公益財団法人日韓文化交流基金フェローシップ報告書 中堅企業の成長と戦略に関する日韓比較研究 姜喆九培材大学校日本学科教授 研究期間 :2016 年 6 月 10 日 ~2016 年 8 月 30 日受入機関 : 東京経済大学コミュニケーション学部

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公益財団法人日韓文化交流基金フェローシップ報告書 中堅企業の成長と戦略に関する日韓比較研究 姜喆九培材大学校日本学科教授 研究期間 :2016 年 6 月 10 日 ~2016 年 8 月 30 日受入機関 : 東京経済大学コミュニケーション学部

公益財団法人日韓文化交流基金フェローシップ報告書 要旨 中堅企業は大企業と中小企業を繋ぐ役割や中小企業 中堅企業 大企業として成長できる基盤が整う位置にある 現在 韓国の経済環境では 少数の大企業と多数の中小企業に分かれている産業構造が問題になっており その原因の一つとしては偏った韓国の企業政策 つまり 中小企業には保護政策を 大企業には規制政策をしていることが挙げられる 一方 日本では中堅企業に対する法律的定義は存在しない代わりに 起業家精神や経営哲学を持ち また 産業化の長い歴史と多様な中小企業支援制度などを通して 豊かな内需と大企業との協力関係 独自の技術を武器に世界的な競争力を持つ企業が多数存在している 日本における中堅企業の特徴としては 独自の技術力でニッチマーケット (niche market) を攻略すること 世界的な競争力を持つこと 中層的な分業構造を通した成長戦略を持つことである 2 000 年以降 日本では中小企業庁を始め 政府機関から企業の海外市場開拓を支援する施策として輸出成功ケースと世界各国の情勢 市場動向 輸出地域の関連法規などの情報を積極的に提供し始め また 国際化支援事業 貿易投資相談 海外事業計画 立案 現地調査 コンサルティングなど 多様な制度で支援してきた 更に2013 年に入ると 経済産業省による グローバルニッチトップ (GNT:Global Niche Top)100 社を選定するなど 公的機関による中小企業 または中堅企業の海外進出支援を拡大する傾向を見せている ( これは後述の韓国の World -Class 300 プロジェクトに類似している) 一方 韓国は 2011 年 3 月 産業発展法 の改正によって中堅企業の定義や支援の根拠などが整ったのであるが 法律的定義とは別に 本格的な中堅企業育成 発展のための政策はごく少数に留まっている 韓国政府の企業政策というのは保護を主とする中小企業政策と規制を主とする大企業政策に二分されていて 法律で定められた中小企業の範囲を超えると 一度に各種支援が終了すると同時に各種規制が適用されるので 大企業に成長しようとする意欲を失ってしまうのである そのため 子会社設立や分社 または臨時の労働者を雇用するなどの方法を使って中小企業の地位を維持しようとする事例 ( ピーター パン症候群 Peter Pan Syndrome) が生じることもある 幸い 韓国政府は効率的な中堅企業政策を推進するため 2011 年 2 月 World -Class 300 プロジェクトを始めた このプロジェクトは世界的な中堅企業として300 社を育成しようとするプロジェクトであり その戦略を要約すると 企業が持つ過去の実績よりは現在における能力や未来へのヴィジョン 成長戦略 推進計画などを評価してから成長への意志と潜在力を持つ企業を選定 政府からの支援策や中堅企業育成プログラムを提供している しかし 何よりも中堅企業の成長というのは法律的定義や行政 政策などの支援の有無によって左右されるのではなく 中堅企業自らが持続的に成長しようとする意志と技術力ある専門企業になろうという意志 そして旺盛な起業家精神を発揮することがあってこそ可能であるだろう 日本のケースからも確認したように 中小 中堅企業であるにも関わらず 独自の技術力と対内 対外環境の変化に揺れることのない競争力を持つのが重要であるということは韓国の中堅企業が参考にすべきである

公益財団法人日韓文化交流基金フェローシップ報告書 目次 1. はじめに 2. 日本における中堅企業の成長と戦略 (1) 日本中堅企業の定義と認識 (2) 日本中堅企業の成長と戦略 3. 韓国における中堅企業の成長と戦略 (1) 韓国中堅企業の定義と認識 (2) 韓国中堅企業の成長と戦略 4. おわりに 1. はじめに 中堅企業は大企業と中小企業を繋ぐ役割や中小企業 中堅企業 大企業として成長できる基盤が整う位置にある 現在 韓国の経済環境では 少数の大企業と多数の中小企業に分かれている産業構造が問題になっており その原因の一つとしては 偏った韓国の企業政策 つまり 中小企業には保護政策を 大企業には規制政策をすることが挙げられる 幸い2011 年 3 月 韓国政府が中堅企業の育成政策を発表してからはグローバル中堅企業育成のための方案や中堅企業をグローバル化させるためのインセンティブ制度などを整わせ 中小企業が中堅企業として成長できるように誘導する政策が必要であるという議論が行われてきた 一方 日本では中堅企業に対する法律的定義は存在しない代わりに 産業化の長い歴史と多様な中小企業支援制度などを通して中小企業 中堅企業 大企業に成長できるような環境がすでに整っており 特に中堅企業は豊かな国内産業と大企業との協力関係 また独自の技術を武器に世界的な競争力を持つ企業が多数存在している したがって 本研究では 2011 年に韓国政府が意欲的に準備 制定した 産業発展法 が定着できるように また韓日両国の中堅企業に対する認識 成長戦略などを比較した後 日本の中堅企業における成長力を強化するための戦略と方法は何かを模索し 韓国の中堅企業に有益なインプリケーションを得ることを目的としている 言い換えると 韓国の中小企業が今後グローバル中堅企業として成長できる戦略や大企業との協力関係を強化できる基礎作業をしたいと考えるのである そのため 以下のような三段階に分けて研究を進めることにする まず第一に 韓国と日本の中堅企業の定義を説明した後 中堅企業に対する社会的認識を調査する 第二に 日本の中堅企業が世界市場で競争力を維持しながらマーケットシェアを広げた理由はなにか また 大企業との協力関係をどのように強化したのかなどの戦略を調査する 最後に 日本の中堅企業の特徴を探し その結果を韓国の中堅企業にどのように活用できるかを分析する 2. 日本における中堅企業の成長と戦略

公益財団法人日韓文化交流基金フェローシップ報告書 1) 日本中堅企業の定義と認識 (1) 日本中堅企業の定義日本では 今日に至るまで中堅企業に対する法律的定義は定まっていないが 中小企業庁によると ある程度の規模を持つ中小企業者 を中堅企業として定義している 1 また 野村総合研究所では 最近数年以内に株式を公開した企業 または今後数年以内に株式公開が可能であると思われる企業 直近決算期の売上額が30 億円 経営利益が3 億円以上 過去 3 年間増収 増益基調を維持し 売上と利益共に年平均 10% 以上成長している企業などを中堅企業として分類している 2 一方 中村 (1976) は 日本の中堅企業の定義として 1 巨大企業またはこれに準ずる大企業の別会社 系列会社でなく資本的にはもとより 企業の根本方針の決定権を持つという意味での独立会社であり 2 単に中小規模を超えた企業ではなく 中小企業とは異なる市場条件を確保している企業という意味で用いている 3 深川(2005) は 規模面では資本金と売上高がそれぞれ1 億円以上であり ある程度の市場占有率を確保し 高い専門性を保有しながら伝統的な家族経営ではない企業を中堅企業であると定義している その他 松井 (2004) は中小企業から大企業まで資本金だけで企業を区分し次のように分類した 企業区分中小企業中堅企業大企業 < 表 1> 日本の企業規模別分類基準企業規模分類基準資本金 5 千万円未満の企業資本金 5 千万円以上 ~10 億円未満の企業資本金 10 億円以上の企業 日本での中堅企業の定義は学者ごとに異なるが 製造業を基準にすると 資本金 3 億円以上 従業員数 300~999 人以下の設定を中堅企業とするのが一般的な定義とも言えよう 4 (2) 日本中堅企業に対する認識日本では 中堅企業に対する法的地位や支援政策がないので 当然 中堅企業を対象とする特定の政策も明示されているわけではないが それにも関わらず上で定めた一般的な定義に属する中堅企業の中には起業家精神 (entrepreneurship) と経営哲学 ( 例えば 職人魂 ) を持っており 世界的に認められる企業が多く存在している 姜 (2012) によると 日本における中堅企業は次の三つの特徴を持っている まず 独自の技術力でニッチマーケット (niche market) を攻略する企業 第二に 競争力を持つ世界的な企業 第三に 中層的な分業構造を通した成長戦略を持つ企業である 5 1 http://www.chusho.meti.go.jp/keiei/torihiki/2009/download/090122shiryou2.pdf 2 野村総合研究所 http://www.nri.co.jp/ 3 中村秀一朗 (1976 年 ) 一方 中村(1976) は 日本の中堅企業の特徴として次の四つを挙げた 1 大企業系列ではない独立企業 2 社会的資本調達が可能な規模の企業 3 近代的管理体制と個人及び同族会社の性格が並存する企業 4 独自的な技術を持っており 高い生産集中度と市場占有率を確保している企業などとして分類した 4 Cheol Gu Kang et al(2010), p. 213. 5 Cheol Gu Kang et al(2010) 例えば 山形市に本社を持っている鈴木製作所は 1953 年に設立されて以来 世界初 という修飾語が似合うほど数多くの特許を持っており また

公益財団法人日韓文化交流基金フェローシップ報告書一方 日本での中堅企業に対する認識とは 規模によって分類されるのが一般的な認識ではあるが それとは別として地方にある中堅企業は地域住民に対する雇用創出と所得の機会を提供する企業 大都市に本社をおく大企業よりは地方企業 地方での影響力を持つ企業という認識がある また 中堅企業として成長するまでは雇用と資金調達など その地域の経済と相互依存しあうという見方があり 中堅企業として成長した後にも地域に貢献すべきであるというイメージもある 2) 日本中堅企業の成長と戦略日本での産業構造も大企業と中小企業の二重構造として形成されているという認識はあるが 韓国とは違って日本政府による明示的な中堅企業育成戦略は存在しない しかし 上で記述した一般的な定義によって分類された中堅企業の雇用や付加価値の側面で見ると重要な位置にあるのは確かである 中堅企業の出現の歴史的な背景を見ると 日本の産業経済全般に渡って下請けシステムが定着してからであると言える これは垂直的な請負構造というよりは大企業から中堅企業 中堅企業から中小企業 中小企業から零細企業として水平的協力関係を見せる中層的分業構造であると言える 日本の中小製造業の大部分を占めている下請け中小企業の場合 景気変動の緩衝機能を発揮し 大企業製品が国際市場で競争力を強化するのに寄与しただけでなく 自動車 電気機器産業など 機械工業全般において高い成長率を維持させるなど 日本の下請けシステムが日本式経済環境の変化に優れた適応力の根幹になったと評価されている すなわち 1960 ~1980 年代には日本の下請けシステムに変化が起こり 企業規模によって下請け関係が協調的生産に変わりながら一群の中堅企業が登場したのである 特に 高度成長期に独自製品を持つ下請け企業が中堅企業として成長した重要なきっかけになったのは それが専門部品企業として成長したからであり 長期に渡って形成された歴史的な産物である それから1990 年代に至るまで日本の製造業が国際舞台で競争力を持つ重要な役割を担当してきたと言える このような背景から日本の中堅企業は圧倒的な技術力を基礎に小規模市場で世界一位を達成した後 他顧客 他産業にビジネス領域を速やかに拡張するタイプを見せており その成功要因を要約すると次のようになる < 表 2> 日本中堅企業の世界市場での成功要因 要素 内容 核心技術確保戦略 少数核心技術を長期間育成し 差別化水準を高める グローバルニッチ戦略 小規模市場で世界的一位になり 市場を主導する 垂直水平統合戦略 競争力強化のための力を内在化する 集約型多角化戦略 核心技術を多様な産業 顧客に適用しながら成長する 日本式ベンチャー文化創出 長期的研究風土と競争的企業文化を並行 資料 : 李ビョンハ ( 이병하 )(2011), p. 3. 2000 年以降 日本政府は中小企業の輸出を拡大するため 中小企業庁を始め 日本貿易振興機構 (JETRO) 国際協力機構(JICA) 日本貿易保険(NEXI) などから海外市場開拓と関連する支援施策を拡大してきた 特に 輸出成功ケースと世界各国の情勢 市場動向 輸出地域の関連法規などの情報提供に積極的である また 国際化支援事業 貿易投資相談 海外事業の経 海外出願件数は 116 件 海外出願国は韓国を含めて 24 カ国に至るグローバルな中堅企業である

公益財団法人日韓文化交流基金フェローシップ報告書験者などの専門家による海外事業計画 立案 現地調査 コンサルティングなど 多様な制度を支援している このような日本政府の支援体制は地方自治体と地域の商工会議所でも行っており 全般的に見て 公的機関による中小企業 または中堅企業の海外進出支援は拡大される傾向を見せている 例えば 1999 年に 中小企業基本法 を改訂したにもかかわらず 中小企業の衰退を止めることができないため 地域経済の危機的な状況を打開するために新しい施策を考案したのが次である すなわち 創業支援や経営革新支援などの方法を統合し 既存企業の連携推進で経済活性化や地域再生を図る 中小企業新事業活動促進法 (2005 年 ) 大型店舗の大都市進出問題を打開しようとした まちづくり三法 (2006) 中小企業ものづくり支援法 (2006), 地域ブランドの制度化 (2006) 中小企業地域資源活用化促進法 (2007) 農商工連帯促進法 (2008) 中小企業経営承継円滑化法 (2008) 地域商店街活性化法 (20 09) などがある 2008 年 自民党政権は 経済情勢激変に対する緊急対策 を通して 中小企業に対しては30 兆円の緊急保証などの金融対策 下請け取引の適正化 税制対策などを柱にする対応策を取り入れるに至ったのである 2013 年に入ると 経済産業省は産業構造の変化や求められるニーズの変化に迅速に対応するため ニッチ分野において高い世界シェアを持ち 優れた経営を行っている中堅 中小企業を グローバルニッチトップ (GNT:Global Niche Top) と名付け 100 社を選定することにした (GNT 企業 100 選 ) 6 このGNT 企業で定義される中堅企業は 特定の商品 サービスについて 過去 3 年以内において1 年でも10% 以上の世界シェアを確保したことがある企業を対象とし 大企業のうち 直近の会計年度の売上高が1 千億円以下である企業を中堅企業とする 選定対象としては5 部門において 特に優れた成果をなしえた企業である (1 機械 加工部門 2 素材 化学部門 3 電気 電子部門 4 消費財 その他部門 5ネクストGNT 部門 ) そして 281 社が応募し その中で大企業 6 社 中堅企業 25 社 中小企業 69 社が選定された これは 韓国が2011 年に中堅企業を育成するため始めた World Class 300 プロジェクトと類似した制度であり また 中堅企業の重要性を強調する制度であるとも言える 3. 韓国における中堅企業の成長と戦略 1) 韓国中堅企業の定義と認識 (2) 韓国中堅企業の定義韓国で中堅企業という用語は1980 年代後半から使い始められたが 厳密には法律的な根拠が ない状態であった しかし この用語がなぜ 1980 年代後半から使われるようになったのかに対 しての理由がある それは中堅企業の成長というのは 結局 当時の韓国が直面した経済両極 化 ( 中小企業対大企業 ) を解除し 企業成長段階の理想的な産業構造を構築することであると いう認識を持つようになったからである 後に 韓国では 2011 年 3 月 10 日に 国会本会議で中堅 企業の定義 支援の根拠 負担緩和期間などの内容が含まれた 産業発展法 改正案が議決さ れ 中小企業をグローバルな中堅企業として育成できる根拠が整ったのである 6 この事業では GNT 企業が直面する課題 ( 通商問題 異業種連携 再編等 ) を洗い出すとともに こうした企業を掘り起こし 認定も含めて支援していく制度 (GNT100 選 ) を創設したのである 最終的には 中長期的に GNT 企業を輸出の担い手として育成し GNT を目指す企業がその考え方を参考にできるようにすることで 日本産業発展の底上げをはかることを目的とする

公益財団法人日韓文化交流基金フェローシップ報告書産業発展法によって規定された中堅企業の法律的定義は以下のようである 産業発展法第 10 条の21 項では中堅企業になるための法的要件として (1) 中小企業基本法第 2 条で定義した中小企業ではない企業 (2) 独占規制および公正取引に関する法律第 14 条 1 項による相互出資制限企業集団に属さない企業 この2つの条件を満たす企業を中堅企業とする すなわち 中小企業の卒業猶予期間 (3 年 ) 以降 追加で5 年間は租税 金融などの支援ができる行政的 財政的支援の土台も整えられた その後 韓国政府は2011 年 7 月 1 日に中堅企業を育成するための 産業発展法 の改正案を立法化したのである 7 今回の法律改正の背景には 実際には過去から中堅企業群が存在するにも関わらず 中小企業 大企業に二分された脆弱な産業構造により企業の成長が停滞し 経済活力が低下するのを防ぐということがある この法律によって中小企業と大企業の中間領域としての中堅企業の概念が定着するようになった そして本格的な中堅企業の時代が始まり 中堅企業育成の支援根拠と中小企業が中堅企業に成長できる制度的基盤が整ったのである 製造業 (6 業種 ) 製造業 (12 業種 ) < 表 3> 韓国中堅企業の範囲と規模基準 主な業種 分類記号 中堅企業の規模基準 衣服 衣服アクセサリー及び毛皮製品製造業 C14 3 年平均売上高 1 千 5 皮 カバン及び靴製造業 C15 百億ウォン超過 パルプ 紙及び紙製品製造業 C17 1 次金属製造業 C24 電気設備製造業 C28 家具製造業 C32 農業 林業及び漁業 A 3 年平均売上高 1 千億 工業 B ウォン超過 食料品製造業 C10 タバコ製造業 C12 繊維製品製造業 ( 衣服製造業除く ) C13 木材製造業 ( 家具製造業除く ) C16 コークス 練炭及び石油精製品製造業 C19 化学物質及び化学製品製造業 ( 医薬品除く ) C20 ゴム製品及びプラスチック製品製造業 C22 金属加工製品製造業 ( 機械及び家具製造業除 C25 く ) 電子部品 コンピューター 映像 音響及び C26 通信設備製造業 その他機械及び設備製造業 C29 自動車及びトレーラー製造業 C31 7 参考までに 法律上の中小企業の定義を以下に述べる 常勤の労働者基準 ( 製造業は 300 人以下 ) と資本金または売上額基準 ( 製造業は 80 億ウォン以下 ) で どれか一つでも充足すると中小企業に分類される しかし 常勤の労働者数が 1 千人以上 または資産総額が 5 千億ウォン以上 または自己資本が 5 百億ウォン以上 (2012 年から適用 ) または売上額 1 千 5 百億ウォン (2012 年から適用 ) 以上である企業は中小企業から除外される つまり以上に述べた上限基準を超過すると 他の基準で中小企業の定義を満たしていても 中小企業からは除外されるのである

公益財団法人日韓文化交流基金フェローシップ報告書 電気 ガス 蒸気及び水道事業資料 : 中小企業庁 (2017.1) p.3 D このように分類した時の韓国中堅企業は2,979 社であり 製造業 (1,331 社 ) が44.7% 非製造業 (1,648 社 ) が55.3% を占めている 製造業は一次金属 金属加工 173 社 (13.0%) 電子部品通信装備 170 社 (12.8%) 自動車 トレーラ165 社 (12.4%) の順に分布している 非製造業は卸売り 小売業 381 社 (23.1%) 出版 通信 情報サービス業 263 社 (16.0%) 建設業 209 社 (12. 7%) 不動産 レンタルビジネス業 170 社 (10.3%) の順に分布している (2) 韓国中堅企業に対する認識中堅企業の定義が法律で制定されたとしても それによって中堅企業の重要性に対する社会的認識が拡散したという意味ではない 韓国政府は中堅企業を育成するため 産業発展法を改正したが 現実は立法前と比べて変化は少ない さらに 韓国の中堅企業は法律的定義とは別として経済社会的には中小企業として認識されている しかし 中堅企業は中小企業に付与される政府の支援を受けることができず また大企業のような知名度もないことから新卒の学生を求めることや資金調達の面からも苦難に直面している 韓国政府の企業政策というのは 保護を主とする中小企業政策 ( 保護主義政策 ) と規制を主とする大企業政策 ( 規制主義政策 ) に二分 されていて 8 中堅企業は大企業と同一水準の規制に直面し 中堅企業が発展できる構造になっていなかった すなわち 法律で定められた中小企業の範囲を超えると 一度に各種支援が終了すると同時に各種規制が適用されるので 経営資源に制約があるとされる中堅企業の立場としては大企業に成長しようとする意欲を失ってしまうのである そして 便法として子会社設立や分社 または臨時の労働者を雇用するなどの方法を使って中小企業の地位を維持しようとする事例が生じることもあり 中堅企業に対する制度的支援の必要性が提起されたのである しかし 韓国では現在も 中小企業と大企業 という二分法思考に縛られており 多くの政策が中小企業や初期段階の中堅企業に集中されているだけであって 本格的な中堅企業育成 発展のための政策はごく少数に留まっている 今までの韓国政府における企業政策の基本方針は 企業規模が大きく 系列間の関連の程度が高い大企業集団に対しては 規制政策を通して市場支配力を抑制させ ガバナンスの透明性を高める方案を提示していたのである 反対に 内部資金や情報の不足などで企業経営が困難な中小企業には資金 技術 人的資源 販路開拓などの育成政策をもって支援してきた 中小企業の立場としてはそれによって中堅企業に成長できるよい機会ではあるが 反面すでに中堅企業になってからはこのような政策から除外されたのである 中小企業を卒業した後の中堅企業は一挙に各種支援が終了し 同時に各種規制が適用されるため 大企業に成長しようとする意欲を失ってしまう つまり 多様な支援政策から除外されることで実質的な費用が増加することと同じであるという認識が残る また 各種規制が増加するため間接費用が急激に増加し そのため 企業競争力にも悪影響を及ぼすという認識が強い したがって中小企業を卒業したにもかかわらず 子会社設立や分社 臨時に労働者を雇用するなど 様々な方法を使って中小企業の地位を維持しようとする事例も生じる 韓国ではこのように中小企業から中堅企業にならないように自ら規模を縮小する現象をピーター パン症候群 (Peter Pan Syndrome) とする 例えば 韓国中堅企業が中小企業への回帰を検討する一番大きな理由は租税支援であり その 8 Young-sik You et al(2010), p.108.

次が金融支援 販労規制 技術開発支援などである 公益財団法人日韓文化交流基金フェローシップ報告書 < 図 2> 中堅企業から中小企業への回帰検討要因 ( 単位 :%) 60 50 50 40 30 20 10 0 24.8 15 5.6 1.5 1.2 1.9 資料 : 中小企業庁 (2017.1) p.3 このような事情から一部の中堅企業では 企業を拡大するために投資を拡大し 従業員を増やして中堅企業として成長したことを後悔することさえある このようになると 中小企業から中堅企業に また大企業に成長しようとする起業家精神 (entrepreneurship) はなくなり 経済発展も期待できなくなる このような状況から韓国政府が経済の成長と活力を高めるための主役として中堅企業を強調しはじめたのは幸いであると言える 9 なぜなら 韓国での中堅企業と大企業との関係というのは技術的分業関係が多く 中小企業とは2 次協力関係であり 生産及び技術の協業関係としてその役割が大きいという認識が認められるようになったからである また 国家経済の持続成長を牽引する核心としても中堅企業は重要であり そのためにはグローバル競争力がある多数の企業が自ら成長 発展できる企業生態系を形成する必要がある したがって 中小企業から中堅企業 中堅企業から大企業へと繋ぐ理想的な企業生態系を形成するために また 成長の意志と潜在力を持つ中堅企業をグローバル企業として成長させるための支援体制が要求されている しかし 何よりも中堅企業の成長は支援制度の存在有無によって左右されるのではなく 中堅企業自らの成長意志と起業家精神があってこそ可能であるだろう 2) 韓国中堅企業の成長と戦略朴カンホ他 ( 박광호他 )(2010) は中堅企業の持続的な革新と成長要因として 成長プロセス 戦略的なダイナミックス 戦略的実行力 経営システム 情報化 リーダーシップ 組織文化 顧客中心プロセス 開放型革新などの診断項目を提示し 以上の成功要因を通して算出した中堅企業の革新と成長診断の結果をもって 経営意思決定及び戦略樹立に活用できるとした また 企業生態系の観点からみて 少数の大企業と多数の中小企業で構成されたピラミッド型企 9 韓国の知識経済部公告 2012 年度 World-Class 300プロジェクト施行計画公告 第 2012-34 号 (2012 年 1 月 30 日 ) などを参考すればよい

公益財団法人日韓文化交流基金フェローシップ報告書業分布はバリュー チェーン (Value Chain) としての機能改善を通した便益の受益者が大企業に限定され 経済生態系前半のインセンティブシステムが作動しない可能性があるとした 10 例えば 韓国では中小企業から中堅企業に成長すると 企業規模別義務採用問題が相当な負担として作用するということ また 中小企業の範囲を超えてから首都圏整備計画法による総量規制賦課などの追加規制によって中堅企業として成長したくない傾向 そして中小企業に適合業種を選定する時に大企業と同一に事業拡張制限や市場進入規制を受けるなどの 規制及び行政負担 (administrative burden) の問題を抱えている 1112 その他 中小企業の範囲を超える瞬間 適用税率も差別されるので 多様な回避策を模索するのである 最近 韓国政府は経済成長と活力を高めるための主役として中堅企業を強調しはじめ 世界的な専門企業に育成するための戦略を樹立した しかし 国家経済の持続的成長を牽引する役割としても中堅企業が強調され また そのためにはグローバル競争力を持っている多数の企業が自ら成長 発展できる企業生態系を形成する必要がある したがって 中小企業から中堅企業 中堅企業から大企業へと繋がる理想的な企業生態系を形成するためには 成長の意志と潜在力を持つ中堅企業をグローバル企業として成長させる支援体制が要求されてきたが そのような体系的な支援がなかったのである 韓国では 2014 年 7 月 中堅企業成長促進及び競争力強化に関する特別法 ( 中堅企業法 または中堅企業特別法 ) を制定したが 今後これと関連する一般法と施行令を整備していくのが課題である 一方 韓国政府は効率的な中堅企業政策を推進するため 関係部所や関連団体 民間専門家などと協議 諮問委員会の設置根拠も整えた 特に産業発展法の施行令改定を通して中堅企業支援から除外される業種 支援基準の細部指標 協議 諮問のための 中堅企業育成支援委員会 を構成した また 中堅企業成長の停滞要因を積極的に発掘し これを改善するための中堅企業支援育成政策を推進し 中堅企業が成長できるような体制を整えているところである 中堅企業連合会 (www.ahpek.or.kr) によると 中堅企業になった業態は 半導体 自動車部品 IT 化学などの輸出業が大部分であることから 韓国では中小企業が成長する要因として輸出が重要であるということが分かる 13 特に自動車部品産業は積極的な輸出ドライブ政策を通じて競争力を持った代表的な事例である 例えば2002 年にアメリカのゼネラルモーターズ (GM) に納品した韓国の自動車部品製造業社は16 社に過ぎなかったが 2010 年には230 社に増え GMが選定した 今年の部品製造業社 76 社の内 17 社が韓国の企業であった 問題は 数多くの業態の中で上に列挙した業態以外は成長が遅い 繊維 機械 製薬 鋳物 金型など 伝統的な煙突産業では人材採用や資金調達 また原料 資材難に直面しているため これらを解決しなければならない 一方 日本の中小企業又は中堅企業が世界市場で独自の技術を持つことによって価格競争力を維持するのとは違って 韓国の中堅企業が保有している主力技術がその分野において世界水準であるとは言えないのは 韓国中小企業庁 (2017.1) の調査でも明らかになったように その比率があまりにも低い (1.3%) からである (p.8) 半面 韓国内市場では独自の技術を持っていると答えた比率は 35.6% である このギャップの存在は世界市場に進出しようとする意志よりは国内市場で満足している企業が多いことを示し 企業の存続 (going concern) という面から望ましいとは言えない 中堅企業が海外進出を考えていない理由として一番多く答えた 10 朴カンホ他 ( 박광호외 )(2010), p. 780 11 李ビョンギ ( 이병기 )(2013), p. 11 12 首都圏整備計画法とは 首都圏に過度に集中した人口と産業を適正に配置し 均衡をとって発展していくという目的をもって制定された法である 13 韓国中堅企業連合会 (2011) 中堅企業統計現況分析 韓国中堅企業連合会

公益財団法人日韓文化交流基金フェローシップ報告書のが 輸出不適合業種 (42.0%) であり その次が 国内市場に満足 (2.1%) マーケティング能力不足 (11.7%) 資金不足 (8.0%) の順になっている (p.26) これはある面でみると世界市場に挑戦しようとする起業家精神 (Entrepreneurship) の欠如であり 企業自らが成長しようという意思不足であるとも言えるだろう 反対に中堅企業として成長するのを阻害するのは 海外市場の開拓に目を向けないこと 研究開発に投資しないこと そして 大企業との取引による収益性悪化などが挙げられる したがって中堅企業の成長動力とは持続的な設備投資と共に海外市場を狙う輸出ドライブ政策にあると言える 中堅企業の海外輸出売上高実績から国別順位を見ると中国が一位であり その次がアメリカ (40.6%) 日本(36.0%) ベトナム(20.8%) 台湾(13.0%) の順である ( 参照 < 図 2 >) 特異な点としては 中堅企業の歴史が短いほど中国への輸出が多く 50 年以上の歴史を持つ中堅企業は相対的にベトナムを始め東南アジアに集中している その中 日本が3 位を維持するのは安定した輸出地域と解釈できる < 図 2> 韓国の中堅企業における輸出地域 ( 単位 :%) 60 57.1 50 40 40.6 36 30 20 10 0 20.8 13 12.6 11.1 10.6 10.3 8.7 7.7 7.6 7.5 6.4 資料 : 中小企業庁 (2017.1) p.102 ヘルマン サイモンは著書 Hidden Champion 14 で ドイツの経済をささえているのは11 00 社の隠れたチャンピオン (Hidden Champion) 企業が世界的な市場での改革と同伴成長 (win-w in growth) を主導するロールモデル (Role Model) になるからである とし グローバルな競争力を持つ中堅企業を育成する必要があると強調した 15 隠れたチャンピオン の特徴は韓日両国の中堅企業が参考にしてもよい 最近では 隠れたチャンピオン は多国籍企業ではないが世界市場で強大な支配力を行使する企業 という概念で用いられている すなわち 市場支配力があり 持続的な成長をし 優れた生存力を持ち 大衆に知られていない製品を専門的に生産する専門企業 ( 完成品やサビース段階では認知できない機械 部品 または工程分野 ) 多国籍企業と対立てきる競争力 成功した企業でありながら決して短期間内に奇跡を起 14 Hermann Simon, Hidden Champions of the Twenty-First Century: The Success Strategies of Unknown World market Leaders, (Springer Verlag, 2009). 15 韓国での 同伴成長 (win-win growth) とは 大企業と中小企業の間に起きている社会的葛藤問題を論議して合意を導出する文化を創ることを意味する

公益財団法人日韓文化交流基金フェローシップ報告書こした企業ではなく 相当な歴史を持つ企業などである 韓国政府はこれを参考にし 2010 年から 世界的な専門中堅企業育成戦略 という政策を推進してきた 特に2011 年 2 月からは韓国型 Hidden Championとも言える World-Class 300 プロジェクトを始めた これは2020 年までにWorld-Class 企業として300 社を育成しようとするプロジェクトである このプロジェクトは大きく3つの戦略を持って推進されている 16 第一に 企業の未来成長戦略を評価して それに相応しい企業をWorld-Class 企業として選定する 今まで韓国での政府事業の場合は 営業利益率 R&Dの遂行結果など 過去の実績から企業を評価したうえで選定していたが 今回は現在における能力 未来へのヴィジョン 成長戦略 推進計画などを総合的に評価し 成長への意志と潜在力を持つ企業を選別するという特徴を持っている 第二に 企業別成長戦略から需要者注文支援方式を導入した 初年度にWorld-Class 300プロジェクトに申し込んだ企業は 成長戦略書を提出する際に企業の市場拡大 技術確保 投資 改革戦略実行計画と戦略推進に必要な政府の支援事項に関して評価され これを元に企業の成長に必要な支援施策を提供した 第三に 選定された企業に対しては長期支援と持続的な管理を行う World-Class 企業として選定されると 最大 10 年間 支援が受けられる 選定されてから3 年間は中堅企業育成プログラムによる総合的かつ体系的な専門コンサルティングが提供される また World-Class 企業への持続的な成長と改革を促進するために実行計画の遂行事項の点検 年次別評価など 持続的な管理も行う World-Class 企業は成長意志と潜在力をもつ中小 中堅企業を審査して選ぶことになり そのような企業は高度な水準を備えた技術とイノベーション能力を保有している また グローバル市場に進出しようとする強い意志を持つ企業である 彼らへの支援内容は企業が必要とすることを集中的に支援するもので パッケージ支援と呼ばれ その具体的な内容は R&D 専門人材 資金 海外マーケティング支援などである 企業から申請を受けて 選定委員会にて審査を行い そこから支援需要を把握し その後 事後管理に入る 2011 年にこのプロジェクトの候補として申請を行った企業は148 社であったが その中から30 社が選定され 競争率は4.9 倍となった 選定された企業は現在世界市場で良好な業績を見せており 3 年間のR&D 集約度は6.1% の優秀な企業である その後 2011~2015 年の間には181 社が選定され これらの企業の平均輸出比重は46% 最近 5 年間の平均売上成長率は33.3% という優秀な企業である 17 中小企業庁は2017 年 2 月にグローバル需要に合わせ 技術開発支援を通して中堅企業のグローバル競争力強化及び輸出拡大支援のため 60 社を選定し60 億ウォン規模の支援を行うと発表した しかし 選定された企業だからといってすべてがグローバル企業になるわけではなく 政府からの支援とは別として企業自らが成長しようという積極的な意志と絶えない努力があってこそ 本当のWorld-Class 企業として成長することができるであろう 4. おわりに 中小企業支援 又は 大企業規制 に二分される水準の産業政策では 今後韓国経済の中長期的発展のインフラを構築し難しい 韓国の場合 中小企業に対する過度な支援は むしろ中小企業が中堅 16 知識経済部公告 2012 年度 World-Class 300プロジェクト施行計画公告 第 2012-34 号 (201 2 年 1 月 30 日 ) 17 知識経済部報道資料 http://www.mke.go.kr/mke/index.jsp

公益財団法人日韓文化交流基金フェローシップ報告書企業に成長しようとする自発的な意志をなくすことになる したがって 中小企業の支援に上限を置き ( 上限制度 ) 中堅企業に対する支援を強化するなどのインセンティブがあると 多くの中小企業は中堅企業として成長できる と主張する学者もいる 18 少数の大企業の成果に国家経済全体が左右される弱い経済体質を持っている韓国経済においては 中堅企業を育成して不足する分を補強しなければならない そして日本のケースからも確認したように 独自の技術力と対内 対外環境の変化に揺れることのない競争力を持つ中堅企業を育成しなければならない その三つの根拠を挙げることにしよう 第一に 中堅企業は中小企業や大企業と比較して制度的に不利な環境により 大企業に成長しようとする欲求や意志を喪失する場合がある しかし 日本の中堅企業が1960 年代に成長した背景には日本政府の支援策や環境によって左右されたのではなく 製造業分野の専門企業がその先頭を走って中堅企業になったからである これらの中堅企業は 特定大企業が支配する市場で競争しようとするよりは 独自の技術力を背景に国内外を舞台に広範囲に渡って挑戦し 価格決定権を持ち 資本的にも独立することができた企業である 反面 過去約 40 年間の韓国政府の産業政策というのは企業が自発的な競争力を確保できるように支援する制度ではなく また大企業への成長を求めようとするものでもない むしろ中小企業の規模を維持しようとするピーター パン症候群 (Peter Pan Syndrome) を引き起こし その結果 一定規模以上に成長した中小 中堅企業は大企業になることを恐れるようになった 中小企業を卒業した後には規制が増加し 租税特別免除が縮小されるなど 政策資金支援対象から除外されるため スイッチングコスト (switching cost) を負担することになり 大企業に転換しようという意志がなくなるのは当然であろう それが 例えば 韓日共に中堅企業の国民経済に占める雇用比率や売上高比率から見てもその差が分かる すなわち 全産業における韓国の中堅企業の比率 (0.1 2%) は1% にも達していないが 日本はその比率 (1.4%) が韓国の12 倍になり 雇用比率や売上高も韓国よりは高い < 表 4> 韓日両国の企業業態別規模の比較 業態別比率 雇用比率 売上高比率 輸出額比率 韓国 大企業 0.05% 13.5% 41.7% 67.0% 中堅企業 0.12% 9.7% 15.4% 15.7% 中小企業 99.83% 76.8% 42.9% 17.1% 日本 大企業 0.3% 11.4% 53.1% - 中堅企業 1.4% 10.8% 20.4% - 中小企業 98.3% 78.0% 26.5% - 資料 : 金ガプス ( 김갑수외 )(2016) 韓国中堅企業学会政策討論会発表資料 第二に 韓国の中堅企業に対する社会的な無関心も深刻な問題であった 中堅企業は一定水準以上の競争力や企業規模を持っているにも関わらず 優秀な大卒者は大企業や安定した公務員を選ぶため 中堅企業において優秀な人材確保はかなり難しい 中小企業と中堅企業を区分せず ほぼ同一視する社会的認識と雰囲気も中堅企業の成長の妨害となる要因である 幸い 韓国では2015 年 7 月 22 日 中堅企業人の日 を制定し 毎年それを記念しており その重要性がますます強調されている 第三に 中堅企業に関わるあらゆる問題は個別企業が解決することではない それは韓国の 18 Young-Ryeol Park 韓国中堅企業制度の定着のための大討論会 (2011 年 12 月 1 日 )

公益財団法人日韓文化交流基金フェローシップ報告書社会 経済的システムの問題であり 社会制度の観点からアプローチする必要がある 日本では中堅企業に対する法律的な定義や支援システムは整っていないが 産業構造でのその重要な役割は社会的に認められている 例えば 韓国の中堅企業が労働力不足や不景気に対処する方法は政府の政策に依存している反面 日本の中堅企業は直接的な労働条件の改善や社員の福利厚生の増進などに力を入れるという差がある 平均的に見て 日本中堅企業の歴史は長く 企業自ら経営革新を実践し 持続的な刺激を受けてきたという事実は韓国中堅企業が参考すべきであろう それに加え 企業規模の拡大に従って体系的な内部経営システムを構築しなければならないが 単に規模が大きい中小企業と同じ状態のままに残っているのは問題である したがって 企業規模に相応しい体系的な経営システムの構築が要求される 一方 中堅企業の技術競争力を強化するための支援は以下のとおりである 中堅企業法によって政府からの政策支援を受けても すべての中堅企業が大企業のような競争力や市場支配力を持ち 世界的な企業へと成長するわけではない なによりも中堅企業自らが技術力ある専門企業になるという意志と旺盛な起業家精神を発揮することを優先しなければならない 政府による支援も重要であるが 根本的には中堅企業は保護されるべきものである という認識をなくす 作業 が必要ではないかと思われる 結論的としては 中堅企業に対する韓国社会の認識不足やイメージ改善などは別として 中堅企業の成長を妨害する停滞要因を積極的に発掘し これを改善するための中堅企業支援及び育成政策を推進する必要がある また 法律的定義や行政支援 政策支援などの状況によって企業の成長が左右されるのではなく 企業が持続的に成長しようとする努力と独自の競争力を持つのがなによりも重要であると言えよう

公益財団法人日韓文化交流基金フェローシップ報告書 参考文献 朴カンホ他 ( 박광호, 정선화 )(2010), 중견기업의혁신과성장요인에관한연구, 2010년한국경영정보학회춘계학술대회 李ビョンギ ( 이병기 )(2013), 중소기업의중견대기업으로의성장동인과정책과제-한국기업을중심으로한분석-, 한국경제연구원, 정책연구 13-06 李ビョンハ ( 이병하 ) (2011), 일본강중기업에서배우는경쟁의기술, CEO Information 827호. Young-Ryeol Park(2011.12) 韓国中堅企業制度の定着のための大討論会 資料 姜喆九 (2012), 韓日中堅企業の成長戦略比較からのインプリケーション, 亜太研究 第 19 巻第一号 韓国中堅企業連合会 (2011) 中堅企業統計現況分析 韓国中堅企業連合会 韓国中小企業庁 (2017.1) 2016 年中堅企業実態調査 中小企業政策課 中村秀一朗 (1976) 中堅企業論( 増補第三版 東洋經濟新報社 松井敏述 (2004) 中小企業論 晁洋書房 知識経済部公告 (2012.1) 2012 年度 World-Class 300プロジェクト施行計画公告 第 2012-34 号 Cheol Gu Kang, Kim Hyun Sung, Kim Hyun Chul(June 2010), A Study on Medium-Sized Enterprises of Japan, Asia Pacific Journal of Small Business, Vol.32, No.2 Hermann Simon, Hidden Champions of the Twenty-First Century: The Success Strategies of Unknown World market Leaders, (Springer Verlag, 2009). Young-sik You, Soo-Jung Kim(June 2010), Research on Major Issues and Fosterage of Medium-sized Enterprises: Focused on the Legislation, Journal of Strong Medium Enterprise. Vol.1 No.1 韓国中堅企業連合会 : www.ahpek.or.kr 韓国中堅企業学会 : www.kahpe.or.kr/ サムソン経済研究所 :www.seri.org 日本中小企業庁 :www.chusho.meti.go.jp 野村総合研究所 www.nri.co.jp/

公益財団法人日韓文化交流基金フェローシップ報告書 略歴 姜喆九 [ 学歴 ] 1998 年 : 明治大学商学部卒業 ( 商学学士 ) 2000 年 : 明治大学大学院商学研究科 ( 修士課程 ) 修了 ( 商学修士 ) 2003 年 : 明治大学大学院商学研究科 ( 博士課程 ) 修了 ( 商学博士 ) [ 経歴 ] 2004 年 : ソウル大学校行政研究所 ( 行政大学院 ) 先任研究員 2006 年 : 高麗大学校経済学部硏究敎授 2008 年 : 韓東大学校国際語文学部客員敎授 2011 年 : 培材大学校日本学科教授 ( 現 )