板 波長板 円偏光板総合カタログ 偏光板 シリーズ 波長板 シリーズ 自社製高機能フィルムをガラスで挟み接着した光学フィルター

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放射線照射により生じる水の発光が線量を反映することを確認 ~ 新しい 高精度線量イメージング機器 への応用に期待 ~ 名古屋大学大学院医学系研究科の山本誠一教授 小森雅孝准教授 矢部卓也大学院生は 名古屋陽子線治療センターの歳藤利行博士 量子科学技術研究開発機構 ( 量研 ) 高崎量子応用研究所の山

Siマイクロマシニングと集積化技術.PDF

ロナ放電を発生させました これによって 環状シロキサンが分解してプラスに帯電した SiO 2 ナノ微粒子となり 対向する電極側に堆積して SiO 2 フィルムが形成されるという コロナ放電堆積法 を開発しました 多くの化学気相堆積法 (CVD) によるフィルム作製法には 真空 ガス装置が必要とされて

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研究の背景これまで, アルペンスキー競技の競技者にかかる空気抵抗 ( 抗力 ) に関する研究では, 実際のレーサーを対象に実験風洞 (Wind tunnel) を用いて, 滑走フォームと空気抵抗の関係や, スーツを含むスキー用具のデザインが検討されてきました. しかし, 風洞を用いた実験では, レー

スライド 1

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液相レーザーアブレーションによるナノ粒子生成過程の基礎研究及び新規材料創成への応用 北海道大学大学院工学工学院量子理工学専攻プラズマ応用工学研究室修士 2年竹内将人

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News Release 令和元年 6 月 3 日 福岡市経済観光文化局産学連携課 福岡市政記者各位, 福岡経済記者各位 あだち九州大学安達 ちは千波 や矢 教授の有機 EL の 研究成果から新たなスタートアップ企業が誕生! これまで福岡市は, 有機 EL の研究開発について, 公益財団法人九州先端科学技術研究所 (ISIT) と連携し, 積極的に支援してまいりました このたび, 九州大学安達千波矢教授らの研究グループの研究成果である, 新しい材料 ( 有機材料 ) を用いたレーザー技術の実用化を目指す KOALA Tech が設立されましたのでお知らせします なお, 福岡市の創業支援窓口であるスタートアップカフェでは, KOALA Tech へのサポートも実施しています 安達千波矢教授の研究成果を活かしたスタートアップは, Kyulux( 福岡市産学連携交流センター入居 ) に次いで,2 社目となります 1 株式会社 KOALA Tech の概要 (1) 代表取締役リビエルジーンチャールズ (2) 設立日 2019 年 3 月 22 日 (3) 資本金 2,500 万円 (4) 本社所在地福岡市西区 記 2 KOALA Tech の技術から期待されること レーザーは,DVD やブルーレイの読み書き, レーザー加工による切断, 光情報通信の信号伝送等, 私たちの生活の中で広く使われています 今回の有機材料を用いたレーザーが実用化されれば, これれまでの無機材料を用いたレーザーに比べて, 小型で低価格化が可能となります さらに新しい色のレーザー光が作れることで, 将来の光通信やセンシング等, 幅広い分野への応用が期待されています 有機材料を用いたレーザーのメリット これまでのレーザー ( 無機材料 ) KOALA Tech 社のレーザー ( 有機材料 ) 色の種類限られた色のみ任意の色が可能 デバイスのサイズ大きい小さい 価格高い安い < 添付資料 > 九州大学プレスリリース資料 : 別紙 KOALA Tech のメンバー ( 左から 1 番目 : 安達千波矢教授, 左から 2 番目 : リヒ エルシ ーンチャールス CEO) KOALA Tech の技術から期待される応用デバイス例 ( 超小型有機レーザーディスプレイ ) お問い合わせ 経済観光文化局産学連携課 担当 : 松岡, 早田 TEL:092(711)4900 FAX:092(733)5901

PRESS RELEASE(2019/05/29) 九州大学広報室 819-0395 福岡市西区元岡 744 Tel:092-802-2130 Fax:092-802-2139 E-mail:koho@jimu.kyushu-u.ac.jp URL:http://www.kyushu-u.ac.jp 電流励起型有機半導体レーザーダイオードの実現!! ~( 株 )KOALA Tech による実用化を展開 ~ 九州大学最先端有機光エレクトロニクス研究センターの A.S.D. Sandanayaka( サンダナヤカ ) 特任教授 安達千波矢センター長らの研究グループは 世界で初めて有機材料を用いた半導体レーザーダイオード (OSLD : Organic Semiconductor Laser Diode)( 1) の電流励起発振に成功しました また 2019 年 3 月 22 日 ( 金 ) に設立した九大発ベンチャー ( 株 )KOALA Tech によって実用化を展開していきます 本研究のポイント : 有機発光素子である OLED 素子を基本構造に 光閉じ込め効果を示す DFB( 2) 型光共振器 ( 3) 構造を埋め込むことで レーザー発振 ( 4) が可能であることを初めて実証しました 本研究での実証によって 無機半導体レーザーでは困難であった任意の発振波長 ( 可視域から赤外域まで ) 比較的安価で容易な製造プロセス フレキシブル基板や透明素子等の有機材料の特徴を活かしたレーザー光源を利用したデバイス応用展開が期待されます 本研究成果は科学技術振興機構 (JST)ERATO 安達分子エキシトン工学プロジェクト の研究活動の一環で得られました 本研究成果は 2019 年 5 月 31 日 ( 金 )14 時 ( 日本時間 ) に 日本発の国際科学雑誌である Applied Physics Express 誌のオンライン速報版で公開されます 研究者からひとこと : (1) 1989 年の有機半導体レーザーの着想以来 約 30 年の月日を経て電流励起の端緒を遂につかむことができました 先端材料化学 デバイス物性 微細加工プロセスの各要素と専門家が融合することで技術のブレイクスルーが達成されました 今後 有機半導体レーザーの学理の解明を進めることで より一層の低閾値化を進め デバイスの安定化を図ります 同時に 新しい有機半導体レーザーの産業化を念頭に置いた実用化開発を ( 株 )KOALA Tech で進めていきます ( 最前列中央 : Sandanayaka 特任教授 最前列左 : 安達センター長 ) ( 参考図 )(1) 有機半導体レーザーダイオード (OSLD) の動作イメージ 陽極と陰極の間に SiO 2 で形成された光共振器構造 (DFB 構造 ) を有する 有機材料からの発光に対して 光共振器によって誘導放出を増強することでレーザー発振を実現した (2) 有機レーザー分子として BSBCz を用いた青色 OSLD の発振の様子 ( 参考 ) 株式会社 KOALA Tech のメンバー (CEO: リヒ エルシ ーンチャールス 左から 2 番目 ) お問い合わせ 九州大学最先端有機光エレクトロニクス研究センターセンター長安達千波矢 ( アダチチハヤ ) Tel:092-802-6920 Fax:092-802-6921 E-mail:adachi@cstf.kyushu-u.ac.jp

概要本研究は 世界初の電流励起による有機半導体レーザーダイオード (OSLD) のレーザー発振に成功しました 本デバイスは 低閾値でレーザー発振が可能な先端レーザー分子の設計 電流励起レーザー発振に適した積層構造の最適化 および光損失を抑制し デバイス内における光結合を増強するための適切な光共振器の導入によって達成しました 本デバイスは 比較的簡便な作製プロセス 可視域から赤外域にわたる任意の発振波長の実現 OLED との融合性など実装自由度の拡大 フレキシブルデバイスや透過型デバイスへの適用性など 有機材料の特徴を活かした新たな応用展開が期待されます 背景現代の情報化社会において光 特にレーザー光は 様々な産業用途への展開が期待されることから 大きな注目を集めています レーザー技術の中でも電流注入によって直接レーザー光を生み出す半導体レーザーは 光通信をはじめとする情報処理分野 医療分野 さらには産業分野においてその市場を拡大し続けています より身近となったレーザー技術は多くのアプリケーションを生み出し 小型レーザー光源を用いた生体認証やヘッドマウントディスプレイ さらには生体センサーなど ウェアラブルかつ生体親和性を重視した製品が市場へ投入されつつあります レーザー光源としてこれまで用いられてきたのは無機材料で構成された半導体レーザーですが 無機材料の種類によって決まるレーザー発振波長は限定的であり 任意の発振波長を得ることは困難でした また レーザー媒質として用いられる無機材料は結晶形態であり その作製プロセスの煩雑さや曲面や伸縮性基板への実装がする難しいといった問題がありました しかしながら 近赤外発光素子を用いた生体認証やアイトラッキング ヘッドマウントディスプレイを用いた仮想現実 (VR) や拡張現実 (AR) 技術 可視光レーザーを用いた生体機能モニタリング技術など より生体を意識した応用展開の潮流は より多様なレーザー素子の形態の出現を必要としています 有機材料を用いたレーザー光源が実現すれば 有機分子の設計自由度の高さによって実現できる任意の発振波長 機械的柔軟性や生体親和性に基づく実装自由度の拡大 透明材料を選択することで実現される透過型デバイスへの適用が期待でき さらに OLED との融合により 多彩なデバイス展開が期待されます 内容 効果本研究は これまで困難であった 電流励起型有機半導体レーザーダイオードの実現 を目的としました OSLD の実現を阻んでいた主要因は 高電流密度に耐えうる有機材料及び素子構造の開発及び高電流密度下で生じる三重項励起子 ( 5) やポーラロン吸収 ( 6) による損失でした 本研究では 有機レーザー材料として低閾値レーザー発振材料である BSBCz 積層構造には図 1 で示す逆積層型 OLED 構造を また光共振器には 1 次 2 次の混合型 DFB 構造を利用することで OSLD の開発に成功しました その結果 約 650 A cm 2 以上の高電流密度下において 480.3 nm に発振ピークを有する強いスペクトルの狭帯化が生じることが分かりました また 発振特性が明確な閾値挙動を持つこと 発振スペクトルの半値幅が 0.2 nm 以下と狭いこと 偏光特性やコヒーレンス特性を有することから レーザー発振であることを確認しました 株式会社 KOALA Tech の創設当該研究グループでは 本新技術を実用化する目的で ( 株 )KOALA Tech Inc.(Kyushu Organic Laser Technology) を 2019 年 3 月 22 日に設立しました 創業メンバーとして 安達千波矢教授 Jean-Charles Ribierre( ジーンチャールズリビエル ) 博士 Fatima Bencheikh( ファティマベンシェイク ) 博士 藤原隆博士がいます 今後 有機半導体レーザーダイオードの特性を改善し その性能を実用レベルへ引き上げ 実用化のための研究開発活動を展開していきます 今後の展開現時点では 青色 OSLD によるレーザー発振が得られていますが 今後 分子設計およびデバイス設計を進めることで 可視域から近赤外域にわたるレーザー発振波長を有するデバイスへ展開し デバイスの安定化技術の開発を進めていきます 本技術の実用化を目指す ( 株 )KOALA Tech と協働することで 情報セキュリティ ディスプレイ バイオセンシング ヘルスケア 光通信など新しい応用展開を開拓できると期待されます 論文名 :Indication of current-injection lasing from an organic semiconductor 雑誌名 :Appl. Phys. Express DOI: https://doi.org/10.7567/1882-0786/ab1b90 著者 :Atula S. D. Sandanayaka, Toshinori Matsushima, Fatima Bencheikh, Shinobu Terakawa, William J. Potscavage, Jr., Chuanjiang Qin, Takashi Fujihara, Kenichi Goushi, Jean-Charles Ribierre, and Chihaya Adachi

用語解説 (1) 電流励起型有機半導体レーザー (OSLD) 有機分子をレーザー発振させるためには 外部から有機分子にエネルギーを供給し 高密度の励起状態の有機分子を形成させる必要がある 外部エネルギーとして紫外線などの光を用いて励起状態を形成させる手法を光励起と呼び ( 例えば今回実現した光励起型の有機薄膜レーザー ) 外部エネルギーとして電流を用いて励起状態を形成させる手法を電流励起と呼ぶ (2) DFB 構造 Distributed feedback 構造の略 レーザー素子で用いる光共振器の 1 つ 本研究では光学特性が異なる二酸化ケイ素 (SiO 2) と有機レーザー分子を周期的に配置した回折格子構造を採用した 効率良くレーザー発振を生じさせるために 周期が異なる 1 次と 2 次の回折格子構造を組み合わせた (3) 光共振器 DFB 構造で構成された光共振器中で有機レーザー分子が発光した光がレーザー活性層の中へ反射される その反射された光が励起されている有機レーザー分子と相互作用することで増幅される (4) レーザー発振レーザー (Laser) は Light Amplification by Stimulated Emission of Radiation( 誘導放出による光増幅 ) の略語である レーザー光は 太陽光や蛍光灯の光のような自然光と異なり 直進性や集光性に優れている このレーザー光が放出される様をレーザー発振という (5) 三重項励起子による損失三重項励起子とは有機レーザー分子を光や電流で励起することにより形成される励起子の 1 つ レーザー発振が始まった時には三重項励起子は少ないが 寿命が長いため時間とともに蓄積する 三重項励起子はレーザー光を吸収してしまうので レーザー発振が停止してしまう場合が多い 本研究で用いた有機レーザー分子は三重項励起子によるレーザー発振の吸収が非常に弱いので 三重項励起励起子がレーザー発振を阻害することはない (6) ポーラロンによる損失ポーラロンとは有機レーザー素子への電圧をかけた際に注入される電荷キャリアのことである 三重項励起子による損失と同様に 生じた正のポーラロンであるラジカルカチオン 負のポーラロンであるラジカルアニオンがレーザー光を吸収してしまうので レーザー発振が停止してしまう場合が多い 本研究で用いた有機レーザーデバイスではポーラロンによるレーザー発振の吸収が非常に弱いので ポーラロンがレーザー発振を阻害することはない < お問い合わせ先 > < 研究に関すること > 安達千波矢 ( アダチチハヤ ) 九州大学最先端有機光エレクトロニクス研究センター 819-0395 福岡市西区元岡 744 Tel:092-802-6920 FAX:092-802-6921 E-mail:adachi@cstf.kyushu-u.ac.jp <JST の事業に関すること > 古川雅士 ( フルカワマサシ ) 科学技術振興機構研究プロジェクト推進部 102-0076 東京都千代田区五番町 7 K s 五番町 Tel:03-3512-3528 Fax:03-3222-2068 E-mail:eratowww@jst.go.jp

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