カイ 二 乗 検 定 ( 頻 度, 回 数, 人 数 などの 相 違 ) 使 用 目 的 : 頻 度, 回 数, 人 数 などの 質 的 データ( 名 義 尺 度 )の 相 違 を 調 べる 例 えば, 携 帯 電 話 を 持 っていますか? という 質 問 を 100 名 に Yes か No で 答 えてもらうと, 以 下 のような 集 計 結 果 が 得 られたとします 人 数 持 っている 93 持 っていない 7 合 計 100 このような 場 合,カイ 二 乗 (χ ) 検 定 を 使 います 英 語 では Chi-square test といいます その 他 にも,あるコーパスにおける labor という 語 の 頻 度 が, 期 待 されるよりも 多 いか 少 ないかなど ということを 統 計 的 に 明 らかにすることができます どういうことを 具 体 的 にやっているかというと, 実 際 の 回 答 の 数 ( 実 測 値 )が, 割 合 として 期 待 され る 回 答 の 数 ( 期 待 値 )とどれほど 違 っているのかを 調 べていると 考 えるとわかりやすいでしょう 例 えば, 上 の 携 帯 電 話 の 例 では, 持 っているか, 持 っていないかという つのカテゴリーに 対 して,100 人 の 回 答 者 がいたので, 期 待 値 は 100 = 50 となります この 期 待 値 と 実 際 の 回 答 である 実 測 値 と どれだけずれているかをカイ 二 乗 (χ ) 検 定 を 使 い 確 認 します 1. サンプルが1つの 場 合 ( 適 合 度 検 定 ) 人 数 好 き 5 ふつう 38 嫌 い 18 計 81 例 中 学 年 生 の クラスで 英 語 が 好 きですか? という 質 問 に 対 して, 好 き ふつう きらい という 3 つのどれかに 回 答 する という 調 査 をしました 回 答 を 集 計 したとこと 左 の 表 のような 結 果 になりました この 回 答 は 統 計 的 にどのような 意 味 をもっているのでしょうか? 1.1. Excel を 使 って 分 析 する まずは 左 のように, 実 際 の 回 答 をまとめた 隣 に 期 待 値 を 計 算 して 入 力 します このデータの 場 合 の 期 待 値 は,81( 合 計 人 数 ) 3(カテゴリー)で 7 となり,1つのセルに つき,7 という 数 字 が 入 ります 1
はじめにカイ 二 乗 (χ )の 有 意 水 準 を 計 算 します 関 数 の 挿 入 関 数 関 数 の 分 類 (C): の 中 の 統 計 CHITEST を 選 ぶ 以 下 のような 画 面 になるので, 実 測 値 範 囲 には 人 数 の 列 ( 以 下 では B3 から B5)を 選 択 し, 期 待 値 範 囲 は 期 待 値 と 書 いている 列 ( 以 下 では C3 から C5)を 選 択 する あとでわかりやすいように, 確 率 (p)などと 書 いておきます 次 に,χ (カイ 二 乗 ) 値 を 求 めます 確 率 (p)と 書 いてある 下 にχ とでも 書 いておきましょう 再 び 関 数 の 挿 入 から, 関 数 関 数 の 分 類 (C): の 中 の 統 計 CHINV を 選 ぶ
確 率 は 先 ほど CHITEST 関 数 で 求 めたセルを 選 びます( 以 下 の 例 では C9) そして 自 由 度 は, 3(カテゴリー 数 )-1 なので と 入 力 します 以 下 のようにχ 値 が 出 力 されれば 完 成 です 結 果 の 報 告 ある 中 学 校 の 年 生 の クラスで 英 語 に 対 する 意 識 を, 好 き ふつう きらい という 3 つのど れかに 回 答 するという 調 査 を 行 った その 結 果,χ () = 7.63, p <.05 で 回 答 には 有 意 差 が 認 められた 3
1.. SPSS を 使 って 分 析 する SPSS を 使 った 分 析 では 以 下 のように 一 人 ずつの 回 答 を 1= 好 き, =ふつう, 3= 嫌 い という 形 で 打 ち 込 んだものが 必 要 です Excel で 入 力 したデータをドラッグ&ドロップで SPSS に 移 せば,か なり 楽 です SPSS の 変 数 ビュー をクリックして, 値 ラベルを 選 択 して, 1= 好 き, =ふつう, 3= 嫌 い というラベルをつけます 以 下 の 画 面 で 値 に 1, ラ ベ ル を 好 き と し て 追 加, 同 様 に も ふつう, 3 は 嫌 い と 入 力 して 追 加 したら, OK をクリック 4
以 下 の 画 面 に 戻 ったら, 測 定 の 尺 度 を 名 義 に 変 更 しておきましょう 分 析 ノンパラメトリック 検 定 カイ 乗 を 選 ぶ 以 下 のような 画 面 が 出 てくるので, 回 答 をクリックして, 検 定 変 数 リスト へ 移 動 させて OK 結 果 の 報 告 ある 中 学 校 の 年 生 の クラスで 英 語 に 対 する 意 識 を, 好 き ふつう きらい という 3 つのどれかに 回 答 するという 調 査 を 行 った その 結 果,χ () = 7.63, p <.05 で 回 答 には 有 意 差 が 認 められた 5
. サンプルが つ 以 上 の 場 合 ( 独 立 性 の 検 定 ) Source: Davies, M. (007). Paralinguistic focus on form. TESOL Quarterly, 40, 841-855. 例 コミュニカティブな 指 導 法 の 中 で,Focus on Form( 言 語 形 式 の 焦 点 化 )と 呼 ばれるフィードバック の 方 法 があります Focus on Form では, 会 話 の 流 れを 止 めることなく, 学 習 者 に 間 違 いを 気 づかせ て(もしくは 気 づかせずに) 訂 正 させる 指 導 を 行 います この Focus on Form がジェスチャーを 交 えることによって,いかに 効 果 的 になるかという 研 究 を 行 い ました 4 クラスで 5 週 間 に 渡 り,ジェスチャーを 交 えた 指 導 を 行 った 中 で, 学 習 者 がフィードバック で 訂 正 された 正 しい 文 章 を uptake( 繰 り 返 した) 回 数 と,uptake することなく, 話 が 続 いた 回 数 をビ デオ 撮 影 で 振 り 返 ってカウントしました それをまとめたものが 上 の 表 です 表 を 見 てみると,ジェス チャーを 交 えたほうが,uptake が 起 こりやすかったようです(35 回 ).1. Excel を 使 って 分 析 する 以 下 のような 分 割 表 のときには, 式 1 の 形 になるように 計 算 すればχ 値 を 出 すことができます B 1 B 合 計 A 1 a b n 1 A c d n 合 計 m 1 m N ( ad - bc) N χ = ( 式 1) n 1 n m 1 m 詳 しい 計 算 はファイルの 方 を 見 てチェックしましょう 6
χ 値 ( 以 下 の 例 では 19.53)が 計 算 されたセルの 隣 に, 有 意 確 率 を 計 算 します 関 数 の 挿 入 統 計 の 中 の CHIDIST を 選 択 します X には 先 ほど 計 算 したχ 値 を 入 れます ( 上 の 例 では I8 のセル) 自 由 度 は(-1)で 1 にします 完 成 イエーツの 補 正 今 回 の 例 のような 型 のカイ 二 乗 検 定 では,(1) データ 数 が 少 ないときと,() セルの 中 に 5 より 小 さい 実 測 値 がある 場 合 には イエーツの 補 正 (Yates correction)を 用 いた 方 が 良 いとされます 今 回 は With pf(ジェスチャーあり)の topic cont( 話 が 続 いた 回 数 )のセルに 7 という 頻 度 がありますの で, 出 典 の 論 文 ではイエーツの 補 正 を 行 ったものを 結 果 として 挙 げています イエーツの 補 正 は 式 の 中 に(-N/)が 入 っているだけですが, 以 下 の 式 に 書 いているものです χ = ( 式 ) 1 N ad - bc n n m 1 N m 7
イエーツの 補 正 を 行 ったχ 値 と 有 意 確 率 を 以 下 では 求 めていますが,どのような 式 になっているかは Excel ファイルを 確 認 してみましょう 前 ページと 同 じように, 関 数 の 挿 入 統 計 の 中 の CHIDIST を 選 択 します 完 成 結 果 の 報 告 ジェスチャーを 交 えたフィードバックにおいて, 学 習 者 がフィードバックで 訂 正 された 正 しい 文 章 を uptake( 繰 り 返 した) 回 数 と,uptake することなく, 話 が 続 いた 回 数 をまとめたものが 上 の 表 である これらの 差 をイエーツの 補 正 を 用 いたカイ 二 乗 検 定 で 分 析 したところ,χ (1) = 17.66, p <.01 という 結 果 となり,ジェスチャーがあるときとないときでは 正 しい 文 章 を uptake する 回 数 が 異 なるかもしれな いということが 明 らかになった 8
.. SPSS を 使 って 分 析 する SPSS を 使 った 分 析 では 以 下 のように 一 人 ずつの 回 答 をフィードバックの 種 類 では 0=No pf(ジェス チャーなし), 1=With pf(ジェスチャーあり) とし, 生 徒 の 反 応 では 1=uptake( 正 しい 文 を 繰 り 返 した), =topic cont( 話 が 続 いた) という 形 で 打 ち 込 んだものが 必 要 です Excel で 入 力 したデータをドラッグ&ドロップで SPSS に 移 せば,かなり 楽 です SPSS の 変 数 ビュー をクリックして,フィードバックの 種 類 の 値 ラベルを 選 択 して, 0=No pf(ジ ェスチャーなし), 1=With pf(ジェスチャーあり) というラベルをつけます 9
以 下 の 画 面 で 値 に 0, ラ ベ ル を No pf(ジェスチャーなし) として 追 加, 同 様 に 1 も With pf(ジェスチャーあり) と 入 力 して 追 加 したら, OK をクリック もう 一 度 以 下 の 画 面 に 戻 ったら, 生 徒 の 反 応 の 値 ラベルを 選 択 して, 1=uptake( 正 しい 文 を 繰 り 返 し た), =topic cont( 話 が 続 いた) というラベルをつけます 両 方 名 義 になっていることを 確 認 しましょう 値 に 1, ラ ベ ル を uptake( 正 しい 文 を 繰 り 返 した) として 追 加, 同 様 に も topic cont( 話 が 続 いた) と 入 力 して 追 加 したら, OK をクリック 10
データビュー をクリックして, 以 下 のような 並 びになっていることを 確 認 してみよう 分 析 記 述 統 計 クロス 集 計 表 を 選 ぶ 以 下 の 画 面 になったら, フィードバックの 種 類 を 行 のボックスへ 移 動 し, 生 徒 の 反 応 を 列 に 移 動 して 統 計 をクリック 11
以 下 の 画 面 が 現 れたら, カイ 乗 にチェックを 入 れて, 続 行 をクリック ここで,ファイと Cramer の V にチェックを 入 れておけば, 効 果 量 が 計 算 されます この 画 面 に 戻 ったら, セル をクリックして, 調 整 済 みの 標 準 化 にチェックを 入 れて 続 行 これで OK を 押 せば 結 果 が 出 力 される 1
以 下 は 結 果 が 出 力 されたものです 調 整 済 み 残 差 は カイ 二 乗 検 定 の 結 果, 有 意 な 関 係 が 見 られたときに, どのセルが 関 係 をもたら しているかを 特 定 するた めの 残 差 分 析 (residual analysis)の 結 果 です ±1.96 以 上 であれば,そ のセルが 影 響 があるとい うことになると 考 えられ ます 左 の 結 果 では,すべ てのセルが 大 きな 影 響 を 持 っていることがわかり ます カイ 二 乗 のχ 値 と 有 意 確 率 は Pearson のカイ 乗 の 部 分 を 確 認 する 連 続 修 正 はイエーツの 補 正 を 行 ったχ 値 を 示 している(Excel の 結 果 と 少 し 違 うが, 有 意 確 率 は 同 じになっている) ちなみに, Fisher の 直 接 法 は 正 式 には フィッシャーの 正 確 確 率 検 定 と 呼 ばれるものです (1) セ ルの 中 に 0 に 近 い 値 があるときや,() 期 待 値 が 5 より 小 さいとき,もしくは(3) 合 計 のセルである 周 辺 度 数 が 10 以 下 程 度 の 小 さな 値 のときに 用 いるとされています 結 果 の 報 告 実 測 値 uptake topic cont 合 計 No pf (ジェスチャーなし) 17 9 46 With pf (ジェスチャーあり) 35 7 4 合 計 5 36 88 ジェスチャーを 交 えたフィードバックにおいて, 学 習 者 がフィードバックで 訂 正 された 正 しい 文 章 を uptake( 繰 り 返 した) 回 数 と,uptake することなく, 話 が 続 いた 回 数 をまとめたものが 上 の 表 である これらの 差 をイエーツの 補 正 を 用 いたカイ 二 乗 検 定 で 分 析 したところ,χ (1) = 17.66, p <.01 という 結 果 となり,ジェスチャーがあるときとないときでは 正 しい 文 章 を uptake する 回 数 が 異 なるかもしれな いということが 明 らかになった 13