[5]4,4'-ビス(2-スルホスチリル)ビフェニル-2 ナトリウム 5 4,4'-ビス(2-スルホスチリル)ビフェニル-2 ナトリウム 1. 物 質 に 関 する 基 本 的 事 項 (1) 分 子 式 分 子 量 構 造 式 物 質 名 :4,4'-ビス(2-スルホスチリル)ビフェニル-2 ナトリウム ( 別 の 呼 称 :フルオレスセント 351) CAS 番 号 :27344-41-8 化 審 法 官 報 公 示 整 理 番 号 : 化 管 法 政 令 番 号 : RTECS 番 号 : DB5044530 分 子 式 : C 28 H 20 Na 2 6 S 2 分 子 量 : 562.56 換 算 係 数 :1 ppm = 23.01 mg/m 3 ( 気 体 25 ) 構 造 式 : Na S CH HC Na S CH HC (2) 物 理 化 学 的 性 状 本 物 質 は 黄 色 の 粉 末 である 1) 融 点 >300 1) 沸 点 密 度 1.49g/cm 3 1) 蒸 気 圧 <5 10-18 mmhg(= <7 10-16 Pa)(25 ) 1) 分 配 係 数 (1-オクタノール/ 水 )(log Kow) -2.32(pH=6.8 25 ) 1) 解 離 定 数 (pka) -2.5~-3.0 1) 水 溶 性 ( 水 溶 解 度 ) 1.76 10 4 mg/l(20 ) 1) (3) 環 境 運 命 に 関 する 基 礎 的 事 項 本 物 質 の 分 解 性 及 び 濃 縮 性 は 次 のとおりである 生 物 分 解 性 好 気 的 分 解 蛍 光 増 白 剤 (FWAs)は 一 般 に ECD テストガイドライン 301 に 準 拠 した 分 解 度 試 験 では 易 分 解 でない 1) 4,4 -ジスチリルビフェニル 誘 導 体 の 光 分 解 生 成 物 質 の ECD テストガイドライン 301F に 準 拠 した 分 解 度 試 験 では 易 分 解 で あった 1) 1
化 学 分 解 性 H ラジカルとの 反 応 性 ( 大 気 中 ) 反 応 速 度 定 数 : 120 10-12 cm 3 /( 分 子 sec)(cis- 体 APWIN 2) により 計 算 ) 半 減 期 :0.53 時 間 ~5.3 時 間 (H ラジカル 濃 度 を 3 10 6 ~3 10 5 分 子 /cm 3 3) と 仮 定 し 計 算 ) 反 応 速 度 定 数 : 140 10-12 cm 3 /( 分 子 sec)(trans- 体 APWIN 2) により 計 算 ) 半 減 期 :0.48 時 間 ~4.8 時 間 (H ラジカル 濃 度 を 3 10 6 ~3 10 5 分 子 /cm 3 3) と 仮 定 し 計 算 ) オゾンとの 反 応 性 ( 大 気 中 ) 反 応 速 度 定 数 : 25 10-17 cm 3 /( 分 子 sec)(cis- 体 APWIN 2) により 計 算 ) 半 減 期 :0.25 時 間 ~1.5 時 間 (オゾン 濃 度 を 3 10 12 ~5 10 11 分 子 /cm 3 3) と 仮 定 し 計 算 ) 反 応 速 度 定 数 : 50 10-17 cm 3 /( 分 子 sec)(trans- 体 APWIN 2) により 計 算 ) 半 減 期 :0.13 時 間 ~0.76 時 間 (オゾン 濃 度 を 3 10 12 ~5 10 11 分 子 /cm 3 3) と 仮 定 し 計 算 ) 加 水 分 解 性 半 減 期 : >1 年 (ph4~9) 1) 生 物 濃 縮 性 生 物 濃 縮 係 数 (BCF):3.2(BCFBAF 4) により 計 算 ) 土 壌 吸 着 性 土 壌 吸 着 定 数 (Koc):125 1) (4) 製 造 輸 入 量 及 び 用 途 1 生 産 量 輸 入 量 等 2006 年 度 における 国 内 流 通 量 は 約 300t とされている 5) 2 用 途 本 物 質 の 主 な 用 途 は 蛍 光 増 白 剤 である 1) 本 物 質 は 我 が 国 で 市 販 されている 衣 料 用 粉 末 合 成 洗 剤 に 最 大 0.4%まで 配 合 されている 5) (5) 環 境 施 策 上 の 位 置 付 け 本 物 質 は 水 環 境 保 全 に 向 けた 取 組 のための 要 調 査 項 目 に 選 定 されている 2
2.ばく 露 評 価 生 態 リスクの 初 期 評 価 のため 水 生 生 物 の 生 存 生 育 を 確 保 する 観 点 から 実 測 データをも とに 基 本 的 には 水 生 生 物 の 生 息 が 可 能 な 環 境 を 保 持 すべき 公 共 用 水 域 における 化 学 物 質 のばく 露 を 評 価 することとし データの 信 頼 性 を 確 認 した 上 で 安 全 側 に 立 った 評 価 の 観 点 から 原 則 と して 最 大 濃 度 により 評 価 を 行 っている (1) 環 境 中 への 排 出 量 本 物 質 は 化 学 物 質 排 出 把 握 管 理 促 進 法 ( 化 管 法 ) 第 一 種 指 定 化 学 物 質 ではないため 排 出 量 及 び 移 動 量 は 得 られなかった (2) 媒 体 別 分 配 割 合 の 予 測 化 管 法 に 基 づく 排 出 量 及 び 移 動 量 が 得 られなかったため Mackay-Type Level III Fugacity モデ ル 1) により 媒 体 別 分 配 割 合 の 予 測 を 行 った 予 測 結 果 を 表 2.1 に 示 す 表 2.1 Level Ⅲ Fugacity モデルによる 媒 体 別 分 配 割 合 (%) 媒 体 大 気 水 域 土 壌 大 気 / 水 域 / 土 壌 排 出 速 度 (kg/ 時 間 ) 1,000 1,000 1,000 1,000( 各 々) 大 気 0.0 0.0 0.0 0.0 水 域 7.8 99.1 7.0 10.7 土 壌 92.2 0.0 92.9 89.2 底 質 0.1 0.9 0.1 0.1 注 : 数 値 は 環 境 中 で 各 媒 体 別 に 最 終 的 に 分 配 される 割 合 を 質 量 比 として 示 したもの (3) 各 媒 体 中 の 存 在 量 の 概 要 本 物 質 の 環 境 中 等 の 濃 度 について 情 報 の 整 理 を 行 った 媒 体 ごとにデータの 信 頼 性 が 確 認 さ れた 調 査 例 のうち より 広 範 囲 の 地 域 で 調 査 が 実 施 されたものを 抽 出 した 結 果 を 表 2.2 に 示 す 媒 体 幾 何 平 均 値 表 2.2 各 媒 体 中 の 存 在 状 況 算 術 平 均 値 最 小 値 最 大 値 検 出 b) 検 出 率 調 査 地 域 測 定 年 度 文 献 下 限 値 d) 公 共 用 水 域 淡 水 µg/l <0.5 <0.5 <0.5 2.3 0.5 10/54 全 国 2006 2) 0.059 c) 0.33 c) 0.002 c) 4.0 c) 0.001 c) 20/20 全 国 2004 3) 0.58 c) 0.84 c) 0.043 c) 1.9 c) 0.0016 14/14 埼 玉 県 2002 4) e) f) 公 共 用 水 域 海 水 µg/l <0.5 <0.5 <0.5 <0.5 0.5 0/17 全 国 2006 2) 0.047 c) 0.077 c) 0.0089 c) 0.29 c) 0.0004 c) 12/12 東 京 湾 1998 5) 底 質 ( 公 共 用 水 域 淡 水 ) µg/g 底 質 ( 公 共 用 水 域 海 水 ) µg/g 3
注 :a) 最 大 値 または 幾 何 平 均 値 の 欄 の 太 字 で 示 した 数 字 は ばく 露 の 推 定 に 用 いた 値 を 示 す b) 検 出 下 限 値 の 欄 の 斜 体 で 示 されている 値 は 定 量 下 限 値 として 報 告 されている 値 を 示 す c) 4,4'-ビス(2-スルホスチリル)ビフェニル(DSBP) 濃 度 の 本 物 質 濃 度 換 算 値 d) 1997~1998 年 に 行 われた 調 査 で 最 大 6.9 μg/l( 本 物 質 換 算 値 )の 報 告 がある 5) e) HPLCによる 測 定 結 果 f) 2002~2003 年 に 行 われた 調 査 において 海 水 の 表 層 水 で0.0074~0.34 μg/l( 本 物 質 換 算 値 )の 報 告 がある 6) (4) 水 生 生 物 に 対 するばく 露 の 推 定 ( 水 質 に 係 る 予 測 環 境 中 濃 度 :PEC) 本 物 質 の 水 生 生 物 に 対 するばく 露 の 推 定 の 観 点 から 水 質 中 濃 度 を 表 2.3 のように 整 理 した 水 質 について 安 全 側 の 評 価 値 として 予 測 環 境 中 濃 度 (PEC)を 設 定 すると 公 共 用 水 域 の 淡 水 域 では 2.3 µg/l 程 度 海 水 域 では 0.5 µg/l 未 満 程 度 となった 表 2.3 公 共 用 水 域 濃 度 水 域 平 均 最 大 値 淡 水 0.5 µg/l 未 満 程 度 (2006) 2.3 µg/l 程 度 (2006) 海 水 0.5 µg/l 未 満 程 度 (2006) 注 :1) ( ) 内 の 数 値 は 測 定 年 度 を 示 す 2) 淡 水 は 河 川 河 口 域 を 含 む 0.5 µg/l 未 満 程 度 (2006) 4
3. 生 態 リスクの 初 期 評 価 水 生 生 物 の 生 態 リスクに 関 する 初 期 評 価 を 行 った (1) 水 生 生 物 に 対 する 毒 性 値 の 概 要 本 物 質 の 水 生 生 物 に 対 する 毒 性 値 に 関 する 知 見 を 収 集 し その 信 頼 性 及 び 採 用 の 可 能 性 を 確 認 したものを 生 物 群 ( 藻 類 甲 殻 類 魚 類 及 びその 他 )ごとに 整 理 すると 表 3.1 のとおりとなっ た 表 3.1 水 生 生 物 に 対 する 毒 性 値 の 概 要 生 物 群 急 性 慢 性 毒 性 値 [µg/l] 生 物 名 生 物 分 類 エンドポイント / 影 響 内 容 ばく 露 期 間 [ 日 ] 試 験 の 信 頼 性 採 用 の 可 能 性 文 献 No. 藻 類 1,870 Pseudokirchneriella subcapitata >28,600 Pseudokirchneriella subcapitata 緑 藻 類 NEC GR(RATE) EC 50 GR(RATE) 3 A A 3) *1 緑 藻 類 3 A A 3) *1 甲 殻 類 1,840 Daphnia magna オオミジンコ NEC REP 21 A A 2) 20,900 Daphnia magna オオミジンコ EC 50 IMM 2 A A 2) 40,330 Ceriodaphnia cf. dubia ニセネコゼミジ ンコと 同 属 EC 50 IMM 2 B B 1)-20672 魚 類 100,000 *2 ryzias latipes メダカ NEC GR 14 A C 2) >100,000 *2 ryzias latipes メダカ LC 50 MR 14 A C 2) >100,000 *2 ryzias latipes メダカ LC 50 MR 4 A A 2) 126,000 Ictalurus punctatus アメリカナマズ LC 50 MR 4 D C 1)-5513 130,000 ncorhynchus mykiss ニジマス LC 50 MR 4 D C 1)-5513 その 他 - - - - - - - - - - 毒 性 値 ( 太 字 ):PNEC 導 出 の 際 に 参 照 した 知 見 として 本 文 で 言 及 したもの 毒 性 値 ( 太 字 下 線 ): PNEC 導 出 の 根 拠 として 採 用 されたもの 試 験 の 信 頼 性 : 本 初 期 評 価 における 信 頼 性 ランク A: 試 験 は 信 頼 できる B: 試 験 は 条 件 付 きで 信 頼 できる C: 試 験 の 信 頼 性 は 低 い D: 信 頼 性 の 判 定 不 可 E: 信 頼 性 は 低 くないと 考 えられるが 原 著 にあたって 確 認 したものではない 採 用 の 可 能 性 :PNEC 導 出 への 採 用 の 可 能 性 ランク A: 毒 性 値 は 採 用 できる B: 毒 性 値 は 条 件 付 きで 採 用 できる C: 毒 性 値 は 採 用 できない エンドポイント EC 50 (Median Effective Concentration) : 半 数 影 響 濃 度 LC 50 (Median Lethal Concentration) : 半 数 致 死 濃 度 NEC (No bserved Effect Concentration) : 無 影 響 濃 度 影 響 内 容 GR (Growth) : 生 長 ( 植 物 ) 成 長 ( 動 物 ) IMM (Immobilization) : 遊 泳 阻 害 MR (Mortality) : 死 亡 REP (Reproduction) : 繁 殖 再 生 産 ( ) 内 : 毒 性 値 の 算 出 方 法 RATE: 生 長 速 度 より 求 める 方 法 ( 速 度 法 ) *1 文 献 2)をもとに 試 験 時 の 実 測 濃 度 ( 幾 何 平 均 値 )を 用 いて 速 度 法 により 0-72 時 間 の 毒 性 値 を 再 計 算 したものを 掲 載 *2 限 度 試 験 ( 毒 性 値 を 求 めるのではなく 定 められた 濃 度 において 毒 性 の 有 無 を 調 べる 試 験 )より 得 られた 値 5
評 価 の 結 果 採 用 可 能 とされた 知 見 のうち 生 物 群 ごとに 急 性 毒 性 値 及 び 慢 性 毒 性 値 のそれ ぞれについて 最 も 小 さい 毒 性 値 を 予 測 無 影 響 濃 度 (PNEC) 導 出 のために 採 用 した その 知 見 の 概 要 は 以 下 のとおりである 1) 藻 類 環 境 庁 2) は ECD テストガイドライン No. 201(1984)に 準 拠 し 緑 藻 類 Pseudokirchneriella subcapitata( 旧 名 Selenastrum capricornutum)の 生 長 阻 害 試 験 を GLP 試 験 として 実 施 した 設 定 試 験 濃 度 は 0( 対 照 区 ) 0.5 1.2 2.9 6.9 17 40mg/L( 公 比 2.4)であった 被 験 物 質 の 実 測 濃 度 は 試 験 開 始 時 と 試 験 終 了 時 において それぞれ 設 定 濃 度 の 68.2~88.3% 33.0~59.6% であり 毒 性 値 の 算 出 には 実 測 濃 度 ( 試 験 開 始 時 と 終 了 時 の 幾 何 平 均 )が 用 いられた 速 度 法 による 72 時 間 半 数 影 響 濃 度 (EC 50 )は 28,600µg/L 超 72 時 間 無 影 響 濃 度 (NEC)は 1,870µg/L であ った 3) 2) 甲 殻 類 環 境 庁 2) は ECD テストガイドライン No. 202(1984)に 準 拠 し オオミジンコ Daphnia magna の 急 性 遊 泳 阻 害 試 験 を GLP 試 験 として 実 施 した 試 験 は 止 水 式 で 行 われ 設 定 試 験 濃 度 区 は 0 ( 対 照 区 ) 8.0 14.0 26.0 47.0 84.0 151.0mg/L( 公 比 1.8)であった 試 験 には Elendt M4 飼 育 水 が 用 いられた 被 験 物 質 の 実 測 濃 度 は 試 験 開 始 時 試 験 終 了 時 において それぞれ 設 定 濃 度 の 30.5~95.1% 69.1~84.4%であり 毒 性 値 の 算 出 には 実 測 濃 度 ( 試 験 開 始 時 と 終 了 時 の 幾 何 平 均 )が 用 いられた 48 時 間 半 数 影 響 濃 度 (EC 50 )は 20,900µg/L であった また 環 境 庁 2) は ECD テストガイドライン No. 202(1984)に 準 拠 し オオミジンコ Daphnia magna の 繁 殖 試 験 を GLP 試 験 として 実 施 した 試 験 は 半 止 水 式 ( 週 3 回 換 水 )で 行 われ 設 定 試 験 濃 度 は 0( 対 照 区 ) 1.3 2.4 4.3 7.7 13.9 25.0mg/L( 公 比 1.8)であった 試 験 には Elendt M4 飼 育 水 が 用 いられた 被 験 物 質 の 実 測 濃 度 は 換 水 後 換 水 前 において それぞれ 設 定 濃 度 の 77.8~97.0% 62.1~82.2%であり 毒 性 値 の 算 出 には 実 測 濃 度 ( 時 間 加 重 平 均 値 )が 用 いられた 繁 殖 阻 害 ( 産 仔 数 )に 関 する 21 日 間 無 影 響 濃 度 (NEC)は 1,840µg/L であった 3) 魚 類 環 境 庁 2) は ECD テストガイドライン No. 203(1992)に 準 拠 し メダカ ryzias latipes の 急 性 毒 性 試 験 を GLP 試 験 として 実 施 した 試 験 は 半 止 水 式 (48 時 間 後 換 水 )で 行 われ 設 定 試 験 濃 度 は 0( 対 照 区 ) 100.0mg/L( 限 度 試 験 )であった 試 験 には 脱 塩 素 水 道 水 ( 硬 度 21.8mg/L CaC 3 換 算 )が 用 いられた 被 験 物 質 の 実 測 濃 度 は 試 験 期 間 を 通 して 設 定 濃 度 の 91.2~99.2%を 維 持 しており 毒 性 値 の 算 出 には 設 定 濃 度 が 用 いられた 被 験 物 質 ばく 露 による 毒 性 症 状 や 死 亡 は 観 察 されず 96 時 間 半 数 致 死 濃 度 (LC 50 )は 100,000µg/L 超 とされた (2) 予 測 無 影 響 濃 度 (PNEC)の 設 定 急 性 毒 性 及 び 慢 性 毒 性 のそれぞれについて 上 記 本 文 で 示 した 毒 性 値 に 情 報 量 に 応 じたアセ スメント 係 数 を 適 用 し 予 測 無 影 響 濃 度 (PNEC)を 求 めた 6
急 性 毒 性 値 藻 類 Pseudokirchneriella subcapitata 生 長 阻 害 ;72 時 間 EC 50 28,600µg/L 超 甲 殻 類 Daphnia magna 遊 泳 阻 害 ;48 時 間 EC 50 20,900µg/L 魚 類 ryzias latipes 96 時 間 LC 50 100,000µg/L 超 アセスメント 係 数 :100[3 生 物 群 ( 藻 類 甲 殻 類 及 び 魚 類 )について 信 頼 できる 知 見 が 得 ら れたため] 限 度 試 験 から 得 られた 魚 類 の 毒 性 値 を 除 いた 小 さい 方 の 値 ( 甲 殻 類 の 20,900µg/L)をアセ スメント 係 数 100 で 除 することにより 急 性 毒 性 値 に 基 づく PNEC 値 210µg/L が 得 られた 慢 性 毒 性 値 藻 類 Pseudokirchneriella subcapitata 生 長 阻 害 ;72 時 間 NEC 1,870µg/L 甲 殻 類 Daphnia magna 繁 殖 阻 害 ;21 日 間 NEC 1,840µg/L アセスメント 係 数 :100[2 生 物 群 ( 藻 類 及 び 甲 殻 類 )の 信 頼 できる 知 見 が 得 られたため] 2 つの 毒 性 値 の 小 さい 方 の 値 ( 甲 殻 類 の 1,840µg/L)をアセスメント 係 数 100 で 除 することに より 慢 性 毒 性 値 に 基 づく PNEC 値 18µg/L が 得 られた 本 物 質 の PNEC としては 甲 殻 類 の 慢 性 毒 性 値 から 得 られた 18µg/L を 採 用 する (3) 生 態 リスクの 初 期 評 価 結 果 表 3.2 生 態 リスクの 初 期 評 価 結 果 水 質 平 均 濃 度 最 大 濃 度 (PEC) PNEC PEC/ PNEC 比 公 共 用 水 域 淡 水 0.5µg/L 未 満 程 度 (2006) 2.3µg/L 程 度 (2006) 0.1 18 µg/l 公 共 用 水 域 海 水 0.5µg/L 未 満 程 度 (2006) 0.5µg/L 未 満 程 度 (2006) <0.03 注 :1) 水 質 中 濃 度 の( ) 内 の 数 値 は 測 定 年 度 を 示 す 2) 公 共 用 水 域 淡 水 は 河 川 河 口 域 を 含 む [ 判 定 基 準 ] PEC/PNEC=0.1 PEC/PNEC=1 現 時 点 では 作 業 は 必 要 ないと 考 えられる 情 報 収 集 に 努 める 必 要 があると 考 えられる 詳 細 な 評 価 を 行 う 候 補 と 考 えられる 本 物 質 の 公 共 用 水 域 における 濃 度 は 平 均 濃 度 でみると 淡 水 域 海 水 域 とも 0.5µg/L 未 満 程 度 であり 検 出 下 限 値 未 満 であった 安 全 側 の 評 価 値 として 設 定 された 予 測 環 境 中 濃 度 (PEC)は 淡 水 域 で 2.3µg/L 程 度 海 水 域 では 平 均 濃 度 と 同 様 に 0.5µg/L 未 満 程 度 であった 予 測 環 境 中 濃 度 (PEC)と 予 測 無 影 響 濃 度 (PNEC)の 比 は 淡 水 域 で 0.1 海 水 域 では 0.03 未 満 と なるため 情 報 収 集 に 努 める 必 要 があると 考 えられる 7
本 物 質 については 魚 類 の 慢 性 毒 性 試 験 を 実 施 し アセスメント 係 数 を 下 げた 上 で 再 度 評 価 を 行 うことが 望 ましいと 考 えられる 8
4. 引 用 文 献 等 (1) 物 質 に 関 する 基 本 的 事 項 1) HERA Project(2003): Human & Environmental Risk Assessment ingredients of European household cleaning products, Fluorescent Brightener FWA-5, DRAFT, Version November, 2003.( http://www.heraproject.com/riskassessment.cfm, 2009.12.15 現 在 ). 2) U.S. Environmental Protection Agency, APWIN v.1.92. 3) Howard, P.H. et al. ed. (1991): Handbook of Environmental Degradation Rates, Boca Raton, London, New York, Washington DC, Lewis Publishers: xiv. 4) U.S. Environmental Protection Agency, BCFBAF v.3.00. 5) 日 本 石 鹸 洗 剤 工 業 会 (2007) : 蛍 光 増 白 剤 のヒト 健 康 影 響 と 環 境 影 響 に 関 するリスク 評 価 の 結 果 について. (2)ばく 露 評 価 1) U.S. Environmental Protection Agency, EPI Suite v.4.00. 2) 環 境 省 水 大 気 環 境 局 水 環 境 課 (2008) : 平 成 18 年 度 要 調 査 項 目 測 定 結 果. 3) 真 名 垣 聡, 小 嶋 早 和 香, 原 田 新, 中 田 典 秀, 田 中 宏 明, 高 田 秀 重 (2005) : 高 速 液 体 クロマ トグラフィー 質 量 分 析 計 による 直 鎖 アルキルベンゼンスルホン 酸 塩 および 分 解 産 物 の 分 析 方 法 と 環 境 試 料 への 応 用. 水 環 境 学 会 誌. 28(10):621-628. 4) Motoyuki Takahashi, Kiyoshi Kawamura (2007) : Simple Measurement of 4,4 -bis(2-sulfostyryl)-biphenyl in River Water by Fluorescence Analysis and Its Application as an Indicator of Domestic Wastewater Contamination. Water Air Soil Pollut. 180:39-49. 5) Yuko Hayashi, Satoshi Managaki, Hideshige Takada (2002) : Fluorescent Whitening Agents in Tokyo Bay and Adjacent Rivers: Their Application as Anthropogenic Molecular Markers in Coastal Environments. Environ. Sci. Technol. 36(16):3556-3563. 6) Satoshi Managaki, Hideshige Takada, Dong-Myung Kim, Toshihiro Horiguchi, Hiroaki Shiraishi (2006) : Three-dimensional distributions of sewage markers in Tokyo Bay water fluorescent whitening agents (FWAs). Marine Pollution Bulletin. 52(3):281 292. (3) 生 態 リスクの 初 期 評 価 1) U.S.EPA AQUIRE 5513:Keplinger, M.L.,.E. Fancher, F.L. Lyman, and J.C. Calandra (1974): Toxicologic Studies of Four Fluorescent Whitening Agents. Toxicol.Appl.Pharmacol. 27(3):494-506. 20672:Warne, M.S.J., and A.D. Schifko (1999): Toxicity of Laundry Detergent Components to a Freshwater Cladoceran and Their Contribution to Detergent Toxicity. Ecotoxicol.Environ.Saf. 44(2):196-206. 2) 環 境 庁 (1997); 平 成 8 年 度 生 態 影 響 試 験 3) ( 独 ) 国 立 環 境 研 究 所 (2009): 平 成 20 年 度 化 学 物 質 環 境 リスク 評 価 検 討 調 査 報 告 書 9