第 1 章 通級による指導 ~ 開始前に知っておくべき基礎知識 ~ 1 通級による指導とは 通級による指導とは 通常の学級に在籍する障がいのある児童生徒が 各教科等の大部分の授業を通常の学級で受けながら 一部の授業について 障がいに応じた特別の指導を 通級指導教室 といった特別な場で受ける指導形態の

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学習意欲の向上 学習習慣の確立 改訂の趣旨 今回の学習指導要領改訂に当たって 基本的な考え方の一つに学習 意欲の向上 学習習慣の確立が明示された これは 教育基本法第 6 条第 2 項 あるいは学校教育法第 30 条第 2 項の条文にある 自ら進んで学習する意欲の重視にかかわる文言を受けるものである

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高松市 通級による指導 実施上の手引き もくじ Ⅰ 通級による指導 の概要 1 通級による指導とは 1 2 高松市における通級指導 2 3 通級指導教室設置校について 4 Ⅱ 通級による指導 の実施にあたって 1 校内体制づくり 5 2 通級指導担当教員について 6 3 留意事項 7 Ⅲ 通級による

1 大学等を卒業して小学校教諭普通免許状を取得する ( 免許法別表第 1) 基礎資格 種類 基礎資格 専修 修士の学位 ( 大学 ( 短期大学を除く ) の専攻科又は大学院に1 年以上在学し,30 単位以上修得した場合を含む ) 一種 学士の学位 ( 学校教育法第 102 条第 2 項により大学院へ

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人間関係を深めるとともに, 児童が自己の生き方についての考えを深め, 家庭や地域社会との連携を図りながら, 集団宿泊活動やボランティア活動, 自然体験活動などの豊かな体験を通して児童の内面に根ざした道徳性の育成が図られるよう配慮しなければならない その際, 特に児童が基本的な生活習慣, 社会生活上の

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出時に必要な援助を行うことに関する知識及び技術を習得することを目的として行われる研修であって 別表第四又は別表第五に定める内容以上のものをいう 以下同じ ) の課程を修了し 当該研修の事業を行った者から当該研修の課程を修了した旨の証明書の交付を受けた者五行動援護従業者養成研修 ( 知的障害又は精神障

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2 教科に関する調査の結果 (1) 平均正答率 % 小学校 中学校 4 年生 5 年生 6 年生 1 年生 2 年生 3 年生 国語算数 数学英語 狭山市 埼玉県 狭山市 61.4

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p.1~2◇◇Ⅰ調査の概要、Ⅱ公表について、Ⅲ_1教科に対する調査の結果_0821_2改訂

ウ実施期日等平成 28 年 3 月 8 日 ( 火 ) 時限教科検査時間 1 国語 9:00~ 9:50 ( 50 分 ) ( 休憩 ) 2 数学 10:10~11:00 ( 50 分 ) ( 休憩 ) 3 英語 11:20~12:10 ( 50 分 ) ( 昼食 ) 4 社会 13:00~13:5

1 特別支援教育の推進 (1) 特別支援教育の理念 特別支援教育は 障害のある幼児児童生徒の自立や社会参加に向けた主体的な取組を支援 するという視点に立ち 幼児児童生徒一人一人の教育的ニーズを把握し その持てる力を高 め 生活や学習上の困難を改善又は克服するため 適切な指導及び必要な支援を行うもので

Ⅰ 評価の基本的な考え方 1 学力のとらえ方 学力については 知識や技能だけでなく 自ら学ぶ意欲や思考力 判断力 表現力などの資質や能力などを含めて基礎 基本ととらえ その基礎 基本の確実な定着を前提に 自ら学び 自ら考える力などの 生きる力 がはぐくまれているかどうかを含めて学力ととらえる必要があ

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に該当する者については 同項の規定にかかわらず受給資格者とする 3 病院等に入院等したことにより 本市の区域内に住所を変更したと認められる第 1 項各号に該当する者については 同項の規定にかかわらず受給資格者としない 4 第 1 項及び第 2 項の規定にかかわらず 次の各号のいずれかに該当する者は

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必要性 学習指導要領の改訂により総則において情報モラルを身に付けるよう指導することを明示 背 景 ひぼう インターネット上での誹謗中傷やいじめ, 犯罪や違法 有害情報などの問題が発生している現状 情報社会に積極的に参画する態度を育てることは今後ますます重要 目 情報モラル教育とは 標 情報手段をいか

Ⅰ 我が国の学制の変遷 ~ 戦前と戦後の学制 ~ 戦後の学制の特徴 教育基本法及び学校教育法を制定し 以下の改革を実施 義務教育期間の延長 ( 年 9 年 ) 制の単線型学校体系の導入 戦後の学校制度 ( 昭和 年 ) 戦前の学校制度 ( 大正 10 年 ) 明治 5 年に学制発布 明

Microsoft Word - 123 26 第2章 単位と卒業要件 docx

①H28公表資料p.1~2

Ⅲ 目指すべき姿 特別支援教育推進の基本方針を受けて 小中学校 高等学校 特別支援学校などそれぞれの場面で 具体的な取組において目指すべき姿のイメージを示します 1 小中学校普通学級 1 小中学校普通学級の目指すべき姿 支援体制 多様な学びの場 特別支援教室の有効活用 1チームによる支援校内委員会を

建築士法の一部を改正する法律案

(6) 調査結果の取扱いに関する配慮事項調査結果については 調査の目的を達成するため 自らの教育及び教育施策の改善 各児童生徒の全般的な学習状況の改善等につなげることが重要であることに留意し 適切に取り扱うものとする 調査結果の公表に関しては 教育委員会や学校が 保護者や地域住民に対して説明責任を果

( 昭二八条例二六 昭二九条例二 昭三〇条例五〇 昭三一条例三 昭三二条例三三 昭四三条例二五 昭四八条例一九 昭五一条例五五 昭五四条例二八 昭五六条例二四 昭六〇条例五 昭六二条例三二 平元条例三四 平四条例五二 平七条例五〇 平八条例二三 平一〇条例四一 平一三条例五七 平一六条例六三 平一九

宇都宮市サイクリングターミナル条例 宇都宮市サイクリングターミナル条例昭和 58 年 3 月 23 日条例第 17 号改正昭和 62 年 3 月第 21 号平成 3 年 12 月第 41 号平成 4 年 3 月第 29 号平成 7 年 12 月第 36 号平成 8 年 3 月第 24 号平成 9 年

軽自動車税 ( 種別割 ) 減免に関する取扱基準 ( 趣旨 ) 第 1 条この基準は 船橋市市税条例第 89 条及び第 90 条の規定に基づき 軽自動車税 ( 種別割 ) の減免の取り扱いに関し 必要な事項を定める ( 公益のために直接専用するものの範囲 ) 第 2 条条例第 89 条第 1 項第

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国語 B では 話すこと 聞くこと 領域において 全国及び県平均を上回っているが 他の三つの領域においては 全国及び県平均を下回っている 活用する力を育成する取組のさらなる充実が必要である 設問 1 の目的に応じて 話し合いの観点を整理する力は身についてきている 設問 3 の二つの詩を比べて読み 自

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2 具体的な指導内容について 各教科等を合わせた指導 としては これまで 特別支援学校 ( 知的障害 ) において 日 常生活の指導 生活単元学習 遊びの指導 作業学習 等が実践されています 1 日常生活の指導 日常生活の指導は 児童生徒が毎日の生活で繰り返す様々な活動を 日常の生活の流れにそって働

町全体の状況を把握 分析するとともに 平均正答率については 全国 全道との比較を数値以外の文言で表現します また 質問紙調査の結果や 課題解決に向けた学力向上の取組を示します (3) 学校ごとの公表小規模校において個人が特定される恐れのあることから 学校ごとの結果公表はしません (4) 北海道版結果

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改正要綱 第 1 国家公務員の育児休業等に関する法律に関する事項 育児休業等に係る職員が養育する子の範囲の拡大 1 職員が民法の規定による特別養子縁組の成立に係る監護を現に行う者 児童福祉法の規定により里親である職員に委託されている児童であって当該職員が養子縁組によって養親となることを希望しているも

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第 1 章 通級による指導 ~ 開始前に知っておくべき ~ 1 通級による指導とは 通級による指導とは 通常の学級に在籍する障がいのある児童生徒が 各教科等の大部分の授業を通常の学級で受けながら 一部の授業について 障がいに応じた特別の指導を 通級指導教室 といった特別な場で受ける指導形態のことで 障がいの状態がそれぞれ異なる個々の児童生徒に対し 個別指導や小集団指導等を通して 特別の指導をきめ細かに かつ弾力的に提供するものです 通級による指導において 障がいによる学習上又は生活上の困難の改善 克服を目的とした指導を児童生徒の教育的ニーズに応じて行うことにより 通常の学級における授業においてもその指導の効果が大いに期待されるものです (1) 法令における規定通級による指導を始めるにあたり 法令における位置付けを知ることが 通級による指導を開設し 体制整備をしていく上で必ず必要な知識となります 通級による指導は 学校教育法施行規則第 140 条及び第 141 条に基づき行われています 学校教育法施行規則第 140 条小学校 中学校 義務教育学校 高等学校又は中等教育学校において 次の各号のいずれかに該当する児童又は生徒 ( 特別支援学級の児童及び生徒を除く ) のうち当該障害に応じた特別の指導を行う必要があるものを教育する場合には 文部科学大臣が別に定めるところにより 第 50 条第 1 項 ( 第 79 条の6 第 1 項において準用する場合を含む ) 第 51 条 第 52 条 ( 第 79 条の6 第 1 項において準用する場合を含む ) 第 52 条の3 第 72 条 ( 第 79 条の6 第 2 項及び第 108 条第 1 項において準用する場合を含む ) 第 73 条 第 74 条 ( 第 79 条の6 第 2 項及び第 108 条第 1 項において準用する場合を含む ) 第 74 条の3 第 76 条 第 79 条の5( 第 79 条の12において準用する場合を含む ) 第 83 条及び第 84 条 ( 第 108 条第 2 項において準用する場合を含む ) 並びに第 107 条 ( 第 11 7 条において準用する場合を含む ) の規定にかかわらず 特別のによることができる 一言語障害者二自閉症者三情緒障害者四弱視者五難聴者 1

六学習障害者七注意欠陥多動性障害者八その他障害のある者で この条の規定により特別のによる教育を行うことが適当なもの 特別のの編成通級による指導は 障がいに応じた特別の指導を通常のに加え 又はその一部に替えて行うものであり 通級による指導を受ける児童生徒については 特別のを編成する必要があります 学校教育法施行規則第 140 条はその点を制度的に位置付けており 小 中学校 高等学校の通常の学級に在籍している障がいのある児童生徒に対して通級による指導を行う場合には 文部科学大臣が別に定めるところにより 特別のによることができることとしています 通級による指導の対象となる児童生徒学校教育法施行規則第 140 条には 言語障がい者 自閉症者 情緒障がい者 弱視者 難聴者 学習障がい者 注意欠陥多動性障がい者 その他障がいのある者で この規定により特別のによる教育を行うことが適当なものとしています ここが疑問 特別の の編成は 誰が行うのですか の編成の主体は各学校であり 校長が責任者となって編成します 通級による指導は ( 特別の指導を ) に加え 又はその一部に替える ものであり の特例となることから の編成を行う各学校の校長が 対象となる児童生徒の実態把握等を適切に行った上で 判断することになります このことは他校通級の場合も同様であり その児童生徒が受けるの編成は在籍する学校の校長が行うものとされています しかしながら 通級による指導の指導内容や指導時間については 学校の設置者の定めるところにより 他校通級を実施する ( 指導する ) 学校が検討することになるため あらかじめ両校の間で十分に協議することが必要です 参考 : 文部科学省 改訂第 3 版障害に応じた通級による指導の手引 H30.8 2

他校通級? 自校通級? 時々 巡回指導とい うのも聞きますが 何が違うのですか? 通級による指導 の実施形態としては次の3つがあります 1 自校通級 児童生徒が在籍する学校において指導を受ける 2 他校通級 他の学校に通級し 指導を受ける 3 巡回指導 通級による指導の担当教師が該当する児童生徒のいる学校に赴き 又は複数の学校を巡回して指導を行う通級指導担当者として どんな実施形態で行うのか 確認が必要です 社会の時間に通級による指導を受けています その授業が受けられない時はどうしたらいいの? 通級による指導を受ける場合 通常の学級の授業の一部を抜けて 通級指導教室など特別な場において指導を受けることになります そうするとその時間に行っている通常の学級における学習ができなくなってしまうことが考えられます そういった場合には 特定の教科の学習に遅れが生じる恐れがあることから 極力これをなくす工夫が必要です 具体的には その部分の学習を家庭で行うことができるよう宿題や課題を出したり 抜けた授業は 次時の復習の時間を多く取り入れたり 必要があれば 放課後などに補充的な指導を行ったりすることなどが考えられます そのためにも 通級による指導を受けるために通常の学級の授業の一部を抜ける場合には 算数 数学や英語などの積み上げが必要な学習で その指導を受けないと内容が分からなくなるような教科を避ける工夫や 家庭学習で補いやすい内容を学習しているときに通級による指導を受けるようにするなど それぞれの学校や学級での工夫 調整が必要となります 参考 : 文部科学省 改訂第 3 版障害に応じた通級による指導の手引 H30.8 知的障がいのある児童生徒が対象に なっていないのはなぜですか? 知的障がいのある児童生徒に対する学習上又は生活上の困難の改善 克服に必要な指導は 生活に結びつく実際的 具体的な内容を継続して指導することが必要であることから 一定の時間のみを取り出して行うことにはなじまないことを踏まえ 通級による指導の対象となっていません (H31.3 現在 ) 参考 : 文部科学省 改訂第 3 版障害に応じた通級による指導の手引 H30.8 3

学校教育法施行規則第 141 条前条の規定により特別のによる場合においては 校長は 児童又は生徒が 当該小学校 中学校 義務教育学校 高等学校又は中等教育学校の設置者の定めるところにより他の小学校 中学校 義務教育学校 高等学校 中等教育学校又は特別支援学校の小学部 中学部若しくは高等部において受けた授業を 当該小学校 中学校 義務教育学校 高等学校又は中等教育学校において受けた当該特別のに係る授業とみなすことができる 学校教育法施行規則第 141 条は 児童生徒が その在籍する学校以外の学校において通級による指導を受ける場合 ( いわゆる他校通級の場合 ) 当該児童生徒が在籍する学校の校長が 他の学校で受けた授業を 当該在籍する学校の特別のに係る授業とみなすことができるとした規定です (2) 指導内容 指導時間学校教育法施行規則第 140 条の規定に基づき 平成 5 年の文部省告示第 7 号が定められ 障がいに応じた特別の指導の具体的内容及び通級による指導を行う際の授業時数等が規定されています 学校教育法施行規則第 140 条の規定による特別のについて定める件 ( 平成 5 年文部省告示第 7 号 平成 28 年 12 月一部改正 ): 一部抜粋 小学校 中学校 義務教育学校 高等学校又は中等教育学校において 学校教育法施行規則 ( 以下 規則 という ) 第 140 条各号の一に該当する児童又は生徒 ( 特別支援学級の児童及び生徒を除く 以下同じ ) に対し 同条の規定による特別のを編成するに当たっては 次に定めるところにより 当該児童又は生徒の障害に応じた特別の指導 ( 以下 障害に応じた特別の指導 という を小学校 中学校 義務教育学校 高等学校又は中等教育学校のに加え 又はその一部に替えることができるものとする ただし 高等学校又は中等教育学校の後期課程においては 障害に応じた特別の指導を 高等学校学習 ( 平成 21 年文部科学省告示第 34 号 ) 第一章第三款の1に規定する必履修教科 科目及び総合的な学習の時間 同款の2に規定する専門学科においてすべての生徒に履修させる専門教科 科目 同款の3に規定する総合学科における 産業社会と人間 並びに同章第四款の4 5 及び6 並びに同章第七款の 5の規定により行う特別活動に替えることはできないものとする 1 障害に応じた特別の指導は 障害による学習上又は生活上の困難を改善し 又は克服することを目的とする指導とし 特に必要があるときは 障害の状態に応じて各教科の内容を取り扱いながら行うことができるものとする 2 小学校 中学校若しくは義務教育学校又は中等教育学校の前期課程における障害に応じた特別の指導に係る授業時数は 規則第 140 条第 1 号から第 5 号まで及び第 8 4

号に該当する児童又は生徒については 年間 35 単位時間から 280 単位時間までを 標準とし 同条第 6 号及び第 7 号に該当する児童又は生徒については 年間 10 単位 時間から 280 単位時間までを標準とし 当該指導に加え 学校教育法施行規則第 5 6 条の 2 等の規定による特別のについて定める件 ( 平成 26 年文部科学省告 示第 1 号 ) に定める日本語の能力に応じた特別の指導を行う場合は 授業時間数の合 計がおおむね年間 280 単位時間以内とする 3 高等学校又は中等教育学校の後期課程における障害に応じた指導に係る修得単位 数は 年間 7 単位を超えない範囲で当該高等学校又は中等教育学校が定めた全課程の 修了を認めるに必要な単位数のうちに加えることができるものとする * 平成 31 年 2 月に一部改正を行いました 一部改正内容は 現行高等学校学習 における規定箇所を 新学習 における規定箇所に改めること 総合的な学習の時間 を 総合的な探求の時間 に改めることとしています 施行日は平成 34 年 4 月 障がいに応じた特別の指導の内容 障害による学習上又は生活上の困難を改善し 又は克服することを目的とする指導 と されています これは 特別支援学校の特別な指導領域である自立活動の目標とするところ であり 通級による指導とは 特別支援学校の自立活動に相当する指導とされています なお 特に必要があるときは 障がいの状態に応じて各教科の内容を取り扱いながら行う ことができることとされています ただし この場合も あくまで障がいによる学習上又は 生活上の困難を改善し 又は克服することを目的として行われることが必要であり 単なる 各教科の遅れを補充するための指導とはならないようにしなければなりません 通級による指導を行う際の授業時数 小 中学校年間 35 単位時間から280 単位時間以内の範囲で行うことを標準とすることとされています 週当たりに換算すると 1 単位時間から8 単位時間程度までとなります ただし 学習障がい及び注意欠陥多動性障がいのある児童生徒については 年間授業時数の上限については他の障がい種別と同じにするものの 月 1 単位時間程度でも指導上の効果が期待できる場合があることから 年間 10 単位時間 ( 月 1 単位時間程度 ) が下限となっています 高等学校高等学校又は中等教育学校の後期課程における障がいに応じた特別の指導に係る修得単位数は 年間 7 単位を越えない範囲で当該高等学校又は中等教育学校が定めた全課程の修了を認めるに必要な単位数のうちに加えることができるものと示しています 5

高等学校においての留意点高等学校においては 高等学校学習に規定する必履修教科 科目 総合的な学習の時間及び特別活動 ( 以下 必履修教科 科目等 という ) に替えることはできない旨規定されています 高校生として共通して必要な知識 技能と教養を身に付けさせるために設けられた必履修教科 科目等についても代替可能とした場合には 高等学校教育の目的を達成するために必要な共通の内容を削減することとなり 高等学校のの共通性に著しい支障を生じさせることから これらの科目等については代替できないこととされています また 同様の考え方から 専門学科及び総合学科においてすべての生徒に履修させるものとされている 専門学科における専門教科 科目及び総合学科における 産業社会と人間 についても 通級による指導と替えることはできないこととされています 引用 : 文部科学省 改訂第 3 版障害に応じた通級による指導の手引 H30.8 ここで疑問 どうやって 必要な時数を 考えるのですか? 自立活動の指導は 個々の児童生徒が自立を目指し 障がいによる学習上又は生活上の困難を主体的に改善 克服しようとする取組を促す教育活動であり 個々の児童生徒の障がいの状態や特性及び心身の発達等に即して指導を行うものです したがって 自立活動の時間に充てる授業時数も 個々の児童生徒の障がいの状態に応じて適切に設定される必要があります 例えば 障がいによる困難さの中で 対人関係がうまくいかなかったり 他者の感情の理解が難しかったり また 学習面でも 国語等の場面で 登場人物の心情の理解が難しかったりした場合 週 2 回程度 ( 年間 70 時間 ) の指導を組み 必要な指導 ( 人間関係の形成を中心とした内容や教科 ( 国語 ) を取扱いながら他者の感情の理解を読み取る学習等 ) をしている例もあります また ADHD 通級指導教室に通う児童の中には 困難さが改善されつつあり 月 1 回 ( 年間 10 時間 ) の指導を行っている例もあります いずれにせよ 子どもの障がいの状態に応じて 必要な指導時間を設定することが大切です しかし 通級による指導において 他校の通級に通っている場合は 保護者の送迎等の負担もあることから その点も配慮し 週 1 回程度を基本としている学校の例もあります 6

(3) 学習では 通級による指導に関して 新学習に記載している内容は以下のとおりです 小 中学校の学習の 通級による指導 に関する記載 通級による指導における特別の障害のある児童 ( 生徒 ) に対して 通級による指導を行い 特別のを編成する場合には 特別支援学校小学部 中学部学習第 7 章に示す自立活動の内容を参考とし 具体的な目標や内容を定め 指導を行うものとする その際 効果的な指導が行われるよう 各教科等と通級による指導との関連を図るなど 教師間の連 携に努めるものとする *( 生徒 ) は中学校学習の際の表記 高等学校の学習の 通級による指導 に関する記載通級による指導を行い 特別のを編成した場合の配慮事項イ障害のある生徒に対し 学校教育法施行規則第 140 条の規定に基づき 特別のを編成し 障害に応じた特別の指導 ( 以下 通級による指導 という ) を行う場合には 学校教育法施行規則第 129 条の規定により定める現行の特別支援学校高等部学習第 6 章に示す自立活動の内容を参考とし 具体的な目標や内容を定め 指導を行うものとする その際 通級による指導が効果的に行われるよう 各教科 科目等と通級による指導との関連を図るなど 教師間の連携に努めるものとする なお 通級による指導における単位の修得の認定については 次のとおりとする ( ア ) 学校においては 生徒が学校の定める個別の指導計画に従って通級による指導を履修し その成果が個別に認定された指導目標からみて満足できると認められる場合には 当該学校の単位を修得したことを認定しなければならない ( イ ) 学校においては 生徒が通級による指導を2 以上の年次にわたって履修したときは 各年次ごとに当該学校の単位を修得したことを認定することを原則とする ただし 年度途中から通級による指導を開始するなど 特定の年度における授業時数が 1 単位として計算する標準の単位時間に満たない場合は 次年度以降に通級による指導の時間を設定し 2 以上の年次にわたる授業時数を合算して単位の修得の認定を行うことができる また 単位の修得の認定を学期の区分ごとに行うことができる 高等学校の学習では 単位の修得の認定にあたり 個別の指導計画 に従って 指導目標からみて満足できると認められる場合 とあります どのように指導目標を設定し どう指導したか その変容はどうだったか 教師側の授業力 専門性がより一層求められます これは 小学校 中学校の通級にも同様に求められる力です 7

2 における通級による指導のについて (H31 現在 ) 教育委員会は 毎年 特別支援学級編成の手引き を作成し 特別のについて説明をしています その中で 通級による指導のについて 示している内容を一部抜粋します 通級による指導を行い 特別のを編成する場合については 特別支援学校小学部 中学部学習第 7 章に示す自立活動の内容を参考とし 具体的な目標や内容を定め 指導を行うものであり 指導に当たっては 特別支援学校小学部 中学部学習第 7 章に示す自立活動の6 区分 27 項目の内容を参考とし 児童生徒一人一人に 障がいの状態等の的確な把握に基づいた自立活動における個別の指導計画を作成し 具体的な指導目標や指導内容を定め それに基づいて指導を展開することになる なお 学校教育法施行規則第 140 条の規定による特別のについて定める件の一部を改正する告示 ( 平成 28 年文部科学省告示第 176 号 ) において 通級による指導の内容について 各教科の内容を取り扱う場合であっても 障がいによる学習上又は生活上の困難の改善又は克服を目的とする指導であるとの位置付けが明確化され 単に各教科の学習の遅れを取り戻すための指導ではないことに留意する必要がある よって としては 自立活動 ( 指導領域 ) であり 教科等名ではない確認が大切である 引用 : 教育委員会 平成 31 年度特別支援学級編成の手引き H31 通級による指導の目的通級による指導において 何を目的とした指導なのかが明確化され 位置付けられました その指導領域は 自立活動 です 各教科の内容を取り扱う場合であっても 自立活動を目的とした指導であることが明確化されました 国語 算数 等の学習の遅れを取り戻すことを目的として 指導していないか確認が必要です なお 自立活動 については 第 2 章の2(P15) に詳細が記載してあります 特別支援学級編成の手引き教育委員会は 特別支援学級編成の手引き に関して 毎年 説明会等を行い 該当する学級 教室のある学校及び市町村教育委員会 (H30 年度から ) に配付しています 原則として その手引きを参考にを編成し 運営していくことになりますので 必ずご一読ください 8