サブプライム 問 題 2008 年 10 月 17 日 危 機 の 起 源 住 宅 バブルの 誕 生 ( 住 宅 バブル 化 の 金 融 政 策 の 失 敗 ) サブプライム 問 題 の 起 源 は 2000 年 後 半 に 起 きた IT バブルに 遡 る 当 時 FRB( 連 邦 準 備 銀 行 )は FF 金 利 (フェデラル ファンド 金 利 銀 行 間 短 期 金 利 )を 数 ヶ 月 の 間 に 6.5% から 3.5%まで 引 き 下 げて IT バブル 崩 壊 に 対 応 した ところが 2001 年 の 9.11 テロが 発 生 する FRB は この 事 件 を 受 けて 更 に 金 利 を 引 き 下 げた 2003 年 7 月 には アメリカの 金 利 は 1%という 半 世 紀 ぶりの 低 水 準 にまで 下 がり 1 年 間 その 水 準 にとどまったのだった 名 目 上 の 金 利 からインフレ 率 を 引 いた 実 質 短 期 金 利 は 31 ヶ 月 間 にわたってマイナスだった 実 質 金 利 がマイナスという 超 金 融 緩 和 政 策 は 住 宅 バブルと LBO(レバレッジド バイアウト/ 買 収 対 象 企 業 の 資 産 を 担 保 に 多 額 の 借 金 をして 買 収 を 実 行 する 投 資 手 法 )の 爆 発 的 増 加 をもたらした マイナス 金 利 というのは 資 金 を 借 りるコストが 事 実 上 無 料 だということを 意 味 する 資 金 の 貸 し 手 としては 借 りたい 者 がいなくなるまで 貸 し 続 けるのが 合 理 的 であるという ことになる そして その 通 りに 行 動 したのが 住 宅 ローン 各 社 だった 貸 付 基 準 を 緩 め さまざまな 新 手 法 を 導 入 して 売 上 を 伸 ばし 手 数 料 収 入 を 増 やしていったのである 2000 年 から 2005 年 半 ばにかけて アメリカの 既 存 住 宅 の 市 場 価 値 は 50% 以 上 も 上 昇 した 新 築 住 宅 建 設 も 凄 まじい 勢 いで 進 んだ 米 証 券 大 手 メリルリンチは 2005 年 前 半 に おけるアメリカの GDP 増 加 分 のおおよそ 半 分 は 住 宅 関 連 だと 推 計 した この 場 合 住 宅 関 連 というものには 住 宅 建 設 や 家 具 の 購 入 といった 直 接 的 なものと 住 宅 ローンの 1
借 り 換 えで 生 じた 余 剰 資 金 による 消 費 のような 間 接 的 なものとの 2 通 りがあった 1997 年 から 2006 年 にかけてアメリカの 消 費 者 が ローンの 借 り 換 えや 転 売 などの 手 法 で 住 宅 資 本 ( 住 宅 の 市 場 価 値 からローンの 残 債 を 引 いた 金 額 )から 推 計 9 兆 ドルの 現 金 を 引 き 出 している 1 2000 年 以 降 このような 住 宅 資 本 の 現 金 化 が 個 人 消 費 の 3% 相 当 を 賄 っていると 推 計 された 特 に 2006 年 第 一 四 半 期 は 住 宅 資 本 の 現 金 化 は 個 人 の 可 処 分 所 得 の 10%に 達 している 2 このような 背 景 の 中 2007 年 8 月 今 回 の 金 融 危 機 が 始 まった この 月 に 主 要 先 進 国 の 中 央 銀 行 が それぞれの 国 の 銀 行 システムに 資 金 を 供 給 しなければならないことを 認 め たのである 危 機 の 進 展 は 以 下 の 通 りだ 2007 年 8 月 6 日 アメリカン ホーム モーゲージ( 米 大 手 住 宅 ローン 会 社 )が 倒 産 8 月 9 日 BNP パリバ 銀 行 ( 仏 )が 系 列 3 ファンドの 営 業 を 一 時 停 止 短 期 資 金 市 場 から 資 金 が 干 上 がる 欧 州 中 央 銀 行 は ユーロ 圏 の 各 銀 行 に 950 億 ユーロを 注 ぎ 込 む FRB 日 銀 もこれに 追 随 8 月 10 日 欧 州 中 央 銀 行 追 加 で 610 億 ドルを 資 金 供 給 FRB 無 制 限 資 金 供 給 を 宣 言 8 月 13 日 欧 州 中 央 銀 行 さらに 477 億 ユーロを 資 金 注 入 FRB 日 銀 も 追 随 ゴールドマン サックスが 系 列 のファンドに 30 億 ドルの 緊 急 融 資 8 月 16 日 カントリーワイド ファイナンス 社 ( 全 米 最 大 の 住 宅 ローン 会 社 )が 融 資 枠 を 使 い 切 ってしまったことを 宣 言 した ラムズ 社 ( 豪 の 住 宅 ローン 会 社 )も 資 金 繰 りが 苦 しいことを 認 めた 8 月 17 日 FRB 割 引 率 ( 銀 行 への 貸 出 金 利 )を 0.5% 引 き 下 げた 先 進 諸 国 の 中 央 銀 行 は さらに 多 額 の 資 金 を さらに 長 期 にわたって 金 融 システムに 供 給 せざるを 得 ず かつてないほど 多 様 な 証 券 を 担 保 として 預 ることになった 9 月 13 日 ノーザン ロック( 英 最 大 住 宅 ローン 銀 行 )が 破 綻 寸 前 であることを 明 らかに した イギリスで 1 世 紀 ぶりの 取 り 付 け 騒 ぎ 1 元 経 済 諮 問 委 員 会 委 員 長 のマーティン フェドスタインによる 推 計 2 2005 年 FRB 調 査 より 2
実 質 マイナス 金 利 下 で 詐 欺 同 然 の 貸 し 出 しを 行 う 金 融 機 関 や 不 動 産 ブローカー IT バブル 以 降 の 低 金 利 下 において 住 宅 価 格 が 二 桁 成 長 を 続 け 投 機 も 活 発 になった 不 動 産 の 価 値 が 金 利 以 上 に 上 昇 すると 予 想 されるときには 自 分 が 住 むのに 必 要 な 以 上 に 所 有 することは 賢 明 な 投 資 ということになる 2005 年 4 月 になるとアメリカ 人 の 購 入 する 住 宅 の 4 割 が 投 資 用 か 別 荘 用 になっていた 実 は 今 世 紀 に 入 ってからのアメリカ 人 の 実 質 所 得 の 中 央 値 ( 普 通 の 人 のデータを 知 る 上 での 指 標 )を 見 るかぎりでは その 伸 び 率 はいたって 微 弱 のものでしかなかった 普 通 のアメリカ 人 の 経 済 力 は 決 して 力 強 い 成 長 を 見 せていたわけではなかったのだ そこで 住 宅 ローンの 貸 し 手 は 詐 欺 同 然 の 工 夫 でもって 一 般 庶 民 にも 住 宅 を 手 の 届 くようなもののように 見 せかけようと 画 策 した そのひとつが 変 動 金 利 ローン (たと えば 最 初 の 2 年 間 だけ 金 利 を 市 場 水 準 よりも 低 く 設 定 するといったものだった 2 年 後 にな ってローンの 利 子 が 上 がるときには 住 宅 価 格 はさらに 上 がっているし 返 済 を 続 けてい れば 信 用 も 増 すから もっと 条 件 の 良 いローンへの 借 り 換 えも 可 能 だと 借 り 手 は 説 得 された また ローン 会 社 は 借 り 換 えを 促 進 してそのたびに 手 数 料 を 受 け 取 った )があ る こうしてローンの 貸 付 の 基 準 が 緩 められ 一 般 の 借 り 手 ばかりでなく ローンを 組 むの が 難 しい( 信 用 度 の 低 い) サブプライム の 借 り 手 にもローンが 大 量 に 供 給 された サブ プライム ローンの 中 には 嘘 つきローン( 所 得 や 資 産 に 関 する 証 拠 書 類 の 提 示 をろくろ く 求 めないまま 借 り 手 に 貸 し 付 けるローン) や NINJA ローン(ニンジャ ローン/ No-Income No-Job no-asset ローン 無 所 得 無 職 無 資 産 の 個 人 に 貸 し 付 けるローン) なども 含 まれていた 証 券 化 という 言 葉 で 騙 された 投 資 家 さて アメリカでは 銀 行 や 貯 蓄 貸 付 組 合 ( 貯 蓄 と 住 宅 ローンに 特 化 した 金 融 機 関 )が 住 宅 ローン 融 資 を 決 めた 場 合 融 資 自 体 は 住 宅 ローンの 貸 付 を 専 門 に 行 う 業 者 ブローカー によって 貸 し 付 けられ そうして 発 生 した 住 宅 ローン 債 権 が 銀 行 に 集 められ まとめて 証 券 会 社 に 売 られるのが 一 般 的 だ その 後 証 券 会 社 は 買 い 取 った 住 宅 ローン 債 権 を 一 ま とめの 証 券 にして 格 付 け 機 関 ( 証 券 の 発 行 体 から 資 金 をもらって 証 券 の 審 査 を 行 う 民 間 組 織 審 査 基 準 があいまいということで 問 題 視 されている)からお 墨 付 きを 受 けて 機 関 投 資 家 に 売 りつけるのである このとき 証 券 会 社 はリスクの 高 い 住 宅 ローン 債 権 を 何 本 も 組 み 合 わせて CDO( 資 産 担 保 証 券 の 一 種 )という 名 称 の 新 たな 資 産 担 保 証 券 に 仕 立 てて 売 却 した CDO は 何 千 も のローンの 利 払 いと 返 済 から 生 じるキャッシュフローを 一 括 して これをさまざまな 組 み 合 わせかならなる 金 融 商 品 に 分 割 しなおしたもので 利 回 りやリスクが 複 雑 化 する 半 面 さまざまな 投 資 需 要 に 応 えることが 出 来 るという 触 れ 込 みだった これらの CDO のおそらく 8 割 程 は 格 付 け 会 社 から 最 高 レベルの AAA(トリプルエー) 3
の 格 付 けを 与 えられた これよりも 格 付 けの 低 い CDO は 元 になっている 住 宅 ローンが 不 良 債 権 化 したときに 負 わされるリスクが 高 かったが その 分 利 回 りが 高 かった しかも 銀 行 や 格 付 け 機 関 はこのリスクを 大 幅 に 過 小 評 価 していた こうした 証 券 化 は リスクを 段 階 評 価 し 元 になる 資 産 を 分 散 させることで リスクを 低 くするとされていた ところが 実 際 には 住 宅 ローンの 債 権 の 所 有 権 を 借 り 手 と 直 接 やりとりする 銀 行 から 借 り 手 とはまるで 無 関 係 の 投 資 家 へと 次 々に 移 転 することでリス クを 高 めてしまったのだ 債 権 のリスクを 他 人 が 引 き 受 けるのであれば ローンの 貸 し 手 の 貸 付 審 査 は どうしても 緩 くなってしまう 典 型 的 なモラル ハザード( 倫 理 崩 壊 )で ある しかも ローンの 貸 し 付 けから 最 後 のローン 債 権 の 売 却 まで 各 段 階 で 手 数 料 が 発 生 する 売 り 買 いされる 資 産 が 大 きければ 大 きいほど それを 扱 う 金 融 機 関 のボーナスも 多 額 となった それが 住 宅 バブルを 急 激 に 膨 張 させた 2005 年 から 前 述 したような 証 券 化 が 過 熱 した これらの 合 成 金 融 商 品 は 簡 単 に 作 り 出 すことが 出 来 た その 結 果 リスクの 高 い 証 券 が 実 際 に 供 給 されている 資 産 の 何 倍 に も 増 えた 証 券 会 社 は CDO を 更 に 分 解 して 組 みなおし CDO2 更 にもう 一 回 分 解 し て 組 みなおした CDO3 まで 作 り 出 していった 格 付 けの 低 い CDO でも 格 付 けの 高 い 債 券 と 組 み 合 わせることで AAA の 格 付 けが 与 えられることがあった こうして AAA 総 量 を 上 回 る 残 高 の AAA 債 券 が 生 み 出 され しまいには 総 取 引 量 の 半 分 にまで 達 した 安 易 な 証 券 化 ブームは 住 宅 ローン 債 券 に 限 定 されず 他 の 形 の 債 券 にまで 広 が った 合 成 証 券 市 場 の 半 分 を 軽 く 上 回 る 割 合 を 占 めていたのは CDS(クレジット デ フォルト スワップ)である CDS は 複 雑 な 合 成 金 融 商 品 で 1990 年 代 初 頭 にヨーロッ パで 開 発 され 初 期 には 二 つの 銀 行 間 の 個 別 の 合 意 という 形 を 取 っていた CDS は 現 物 債 券 を 取 引 することなく その 発 行 体 の 信 用 リスク(デフォルト リスク)のみを 取 引 するための ツールであり 社 債 等 のデフォルトに 対 するプロテクション( 保 証 )を 売 買 する CDS 取 引 は 金 利 スワップと 同 様 相 対 取 引 で 行 われる 例 として ある A 銀 行 が X 社 の 社 債 の 信 用 リスクに 対 するプロテクションを B 銀 行 に 売 却 するとする X 社 債 がデフォルトした 場 合 には A 銀 行 が B 銀 行 CDS 取 引 で 想 定 された 元 本 相 当 額 を 支 払 うと 同 時 に B 銀 行 は A 銀 行 にデフォルトした 同 額 面 の 現 物 を 受 け 渡 すこととなる CDS 2 者 間 ( 買 い 手 と 売 り 手 )の 間 で 結 ばれた 次 のような 契 約 である 買 い 手 が 企 業 A( 参 照 企 業 と いう)への 貸 付 債 権 や 社 債 を 持 っている 場 合 などを 想 定 するとわかりやすい 4
買 い 手 は 売 り 手 に 定 期 的 にプレミアム( 保 険 料 )を 支 払 う 売 り 手 は 参 照 企 業 A がデフォルト( 債 務 不 履 行 )した 際 に あらかじめ 決 められたルー ルに 従 い その 買 い 手 の 損 失 を 補 償 する 企 業 A に 対 して 貸 付 債 券 などを 持 っている 銀 行 が CDS を 購 入 することにより 貸 し 倒 れのリ スクを 分 散 することが 可 能 となる 具 体 的 な 例 A 社 と B 社 がリスクの 高 い 社 債 L を 1 兆 円 ずつ 購 入 する 社 債 L を 対 象 にした CDS を A 社 と B 社 が お 互 いに 100 億 円 で 売 買 しあえば リスクプレミアムは 相 殺 されたまま 社 債 L の 引 当 金 は BS から 消 える この 場 合 CDS が 清 算 されても A 社 B 社 間 での 金 の 移 動 は 起 こらないが 社 債 L が 900 億 ま で 値 下 がりした 場 合 CDS で 消 したリスクが 突 如 として 9100 億 円 の 実 際 の 損 失 として 発 生 す る 具 体 的 な 例 2 倒 産 リスク 100%の 社 債 Zを 100 万 円 分 購 入 する 利 回 りは 年 30%で 30 万 円 である 社 債 Zを 対 象 にした CDS を 100 万 円 分 購 入 する これによってZ 社 が 倒 産 しても 社 債 元 本 は CDS で 帰 ってくるのでリスクは 0 である 通 常 は 社 債 の 利 回 りが30 万 円 で CDS の 保 険 料 は50 万 円 両 建 てすると20 万 円 の 損 のはずだが A 社 とB 社 が 社 債 Zを 100 万 ずつ 購 入 し A 社 はB 社 が 保 有 する 社 債 Zに 対 してCDSを 引 き 受 け B 社 は A 社 が 保 有 する 社 債 Zに 対 して CDS を 引 き 受 けると CDS 保 険 料 の50 万 は 相 殺 されて0 円 になるので Z 社 が 倒 産 するまでは 両 社 は 利 回 り30%の 社 債 を 引 当 金 無 しで 保 有 することができる CDS が 開 発 される 以 前 には 資 産 構 成 を 分 散 したいと 望 む 銀 行 は 債 権 を 細 切 れにして 売 却 するしかなかったが それには 債 券 の 借 り 手 の 合 意 を 得 られねばならず 面 倒 だった それだけに 借 り 手 の 合 意 なしで 事 実 上 債 権 を 売 り 買 い 出 来 る CDS は 金 融 界 で 流 行 した CDS 契 約 の 文 言 は 標 準 化 され 残 高 は 2000 年 には 1 兆 ドル 前 後 まで 膨 れ 上 がっていた 2000 年 を 過 ぎると 今 度 はヘッジファンドが CDS 業 界 に 参 入 してくる 債 券 投 資 に 特 化 したヘッジファンドは 事 実 上 無 認 可 の 保 険 会 社 として 機 能 し 始 めた CDO などの 証 券 を 保 証 することで 保 険 手 数 料 を 稼 いでいたのだ だが こうした 保 5
証 の 値 打 ちは 怪 しげであることがしばしばであった 最 終 的 な 貸 し 手 も 借 り 手 も 取 引 の 詳 細 を 知 らないままに 契 約 が 成 立 していったからである それでも CDS 市 場 は 爆 発 的 に 成 長 し 名 目 資 産 ではあらゆる 市 場 を 上 回 るようになった 現 在 CDS 契 約 の 残 高 は 42.6 兆 ドルと 推 定 されている これはアメリカの 家 計 の 全 資 産 の 合 計 にほぼ 等 しい 金 額 である 米 国 債 の 市 場 規 模 4.5 兆 ドルはもちろん アメリカの 上 場 株 式 の 時 価 総 額 11 兆 ドルさえも 軽 く 凌 駕 する 今 回 のサブプライム 問 題 の 余 波 により この 市 場 に 大 問 題 が 起 こることは 必 至 だ 証 券 化 ブームは 借 入 金 のとんでもない 膨 張 を 引 き 起 こした 通 常 の 債 券 を 保 有 するには 額 面 の 10%の 自 己 資 金 が 必 要 だが CDSを 使 って 組 み 立 てられた 合 成 債 券 の 場 合 自 己 資 本 は 1.5%まで 引 き 下 げられる 債 券 間 のリスクのちょっとした 差 でも 自 己 資 本 に 比 べれば 十 分 に 大 きく 売 り 買 いすれば 高 収 益 を 上 げられることになり そ うして 盛 んになった 売 り 買 いが 債 券 のリスクプレミアムを 引 き 下 げた 警 鐘 を 鳴 らす 声 が 全 くなかったわけではない 1994 年 キダー ピーボディー 550 億 ドルの 損 失 総 額 を 出 し 破 綻 2000 年 FRB 元 理 事 エドワード グラムリッヒがサブプライムローン 市 場 につい ての 警 告 2002 年 チャールズ キンドル バーガー アメリカの 住 宅 バブルについて 警 鐘 2006 年 ニューヨーク 大 学 ヌリエル ルビーニ 教 授 が 住 宅 バブルが 不 況 をもたら す と 予 測 だが 今 回 のバブルがこれほど 長 続 きし これほど 大 きくなるとは 誰 一 人 とし て 予 想 できなかった 住 宅 価 格 が 下 がる 方 に 賭 けたヘッジファンドは 多 数 あったものの どれも 住 宅 市 場 の 崩 壊 を 見 誤 って 大 損 を 出 してしまい 結 局 その 賭 けを 放 棄 してしまっ た 問 題 の 兆 候 が 見 られるようになったのは 2007 年 のことだった 2 月 22 日 HSBC 銀 行 が 米 住 宅 ローン 事 業 のトップを 解 雇 108 ドルの 損 失 3 月 9 日 住 宅 メーカーDRホートン 社 が サブプライム 住 宅 ローン 損 失 についての 警 告 3 月 12 日 サブプライム 住 宅 ローン 最 大 手 の 一 つ ニュー センチュリー ファイナ ンシャル 社 が 倒 産 の 噂 で 上 場 停 止 6
3 月 13 日 住 宅 ローンの 返 済 の 遅 れと 住 宅 の 抵 当 の 流 れが 新 記 録 を 樹 立 3 月 16 日 アクレディッド ホーム レンダーズ ホールディング 社 が 額 面 27 億 ドル のサブプライム 債 券 を 大 幅 に 割 り 引 いて 売 りに 出 した 4 月 2 日 ニュー センチュリー ファイナンシャル 社 は 不 良 債 権 を 何 十 億 ドル 分 も 買 い 戻 させられ 倒 産 申 請 欧 米 金 融 機 関 の 巨 額 損 失 が どこまで 膨 張 するか まるで 見 通 しが 立 たない のは 保 有 資 産 の 価 格 下 落 が 底 なしだからである 例 えば リーマンが 持 ってい た 問 題 資 産 の 評 価 は 破 綻 直 前 の 第 3 四 半 期 に 第 2 四 半 期 のそれと 比 べて 大 幅 に 下 げられた( 下 図 参 照 ) リーマンの 問 題 資 産 ( 額 面 100) 第 2 四 半 期 第 3 四 半 期 Alt-A(プライムとサブプライムの 中 間 的 信 用 度 ローン) 63 39 サブプライム 55 34 ABSCDO( 債 務 担 保 証 券 ) 35 29 サブプライムは3 分 の1まで 目 減 りしているが 一 般 的 な 見 通 しを 大 幅 に 上 回 るデフォルト 率 や 損 失 率 を 織 り 込 んだ 水 準 で かなり 保 守 的 な 評 価 だ 金 融 機 関 が 評 価 水 準 を 明 らかにするのは 珍 しいが このリーマン 評 価 による 下 落 度 を 他 の 欧 米 主 要 機 関 の6 月 末 の 保 有 残 高 に 当 てはめ 損 失 の 予 想 発 生 額 を 算 出 したのが 下 表 である ABSCDO サ ブ プラ イム Alt-A から 見 た 欧 米 金 融 機 関 損 失 シ ミ ュレ ーシ ョ ンと 問 題 資 産 残 高 ( 単 位 : 億 ドル) 社 名 自 己 資 本 SBCD サブプラ 予 想 損 失 額 予 想 損 失 額 対 自 LBO 商 業 用 イム Alt-A 己 資 本 不 動 産 関 連 そ の 他 問 題 資 産 メリルリンチ 348 60 17 5.0 815 モルガン スタンレ 357 0 142 ー ゴールドマン サッ 455 54 227 クス シティグループ 1,366 388 110 8.0 749 JP モルガン チェー ス 1,331 298 114 8.5 1790 7
社 名 自 己 資 本 SBCD サブプラ 予 想 損 失 額 予 想 損 失 額 対 自 LBO 商 業 用 イム Alt-A 己 資 本 不 動 産 関 連 そ の 他 問 題 資 産 バンク オブ アメ 1,627 67 11 0.7 160 リカ UBS 532 131 44 6.6 322 ドイツ 銀 行 503 12 2 0.4 610 クレディスイス 375 19 7 1.9 297 シティグループや UBS といった 苦 境 が 囁 かれる 金 融 機 関 の 自 己 資 本 に 対 する 予 想 損 失 額 比 率 は6~8% 台 だった LBO 商 業 用 不 動 産 担 保 ローン その 他 の 問 題 資 産 は シミュレーションの 対 象 とはしていないが 今 後 損 失 を 計 上 拡 大 するのは 間 違 いない これらの 指 数 は 共 に 下 落 し 続 けているからだ シティは これらの 問 題 資 産 の 保 有 比 率 が 高 く 今 後 その 1 割 が 毀 損 されることになったとして 70 億 ドル 近 い 損 失 を 更 に 計 上 することになる メリルの 問 題 資 産 は 800 億 ドル 超 で 自 己 資 本 の 2 倍 を 優 に 超 える 救 済 合 併 を 求 めるはずである 住 宅 ローンで 最 も 信 用 度 が 高 いプライムローンでさえ 延 滞 率 上 昇 に 悩 まされ 始 めている JP モルガンの 試 算 では 来 年 中 には 焦 げ 付 きが 第 2 四 半 期 の 三 倍 になると 予 想 している ホームエクイティローンも 今 後 更 に 焦 げ 付 きが 増 加 して 行 く ノンリ コースでの 融 資 をしている 州 が 半 分 ある ノンリコースは 対 象 資 産 ( 自 宅 ) 以 外 の 資 産 ( 現 金 など)による 返 済 を 求 めないから 借 り 手 は 容 易 に 返 済 放 棄 してしまい 焦 げ 付 き 増 加 に 拍 車 がかかる 一 部 の 金 融 機 関 ではオークションレート 証 券 (ARS)の 買 戻 しを 迫 られている これは 一 定 期 間 ごとに 金 利 を 見 直 す 債 券 で 主 に 地 方 自 治 体 が 発 行 している 今 年 に 入 って 信 用 収 縮 に 窮 し 始 めた 投 資 家 が ARS の 入 札 を 敬 遠 し 始 めた 入 札 が 成 立 しない と 入 札 前 の 投 資 家 は 換 金 できなくなり 発 行 体 は 予 め 設 定 された 最 高 金 利 を 払 わなけれ ばならなくなる こうしたリスクの 説 明 が 不 十 分 ということで 主 要 金 融 機 関 は 買 戻 し をする 羽 目 となった その 金 額 はメリルで 120 億 ドル ワコビアで 85 億 ドル UBS で 83 億 ドル シティで 73 億 ドルに 上 る 買 い 取 った 後 も 当 然 こういった 投 資 家 に 敬 遠 された 証 券 が 額 面 で 売 れるはずがない モノラインに 保 証 を 受 けているポジションについても 損 失 発 生 の 可 能 性 が 残 る MBIA アムバックの 格 下 げ 後 には 保 証 を 受 けている 証 券 化 商 品 の 評 価 も 下 げざるを 得 ない 8
欧 州 への 影 響 米 国 514 に 対 して 欧 州 752 米 国 発 の 金 融 危 機 は 既 に 欧 州 を 飲 み 込 んだ 米 格 付 け 大 手 のスタンダード& プアーズによると 9 月 25 日 に 破 綻 したワシントン ミューチュアルの 債 務 を 保 証 す るCDSを 組 み 込 んだ CDO は 全 世 界 に 1526 本 ばら 撒 かれた そのうち 514 本 を 米 国 752 本 を 欧 州 の 金 融 機 関 などが 保 有 している ちなみに 日 本 は 122 本 その 他 アジアが 138 本 欧 州 は 金 融 機 関 の 連 鎖 破 綻 が 相 次 ぐ 米 国 をはるかに 上 回 る 爆 弾 を 抱 えている ワシントン ミューチュアルのものだけではない 欧 州 金 融 機 関 のバランスシートの 資 産 サイドには いまだにサブプライム 関 連 を 含 む 債 券 関 連 商 品 が 詰 まっている 売 却 しようにも 市 場 自 体 が 消 えてしまったのも 同 然 だ 欧 州 のインターバンク 市 場 では 銀 行 同 士 の 疑 心 暗 鬼 が 強 まっている ワシントン ミューチュアル 以 降 利 息 が 低 いに もかかわらず ECB( 欧 州 中 央 銀 行 )への 預 金 残 高 が 増 え 続 ける 一 方 で 市 場 で 調 達 できない 銀 行 が 駆 け 込 み 貸 し 出 しも 急 増 している 仏 ベルギーのデクシア 英 HBOS などの CDS は 一 時 500 億 ドル 前 後 まで 跳 ね 上 がった 市 場 機 能 の 不 全 を 受 け 仏 ベルギー 政 府 はデクシアへの 資 本 注 入 を オ ランダ ベルギー 政 府 はフォルティスの 国 有 化 を 決 めるなど 国 家 主 導 の 銀 行 支 援 策 が 相 次 いだ 10 月 8 日 には 英 政 府 が 500 億 ポンド( 約 9 兆 円 )の 資 本 注 入 を 決 めた 年 内 に RBS バークレイズ HBOS の 買 収 手 続 きを 進 めているロイズ TSB など 八 行 の 優 先 株 を 250 ポンドで 買 い 取 る 加 えて 要 請 があれば 250 億 ポンドの 追 加 支 援 策 を 用 意 するというものだ そして 遂 に 米 国 欧 州 新 興 諸 国 十 カ 国 の 中 央 銀 行 による 追 加 利 下 げが 実 施 された 欧 州 主 要 金 融 機 関 の CDS(2008 年 6 月 末 時 点 ) 社 名 CDS 社 名 CDS(bpt.) (bpt.) RBS 285.8 フォルティス 273.3 ドイツ 銀 行 174.6 HBOS 284.2 BNPパリバ 72.7 HSBC 101.7 バークレイズ 247.5 コメルツ バンク 130 UBS 278.8 ロイズTSB 150 ソシエテ ジェネラル 105 ナティクス 335 ING 159.2 BBVA 99 バンコ サンタンデール 105.8 デクシア 380 クレディ スイス 105.5 スタンダード チャータード 63.7 9
サブプライム 問 題 をめぐる 主 な 動 き アメリカンホームモーゲージ 社 の 倒 産 や 仏 金 融 大 手 BNP パリバの 参 加 ファ ンド 凍 結 に 始 まった サブプライム 問 題 早 期 収 拾 という 市 場 関 係 者 の 予 想 とは 裏 腹 に 金 融 資 本 市 場 はほぼ 2~3ヶ 月 ごとに 大 揺 れに 見 舞 われている 一 つ 対 策 を 打 ち 出 してもすぐに 別 の 問 題 が 噴 出 する もぐらたたき の 様 相 を 呈 し 一 年 余 りを 経 て ついに 米 国 を 代 表 する 金 融 機 関 が 破 綻 する 事 態 へと 発 展 した 性 質 上 米 国 一 国 だけの 問 題 ではないために 信 用 不 安 を 煽 る 出 来 事 が 起 こるたびに 為 替 も 株 も 見 境 なく 反 転 する 方 向 に 動 き 出 し その 変 動 幅 は 今 までにないほど 広 い 為 理 論 や 過 去 のデータに 因 る 説 明 の 範 囲 を 大 きく 超 える 以 下 は サブプライム 問 題 をめぐる 主 な 動 き 1 証 券 化 商 品 ショック 07 年 7 月 31 日 ベア スタンズ 傘 下 のファンドが 破 綻 8 月 9 日 BNP パリバが 傘 下 のファンド 凍 結 を 発 表 17 日 FRB 公 定 歩 合 を0.5% 緊 急 引 き 下 げ 9 月 14 日 英 中 銀 ノーザンロックへの 救 済 融 資 を 発 表 2 金 融 機 関 の 巨 額 損 失 が 表 面 化 10 月 米 シティグループ メリルリンチなどが 相 次 ぎサブプライム 関 連 損 失 を 発 表 11 月 26 日 シティがアブダビ 投 資 庁 からの 出 資 受 け 入 れ 発 表 12 月 12 日 米 欧 5 中 銀 が 資 金 供 給 声 明 3モノライン 危 機 08 年 1 月 18 日 フィッチレーティングス 金 融 保 障 会 社 のアムバックを 格 下 げ 4ベアー 破 綻 3 月 16 日 米 JP モルガンがベア スタンズの 救 済 買 収 を 決 定 6 月 9 日 リーマンブラザーズが3-5 月 期 決 算 で 上 場 来 初 の 赤 字 60 億 ド ルを 緊 急 増 資 25 日 FRB が 利 下 げ 休 止 10
5 住 宅 公 社 不 安 7 月 11 日 米 住 宅 公 社 2 社 の 経 営 危 機 が 表 面 化 株 価 急 落 米 地 銀 インディマックが 破 綻 13 日 米 財 務 省 と FRB が 住 宅 公 社 への 緊 急 支 援 策 を 発 表 25 日 米 2 地 銀 が 破 綻 30 日 米 住 宅 公 社 支 援 法 が 成 立 8 月 6 日 フレディマックが4-6 月 期 決 算 で8 億 2100 万 ドルの 最 終 赤 字 を 計 上 8 日 ファニーメイが4-6 月 期 決 算 で23 億 ドルの 最 終 赤 字 を 計 上 22 日 通 信 社 が 韓 国 産 業 銀 行 がリーマン 出 資 を 検 討 と 報 道 9 月 7 日 米 政 府 住 宅 公 社 を 管 理 下 に 置 くと 発 表 合 計 2000 億 ドルの 優 先 株 購 入 枠 を 設 定 6リーマン 危 機 9 日 リーマンと 韓 国 産 業 銀 行 との 交 渉 が 決 裂 したと 報 じられ 株 価 急 落 10 日 リーマンが6-8 月 期 決 算 で 最 終 赤 字 が39 億 ドルに 達 するとの 見 通 しを 発 表 経 営 改 善 策 を 示 したが 株 価 は 続 落 11 日 リーマン 米 政 府 の 仲 介 で 身 売 り 先 を 模 索 しているとの 報 道 相 次 ぐ 12 日 リーマンの 株 価 が 年 初 来 高 値 から9 割 超 安 の 水 準 に リーマン 問 題 で 米 財 務 長 官 NY 連 銀 金 融 業 界 トップが 緊 急 会 合 週 末 も 続 行 14 日 英 バークレイズによるリーマン 救 済 買 収 交 渉 が 決 裂 15 日 リーマンが 連 邦 破 産 法 第 11 条 の 適 用 を 申 請 バンク オブ アメリカがメリルリンチ 買 収 で 合 意 と 発 表 18 日 英 銀 ロイズTSBが 英 銀 HBOSを 救 済 合 併 21 日 米 証 券 ゴールドマン サックスとモルガン スタンレーが 銀 行 持 ち 株 会 社 に 移 行 22 日 三 菱 UFJフィナンシャルグループがモルガン スタンレーに 出 資 23 日 ゴールドマン サックスが 巨 額 増 資 25 日 米 S&L 最 大 手 ワシントン ミューチュアルが 破 綻 7 米 下 院 金 融 安 定 化 法 案 否 決 29 日 米 下 院 が 金 融 安 定 化 法 案 否 決 ダウ 平 均 が 過 去 最 大 となる777ドル 下 落 英 住 宅 金 融 ブラッドフォード アンド ビングレーを 一 部 国 有 化 アイスランド 銀 行 グリトニルを 国 有 化 11
10 月 1 日 米 上 院 金 融 安 定 化 法 案 可 決 3 日 倍 金 融 安 定 化 法 案 成 立 6 日 ダウ 平 均 が1 万 ドル 割 れ 7 日 日 経 平 均 が 一 時 1 万 円 割 れ FRBがCP 購 入 8 日 世 界 10 中 銀 が 同 時 利 下 げ 日 経 平 均 が952 円 安 ポールソン 米 財 務 長 官 が 資 本 注 入 示 唆 9 日 シティグループ ワコビア 買 収 を 断 念 8G7 10 日 G7が 公 的 資 金 注 入 で 協 調 13 日 英 大 手 三 行 に 資 本 注 入 発 表 14 日 米 25 兆 円 資 本 注 入 発 表 必 要 公 的 資 金 は 約 150 兆 円 金 融 危 機 対 策 として 公 的 資 金 そして 投 資 銀 行 救 済 という 二 本 立 ての 政 策 を 揃 え 米 国 は 何 とか 深 刻 な 危 機 を 乗 り 切 る 手 立 てを 打 ったようにも 見 える だが この 公 的 資 金 投 入 が 不 良 債 権 購 入 のみに 使 われるのであれば その 効 果 は 限 定 的 であろう 日 本 の 不 良 債 権 問 題 処 理 においても 整 理 回 収 機 構 という 公 的 機 関 が 銀 行 から 不 良 債 券 を 買 い 入 れるという 仕 組 みを 作 ったが 実 際 に 金 融 システムを 再 建 したのは 銀 行 への 大 量 の 資 金 注 入 であった 日 米 で 異 なるのは 日 本 が 商 業 銀 行 の 問 題 であったのに 対 し 米 国 はシャドーバンキング( 影 の 銀 行 部 門 )と 呼 ばれる 規 制 対 象 外 の 金 融 問 題 であったことだ 米 国 金 融 を 大 雑 把 に 捉 えれ ば 商 業 銀 行 部 門 の 資 産 は 総 計 約 13 兆 ドルであり シャドー 部 門 では 約 10 兆 ドルと 推 定 され ている 後 者 に 含 まれるのは SIV(ストラクチャード インベストメント ビークル)と 呼 ばれる 簿 外 での CDO( 資 産 担 保 証 券 の 一 種 ) 投 資 や GSE( 政 府 支 援 機 関 ) 投 資 銀 行 ヘ ッジファンド 及 びプライベート エクイティ ファンドなどがレバレッジを 通 じて 保 有 する 金 融 資 産 である このシャドー 部 門 において どの 程 度 評 価 損 失 があるのかがこれまでの 焦 点 であり 金 融 機 関 はその 処 理 を 進 めると 同 時 に 増 資 を 行 い 何 とか 穴 埋 めをしてきた だ が 民 間 努 力 には 限 界 があった 今 回 の 公 的 資 金 はこのシャドー 部 門 を 中 心 に 保 有 されてき た 住 宅 ローンないしその 関 連 証 券 化 商 品 の 買 い 取 りに 充 当 されるという ただ 不 良 資 産 は シャドー 部 門 だけに 存 在 するものではない 当 然 商 業 銀 行 にも 存 在 する 住 宅 ローン 関 連 商 品 だけでなく 商 業 用 不 動 産 に 絡 んだ 融 資 やカードローンなど 個 人 融 資 企 業 融 資 つま り 景 気 後 退 期 に 現 れる 通 常 の 不 良 債 権 である 今 回 の 景 気 低 迷 は 大 不 況 クラスであり 12
かつ 長 期 化 する 可 能 性 が 高 い その 厳 しい 環 境 下 で 住 宅 ローン 以 外 の 不 良 債 権 もかなり の 規 模 へ 急 増 する 住 宅 関 連 の 不 良 資 産 だけを 除 去 すれば 銀 行 機 能 が 復 活 すると 考 えるのは 早 計 だ 現 時 点 で 必 要 となる 公 的 資 金 は 1 兆 4160 億 ドルで その 内 訳 は 下 表 の 通 りだ さらに シャドー 部 門 のもう 一 つの 主 役 であるヘッジファンドも 解 約 殺 到 で 破 綻 増 が 予 想 されるが 政 府 救 済 の 対 象 とはならないため CDS ポジションでの 損 失 を 被 る 金 融 機 関 が 増 えるかもし れない 米 政 府 は 市 場 予 測 を 大 きく 上 回 る 公 的 資 金 を 投 じる 必 要 に 見 舞 われる 可 能 性 がある 当 面 は 財 政 赤 字 によって 賄 うしかない 不 良 債 権 買 取 資 本 投 入 ベア スタンズ 救 済 AIG 救 済 GSE( 政 府 援 助 法 人 ) 救 済 不 良 資 産 買 取 合 計 2660 億 ドル 3110 億 ドル 290 億 ドル 850 億 ドル 250 億 ドル 7000 億 ドル 1 兆 4160 億 ドル 当 資 料 は により 作 成 されたものであり 投 資 判 断 の 参 考 となる 情 報 提 供 を 目 的 としたものです したがって 銘 柄 商 品 の 選 択 売 買 価 格 などの 投 資 に 関 わる 最 終 決 定 はお 客 様 ご 自 身 の 判 断 でなさるようお 願 い 申 し 上 げます また 当 資 料 にて 提 供 される 情 報 は が 信 頼 できると 判 断 した 情 報 源 をもとに 作 成 しておりますが その 内 容 及 び 情 報 の 正 確 性 完 全 性 または 適 時 性 に ついて 豊 商 事 は 保 障 せず また いかなる 責 任 を 持 つものではありません 以 上 の 点 をご 了 承 の 上 本 資 料 をご 覧 下 さい 13