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スポーツ 産 業 学 研 究,Vol.25,No.1(2015),155 ~ 161. 155 アジアサッカーにおける 代 表 成 績 とクラブ 成 績 との 関 係 に 関 する 研 究 * 杉 原 海 太 久 保 谷 友 哉 平 田 竹 男 政 本 晶 生 Study on the Relationship between Performance of the National Team and That of Clubs in Asian Football Kaita SUGIHARA *, Takeo HIRATA, Akio MASAMOTO and Tomoya KUBOTANI Abstract The purpose of this paper is to discuss, in regard to Asian football teams, the question of whether improvement of club top team performance is a useful way to influence that of the senior national team s performance, by analyzing the linkage between the performance of the national team and that of club teams. This paper examines the linkage between team performances for the 32 member associations of the AFC, which participated in the AFC Champions League, AFC Cup, and the AFC President s Cup between 2010 and 2013, by using correlation analysis and single regression analysis. Results show that a correlation between performance of the national team and that of club teams is proved among the member associations participating in the AFC Cup and the AFC President s Cup, while it is not proved among the member associations participating the AFC Champions League. It indicates that strengthening club football is a useful way to strengthen the national team; specifically among the member associations participating in the AFC Cup and AFC President s Cup. Key words : Asian Football, National Team, Club, Performance 1. 緒 言 2014 年 FIFAワールドカップ 本 大 会 はドイツ の 優 勝 で 幕 を 閉 じたが, 日 本 を 含 めたアジアの 代 表 チームは 全 てグループステージを 突 破 でき ず, 日 本 と 韓 国 がグループステージ 突 破 を 果 たした2010 年 大 会 に 比 べると 残 念 な 結 果 に 終 わった.それを 受 けてアジアサッカー 連 盟 ( 以 下,AFC) のShaikh Salman bin Ebrahim Al Khalifa 会 長 は 我 々(アジアの 国 々)はレベ ルアップしなければならない 1) と 語 っている. では, 代 表 チームのレベルアップにはどのよ うな 施 策 が 必 要 となるのであろうか? 近 年 日 本 のクラブはAFCチャンピオンズリーグ( 以 下,ACL)において 苦 戦 しているが, 日 本 サッ カー 協 会 の 原 専 務 理 事 は 代 表 を 強 くするには, 原 稿 受 付 2014 年 10 月 22 日 原 稿 受 諾 2015 年 1 月 29 日 * FIFA コンサルタント 120-0025 東 京 都 足 立 区 千 住 東 2-20-12-1109 早 稲 田 大 学 大 学 院 スポーツ 科 学 研 究 科 169-0051 東 京 都 新 宿 区 西 早 稲 田 1-6-1 * FIFA Consultant, 2-20-12-1109, Senjuazuma, Adachi-ku, Tokyo, Japan (120-0025) Graduate School of Sport Sciences, Waseda University, 1-6-1, Nishi-Waseda, Shinjuku-ku, Tokyo, Japan (169-0051)

156 クラブ 成 績 が 代 表 成 績 に 及 ぼす 影 響 国 内 リーグのレベルを 上 げていかないといけな い.ACLでなかなか 結 果 が 出 せないのに, 代 表 だけは 勝 ってくださいというのも 難 しい 話 だ し 2) とコメントしている.このコメントから は, 原 専 務 理 事 が 年 齢 制 限 の 無 い 日 本 代 表 チー ムの 成 績 ( 以 下, 代 表 成 績 )とクラブにおける トップチームの 成 績 ( 以 下,クラブ 成 績 )に 関 連 があると 考 えている 事 が 伺 える.なお 上 記 に おいては, 日 本 サッカー 協 会 の JFA Jリー グ サッカー 用 語 集 3) における Jクラブ(ま たはクラブ) に 記 載 されている Jリーグの 各 クラブ.Jリーグに 所 属 する,サッカーを 専 門 とする 運 営 会 社. チーム は,Jクラブが 有 するトップ,サテライト,ユース,ジュニア 等 のそれぞれのチームを 指 すもので,クラブと は 異 なる との 解 釈 に 従 い, 運 営 会 社 としての クラブと 大 会 に 参 加 する 主 体 としてのチームを 区 別 して 用 いており, 以 下 においても 同 様 とす る. 実 際 に 隣 国 の 韓 国 は, 代 表 チームは1986 年 以 降 8 大 会 連 続 でFIFAワールドカップ 本 大 会 に 出 場 し,クラブもACLがスタートした2002 年 以 降,2006 年 2009 年 2010 年 2012 年 に 優 勝, 2004 年 2011 年 に 準 優 勝,と 安 定 して 好 成 績 を 収 めている.その 一 方 で, 例 えば2006 年 から3 大 会 連 続 で 本 大 会 出 場 を 果 たしているオースト ラリアは,2014 年 にウェスタン シドニー ワ ンダラーズが 決 勝 進 出 を 果 たした 以 外 は, 日 本 と 同 様 にACLで 目 立 った 成 績 を 収 めていない. AFCはアジアにおけるサッカー 強 豪 協 会 のク ラブだけが 参 加 するACLに 加 えて,アジアに おけるサッカー 中 堅 協 会 のクラブだけが 参 加 す るAFCカップ( 以 下,AFCC) 及 びアジアに おけるサッカー 弱 小 協 会 のクラブだけが 参 加 するAFCプレジデンツカップ( 以 下,AFCP. 2014 年 大 会 をもって 終 了 )も 開 催 しているが, AFCCにおいても 代 表 成 績 とクラブ 成 績 に 関 連 が 見 受 けられるケースと 見 受 けられないケース の 両 方 が 見 られる.クウェートのクラブは2009 年,2012 年 2014 年 に 優 勝,2010 年 2011 年 に 準 優 勝 とAFCCで 近 年 圧 倒 的 な 強 さを 見 せてい るが,クウェート 代 表 チームは2010 年 ワールド カップアジア 予 選 2014 年 ワールドカップアジ ア 予 選 の 両 方 で 最 終 予 選 に 勝 ち 進 めなかった. またその 一 方 で,バーレーンのクラブは2006 年 に 準 優 勝,2008 年 に 優 勝 と 好 成 績 を 収 め,バー レーン 代 表 チームも2010 年 ワールドカップアジ ア 予 選 において 大 陸 間 プレーオフまで 勝 ち 進 み,ワールドカップ 本 大 会 出 場 まであと1 歩 と 迫 った. この 様 に 代 表 成 績 とクラブ 成 績 に 関 連 が 見 受 けられるケースと 見 受 けられないケースの 両 方 が 見 られる 中, 代 表 成 績 とクラブ 成 績 の 関 連 を 統 計 学 的 に 明 らかにする 事 は,クラブのトップ チームが 好 成 績 を 収 める 為 の 施 策 ( 以 下,クラ ブ 強 化 )が, 年 齢 制 限 の 無 い 代 表 チームが 好 成 績 を 収 める 為 の 施 策 ( 以 下, 代 表 強 化 )の1つ と 成 り 得 るか,という 点 における 示 唆 が 期 待 で きる. 代 表 成 績 に 影 響 を 及 ぼす 要 因 に 関 する 過 去 の 研 究 を 見 ると, 世 界 76の 国 地 域 に 関 して, FIFAランキングにおけるポイントと1 人 当 た りGDP, 年 間 平 均 気 温, 世 界 人 口 に 占 める 当 該 国 地 域 の 人 口 割 合,ラテン 系 の 国 家 地 域 か 否 か,といった 主 に 社 会 的 文 化 的 要 因 との 関 連 を 分 析 したHoffmannら 4) や, 世 界 178の 国 地 域 に 関 して,FIFAランキング 及 びFIFAラン キングにおけるポイントと 複 数 の 社 会 的 政 治 的 要 因 ( 国 民 1 人 あたりGDP, 人 口,Freedom house reportにおける 自 由 度 指 数, 共 産 主 義 及 び 旧 共 産 主 義 国 家 であるか 否 か,OECDメン バーであるか 否 か, 産 油 国 か 否 か, 旧 植 民 地 国 であるか 否 か, 等 ) 及 び 複 数 のサッカー 的 要 因 ( 大 陸 連 盟 主 催 のクラブチャンピオンシッ プにおいて 準 々 決 勝 に 進 出 している 当 該 国 ク ラブ 数, 等 )との 関 連 を 分 析 したLeedsら 5), 2006 年 FIFAワールドカップ 本 大 会 に 出 場 した 32の 国 地 域 に 関 して,サッカー 選 手 の 国 際 移 籍 と 代 表 チームの 成 績 の 関 連 を 分 析 し, 国 際 移 籍 が 活 発 な 国 地 域 の 代 表 チームが 好 成 績 を 残 している 事 を 明 らかにしたBaurら 6) が 存 在 す るが,これらの 先 行 研 究 において 分 析 対 象 の 多 くは 社 会 的 文 化 的 政 治 的 要 因 と 代 表 成 績 と

スポーツ 産 業 学 研 究,Vol.25,No.1(2015),155 ~ 161. 157 の 関 連 である.これらの 要 因 は, 関 連 を 示 す 事 ができたとしても, 協 会 の 施 策 により 解 決 する 事 は 難 しい 要 因 である.その 中 で, 協 会 の 施 策 により 解 決 が 可 能 と 考 えられる, 代 表 成 績 とク ラブ 成 績 の 関 連 がLeedsら 4) の 研 究 において 触 れられているが,Leedsら 5) はACLを 含 めた 大 陸 連 盟 主 催 のクラブチャンピオンシップにおい て 準 々 決 勝 に 進 出 している 当 該 国 クラブ 数 との 関 連 を 分 析 し,アジアにおいて 関 連 は 見 られな いと 結 論 付 けている. しかし,Leedsら 5) の 研 究 はAFCCやAFCP を 分 析 対 象 外 としACLのみを 分 析 対 象 として おり,その 為 上 記 の 結 論 はアジアにおける 全 般 的 な 傾 向 を 示 しているとは 言 えない 可 能 性 があ る.また 分 析 データも2006 年 大 会 の 成 績 のみを 対 象 としており, 上 記 の 結 論 は2006 年 におけ る 傾 向 としか 言 えない 可 能 性 もある. 加 えて, 準 々 決 勝 に 進 出 している 東 アジアのチームは 準 々 決 勝 に 進 出 している 西 アジアのチームより 強 く, 準 決 勝 に 至 るまで 東 アジアのクラブと 西 アジアのクラブが 対 戦 しないフォーマットであ るACLにおいては, 準 々 決 勝 進 出 する 意 義 が, 大 陸 連 盟 主 催 のクラブチャンピオンシップに 比 べ 小 さい 可 能 性 がある と 考 察 しているが,そ の 根 拠 となる 事 実 は 示 されておらず, 実 際 に 東 アジアのクラブ 対 西 アジアのクラブの 対 戦 と なった2006 年 ACL 決 勝 は3 対 2と 接 戦 になっ ており, 主 観 的 な 考 察 である 可 能 性 がある. そこで, 本 研 究 では,AFC 加 盟 協 会 におけ るサッカー 代 表 チームの 成 績 と 当 該 協 会 におけ るクラブのACL,AFCC,AFCPでの 成 績 との 関 係 について 統 計 的 に 明 らかにし,アジアにお いてクラブ 強 化 が 代 表 強 化 に 繋 がる 有 効 な 施 策 の1つと 成 り 得 るか 考 察 を 行 う 事 を 目 的 とす る. 2. 研 究 手 法 2.1 分 析 対 象 本 研 究 では, 代 表 チームの 試 合 が4 年 周 期 で スケジュールされている 事 を 考 慮 し,ACLに 参 加 するAFC 加 盟 協 会 のサッカー 代 表 チーム の 成 績 ( 以 下, 代 表 成 績 )として,2010 年 から 2013 年 の4 年 間 の 成 績 を 対 象 とした. また 当 該 協 会 におけるクラブのACL, AFCC,AFCPでの 成 績 ( 以 下,クラブ 成 績 ) に 関 しても 同 様 に,2010 年 から2013 年 の4 年 間 の 成 績 を 対 象 とした. 分 析 対 象 となる 加 盟 協 会 は,2010 年 から2013 年 の 間 に 開 催 されたACL,AFCC,AFCPの 何 れかに 参 加 した 延 べクラブ 数 が4 以 上 である32 加 盟 協 会 とした.なおウズベキスタンはAFCC もACLも 参 加 しているが, 延 べクラブ 数 がよ り 多 いACL 参 加 加 盟 協 会 として 扱 った. 2.2 分 析 データ 代 表 成 績 については,FIFA 公 式 サイト 内 の FIFA/Coca-Cola World Ranking 7) において 2013 年 12 月 19 日 付 に 発 表 されたランキングを 基 に,ACL 参 加 加 盟 協 会 におけるランキング( 以 下,ACL 内 FIFA Ranking),AFCC 参 加 加 盟 協 会 におけるランキング( 以 下,AFCC 内 FIFA Ranking),AFCP 参 加 加 盟 協 会 におけるラン キング( 以 下,AFCP 内 FIFA Ranking)を 用 いる.なおFIFA/Coca-Cola World Rankingは, 過 去 4 年 間 の 代 表 チームの 試 合 結 果 に 基 づき 算 出 されたポイントを 基 に 決 定 されている. クラブ 成 績 に 関 しては,ヨーロッパ 大 陸 連 盟 ( 以 下,UEFA)が 用 いているUEFAチャンピ オンズリーグにおける 協 会 係 数 の 算 出 方 法 8) を 基 に,ACL Point,AFCC Point,AFCP Point の 算 出 方 法 を 定 義 し, 算 出 されたポイントを 基 に ACL Ranking,AFCC Ranking,AFCP Rankingを 求 め,クラブ 成 績 とする. 具 体 的 に は,まずACL,AFCC,AFCPにおいて 勝 利 し たクラブは2ポイント 獲 得 し, 引 き 分 けたク ラブは1ポイント 獲 得 し, 負 けたクラブは 獲 得 ポイント 無 しとする. 次 に, 協 会 毎 に, 当 該 クラブの2010 年 から2013 年 のACL,AFCC, AFCPにおける 成 績 に 基 づき 獲 得 ポイントを 集 計 し,それを 延 べ 参 加 クラブ 数 で 除 した 値 を そ れ ぞ れACL Point,AFCC Point,AFCP Pointとする( 小 数 点 以 下 は 四 捨 五 入 ). 最 後 に,

158 クラブ 成 績 が 代 表 成 績 に 及 ぼす 影 響 ACL Point,AFCC Point,AFCP Pointに 基 づ き,ACL Ranking,AFCC Ranking,AFCP Rankingを 算 出 する. Leedsら 5) はACLを 含 めた 大 陸 連 盟 主 催 のク ラブチャンピオンシップにおいて 準 々 決 勝 に 進 出 している 当 該 国 クラブ 数 との 関 連 を 分 析 して いるが,2010 年 から2013 年 のACLにおいては 協 会 毎 の 参 加 クラブ 数 が 異 なる 為, 本 研 究 にお いては 不 適 当 であるとした. なお 当 該 期 間 のACL,AFCC,AFCPにおけ る 試 合 結 果 に 関 しては,AFC 公 式 サイトには データが 存 在 しない 為,SOCCERWAY(http: //int.soccerway.com/) 9) を 参 照 した. 2.3 分 析 手 法 各 協 会 の 代 表 成 績 とクラブ 成 績 との 関 係 を 検 証 するために, 相 関 分 析 及 び 単 回 帰 分 析 を 行 っ た. 相 関 分 析 に 関 しては, 浦 和 レッドダイヤモ ンズにおける 順 位, 観 客 数, 営 業 収 入 等 の 相 関 を 分 析 した 平 田 ら 10) でも 用 いられているス ピアマンの 順 位 相 関 係 数 を 用 い,ACL 内 FIFA RankingとACL Ranking,AFCC 内 FIFA RankingとAFCC Ranking, 及 びAFCP 内 FIFA RankingとAFCP Rankingに 関 して 分 析 を 行 っ た. また, 単 回 帰 分 析 に 関 しては,ACL 内 FIFA Ranking( 従 属 変 数 )とACL Ranking( 独 立 変 数 ),AFCC 内 FIFA Ranking( 従 属 変 数 ) とAFCC Ranking( 独 立 変 数 ), 及 びAFCP 内 FIFA Ranking( 従 属 変 数 )とAFCP Ranking( 独 立 変 数 )に 関 して 分 析 を 行 った. なお, 相 関 分 析 及 び 回 帰 分 析 を 行 うにあたっ ては,IBM SPSS Statistics 19を 用 いた. 3. 研 究 結 果 表 1に 当 該 加 盟 協 会 におけるACL 内 FIFA Ranking 及 びACL Ranking, 表 2に 当 該 加 盟 協 会 におけるAFCC 内 FIFA Ranking 及 びAFCC Ranking, 表 3に 当 該 加 盟 協 会 におけるAFCP 内 FIFA Ranking 及 びAFCP Rankingを 示 した. これらのデータが 相 関 分 析 及 び 単 回 帰 分 析 の 入 力 データとなっている. 相 関 分 析 及 び 単 回 帰 分 析 により 算 出 されたス ピアマンの 順 位 相 関 係 数 及 び 決 定 係 数 を 表 4に 示 す. ACL 内 FIFA RankingとACL Rankingに 関 し ては,スピアマンの 順 位 相 関 係 数 は0.333となり 有 意 ではなく,AFCC 内 FIFA RankingとAFCC Rankingに 関 してはスピアマンの 順 位 相 関 係 数 表 1 当 該 加 盟 協 会 におけるACL 内 FIFA Ranking 及 びACL Ranking 加 盟 協 会 ACL 内 ACL FIFA Ranking Ranking Korea Republic 3 1 Saudi Arabia 7 2 Iran 1 3 Japan 2 4 Qatar 9 5 Uzbekistan 5 6 China PR 8 7 Australia 4 8 United Arab Emirates 6 9 表 2 当 該 加 盟 協 会 におけるAFCC 内 FIFA Ranking 及 びAFCC Ranking 加 盟 協 会 AFCC 内 AFCC FIFA Ranking Ranking Thailand 10 1 Kuwait 3 2 Iraq 4 3 Jordan 1 4 Syria 6 5 Vietnam 9 6 Malaysia 12 7 Indonesia 14 8 Hong Kong 8 9 Lebanon 5 10 Myanmar 7 11 Oman 2 12 Singapore 11 13 Maldives 15 14 India 13 15 Yemen 16 16

スポーツ 産 業 学 研 究,Vol.25,No.1(2015),155 ~ 161. 159 表 3 当 該 加 盟 協 会 におけるAFCP 内 FIFA Ranking 及 びAFCP Ranking 加 盟 協 会 AFCP 内 AFCP FIFA Ranking Ranking Kyrgyzstan 2 1 Chinese Taipei 3 2 Turkmenistan 1 3 Cambodia 6 4 Pakistan 5 5 Nepal 4 6 Bhutan 7 7 は0.538となり5% 水 準 で 有 意,AFCP 内 FIFA RankingとAFCP Rankingに 関 してはスピアマ ンの 順 位 相 関 係 数 は0.750となり10% 水 準 で 有 意,となった. 単 回 帰 分 析 の 結 果,ACL 内 FIFA Ranking とACL Rankingに 関 しての 決 定 係 数 は0.111, AFCC 内 FIFA Rankingと AFCC Rankingに 関 し て の 決 定 係 数 は0.290,AFCP 内 FIFA RankingとAFCP Rankingに 関 しての 決 定 係 数 は0.563であった. これらの 結 果 から,AFCCとAFCPに 関 して は 代 表 成 績 とクラブ 成 績 の 間 に 相 関 が 存 在 する 一 方,ACLに 関 しては 相 関 が 存 在 しない 事 が わかった. 表 5に 当 該 加 盟 協 会 におけるACL 内 FIFA Ranking,ACL Ranking, 及 び 残 差 を 示 す. 決 定 係 数 が 最 も 小 さ いACL 内 FIFA Rankingと ACL Rankingに 関 して 更 に 詳 細 な 傾 向 を 分 析 すると, 残 差 が 正 の 値 であり 且 つ 絶 対 値 が 大 き いカタール,サウジアラビア, 中 国 といった 協 会 及 び 残 差 が 負 の 値 であり 且 つ 絶 対 値 が 大 きい イラン, 日 本,オーストラリアといった 協 会 が 決 定 係 数 の 小 ささに 寄 与 している 事 が 散 見 され た. 4. 考 察 ACL 内 FIFA RankingとACL Rankingに 関 し ては, 相 関 分 析 及 び 単 回 帰 分 析 の 結 果, 両 者 の 間 に 相 関 が 見 受 けられず,Leedsら 5) の 研 究 と 同 様 の 結 論 を 得 た.これはACLに 参 加 する 協 会 においては,クラブ 強 化 は 必 ずしも 代 表 強 化 表 4 順 位 相 関 係 数 及 び 決 定 係 数 相 関 分 析 単 回 帰 分 析 スピアマンの 順 位 相 関 係 数 決 定 係 数 ACL 内 FIFA Ranking 及 びACL Ranking 0.333 0.111 AFCC 内 FIFA Ranking 及 びAFCC Ranking 0.538 0.290 AFCP 内 FIFA Ranking 及 びAFCP Ranking 0.750 * 0.563 5% 水 準 で 有 意 10% 水 準 で 有 意 表 5 当 該 加 盟 協 会 におけるACL 内 FIFA Ranking,ACL Ranking 及 び 残 差 加 盟 協 会 ACL 内 FIFA Ranking ACL Ranking 残 差 Korea Republic 3 1-0.7 Saudi Arabia 7 2 3.0 Iran 1 3-3.3 Japan 2 4-2.7 Qatar 9 5 4.0 Uzbekistan 5 6-0.3 China PR 8 7 2.3 Australia 4 8-2.0 United Arab Emirates 6 9-0.3 回 帰 係 数 :0.333 切 片 :3.333

160 クラブ 成 績 が 代 表 成 績 に 及 ぼす 影 響 の 為 の 有 効 な 施 策 ではない 事 を 示 している. その 一 方 で,AFCC 内 FIFA RankingとAFCC Ranking, 及 びAFCP 内 FIFA RankingとAFCP Rankingに 関 しては, 代 表 成 績 とクラブ 成 績 の 相 関 が 見 受 けられた. 即 ち,AFCC,AFCPに 参 加 するアジアの 中 堅 弱 小 協 会 においては, クラブ 強 化 は 代 表 強 化 の 為 の 有 効 な 施 策 の1つ である 事 を 示 している. ACLとAFCC AFCPの 間 で 結 果 が 異 なった 理 由 として 以 下 の2 点 が 考 えられる.1 点 目 は ACL 参 加 協 会 においては,AFCC 参 加 協 会 やAFCP 参 加 協 会 に 比 べ, 一 部 のクラブが 非 常 に 優 秀 な 外 国 人 選 手 を 有 している 為, 代 表 成 績 に 比 べACL 成 績 が 良 くなる という 点 であり, 2 点 目 は ACL 参 加 協 会 においては,AFCC 参 加 協 会 やAFCP 参 加 協 会 に 比 べ, 一 部 の 代 表 チームがアジアよりレベルの 高 いヨーロッパの リーグでプレーしている 選 手 を 有 している 為, ACL 成 績 に 比 べ 代 表 成 績 が 良 くなる という 点 である. 表 5において, 残 差 が 正 の 値 であり 且 つ 絶 対 値 が 大 きいカタール,サウジアラビア, 中 国 と いった 協 会 は 上 述 の1 点 目 に 該 当 すると 考 えら れる. 例 えば,2011 年 に 優 勝 したカタールのア ル サッドはフランスリーグで101ゴールの 実 績 を 持 つセネガル 人 選 手,2012 年 に 準 優 勝 した サウジアラビアのアル アハリは 得 点 ランキン グ3 位 となったブラジル 人 選 手,2013 年 に 優 勝 した 中 国 の 広 州 恒 大 は 得 点 ランキング1 位 のブ ラジル 人 選 手 及 び2 位 アルゼンチン 人 選 手 をそ れぞれ 有 していた. また, 表 5において 残 差 が 負 の 値 であり 且 つ 絶 対 値 が 大 きいイラン, 日 本,オーストラリア は 上 述 の2 点 目 に 該 当 すると 考 えられる. 例 え ば,2011 年 アジアカップの 登 録 メンバーを 見 る と,イランのネコナム, 日 本 の 香 川,オースト ラリアのケーヒル,といったヨーロッパのクラ ブで 主 力 として 活 躍 する 選 手 を 有 していた. 冒 頭 で 述 べたように 日 本 のクラブは 近 年 ACLで 苦 戦 を 強 いられているが, 上 記 の 結 果 から, 代 表 の 成 績 への 影 響 は 必 ずしも 大 きい 訳 ではないと 考 えられ, 原 専 務 理 事 のコメントは 必 ずしも 妥 当 ではない 可 能 性 がある. その 一 方 で,ACLにおける 日 本 のクラブの 苦 戦 により,Jリーグのアジアにおけるイメー ジダウンの 可 能 性 も 考 えられる. 折 しもJリー グはアジア 戦 略 と 銘 打 ってアジアへの 売 り 込 み を 試 みているが,JリーグクラブのACLにお ける 成 績 とJリーグの 商 業 的 価 値 の 関 連 に 関 し ては 今 後 の 研 究 課 題 の1つであると 考 えられ る. 5. 結 論 本 研 究 では,AFCに 加 盟 する32 協 会 におけ る 代 表 成 績 とクラブ 成 績 との 関 係 について 統 計 的 に 明 らかにし,アジアにおいてクラブ 強 化 が 代 表 強 化 に 繋 がる 有 効 な 施 策 の1つと 成 り 得 る か 考 察 を 行 う 事 を 目 的 とした. 代 表 成 績 にはFIFA/Coca-Cola World Ranking を 基 に,ACL 内 FIFA Ranking,AFCC 内 FIFA Ranking,AFCP 内 FIFA Rankingを,クラブ 成 績 にはACL,AFCC,AFCPにおける 成 績 を 数 値 化 したものを 用 い, 代 表 成 績 とクラブ 成 績 と の 関 係 について 単 回 帰 分 析 及 び 相 関 分 析 を 行 っ た. 分 析 結 果 から,ACL 参 加 協 会 においては 代 表 成 績 とクラブ 成 績 の 相 関 は 見 受 けられ ず,ACLに 参 加 するアジアの 強 豪 協 会 におい ては,クラブ 強 化 は 必 ずしも 代 表 強 化 の 為 の 有 効 な 施 策 ではない 事 が 示 された.その 一 方 で,AFCC AFCP 参 加 協 会 においては 代 表 成 績 とクラブ 成 績 の 相 関 が 見 受 けられ,AFCC, AFCPに 参 加 するアジアの 中 堅 弱 小 協 会 にお いては,クラブ 強 化 は 代 表 強 化 の 為 の 有 効 な 施 策 の1つである 事 が 示 された. 参 考 文 献 1)http://www.the-afc.com/en/afc-presidentsub/afc-pres-news/28939-afc-presidentremains-positive-on-asia-s-potential.html. 2)http://sportsnavi.yahoo.co.jp/sports/soccer/ japan/2014/columndtl/201409270002-spnavi.

スポーツ 産 業 学 研 究,Vol.25,No.1(2015),155 ~ 161. 161 3)http://www.jfa.or.jp/jfa/terminology/. 4)Hoffmann, Robert., et al.;the Socio-economic determinations of intentional soccer performance, Journal of Applied Economics, Vol.V, No.2, pp.253-272, 2002. 5)Leeds, Michael A. and Leeds, Eva Marikova.; International soccer success and national institutions, Journal of Sports Economics, 10.4, pp.369-390, 2009. 6)Baur, Dirk. and Sibylle Lehmann.;Does the mobility of football players influence the success of the national team?, IIIS Discussion Paper No.217, Available at SSRN:http:// ssrn.com/abstract=980936 or http://dx.doi. org/10.2139/ssrn.980936, 2007. 7)FIFA/Coca-Cola World Ranking, http:// www.fifa.com/worldfootball/ranking/ lastranking/gender=m/fullranking.html. 8)http://www.uefa.com/MultimediaFiles/ Download/Regulations/competitions/Regulations/ 01/94/62/34/1946234_DOWNLOAD.pdf. 9)http://int.soccerway.com/. 10) 平 田 竹 男, 他 ; 浦 和 レッドダイヤモンズの 自 律 的 経 営 と 成 長 要 因,スポーツ 産 業 学 研 究 Vol.18, No.1, pp.59-77, 2008.