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第5回 国際的動向を踏まえたオープンサイエンスの推進に関する検討会 資料1-1

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産学連携による新産業育成

また 営業秘密の取扱いについても 社内の規程を整備することが秘密情報の流出時に法的保護を受ける上で重要であることから 今回の職務発明規程の整備に併せて 同期間 IN PITでは 営業秘密管理規程を含む企業の秘密情報管理体制の構築に関する情報提供や周知活動も積極的に行っていきます ( 本発表資料のお問

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1) 3 層構造による進捗管理の仕組みを理解しているか 持続可能な開発に向けた意欲目標としての 17 のゴール より具体的な行動目標としての 169 のターゲット 達成度を計測する評価するインディケーターに基づく進捗管理 2) 目標の設定と管理 優先的に取り組む目標( マテリアリティ ) の設定のプ

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問 2 戦略的な知的財産管理を適切に行っていくためには, 組織体制と同様に知的財産関連予算の取扱も重要である その負担部署としては知的財産部門と事業部門に分けることができる この予算負担部署について述べた (1)~(3) について,( イ ) 内在する課題 ( 問題点 ) があるかないか,( ロ )

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平成 29 年 4 月 12 日サイバーセキュリティタスクフォース IoT セキュリティ対策に関する提言 あらゆるものがインターネット等のネットワークに接続される IoT/AI 時代が到来し それらに対するサイバーセキュリティの確保は 安心安全な国民生活や 社会経済活動確保の観点から極めて重要な課題

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大泉町手話言語条例逐条解説 前文 手話は 手指の動きや表情を使って視覚的に表現する言語であり ろう者が物事を考え 意思疎通を図り お互いの気持ちを理解しあうための大切な手段として受け継がれてきた しかし これまで手話が言語として認められてこなかったことや 手話を使用することができる環境が整えられてこ

1. 実現を目指すサービスのイメージ 高齢者や障害者 ベビーカー利用者など 誰もがストレス無く自由に活動できるユニバーサル社会の構築のため あらゆる人々が自由にかつ自立的に移動できる環境の整備が必要 ICT を活用した歩行者移動支援サービスでは 個人の身体状況やニーズに応じて移動を支援する様々な情報

携帯電話の料金その他の提供条件に関する タスクフォース 取りまとめ 平成 27 年 12 月 16 日

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公共工事等における新技術活用システムについて 別添 公共工事等に関する優れた技術は 公共工事等の品質の確保に貢献し 良質な社会資本の整備を通じて 豊かな国民生活の実現及びその安全の確保 環境の保全 良好な環境の創出 自立的で個性豊かな地域社会の形成等に寄与するものであり 優れた技術を持続的に創出して

事務連絡 平成 26 年 4 月 23 日 各実施機関実施責任者殿 各実施機関事務連絡担当者殿 文部科学省科学技術 学術政策局 人材政策課 科学技術人材育成費補助金により雇用する研究者等に係る人件費の取扱いについて 旧科学技術振興調整費 ( 以下 旧調整費 という ) の課題を実施する研究者等の人件

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が実現することにより 利用希望者は認証連携でひもづけられた無料 Wi-Fi スポットについて複数回の利用登録手続が不要となり 利用者の負担軽減と利便性の向上が図られる 出典 : ICT 懇談会幹事会 ( 第 4 回 )( 平成 27(2015) 年 4 月 24 日 ) 2. 現状 日本政府観光局

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5. 政治経済学部 ( 政治行政学科 経済経営学科 ) (1) 学部学科の特色政治経済学部は 政治 経済の各分野を広く俯瞰し 各分野における豊かな専門的知識 理論に裏打ちされた実学的 実践的視点を育成する ことを教育の目標としており 政治 経済の各分野を広く見渡す視点 そして 実践につながる知識理論

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厚生労働省告示第六十四号中小企業等経営強化法平成十一年法律第十八号第十二条第一項の規定に基づき職業紹介事業 ( ) 労働者派遣事業分野に係る事業分野別指針を次のように定めたので同条第五項の規定に基づき公 表する平成三十一年三月十四日厚生労働大臣根本匠職業紹介事業 労働者派遣事業分野に係る事業分野別指

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02 IT 導入のメリットと手順 第 1 章で見てきたように IT 技術は進展していますが ノウハウのある人材の不足やコスト負担など IT 導入に向けたハードルは依然として高く IT 導入はなかなか進んでいないようです 2016 年版中小企業白書では IT 投資の効果を分析していますので 第 2 章

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システムの開発は 国内において 今後の普及拡大を視野に入れた安全性の検証等に係る研究開発が進められている 一方 海外展開については 海外の事業環境等は我が国と異なる場合が多く 相手国のユーザーニーズ 介護 医療事情 法令 規制等に合致したきめ細かい開発や保守 運用までも含めた一体的なサービスの提供が

目次 広告に関する問題の再整理 2ページ 問題 1: 海賊版サイトへの広告出稿 配信の実態 3ページ 改善策 -- 海賊版サイトへの広告出稿 配信 4ページ 問題 2: アドフラウド ( 広告詐欺 ) の実態 5ページ 対応策 -- アドフラウド ( 広告詐欺 ) 6ページ 対策の進捗 CODA 提

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1. のれんを資産として認識し その後の期間にわたり償却するという要求事項を設けるべきであることに同意するか 同意する場合 次のどの理由で償却を支持するのか (a) 取得日時点で存在しているのれんは 時の経過に応じて消費され 自己創設のれんに置き換わる したがって のれんは 企業を取得するコストの一

注 : 平成 年度募集研究種目 国際的に評価の高い研究の推進 研究費の規模 / 研究の発展 H には 新たに基盤研究 (B) 若手研究 (A) の 種目に基金化を導入 若手研究 9 歳以下 ~ 年 (A) 500~,000 万円 (B) ~500 万円 研究活動スタート支援 年以内年間 50 万円以

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る 連合会は 管理運用の方針の策定及び変更等退職等年金給付調整積立金の管理及び運用に係る専門的事項を検討する場合には 資金運用委員会の専門的知見を活用する 3 退職等年金給付調整積立金の管理及び運用におけるリスク管理連合会は 連合会を除く管理運用機関 ( 組合 市町村連合会及び連合会をいう 以下同じ

併せて 先進事例を統一的なフォーマットでデータベース化する また 意欲ある地域が先進的な取組みを行った人材に 目的に応じて容易に相談できるよう 内閣官房において 各省の人材システムを再点検し 総合的なコンシェルジュ機能を強化する 各種の既存施策に加え 当面 今通常国会に提出を予定している 都市再生法

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取組みの背景 これまでの流れ 平成 27 年 6 月 日本再興戦略 改訂 2015 の閣議決定 ( 訪日外国人からの 日本の Wi-Fi サービスは使い難い との声を受け ) 戦略市場創造プラン における新たに講ずべき具体的施策として 事業者の垣根を越えた認証手続きの簡素化 が盛り込まれる 平成 2

事務ガイドライン ( 第三分冊 )13 指定信用情報機関関係新旧対照表 Ⅰ-2 業務の適切性 現行改正後 ( 案 ) Ⅰ-2 業務の適切性 Ⅰ-2-4 信用情報提供等業務の委託業務の効率化の観点から 内閣総理大臣 ( 金融庁長官 ) の承認を受けて信用情報提供等業務の一部を委託することが可能とされて

下の図は 平成 25 年 8 月 28 日の社会保障審議会介護保険部会資料であるが 平成 27 年度以降 在宅医療連携拠点事業は 介護保険法の中での恒久的な制度として位置づけられる計画である 在宅医療 介護の連携推進についてのイメージでは 介護の中心的機関である地域包括支援センターと医療サイドから医

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ピクテ・インカム・コレクション・ファンド(毎月分配型)

Transcription:

技術 デザイン ブランド コンテンツにまたがるグローバル知財総合戦略の提言平成 24 年 12 月 8 日一般社団法人日本知財学会科学技術と知的財産戦略委員会 日本知財学会では 平成 14 年 (2002 年 ) の設立当初から知的財産に関わる政策提言を積極的に行うことを方針として 知的財産分野の有識者による 科学技術と知的財産戦略委員会 にて議論を重ねて作成し 理事会の承認を経て公開している 従来おこなってきた政策提言は 2003 年以降 6 回にわたっている 2003 年 05 月 20 日知財関連裁判における技術判事および専門委員制度に関する政策提言 2007 年 10 月 02 日政策提言 2007 2009 年 11 月 12 日日米欧三極知財シンポジウムへのアカデミアからの提言 2009 年 11 月 20 日特許制度に関する政策提言 2010 年 12 月 14 日産学連携と大学知財に関する政策提言 2012 年 06 月 22 日コンテンツ知財戦略 大学知財ポリシー 震災復興に関する政策提言 2012 年の日本知財学会設立 10 周年に際して 科学技術と知的財産戦略委員会 では 当学会が従来行なってきた提言内容がどの程度実現されているかについて評価を行い 実現が不十分な項目について施策をさらに検討を行うとともに 学会として東日本大震災に学ぶべき教訓や 従来学会としての取り組みが遅れていたコンテンツ戦略 デザイン ブランド戦略などの領域における知財政策のあり方に関しても 各分科会からも積極的な提案を求めつつ議論を重ねてきた 本提言はこのような議論の結果を 今後 10 年を臨む知財戦略 技術 デザイン ブランド コンテンツにまたがるグローバル知財総合戦略 にまとめたものである 1. グローバルな知財戦略展開期のなかの日本 ( 日本をパッシングするグローバルな知財取引 ) 知財をめぐる活動が世界的に活発化している スマートフォンやタブレットに関する Apple と Samsung の一連の知財訴訟が 欧州各国や韓国 日本 オーストラリアなど世界 10 カ国以上で争われている 同時に 2011 年以降スマートフォンの特許に関する高価な取引が活発化しており 2012 年に入っても高額な取引が続いている 1 以前から 米国では特許譲渡市場は活性化していると言われているが 2011 年の後半以降は特に活況を呈 1 米グーグルが通信機器大手モトローラモビリティー (Motorola Mobility) の保有特許の入手を目的として買収したとする報道によると モトローラモビリティーの保有する 1 万 7000 件の特許と 7000 件の出願中の特許を 9600 億円で入手したとすれば その平均金額は一件当たり 52 万ドル ( 登録特許だけだと 74 万ドル ) という高額の取引だったことになる 1

している 2 このように企業の注目が集まる知財への投資を専門とするファンドも拡大している 民間の発明投資ファンドの規模が拡大し訴訟も提起され始めている 韓国では 2010 年に フランスでは 2011 年に政府が主導する知財ファンド設立された 欧米だけでなく中国 台湾などの多くの国で パテントオークションや特許信託 防衛的パテントアグリゲーターなど新しい形態の発明や特許取引が出現している 韓国特許庁は 特許常設オークションシステムを整備し 2011 年 6 月よりオンラインサービスを開始した 中国でも複数の技術取引所で特許等のオークションが既に実施されている 3 米国 欧州の投資家グループによる取引所業務も開始された 4 中国では知財を担保とした融資も盛んに行われている 膨大な資金が知財をめぐる取引に流れ込むような状況が世界的に生まれつつある 一方日本ではこのような知財取引は盛んであるとは言い難く 大学からの技術移転や知財流通が政策的に支援されてきたが 世界的に見れば規模は小さく またその支援事業者も脆弱である ( 台頭する知財活用の新たな手法とそれを支援する各国の制度整備 ) 伝統的なプロプラエタリーな知的財産権の活用だけではなく 知財コモンズや知財プールなどのオープンな知財権の活用も活発になってきている オープンソースソフトウエア (OSS) の GPL ライセンスで始まったオープンな知財マネジメントは 今や特許等の他の法域にも広がっている 知的財産権をコミュニティーに無償で開放することは 急速にイノベーションを促進する効果がある 技術標準におけるパテントプールも同様な効果があるが 一方このようなオープンな知財権の活用だけでは 企業の収益や競争力には貢献しないことも明らかで 同時にプロプラエタリーな知財権を核としたビジネスモデルを有していることが 企業戦略として重要である かつてとは異なり現在はプロプラエタリーとオープンの異なる知財の活用を同時に組み合わせた知財戦略が極めて重要になっている そのための武器となる知財権の取得はますます重要になっていると思われる このように知財をめぐるビジネスに大きな変化が見られる中 特許だけでなく 意匠権 商標権 著作権その他の知財制度が全体としての ユーザーである企業における位置づけが 今まさに大きく変わりつつある Apple をはじめとする欧米企業は デザインを最大限に活用し ブランド戦略を推し進めるビジネス戦略で世界を席巻してきた このような企業は 著作権や商標など様々な知的財産権にまたがって デザインの保護を試みることが目立ってきている このような状況の中 世界企業に育ったサムスンを擁する韓国は 政策としてデザイン戦略を重視し 制度面でもそれまでの意匠制度を法律の名称も含めて大幅に改正しただけでなく 広い意味でのデザイン保護のための様々な施策に取り組んでいる 5 一方これらの世界の知財活用の発展に日本の企業は大きく遅れをとっていると言われている 大企業の従来の知財戦略の目標とは 欧米企業に訴えられないことであり 実施の自由さえ確保できれば 優れたものづくり能力で競争力を発揮することができた しかし情報技術 家電分野を中心に ものづくり面では新興国と組んで市場を一挙に拡大し この市場と連動する市場における補完的な経営資源をプロプラエタリーに活用する欧米企業の知財戦略に対し 劣勢を余儀なくされている またデザイン保護の制度環境も制度改革が遅れている 最近 Apple の知財責任者が来日した際 特許行政関係者に 日本と中国ではデザインが保護されないので出願もしな 2 Fairfield Resources, Fluid Innovation など 10 社を超える 3 上海市知識産権交易中心では 2003 年に特許の取引を開始し特許のオークションも行っている 中国技術交易所 (CTEX) でも中国科学院とオークションの合同事業を行い 70 以上の特許をオークションにかけて 300 万元の取引を成立させたとしている 4 創立会員はシカゴオプション取引所 (CBOE) フィリップス オーシャン トモ ラトガース大学 ノースウェスタン大学 ユタ大学 取引所は CBOE 内に開設した 5 韓国ではデザイン戦略を含む 総合的な知財戦略を推し進める体制を整えつつある 韓国では 2010 年 7 月に知的財産基本法を成立させて 知財戦略の強化を進めている その一環として 各国から特許の国際調査を引き受ける体制を整備するなど知財の国際ハブとしての役割を果たす戦略が注目されている 2

い と述べたとされる 欧米から見て新たな知財活用戦略を行う上で 日本の知財保護は十分でないとみなされていることを象徴的に表している ( 爆発するコンテンツ 著作権をめぐる世界動向 ) コンテンツ関係の知財をめぐる環境も大きな変化が生じている テレビ放送のデジタル化を契機にコンテンツはビッグデータの時代に突入している ビックデータの活用に関しては 米国の巨大ネット企業を含む企業間競争が激化している このようなビッグデータの活用にあたって データに様々な属性データが付随していることから情報収集および利用に関する権利処理の問題が発生しつつある 同時にスマートフォン等のモバイルデバイスの普及により 人々は Wi-Fi 電波の洪水の中で暮らすといっても過言でない ビッグデータと同様に著作権 個人情報保護 プライバシー権などの問題と対峙することになる このような環境変化のなかで コンテンツ分野においても 知財権の問題はますます重要性を増している しかしわが国の企業の知財の動向を見ると コンテンツ分野に限らず 知財制度の改革の進展は停滞し 議論そのものも一時に比べて盛んであるとは言い難い ( 知財活動は新興国を含むグローバルな展開期に ) 知財戦略の強化は 欧米や日本 韓国等の先進国だけではなく 新興国においても 知識社会の将来を見据えて強力な取り組みを展開するようになってきている 知財大国を目指す中国では 実用新案権 意匠権 商標権出願は既に世界 1 位になっており 特許出願でも 2010 年には日本を抜いて世界 2 位となっている これに対して 日本の企業の知財全般の活動は最近低調で 特許 商標 意匠の出願件数はいずれも顕著な減少傾向にある 特に意匠出願は ピークの約半分に落ち込んでいる 日本特許庁への特許等の出願は 80 年代から 90 年代にかけて増加してきたが 2000 年代に頭打ちになり 2009 年には激減している ( 日本もグローバル知財時代を避けて通れない ) 他方 日本企業の知財活動にも変化が見られる 2010 年までの 主要地域の主要 12 カ国からの国際特許協力条約 (PCT) に基づく国際特許出願件数推移を見ると 2008 年のリーマンショック以降 スペイン ドイツを除き ほとんどの欧米諸国からの出願件数は減少しているのに対して 日本からの国際出願は 7.3% 増加した 6 つまり日本企業の保有する知的財産については 国内の比率が激減し 外国 特に新興国における知的財産の保有比率が著しく増大したことを示している そしてその知的財産の創造も 新興国を含む外国においても 大学などの現地機関と連携して生み出されるようになってきている 7 このような傾向は大企業だけではなく 中小企業とベンチャー 大学についても同様である 最近では欧米や中国 韓国などの外国から日本の技術を投資対象として期待する動きがあり アライアンスの相手も国際化している 新興国企業が日本の技術への投資や技術力の高い日本企業を買収する例も出始めている また日本の大学などの技術を米国のシリコンバレーで育成して事業化することの提案なども行われている 8 6 さらに中国からは前年比 57% の増加 韓国からは 20% 増加したことで 日中韓 3 カ国を合わせた国際特許出願数は 2009 年に欧州を 2010 年に北米を凌駕した 7 欧米企業の新興国における産学連携については 新興国におけるイノベーション 技術標準と知的財産戦略研究会 2010 年度報告書東京大学政策ビジョン研究センター 日本知財学会 (2011/03/06)http://pari.u-tokyo.ac.jp/unit/tizai_unit.html 8 アジアアントレプレナーシップアワード http://www.fdc.or.jp/aea/index.html における議論など 3

ips 細胞の発見でノーベル医学 生理学賞を受賞した山中教授の技術は 産学の協力によって設立した ips アカデミアジャパン社を通じて 世界の企業にライセンスされている また 2011 年 7 月 20 日に 東工大の細野秀雄教授らが発明した高性能の薄膜トランジスター (TFT) に関する特許について サムスン電子株式会社とライセンス契約を締結した 日本の知財戦略 の創造 保護 活用の舞台は 既に日本だけではなく 欧米さらには新興国を含むグローバルな展開において実施される時代になっている このような中 日本における知財の創造 保護 活用を専ら議論する 日本に閉じた知財戦略 から 早期に脱皮し グローバル知財戦略 の検討と確立が早急に望まれている ( 日本のグローバル知財戦略構築を目指して ) 今や新興国を含む世界は グローバルな知財戦略の展開期に入っており 日本も否応なくこのなかに突入しつつある グローバル知財戦略を背景に それぞれの国の知財制度を最も合致させるべく変革する競争の時代に入ったと認識するべきである その中で我が国の知財制度を如何に改革していくか そして企業と大学の知財戦略を革新していくかは 日本の産業競争力の発展と 知識社会における世界における日本の貢献を高めるための中心的な施策であることは疑いない グローバル知財戦略を構築するためには グローバルな環境において 知財が生み出され その成果が守られ 必要に応じて共有され 世界で生かされる制度と運用 を目指すべきである このための 1 知財制度戦略 2 企業戦略 3 産学協力戦略 4 人材育成戦略 を推し進めていく必要がある この議論において重要なのは 知財の創造を担う科学者 技術者 コンテンツクリエーターと 知財を活用する企業経営者が 今後 10 年自らを委ねる知財戦略を 起業家精神をもって創造していくことである もともと日本知財学会は 知財を生み出す研究者やそれを利用する企業の経営者が中心になって ニーズ指向の知財学を振興するため設立された学会である そして 本学会に集う知財の専門家は これら知財制度ユーザーの視点を今一度確認しつつ その重要な役割を自覚し 法律 経済 経営 国際関係論など学際領域の知見を総動員して知財戦略を立案 遂行することが望まれている 振り返れば 10 年前の 2002 年に我が国は 知的財産戦略大綱 を策定 同年中に知的財産立国に向けた基本的方針を定めた 知的財産基本法 を制定した 知的創造サイクルの活性化という国家目標を確立し その後 2003 年以降 内閣総理大臣を本部長とする知的財産権本部が設置され これまでの 10 年の間 省庁を横断する知的財産戦略計画が毎年策定されてきた 日本知財学会の創立 10 周年でもあり また知財基本法 10 周年でもあるこの年に 過去 10 年の我が国の知財戦略の評価を踏まえて 今後 10 年を展望する知財戦略を構築していく必要がある 本提言は このような観点から 日本の政府 企業 大学が取り組むべき知財戦略を提言するものである 2. 知財戦略各論 2.1 知財制度戦略 グローバルな環境において 知財が生み出され その成果が守られ 必要に応じて共有され 世界で生かされる制度と運用が効果的に行われるための知財制度戦略としては 日本知財制度のグローバル対応にふさわしい整備を行うことと 国際知財制度の調和と新興国を中心とする知財制度整備への貢献の2つを連携させて展開する必要がある そこでは将来グローバルにあるべき知財制度の姿を 国内外で実現していく姿勢が大切である 4

Apple の知財責任者が 日本と中国ではデザインが保護されないので出願もしない と述べるような環境では 企業の知財戦略は発展しないことは明らかである 一方 膨大な知財権の審査が本当に機能しているのかどうかという議論もある 特許権を例に取ると 世界中で毎年 190 万件以上が出願され 70 万件以上の特許権が生まれており これら多くの言語で書かれた膨大な権利を調査することすら困難であると思われることから 特許システムは限界に達しているとする意見もある 9 制度ユーザーにとっては 審査を行なって発生する知的財産権と 無審査で発生する知的財産権との関係においては 前者は 後者と比べて より安定で広く強いものであることが期待される また無審査登録される実用新案のような権利でも 公示がなされることで他者が調査することが可能になるものと 著作権のように公示すらされないで権利が発生しているものとの効力にも差異があるべきである しかし現在 デザイン保護という観点から意匠権と著作権 不正競争防止法による保護との関係を見ても 必ずしもこれらの三者が適切な関係になっていない面がある 世界に目を転じれば 新興国における実用新案権と特許権との関係においても同様な問題が見られる これはとりも直さず各国の特許庁の存在意義にも関わることである 日本だけでなく世界における抜本的な改革の議論が必要である このような観点を基軸に据えて 知財制度戦略として以下を提言する 10 1 知的財産権の3つのカテゴリーをめぐる相互関係の調整による知財権のユーザーによっての信頼向上 ( 新規および一部 2009 年 11 月 20 日特許制度に関する政策提言の内容を参照 ) 現在の知的財産権には 特許権や意匠権のように所定の機関に出願を行い公示され かつ審査を経て知的財産権として登録されるものと 実用新案権のように無審査で登録公示されるもの そして著作権や不正競争防止法による知的財産の保護のように 公示も審査もなされないまま発生する権利の 3 つのカテゴリーがある 長い努力の末に大きなブレークスルーを成し遂げた際のパイオニア発明などは 広く強く安定した権利が与えられるべきであり そのためには相応する高いレベルの審査が行われる必要がある また 審査がなされなくても 登録制度を設けて公示される権利については 調査も容易であることから 公示制度のない知的財産に比べればより大きな効力をユーザーは期待する 逆に無審査で公示されることもない知的財産は ほぼ同一の知的財産の模倣を防止するか 通常実施権を保証するのみの限定した権利として運用されるべきである しかし現在 世界的に見れば デザイン保護分野や 技術の保護においても これらの関係に混乱が見られる 法域ごとの権利相互の関係を今一度見直しをする必要がある 具体的には 審査を行うものについてはその質の向上を図り 審査によって発生した権利については有効推定の原則を付すなどして安定性を高める 逆に公示されることがなく無方式主義で発生する権利に関しては 権利行使の可能な範囲は 前者に比べれば限定された同一の模倣のみが対象となるべきである これらの一連の施策を 技術の保護 デザインの保護 などのユーザーニーズに応じた領域ごとに整合的に検討する また 国際的にもこのような法域ごとの制度の整合的調整と 審査の質の向上に協力貢献する 2 グローバル化に対応した職務発明制度の検討 ( 新規 ) 第一に発明者と活用主体の企業との関係を規定する職務発明制度の国際的な運用を検討する必要がある 平成 16 年改正職務発明制度における相当の対価の定めが 複数の国籍からなる発明者の発明を 複数の国の機関に 9 実際 EPO( 欧州特許庁 ) は 2007 年 4 月 未来のシナリオ (Scenarios for the future) というレポートを出しているが その中に示された 4 つのシナリオの中の一つは 2025 年には殆どの国で特許制度が廃止されるというものも含まれている 10 本提言以前に本学会の過去の提言で示されている事項についてははその出典を 今回の提言での新規事項については ( 新規 ) と称した 5

よる権利者によって円滑に利用できる制度にするために 職務発明制度の廃止または法人発明制度への移行などを含む より望ましい制度を検討する 3 IP5 主導による特許制度等のハーモナイゼーション ( 詳しくは平成 21 年 日米欧 3 極長官会合へのアカデミアからの提言 https://www.ipaj.org/agenda/pdf/teigen_200911_nichibeiou.pdf を参照 ) 世界特許 の実現が究極的なゴールであるが 現実を踏まえ 協働が可能なIP5( 日米欧中韓の5カ国 世界の特許出願の 80% を占める ) が先導する形で その方向に向けたステップバイステップの着実な対応が重要である それは 外国出願コストの低減 審査の効率化 特許の質や安定性の向上 国際的な産学連携の円滑化に大きく貢献することになる 第 1ステップとしては 共通出願様式 (CAF) その利便性を高めるツールの開発等の特許の出願ルールの統一 第 2ステップとして共通サーチレポートの導入 サーチ結果の共有や審査基準の統一 第 3ステップとして 日米欧の特許制度の統一を目指すことが考えられる そして第 4ステップとして この仕組みを世界に拡げていくことが望まれる 4 非特許文献の共通データベース及びサーチシステムの早期構築 ( 詳しくは平成 21 年 日米欧 3 極長官会合へのアカデミアからの提言 https://www.ipaj.org/agenda/pdf/teigen_200911_nichibeiou.pdf を参照 ) 各国の特許の質を決めている重要な要因として外国特許文献に加え 論文などの非特許文献のサーチがある アカデミアの研究発表は国境を越えてグローバルに展開されるため その文献ソースは極めて多岐にわたる 今後は中国語の文献なども重要になることが予想される 5 カ国の特許庁で共通のデータベース サーチシステム 機械翻訳を構築し それら共通インフラを利用して審査する仕組みを構築する 5 知財司法分野における信頼向上とグローバル化 ( 詳しくは平成 21 年日本知財学会 特許制度に関する政策提言 https://www.ipaj.org/agenda/pdf/teigen_200305_tizaikanrensaiban.pdf を参照 ) 知財司法のあり方が 世界における日本の知財制度の信頼を左右すると言っても過言ではない 技術的内容の事実認定の機能を高め 知財裁判の国際的信頼を高めるために 調査官を増員 公募での任用 共同調査制度の導入などの施策を図る あわせて準司法機関としての審判機能を 研修やインターン制度 審判官の法曹資格取得支援などによって充実させる また知財制度の国際調和のためには 各国の知財裁判官が 相互に他国の制度を知ることが有意義である 特に 裁判制度の運用は 実際に各国の裁判を見聞することで理解の度合いが深まる 日本の知財司法の国際化を進めるため 知財裁判官の出向や留学の機会を制度化し 相互派遣を行うのとともに 日本における各国の知財 ( 特許 ) 裁判所長官会議を定期的に行い 日本で主催する また日本語の特殊性により 外国で理解 研究されることが少ないわが国の知財判例の英訳配信を行い 諸外国における関心と理解を深める 6 アカデミア 大学の意見を知財制度に反映させる仕組みの継続的整備 - 世界知的財産学術会議 の創設 ( 詳しくは平成 21 年 日米欧 3 極長官会合へのアカデミアからの提言 6

https://www.ipaj.org/agenda/pdf/teigen_200911_nichibeiou.pdf を参照 ) 大学などの機関を通じた知財創出を担うアカデミア かつ知財制度についての研究を様々な角度から行っているアカデミアの知的財産制度に関する意見は グローバルな知財制度の発展に寄与するものと考えられる 従来 企業側の制度ユーザーは三極特許庁長官会合に際してユーザー会議を通じて意見表明を行ってきたが 今後は毎回の各国特許庁長官会議にあわせて 世界知的財産学術会議 を開催して意見表明を行う仕組みを各国 各機関が協力して構築するべきである 7 バイ ドール法と産学共有特許権 ( 新規 ) 国費原資の研究成果に関する知的財産権については 日本版バイ ドール法によって その管理活用を 大学や企業など研究を委託した機関に委ねる制度となっている しかし日本版バイ ドール法によって委ねられた知的財産が複数の利害関係者の権利となることによって 活用が進まないと考えられるケースも少なくなく 国費原資の研究成果の埋没につながっているとする意見もある このような問題を解決するために 産学官で国費原資の知的財産権をプールして活用を促す機関を設立し 該当する知的財産権を集約して活用を促す 一方大学の特許出願は 60% が企業との共同出願となっており 国費原資の知的財産権も数多く含まれる この共有特許権の活用を促進することも重要である このためバイ ドール法によって生まれた共有特許権の活用が停滞している場合は 共有者の同意なく第三者に許諾できることができるような契約を推奨することを政府のガイドラインとして定め より多くの実用化が促進されるように運用する 8 日米欧でのグレースピリオドの調和 ( 詳しくは平成 21 年 日米欧 3 極長官会合へのアカデミアからの提言 https://www.ipaj.org/agenda/pdf/teigen_200911_nichibeiou.pdf を参照 ) 大学 アカデミアからの出願の際には 論文発表が先立つことも多く グレースピリオドの存在は重要である 世界中の研究者が同じ環境で研究成果を競い合い また産学官連携が行えるようにするためには まず 出願 ルールを統一することが重要である 具体的には 米国制度をひとつの基準として 日米欧でのグレースピリオドの調和を図っていくことが重要である グレースピリオドを共通に設ける際にはその公表後の期間も統一される必要があるが これについては監視負担の問題も考慮するべきで どの程度の期間が望ましいのかについての実証研究を進め これを踏まえながら統一していくべきである 9 デザイン保護法制の見直し ( 新規 ) デザインは 工業製品に留まらず インテリア 建築物 店舗 衣服等の様々な分野において頻出かつ不可欠な言葉の一つとして用いられており 最近ではパソコンやスマートフォンの画面上のアイコンなどデジタルの世界においてもデザインが重要となってきている このようなデザインは 意匠法 著作権法のほか 不正競争防止法 商標法などの知的財産関連諸法によって直接または間接的に保護されている しかし 審査を受けて公示されている権利と審査を受けず公示されていない権利とで後者の方が むしろ広くかつ長期に保護されるという逆転現象も一部に生じており 意匠出願の件数も漸減傾向にある そこで 意匠法の保護要件である物品要件をはずすことで むしろ公示を求める対象範囲を広げる等 デザイン保護法制度の総合的見直しを行うべきである 7

10 ビッグデータの活用に向けた法整備 ( 新規 ) テレビ放送のデジタル化を契機にコンテンツはビッグデータの時代に突入している 情報漏洩防止または海賊版対策のため コンテンツのデータが複雑に圧縮され暗号化されてきていることもその背景にある 今後はコンテンツのみならず ICT 分野における重要な発展分野であるとも位置づけられる また ビックデータの活用に関しては 米国の巨大ネット企業の競争も今後の課題となっており 企業の競争優位獲得にも極めて注目されるものである このようなビッグデータの活用にあたって データに様々な属性データが付随していることから情報収集および利用に関する権利処理の問題が発生することは間違いない ビックデータが活用できる環境を実現するための 著作権 個人情報保護 プライバシー権 通信の秘密 営業秘密などの法整備を早急にすすめることを提言する 11 スマート時代における政策提言 ( 新規 ) スマートフォン等のモバイルデバイスの普及によるワイヤレスネットワーキング環境を駆使して 状況に応じて運用を最適化するインテリジェントなシステムを構築することを様々な企業が模索している 国民は Wi-Fi 電波の洪水の中で暮らすことになり ビッグデータと同様に著作権 個人情報保護 プライバシー権などの問題と対峙することになる 産業財産権の観点においても コンテンツのリサイジング技術の開発の促進 通信環境の安定化 超低消費電力化 高機能化等のクロスライセンスが必要となる可能性が高い スマート時代における知財制度整備のあり方についての議論を集中的に行うことが求められている 12 クラウド時代におけるサービス提供者の責任を明確化 ( 新規 ) クラウドサービスの提供事業者に対する利用者による著作権侵害などの責任の明確化を行うため 著作権法を改正し間接侵害規定が作られることが望ましいといえる また 同時にプロバイダー責任制限法を含むセーフハーバー規定の在り方についても再検討されるべきである 加えて クラウドサービス内でユーザーのコンテンツ利用を円滑化するため 著作権等管理事業者などとクラウドサービス提供事業者間による利用許諾を包括的に行うなど利用許諾の円滑化に係る仕組み作りが求められる 13 コンテンツの積極的な英語化並びにローカライズに係る情報収集の促進 ( 詳しくは平成 24 年日本知財学会 コンテンツ知財戦略 大学知財ポリシー 震災復興に関する政策提言 https://www.ipaj.org/agenda/pdf/teigen_20120622_2.pdf を参照 ) 我が国のコンテンツは 原則的に国内での流通を想定して制作されているものが多く 文化 宗教 環境等の違いから他の国での流通が困難あるいは市場で受け入れられない事例がある すなわち コンテンツを世界的に発信する場合には それらのハードルを理解した上に適正な英語翻訳を行うことが求められてくる 政府が主体となり各国ごとの地域情報を収集し アーカイブした上で コンテンツホルダーによる共有を促進する 14 我が国のコンテンツのグローバル化を促進するため 英語等への翻訳 ( 吹替 / 字幕 ) の支援 ( 詳しくは平成 24 年日本知財学会 コンテンツ知財戦略 大学知財ポリシー 震災復興に関する政策提言 https://www.ipaj.org/agenda/pdf/teigen_20120622_2.pdf を参照 ) 8

グローバル市場でコンテンツを流通させることを前提とした場合 コンテンツの英語化は必須である コンテンツの視聴という意味のみならず プロモーションとして重要な役割を担うサーチエンジンを利用することを考えても その中心の言語は英語である 我が国においては 新しい作品かつキラーコンテンツの一部の英語化が進められてきているものの十分ではない 現状では コンテンツをグローバル化する場合においては 単に我が国のコンテンツを海外市場に投入しても 十分な市場形成をすることは期待できない このような状況に鑑み 我が国のコンテンツホルダーは グローバル市場における作品の認知と市場形成に向かって英語コンテンツの制作を積極的に進めるべきである 英語コンテンツの発表をどのように行うことが効果的なのか 収益化をどのようにして可能にするのかなどのビジネスモデルの問題等にも取り組むことで 既に日本では注目がされなくなったような作品が新たに海外で紹介され人気が出ることや 世界同時に雑誌での連載漫画やテレビ放送等が英語等の言語に対応した形で流通することも期待でき 結果的に違法コンテンツの流通を抑止できる可能性も期待できる しかし一方このようなコンテンツホルダーの中には 資金の乏しい事業者も少なくないことから 政府はこのようなコンテンツの英語化への取り組み等に関して 必要な支援を行うべきである 15 地域ごとのユーザー特性等の調査の実施 ( 詳しくは平成 24 年日本知財学会 コンテンツ知財戦略 大学知財ポリシー 震災復興に関する政策提言 https://www.ipaj.org/agenda/pdf/teigen_20120622_2.pdf を参照 ) グローバル市場への展開を考える上では コンテンツを地域の特性 ( 政治上 宗教上 倫理上 法律上等 ) に応じて改編をする必要がある ただし その前提として改編に当たって必要な情報についての調査が必要になる なお ジェトロ ( 日本貿易振興機構 ) 等は 多くの地域情報を網羅的に提供しているが これまでコンテンツのグローバル配信に必要な地域の特性に着目して調査等が行われたことはない また 既に海外市場で活躍する日本企業群は当該情報について有益な情報を持っていると期待されるが これらの コンテンツのローカライズのための情報 を共有して有効に利用されることもないことからこれらの情報の調査を行う この調査によって得られた情報から地域の特性に応じたコンテンツの改編を行うことができるようになる 2.2 企業戦略 日本産業には ニッチグローバル市場で独自の技術で存在感を示す中小企業が数多く存在する 今後もこれらのグローバルな競争力を有する事業のプロプラエタリーな知財戦略を強化推進することに加えて 新たにグローバルに展開されるオープンイノベーションを 戦略的に展開していく必要がある この点 過去数十年 欧米を中心に 多くの起業家によって 高度な知財戦略を武器にビジネスが生まれ 企業競争力に貢献してきたことは見逃せない そこでは特許 意匠 商標など複数の知財権をミックスさせた活用も活発に行われている 他方 日本の大企業の従来の知財戦略の目標とは 欧米企業に訴えられないことであり 実施の自由さえ確保できれば 優れたものづくり能力で競争力を発揮することができた そのため当面利用しない特許も貿易的な観点から出願が奨励されてきた しかし情報技術 家電分野を中心に ものづくり面では新興国と組んで市場を一挙に拡大し この市場と連動する市場における補完的な経営資源をプロプラエタリーに活用する欧米企業の知財戦略に対し 守りの姿勢で数多くの特許を保有する日本企業は劣勢を余儀なくされている このような課題を克服するためには 我が国の企業も まずはかつてのビジネスモデルにとらわれず 起業家精神をもって新たな知財戦略を展開するときである 9

1 グローバル企業の発展のための知財マネジメントの実践 ( 新規 ) 国際標準におけるオープン プロプラエタリーを組み合わせた知財戦略や オープンイノベーションを実現する知財マネジメントなど 欧米企業が開拓してきた知財戦略とマネジメントは 企業のグローバル知財戦略に不可欠な要素である 日本企業がこれらを習熟し 従来のプロプラエタリーな知財戦略に加えて 必要に応じて先進知財マネジメントを活用することを 産業界全体で認識を深め 具体的な実践についての啓発活動や人材育成に取り組む 2 デザイン知財戦略の充実 ( 新規 ) デザインとは技術とは独立して美観を与える行為ではなく 技術力が 性能や人間的要素 外見 コストパフォーマンスといった顧客ニーズに焦点を当てる高度な技術経営の一部であり そこで生まれる知財は 顧客に最も近い知財として また顧客に想起されるブランドに結実する知財として 事業競争力に最も直結する重要な知財であるといえる 従来技術経営分野では軽視されがちだった デザイン ブランド戦略のベストプラクティスを産業界で共有し 優れた実践事例を政府や学会で表彰するなどして奨励する 3 中小企業のデザイン知財戦略の充実 ( 新規 ) 中小企業においては 独自技術を保護するノウハウや特許の活用に加えて 独自の事業を発展させるためのデザイン ブランド戦略を充実させる必要がある 製品の市場導入の状況に応じて 6 ヶ月の新規性喪失の例外を活用して 必要に応じて意匠権を出願するなど 資金の乏しい中小企業でも効率的マネジメントを実践できるよう 産業支援機関や知財専門職がサポートする体制をとる 4 コンテンツ知財戦略の充実 ( 新規 ) デジタル時代におけるコンテンツ利用の促進を図るためには 権利処理に係る社会的コストの軽減を目的とした二つの仕組み作りが求められる 一つはコンテンツ総量のほんの一部である 2 次利用などが盛んに行われているコンテンツの著作権 著作人格権保持者が迅速に判明するデータベース作りである 今後 パブリックドメインとなったコンテンツの増加が見込まれるが 利用促進を促すためには著作人格権保持者の了解が不可欠となってくる 彼らの連絡先などのデータベースは必要不可欠である もう一つはユーザー自らが創作したコンテンツなどを権利集中し ワンストップで簡単に契約書作成 権利処理が行われるような仕組み作りである また 権利処理に加えて報酬などの回収を円滑に行い 配分ができるような施策を講じる 5 新興国とのアライアンス戦略 ( 新規 ) 新興国のイノベーションインフラ ( 人材 制度などの資源 ) を積極的に活用するような連携を推進する 日本企業や大学が これらの新興国と戦略的な連携を行う際のメリットと注意点などを明らかにし 関係各機関でこれらの情報を共有し 利用すべきものは利用することでスピード感のあるイノベーション戦略をすすめていく 10

2.3 大学と産学連携戦略 日本の大学が 組織として産学連携活動を開始したのは 概ね国立大学法人化の 2004 年以降のことである また教育基本法における大学の責務に 教育と研究に加えて社会貢献が明記されたのは 2006 年のことである 深く真理を探究して新たな知見を創造し これらの成果を広く社会に提供することにより 社会の発展に寄与するものとする として 産学連携等の活動が大学の責務の一つであることを明確にした 国税を用いて活動している大学の社会への貢献が どの程度実現できているのかどうかは 教育と研究と同様 大学にとって説明責任上 重要な観点であることは間違いない 産学連携活動は欧米 アジアの諸外国でも国のイノベーションシステムの重要なツールとして重視されており 産学連携活動がどの程度イノベーション創出に寄与しているのかについては 様々な評価が行われている ところが日本の産学連携機能を諸外国に比べると GDP の 0.6% に貢献しているとする米国はもとより イギリスやスイス オーストラリアなどと比較しても 現状では効率が悪いという結果が得られる 2014 年で 組織的産学連携開始から 10 年の節目を迎える 大学の社会貢献という第三の責務について 過去 10 年の成果を振り返り 今後 10 年を展望するための施策を講じ 効率の高いイノベーションシステムとしての産学連携を実現させていく必要がある 1 イノベーションに向けた目標の共有と計画の遂行体制 産学連携活動は 国立大学法人化以降約 10 年の経緯を経ている ここまでの産学連携活動の成果がどの程度イノベーション創出につながっているのかを表す指標を定め 10 年後の目標を定めて産学の協力によってこれを実現する 2 官学連携による新興国における知財研究 今後ますます重要となる新興国における知財制度の充実した発展に 政府と日本のアカデミアがこれに積極的に協力する 加えて今後のあるべき世界の知財制度に関する研究を 新興国各国のアカデミアと協力してすすめる 11 3 法域をまたがる総合的知財戦略の研究 ( 新規 ) イノベーション推進のための知財戦略においては 特許やノウハウ デザイン ブランド 著作権 コンテンツなどを総合的に活用する知財戦略が不可欠である 法律 経営 経済 科学技術を専門とする研究者が このような横断的な知財戦略の研究に取り組めるよう その研究支援体制の充実を図る 11 日本知財学会では日中韓の知財学術団体と協力して共同研究を推進することを合意している 今後もこのような共同研究の枠組みを広げていく 11

4 大型の産学連携プロジェクトにおける知財や標準戦略の強化 大きな金額を投ずる大型の産学連携プロジェクトでは プロジェクト運営主体における知財 標準戦略が重要である 管理法人となる大学や公的研究機関 研究開発組合などがこのような戦略構築 管理を促すためのプロジェクト採択や評価の仕組みを充実させることに加えて このような取り組みの重要性を啓発し マネジメントにあたる専門職の育成を国が支援する 5 既存企業との産学連携を生かすとともに 大学発ベンチャーへの知財ライセンスを盛んにする 日本の産学連携では共同研究が盛んであることが特徴で リーマンショック以降も共同研究件数は増加傾向にある 企業が自社の技術開発の一部を大学との共同研究を活用するようになったことは 産学連携の推進の成果であるといえる 一方このため日本の大学の特許は大企業との共有特許が多く ベンチャー企業や中小企業にライセンスが可能な単独特許の比率が著しく少ない 米国ではバイ ドール法の当初のライセンスポリシーが新興 中小企業優先であったことに比べると 日本ではベンチャーへのライセンスの環境が脆弱であると言わざるを得ない 政府の支援を受けて 大学がベンチャーにより多くの知財をライセンスできるように単独特許をより多く保有し これを優先的にベンチャー企業にライセンスする また日本では米国と比べて大学発ベンチャーへの独占ライセンスの頻度が著しく小さい 経営資源が乏しいベンチャーがビジネスプラン上必要な ライセンス条件に政府や大学や TLO がもっと配慮するべきである 中小企業やベンチャー企業にとって 大学の 1 件 1 件の知的財産の事業創造に対する相対的な価値は 大企業より勝ることが多い 大学技術の移転先として中小企業やベンチャーをより重視する施策を講じるべきである あわせて大手企業が国内ベンチャー企業に投資を行った場合 その投資額を税額控除できるようエンジェル税制を拡充する制度 欧米等の外国資金なども活用して日本の技術を商業化していく施策 経営人材面では 大学発ベンチャーに国際的な経営人材のネットワークにアクセスさせる施策を講じる 6 グローバル大学知財戦略指針の明確化 知財市場のグローバル化によって 日本の大学や国の研究機関の技術が世界で利用され 世界の大学の技術が日本でも利用されるようになってきた 大学知財戦略もグローバル化が求められている 我が国の大学の知財戦略の指針としては 公正で合理的条件 かつ活気のあるグローバル知財市場を創っていくことを主眼として 国費原資の研究成果の移転を含む知財のライセンスと移転に際しては 国内外を必要以上に差別することなく 世界中で利活用できるようなグローバルに開放された方針を定める 12

7 大学の会計規則の柔軟化 産学連携による共同研究費や寄付金などの原資を 大学教員の給与原資に充てられないことで 多様で柔軟な産学連携活動に制約が生じる また産学連携を活発化させるためには 大学間や産学間の人材がより流動することが必要であるが 大学の退職金制度や年金制度と整合していない 教員のエフォート管理制度 ( 実態を反映するもの ) を導入して 年間の 9 カ月を運営費交付金 3 カ月を共同研究資金で教員の雇用を可能にするなどの人件費原資の柔軟化を行うことによって 運営費の総額を変えずに若手中心の研究者の雇用を促進する また人材流動性と整合しない退職金制度の前払い制や年金制度の流動化への対応などを進める 8 機能的な人事制度 付加価値の高いマーケティング 共同研究に関して柔軟かつ多様な契約業務や運営などに長けた産学連携専門職 ( ライセンスアソシエイト ) や大学研究管理専門職 ( リサーチアドミニストレーター ) を包括する専門職制度を確立し 大学内における一般事務組織と人事制度を区別する 専門職においては一定の専門性を担保する育成プログラムや研修の受講を義務付ける 産学連携組織は専門職によって構成することで 付加価値の高いマーケティング等の活動に専念できる 産学連携に関係していても 一般管理業務は事務組織で分担する 9 臨床研究に関する規制緩和 改革 医療関連分野においては 今後新興国を含めた諸外国とのイノベーションシステム競争において 我が国の規制緩和や改革がさらに遅れていくことが懸念される 治験の進め方に関する基準が明確でなく予見可能性が低い問題や 医療特許の保護範囲の拡大 デバイスラグの解消になどの課題を踏まえ 臨床研究 治験のプロセスの明確化や医療特許の保護範囲拡大に関する課題を解決する施策を講じるべきである 10 機関評価の改善と専門職スタッフの拡充 機関評価は必要な項目に整理簡素化し かつ前向きな評価を行うような内容に改善していく必要がある また大学の管理面でも 日常の会計を事務機構が管理し かつ複数年度の研究遂行に支障がないような会計制度 ( 短期の研究費貸付など ) を講じて 教員 研究者の会計管理負担を軽減するとともに プロジェクト企画 運営 管理に関しては プロジェクト間接経費当を活用して 専門職として教育された事務スタッフ ( リサーチアドミニストレーター等 ) を配置して負担軽減する必要がある このような体制を整備することで大学研究者の産学連携につながる基盤的な研究環境を向上させる 13

11 国際的な産学共同研究のあり方に関する国際的な議論の 場 の設置 ( 詳しくは平成 21 年 日米欧 3 極長官会合へのアカデミアからの提言 https://www.ipaj.org/agenda/pdf/teigen_200911_nichibeiou.pdf を参照 ) 国際的な産学連携が進展しており その際 職務発明 外国為替管理法上の規制 先端技術の移転等のルールの明確化や運用上の工夫が求められている また 複数の国の大学および企業が参加する国際的な産学共同研究が増している中で 各国の知的財産制度が異なるために 成果の知的財産に関する取り決め等を行うことが困難な場合も多く 円滑な国際協力の妨げになっている グレースピリオドの整合化の推進に加え 制度運用を含めた各論についても ルールの検討や国際的なガイドラインを設けるなどの対応を検討するため 産学国際共同研究のあり方に関する国際的な議論の 場 の設置を行う 2.4 知財人材育成戦略 政府は知財戦略の一環として 知財人材育成に関する施策を重視し 2006 年に知的財産人材育成総合戦略を講じ 知財人材の量的および質的な向上を図ってきた 知財専門職大学院の開設が進み MOT 分野での知財教育や 各種の知財ビジネスに関係するスクールや講習会なども盛んに行われた しかしここ数年 学生や受講生が集まらなくなっている知財人材育成機関もあり 知財に関する啓発や教育の機会は 一時期ほど盛んに行われなくなっているとの見方もある 人材育成の推進は 知財分野の戦略実行のための要 ( かなめ ) である そして今や日本人ばかりではなく日本産業と連携する外国人を含むグローバル知財人材の育成が必要である 産学官の協力のもと 今一度グローバル知財人材育成に取り組む体制を整備する 1 グローバル知財戦略時代の人材育成 ( 新規 ) 国際標準におけるオープン クローズ知財戦略や オープンイノベーションを実現する知財マネジメントなど欧米企業が開拓してきた知財戦略とマネジメントは 企業のグローバル知財戦略に不可欠な要素である また 特許などの技術系の知財 デザイン ブランド知財 著作権コンテンツ知財はお互い密接に関係して戦略が構築され 効果的な連携のもとにマネジメントが行われなければならない しかしこれらの新しい知財マネジメントに従事する人材の育成が充分行われていない これらの課題を解消するため 各種セミナーや 社内教育のコンテンツ開発 知財専門職大学院 技術経営専門職大学院におけるグローバル知財戦略の教育を充実させるなどの産学官の協力によって 日本企業の先進知財マネジメントの能力を高めることのできる人材育成体制を整備する 2 知的財産の戦略的管理や技術のマーケティング活動を実施できる専門性の高い人材育成 技術移転人材の育成強化を行う 米国のロースクールのプログラムではライセンスに関する内容が充実している 日本でも 技術移転の教育をより充実させ マーケティングや柔軟な交渉術を含んだライセンス交渉などの 知財経営技能 を学ぶ場の設置が求められる このような教育のための 教師側 の人材が非常に限られてい 14

る現状も踏まえ 専門家を集めた集中コースの設置を行うことに加え 順次知的財産専門職大学院や 大学における知的財産に関する社会人スクールなどでこのような人材育成に取り組む 3 知財人材育成に関する国際協力 交流の展開 ( 新規 ) 従来から発展途上国に対する知財人材育成の協力なども行われてきたが 知財人材の育成に関する国際協力 交流を 知的財産制度に関する国際協力の基盤として位置づけ さらに積極的な展開を行うべきである 具体的には 知財人材育成機関が協力して アジア等における知財教育実践のための国際的な研究交流を行うことで その裾野を広げ充実を図る 4 初等中等教育における知財教育の充実 大学の知財教育の強化 ( 新規 ) 初等中等教育においては 知財が取り入れられた新しい新学習指導要領が設けられた 中学校では技術科 高校では工業科 商業科などの専門教科のほか 中学校 高校ともに 音楽や美術などの教科 科目と多岐にわたりその取り組みにもばらつきがある 学校現場の教職員の教育方法の適切な開発を促すための知財教育の発展を支援するべきである また新指導要領においても 著作権についての言及と 特許等のその他の知的財産権の取り扱いに大きく差が有り 著作権以外の知的財産権が全く取り上げられていない項目もある 今後の課題として検討を行うべきである 初等中等教育における効果的な知財教育手法として 実際に優れた発明については特許庁等への出願を実践するなども試みられている しかし未成年の発明者の特許出願等の際の個人情報の保護などにも課題があり 知財教育を実地で進める際の懸念材料となっている これらの点についても方策を検討するべきである また大学では専門教育の中で知的財産が扱われているほか 工学系の学生に対する知財教育は必ずしも標準的なプログラムが設けられていることまれで 研究者 技術者として必要な知財の取り扱いの基本知識を有しないまま 研究開発に取り組むことも少なくない 大学と政府が協力して 自然科学系の大学学部および大学院における標準的な知財教育プログラムを定めて これを普及させる 15