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スパースな 薬 物 濃 度 データの 活 用 -モデリング&シミュレーションの 実 践 に 向 けて- Excel,SAS 編 小 林 聡 晃 日 本 たばこ 産 業 株 式 会 社 要 約 : 2001 年 SAS ユーザー 会 で 報 告 された, 経 口 1-コンパートメントモデルを 利 用 したスパースサ ンプリングデータの 解 析 手 順 について,2 投 与 量 群,3 時 点,4 匹 のラットの 薬 物 濃 度 データを 用 いて, SAS 及 び Excel による 追 試 を 実 施 する.まず, 投 与 群 ごとの PK パラメータを Excel のソルバーおよ び SAS の NLIN プロシジャを 用 いて 推 定 する. 次 に, 動 物 ごとの PK パラメータを SAS NLIN プロシ ジャでは 固 定 効 果 モデルを,NLMIXED プロシジャではランダム 効 果 を 含 めたモデルを 用 いて 解 析 する.さらに, 各 ラットから 1 時 点 だけを 選 んだテータを 用 いて, 固 定 効 果 モデルを 活 用 した 1 動 物 1 時 点 だけの 場 合 の PK パラメータの 算 出 について, 共 通 パラメータが 既 知 の 場 合 と 未 知 の 場 合 の 推 定 方 法 を 紹 介 する. AUC の 推 定 結 果 について 比 較 したところ, 平 均 値 には 大 きな 違 いは 見 られな かったが, 採 血 ポイントや 推 定 方 法 が 動 物 ごとの 推 定 値 に 大 きな 影 響 を 与 えることが 示 された.ス パースなデータであっても 強 い 仮 定 の 設 定 と 推 定 パラメータの 絞 込 みにより PK パラメータの 推 定 は 可 能 であったが, 解 析 計 画 時 のモデル 設 定 が 重 要 であり, 初 期 値 やモデルに 適 切 な 制 約 条 件 を 設 定 しなければ 収 束 解 が 得 られなかった. キーワード: スパースサンプリング,Excel,ソルバー,SAS, 経 口 1-コンパートメントモデル, 固 定 効 果 モデル,ランダム 効 果 モデル 目 次 1.スパースサンプリングデータ ------------------------------------------- 3 2. 投 与 群 ごとの PK パラメータ 算 出 ------------------------------------- 6 3. 固 定 効 果 を 含 めた PK パラメータ 算 出 ----------------------------- 10 4.ランダム 効 果 を 含 めた PK パラメータ 算 出 ------------------------- 14 5. 固 定 効 果 モデルを 活 用 した PK パラメータ 算 出 ------------------ 16 6.まとめ --------------------------------------------------------------------- 30 1

本 発 表 ではスパースサンプリング TK データ を 用 いた 解 析 について 報 告 する. スパー ス とは とびとび という 意 味 である. 非 臨 床 研 究 もしくは 臨 床 試 験 での 実 際 の 現 場 では, スパースサンプリングTKデータの 解 析 測 定 対 象 となる 動 物 や 人 間 によっては 採 血 -Excel,SAS 編 - 回 数 に 制 限 があるため, 採 血 回 数 を 極 力 減 2011 年 10 月 22 日 らすことが 望 まれる. 日 本 たばこ 産 業 株 式 会 社 X 薬 をラットに 単 回 投 与 して 得 られた 血 液 中 小 林 聡 晃 の 薬 物 濃 度 データを 題 材 にして,PK パラ メータを 算 出 する.Excel を 用 いて 解 析 方 法 をわかりやすく 示 すと 共 に,SAS の NLIN と NLMIED プロシジャを 用 いた 解 析 方 法 について 報 告 する. 内 容 スパースサンプリングされたTKデータ - X 薬 をラットに 単 回 投 与 したあとの 薬 物 濃 度 - 1 匹 から3ポイント 採 血 PKパラメータを 算 出 する スパースサンプリングされた TK データを 紹 介 する. 次 のスライドでデータの 詳 細 を 示 す. 2 2 2

スパースサンプリングデータ ラットにX 薬 を 単 回 投 与 した 後 の 薬 物 濃 度,1 動 物 3 時 点 用 量 ID 1 時 間 2 時 間 4 時 間 8 時 間 12 時 間 24 時 間 D1 1 0.629. 2.038. 1.28. 10mg/kg 2 0.572. 2.431. 1.346. 3 0.366. 1.733. 1.386. 4 0.718. 4.979. 3.611. 5. 1.207. 1.377. 0.112 6. 0.639. 1.786. 0.288 7. 0.675. 1.088. 0.277 8. 0.861. 2.786. 0.269 D2 11 0.657. 6.012. 2.495. 20mg/kg 12 0.875. 4.125. 2.689. 13 0.614. 6.257. 1.965. 14 0.902. 5.356. 3.902. 15. 1.689. 3.695. 0.689 16. 1.515. 3.516. 0.918 17. 2.267. 4.074. 0.627 18. 1.706. 3.927. 0.937 3 実 験 条 件 を 以 下 に 示 す. 投 与 量 ごとに 群 を 2 つ 設 定 し,D1 群 では 10mg/kg, D2 群 では 20mg/kg がラットに 投 与 された. 1 動 物 あたり 3 時 点 で 採 血 を 行 い, 薬 物 濃 度 を 測 定 した. 3

目 的 SASユーザー 会 で 高 橋 が 報 告 した 結 果 を 再 現 する とともに,その 計 算 過 程 を 示 す ( 固 定 効 果 とランダ ム 効 果 の 導 入 ) 1 動 物,1 時 点 だけで 薬 物 濃 度 が 測 定 された 場 合, そのデータから 動 物 ごとのAUCなどのPKパラメータ を 推 定 する 問 題 を 取 り 上 げる 固 定 効 果 モデルを 利 用 した 解 析 を 拡 張 し,3 通 りの 推 定 方 法 を 紹 介 する AUCの 推 定 結 果 について 比 較 検 討 する SAS によるスパースサンプリングデータの 解 析 は 2001 年 に 高 橋 が SAS ユーザー 会 で 報 告 した.この 解 析 を 再 現 すると 共 に,Excel で 計 算 過 程 を 示 す. そして, 本 発 表 で 1 動 物,1 時 点 だけで 薬 物 濃 度 が 測 定 された 場 合,そのデータから 動 物 ごとの AUC などの PK パラメータを 算 出 で きることを 示 す. 4 4 解 析 内 容 1: 投 与 群 ごとのPKパラメータ 推 定 ( 追 試 ) 2: 固 定 効 果 を 含 めた 動 物 ごとのPKパラメータ 算 出 ( 追 試 ) 3:ランダム 効 果 を 含 めた 動 物 ごとのPKパラ メータ 算 出 ( 追 試 ) 4: 固 定 効 果 モデルを 活 用 した 動 物 ごとのPKパ ラメータ 算 出 5 5 解 析 内 容 は 左 記 の 4 つである.2001 年 に 高 橋 によって 発 表 された 内 容 を 追 試 した 解 析 については( 追 試 )と 表 記 した. 2,3,4 については, 症 例 ごとにパラメータの 仮 定 を 設 定 することで,PK パラメータの 推 定 を 行 った. 1: 投 与 群 ごとの PK パラメータ 算 出 2: 固 定 効 果 を 含 めた PK パラメータ 算 出 3:ランダム 効 果 を 含 めた PK パラメータ 算 出 4:1 動 物,1 時 点 のスパースデータでの PK パラメータ 算 出 4

使 用 したモデル 経 口 1-コンパートメントモデル 経 口 投 与 された 薬 剤 が 消 化 管 で 吸 収 され, 血 液 中 に 移 行 するまでにかかる 時 間 を 考 慮 pred = dose_x*ke*ka*(exp(-ke*(time-t_lag))-exp(-ka*(time-t_lag)))/cl/(ka-ke); AUC = dose/cl; pred:モデル 予 測 値 dose_x: 投 与 量 ka: 薬 物 吸 収 速 度 定 数 ke: 薬 物 消 失 速 度 定 数 time: 時 間 t_lag: 消 化 管 に 投 与 された 薬 物 が 実 際 に 吸 収 し 始 まるまでの 時 間 差 cl:クリアランス 芳 賀 本 での 統 計 的 パラメータ 6 芳 賀 本 ではモデルを 簡 略 化 するために, 統 計 的 パラメータが 使 用 されている. 本 発 表 では 薬 物 動 態 の 領 域 で 利 用 される 経 口 1-コンパートメントモデルを 使 用 する. このモデルは, 吸 収 による 時 間 遅 れを 考 慮 した 経 口 1-コンパートメントモデルである. 吸 収 による 時 間 遅 れを T_lag と 定 義 する. まず, 非 線 形 最 小 二 乗 法 を 利 用 して 投 与 群 1: 投 与 群 ごとのPKパラメータ 算 出 非 線 形 最 小 二 乗 法 を 利 用 する 平 方 和 =(モデル 予 測 値 - 実 測 値 )^2 初 期 値 から 値 を 変 化 させ, 平 方 和 を 最 小 とする 値 を 推 定 値 として 採 用 する 1: 1: 初 期 値 入 力 2: 2: 予 測 値 計 算 3: 3: 残 差 平 方 和 を 計 算 4: 4: 残 差 平 方 和 を 最 小 にするパラメータをExcelソル バーで 求 める 7 7 ごとの PK パラメータ 算 出 を 行 った. 5

1: 投 与 群 ごとのPKパラメータ 算 出 10 mg 投 与 群 ID Time 1 2 4 8 12 24 1 Y 0.629 2.038 1.28 2 Y 0.572 2.431 1.346 3 Y 0.366 1.733 1.386 4 Y 0.718 4.979 3.611 5 Y 1.207 1.377 0.112 6 Y 0.639 1.786 0.288 7 Y 0.675 1.088 0.277 8 Y 0.861 2.786 0.269 11 Y 0.657 6.012 2.495 12 Y 0.875 4.125 2.689 13 Y 0.614 6.257 1.965 14 Y 0.902 5.356 3.902 15 Y 1.689 3.695 0.689 16 Y 1.515 3.516 0.918 17 Y 2.267 4.074 0.627 18 Y 1.706 3.927 0.937 非 線 形 最 小 二 乗 法 による 初 期 値 設 定 pred = dose_x*ke*ka*(exp(-ke*(time-t_lag))-exp(-ka*(time-t_lag)))/cl/(ka-ke); ke ka cl t_lag 0.1562 0.2488 0.2927 0.6944 平 方 和 =( 予 測 値 - 実 測 値 )^2 Y 予 測 値 0.381448 2.256158 1.591501 0.205907802 0.381448 2.256158 1.591501 0.12715052 0.381448 2.256158 1.591501 0.316163506 0.381448 2.256158 1.591501 11.60551321 1.331667 2.251874 0.332851 0.829721589 1.331667 2.251874 0.332851 0.698837653 1.331667 2.251874 0.332851 1.788933536 1.331667 2.251874 0.332851 0.510894787 最 小 自 乗 平 方 和 16.0831226 8 Excel での 解 析 を 示 す. 各 セルでの 関 係 を 示 している. 実 測 値 は 上 部 の 表 のデータである. 予 測 値 とはモデルに 基 づく 値 を 意 味 する. 予 測 値 のデータを 下 部 の 表 に 示 している. 実 測 値 と 予 測 値 の 差 について 平 方 和 を 求 めている 箇 所 が, 右 下 のセルであ る. 6

1: 投 与 群 ごとのPKパラメータ 算 出 10 mg/kg 投 与 群 初 期 値 :ke=0.14 ka=0.5 cl=0.3 t_lag=0.5 Excelではソルバーを 利 用 変 化 させるセル 目 的 セル ke ka cl t_lag 0.1562 0.2488 0.2927 0.6944 ID 平 方 和 =( 予 測 値 - 実 測 値 )^2 1 Y 予 測 値 0.381448 2.256158 1.591501 0.205907802 2 0.381448 2.256158 1.591501 0.12715052 3 0.381448 2.256158 1.591501 0.316163506 4 0.381448 2.256158 1.591501 11.60551321 5 1.331667 2.251874 0.332851 0.829721589 6 1.331667 2.251874 0.332851 0.698837653 7 1.331667 2.251874 0.332851 1.788933536 8 1.331667 2.251874 0.332851 0.510894787 最 小 自 乗 平 方 和 16.0831226 9 まず, 薬 物 動 態 パラメータである ke, ka, cl, t_lag について 初 期 値 を 与 える.その 後,Excel のソル バー 機 能 を 利 用 して, 薬 物 動 態 パラメータを 変 化 させ, 平 方 和 が 一 番 小 さくなる 値 を 探 している.そ して, 平 方 和 が 一 番 小 さくなった 値 が 薬 物 動 態 パラメータの 推 定 値 となる. 7

1: 投 与 群 ごとのPKパラメータ 算 出 20 mg/kg 投 与 群 初 期 値 :ke=0.14 ka=0.5 cl=0.3 t_lag=0.5 Excelではソルバーを 利 用 変 化 させるセル 目 的 セル ke ka cl t_lag 0.1407 0.3557 0.3186 0.8718 ID 平 方 和 =( 予 測 値 - 実 測 値 )^2 11 Y 予 測 値 0.390044 4.607068 2.773844 2.122853421 12 0.390044 4.607068 2.773844 0.474770507 13 0.390044 4.607068 2.773844 3.426660709 14 0.390044 4.607068 2.773844 2.095733586 15 2.685345 4.202212 0.5601603 1.266567269 16 2.685345 4.202212 0.5601603 1.968643949 17 2.685345 4.202212 0.5601603 0.195918419 18 2.685345 4.202212 0.5601603 1.176866471 最 小 自 乗 平 方 和 12.72801433 10 前 のスライドと 同 様 に 20mg 投 与 群 についても PK パラメータを 算 出 する. 8

1: 投 与 群 ごとのPKパラメータ 算 出 SAS proc nlin data=dd.tk outest=out; parameters ke=0.14 ka=0.5 t_lag=0.5 CL=0.3 ; model Y=dose_x*ke*ka*(exp(-ke*(time-t_lag))-exp(-ka*(time-t_lag)))/CL/(ka-ke); by dose_x; run; /*AUC 算 出 */ data AUC1; set out; if _TYPE_='FINAL'; AUC=dose_x/CL; run; 参 照 文 献 :2001 年 SASユーザー 会 論 文 集 ( 高 橋 ) 11 2001 年 SAS ユーザー 会 論 文 集 ( 高 橋 )での 資 料 の 引 用 を 示 す. ここでは,SAS の nlin プロシジャが 用 いられている. 1: 投 与 群 ごとのPKパラメータ 算 出 SAS dose_x ke ka cl t_lag AUC 10 0.15617 0.248853 0.29268 0.694402 34.16696 20 0.140729 0.35566 0.318625 0.871842 62.76965 Excelでの 推 定 結 果 とSASでの 推 定 結 果 が 一 致 した 12 SAS での 実 行 結 果 を 示 す. 先 ほど 紹 介 した Excel での 推 定 結 果 と 一 致 することがわかる. 9

2: 固 定 効 果 を 含 めたPKパラメータ 算 出 ID1,5,11,15について 各 ラットを 固 定 効 果 とし た 解 析 用 量 ID 1 時 間 2 時 間 4 時 間 8 時 間 12 時 間 24 時 間 D1 1 0.629. 2.038. 1.28. 10mg/kg 2 0.572. 2.431. 1.346. 3 0.366. 1.733. 1.386. 4 0.718. 4.979. 3.611. 5. 1.207. 1.377. 0.112 6. 0.639. 1.786. 0.288 7. 0.675. 1.088. 0.277 8. 0.861. 2.786. 0.269 D2 11 0.657. 6.012. 2.495. 20mg/kg 12 0.875. 4.125. 2.689. 13 0.614. 6.257. 1.965. 14 0.902. 5.356. 3.902. 15. 1.689. 3.695. 0.689 16. 1.515. 3.516. 0.918 17. 2.267. 4.074. 0.627 18. 1.706. 3.927. 0.937 13 次 に, 固 定 効 果 を 含 めたモデルで PK パラメータの 算 出 を 行 った. ID1,5,11,15 を 解 析 対 象 とした. 赤 色 の 行 が 対 象 となるデータである. 10

2: 固 定 効 果 を 含 めたPKパラメータ 算 出 固 定 効 果 の 導 入 モデル 式 動 物 間 で 薬 物 吸 収 速 度 定 数 と 薬 物 消 失 速 度 定 数 が 同 じであり, 分 布 容 積 及 びクリアランスが 異 なると 仮 定 する Beta= dose_x*ke*ka/cl/(ka-ke)として, 動 物 ごとに 異 なるBetaをモデル 中 に 設 定 する pred = dose_x*ke*ka/ cl/(ka-ke) *(exp(-ke*(time-t_lag))-exp(-ka*(time-t_lag))); pred =(Beta1 *A1+ B5*A5 + B11*A11 + B15*A15) * (-exp(-(beta2*(time- Beta4))) + exp(-(beta3*(time-beta4))) ) ); ID A1 A5 A11 A15 1 1 0 0 0 5 1 1 0 0 11 1 0 1 0 15 1 0 0 1 14 固 定 効 果 をモデルに 導 入 する 際 に, 以 下 の 仮 定 を 設 定 した. 動 物 間 で t-lag,ka 及 び ke は 共 通 であ り,cl は 異 なるとした.モデルでは 固 定 効 果 (スライド 中 では 赤 色 の 四 角 で 囲 んだ 箇 所 )が Beta にあ たる.Beta1 が ID1 のラットの 成 分 を 示 し,B5,B11,B15 は ID1 のラットとの Beta の 差 を 示 している. 11

2: 固 定 効 果 を 含 めたPKパラメータ 算 出 固 定 効 果 の 導 入 変 化 させるセル 目 的 セル ke ka beta1 t_lag B5 B11 B15 0.1439 0.3455 8.0723 0.6868-3.3733 6.6010 5.3102 ID 平 方 和 =(LN( 予 測 値 )-LN( 実 測 値 ))^2 1 Y 予 測 値 0.472209 2.441841 1.423033 0.126106064 2 3 4 5 0.904835 1.265042 0.1626236 0.229300103 6 7 8 11 Y 予 測 値 0.85835 4.438613 2.586693 0.164827634 12 13 14 15 2.576942 3.602799 0.4631468 0.336882203 16 17 18 最 小 自 乗 平 方 和 0.857116004 15 Excel での 推 定 方 法 を 示 す.1で 示 した 方 法 と 同 様 である. 違 いは 推 定 するパラメータが 増 えている だけである. 12

2: 固 定 効 果 を 含 めたPKパラメータ 算 出 固 定 効 果 の 導 入 SAS /*3. 症 例 1,5,11,15を 固 定 効 果 とした 解 析 */ /* 収 束 しない*/ /* 両 辺 対 数 をとることで 対 応 */ data tk3; set dd.tk; if ID in (1,5,11,15); if ID=1 then A1=1 ; else A1=0 ; if ID=5 then A5=1 ; else A5=0 ; if ID=11 then A11=1 ; else A11=0 ; if ID=15 then A15=1 ; else A15=0 ; if Y =. then delete ; logy=log(y); run; proc nlin data=tk3 outest=esttk3 ; parameters Beta1=6 Beta2=0.4 Beta3=0.1 Beta4=0.5 B5=0 B11=0 B15=0; model logy = log((beta1 + B5*A5 + B11*A11 + B15*A15) * (-exp(-(beta2*(time- Beta4))) + exp(-(beta3*(time-beta4))) ) ); run; 16 SAS の 実 行 プログラムを 示 す.モデル 式 で 両 辺 対 数 をとることで, 数 値 計 算 を 収 束 することができ た. 2: 固 定 効 果 を 含 めたPKパラメータ 算 出 固 定 効 果 の 導 入 SAS パラメータ 推 定 値 近 似 標 準 誤 差 近 似 95% 信 頼 限 界 Beta1 8.0727 10.1615-18.0483 34.1937 Beta2 0.3455 0.2801-0.3744 1.0654 Beta3 0.1439 0.0609-0.0127 0.3005 Beta4 0.6868 0.2015 0.1688 1.2048 B5-3.3735 4.2252-14.2346 7.4877 B11 6.6013 9.0876-16.7590 29.9616 B15 5.3105 9.2829-18.5520 29.1731 Excelでの 推 定 結 果 とSASでの 推 定 結 果 が 一 致 した 17 推 定 された 結 果 は Excel での 推 定 結 果 と 一 致 した. 13

2: 固 定 効 果 を 含 めたPKパラメータ 算 出 固 定 効 果 の 導 入 ラット 数 に 依 存 してプログラム( 行 列 の 設 定 ) が 変 わることになる 実 用 的 ではない ID A1 A5 A11 A15 1 1 0 0 0 5 1 1 0 0 11 1 0 1 0 15 1 0 0 1 if ID in (1,5,11,15); if ID=1 then A1=1 ; else A1=0 ; if ID=5 then A5=1 ; else A5=0 ; if ID=11 then A11=1 ; else A11=0 ; if ID=15 then A15=1 ; else A15=0 ; 18 固 定 効 果 を 含 める 場 合,ラットの 数 に 依 存 して 行 列 の 設 定 を 変 更 する 必 要 がある. 実 験 によって N 数 が 変 化 するたびにプログラムを 変 更 することとなる.したがってこの 方 法 は 理 解 しやすいが, 実 用 的 ではない. 3:ランダム 効 果 を 含 めたPKパラメータ 算 出 薬 物 消 失 速 度 と 薬 物 吸 収 速 度 について, 被 験 者 間 で 共 通 と 仮 定 クリアランスに 対 してランダム 効 果 を 導 入 cl=exp(beta1+b) Excelではラット 数 に 依 存 してプログラムが 変 わることになるので,Excel 形 式 のファイルは 作 成 しなかった ことが 可 能 となる. 19 19 そこで,モデルにランダム 効 果 を 含 めること を 考 える. 今 回 は,クリアランスがラットごとに 異 なると 仮 定 した.Excel ではラット 数 に 依 存 してプログラムを 変 更 することになるので, ファイルを 作 成 しなかった.ラットごとにクリア ランスが 異 なることをモデルに 反 映 させる. 固 定 効 果 の 場 合 は 個 体 数 と 同 じ 数 の 水 準 を 設 定 するが,ランダム 効 果 の 場 合 は,ラットご との 効 果 の 違 いは,ある 母 集 団 に 従 うと 仮 定 し 母 集 団 のパラメータを 推 定 する.したがっ て,ラット 数 に 依 存 せずにモデルを 設 定 する 14

3:ランダム 効 果 を 含 めたPKパラメータ 算 出 proc nlmixed data=tk3 ; /* ランダム 係 数, 統 計 スタイル */ parms beta1=6 beta2=0.4 beta3=0.1 beta4=0.5 v1=1 to 100 by 1 v2=0.1 to 1.2 by 0.1 / best=10 ; pred = log((beta1 + B) * ( -exp(-(beta2*(time-beta4))) + exp(-(beta3*(time-beta4))) ) ); model logy ~ normal(pred, v2) ; random B ~ normal(0, v1) subject=id out=random ; predict pred out=dd.pred ; run ; 20 SAS の nlmixed プロシジャを 利 用 した.プログラムを 示 す.B がランダム 効 果 である.ラットごとのラン ダム 効 果 B が random というデータセットに 出 力 される.モデル 推 定 された 薬 物 濃 度 については dd.pred というデータセットに 出 力 される. 3:ランダム 効 果 を 含 めたPKパラメータ 算 出 Parameter Estimates Standard Parameter Estimate Error DF t Value Pr > t Alpha Lower Upper Gradient beta1 11.0749 12.8206 3 0.86 0.4512 0.05-29.7260 51.8758-9.67E-7 beta2 0.3270 0.2030 3 1.61 0.2057 0.05-0.3192 0.9731 0.000951 beta3 0.1487 0.05072 3 2.93 0.0609 0.05-0.01272 0.3101 0.005016 beta4 0.6714 0.1539 3 4.36 0.0223 0.05 0.1815 1.1613-0.00061 v1 16.4186 39.4013 3 0.42 0.7049 0.05-108.97 141.81-4.77E-6 v2 0.1056 0.05252 3 2.01 0.1380 0.05-0.06157 0.2727-0.00036 21 PK パラメータの 算 出 結 果 を 示 す.V1,V2 は 誤 差 分 散 を 表 す. 15

3:ランダム 効 果 を 含 めたPKパラメータ 算 出 各 ラットでのランダム 効 果 の 推 定 ID Effect Estimate 1 B -1.901837354 5 B -5.490000258 11 B 3.386700723 15 B 2.685106168 各 ラットでのランダム 効 果 の 推 定 結 果 を 示 す. ランダム 効 果 を 含 めることでラットごとの 薬 物 濃 度 を 推 定 することができる. 22 22 4: 固 定 効 果 モデルを 活 用 したPKパラメータ 算 出 1 動 物,1 時 点 だけで 薬 物 濃 度 が 測 定 された 場 合, そのデータから 動 物 ごとのAUCなどのPKパラメータ を 推 定 する 問 題 を 取 り 上 げる 3 通 りの 推 定 方 法 を 紹 介 し, AUCの 推 定 結 果 について 比 較 検 討 する 4-1: 1 動 物, 複 数 時 点 で 測 定 された 場 合 4-2: 1 動 物,1 時 点 で 測 定 された 場 合 4-2-1: 共 通 のパラメータが 既 知 の 場 合 4-2-2: 共 通 のパラメータが 未 知 の 場 合 4-3:AUC 推 定 結 果 の 比 較 析 で 得 られた AUC 推 定 結 果 を 比 較 して, 考 察 を 行 う. 23 23 1 動 物,1 時 点 で 測 定 された 薬 物 濃 度 の データを 利 用 して, 薬 物 動 態 パラメータを Excel で 推 定 することを 試 みた. パラメータ 推 定 の 際 に, 固 定 効 果 モデルを 活 用 した. 最 初 に, 複 数 時 点 (データ 全 部 ) を 使 って 解 析 する 手 順 を 説 明 する.ついで, 各 症 例 から1 時 点 の 値 だけを 取 り 出 したデー タについて 解 析 をする. 共 通 のパラメータが 既 知 の 場 合 を 仮 定 した 解 析 と 共 通 のパラ メータが 未 知 の 場 合 を 仮 定 した 解 析 でそれ ぞれ 推 定 を 行 った. 最 後 に, 上 記 3 つの 解 16

4-1:1 動 物, 複 数 時 点 のスパース データでのPKパラメータ 算 出 用 量 ID 1 時 間 2 時 間 4 時 間 8 時 間 12 時 間 24 時 間 D1 1 0.629. 2.038. 1.28. 10mg/kg 2 0.572. 2.431. 1.346. 3 0.366. 1.733. 1.386. 4 0.718. 4.979. 3.611. 5. 1.207. 1.377. 0.112 6. 0.639. 1.786. 0.288 7. 0.675. 1.088. 0.277 8. 0.861. 2.786. 0.269 D2 11 0.657. 6.012. 2.495. 20mg/kg 12 0.875. 4.125. 2.689. 13 0.614. 6.257. 1.965. 14 0.902. 5.356. 3.902. 15. 1.689. 3.695. 0.689 16. 1.515. 3.516. 0.918 17. 2.267. 4.074. 0.627 18. 1.706. 3.927. 0.937 24 まず,1 動 物, 複 数 時 点 のデータで PK パラメータの 推 定 を 行 った. 17

4-1:1 動 物, 複 数 時 点 のスパース データでのPKパラメータ 算 出 経 口 1-コンパートメントモデル pred = (beta i) * (-exp(-(ka*(time-t_lag))) + exp(-(ke*(time-t_lag))) ; 仮 定 動 物 間 で 薬 物 吸 収 速 度 定 数, 薬 物 消 失 速 度 定 数, 吸 収 時 間 が 同 じであ り, 分 布 容 積 及 びクリアランスが 異 なると 仮 定 する Beta= dose_x*ke*ka/cl/(ka-ke)として, 動 物 ごとに 異 なるBetaをモデル 中 に 設 定 する 25 薬 物 濃 度 は 経 口 1-コンパートメントモデルに 従 い, ka, ke, t_lag を 共 通 のパラメータとし, 動 物 間 で cl が 異 なると 仮 定 する. 4-1:1 動 物, 複 数 時 点 のスパース データでのPKパラメータ 算 出 Tmax,Cmax,AUCの 算 出 式 Tmax=(ln(ke)-ln(ka))/(ke-ka) Cmax=(-exp(-(ka*(Tmax -t_lag))) + exp(-(ke*(tmax -t_lag))) AUC = (beta i) * (ka-ke)/(ka*ke) Beta i= dose_x*ke*ka/cl/(ka-ke) 26 AUC 等 の PK パラメータは 上 記 の 式 によって 表 すことができる.1 動 物 あたりの AUC を 算 出 する 際 に はこの 式 を 利 用 した. 18

解 析 手 順 1: 初 期 値 入 力 2: 予 測 値 計 算 3: 残 差 平 方 和 を 計 算 4: 残 差 平 方 和 を 最 小 にするパラメータをExcel ソルバーで 求 める 解 析 手 順 を 以 下 に 示 す. 1: 初 期 値 入 力 2:モデルに 基 づいた 予 測 値 を 算 出 3: 実 測 値 と 予 測 値 から 残 差 平 方 和 を 算 出 4: 残 差 平 方 和 を 最 小 にするパラメータを Excel のソルバー 機 能 を 利 用 して 求 める 27 27 19

TK 3 時 点 使 用 の 場 合 のPKパラメータの 推 定 解 析 手 順 Excelファイル y 変 化 共 通 共 通 共 通 用 量 ID 1 2 4 8 12 24 b1 b2_ka b3_ke b4_lag Tmax Cmax AUC AUC 平 均 D1 1 0.629 2.038 1.28 15.30 0.2635 0.1778 0.7921 4.59 2.164 27.99 10mg/kg 2 0.572 2.431 1.346 17.55 0.2635 0.1778 0.7921 4.59 2.481 32.09 3 0.366 1.733 1.386 13.87 0.2635 0.1778 0.7921 4.59 1.962 25.38 4 0.718 4.979 3.611 38.42 0.2635 0.1778 0.7921 4.59 5.433 70.27 5 1.207 1.377 0.112 11.96 0.2635 0.1778 0.7921 4.59 1.692 21.88 6 0.639 1.786 0.288 12.39 0.2635 0.1778 0.7921 4.59 1.752 22.66 7 0.675 1.088 0.277 8.60 0.2635 0.1778 0.7921 4.59 1.216 15.73 8 0.861 2.786 0.269 18.75 0.2635 0.1778 0.7921 4.59 2.651 34.29 31.28 D2 11 0.657 6.012 2.495 40.17 0.2635 0.1778 0.7921 4.59 5.681 73.48 20mg/kg 12 0.875 4.125 2.689 31.03 0.2635 0.1778 0.7921 4.59 4.388 56.75 13 0.614 6.257 1.965 39.71 0.2635 0.1778 0.7921 4.59 5.615 72.62 14 0.902 5.356 3.902 41.47 0.2635 0.1778 0.7921 4.59 5.864 75.85 15 1.689 3.695 0.689 26.97 0.2635 0.1778 0.7921 4.59 3.814 49.32 16 1.515 3.516 0.918 25.50 0.2635 0.1778 0.7921 4.59 3.606 46.64 17 2.267 4.074 0.627 31.06 0.2635 0.1778 0.7921 4.59 4.392 56.81 18 1.706. 3.927 0.937 28.48 0.2635 0.1778 0.7921 4.59 4.027 52.08 60.44 S= 7.27521 y^ e D1 1 0.260 2.079 1.288 0.37-0.04-0.01 10mg/kg 2 0.299 2.384 1.476 0.27 0.05-0.13 3 0.236 1.885 1.167 0.13-0.15 0.22 4 0.654 5.220 3.232 0.06-0.24 0.38 5 0.949 1.530 0.167 0.26-0.15-0.05 6 0.983 1.585 0.173-0.34 0.20 0.12 7 0.682 1.100 0.120-0.01-0.01 0.16 8 1.487 2.398 0.261-0.63 0.39 0.01 D2 11 0.684 5.459 3.380-0.03 0.55-0.89 20mg/kg 12 0.528 4.216 2.611 0.35-0.09 0.08 13 0.676 5.395 3.341-0.06 0.86-1.38 14 0.706 5.635 3.489 0.20-0.28 0.41 15 2.140 3.450 0.376-0.45 0.25 0.31 16 2.023 3.262 0.355-0.51 0.25 0.56 17 2.464 3.973 0.433-0.20 0.10 0.19 18 2.259 3.643 0.397-0.55 0.28 0.54 28 Excel ソルバーを 用 いて, 残 差 平 方 和 が 最 小 になるように, 背 景 色 が 黄 色 のデータを 変 化 させる. 20

4-1:1 動 物, 複 数 時 点 のスパース データでのPKパラメータ 推 定 結 果 用 量 ID D1 1 10mg/kg 2 3 4 5 6 7 8 D2 11 20mg/kg 12 13 14 15 16 17 18 変 化 共 通 共 通 共 通 b1 b2_ka b3_ke b4_lag Tmax Cmax AUC AUC 平 均 16.31 0.2603 0.1800 0.7917 4.59 2.165 27.96 18.71 0.2603 0.1800 0.7917 4.59 2.482 32.06 14.79 0.2603 0.1800 0.7917 4.59 1.962 25.34 40.96 0.2603 0.1800 0.7917 4.59 5.436 70.19 12.75 0.2603 0.1800 0.7917 4.59 1.693 21.86 13.21 0.2603 0.1800 0.7917 4.59 1.753 22.64 9.17 0.2603 0.1800 0.7917 4.59 1.217 15.71 19.98 0.2603 0.1800 0.7917 4.59 2.652 34.25 31.25 42.83 0.2603 0.1800 0.7917 4.59 5.684 73.41 33.08 0.2603 0.1800 0.7917 4.59 4.390 56.69 42.34 0.2603 0.1800 0.7917 4.59 5.619 72.56 44.21 0.2603 0.1800 0.7917 4.59 5.867 75.77 28.74 0.2603 0.1800 0.7917 4.59 3.814 49.26 27.18 0.2603 0.1800 0.7917 4.59 3.607 46.58 33.10 0.2603 0.1800 0.7917 4.59 4.393 56.73 30.35 0.2603 0.1800 0.7917 4.59 4.028 52.01 60.38 29 PK パラメータの 推 定 結 果 を 示 す. 各 動 物 での PK パラメータと AUC などの 算 出 結 果 を 見 ると, 用 量 に 依 存 して, 各 投 与 群 で AUC の 平 均 値 が 増 加 していることがわかる. 21

4-2:1 動 物,1 時 点 のスパースデータ でのPKパラメータ 算 出 用 量 ID 1 時 間 2 時 間 4 時 間 8 時 間 12 時 間 24 時 間 D1 1 0.629. 2.038. 1.28. 10mg/kg 2 0.572. 2.431. 1.346. 3 0.366. 1.733. 1.386. 4 0.718. 4.979. 3.611. 5. 1.207. 1.377. 0.112 6. 0.639. 1.786. 0.288 7. 0.675. 1.088. 0.277 8. 0.861. 2.786. 0.269 D2 11 0.657. 6.012. 2.495. 20mg/kg 12 0.875. 4.125. 2.689. 13 0.614. 6.257. 1.965. 14 0.902. 5.356. 3.902. 15. 1.689. 3.695. 0.689 16. 1.515. 3.516. 0.918 17. 2.267. 4.074. 0.627 18. 1.706. 3.927. 0.937 30 次 に,1 動 物,1 時 点 のスパースデータでの PK パラメータ 算 出 を 行 った. 解 析 対 象 とするデータを, 色 をつけて 示 す. Q&A では, 解 析 対 象 とするデータの 選 び 方 が 恣 意 的 であるとの 指 摘 を 受 けた.データの 選 択 方 法 については 今 後 の 課 題 としたい. 22

4-2:1 動 物,1 時 点 のスパースデータ でのPKパラメータ 算 出 4-2-1: 共 通 のパラメータが 既 知 の 場 合 4-2-2: 共 通 のパラメータが 未 知 の 場 合 1 動 物,1 時 点 のデータで PK パラメータ 算 出 を 行 った. 薬 物 吸 収 速 度 定 数 :ka, 薬 物 消 失 速 度 定 数 :ke, 吸 収 時 間 :t_lag を 共 通 のパラ メータとした.これらのパラメータの 値 が 既 知 である 場 合 と 未 知 である 場 合 について 解 析 を 行 った. 31 31 4-2-1: 共 通 のパラメータが 既 知 の 場 合 強 い 仮 定 の 下 で, 非 線 形 最 小 2 乗 法 を 利 用 ka,ke,t_lagを 動 物 間 で 共 通 かつ 既 知 ( 4-1:1 動 物, 複 数 時 点 のスパースデータでのPKパ ラメータ 推 定 結 果 を 利 用 する) Beta iのみ 推 定 対 象 とする pred = (beta i) * (-exp(-(ka*(time-t_lag))) + exp(-(ke*(time-t_lag))) ; このモデルを 利 用 して, 残 差 平 方 和 が 最 小 となるパラメータを 探 索 する 32 ka, ke, t_lag を 共 通 の 既 知 パラメータとし, Beta i のみを 推 定 対 象 とした.このように 推 定 すべきパ ラメータの 数 を 絞 り 込 むことで, 少 ないデータであっても PK パラメータを 推 定 することができる. ただし, 現 実 に 解 析 する 際 には 事 前 に 薬 物 動 態 パラメータを 固 定 化 することは 稀 であるため, 強 い 仮 定 と 表 記 した. 23

4-2-1: 共 通 のパラメータが 既 知 の 場 合 TK データ 1 症 例 1 時 点 変 化 共 通 共 通 共 通 症 例 t y y^ e b1 b2_ka b3_ke b4_lag Tmax Cmax AUC AUC 平 均 1 1 0.629 0.629 0.000 39.37 0.2603 0.1800 0.7917 4.59 5.225 67.47 2 4 2.431 2.431 0.000 19.07 0.2603 0.1800 0.7917 4.59 2.531 32.68 3 12 1.386 1.386 0.000 17.56 0.2603 0.1800 0.7917 4.59 2.331 30.10 4 1 0.718 0.718 0.000 44.94 0.2603 0.1800 0.7917 4.59 5.964 77.02 5 2 1.207 1.207 0.000 16.22 0.2603 0.1800 0.7917 4.59 2.153 27.81 6 8 1.786 1.786 0.000 14.88 0.2603 0.1800 0.7917 4.59 1.974 25.49 7 24 0.277 0.277 0.000 21.38 0.2603 0.1800 0.7917 4.59 2.837 36.64 8 2 0.861 0.861 0.000 11.57 0.2603 0.1800 0.7917 4.59 1.536 19.84 39.63 11 1 0.657 0.657 0.000 41.12 0.2603 0.1800 0.7917 4.59 5.457 70.48 12 4 4.125 4.125 0.000 32.36 0.2603 0.1800 0.7917 4.59 4.294 55.46 13 12 1.965 1.965 0.000 24.90 0.2603 0.1800 0.7917 4.59 3.304 42.67 14 1 0.902 0.902 0.000 56.46 0.2603 0.1800 0.7917 4.59 7.492 96.76 15 2 1.689 1.689 0.000 22.70 0.2603 0.1800 0.7917 4.59 3.013 38.91 16 8 3.516 3.516 0.000 29.28 0.2603 0.1800 0.7917 4.59 3.886 50.19 17 24 0.627 0.627 0.000 48.39 0.2603 0.1800 0.7917 4.59 6.421 82.93 18 2 1.706 1.706 0.000 22.93 0.2603 0.1800 0.7917 4.59 3.043 39.30 59.59 33 背 景 色 が 黄 色 の 部 分 が Excel ソルバー 上 で 変 化 させ, 上 記 の 推 定 結 果 を 得 た. 24

4-2-1: 共 通 のパラメータが 既 知 の 場 合 推 定 結 果 変 化 共 通 共 通 共 通 b1 b2_ka b3_ke b4_lag Tmax Cmax AUC AUC 平 均 39.37 0.2603 0.1800 0.7917 4.59 5.225 67.47 19.07 0.2603 0.1800 0.7917 4.59 2.531 32.68 17.56 0.2603 0.1800 0.7917 4.59 2.331 30.10 44.94 0.2603 0.1800 0.7917 4.59 5.964 77.02 16.22 0.2603 0.1800 0.7917 4.59 2.153 27.81 14.88 0.2603 0.1800 0.7917 4.59 1.974 25.49 21.38 0.2603 0.1800 0.7917 4.59 2.837 36.64 11.57 0.2603 0.1800 0.7917 4.59 1.536 19.84 39.63 41.12 0.2603 0.1800 0.7917 4.59 5.457 70.48 32.36 0.2603 0.1800 0.7917 4.59 4.294 55.46 24.90 0.2603 0.1800 0.7917 4.59 3.304 42.67 56.46 0.2603 0.1800 0.7917 4.59 7.492 96.76 22.70 0.2603 0.1800 0.7917 4.59 3.013 38.91 29.28 0.2603 0.1800 0.7917 4.59 3.886 50.19 48.39 0.2603 0.1800 0.7917 4.59 6.421 82.93 22.93 0.2603 0.1800 0.7917 4.59 3.043 39.30 59.59 34 AUC 等 の 薬 物 動 態 パラメータが 推 定 できることがわかる. 25

4-2-2: 共 通 のパラメータが 未 知 の 場 合 取 得 データに 対 して 推 定 するパラメータが 多 い ため, 母 集 団 薬 物 動 態 パラメータ の 推 定 結 果 を 利 用 する pred = (beta i) * (-exp(-(ka*(time-t_lag))) + exp(-(ke*(time-t_lag))) ; 1 動 物 1 時 点 のデータを 投 与 群 ごとにまとめ, 薬 物 動 態 パラメータ(beta,ka,ke,t_lag)を 推 定 する これらの 推 定 結 果 を 母 集 団 薬 物 動 態 パラメータ とみなす その 後,Beta iのみ 推 定 対 象 とする 35 次 に, 共 通 のパラメータが 未 知 の 場 合 の 解 析 について 説 明 する. 取 得 したデータ(1 時 点,1 動 物 )に 対 して, 推 定 するパラメータが 多 いため, 母 集 団 薬 物 動 態 パラメータ の 推 定 結 果 を 利 用 する. 1 動 物 1 時 点 のデータを 投 与 群 ごとにまとめ, 薬 物 動 態 パラメータを 推 定 し,これらの 推 定 結 果 を 母 集 団 薬 物 動 態 パラメータ とみなす.その 後,Beta i のみを 推 定 対 象 とし, 推 定 を 行 う. 4-2-2: 共 通 のパラメータが 未 知 の 場 合 以 下 の 仮 定 を 設 定 した 1: 母 集 団 薬 物 動 態 パラメータ(ka,ke,t_lag)は 投 与 群 によらず 動 物 間 で 一 定 であること 2: 母 集 団 薬 物 動 態 パラメータは,Betaのみ 投 与 群 及 び 動 物 間 で 異 なる 36 26

4-2-2: 共 通 のパラメータが 未 知 の 場 合 母 集 団 薬 物 動 態 パラメータの 推 定 TK データ 1 症 例 1 時 点 症 例 t y1 y2 yhat1 yhat2 e1 e2 1,11 1 0.629 0.657 0.39 0.67 0.24-0.01 4,14 1 0.718 0.902 0.39 0.67 0.33 0.23 5,15 2 1.207 1.689 1.26 2.15-0.05-0.46 8,18 2 0.861 1.706 1.26 2.15-0.40-0.44 3 1.79 3.05 2,12 4 2.431 4.125 2.08 3.54 0.35 0.58 6 2.20 3.74 6,16 8 1.786 3.516 2.00 3.40-0.21 0.11 10 1.68 2.86 3,13 12 1.386 1.965 1.35 2.30 0.03-0.33 18 0.60 1.02 7,17 24 0.277 0.627 0.23 0.40 0.04 0.23 Si 0.50 0.98 S 計 1.48 初 期 値 投 与 群 1 投 与 群 2 症 例 1 症 例 2 b1 89.9930 153.0693 Tmax 4.84 4.84 Ka b2 0.2138 0.2138 Cmax 2.19 3.72 Ke b3 0.2000 0.2000 AUC 29.09 49.48 lag 0.6618 0.6618 37 投 与 群 ごとにデータをまとめて, 母 集 団 データを 構 成 した.このデータから, 動 物 間 で 共 通 とするパ ラメータを 推 定 した.この 方 法 を 適 用 するには 動 物 間 での 変 動 が 大 きくないことが 前 提 となる. 27

4-2-2: 共 通 のパラメータが 未 知 の 場 合 各 動 物 でのパラメータの 推 定 変 化 共 通 共 通 共 通 b1 b2_ka b3_ke b4_lag tmax Cmax AUC AUC 平 均 144.34 0.2138 0.2000 0.6618 4.84 3.511 46.66 105.11 0.2138 0.2000 0.6618 4.84 2.557 33.98 92.25 0.2138 0.2000 0.6618 4.84 2.244 29.82 164.76 0.2138 0.2000 0.6618 4.84 4.008 53.26 86.08 0.2138 0.2000 0.6618 4.84 2.094 27.83 80.34 0.2138 0.2000 0.6618 4.84 1.954 25.97 106.87 0.2138 0.2000 0.6618 4.84 2.600 34.55 61.41 0.2138 0.2000 0.6618 4.84 1.494 19.85 33.99 150.76 0.2138 0.2000 0.6618 4.84 3.668 48.74 178.36 0.2138 0.2000 0.6618 4.84 4.339 57.66 130.78 0.2138 0.2000 0.6618 4.84 3.182 42.28 206.98 0.2138 0.2000 0.6618 4.84 5.035 66.91 120.46 0.2138 0.2000 0.6618 4.84 2.930 38.94 158.15 0.2138 0.2000 0.6618 4.84 3.847 51.13 241.90 0.2138 0.2000 0.6618 4.84 5.885 78.20 121.67 0.2138 0.2000 0.6618 4.84 2.960 39.33 52.90 38 動 物 間 で 異 なるパラメータ b1 を 求 め,AUC 等 の 薬 物 動 態 パラメータを 推 定 した. 28

4-3:AUC 推 定 結 果 の 比 較 1 症 例 3 時 点 (4-1) 1 時 点 母 集 団 (4-2-1) 1 時 点 のみ(4-2-2) dose 症 例 AUC_a AUC_b AUC_c 10 1 27.96 67.47 46.66 10 2 32.06 32.68 33.98 10 3 25.34 30.10 29.82 10 4 70.19 77.02 53.26 10 5 21.86 27.81 27.83 10 6 22.64 25.49 25.97 10 7 15.71 36.64 34.55 10 8 34.25 19.84 19.85 平 均 31.25 39.63 33.99 標 準 偏 差 16.80 20.88 11.03 20 11 73.41 70.48 48.74 20 12 56.69 55.46 57.66 20 13 72.56 42.67 42.28 20 14 75.77 96.76 66.91 20 15 49.26 38.91 38.94 20 16 46.58 50.19 51.13 20 17 56.73 82.93 78.20 20 18 52.01 39.30 39.33 平 均 60.38 59.59 52.90 標 準 偏 差 11.75 21.63 14.00 AUCの 平 均 値 についてはあまり 大 きな 違 いは 見 られなかった 採 血 ポイントの 選 択 や 推 定 方 法 によって, 動 物 ごとのAUCの 推 定 値 は 大 きな 影 響 を 受 けることがわかった 39 最 後 に,それぞれの 方 法 で 算 出 した AUC を 比 較 する. 投 与 群 ごとの AUC の 平 均 値 については 大 き な 違 いが 見 られなかった. 一 方, 動 物 間 ごとの AUC の 推 定 値 は 採 血 ポイントの 選 択 や 推 定 方 法 によ って 大 きな 影 響 が 受 けることがわかった. 29

まとめ PKパラメータの 算 出 過 程 をExcelで 示 した スパースデータでも 強 い 仮 定 の 設 定 と 推 定 パ ラメータ 数 の 削 減 を 行 えば,PKパラメータの 推 定 が 可 能 であることを 示 した 本 発 表 では PK パラメータの 算 出 過 程 を Excel で 示 した.また,スパースデータでも 強 い 仮 定 の 設 定 と 推 定 すべきパラメータの 数 を 減 らせば,PK パラメータの 推 定 が 可 能 であ ることを 示 した. 40 40 考 察 今 回 の 解 析 では, 1 動 物 1 時 点 データと1 動 物 3 時 点 データから 得 られたAUC 推 定 値 について,1 部 の 動 物 については 大 きな 乖 離 ( 最 大 200% 程 度 )が 見 ら れた 真 値 に 近 い 推 定 値 を 得 るための 手 法 が 望 ま れる 解 析 計 画 時 にモデルの 設 定 を 行 うことが 重 要 である データに 対 して 推 定 すべきパラメータが 多 いため, 初 期 値 やモデルに 適 切 な 制 約 条 件 を 設 定 しなけれ ば 収 束 解 を 得 られなかった 41 41 今 回 の 解 析 では,1 動 物 1 時 点 のデータと 1 動 物 3 時 点 のデータから 得 られた AUC 推 定 値 について 1 部 の 動 物 については 大 きな 乖 離 ( 最 大 200% 程 度 )が 見 られた. 真 値 に 近 い 推 定 値 を 得 るための 手 法 が 望 まれる. 解 析 計 画 時 にモデルの 設 定 を 行 うことが 重 要 である.データに 対 して, 推 定 すべきパラ メータが 多 いため, 初 期 値 やモデルには 適 切 な 制 約 条 件 が 必 要 である. また, どの 時 点 でデータを 測 定 するか? と いうことが 重 要 となる. 解 析 方 針 に 応 じて, 吸 収 相 もしくは 消 失 相 のいずれかに 着 目 すれば, 推 定 対 象 となるパラメータの 数 を 絞 り 込 め, 推 定 結 果 も 安 定 するだろう. 30

参 考 文 献 高 橋 行 雄 非 線 型 ランダム 係 数 モデルの 活 用 第 20 回 日 本 SASユーザー 会 総 会 およ び 研 究 発 表 会 論 文 集 P.143 2001 42 31