情勢分析_低油価に呻吟するリビア・イラク・イラン



Similar documents


<4D F736F F D E598BC68A8897CD82CC8DC490B68B7982D18E598BC68A8893AE82CC8A C98AD682B782E993C195CA915B C98AEE82C382AD936F985E96C68B9690C582CC93C197E1915B927582CC898492B75F8E96914F955D89BF8F915F2E646F6


Microsoft PowerPoint - 報告書(概要).ppt

は 固 定 流 動 及 び 繰 延 に 区 分 することとし 減 価 償 却 を 行 うべき 固 定 の 取 得 又 は 改 良 に 充 てるための 補 助 金 等 の 交 付 を 受 けた 場 合 にお いては その 交 付 を 受 けた 金 額 に 相 当 する 額 を 長 期 前 受 金 とし

1. 決 算 の 概 要 法 人 全 体 として 2,459 億 円 の 当 期 総 利 益 を 計 上 し 末 をもって 繰 越 欠 損 金 を 解 消 しています ( : 当 期 総 利 益 2,092 億 円 ) 中 期 計 画 における 収 支 改 善 項 目 に 関 して ( : 繰 越

私立大学等研究設備整備費等補助金(私立大学等

スライド 1

平成25年度 独立行政法人日本学生支援機構の役職員の報酬・給与等について

2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 平 成 27 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 役 名 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 2,142 ( 地 域 手 当 ) 17,205 11,580 3,311 4 月 1


<6E32355F8D918DDB8BA697CD8BE28D C8EAE312E786C73>

別 紙 第 号 高 知 県 立 学 校 授 業 料 等 徴 収 条 例 の 一 部 を 改 正 する 条 例 議 案 高 知 県 立 学 校 授 業 料 等 徴 収 条 例 の 一 部 を 改 正 する 条 例 を 次 のように 定 める 平 成 26 年 2 月 日 提 出 高 知 県 知 事 尾

公 的 年 金 制 度 について 制 度 の 持 続 可 能 性 を 高 め 将 来 の 世 代 の 給 付 水 準 の 確 保 等 を 図 るため 持 続 可 能 な 社 会 保 障 制 度 の 確 立 を 図 るための 改 革 の 推 進 に 関 する 法 律 に 基 づく 社 会 経 済 情

m07 北見工業大学 様式①

定 性 的 情 報 財 務 諸 表 等 1. 連 結 経 営 成 績 に 関 する 定 性 的 情 報 当 第 3 四 半 期 連 結 累 計 期 間 の 業 績 は 売 上 高 につきましては 前 年 同 四 半 期 累 計 期 間 比 15.1% 減 少 の 454 億 27 百 万 円 となり

<819A955D89BF92B28F BC690ED97AA8EBA81418FA48BC682CC8A8890AB89BB816A32322E786C7378>

Taro-条文.jtd

その 他 事 業 推 進 体 制 平 成 20 年 3 月 26 日 に 石 垣 島 国 営 土 地 改 良 事 業 推 進 協 議 会 を 設 立 し 事 業 を 推 進 ( 構 成 : 石 垣 市 石 垣 市 議 会 石 垣 島 土 地 改 良 区 石 垣 市 農 業 委 員 会 沖 縄 県 農

Microsoft Word - ★HP版平成27年度検査の結果

注 記 事 項 (1) 当 四 半 期 連 結 累 計 期 間 における 重 要 な 子 会 社 の 異 動 : 無 (2) 四 半 期 連 結 財 務 諸 表 の 作 成 に 特 有 の 会 計 処 理 の 適 用 : 有 ( 注 ) 詳 細 は 添 付 資 料 4ページ 2.サマリー 情 報 (

2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 役 名 法 人 の 長 理 事 理 事 ( 非 常 勤 ) 平 成 25 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 16,936 10,654 4,36

第5回法人課税ディスカッショングループ 法D5-4

定款

4. その 他 (1) 期 中 における 重 要 な 子 会 社 の 異 動 ( 連 結 範 囲 の 変 更 を 伴 う 特 定 子 会 社 の 異 動 ) 無 (2) 簡 便 な 会 計 処 理 及 び 四 半 期 連 結 財 務 諸 表 の 作 成 に 特 有 の 会 計 処 理 の 適 用 有

Microsoft Word - 佐野市生活排水処理構想(案).doc

別紙3

1 特 別 会 計 財 務 書 類 の 検 査 特 別 会 計 に 関 する 法 律 ( 平 成 19 年 法 律 第 23 号 以 下 法 という ) 第 19 条 第 1 項 の 規 定 に 基 づき 所 管 大 臣 は 毎 会 計 年 度 その 管 理 する 特 別 会 計 について 資 産

セルフメディケーション推進のための一般用医薬品等に関する所得控除制度の創設(個別要望事項:HP掲載用)

<4D F736F F D F8D828D5A939982CC8EF68BC697BF96B38F9E89BB82CC8A6791E52E646F63>

(3) 善 通 寺 市 の 状 況 善 通 寺 市 においては 固 定 資 産 税 の 納 期 前 前 納 に 対 する 報 奨 金 について 善 通 寺 市 税 条 例 の 規 定 ( 交 付 率 :0.1% 限 度 額 :2 万 円 )に 基 づき 交 付 を 行 っています 参 考 善 通 寺

代 議 員 会 決 議 内 容 についてお 知 らせします さる3 月 4 日 当 基 金 の 代 議 員 会 を 開 催 し 次 の 議 案 が 審 議 され 可 決 承 認 されました 第 1 号 議 案 : 財 政 再 計 算 について ( 概 要 ) 確 定 給 付 企 業 年 金 法 第

<4D F736F F D208E52979C8CA78E598BC68F5790CF91A390698F9590AC8BE08CF D6A2E646F6378>

Microsoft Word - 目次.doc

Taro-01 議案概要.jtd

Microsoft Word )40期決算公開用.doc

<4D F736F F D20D8BDB8CFC8BCDED2DDC482A882E682D1BADDCCDFD7B2B1DDBD8B4B92F E646F63>

<6D313588EF8FE991E58A778D9191E5834B C8EAE DC58F4992F18F6F816A F990B32E786C73>

った 場 合 など 監 事 の 任 務 懈 怠 の 場 合 は その 程 度 に 応 じて 業 績 勘 案 率 を 減 算 する (8) 役 員 の 法 人 に 対 する 特 段 の 貢 献 が 認 められる 場 合 は その 程 度 に 応 じて 業 績 勘 案 率 を 加 算 することができる

連結計算書

退職手当とは

●電力自由化推進法案

39_1

(5) 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しの 実 施 状 況 について 概 要 の 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しにおいては 俸 給 表 の 水 準 の 平 均 2の 引 き 下 げ 及 び 地 域 手 当 の 支 給 割 合 の 見 直 し 等 に 取 り 組 むとされている

弁護士報酬規定(抜粋)

(Microsoft Word - \212\356\226{\225\373\220j _\217C\220\263\201j.doc)

目 次 高 山 市 連 結 財 務 諸 表 について 1 連 結 貸 借 対 照 表 2 連 結 行 政 コスト 計 算 書 4 連 結 純 資 産 変 動 計 算 書 6 連 結 資 金 収 支 計 算 書 7

国 家 公 務 員 の 年 金 払 い 退 職 給 付 の 創 設 について 検 討 を 進 めるものとする 平 成 19 年 法 案 をベースに 一 元 化 の 具 体 的 内 容 について 検 討 する 関 係 省 庁 間 で 調 整 の 上 平 成 24 年 通 常 国 会 への 法 案 提

定款  変更

預 金 を 確 保 しつつ 資 金 調 達 手 段 も 確 保 する 収 益 性 を 示 す 指 標 として 営 業 利 益 率 を 採 用 し 営 業 利 益 率 の 目 安 となる 数 値 を 公 表 する 株 主 の 皆 様 への 還 元 については 持 続 的 な 成 長 による 配 当 可

<817993FA967B8E E A E815B817A B F976C8EAE82502D322E786C73>


Microsoft Word 第1章 定款.doc


財政再計算結果_色変更.indd

<4D F736F F D208CF689768ED C8FE395FB978E8CEA8BA689EF814592E88ABC2E646F63>

2. 会 計 規 程 の 業 務 (1) 規 程 と 実 際 の 業 務 の 調 査 規 程 や 運 用 方 針 に 規 定 されている 業 務 ( 帳 票 )が 実 際 に 行 われているか( 作 成 されている か)どうかについて 調 べてみた 以 下 の 表 は 規 程 の 条 項 とそこに

<4D F736F F D2091E F18CB48D C481698E7B90DD8F9590AC89DB816A2E646F63>

リング 不 能 な 将 来 減 算 一 時 差 異 に 係 る 繰 延 税 金 資 産 について 回 収 可 能 性 がないも のとする 原 則 的 な 取 扱 いに 対 して スケジューリング 不 能 な 将 来 減 算 一 時 差 異 を 回 収 できることを 反 証 できる 場 合 に 原 則

Taro-事務処理要綱250820

< E95FB8CF689638AE98BC689FC90B390A CC8CA992BC82B582C982C282A282C E90E096BE8E9E8E9197BF2E786477>

災害時の賃貸住宅居住者の居住の安定確保について

 

国立研究開発法人土木研究所の役職員の報酬・給与等について

要 な 指 示 をさせることができる ( 検 査 ) 第 8 条 甲 は 乙 の 業 務 にかかる 契 約 履 行 状 況 について 作 業 完 了 後 10 日 以 内 に 検 査 を 行 うものとする ( 発 生 した 著 作 権 等 の 帰 属 ) 第 9 条 業 務 によって 甲 が 乙 に

文化政策情報システムの運用等

Economic Trends    マクロ経済分析レポート

第316回取締役会議案

公表表紙

事 業 税 の 外 形 標 準 課 税 事 業 税 は 都 道 府 県 が 所 得 ( 利 益 )に 対 して 課 税 します 1. 個 人 事 業 税 業 種 区 分 税 率 ( 標 準 税 率 ) 第 1 種 事 業 ( 物 品 販 売 業 製 造 業 金 銭 貸 付 業 飲 食 店 業 不 動

<4D F736F F D E91E6318E6C94BC8AFA925A904D D838A815B8BA693AF8E9497BF2E646F63>

平成16年年金制度改正 ~年金の昔・今・未来を考える~

財団法人○○会における最初の評議員の選任方法(案)

入 札 参 加 者 は 入 札 の 執 行 完 了 に 至 るまではいつでも 入 札 を 辞 退 することができ これを 理 由 として 以 降 の 指 名 等 において 不 利 益 な 取 扱 いを 受 けることはない 12 入 札 保 証 金 免 除 13 契 約 保 証 金 免 除 14 入

Taro-別紙1 パブコメ質問意見とその回答

16 日本学生支援機構

続 に 基 づく 一 般 競 争 ( 指 名 競 争 ) 参 加 資 格 の 再 認 定 を 受 けていること ) c) 会 社 更 生 法 に 基 づき 更 生 手 続 開 始 の 申 立 てがなされている 者 又 は 民 事 再 生 法 に 基 づき 再 生 手 続 開 始 の 申 立 てがなさ

技 能 労 務 職 公 務 員 民 間 参 考 区 分 平 均 年 齢 職 員 数 平 均 給 与 月 額 平 均 給 与 月 額 平 均 給 料 月 額 (A) ( 国 ベース) 平 均 年 齢 平 均 給 与 月 額 対 応 する 民 間 の 類 似 職 種 東 庄 町 51.3 歳 18 77

4. その 他 (1) 期 中 における 重 要 な 子 会 社 の 異 動 ( 連 結 範 囲 の 変 更 を 伴 う 特 定 子 会 社 の 異 動 ) 無 (2) 簡 便 な 会 計 処 理 及 び 四 半 期 連 結 財 務 諸 表 の 作 成 に 特 有 の 会 計 処 理 の 適 用 有

養 老 保 険 の 減 額 払 済 保 険 への 変 更 1. 設 例 会 社 が 役 員 を 被 保 険 者 とし 死 亡 保 険 金 及 び 満 期 保 険 金 のいずれも 会 社 を 受 取 人 とする 養 老 保 険 に 加 入 してい る 場 合 を 解 説 します 資 金 繰 りの 都


1 予 算 の 姿 ( 平 成 25 当 初 予 算 ) 長 野 県 財 政 の 状 況 H 現 在 長 野 県 の 予 算 を 歳 入 面 から 見 ると 自 主 財 源 の 根 幹 である 県 税 が 全 体 の5 分 の1 程 度 しかなく 地 方 交 付 税 や 国 庫 支

は し が き

<4D F736F F F696E74202D208CE38AFA8D8297EE8ED288E397C390A CC8A AE98EBA8DEC90AC816A2E707074>

損 益 計 算 書 ( 自 平 成 23 年 4 月 1 日 至 平 成 24 年 3 月 31 日 ) 金 額 ( 単 位 : 百 万 円 ) 売 上 高 99,163 売 上 原 価 90,815 売 上 総 利 益 8,347 販 売 費 及 び 一 般 管 理 費 4,661 営 業 利 益

Microsoft PowerPoint - 基金制度

4 乙 は 天 災 地 変 戦 争 暴 動 内 乱 法 令 の 制 定 改 廃 輸 送 機 関 の 事 故 その 他 の 不 可 抗 力 により 第 1 項 及 び 第 2 項 に 定 める 業 務 期 日 までに 第 1 条 第 3 項 の 適 合 書 を 交 付 することができない 場 合 は

損 益 計 算 書 自. 平 成 26 年 4 月 1 日 至. 平 成 27 年 3 月 31 日 科 目 内 訳 金 額 千 円 千 円 営 業 収 益 6,167,402 委 託 者 報 酬 4,328,295 運 用 受 託 報 酬 1,839,106 営 業 費 用 3,911,389 一

損 益 計 算 書 ( 平 成 25 年 10 月 1 日 から 平 成 26 年 9 月 30 日 まで) ( 単 位 : 千 円 ) 科 目 金 額 営 業 収 益 304,971 営 業 費 用 566,243 営 業 総 損 失 261,271 営 業 外 収 益 受 取 利 息 3,545

4. その 他 (1) 期 中 における 重 要 な 子 会 社 の 異 動 ( 連 結 範 囲 の 変 更 を 伴 う 特 定 子 会 社 の 異 動 ) 無 新 規 社 ( 社 名 ) 除 外 社 ( 社 名 ) (2) 簡 便 な 会 計 処 理 及 び 四 半 期 連 結 財 務 諸 表 の

<4D F736F F D2090BC8BBB959491BA8F5A91EE8A C52E646F63>

検 討 検 討 の 進 め 方 検 討 状 況 簡 易 収 支 の 世 帯 からサンプリング 世 帯 名 作 成 事 務 の 廃 止 4 5 必 要 な 世 帯 数 の 確 保 が 可 能 か 簡 易 収 支 を 実 施 している 民 間 事 業 者 との 連 絡 等 に 伴 う 事 務 の 複 雑

損 益 計 算 書 ( 自 平 成 25 年 4 月 1 日 至 平 成 26 年 3 月 31 日 ) ( 単 位 : 百 万 円 ) 科 目 金 額 営 業 収 益 75,917 取 引 参 加 料 金 39,032 上 場 関 係 収 入 11,772 情 報 関 係 収 入 13,352 そ

平成24年度 業務概況書

経 常 収 支 差 引 額 の 状 況 平 成 22 年 度 平 成 21 年 度 対 前 年 度 比 較 経 常 収 支 差 引 額 4,154 億 円 5,234 億 円 1,080 億 円 改 善 赤 字 組 合 の 赤 字 総 額 4,836 億 円 5,636 億 円 800 億 円 減

目 次 貸 借 対 照 表 1 損 益 計 算 書 2 キャッシュ フロー 計 算 書 3 利 益 の 処 分 に 関 する 書 類 4 国 立 大 学 法 人 等 業 務 実 施 コスト 計 算 書 5 注 記 事 項 6 附 属 明 細 書 別 紙

学校法人日本医科大学利益相反マネジメント規程

共 通 認 識 1 官 民 較 差 調 整 後 は 退 職 給 付 全 体 でみて 民 間 企 業 の 事 業 主 負 担 と 均 衡 する 水 準 で あれば 最 終 的 な 税 負 担 は 変 わらず 公 務 員 を 優 遇 するものとはならないものであ ること 2 民 間 の 実 態 を 考

就 学 前 教 育 保 育 の 実 施 状 況 ( 平 成 23 年 度 ) 3 歳 以 上 児 の 多 く(4 歳 以 上 児 はほとんど)が 保 育 所 又 は 幼 稚 園 に 入 所 3 歳 未 満 児 (0~2 歳 児 )で 保 育 所 に 入 所 している 割 合 は 約 2 割 就 学

Transcription:

低 油 価 に 呻 吟 する リビア イラク イラン ( 一 財 ) 国 際 開 発 センター エネルギー 環 境 室 研 究 顧 問 畑 中 美 樹 油 価 下 落 を 放 置 する GCC 主 要 産 油 国 と 対 応 策 を 模 索 するイラン 油 価 の 下 落 がさらに 進 展 するなか 石 油 輸 出 国 機 構 (OPEC)の 加 盟 国 でも 最 も 影 響 を 受 けると 見 られるベネズエラのマドゥロ 大 統 領 が,2015 年 1 月 4 日,テレビ 中 継 された 演 説 で 次 のように 語 り, 中 国 とOPEC 諸 国 を 訪 問 のうえ 対 応 策 を 協 議 する ことを 明 らかにした 1 私 は 本 日, 各 国 の 歴 訪 に 出 発 する 2 ( 油 価 急 落 による) 歳 入 減 に 直 面 している 我 が 国 にとって, 今 回 の 海 外 訪 問 は 新 規 事 業 を 如 何 に 始 めるかの 点 からも 極 めて 重 要 となる 3 最 初 の 訪 問 国 の 中 国 では 資 金 確 保 策 やエネル ギー 情 勢 について 協 議 する 4 OPEC 諸 国 の 訪 問 で は 油 価 回 復 戦 略 及 び OPEC 強 化 策 を 協 議 する 因 みに, 原 油 価 格 が10ドル 下 落 すればベネズエ ラの 歳 入 は 年 間 7 億 ドル(840 億 円 ) 減 少 すると 言 われる ベネズエラの 場 合,2014 年 第 3 四 半 期 (7 ~9 月 )までの 国 内 総 生 産 (GDP) 成 長 率 が 四 半 期 ごとに 4.8%, 4.9%, 2.3%と3 四 半 期 連 続 でマイナスとなっているだけに 国 民 の 不 満 をい つまで 抑 えられるのか 懸 念 される そのベネズエラのマドゥロ 大 統 領 も,1 月 10 日, 訪 問 したイランの 首 都 テヘランでロウハニ 大 統 領 と 会 談 し, 下 落 を 続 ける 油 価 の 打 開 策 に 向 け 協 力 していくことを 確 認 している なお,ロウハニ 大 統 領 はマドゥロ ベネズエラ 大 統 領 との 会 談 で, OPEC 加 盟 国 間 の 協 力 が 反 対 勢 力 の 計 画 を 無 効 に した 上 で 油 価 の 適 正 水 準 への 回 復 を 間 違 いなく 助 けることになるとの 考 えを 表 明 した 下 落 する 原 油 価 格 の 責 任 が 湾 岸 のライバル 国 サ ウジアラビアにあるとの 批 判 を 強 めているのがイ ランである イランについては 米 欧 経 済 制 裁 によ る 自 国 経 済 の 落 ち 込 みの 中 での 油 価 急 落 であるだ けに, 政 府 当 局 はベネズエラ 同 様, 国 民 の 反 応 を ことのほか 気 にしている 度 重 なるサウジ 批 判 に は 国 民 の 不 満 をそらすとの 側 面 があるのかもしれ ない ザンガネ イラン 石 油 相 は2015 年 1 月 4 日, 予 算 を 巡 る 国 会 での 議 員 たちとのやり 取 りの 中 で 油 価 下 落 の 背 後 にはサウジアラビアがいると 国 名 を 挙 げて 批 判 した 因 みに, 翌 1 月 5 日 のイラン 紙 は 原 油 価 格 の 下 落 について 次 のように 報 じた 1 ザンガネ 石 油 相 はサウジ 政 府 高 官 たちが 彼 ら の 一 時 的 な 政 治 目 的 を 達 成 するために 油 価 を 引 き 下 げ 続 けていると 発 言 した 2 多 くの 政 治 評 論 家 は,サウジアラビアがシリ アとイラクの 反 政 府 勢 力 への 支 援 に 何 度 も 失 敗 してきたことが,テヘランに 対 する 復 讐 と して 油 価 急 落 政 策 に 走 らせた 要 因 と 見 てい る 27 中 東 協 力 センターニュース

イランのサウジ 批 判 については 同 国 外 務 省 のホ セイン アミル アブドゥラヒアン 副 外 相 も2014 年 12 月 31 日, 次 のような 厳 しい 見 方 を 述 べていた 同 副 外 相 の 発 言 のうち 原 油 情 勢 に 関 する 部 分 のみ を 紹 介 すれば 以 下 の 通 りである 1 原 油 価 格 の 下 落 には 幾 つかの 理 由 があるが, サウジアラビアはこの 状 況 下 で 生 産 的 な 役 割 を 果 たすことができる 2 もしサウジアラビアが 原 油 価 格 の 下 落 防 止 策 を 取 らなければ, 中 東 の 全 諸 国 にマイナス 影 響 を 与 える 重 大 な 過 ちとなる 3 イランはOPECでの 高 官 同 士 の 協 議 や 外 務 省 経 由 での 協 議 を 通 じてサウジアラビアともっ と 話 し 合 っていく さらに 同 国 のロウハニ 大 統 領 は1 月 13 日,ブー シェルでの 演 説 で 次 のように 述 べ, 原 油 安 はイラ ンよりもサウジアラビアやクウェートにとって 大 きな 打 撃 になると 主 張 した(ブルームバーグ 通 信 2015 年 1 月 13 日 ) 1 原 油 価 格 の 下 落 に 責 任 を 負 う 諸 国 は 何 れ 後 悔 することになる 2 イランが 油 価 下 落 に 苦 しむのであれば,クウ ェートやサウジアラビアといった 産 油 国 はそ れ 以 上 に 厳 しい 状 況 に 置 かれよう 3 ( 何 故 ならば)イランはクウェートやサウジア ラビアよりも 原 油 輸 出 への 依 存 度 合 いが 低 い からだ 他 方, 油 価 下 落 を 放 置 する 姿 勢 を 見 せているの が 主 要 な GCC 産 油 国 である 例 えば,アラブ 首 長 国 連 邦 (UAE)のマズルーイ エネルギー 相 は 2015 年 1 月 13 日,アブダビのエネルギー フォー ラムで 概 要 次 のように 述 べ,6 月 総 会 前 の OPEC 緊 急 会 合 開 催 はないとの 考 えを 明 らかにした(ロ イター 通 信 2015 年 1 月 13 日 ) 筆 者 紹 介 慶 應 義 塾 大 学 経 済 学 部 卒 業 (1974 年 3 月 ),1974~1980 年 富 士 銀 行 勤 務 後,1980~1983 年 中 東 経 済 研 究 所 出 向 1983 年 富 士 銀 行 復 職 後 (1 月 ), 同 行 を 退 職 (10 月 ) 中 東 経 済 研 究 所 カイロ 事 務 所 長 を 経 て,1990 年 同 研 究 所 退 職 1990 年 12 月 ~2000 年 9 月 国 際 経 済 研 究 所 勤 務 ( 主 席 研 究 員 ),2000 年 10 月 ~2005 年 3 月 国 際 開 発 センター エネルギー 環 境 室 長,2005 年 4 月 よりエネ ルギー 環 境 室 研 究 顧 問 中 東 や 北 アフリカ 諸 国 の 王 族, 政 治 家, 政 府 関 係 者,ビジネスマンに 知 己 が 多 く, 中 東 全 域 に 豊 富 な 人 的 ネットワークを 有 する 専 門 領 域 は 中 東 経 済 論 著 書 イスラムマネー がわかると 経 済 の 動 きが 読 めてくる! (すばる 舎,2010 年 ) 中 東 のクール ジ ャパニーズ ( 同 友 館,2009 年 ) 中 東 湾 岸 ビジネス 最 新 事 情 ( 同 友 館,2009 年 ) 南 地 中 海 の 新 星 リビア ( 同 友 館,2009 年 ) 今 こそチャンスの 中 東 湾 岸 ビジネス ( 同 友 館,2009 年 ), オイルマネー ( 講 談 社 現 代 新 書, 2008 年 ), 石 油 地 政 学 ( 中 公 新 書 ラクレ,2003 年 ) 1 OPEC 全 体 生 産 枠 の 引 き 下 げを 見 送 った2014 年 11 月 のOPEC 総 会 の 決 定 は 正 しい 判 断 であ った 2 ( 国 際 石 油 市 場 は)シェールオイルが 要 因 で 供 給 過 剰 となっており 供 給 体 制 の 修 正 が 必 要 で ある 3 但 し,シェールオイルを 市 場 から 完 全 に 閉 め 出 すべきではない またオメール クウェート 石 油 相 は1 月 14 日, 議 会 で 記 者 団 に ( 国 際 石 油 市 場 での 原 油 の) 余 剰 分 が 吸 収 され 世 界 経 済 が 改 善 されるまで 今 の(よ うな 低 水 準 の 油 価 の) 状 況 は 続 くと 見 込 んでいる (ブルームバーグ 通 信 2015 年 1 月 14 日 )と 語 り, 2015 年 下 半 期 以 前 に 原 油 価 格 が 回 復 する 可 能 性 は 低 いとの 見 方 を 示 した ヤブーニUAE 代 表 OPEC 理 事 も 同 日,アブダビで 記 者 団 に 需 要 が 主 導 す る 石 油 市 場 の 回 復 は2015 年 7~12 月 期 ( 下 半 期 ) になりそうである ( 同 上 )と 述 べ,クウェートのオ メール 石 油 相 と 同 様 の 見 方 を 明 らかにしている 原 油 価 格 の 下 落 が 当 面 止 まりそうもないことを 示 すように,アラブ 首 長 国 連 邦 (UAE)は1 月 上 旬,クウェート 及 びイラクに 追 随 する 形 でアジア 28 中 東 協 力 センターニュース

向 けの 原 油 価 格 をサウジアラビアの 販 売 価 格 を 下 回 る 水 準 に 設 定 している(ロイター 通 信 2015 年 1 月 13 日 ) 湾 岸 主 要 産 油 国 間 でのアジア 市 場 の 確 保 を 目 指 した 値 引 き 戦 争 の 激 化 は 油 価 のさらなる 下 落 の 圧 力 となりそうだ 在 外 公 館 の 一 部 閉 鎖 を 検 討 中 のリビア 低 水 準 の 原 油 価 格 が 続 いている 中 東 主 要 産 油 国 が2015 年 予 算 を 編 成 した 時 点 では 既 に 油 価 は 下 落 していたので, 各 国 とも 一 定 程 度 油 価 の 下 落 要 因 を 織 り 込 んで 策 定 した しかし,その 後 も 油 価 の 下 落 が 続 いたことから 多 くの 国 では 改 めて 見 直 しが 行 われている 石 油 輸 出 国 機 構 (OPEC)の 一 員 であるリビア は, 東 のトブルクとアルベイダーに 拠 点 を 置 く 世 俗 派 リベラル 派 勢 力 ( 以 下, 東 部 勢 力 と 呼 称 する 国 連 及 び 国 際 社 会 が 承 認 但 し,リビア 最 高 裁 は 無 効 判 決 )と 西 の 首 都 トリポリに 拠 点 を 置 くイスラム 穏 健 派 勢 力 ( 以 下, 西 部 勢 力 と 呼 称 する)が 対 立 し 国 内 を 東 西 にほぼ 二 分 する 状 態 が 続 いている 国 外 での 開 催 となった 国 連 リビア 支 援 代 表 団 (UNSMIL)が 進 める 東 西 融 和 を 目 指 した1 月 中 下 旬 の 対 話 集 会 には 残 念 ながら 東 部 勢 力 しか 出 席 しなかった 何 故 ならば 西 部 勢 力 が 出 席 反 対 派 と 賛 成 派 に 二 分 されているからだ し かし, 西 部 勢 力 のアブシャーマイン 制 憲 議 会 議 長 は,1 月 30 日,リビア 国 内 で 開 催 するのであれ ば 出 席 を 決 定 したと 表 明 している このような 状 況 にあるため,リビア 中 央 銀 行 は 独 立 性 を 維 持 し 何 れの 政 府 にも 偏 らないとの 方 針 を 貫 くなか 不 急 不 要 以 外 の 支 出 を 全 面 停 止 し 今 日 を 迎 えている リビアの 予 算 上 の 支 出 は5 項 目 に 分 類 されている だが 現 在 中 央 銀 行 から 遅 滞 なく 支 出 されているのは,5つの 項 目 のうちの 項 目 1の 国 家 公 務 員 の 給 与 及 び 項 目 4の 補 助 金 の み であり,これら 以 外 の 支 出 は 全 て 限 定 条 件 下 での 支 出 となっている リビア 中 央 銀 行 が 項 目 1 及 び 項 目 4 以 外 の 予 算 費 目 について 人 道 的 或 いは 緊 急 的 必 要 性 のない 限 り 支 出 を 停 止 しているのは, 東 西 に 分 裂 中 の 政 府 及 び 議 会 の 争 いが 継 続 しているためである また 仮 に 支 出 を 行 った 場 合, 適 正 に 使 途 目 的 に 充 当 さ れているのか 否 かが 確 認 できないことも 理 由 とし て 挙 げられている 但 し,リビア 中 央 銀 行 が 一 部 の 項 目 を 除 いて 支 出 を 停 止 しているのは,サディック エル カビー ル 中 央 銀 行 総 裁 が 西 部 勢 力 の 重 鎮 の 一 人 であるか らとの 見 方 がないわけではない つまり, 東 部 勢 力 が 後 ろ 盾 としているエジプトなどの 諸 外 国 にリ ビア 予 算 の 資 金 が 流 出 するのを 防 ぐためではない かとの 見 方 である 何 れにせよ 現 時 点 でのリビア の 予 算 項 目 ごとの 支 出 対 応 状 況 を 一 表 に 整 理 すれ ば 次 のようになる 図 表 1 リビア 予 算 の 項 目 ごとの 支 出 状 況 項 目 番 号 ( 主 な 内 容 ) 支 出 状 況 項 目 1 (Salaries: 国 家 公 務 員 給 与 ) 項 目 2 (Operational Expenditure: 一 般 消 費 材 予 算 ) 項 目 3 (Development & Reconstruction Projects: インフラ 開 発 及 び 復 興 プロジェクト 予 算 ) 予 算 通 りに 支 出 中 基 本 的 に 支 出 を 止 めている 但 し, 人 道 的 な 対 象 及 び, 緊 急 を 要 する 対 象 に 限 り 支 出 している 原 則 支 出 を 止 めている 但 し, 病 院 学 校 の 修 復 再 建 や 人 道 的 な 対 象 に 限 り 支 出 している 29 中 東 協 力 センターニュース

項 目 4 (Subsidies & Price Stabilization Fund: 燃 料 費 食 糧 電 気 料 金 などの 補 助 金 物 価 安 定 のための 基 金 ) 項 目 5 (The General Reserve including the Child Benefit: 子 供 手 当 を 含 む 一 般 共 通 予 備 費 ) 市 民 生 活 に 不 可 欠 であるため, 削 減 することなく 予 算 通 りに 支 出 されている 子 供 手 当 以 外 支 出 を 止 めている そのリビア 中 央 銀 行 は2015 年 1 月 15 日, 声 明 を 発 表 し2014 年 の 財 政 収 支 が251 億 リビア ディナー ル(186 億 ドル,2 兆 2,300 億 円 弱 )に 上 ったこと を 明 らかにすると 共 に, 中 央 銀 行 は 全 ての 関 係 当 事 者 に 対 して 拡 大 する 危 機 への 対 応 で 協 力 するこ とを 呼 び 掛 ける 安 定 を 回 復 しリビアの 将 来 を 守 るためには 国 民 が 国 家 の 直 面 する 危 機 を 認 識 して 欲 しい (ロイター 通 信 2015 年 1 月 16 日 )と 訴 え, 次 のような 費 目 の 削 減 を 提 案 した 同 時 に 中 央 銀 行 は 具 体 的 な 金 額 には 触 れずに 外 貨 準 備 が 大 きく 減 少 していることを 明 らかにした 1 海 外 駐 在 外 交 官 数 の 削 減 2 新 規 外 交 官 の 任 命 の 停 止 3 学 術 奨 学 金 の 停 止 4 家 族 子 ども 手 当 の 中 止 5 国 家 負 担 による 海 外 医 療 措 置 の 見 直 し それから5 日 後 の1 月 20 日, 東 部 勢 力 のア ル シンニ 内 閣 は 低 水 準 の 油 価 と 産 油 量 の 結 果, 財 政 赤 字 に 対 処 するために 歳 出 削 減 が 必 要 となっ た (ロイター 通 信 2015 年 1 月 21 日 )と 語 り, 海 外 の 幾 つかの 大 使 館 の 閉 鎖 及 び 在 外 勤 務 の 外 交 官 数 の 削 減 を 計 画 中 であることを 発 表 している 前 提 油 価 を56ドルに 引 き 下 げたイラク イラク 議 会 は2015 年 1 月 29 日, 総 額 119 兆 イラ ク ディナール( 約 996 億 ドル,12 兆 円 弱 )の2015 年 度 予 算 を 承 認 した 修 正 前 の 予 算 総 額 は 米 ドル 表 示 では1,025 億 ドルであったので,2.8%の 縮 小 と なった 財 政 収 支 では 約 25 兆 ディナール( 約 220 億 ドル, 約 2 兆 6,400 億 円 )の 赤 字 を 予 想 している なお, 当 初 案 では 財 政 赤 字 は 米 ドル 表 示 で191 億 ド ルであったので, 赤 字 額 は 約 15% 拡 大 したことに なる 原 油 価 格 の 低 迷 するなか 予 算 承 認 の 遅 れが イスラム 国 との 戦 いに 影 響 の 出 ることを 懸 念 して いたハイデル アル アバディ 首 相 にとっては 一 安 心 となった またイスラム 国 との 戦 いでクルド 自 治 政 府 と 共 闘 せねばならないアバディ 首 相 にと っては, 中 央 政 府 との 関 係 改 善 の 期 待 できる 予 算 の 承 認 となった なお,クルド 自 治 政 府 のバルザニ 首 相 は2015 年 予 算 の 議 会 承 認 を 称 賛 しながらも, 予 算 の 議 会 承 認 は 大 変 良 いことだ しかし, 不 幸 なことにバグ ダッドはお 金 を 持 っていない (ロイター 通 信 2015 年 1 月 30 日 )と 語 り,イラクが 資 金 的 には 苦 しい 状 態 にあることを 明 らかにした 因 みに,イ ラク 政 府 は2015 年 の 財 政 赤 字 については, 政 府 短 期 証 券, 政 府 債 の 発 行 及 び 国 内 銀 行 借 り 入 れで 賄 う 方 針 である このほかイラク 政 府 は 国 際 通 貨 基 金 (IMF)からのSDRを 活 用 した 借 り 入 れや 輸 入 自 動 車 税 の 導 入, 携 帯 電 話 SIMカード 税 及 びイン ターネット 税 の 導 入 なども 併 せて 実 施 する 予 定 で ある なお,クウェート 政 府 はイラクからの 侵 攻 時 の 損 害 補 償 資 金 の 支 払 いを1 年 猶 予 することに 合 意 している イラクの 当 初 予 算 は1バレル70ドルの 原 油 価 格 を 前 提 として 編 成 されていた しかし,その 後 の 原 油 情 勢 を 検 討 した 結 果,イラク 議 会 はまず60ド ルに 前 提 を 引 き 下 げ,さらに 最 終 的 に56ドルにま 30 中 東 協 力 センターニュース

図 表 2 イラクの 財 政 収 支 の 推 移 (2004~2014 年 ) 暦 年 財 政 収 支 2004 年 18 兆 8,443.4 億 ディナール 2005 年 +2 兆 9,918.5 億 ディナール 2006 年 +10 兆 2,382.4 億 ディナール 2007 年 +8 兆 7,310.4 億 ディナール 2008 年 1 兆 3,434.6 億 ディナール 2009 年 16 兆 5,894.5 億 ディナール 2010 年 6 兆 7,725.3 億 ディナール 2011 年 +10 兆 3,109.9 億 ディナール 2012 年 +10 兆 4,081.0 億 ディナール 2013 年 15 兆 8,240.5 億 ディナール 2014 年 8 兆 1,816.4 億 ディナール 出 所 : 国 際 通 貨 基 金 (IMF),2014 年 10 月 推 計 で 引 き 下 げる 案 で 落 ち 着 いた 当 初 の 前 提 油 価 が あまりに 非 現 実 的 と 考 えていた 国 会 議 員 には 最 終 的 な 前 提 価 格 は 満 足 のいくものとなった 因 みに, イスラム 国 との 戦 いのための 支 出 が 主 となる 国 防 費 は 歳 出 の 約 20%を 占 めている なお,イラク 戦 争 後 の 同 国 の 財 政 収 支 実 績 は 図 表 2の 通 りである 原 油 価 格 の 下 落 分 を 埋 め 合 わせるためなのか, 国 際 エネルギー 機 関 (IEA)が1 月 16 日 に 発 表 し た 石 油 市 場 月 報 によれば,イラクの 月 間 平 均 産 油 量 は2014 年 12 月 には 日 量 29 万 バレル 増 の 同 370 万 バレル,1979 年 以 来 の 高 水 準 に 達 している 実 に35 年 ぶりの 高 水 準 を 記 録 したイラクの 原 油 生 産 量 については,クルド 人 自 治 区 の 供 給 が 増 加 し ていることに 加 えて,シーア 派 住 民 が 大 多 数 を 占 める 南 部 の 油 田 は 今 後 もいわゆる イスラム 国 の 攻 撃 を 受 けにくいと 見 られておりさらに 増 産 が 予 想 される 油 価 下 落 と 経 済 制 裁 の 継 続 で 苦 慮 するイラン そのイランのアリ タイイブニア 財 政 経 済 相 は 2015 年 1 月 26 日, 仮 に 経 済 制 裁 が 解 除 されればイ ランは8% 超 の 実 質 経 済 成 長 ができる 但 し,こ の 目 標 を 達 成 するには,イランの 持 つあらゆる 経 済 力 を 活 用 する 必 要 がある (テヘラン タイムズ 2015 年 1 月 26 日 )と 述 べ,イラン 経 済 の 先 行 きに 自 信 を 見 せた イラン 中 央 銀 行 の 発 表 によれば, 2014 年 上 半 期 の 国 内 総 生 産 (GDP) 成 長 率 は4% を 記 録 している だがイランは 米 欧 による 経 済 制 裁 に 加 えて 原 油 価 格 が 半 減 したことから 大 きな 打 撃 を 受 けてい る それでもアリ タイイブニア 財 政 経 済 相 は1 月 18 日, 現 下 のところ, 油 価 は 変 動 しているので 予 測 は 不 可 能 である それ 故, 政 府 は 如 何 なる 事 態 にも 対 応 できるようにしている 仮 に 油 価 が25 ドルに 下 落 しても 何 ら 問 題 はないが, 我 が 国 は 2015 年 度 の 予 算 の 策 定 に 当 たっては 原 油 価 格 が40 ドルという 悲 観 シナリオ,50ドルという 中 庸 シナ リオ,70ドルという 楽 観 シナリオの3 通 りを 想 定 している ( 同 上 2015 年 1 月 20 日 )と 語 り,2015 年 度 予 算 については 状 況 を 見 ながら 柔 軟 に 最 終 判 断 する 考 えを 示 した このように 政 府 高 官 の 強 気 の 発 言 の 続 くイラン だが,ロンドンとテヘランで 活 動 する 投 資 会 社 ACL の 設 立 パートナーであるアミル アリ アミ リ 氏 は, 経 済 現 状 について 次 のように 分 析 してい る 1 原 油 価 格 の 下 落 はイランの 短 期 的 将 来 にとっ て 懸 念 材 料 である 2 イランは 経 済 不 振 の 中 にあり, 経 済 制 裁 と 低 油 価 のために 投 資 家 の 信 頼 は 落 ちている 3 民 間 ビジネス 界 は 流 動 性 の 確 保 に 必 死 で 多 く の 不 確 実 性 がある 4 テヘラン 株 式 市 場 では 取 引 量 がかなり 落 ち 込 んでいる 5 現 在 は 核 交 渉 がどうなるのか 見 極 めようとの 姿 勢 に 終 始 している (http://www.bbc.com/news/world-middleeast-31116440) 31 中 東 協 力 センターニュース

実 際 イラン 国 内 外 の 同 国 経 済 の 専 門 家 は2015 年 の 石 油 輸 出 額 が2011 年 時 の4 分 の1 程 度 の200~ 250 億 ドルと 見 ている また2016 年 の 石 油 輸 出 額 は さらに 下 がると 見 ている このため 主 要 な 支 出 計 画 は 凍 結 されており, 省 庁 の 中 には 予 算 を 削 減 さ れたところも 少 なくない 専 門 家 たちは 補 助 金 改 革, 徴 税 強 化, 民 営 化 で 対 応 する 以 外 にないと 見 るが 何 れも 副 作 用 は 避 けられない イランでは 燃 料 及 び 食 料 品 価 格 の 引 き 上 げと 付 加 価 値 税 の 引 き 上 げが 検 討 されており,2014 年 12 月 以 降 だけでパ ンの 価 格 が30%も 上 昇 しているのはその 先 駆 けと 見 られる ところでイラン 政 府 のムハンマド バケル ノ バクゥト 報 道 官 は1 月 24 日, イラン 政 府 は2015 年 度 (2015 年 3 月 21 日 ~2016 年 3 月 20 日 )の 石 油 収 入 が400 億 ドル 以 下 でもやっていくことができる これは 抵 抗 経 済 の 枠 組 みの 中 で 達 成 が 可 能 であ る 石 油 はイラン 経 済 にとって 決 定 的 な 役 割 を 果 たしている それ 故, 石 油 収 入 を 国 民 経 済 におい て 過 小 評 価 してはならず, 我 々はより 効 率 的 に 石 油 収 入 を 活 用 しなければならない ( 同 上 2015 年 1 月 24 日 )と 語 り, 油 価 急 落 で 減 少 する 石 油 収 入 を 効 率 的 に 使 用 していく 必 要 性 を 強 調 した イランは 米 欧 による 経 済 制 裁 の 中 にあったもの の,それでも 近 年 の 石 油 収 入 は550 億 ドルから600 億 ドルに 達 していた 従 って,ムハンマド バケ ル ノバクゥト 報 道 官 の 言 及 した400 億 ドルという 石 油 収 入 はその7 割 弱 から7 割 強 に 過 ぎないこと になる また 同 報 道 官 が 言 及 した 抵 抗 経 済 は,アヤ トラ アリ ハメネイ 最 高 指 導 者 が2014 年 2 月 に 発 出 した 勅 令 の 中 で 説 明 したもので, 知 識 基 盤 の 製 品 の 生 産 輸 出 の 強 化, 戦 略 的 商 品 の 国 内 生 産 の 拡 大, 近 隣 諸 国 市 場 の 開 発 が 主 な 柱 を 構 成 して いる 抵 抗 経 済 がそれなりに 実 績 を 上 げつつあ るのは 事 実 である 2014 年 3~12 月 の10ヵ 月 間 で コンデンセート, 石 油 化 学, 非 石 油 輸 出 が 合 計 420 億 ドルと 前 年 同 期 比 24% 増 となっていることがそ のことを 端 的 に 示 している しかし, 昨 秋 以 降 の 原 油 価 格 の 急 落 が,インフ レを 抑 制 しイラン 通 貨 を 安 定 化 するなど 混 乱 して いたイラン 経 済 に 落 ち 着 きを 取 り 戻 したロウハニ 大 統 領 の 実 績 を 危 ういものにしかねないのも 事 実 である イラン 中 央 銀 行 のゴラマリ カムヤブ 副 総 裁 は 2015 年 1 月 25 日,テヘラン 通 信 に イランは 諸 外 国 との 貿 易 決 済 に 際 して, 中 国 元,ユーロ,ト ルコ リラ,ロシア ルーブル, 韓 国 ウォンな どのその 他 通 貨 を 使 用 する イランはその 他 通 貨 の 利 用 に 関 して 幾 つかの 諸 国 と 二 国 間 金 融 協 定 に 署 名 する 可 能 性 を 検 討 している (テヘラン タイ ムズ 2015 年 1 月 26 日 )と 語 り, 外 国 との 貿 易 で 米 ドルでの 決 済 を 停 止 し, 近 い 将 来 に 新 たな 通 貨 との 二 国 間 スワップ 合 意 を 締 結 する 考 えを 明 らか にした 同 副 総 裁 は 二 国 間 通 貨 スワップ 協 定 が 締 結 され ればイランとその 他 諸 国 との 貿 易 経 済 取 引 が 容 易 になると 見 る 米 ドルによる 取 引 決 済 の 比 率 を 引 き 下 げる 試 みはイランが 初 めて 行 ったものでは なく, 例 えば,ロシアと 中 国 は2014 年, 米 ドルの 影 響 力 を 引 き 下 げ 外 国 為 替 に 伴 うリスクを 小 さく するとの 観 点 から 通 貨 のスワップ 協 定 で 合 意 して いる この 動 きは 米 欧 によるイラン 経 済 制 裁 が 続 くなか, 仮 に 近 い 将 来 において 米 国 を 始 めとする 6ヵ 国 (P6)と 核 交 渉 で 合 意 に 達 したとしても, 制 裁 の 完 全 解 除 までには 何 年 も 要 する 見 込 みであ ることから 取 られた 措 置 と 思 われる イラン 国 民 は 原 油 価 格 についてはサウジアラビアなどのその 他 産 油 国 の 意 向 も 働 くことから 致 し 方 ないと 考 え ている 面 がある 但 し, 成 立 すれば 経 済 の 活 性 化 につながるP6との 核 交 渉 については, 条 件 次 第 で は 成 立 する 可 能 性 も 低 くないだけに 期 待 を 持 って 行 方 を 注 視 している 32 中 東 協 力 センターニュース