資 料 9-2 鶏 の 改 良 増 殖 目 標 ( 案 ) 平 成 22 年 7 月
Ⅰ まえがき 食 料 は 人 間 の 生 命 の 維 持 に 欠 くことができないものであり かつ 健 康 で 充 実 した 生 活 の 基 礎 として 重 要 なものである 中 でも 鶏 肉 鶏 卵 はたんぱく 質 に 富 み 国 民 の 健 康 増 進 に 大 きく 貢 献 しており 将 来 にわたって 良 質 な 鶏 肉 鶏 卵 が 合 理 的 な 価 格 で 安 定 的 に 供 給 されなければ ならない 特 に 鶏 卵 は 生 産 者 の 努 力 等 により 小 売 価 格 がほとんど 変 わっていないため 物 価 の 優 等 生 と 言 われている 鶏 の 改 良 増 殖 は そのような 養 鶏 業 の 振 興 の 基 礎 となる 取 組 であることから 家 畜 改 良 増 殖 目 標 に 準 じて 平 成 32 年 度 の 鶏 の 能 力 体 型 及 び 羽 数 に 関 する 目 標 を 定 める 本 目 標 を 策 定 した ものである 本 目 標 は 計 3 回 にわたって 開 催 された 家 畜 改 良 増 殖 目 標 畜 種 別 研 究 会 ( 鶏 )において 鶏 についての 改 良 の 専 門 家 を 中 心 に 畜 産 経 営 消 費 者 問 題 流 通 販 売 等 の 知 見 も 踏 まえながら 技 術 的 見 地 から 検 討 を 行 った 検 討 に 当 たっては 畜 産 物 が 高 く 売 れる 生 産 量 が 多 い といった 従 来 からの 価 値 観 だ けでなく 特 色 ある 鶏 による 多 様 な 経 営 消 費 者 ニーズに 応 えた 畜 産 物 の 供 給 及 び 長 期 的 にひっ 迫 基 調 の 穀 物 需 給 への 適 応 といった 主 題 を 軸 に 目 標 の 策 定 を 目 指 した 具 体 的 には 特 色 ある 鶏 による 多 様 な 経 営 については 特 色 ある 鶏 の 増 殖 に 向 けた 種 鶏 の 十 分 な 羽 数 の 確 保 特 色 のある 製 品 を 供 給 できる 体 制 の 構 築 を 進 めていくこととした また 消 費 者 ニーズに 応 えた 畜 産 物 の 供 給 については 国 産 鶏 種 を 軸 に 特 色 ある 鶏 づくり の 支 援 消 費 者 の 購 買 行 動 を 踏 まえた 品 質 向 上 を 進 めていくこととした さらに 中 国 インド 等 新 興 国 を 中 心 とした 人 口 増 や 食 生 活 の 改 善 世 界 的 なバイオ 燃 料 需 要 の 高 まり 等 を 背 景 として 今 後 はとうもろこし 等 飼 料 穀 物 の 需 給 がひっ 迫 基 調 で 推 移 する 見 通 しであることを 踏 まえ 飼 料 効 率 の 改 善 による 飼 料 の 給 与 量 の 低 減 出 荷 日 齢 の 短 縮 等 を 盛 り 込 んだ 養 鶏 業 の 振 興 の 基 礎 となる 鶏 の 改 良 増 殖 には 長 い 年 月 と 多 大 な 労 力 を 必 要 とするが 優 秀 な 種 鶏 がもたらす 便 益 の 大 きさについて 国 及 び 行 政 施 策 の 実 施 機 関 である 独 立 行 政 法 人 家 畜 改 良 センターをはじめ 都 道 府 県 関 係 畜 産 団 体 等 改 良 増 殖 に 携 わる 関 係 者 一 同 が 認 識 を 共 有 し 本 目 標 に 沿 って 適 切 な 鶏 の 改 良 増 殖 の 推 進 養 鶏 業 の 健 全 な 発 展 に 不 断 の 努 力 を 注 いでいくこ とが 重 要 である また 本 目 標 を 踏 まえ それぞれの 生 産 現 場 において 適 切 な 種 鶏 の 選 択 がなされ 消 費 者 ニーズに 応 えた 多 様 な 形 態 の 畜 産 物 供 給 が 図 られるよう 都 道 府 県 市 町 村 その 他 地 域 で 技 術 普 及 を 進 める 方 々と 協 力 し 地 域 色 の 豊 かな 取 組 の 推 進 を 図 ることとする -1-
新 たな 鶏 の 改 良 増 殖 目 標 ( 案 ) Ⅷ 鶏 II 改 良 増 殖 目 標 1 改 良 目 標 (1) 改 良 事 業 の 概 要 鶏 の 改 良 については 昭 和 30 30 年 代 以 降 外 国 雛 の 輸 入 自 由 化 による 外 国 ( 注 1) 銘 柄 鶏 の 進 出 を 背 景 として 国 内 でも 集 団 遺 伝 学 による 系 統 造 成 や 組 み 合 ( 注 2) わせ 検 定 による 育 種 改 良 が 進 められてきた また 平 成 元 年 以 降 は 消 費 者 ニーズの 多 様 化 に 応 え 対 応 し 全 国 各 地 で 在 来 種 ( 注 3) 等 を 利 用 した 特 色 ある 鶏 ( 地 鶏 等 )の 作 出 改 良 が 進 められている 注 :1:) 系 統 造 成 素 材 とした 個 体 群 を 対 象 に 選 抜 と 交 配 を 繰 り 返 すことにより 遺 伝 的 に 優 良 で 斉 一 的 な 集 団 ( 系 統 )を 作 出 する 改 良 手 法 注 2:) 組 み 合 わせ 検 定 造 成 された 複 数 の 系 統 について 最 も 大 きな 雑 種 強 勢 効 果 を 発 揮 する 組 み 合 わせを 見 出 すために 交 配 し その 産 子 を 検 定 する 方 法 注 3:) 地 鶏 在 来 種 ( 地 鶏 肉 の 日 本 農 林 規 格 の 別 表 に 記 載 されているもの)の 純 系 によるも の 又 または 在 来 種 を 素 びなの 生 産 の 両 親 か 片 親 に 使 ったもので 在 来 種 由 来 の 血 液 百 分 率 が50 50 % 以 上 のものであって かつ その 生 産 方 式 で は 飼 育 期 間 が80 80 日 以 上 であり 28 28 日 齢 以 降 平 飼 いや1m2あた り10 10 羽 以 下 の 環 境 で 飼 育 したもの( 在 来 種 とは 地 鶏 肉 の 日 本 農 林 規 格 の 別 表 による) (2) 改 良 の 現 状 現 在 国 内 で 流 通 している 実 用 鶏 の 多 くは 外 国 銘 柄 鶏 であり 品 質 数 量 の 面 で 安 定 した 鶏 卵 鶏 肉 の 供 給 に 貢 献 してきたところである このうち 卵 用 鶏 については 飼 養 管 理 の 改 善 もあり 近 年 は 鈍 化 傾 向 にあるものの ( 注 1) ( 注 2) 日 産 卵 量 は 過 去 20 20 年 間 で 約 3 3g( 約 5%) 増 加 し 飼 料 要 求 率 は についても 約 0.1 0.1( 約 4%) 改 善 した 肉 用 鶏 については 同 様 に 過 去 20 20 年 間 で49 49 日 齢 体 重 が 約 400 400-2-
~500 500g( 約 18 ~ 23 %) 向 上 した 一 方 育 成 率 は 約 2.3 2.3%( 約 2%) 向 上 した 一 方 飼 料 要 求 率 についてはほぼ 横 ばいとなっている 一 方 で 国 産 鶏 については 国 都 道 府 県 及 び 民 間 の 関 係 機 関 が 一 体 となり 育 種 改 良 の 面 から 食 の 安 全 安 心 や 地 産 地 消 等 など 我 が 国 の 消 費 者 ニーズに 応 えた 対 応 した 鶏 卵 鶏 肉 の 生 産 供 給 に 貢 献 してきたところであるが 育 種 増 殖 規 模 の 制 約 等 から 鶏 群 の 能 力 の 斉 一 性 や 供 給 能 力 の 問 題 により 国 産 鶏 の 出 荷 シ ェアは 近 年 はわずかずつの 拡 大 にとどまっている( 国 産 鶏 の 出 荷 シェアは 卵 用 鶏 で 約 6~7% 肉 用 鶏 で 約 2%) しかしながら 今 後 海 外 での 高 病 原 性 鳥 インフルエンザ 等 の 悪 性 疾 病 が 発 生 した 場 合 種 鶏 の 輸 入 停 止 等 により 国 内 の 養 鶏 産 業 に 影 響 が 出 るおそ 恐 れもあり 食 料 の 安 定 供 給 の 観 点 から 我 が 国 の 消 費 者 ニーズ 気 候 風 土 に 適 応 した 鶏 の 改 良 増 殖 及 びその 普 及 の 推 進 に 努 めることが 重 要 である また 国 ( 独 立 行 政 法 人 家 畜 改 良 センター)が 改 良 した 決 して 自 らの 羽 毛 色 を 発 現 しない 地 鶏 生 産 に 適 した 増 体 性 がの 高 く 肉 質 の 優 れたい 肉 用 鶏 や 産 卵 性 卵 質 に 優 れる 等 の 良 い 卵 用 鶏 など 在 来 種 との 交 雑 に 適 した 卵 用 種 鶏 を 都 道 府 県 及 び 民 間 に 供 給 することにより 各 地 域 における 特 色 ある 鶏 の 生 産 を 支 援 しているところ であり 国 が 改 良 した 種 鶏 は 地 鶏 等 銘 柄 の8 割 の 生 産 に 利 用 されている 注 :1:) 日 産 卵 量 産 卵 率 は 一 定 の 期 間 における 鶏 群 の 産 卵 個 数 を その 期 間 の 鶏 群 の 延 べ 羽 数 で 除 した 数 値 日 産 卵 量 は 卵 重 量 に 産 卵 率 ( 一 定 の 期 間 における 鶏 群 の 産 卵 個 数 を その 期 間 の 鶏 群 の 延 べ 羽 数 で 除 した 数 値 )を 乗 じた 数 値 注 2:) 飼 料 要 求 率 卵 用 鶏 の 場 合 鶏 卵 1 kg を 生 産 するために 肉 用 鶏 の 場 合 体 重 1 kg を 増 加 するために 必 要 な 飼 料 量 であり 次 の 式 により 算 出 される(kg) 飼 料 要 求 率 = 飼 料 摂 取 量 増 体 量 等 (3) 能 力 に 関 する 改 良 目 標 今 後 の 国 際 化 の 進 展 長 期 的 な 飼 料 穀 物 需 給 のひっ 迫 に 対 応 していくため 飼 養 衛 生 管 理 方 法 の 改 善 と 併 せ 産 卵 能 力 産 肉 能 力 飼 料 の 利 用 性 等 の 改 良 を 図 るものとする また 全 国 各 地 で 行 われている 在 来 種 等 を 利 用 した 特 色 ある 鶏 の 能 力 向 上 及 び 伝 染 性 疾 病 によるその 消 失 のリスクの 低 減 を 図 るため 国 都 道 府 県 及 び 民 間 の 関 係 機 関 によるの 広 域 的 な 連 携 を 強 化 するとともに 消 費 者 ニーズに 応 えて 対 応 していく 上 で 重 要 な 形 質 である 卵 用 鶏 の 卵 質 の 改 良 及 び 肉 用 鶏 の 肉 質 の 改 良 -3-
を 進 めるものとする 1 卵 用 鶏 ア 飼 料 効 率 ( 飼 料 要 求 率 ) 長 期 的 な 飼 料 穀 物 の 需 給 のひっ 迫 が 予 想 されることから 引 き 続 き 飼 料 要 求 率 の 改 善 に 努 めるものとする なお 飼 料 要 求 率 の 改 善 に 当 あたっては 日 産 卵 量 の 低 下 につながらないよう 留 意 するものとする ( 注 イ 生 産 能 力 ( 産 卵 率 卵 重 量 日 産 卵 量 50 50% 産 卵 日 齢 ) 飼 料 要 求 率 の 改 善 とバランスを 取 りながら 産 卵 率 日 産 卵 量 を 改 善 す るとともに 卵 重 量 については61 61g ~63 63g とする また 早 期 に 産 卵 を 開 始 するとともに 早 期 に 目 標 卵 重 量 に 達 し 目 標 卵 重 量 を 維 持 する 産 卵 性 を 併 せて 追 求 するものとする 注 :50% 産 卵 日 齢 鶏 群 の 半 数 の 鶏 が 産 卵 を 開 始 する 日 齢 卵 用 鶏 の 能 力 に 関 する 目 標 数 値 ( 全 国 平 均 ) 飼 料 要 求 率 参 考 kg/kg (g / 個 ) 鶏 卵 の 生 産 能 力 産 卵 率 卵 重 量 日 産 卵 量 50 % 産 卵 日 齢 g/ 個 % g g 日 現 在 2.1 (130 ) 84 62 52 147 目 標 平 成 ( 32 年 度 ) 2.0 (124 ) 86 61~63 52~54 145 注 1: 飼 料 要 求 率 産 卵 率 卵 重 量 及 び 日 産 卵 量 は それぞれの 鶏 群 の 50 % 産 卵 日 齢 に 達 した 日 から1 1 年 間 における 数 値 であ る 注 2: 飼 料 要 求 率 の 参 考 の( ) 内 は 1 個 (62 g) 当 たり(62g) の 卵 を 生 産 するのに 必 要 な 飼 料 量 (g)の 数 値 であり 参 考 値 であ る ウ その 他 の 能 力 に 関 する 改 良 事 項 (ア) 卵 質 -4-
産 卵 期 間 を 通 じて 安 定 した 品 質 の 卵 が 生 産 されるよう 生 産 流 通 段 階 での 破 卵 の 発 生 の 低 減 を 図 るため 卵 殻 強 度 の 改 良 を 進 める 図 るとと もに 消 費 者 ニーズに 応 えた 対 応 した 卵 殻 色 ハウユニット ( 注 1) 肉 斑 血 斑 等 の 改 良 を 進 める 図 るものとする ( 注 2) (イ) 育 成 率 生 存 率 生 産 性 の 向 上 を 図 るため 疾 病 に 対 する 遺 伝 的 な 強 健 性 の 付 与 飼 養 衛 生 管 理 の 改 善 等 により 育 成 率 及 び 生 存 率 の 向 上 に 努 めるものとする 注 1:)ハウユニット 鶏 卵 の 鮮 度 を 判 定 する 指 標 として 示 されるもので 次 の 式 により 算 出 計 算 される 100log(H - 1.7W 0.37 + 7.6) H は 割 った 卵 の 卵 白 の 高 さ(mm) W は 卵 重 (g) 注 2: 育 成 率 生 存 率 育 成 率 は え 付 け 羽 数 に 占 める 生 存 している 雛 の 割 合 であり 生 存 率 は 生 後 5ヶ 月 齢 等 の 羽 数 に 占 める 生 存 している 鶏 の 割 合 2 肉 用 鶏 ア 飼 料 効 率 ( 飼 料 要 求 率 ) 長 期 的 な 飼 料 穀 物 の 需 給 のひっ 迫 が 予 想 されることから 引 き 続 き 飼 料 要 求 率 の 改 善 に 努 めるものとする ただし 飼 料 要 求 率 の 改 善 に 当 あたっては 増 体 の 低 下 につながらないよう 留 意 するものとする イ 生 産 能 力 (49 49 日 齢 体 重 ) 飼 料 要 求 率 の 改 善 とバランスを 取 りながら 増 体 に 努 めるを 向 上 させるも のとする ウ 育 成 率 育 成 率 については 飼 養 衛 生 管 理 の 改 善 と 併 あわせて 疾 病 に 対 する 遺 伝 的 な 強 健 性 の 付 与 により 向 上 に 努 めるものとする 肉 用 鶏 ブロイラーの 能 力 に 関 する 目 標 数 値 ( 全 国 平 均 ) 飼 料 要 求 率 体 重 育 成 率 参 考 ( 出 荷 日 齢 ) 現 在 (kg/kg) g % 2.0 2,700 97 ( 50 日 ) 目 標 ( 平 成 32 32 1.9 2,800 98 ( 49 日 ) -5-
年 度 ) え 付 けから 49 日 齢 までの 期 間 に 消 費 した 飼 料 量 注 :1:) 飼 料 要 求 率 は 雌 雄 の49 日 齢 における 平 均 体 重 及 びえ 付 けから49 日 齢 までの 期 間 に 消 費 した 飼 料 量 から 算 出 したものである = 49 日 齢 時 における 体 重 注 2:) 体 重 は 雌 雄 の 49 日 齢 時 の 平 均 体 重 である 49 日 齢 時 における 生 存 羽 数 注 3:) 育 成 率 は 49 日 齢 の 育 成 率 である = 鶏 群 のえ 付 け 羽 数 注 4:) 参 考 の( ) 内 出 荷 日 齢 は 平 均 的 な 出 荷 体 重 (2,800 2,800g) の 到 達 日 齢 であり 参 考 値 である エ その 他 の 能 力 に 関 する 改 良 事 項 注 (ア) コマーシャル 雛 ) ヒナの 効 率 的 な 供 給 を 図 るため 母 系 種 鶏 の 繁 殖 能 力 の 向 上 に 努 めるものとする (イ) 腹 腔 内 脂 肪 量 の 減 少 を 図 りながら 産 肉 性 の 向 上 に 努 めるものとする 注 :コマーシャル 雛 ヒナ 鶏 卵 鶏 肉 の 生 産 のために 最 も 大 きな 雑 種 強 勢 効 果 を 発 揮 するよう な 種 鶏 を 交 配 して 生 産 した 雛 ヒナ (4) その 他 の 能 力 向 上 に 資 する 取 組 み 1 改 良 手 法 ア 国 産 鶏 の 系 統 造 成 に 当 たっては 流 動 的 な 消 費 者 ニーズに 応 える 対 応 する ため 遺 伝 的 多 様 性 なジーンプールを 保 持 した 上 で 実 用 レベルの 迅 速 な 供 給 が 可 能 な 育 種 規 模 を 確 保 する イ 在 来 種 等 を 利 用 した 特 色 ある 鶏 の 作 出 に 当 あたっては 産 卵 性 産 肉 性 等 の 生 産 性 に 配 慮 し 食 味 等 のみならず 経 済 性 にも 配 慮 した 系 統 造 成 に 努 めるとともに 組 み 合 わせ 検 定 を 行 うものとする ウ 卵 質 肉 質 等 に 関 する 統 一 的 な 評 価 手 法 の 確 立 利 用 を 推 進 し 効 率 的 な 改 良 に 資 するものとする 2 飼 養 衛 生 管 理 鶏 の 遺 伝 的 能 力 を 十 分 に 発 揮 させ 生 産 性 を 向 上 するためには -6-
ア 飼 料 設 計 の 改 善 イ 暑 熱 対 策 や 良 質 な 飼 料 や 水 の 給 与 等 など 鶏 の 快 適 性 に 配 慮 した 飼 養 管 理 (アニマルウェルフェア) ウ HACCP 方 式 導 入 等 による 衛 生 管 理 の 徹 底 等 などの 取 組 が 重 要 である なお 飼 料 用 米 の 利 用 については 給 与 実 証 試 験 や 実 態 調 査 等 の 生 産 から 加 工 販 売 までの 主 体 的 な 取 組 に 必 要 な 情 報 の 収 集 提 供 を 推 進 する これら 飼 養 衛 生 管 理 の 適 切 な 実 施 により 卵 質 肉 質 等 の 向 上 に 努 める ものとする 3 食 味 肉 の 歯 ごたえ アミノ 酸 組 成 脂 肪 酸 組 成 等 など おいしさ 評 価 に 関 する 科 学 的 知 見 の 蓄 積 に 努 め 将 来 的 に 消 費 者 の 視 点 に 立 った 評 価 として 利 用 可 能 な おいしさ に 関 する 成 分 含 有 量 の 指 標 化 の 検 討 を 進 めるものとする 注 :なお 鶏 もも 肉 の 生 産 割 合 に 着 目 した 改 良 は 困 難 であることから 低 需 要 部 位 であるむね 肉 については 多 様 な 調 理 法 等 など 消 費 拡 大 の 取 組 に 必 要 な 情 報 の 収 集 提 供 を 推 進 する 2 増 殖 目 標 鶏 卵 鶏 肉 の 需 要 動 向 に 即 した 生 産 を 行 うことを 旨 として 飼 養 羽 数 の 目 標 を 次 以 下 のとおり 設 定 する 卵 用 鶏 :171 百 万 羽 ( 現 在 181 百 万 羽 ) 肉 用 鶏 :106 百 万 羽 ( 現 在 107 百 万 羽 ) また 多 様 化 する 消 費 者 のニーズに 応 え 国 は 特 色 ある 鶏 の 増 殖 に 向 けた 種 鶏 の 羽 数 が 十 分 に 確 保 されるよう 努 めるものとする -7-
( 参 考 ) 鶏 をめぐる 情 勢 1 鶏 をめぐる 情 勢 我 が 国 の 養 鶏 は 食 生 活 の 多 様 化 高 度 化 に 伴 い 鶏 卵 鶏 肉 に 対 する 需 要 が 堅 調 な 伸 びを 示 す 中 で 良 質 で 安 価 なたんぱく 蛋 白 質 を 供 給 するとともに 地 域 経 済 を 支 える 重 要 な 産 業 として 発 展 してきた この 発 展 過 程 において 生 産 については 飼 養 戸 数 が 減 少 する 中 で 配 合 飼 料 鶏 用 ワクチン ケージ 飼 育 自 動 給 餌 器 等 の 開 発 普 及 により 生 産 性 の 向 上 と ともに 省 力 化 及 び1 一 戸 当 たりの 飼 養 規 模 の 拡 大 が 進 展 し その 生 産 基 盤 の 維 持 拡 大 が 図 られてきた しかしながら 近 年 の 養 鶏 をめぐる 状 況 を 見 ると 需 要 がかつての 増 加 傾 向 か ら 横 ばい 基 調 に 移 行 する 中 で 鶏 ふん 処 理 等 の 環 境 保 全 対 策 や 世 界 の 主 要 生 産 国 及 びアジア 諸 国 で 発 生 している 高 病 原 性 鳥 インフルエンザをはじ 始 めとする 各 種 疾 病 に 対 する 衛 生 対 策 更 には 鶏 卵 の 賞 味 期 限 表 示 に 関 する 新 たなマニュアル の 遵 守 等 など 消 費 者 の 品 質 及 び 食 の 安 全 安 心 に 対 する 要 望 への 対 応 が 強 く 求 めら れている また 今 後 WTOや FTA 交 渉 の 進 展 による 一 層 の 等 今 後 国 際 化 の 進 展 が 予 想 さ れる 中 で 輸 入 品 に 対 抗 すべく より 一 層 の 生 産 コストの 低 減 品 質 の 向 上 等 による ブランド 銘 柄 化 の 取 組 が 行 われている 2 これまでの 改 良 の 取 組 と 成 果 (1) 改 良 事 業 等 の 変 遷 養 鶏 の 発 展 過 程 において 鶏 の 育 種 改 良 による 能 力 の 向 上 は 飼 養 衛 生 管 理 技 術 の 改 善 とともに 生 産 性 向 上 の 面 で 大 きな 役 割 を 果 たしてきた 我 が 国 における 卵 用 鶏 の 改 良 は 大 正 期 以 降 民 間 育 種 家 において 実 施 され 世 界 でもトップレベルの 鶏 が 作 出 されていたが 昭 和 3030 年 代 からはより 海 外 から 大 規 模 飼 育 に 適 した 斉 一 性 の 高 い 外 国 銘 柄 鶏 が 輸 入 され そのシェアを 伸 ばした 一 方 肉 用 鶏 については 卵 用 種 及 び 卵 肉 兼 用 種 を 肉 用 として 利 用 す る 生 産 方 式 から 海 外 から 産 肉 性 の 優 れた 肉 用 種 を 導 入 し 短 期 間 で 肥 育 して 出 荷 する 生 産 方 式 が 急 速 に 広 まった この 間 我 が 国 独 自 の 鶏 の 造 成 を 行 うべく 国 ( 現 ( 独 ) 独 立 行 政 法 人 家 畜 改 良 センター) は 決 して 自 らの 羽 毛 色 を 発 現 しない 地 鶏 生 産 に 適 した 増 体 性 が の 高 く 肉 質 の 優 れたい 肉 用 鶏 や 産 卵 性 や 卵 質 に 優 れる 等 の 良 い 採 卵 鶏 など 在 来 種 と の 交 雑 に 適 した 卵 用 種 鶏 を 都 道 府 県 及 び 民 間 に 供 給 することにより 国 は 集 団 遺 伝 学 に 基 づく 系 統 造 成 都 道 府 県 や 民 間 は 組 み 合 わせ 検 定 による 卵 用 鶏 及 び -8-
肉 用 鶏 ( 国 産 鶏 )のための 育 種 改 良 事 業 を 実 施 している こうした 取 組 により 以 来 我 が 国 の 鶏 の 改 良 は 能 力 的 に 外 国 銘 柄 鶏 と 遜 色 のな い 水 準 まで 向 上 させることを 目 標 に 実 施 してきたところであり 肉 用 鶏 ブロイラ ーについては 未 だ 能 力 的 に 外 国 銘 柄 鶏 に 比 べ 若 干 劣 るものの 卵 用 鶏 について はほとんど 遜 色 ない 水 準 に 達 している また 近 年 消 費 者 ニーズの 多 様 化 等 に 応 えて 対 応 して 卵 用 鶏 については 特 色 ある 卵 を 産 む 鶏 の 作 出 が 取 り 組 まれており また 肉 用 鶏 については 一 般 的 なブロイラーとは 異 なり 在 来 種 等 を 利 用 した 特 色 ある 鶏 の 作 出 が 全 国 各 地 で 取 り 組 まれている おり これらの 鶏 作 出 用 の 基 礎 鶏 ( 能 力 が 明 らかな 系 統 の 鶏 )の 育 種 改 良 において ( 独 ) 独 立 行 政 法 人 家 畜 改 良 センター 及 び 都 道 府 県 が 大 きな 役 割 を 果 たしている (2) 成 果 外 国 銘 柄 鶏 を 含 めた 我 が 国 全 体 の 鶏 の 能 力 の 推 移 としては 次 以 下 のとおり である 卵 用 鶏 については 産 卵 率 飼 料 要 求 率 等 の 経 済 形 質 において 最 近 鈍 化 傾 向 にはあるものの これまで 着 実 に 向 上 しており 過 去 2020 年 間 に 産 卵 率 がで 7979%から8585%に 飼 料 要 求 率 がで2.22.2から2.12.1とになる 等 着 実 に 向 上 改 善 している 肉 用 鶏 についても 体 重 飼 料 要 求 率 等 の 経 済 形 質 において 最 近 4 年 間 は ほぼほとんど 横 ばいであるものの 過 去 2020 年 間 に 体 重 がで2.22.2kgから2. 72.7kgに 出 荷 日 齢 がで5555 日 齢 から5050 日 齢 にと 向 上 改 善 し 飼 料 要 求 率 は2.02.0からほぼ 横 ばいの1.95に1.95となっている また 国 産 鶏 の 普 及 について 肉 用 鶏 としての 出 荷 羽 数 がにおいては 食 鳥 全 体 の 出 荷 羽 数 に 占 めるシェアはわずかではあるものの 都 道 府 県 や 民 間 で 作 出 した 在 来 種 等 を 利 用 した 特 色 ある 地 鶏 等 は 現 在 47 銘 柄 鶏 については 平 成 11 年 に 策 定 された 地 鶏 肉 のJAS 規 格 の 認 定 事 業 者 により 生 産 されている 銘 柄 は 現 在 19 まで 増 加 している また 国 が 改 良 した 種 鶏 はその 地 鶏 等 銘 柄 の8 割 の 生 産 に 利 用 されており 各 地 域 における 特 色 のある 鶏 生 産 に 貢 献 しているところである さらに ( 独 ) 独 立 行 政 法 人 家 畜 改 良 センターで 作 出 した 銘 柄 鶏 はりま や たつの の 出 荷 羽 数 も 拡 大 してきているた 卵 用 種 や 卵 肉 兼 用 種 においても 都 道 府 県 民 間 で の 作 出 が 進 められており ( 独 ) 独 立 行 政 法 人 家 畜 改 良 センターでは 銘 柄 鶏 岡 崎 おうはん を 作 出 し 今 後 の 出 荷 羽 数 の 拡 大 が 期 待 される 以 上 のとおり 鶏 の 育 種 改 良 の 成 果 は 飼 養 管 理 の 技 術 の 改 善 と 相 まって 我 が 国 の 養 鶏 の 生 産 のコストの 低 減 及 び 体 質 強 化 とともに 消 費 者 ニーズへの 対 応 に 役 立 っており 我 が 国 養 鶏 生 産 の 基 盤 を 支 えるものとなっている -9-