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目 次 1.8 月 の 行 方 不 明 発 覚 から12 月 3 日 までの 対 応 事 実 関 係 1 (1) 邦 人 の 渡 航 を 防 ぐことはできなかったか 4 (2) 政 府 内 の 体 制 構 築 は 十 分 であったか 6 (3) 情 報 収 集 分 析 は 十 分 であったか 8 2.12 月 3 日 から1 月 20 日 の 動 画 公 開 までの 間 の 対 応 事 実 関 係 9 (1) 情 報 収 集 分 析 は 十 分 であったか 11 (2) 被 害 者 の 救 出 に 向 けた 措 置 及 び 政 府 内 の 体 制 構 築 は 十 分 であったか 12 (3) 御 家 族 への 対 応 は 適 切 であったか 15 (4) 総 理 の 中 東 訪 問 のタイミング 及 びスピーチの 表 現 は 適 当 であったか 16 3.1 月 20 日 の 動 画 公 開 後 の 対 応 事 実 関 係 19 (1) 政 府 内 の 体 制 構 築 は 十 分 であったか 26 (2) 情 報 収 集 分 析 は 十 分 であったか 29 (3) 被 害 者 の 救 出 に 向 けた 措 置 は 適 切 であったか 32 (4) 情 報 発 信 は 十 分 かつ 適 切 であったか 35 (5) 御 家 族 への 対 応 は 適 切 であったか 38 (6) 事 件 を 受 け 邦 人 保 護 のための 措 置 を 適 切 にとったか 39 総 括 42

1.8 月 の 行 方 不 明 発 覚 から12 月 3 日 までの 対 応 この 期 間 は 湯 川 遥 菜 氏 がシリアで 行 方 不 明 となっており 何 者 かによる 拘 束 の 疑 いがあった また 2014 年 11 月 1 日 以 降 は 後 藤 健 二 氏 が 同 じくシリ アで 行 方 不 明 となっており 夫 人 宛 てに 犯 行 グループから 接 触 があったことを 政 府 が 把 握 する12 月 3 日 までは 危 険 地 域 における 邦 人 の 行 方 不 明 事 案 であ った 政 府 としては 事 案 の 性 質 上 秘 密 の 保 全 に 留 意 するとともに 静 かな 形 で 関 係 国 と 緊 密 に 連 携 しつつ 情 報 収 集 に 全 力 を 挙 げ 邦 人 の 保 護 を 最 優 先 に 対 応 し た 事 実 関 係 (シリアへの 退 避 勧 告 在 シリア 大 の 一 時 閉 館 ) 2011 年 4 月 26 日 に 外 務 省 はシリア 全 土 への 退 避 勧 告 を 発 出 し 同 省 ホームページ 等 を 通 じて 広 く 発 信 した また 在 シリア 日 本 国 大 使 館 ( 以 下 在 シリア 大 という )は シリア 国 内 の 治 安 状 況 が 悪 化 したことから 201 2 年 3 月 21 日 をもって 一 時 閉 館 し 在 ヨルダン 日 本 国 大 使 館 ( 以 下 在 ヨル ダン 大 という ) 内 の 臨 時 事 務 所 において その 業 務 を 継 続 していた ( 湯 川 氏 の 行 方 不 明 政 府 の 体 制 ) 湯 川 氏 については 8 月 16 日 に 同 氏 がシリアにおいて 何 者 かに 拘 束 され たのではないかとの 情 報 がもたらされるまで 同 氏 がシリアに 渡 航 していた との 事 実 を 政 府 としては 把 握 していなかった 8 月 16 日 夜 湯 川 氏 が 行 方 不 明 になったとの 情 報 がもたらされ 外 務 省 が 事 案 を 認 知 した これを 受 け シリアの 治 安 が 極 めて 危 険 な 状 態 にあることや 当 時 シリアには 日 本 大 使 館 が 所 在 していないこと その 他 様 々な 情 報 に 接 し ていたことを 踏 まえ 邦 人 保 護 に 万 全 を 期 す 観 点 から 同 日 夜 在 シリア 大 臨 時 事 務 所 (アンマン(ヨルダン))に 在 シリア 臨 時 代 理 大 使 を 長 とする 現 地 対 策 本 部 を 設 置 した 現 地 対 策 本 部 には 在 シリア 臨 時 代 理 大 使 以 下 アラブや イスラムの 専 門 家 を 含 め 在 シリア 大 の 館 員 及 び 在 ヨルダン 大 の 館 員 が 配 置 されていた 現 地 対 策 本 部 は ヨルダン 政 府 に 対 し 協 力 を 要 請 し 以 降 随 時 緊 密 に 協 議 を 行 った 8 月 17 日 未 明 外 務 本 省 に 領 事 局 長 を 長 とする 対 策 室 を 立 ち 上 げた 8 月 17 日 湯 川 氏 とみられる 人 物 が 拘 束 されたとみられる 不 鮮 明 な 映 像 がインターネット 上 に 配 信 されたとの 外 務 省 からの 連 絡 を 受 け 官 邸 におい ても 内 閣 参 事 官 ( 事 態 対 処 危 機 管 理 担 当 )を 長 とする 情 報 連 絡 室 を 設 置 し 8 月 18 日 には 関 係 省 庁 局 長 級 会 議 ( 国 家 安 全 保 障 局 内 閣 情 報 調 査 室 警 察 1

庁 公 安 調 査 庁 外 務 省 )を 開 催 した 8 月 17 日 警 察 庁 においても 国 際 テロリズム 対 策 課 長 を 長 とする 連 絡 室 を 設 置 し 警 察 庁 職 員 をシリア 周 辺 国 に 派 遣 する 等 して 各 国 の 治 安 情 報 機 関 に 対 する 協 力 要 請 や 情 報 収 集 を 行 った 8 月 下 旬 から シリアと 国 境 を 接 するトルコに 外 務 本 省 及 び 在 外 公 館 から の 出 張 により 数 名 ずつ 延 べ10 数 名 の 人 員 を 派 遣 した ( 後 藤 氏 の 行 方 不 明 ) 11 月 1 日 後 藤 氏 が 行 方 不 明 になっているとの 御 家 族 からの 連 絡 を 受 け 本 件 事 案 についても 既 に 立 ち 上 げていた 外 務 省 対 策 室 現 地 対 策 本 部 官 邸 情 報 連 絡 室 及 び 警 察 庁 連 絡 室 にて 対 応 することとした 後 藤 氏 については 11 月 1 日 に 後 藤 氏 のシリア 渡 航 に 関 する 情 報 がもた らされるまで 外 務 省 領 事 局 が 直 接 の 対 面 によるものを 含 め3 回 にわたり 本 人 にシリアへの 渡 航 を 止 めるよう 働 きかけていた しかし シリアに 行 かな いとの 確 約 を 得 ることはできなかった 湯 川 氏 後 藤 氏 のシリア 渡 航 目 的 等 については 確 認 できていない ( 情 報 収 集 分 析 働 きかけ) 8 月 に 湯 川 氏 11 月 に 後 藤 氏 が 行 方 不 明 になった 事 案 を 認 知 した 後 外 務 省 から 官 邸 に 直 ちに 報 告 がなされ 総 理 から 情 報 収 集 に 全 力 を 挙 げるととも に 邦 人 の 保 護 を 最 優 先 に 対 応 するように 指 示 があった 外 務 省 特 に 現 地 対 策 本 部 及 びトルコへの 出 張 者 は 邦 人 の 安 全 のために 何 が 最 も 効 果 的 であるかという 観 点 から 湯 川 氏 後 藤 氏 と 関 係 があったと 見 ら れる 人 物 や 現 地 の 事 情 に 通 じた 人 物 部 族 長 や 宗 教 関 係 者 を 含 め あらゆるチ ャンネルを 活 用 して 情 報 収 集 及 び 働 きかけを 行 った 現 地 対 策 本 部 及 びトル コへの 出 張 者 は 外 務 本 省 と 緊 密 に 連 携 し 公 電 以 外 でもほぼ 毎 日 のように 電 話 やメールにて 連 絡 をとった 関 係 省 庁 は 湯 川 氏 については8 月 以 降 後 藤 氏 については11 月 以 降 西 側 及 び 中 東 の 関 係 国 政 府 ( 治 安 情 報 機 関 を 含 む )に 対 して 情 報 提 供 を 依 頼 するとともに 公 開 情 報 衛 星 画 像 情 報 の 収 集 分 析 を 行 う 等 それぞれのル ートで 海 外 及 び 国 内 において 情 報 収 集 分 析 を 行 い 共 有 した 特 に 両 名 の 所 在 安 否 及 びこの 地 域 における 過 去 の 類 似 の 拘 束 事 案 等 に 係 る 情 報 ISI Lを 含 むイスラム 過 激 派 やそれに 対 応 する 国 際 社 会 の 動 向 等 について 情 報 提 供 を 受 けていた また 内 閣 情 報 調 査 室 警 察 庁 公 安 調 査 庁 外 務 省 防 衛 省 等 で 構 成 される 情 報 コミュニティは 行 方 不 明 発 覚 以 降 合 同 情 報 会 議 等 を 通 じて 相 互 の 関 連 情 報 の 共 有 を 促 進 する 等 して 情 報 集 約 に 努 めた 2

外 務 省 領 事 局 が 中 心 となり 海 外 の 拘 束 事 案 に 通 じたセキュリティ 会 社 か ら 海 外 の 拘 束 事 案 に 係 る 対 応 等 についての 助 言 を 受 けた このように 幅 広 く 情 報 収 集 に 努 めたものの この 期 間 を 通 じて 犯 行 の 主 体 等 について 断 定 するには 至 らなかった ( 御 家 族 への 対 応 ) 8 月 の 湯 川 氏 11 月 の 後 藤 氏 の 行 方 不 明 発 覚 以 降 外 務 省 及 び 警 察 は 連 携 し 湯 川 氏 父 後 藤 氏 夫 人 と 対 面 での 接 触 電 話 連 絡 等 を 通 じて 御 家 族 の 意 向 を 踏 まえつつ 事 件 の 現 状 に 係 る 情 報 提 供 御 家 族 の 心 労 のケア 等 に 係 る 必 要 な 助 言 を 行 った ( 邦 人 の 渡 航 防 止 ) 2014 年 8 月 16 日 から12 月 3 日 までの 間 に 外 務 省 は シリアに 関 連 する 渡 航 情 報 を2 件 発 出 していた それに 先 立 ち シリア 全 土 に 退 避 勧 告 を 発 出 した2011 年 4 月 26 日 から2014 年 12 月 3 日 までの 間 については 外 務 省 は スポット 情 報 広 域 情 報 を 含 むシリアに 関 する 渡 航 情 報 を 合 計 74 件 発 出 していた また 海 外 渡 航 の 安 全 に 係 る 情 報 一 般 についても 同 省 ホー ムページ パンフレット 在 留 邦 人 向 けのメール 在 留 邦 人 との 意 見 交 換 等 の ルートで 提 供 していた さらに 危 険 地 域 への 渡 航 を 企 図 する 邦 人 について 各 種 報 道 やインターネット 上 の 情 報 も 含 め 様 々な 関 連 情 報 の 収 集 を 行 い 係 る 情 報 が 得 られた 場 合 には 可 能 な 範 囲 で 渡 航 を 取 りやめるよう 働 きかけて きた 警 察 は ISILの 活 動 地 域 をはじめとする 危 険 地 域 への 渡 航 を 企 図 する 邦 人 に 関 する 情 報 収 集 を 行 い 入 手 した 情 報 を 事 前 に 関 係 機 関 と 共 有 してい た 外 務 省 は 8 月 28 日 報 道 機 関 及 び 関 係 団 体 に 対 し 日 本 人 報 道 関 係 者 の シリアへの 渡 航 を 見 合 わせるよう 要 請 を 行 った また その 中 で 各 社 が 契 約 しているフリージャーナリストに 対 しても 同 様 に 渡 航 滞 在 を 控 えるよう 注 意 喚 起 することを 依 頼 した(2011 年 4 月 からでは 関 連 の 注 意 喚 起 を 合 計 8 件 実 施 している ) さらに 9 月 17 日 には 一 般 論 として 進 行 中 の 拘 束 事 案 が 報 じられれば 被 害 者 の 人 命 を 脅 かすおそれがあるとして 報 道 に 際 して の 配 慮 と 協 力 を 依 頼 した 3

(1) 邦 人 の 渡 航 を 防 ぐことはできなかったか 論 点 危 険 地 域 への 渡 航 を 企 図 する 邦 人 について 情 報 を 十 分 収 集 できていたか 当 該 邦 人 に 渡 航 を 思 いとどまるよう 適 切 に 働 きかけを 行 ったか 評 価 検 討 外 務 省 及 び 警 察 は ISIL 活 動 地 域 をはじめとする 危 険 地 域 への 渡 航 を 企 図 する 邦 人 について 各 種 報 道 やインターネット 上 の 情 報 も 含 め 様 々な 関 連 情 報 の 収 集 を 行 っていたが 湯 川 氏 については 8 月 16 日 に 同 氏 がシリア において 何 者 かに 拘 束 されたのではないかとの 情 報 がもたらされるまで 同 氏 がシリアに 渡 航 していたとの 事 実 を 政 府 として 把 握 していなかったことか ら 渡 航 を 止 めるよう 働 きかけを 行 うことができなかった 後 藤 氏 については 11 月 1 日 に 後 藤 氏 の 行 方 不 明 に 係 る 情 報 がもたらさ れるまで 外 務 省 が 9 月 下 旬 及 び10 月 上 旬 には 電 話 で 10 月 中 旬 には 直 接 の 対 面 により 同 氏 にシリアへの 渡 航 を 止 めるよう 働 きかけを 行 っていた しかしながら その 時 点 においては 同 氏 がシリアに 再 度 渡 航 する 意 向 が 明 確 ではなかったこともあり 同 氏 に 対 してシリアへの 渡 航 を 思 いとどまらせる ことはできなかった 湯 川 氏 後 藤 氏 のシリアへの 渡 航 の 動 機 については 様 々な 関 連 情 報 はある が 真 相 はいまだに 不 明 である 有 識 者 との 議 論 における 指 摘 及 び 課 題 有 識 者 より 今 回 の 事 案 は 企 業 及 び 現 地 政 府 が 一 定 の 備 えをしていた 中 で 襲 撃 が 起 きた2013 年 1 月 の 在 アルジェリア 邦 人 に 対 するテロ 事 件 と 比 較 して 渡 航 延 期 勧 告 を 含 む 退 避 勧 告 が 出 ている 危 険 地 域 に 自 らの 意 志 で 赴 く 個 人 の 保 護 が 課 題 であったという 点 で 決 定 的 に 異 なるとの 指 摘 がなされた ま た 今 回 のように 領 域 国 政 府 が 機 能 していない 中 でのISILのようなテロリ ストによる 拘 束 事 案 においては 解 放 のためにできることはそもそも 限 られて おり だからこそ 危 険 地 域 への 邦 人 の 渡 航 の 抑 制 が 重 要 との 指 摘 もなされた さらに 有 識 者 からは 湯 川 氏 後 藤 氏 のシリア 渡 航 目 的 等 については 検 証 の 対 象 そのものではないものの 今 後 類 似 の 事 案 を 防 ぐために 引 き 続 き 究 明 していくことが 重 要 であるとの 指 摘 がなされた 政 府 が 渡 航 意 思 の 有 無 や 具 体 的 な 渡 航 予 定 日 時 を 正 確 に 把 握 することには 限 界 があるが 危 険 なテロリス トが 支 配 する 地 域 への 邦 人 の 渡 航 を 如 何 に 抑 制 するかは 類 似 の 事 案 の 再 発 防 4

止 にとって 大 きな 要 素 であり こうした 面 での 究 明 を 今 後 の 防 止 策 に 活 かして いく 必 要 があるとの 指 摘 がなされた なお 有 識 者 からは 後 藤 氏 が 大 手 報 道 機 関 の 依 頼 を 受 けてシリアへ 渡 航 し たのではないかとの 指 摘 があったが これについては 確 認 できていない 5

(2) 政 府 内 の 体 制 構 築 は 十 分 であったか 論 点 政 府 内 の 体 制 構 築 は 十 分 であったか 現 地 対 策 本 部 に 十 分 な 人 員 を 配 置 できていたか 評 価 検 討 8 月 16 日 に 湯 川 氏 が 行 方 不 明 になった 事 案 が 認 知 された 後 直 ちに 現 地 (アンマン) 及 び 東 京 ( 官 邸 外 務 省 警 察 庁 )で 対 策 室 等 が 立 ち 上 げられ 関 係 省 庁 との 連 携 に 係 る 体 制 が 構 築 されるとともに 速 やかに 関 係 省 庁 局 長 級 会 議 が 開 催 され 情 報 集 約 を 行 い 官 邸 にも 事 案 について 報 告 された 11 月 に 後 藤 氏 が 行 方 不 明 になったことを 認 知 した 後 も 既 に 立 ち 上 がっている 体 制 を 活 用 して 随 時 官 邸 及 び 関 係 省 庁 との 間 で 情 報 共 有 連 携 が 図 られた こ のように 政 府 内 の 体 制 構 築 官 邸 と 関 係 省 庁 の 間 及 び 関 係 省 庁 間 での 情 報 共 有 連 携 は 海 外 の 危 険 地 域 における 拘 束 事 案 である 可 能 性 が 否 定 できない 邦 人 行 方 不 明 事 案 として 適 切 に 行 われたと 考 えられる アンマンの 現 地 対 策 本 部 では 在 シリア 大 臨 時 事 務 所 の 職 員 が 中 心 となっ て 業 務 に 当 たった 事 案 の 性 質 上 徹 底 した 情 報 管 理 が 求 められたことにより 本 件 に 従 事 する 職 員 を 限 定 する 必 要 がある 中 ヨルダン 政 府 や 現 地 部 族 長 等 に 対 する 情 報 収 集 働 きかけを 精 力 的 に 行 った また シリアと 国 境 を 接 する トルコに 人 員 を 派 遣 して 情 報 収 集 に 当 たらせる 等 退 避 勧 告 を 発 出 している シリア 領 内 に 人 員 を 派 遣 することが 極 めて 困 難 な 状 況 下 において できる 限 りの 対 応 をとったものと 考 えられる 他 方 現 地 対 策 本 部 長 を 務 めた 在 シリア 臨 時 代 理 大 使 は 在 ヨルダン 大 の 次 席 館 員 も 兼 務 しており 本 件 事 案 へ 集 中 的 に 対 応 することに 一 定 の 限 界 があ ったものと 考 えられる 今 後 同 様 の 事 案 が 発 生 した 場 合 には 人 員 の 再 配 置 等 を 適 切 に 行 うことを 検 討 する 必 要 がある 今 後 とも 海 外 の 邦 人 拘 束 事 案 においては 秘 密 の 保 全 を 徹 底 しつつ 政 府 全 体 や 関 係 省 庁 における 迅 速 な 体 制 構 築 情 報 ニーズへの 的 確 な 対 応 官 邸 へ の 適 時 適 切 な 報 告 による 情 報 集 約 が 必 要 となる 有 識 者 との 議 論 における 指 摘 及 び 課 題 有 識 者 からは シリアと 国 境 を 接 する 諸 国 の 国 境 周 辺 地 域 のような 大 使 館 や 総 領 事 館 等 の 拠 点 が 所 在 せず 人 員 の 安 全 確 保 が 困 難 な 地 域 での 政 府 の 活 動 を 支 える 通 信 手 段 等 のインフラについて 問 題 提 起 があったところ 今 回 の 経 験 も 踏 まえ 通 信 秘 密 の 保 全 や 関 係 者 の 安 全 確 保 に 十 分 な 対 策 をとったうえでこ 6

れら 拠 点 がない 場 所 でもより 適 切 な 対 応 がとれるよう 今 後 対 策 を 検 討 する ことが 望 ましい 7

(3) 情 報 収 集 分 析 は 十 分 であったか 論 点 行 方 不 明 発 覚 以 降 の 情 報 収 集 分 析 は 十 分 であったか 評 価 検 討 政 府 としては この 期 間 を 通 じて 行 方 不 明 となっている 邦 人 の 安 全 等 を 考 慮 し 徹 底 した 情 報 管 理 が 求 められた 中 政 府 全 体 として 情 報 収 集 を 行 う 体 制 を 十 分 に 構 築 した 関 係 省 庁 は 在 外 公 館 を 通 じて あるいは 出 張 等 により 平 素 から 構 築 した 緊 密 な 関 係 を 活 かし 関 係 国 政 府 ( 治 安 情 報 機 関 を 含 む ) 部 族 長 等 への 働 き かけを 行 い 情 報 収 集 体 制 を 構 築 し 積 極 的 な 協 力 を 得 ることができた しかし この 期 間 を 通 じ 政 府 として 各 種 状 況 に 鑑 み 湯 川 氏 後 藤 氏 が 拘 束 された 可 能 性 があるとの 認 識 を 持 ち 関 連 情 報 を 幅 広 く 入 手 していたも のの 犯 行 主 体 等 について 断 定 するには 至 らなかった 有 識 者 との 議 論 における 指 摘 及 び 課 題 情 報 収 集 分 析 については 有 識 者 から 少 なくとも 今 回 の 事 案 に 関 しては アラビア 語 能 力 がなければ 十 分 な 情 報 収 集 分 析 はできないはずであり 政 府 としてその 能 力 を 高 めていく 必 要 がある また 情 報 は 収 集 された 後 分 析 さ れ 政 策 で 使 われてこそ 意 味 があるとの 指 摘 がなされた 特 に 海 外 の 情 報 機 関 との 関 係 はギブ アンド テイクであり 海 外 の 機 関 から 有 益 な 情 報 を 得 るた めにも 日 本 の 情 報 関 係 者 が 情 報 の 分 析 能 力 を 高 めることは 極 めて 重 要 であり そのためには 国 内 の 各 情 報 機 関 が 情 報 収 集 のみならず 分 析 能 力 を 高 め 分 析 能 力 の 競 争 をして 能 力 を 高 めていくのがあるべき 姿 であるとの 指 摘 もなされ た また 有 識 者 からは 政 府 として 最 大 限 の 情 報 収 集 や 救 出 努 力 の 試 みを 行 っ たと 思 われるが 同 時 に 法 制 度 的 人 的 な 制 約 により 十 分 効 果 的 に 対 処 し 得 な かったと 考 えられ 今 後 の 国 民 の 意 志 によっては 類 似 の 事 案 へのより 実 効 的 な 対 処 を 可 能 とする 措 置 を 検 討 する 必 要 が 生 じるとの 指 摘 もなされた また 本 事 件 のように 非 国 家 主 体 が 主 として 関 わる 事 案 については 政 府 による 外 国 政 府 諸 機 関 との 関 係 を 中 心 とした 情 報 収 集 によって 得 られる 情 報 には 自 ずと 限 界 があることから 日 本 側 の 民 間 の 個 人 や 団 体 の 有 する 情 報 をより 積 極 的 に 聴 取 し 対 処 策 に 活 かす 手 法 も 今 後 検 討 されるべきであるとの 意 見 も 示 され た 8

2.12 月 3 日 から1 月 20 日 の 動 画 公 開 までの 間 の 対 応 12 月 3 日 政 府 は 後 藤 氏 夫 人 宛 てに 犯 行 グループから 接 触 があったことを 把 握 した その 後 1 月 20 日 までの 期 間 は 湯 川 氏 については 前 期 と 同 様 拘 束 が 疑 われる 行 方 不 明 事 案 であり 後 藤 氏 については 犯 行 グループから 後 藤 氏 夫 人 宛 てのメール 送 付 により 何 者 かに 拘 束 された 可 能 性 が 高 い(12 月 19 日 に 確 かな 心 証 がもたれた) 事 案 であった 政 府 としては テロには 屈 しないとの 基 本 的 立 場 を 堅 持 しつつ 人 命 を 第 一 に 対 応 し 12 月 3 日 以 前 と 同 様 事 案 の 性 質 上 秘 密 の 保 全 に 留 意 するとともに 静 かな 形 で 関 係 国 と 緊 密 に 連 携 しつつ 両 名 の 安 全 のために 何 が 最 も 効 果 的 な 方 法 かとの 観 点 から あらゆるチャンネルを 最 大 限 活 用 して 対 応 した また 上 記 を 踏 まえ 後 藤 氏 の 事 案 については 本 件 に 対 応 される 御 家 族 のお 気 持 ちに 最 大 限 寄 り 添 うとの 方 針 の 下 後 藤 氏 夫 人 に 対 し できる 限 りの 支 援 を 行 った 事 実 関 係 ( 犯 人 側 からの 接 触 政 府 の 対 応 ) 12 月 3 日 外 務 省 は 犯 行 グループから 後 藤 氏 の 御 家 族 へのメールについ て 御 家 族 からの 連 絡 を 受 け 後 藤 氏 が 何 者 かに 拘 束 された 可 能 性 が 高 いこと を 認 知 し 直 ちに 総 理 官 房 長 官 に 報 告 した その 上 で 外 務 省 及 び 警 察 庁 は 官 邸 まで 諮 り 相 互 に 連 携 してチームを 組 んで 本 件 に 対 応 することとなった 12 月 3 日 官 邸 情 報 連 絡 室 は 後 藤 氏 拘 束 の 可 能 性 について 外 務 省 より 連 絡 を 受 け それ 以 降 も 適 時 に 関 係 省 庁 から 状 況 の 報 告 を 受 け 随 時 内 閣 危 機 管 理 監 に 報 告 した 12 月 3 日 のメールを 受 けて 後 藤 氏 夫 人 は 旧 知 の 民 間 の 専 門 家 に 相 談 し 対 応 した 警 察 庁 は 犯 人 と 思 われる 者 から 後 藤 氏 の 御 家 族 に 送 られたメールを 分 析 したが 具 体 的 に 犯 行 主 体 がISILであるとの 確 証 を 得 ることができなか った この 期 間 を 通 じても 8 月 から12 月 3 日 までと 同 様 対 面 での 接 触 電 話 連 絡 等 を 通 じて 事 件 の 現 状 に 係 る 情 報 提 供 や 心 労 のケアも 含 め 外 務 省 及 び 警 察 が 連 携 して 御 家 族 に 対 応 した また メールが 送 られてきたことを 踏 まえ 外 務 省 と 警 察 庁 は 連 携 してチームを 立 ち 上 げ 後 藤 氏 夫 人 の 支 援 を 行 った 12 月 19 日 犯 人 から 後 藤 氏 夫 人 へのメールによって 後 藤 氏 が 確 かに 拘 束 されているとの 心 証 を 持 つに 至 った しかし 具 体 的 に 犯 行 主 体 がISI Lであるとの 確 証 を 得 ることはできなかった 外 務 省 と 警 察 庁 のチームは 後 藤 氏 夫 人 を 適 切 に 支 援 するために 後 藤 氏 夫 人 が 相 談 をしていた 旧 知 の 民 間 の 専 門 家 とも 頻 繁 に 打 合 せを 行 った 9

外 務 省 は 引 き 続 き 部 族 長 や 宗 教 関 係 者 を 含 めあらゆるチャンネルを 活 用 して 情 報 収 集 及 び 働 きかけを 行 った 関 係 省 庁 は この 期 間 を 通 じても 湯 川 氏 後 藤 氏 と 関 係 があったとみられ る 人 物 や 現 地 の 事 情 に 通 じた 人 物 治 安 情 報 機 関 を 含 む 関 係 国 政 府 等 あら ゆるチャンネルを 活 用 して 情 報 収 集 及 び 働 きかけを 行 った また 情 報 コミ ュニティは 引 き 続 き 合 同 情 報 会 議 等 を 通 じて 相 互 に 関 連 情 報 を 共 有 する 等 して 情 報 集 約 に 努 めた 外 務 省 は 1 月 7 日 報 道 機 関 及 び 関 係 団 体 に 対 し 日 本 人 報 道 関 係 者 のシ リアへの 渡 航 を 見 合 わせるよう 要 請 を 行 ったが またその 中 で 各 社 が 契 約 し ているフリージャーナリストに 対 しても 同 様 に 渡 航 滞 在 を 控 えるよう 注 意 喚 起 することを 依 頼 した 1 月 9 日 中 東 情 勢 等 について 国 家 安 全 保 障 会 議 ( 四 大 臣 会 合 )を 開 催 した ( 総 理 の 中 東 訪 問 及 びスピーチの 準 備 ) 12 月 中 旬 から 総 理 の 中 東 訪 問 の 準 備 を 始 める 中 で 官 邸 と 外 務 省 との 間 で 緊 密 に 調 整 を 行 い 総 理 に 随 時 指 示 を 仰 ぎながら 案 文 の 作 成 作 業 を 行 った 最 終 的 に 訪 問 直 前 に 総 理 の 了 承 を 得 て 案 文 全 体 をセットした 1 月 13 日 定 例 記 者 会 見 において 官 房 長 官 から 1 月 16 日 から21 日 ま で 総 理 がエジプト ヨルダン イスラエル パレスチナを 訪 問 する 予 定 である 旨 発 表 した 総 理 は 1 月 17 日 カイロ(エジプト)において 英 文 を 含 めてセットさ れた 案 文 に 基 づき 中 東 政 策 スピーチを 実 施 した 同 スピーチにおけるISI L 言 及 部 分 は 以 下 のとおりである イラク シリアの 難 民 避 難 民 支 援 トルコ レバノンへの 支 援 をするのは ISILがもたらす 脅 威 を 少 しでも 食 い 止 めるためです 地 道 な 人 材 開 発 インフラ 整 備 を 含 め ISILと 闘 う 周 辺 各 国 に 総 額 で2 億 ドル 程 度 支 援 をお 約 束 します 10

(1) 情 報 収 集 分 析 (メールアドレスを 通 じた 犯 人 像 の 分 析 等 )は 十 分 であ ったか 論 点 情 報 収 集 分 析 (メールアドレスを 通 じた 犯 人 像 の 分 析 等 )は 十 分 であった か 評 価 検 討 政 府 としては 行 方 不 明 発 覚 から1 月 20 日 の 動 画 公 開 までの 期 間 は 湯 川 氏 及 び 後 藤 氏 の 安 全 等 を 考 慮 し 徹 底 した 情 報 管 理 が 求 められた 中 平 素 の 関 係 を 活 かして 関 係 省 庁 が 関 係 国 及 び 関 係 機 関 部 族 長 と 連 携 して 情 報 収 集 を 行 う 体 制 を 構 築 し 情 報 収 集 に 努 めた その 結 果 断 片 的 ではあるが 湯 川 氏 の 所 在 安 否 等 に 係 る 情 報 提 供 を 得 ていた また 関 係 省 庁 が 得 た 情 報 は 迅 速 に 共 有 されていた 警 察 庁 は 犯 人 と 思 われる 者 から 後 藤 氏 の 御 家 族 に 送 られたメールを 分 析 したが 犯 人 像 を 絞 り 込 むことができなかった このような 努 力 を 通 じても この 期 間 に 犯 行 主 体 等 について 確 定 的 な 情 報 には 接 していなかった 有 識 者 との 議 論 における 指 摘 及 び 課 題 政 府 として 動 画 公 開 まで 犯 行 主 体 についてISILと 特 定 することができ なかったことに 関 しては 有 識 者 から ISILであると 特 定 できないとして も 強 い 推 定 を 働 かせることは 可 能 であるので 犯 行 主 体 がISILである 可 能 性 やISILよりも 合 理 的 で 交 渉 することも 可 能 な 集 団 である 可 能 性 につ いても 想 定 した 上 で 柔 軟 に 対 応 を 検 討 すべきであるとの 指 摘 がなされた 今 後 類 似 の 事 案 が 発 生 した 際 には 今 回 の 事 案 の 教 訓 を 踏 まえ あらゆる 可 能 性 を 排 除 せず 想 像 力 を 働 かせて 幅 広 く 対 応 を 検 討 していくことが 求 めら れる 11

(2) 被 害 者 の 救 出 に 向 けた 措 置 及 び 政 府 内 の 体 制 構 築 は 十 分 であったか 論 点 メールで 犯 人 と 直 接 交 渉 しなかったのはなぜか 政 府 内 の 体 制 構 築 は 十 分 で あったか 選 挙 期 間 中 に 総 理 官 房 長 官 が 官 邸 を 不 在 にしたのは 問 題 ではないか 評 価 検 討 ( 被 害 者 の 救 出 に 向 けた 措 置 ) 政 府 は 湯 川 氏 後 藤 氏 が 拘 束 されている 可 能 性 について 認 識 していたが いずれの 者 の 犯 行 であるか 1 月 20 日 の 動 画 公 開 まで 確 定 的 な 情 報 には 接 していなかった 12 月 3 日 に 犯 人 と 思 われる 者 から 後 藤 氏 夫 人 にメールが 送 付 された 後 に は 犯 人 から 政 府 に 対 する 直 接 の 接 触 や 働 きかけがない 中 政 府 としては テ ロに 屈 すればかえって 日 本 人 が 狙 われることになるため テロには 屈 しない との 基 本 的 立 場 を 堅 持 しつつ 人 命 を 第 一 に 考 え 人 質 を 解 放 するために 何 が 最 も 効 果 的 な 方 法 かとの 観 点 に 立 ち 過 去 の 類 似 の 人 質 事 件 の 経 験 等 も 踏 ま えて 必 要 な 説 明 助 言 を 行 う 等 後 藤 氏 夫 人 の 支 援 を 行 った 政 府 が 在 外 公 館 を 現 に 有 さず 政 府 の 権 限 行 使 に 限 界 のある 地 域 での 邦 人 の 拘 束 行 方 不 明 事 案 について 今 後 さらに 適 切 に 対 応 していくために 1 過 去 の 海 外 の 拘 束 行 方 不 明 事 案 について 知 見 を 有 する 外 国 政 府 セキュリティ 会 社 等 から 平 素 からさらに 情 報 収 集 を 行 い 専 門 的 知 識 を 蓄 積 する 2 過 去 の 海 外 の 拘 束 行 方 不 明 事 案 について 知 見 を 有 する 外 国 政 府 セキュリティ 会 社 等 からの 研 修 を 職 員 に 受 けさせ 専 門 的 知 識 を 備 えた 人 材 をさらに 育 成 する 3 そのように 蓄 積 された 専 門 的 知 識 人 材 を 活 用 し 海 外 の 拘 束 行 方 不 明 の 事 案 に 対 応 可 能 な 職 員 をさらに 育 成 プールし 将 来 不 幸 にも 今 回 と 同 様 の 事 件 が 発 生 してしまった 場 合 には これらにより 増 強 された 人 材 ストックを 含 む 各 種 リソースを 活 用 して 有 効 に 対 応 することを 検 討 していくべきと 考 え られる 後 藤 氏 の 拘 束 について 対 外 公 表 できない 中 外 務 省 が 報 道 機 関 及 び 関 係 団 体 に 対 し 契 約 しているフリージャーナリストを 含 め シリアへの 渡 航 を 控 え る 旨 を 要 請 していたことは 二 次 被 害 を 防 ぐという 観 点 から 適 切 であった ( 政 府 内 の 体 制 構 築 ) 行 方 不 明 発 覚 から1 月 20 日 の 動 画 公 開 までの 期 間 は 政 府 としての 対 応 についての 詳 細 の 説 明 を 控 えてきたが 湯 川 氏 及 び 後 藤 氏 の 安 全 等 を 考 慮 す れば この 対 応 は 適 切 であったと 考 えられる 特 に 12 月 3 日 に 後 藤 氏 が 何 12

者 かに 拘 束 されている 可 能 性 を 把 握 した 後 は 事 案 の 性 質 に 鑑 み 情 報 の 共 有 先 をさらに 限 定 する 等 秘 密 の 保 全 に 最 大 限 配 慮 して 対 応 した 同 時 に 現 地 (アンマン) 及 び 東 京 ( 官 邸 外 務 省 警 察 庁 )における 体 制 を 引 き 続 きしっかりと 構 築 するとともに 選 挙 期 間 中 であっても 総 理 官 房 長 官 と 直 ちに 連 絡 をとり 指 示 を 受 けることのできる 体 制 をとった この 結 果 事 態 の 展 開 を 受 け 随 時 官 邸 及 び 関 係 省 庁 との 間 で 情 報 共 有 が 図 られる 等 海 外 の 危 険 地 域 における 邦 人 拘 束 事 案 として 政 府 内 の 体 制 構 築 官 邸 と 関 係 省 庁 の 間 及 び 関 係 省 庁 間 での 情 報 共 有 連 携 は 適 切 に 行 われたと 考 えられる アンマンの 現 地 対 策 本 部 では 在 シリア 大 臨 時 事 務 所 の 職 員 が 中 心 となっ て 業 務 に 当 たった 事 案 の 性 質 上 徹 底 した 情 報 管 理 が 求 められたことにより 本 件 に 従 事 する 職 員 を 限 定 する 必 要 がある 中 ヨルダン 政 府 や 現 地 部 族 長 等 に 対 する 情 報 収 集 働 きかけを 精 力 的 に 行 った 退 避 勧 告 を 発 出 しているシリ ア 領 内 に 人 員 を 派 遣 することが 極 めて 困 難 な 状 況 下 において できる 限 りの 対 応 をとったものと 考 えられる 国 家 安 全 保 障 会 議 については 国 家 安 全 保 障 に 関 する 外 交 防 衛 政 策 の 基 本 的 な 方 向 性 を 定 めるとの 役 割 を 踏 まえ 1 月 9 日 に 四 大 臣 会 合 を 開 催 し 総 理 の 中 東 訪 問 を 控 え ISILが 中 東 地 域 のみならず 日 本 を 含 む 国 際 社 会 全 体 にとっての 脅 威 となっており 中 東 情 勢 について 議 論 する 際 の 重 要 な 要 素 で あるとの 認 識 に 基 づき 外 交 安 全 保 障 の 観 点 から 中 東 情 勢 について 多 角 的 総 合 的 な 議 論 を 行 った 国 家 安 全 保 障 局 は その 事 務 局 として 国 家 安 全 保 障 会 議 の 役 割 を 支 えた ( 総 理 官 房 長 官 の 不 在 ) 内 閣 法 第 14 条 第 3 項 において 官 房 長 官 不 在 時 はあらかじめ 官 房 長 官 の 定 めるところにより 官 房 副 長 官 がその 職 務 を 代 行 する 旨 規 定 している 今 回 の 選 挙 期 間 中 にあっては 同 規 定 に 基 づいて 世 耕 官 房 副 長 官 が 官 房 長 官 の 職 務 を 代 行 し さらに 杉 田 官 房 副 長 官 と 内 閣 危 機 管 理 監 も 常 時 在 京 して 対 応 し ており 官 邸 の 体 制 に 間 隙 は 生 じていない また 総 理 官 房 長 官 と 官 邸 との 連 絡 手 段 は 常 に 確 保 されており 事 態 に 変 化 があった 際 には 速 やかに 報 告 を 受 けて 指 揮 できる 体 制 を 整 えていた さら に 夜 間 や 交 通 途 絶 時 を 含 めて 必 要 が 生 じた 際 には 直 ちに 帰 京 できるように 移 動 手 段 を 常 に 確 保 して 行 動 していた したがって 選 挙 期 間 中 の 官 邸 の 体 制 には 問 題 はなかったと 判 断 される 13

有 識 者 との 議 論 における 指 摘 及 び 課 題 有 識 者 からは 今 回 の 事 案 においては 人 質 の 動 画 が 公 開 された 以 降 の 救 出 は 極 めて 困 難 であり 救 出 に 向 けてできることは 限 られていたため その 前 の 段 階 における 努 力 が 重 要 であったとの 指 摘 がなされた 一 方 人 質 事 案 において 特 に 犯 人 側 から 御 家 族 に 秘 密 裏 に 接 触 があるよ うな 段 階 においては 人 質 の 生 命 に 関 わるため 秘 密 の 保 全 には 最 大 限 配 慮 す る 必 要 があり 動 員 をかけて 体 制 を 増 強 することは 困 難 ではないかとの 議 論 も あった こうした 議 論 を 受 け 有 識 者 からは 秘 密 の 保 全 と 体 制 強 化 のバランスや 退 避 勧 告 地 域 であり 政 府 関 係 者 が 立 ち 入 れず 情 報 収 集 が 困 難 であったこと 領 域 国 政 府 が 機 能 しない 中 で 被 害 者 救 出 のためにとり 得 る 措 置 は 限 られていた ことを 踏 まえると この 期 間 における 対 応 はやむを 得 ないものであったと 言 え るとの 指 摘 がなされた 有 識 者 からは 政 府 内 において 外 務 省 と 警 察 庁 が 連 携 してチームを 組 み 御 家 族 による 対 応 を 最 大 限 支 援 するとの 方 針 の 下 で 対 処 したことは 過 去 の 事 案 と 比 較 して 関 係 省 庁 間 の 連 携 が 促 進 された 点 で 評 価 でき このような 海 外 にお ける 邦 人 拘 束 事 案 について 迅 速 かつ 緊 密 に 連 携 できるよう 引 き 続 き 外 務 省 及 び 警 察 庁 の 関 係 部 署 の 間 で 平 素 から 連 携 を 緊 密 にすることが 望 ましいとの 指 摘 もなされた 14

(3) 御 家 族 への 対 応 は 適 切 であったか (8 月 の 行 方 不 明 発 覚 から12 月 3 日 までの 期 間 を 含 む ) 論 点 政 府 は 御 家 族 と 緊 密 に 連 絡 をとりつつ 御 家 族 の 負 担 を 少 しでも 和 らげる ような 情 報 提 供 助 言 等 を 行 ったか 御 家 族 の 心 情 意 向 を 踏 まえた 支 援 ができたか 評 価 検 討 8 月 の 湯 川 氏 の 行 方 不 明 発 覚 以 降 この 期 間 を 含 め 外 務 省 及 び 警 察 は 関 係 職 員 による 御 家 族 への 往 訪 対 面 での 相 談 を 含 め 御 家 族 と 緊 密 に 連 絡 をと り 湯 川 氏 後 藤 氏 の 安 否 情 報 やその 時 点 での 政 府 の 対 応 方 針 等 に 係 る 情 報 提 供 等 を 行 った また 御 家 族 の 支 援 を 実 施 するに 当 たっては 御 家 族 の 意 向 を 聴 取 し これ を 最 大 限 尊 重 して 御 家 族 の 負 担 が 軽 減 されるよう 努 めた 今 後 も 類 似 の 事 案 が 発 生 した 場 合 には 速 やかに 御 家 族 と 連 絡 を 取 り 御 家 族 の 置 かれた 状 況 を 的 確 に 把 握 して その 心 情 意 向 を 踏 まえた 支 援 を 行 う 必 要 がある 15

(4) 総 理 の 中 東 訪 問 のタイミング 及 びスピーチの 表 現 は 適 当 であったか 論 点 邦 人 が 拘 束 されている 中 総 理 が 中 東 を 訪 問 したことは 適 当 であったか 総 理 スピーチでのISIL 関 連 の 言 及 は ISILを 刺 激 するものではな かったか 評 価 検 討 ( 訪 問 ) 戦 後 70 年 の 節 目 の 今 年 戦 後 日 本 の 平 和 国 家 としての 歩 みを 世 界 へ 積 極 的 に 広 げていくとの 意 志 を 国 際 社 会 特 に 中 東 地 域 に 発 信 することが 重 要 であると 考 えられた また 過 激 主 義 テロや 暴 力 の 最 前 線 に 置 かれている 穏 健 な 中 東 諸 国 においては 食 糧 支 援 医 療 支 援 等 平 和 の 道 を 歩 んできた 日 本 だからこそできることに 対 する 需 要 は 高 まっていた そうした 中 で 総 理 がこ のタイミングで 中 東 諸 国 を 訪 問 し 中 東 地 域 の 主 要 勢 力 との 関 係 強 化 を 図 り 中 東 地 域 の 平 和 と 安 定 に 対 する 強 いコミットメントを 表 明 したことは 時 宜 を 得 たものであり 日 本 の 存 在 感 を 強 めることにつながったと 考 えられる 総 理 の 中 東 訪 問 を 検 討 した 時 点 で 政 府 としては ISILにより 邦 人 2 名 が 拘 束 された 可 能 性 が 排 除 されないとの 認 識 であった ISILについて は 随 時 関 係 省 庁 から 総 理 をはじめ 官 邸 に 現 状 及 び 分 析 の 報 告 がなされ 総 理 以 下 ISILによる 残 虐 な 行 為 恐 怖 支 配 の 現 状 等 を 十 分 認 識 していた そ の 上 で 仮 に ISILを 恐 れるあまり これまで 積 み 重 ねてきた 日 本 の 対 中 東 外 交 や 人 道 支 援 を 止 めるようなことになればテロに 屈 することになり 決 してすべきではないとの 考 えから 訪 問 を 決 定 したことは 適 切 な 判 断 であっ たと 考 えられる (スピーチ) ISILをはじめとするテロは 国 際 社 会 全 体 にとっての 脅 威 となってお り 対 処 の 必 要 性 について 安 保 理 決 議 及 び 安 保 理 議 長 声 明 が 累 次 にわたり 採 択 発 出 されている 日 本 は 国 際 社 会 の 一 員 として このような 国 際 社 会 の 取 組 に 役 割 を 果 たしていくのは 当 然 である また 穏 健 なイスラム 社 会 こそが テロの 脅 威 の 最 前 線 にあって ISILをはじめ テロとの 闘 いを 進 めている そのような 中 我 が 国 は こうした 穏 健 なイスラム 社 会 との 連 帯 を 強 く 示 すべ きとの 考 えの 下 昨 年 来 総 理 や 外 務 大 臣 が 国 連 総 会 を 含 む 国 際 会 議 や 各 国 と の 首 脳 会 談 及 び 外 相 会 談 の 場 において ISILに 対 する 日 本 の 立 場 を 明 確 に 表 明 してきている 今 回 のエジプトにおける 中 東 政 策 スピーチにおいても 総 理 から そうした 16

日 本 の 立 場 を 改 めて 明 確 に 発 信 すべく 官 邸 と 外 務 省 との 間 で 緊 密 に 調 整 を 行 い 総 理 に 随 時 指 示 を 仰 ぎながら 案 文 の 作 成 作 業 を 行 った 最 終 的 に 訪 問 直 前 に 総 理 の 了 承 を 得 て ISIL 関 連 部 分 を 含 む 案 文 全 体 をセットした スピーチ 案 を 検 討 した 時 点 で 政 府 としては 邦 人 が 確 かに 拘 束 されている と 認 識 し 犯 行 主 体 を 特 定 するには 至 っていなかったが 様 々な 可 能 性 がある 中 でISILである 可 能 性 も 排 除 されないとの 認 識 であった 同 時 に 中 東 地 域 のみならず 国 際 社 会 全 体 にとっての 脅 威 となっているISILをはじめ テロとの 闘 いを 進 めている 中 東 諸 国 に 対 して 連 帯 を 示 し 日 本 ができる 人 道 支 援 を 表 明 することが 重 要 だとの 考 えに 基 づいて スピーチの 案 文 について は 様 々な 観 点 から 検 討 した このような 我 が 国 の 中 東 地 域 の 平 和 と 安 定 に 向 けた 取 組 の 表 明 は 中 東 諸 国 からも 高 く 評 価 されている また このスピーチにおいて 我 が 国 が 表 明 した 中 東 への 新 たな 支 援 は 1, 000 万 人 を 超 える 難 民 避 難 民 の 命 をつなぐための 人 道 支 援 であり 中 東 の 人 々の 生 活 向 上 のための 非 軍 事 分 野 の 支 援 であることを 明 確 にしている I SIL 自 身 が1 月 20 日 に 公 開 した 動 画 においても 我 が 国 の 支 援 は 非 軍 事 的 支 援 であると 表 示 されており ISIL 側 も 我 が 国 の 支 援 が 非 軍 事 である ことは 認 識 していたと 考 えられる ISILと 闘 う 周 辺 各 国 に 支 援 を 行 うということは 過 激 主 義 と 最 前 線 で 直 面 し 難 民 国 内 避 難 民 といった 課 題 に 対 処 している 穏 健 イスラム 諸 国 を 日 本 も 国 際 社 会 の 責 任 ある 一 員 として 支 援 していく とのメッセー ジを 発 出 するという 趣 旨 である このような 基 本 的 考 えは 昨 年 9 月 の 国 連 総 会 においても 明 確 にしている 以 上 を 踏 まえると ISILは 自 らに 都 合 よく 様 々な 主 張 を 行 うが ISI L 関 連 部 分 を 含 む 総 理 の 中 東 政 策 スピーチの 内 容 表 現 には 問 題 はなかった と 判 断 される 有 識 者 との 議 論 における 指 摘 及 び 課 題 有 識 者 からは ISILと 闘 う 周 辺 各 国 に 対 する 支 援 というスピーチの 表 現 については 日 本 側 の 意 図 とは 異 なるが ISILにより 脅 迫 の 口 実 とされた との 指 摘 がなされた テロリストが 政 府 の 発 言 を 都 合 よく 曲 解 するのは 当 然 であり このようなテ ロリストの 脅 しに 屈 するべきでないのは 言 うまでもないが 有 識 者 からは 善 悪 白 黒 の 二 元 論 ではなく よりしたたかな 発 言 を 追 求 する 必 要 があるとの 指 摘 や 今 回 は 必 ずしもあてはまらないとしても 今 後 人 質 を 救 出 できる 可 能 性 17

があるような 場 合 には このように 注 目 を 集 める 対 外 的 発 信 には 十 分 に 注 意 す る 必 要 があるといった 指 摘 がなされた 一 部 の 中 東 メディアの 報 道 において 総 理 の 中 東 政 策 スピーチを 誤 って 翻 訳 した 報 道 ( 総 理 が 軍 事 的 支 援 (military aid)を 表 明 した 等 )が 見 られたが この 点 について 有 識 者 からは スピーチでは 明 確 に 非 軍 事 の 支 援 と 明 示 して おり アラビア 語 国 際 衛 星 放 送 など 主 要 メディアでは 明 確 に 非 軍 事 と 報 じられ ており ISIL 側 の 宣 伝 映 像 ですらスピーチの 提 案 を 非 軍 事 とする 報 道 をそ のまま 用 いていることから 表 現 する 側 において 適 切 に 言 葉 を 選 んだことや その 表 現 をアラブ 世 界 の 有 力 報 道 機 関 が 正 確 に 伝 え ISILにも 伝 わってい ることは 明 確 であるという 指 摘 もあった また ISILと 闘 う 周 辺 各 国 ( 中 略 )への 支 援 の 闘 う にあたる 英 訳 (contend with)は 不 要 な 解 釈 をされにくい 適 切 な 訳 であるが 欧 米 の 報 道 で は 総 理 が 日 本 語 スピーチでも 英 訳 でも 用 いていない 戦 争 (war) を 記 事 タイ トルに 入 れる 例 もあり センセーショナルな 印 象 を 醸 し 出 したいメディアに 媒 介 されると 意 図 せざる 報 道 が 行 われる 可 能 性 もあるとの 指 摘 があった 政 府 は 一 部 の 中 東 メディアによる 事 実 誤 認 の 報 道 の 認 知 後 速 やかに 関 係 在 外 公 館 を 通 じて 訂 正 を 求 めたが 今 後 も 同 様 の 事 案 が 生 じる 可 能 性 があること を 踏 まえ 我 が 国 の 中 東 政 策 について 平 素 から 報 道 関 係 者 に 対 して 丁 寧 に 説 明 を 行 うとともに 事 実 誤 認 の 報 道 は 早 急 に 訂 正 を 求 めることが 重 要 であり 現 地 の 報 道 のモニタリングやチェックを 行 う 在 外 公 館 の 体 制 を 強 化 し 特 に 総 理 の 外 国 訪 問 の 際 にはきめ 細 かく 確 認 することが 必 要 であると 考 えられる なお 有 識 者 からは 総 理 が 案 文 にない 表 現 を 用 いたため 急 遽 英 訳 が 変 更 された と 一 部 の 英 語 メディアが 報 じていたとの 指 摘 があったが 総 理 のス ピーチは 案 文 に 基 づいており そのような 報 道 は 事 実 に 反 するものである 18

3.1 月 20 日 の 動 画 公 開 後 の 対 応 この 期 間 は 湯 川 氏 後 藤 氏 がISILによって 拘 束 され 殺 害 が 予 告 されて いるとの 前 提 の 下 で 対 応 する 必 要 があった 政 府 としては 人 命 第 一 の 立 場 で 両 名 を 解 放 するために 何 が 最 も 効 果 的 な 方 法 かとの 観 点 から 検 討 した 結 果 ISILと 直 接 接 触 することではなく ヨルダ ンをはじめとする 関 係 国 と 緊 密 に 連 携 し あらゆるルート チャンネルを 活 用 し 最 大 限 努 力 することとした また 日 本 の 立 場 を 適 時 適 切 に 発 信 することに 努 めた 事 実 関 係 ( 事 件 の 推 移 ) 1 月 20 日 14 時 50 分 外 務 省 において ISILによって 発 出 されたと みられる 動 画 を 確 認 した 1 月 20 日 に 確 認 されたISILによって 発 出 されたとみられる 動 画 での メッセージの 内 容 は 以 下 のとおり 日 本 の 首 相 よ イスラム 国 から8,500キロも 離 れているにも 拘 わらず お 前 は 誇 らしくも 十 字 軍 戦 争 への 参 加 を 志 願 し ムスリムの 女 性 や 子 供 を 殺 し 家 を 破 壊 するために1 億 ドルを 寄 付 した だからこの 日 本 国 民 の 値 段 は1 億 ドルだ そしてイスラム 国 の 拡 張 を 止 めるため ジハード 戦 士 に 対 して 背 教 者 を 訓 練 するためにさらに1 億 ドルを 寄 付 した だからこの 日 本 国 民 の 値 段 はもう1 億 ドルだ 日 本 国 民 よ お 前 たちの 政 府 がこの 馬 鹿 げた 決 定 をし 2 億 ドルをイスラム 国 との 戦 争 に 支 払 ったため お 前 たちに72 時 間 の 猶 予 を 与 えるので 政 府 に 圧 力 をかけ 2 億 ドルを 国 民 の 命 を 救 う 賢 明 な 決 断 の ために 支 払 わせよ でなければ このナイフはお 前 たちの 悪 夢 となるだろう 1 月 24 日 23 時 過 ぎ 湯 川 氏 が 殺 害 されたとみられる 写 真 を 持 つ 後 藤 氏 とみられる 人 物 の 映 像 とメッセージがインターネット 上 に 配 信 された 1 月 27 日 23 時 頃 後 藤 氏 とみられる 人 物 がヨルダン 人 パイロットの 写 真 が 印 刷 された 紙 を 手 にした 画 像 と 音 声 メッセージがネット 上 に 配 信 された 1 月 29 日 8 時 前 後 藤 氏 の 声 とみられる 音 声 メッセージがネット 上 に 配 信 された 2 月 1 日 5 時 頃 後 藤 氏 とみられる 人 物 が 殺 害 される 映 像 がネット 上 に 配 信 された ( 政 府 内 の 体 制 関 係 省 庁 の 連 携 ) 1 月 20 日 14 時 50 分 外 務 省 においてISILによって 発 出 されたとみ られる 動 画 を 確 認 した 直 後 イスラエル 訪 問 中 の 総 理 に 第 一 報 を 行 った 19

同 日 15 時 30 分 総 理 が 動 画 を 確 認 した また 昨 年 立 ち 上 げられたアン マンの 現 地 対 策 本 部 に 同 行 中 の 中 山 外 務 副 大 臣 を 派 遣 することを 決 定 した 同 日 16 時 官 房 長 官 から 総 理 に 報 告 した その 際 総 理 から 1 事 実 関 係 の 確 認 に 全 力 を 尽 くすこと 2 関 係 各 国 等 とも 協 力 し 人 命 第 一 に 対 応 すること との 指 示 がなされた 同 日 16 時 33 分 からの 官 房 長 官 記 者 会 見 において 総 理 指 示 を 発 表 した 総 理 は 視 察 等 を 取 りやめ エルサレム(イスラエル)に 戻 った 1 月 21 日 4 時 18 分 総 理 一 行 は 政 府 専 用 機 にてテルアビブ(イスラエル) 国 際 空 港 を 出 発 した 同 日 16 時 30 分 羽 田 空 港 に 到 着 した この 間 も 随 時 総 理 一 行 と 東 京 との 間 で 連 絡 がとられた 1 月 20 日 15 時 官 邸 においては 内 閣 危 機 管 理 監 を 長 とする 官 邸 対 策 室 外 務 省 は 事 務 次 官 を 長 とする 緊 急 対 策 本 部 (22 日 16 時 30 分 に 緊 急 対 策 本 部 の 長 を 外 務 大 臣 に 変 更 ) 警 察 庁 は 警 備 局 長 を 長 とする 対 策 本 部 公 安 調 査 庁 は 次 長 を 長 とする 緊 急 調 査 室 を 設 置 した また 同 日 16 時 20 分 防 衛 省 においては 海 外 出 張 中 の 防 衛 大 臣 から 情 報 収 集 に 万 全 を 期 せ との 大 臣 指 示 がなされた 1 月 20 日 16 時 30 分 に 関 係 省 庁 局 長 級 会 議 を 17 時 35 分 に 関 係 閣 僚 会 議 を 開 催 した その 後 も 事 態 の 展 開 に 応 じ 本 件 に 関 する 関 係 閣 僚 会 議 を 5 回 開 催 した 外 務 省 は ヨルダン 等 のシリア 周 辺 地 域 に 出 張 者 を 派 遣 し また 警 察 庁 は 外 務 省 の 協 力 を 得 て シリア 周 辺 国 に 国 際 テロリズム 緊 急 展 開 班 ( 以 下 TR T-2 という )を 派 遣 し 情 報 収 集 等 の 体 制 を 構 築 した 内 閣 情 報 調 査 室 警 察 庁 公 安 調 査 庁 外 務 省 防 衛 省 等 で 構 成 される 情 報 コミュニティは 関 係 省 庁 課 長 級 会 議 の 開 催 等 を 通 じて 相 互 に 関 連 情 報 を 共 有 する 等 して 情 報 集 約 に 努 めた 外 務 省 及 び 警 察 庁 は 官 邸 危 機 管 理 センターに24 時 間 体 制 でリエゾンを 派 遣 した また 内 閣 官 房 副 長 官 補 ( 事 態 対 処 危 機 管 理 ) 付 は 国 家 安 全 保 障 局 と 協 力 して 関 係 閣 僚 会 議 開 催 を 含 め 関 係 省 庁 間 の 連 絡 調 整 に 当 たっ た 1 月 23 日 及 び2 月 1 日 には 中 東 情 勢 特 に 本 件 事 案 について 国 家 安 全 保 障 会 議 ( 四 大 臣 会 合 )を 開 催 した ( 情 報 収 集 体 制 ) 1 月 20 日 の 動 画 確 認 後 外 務 省 関 係 者 が 現 地 の 部 族 長 や 宗 教 関 係 者 に 連 絡 をし 情 報 収 集 を 行 うとともに 日 本 の 中 東 への 貢 献 等 邦 人 解 放 に 向 け 有 効 な 情 報 を 現 地 に 発 信 するよう 依 頼 するなど 働 きかけを 行 った 外 務 省 は 1 月 20 日 の 動 画 公 開 以 前 から 実 施 していた 多 数 の 治 安 情 報 機 20

関 等 に 対 する 働 きかけを 一 段 と 強 化 し 在 外 公 館 を 通 じた 経 路 等 を 通 じ 主 要 国 に 対 し 情 報 を 求 めるとともに 関 係 国 に 様 々なレベルで 情 報 収 集 に 係 る 更 なる 協 力 を 要 請 し 入 手 した 情 報 を 精 査 分 析 の 上 随 時 官 邸 や 内 閣 官 房 副 長 官 補 ( 事 態 対 処 危 機 管 理 担 当 ) 付 国 家 安 全 保 障 局 等 に 報 告 した 警 察 庁 は 1 月 20 日 の 動 画 公 開 後 TRT-2をシリア 周 辺 国 に 派 遣 して 情 報 収 集 を 行 ったほか 平 素 から 緊 密 な 関 係 を 構 築 していた 各 国 の 治 安 情 報 機 関 に 対 して 事 案 の 概 要 を 説 明 し 関 連 情 報 の 提 供 を 依 頼 した 内 閣 情 報 調 査 室 では 1 月 20 日 の 動 画 公 開 以 降 も 外 国 治 安 情 報 機 関 と の 情 報 交 換 衛 星 画 像 情 報 収 集 公 開 情 報 収 集 等 を 通 じて 関 連 情 報 の 収 集 分 析 を 行 った 特 に 外 国 治 安 情 報 機 関 に 対 しては 働 きかけを 強 め 関 連 情 報 の 提 供 を 依 頼 した 内 閣 情 報 調 査 室 では 入 手 した 関 連 情 報 を 官 邸 及 び 関 係 省 庁 と 随 時 共 有 し た また 情 報 収 集 衛 星 システムにより 必 要 な 画 像 情 報 の 収 集 分 析 を 迅 速 に 行 い 関 係 省 庁 に 対 して 数 時 間 以 内 に 報 告 書 を 随 時 発 出 した 防 衛 省 においても 1 月 20 日 の 動 画 公 開 後 関 係 各 国 の 国 防 情 報 機 関 に 対 し 情 報 提 供 を 要 請 し また 中 東 地 域 に 赴 任 している 防 衛 駐 在 官 に 対 し 情 報 収 集 を 行 うよう 指 示 した 公 安 調 査 庁 では 関 係 機 関 と 連 携 しつつ 国 内 外 における 関 連 動 向 の 把 握 に 向 けて 情 報 収 集 を 行 った 関 係 省 庁 は 各 々が 収 集 分 析 した 情 報 について 適 時 共 有 した (インターネット 上 の 情 報 収 集 体 制 ) 警 察 庁 においては 特 定 のサイトについて 特 定 のキーワードによる 画 像 又 は 声 明 の 検 索 を 継 続 して 実 施 し インターネット 上 の 配 信 映 像 等 の 早 期 把 握 に 努 めた また インターネット 上 の 配 信 映 像 等 の 信 ぴょう 性 ( 湯 川 氏 及 び 後 藤 氏 の 本 人 確 認 を 含 む )を 確 認 するため 科 学 警 察 研 究 所 における 検 査 分 析 を 実 施 した ISILは 取 り 締 まりを 避 けるため 公 式 のホームページや Twitter を 持 た ず 個 人 の Twitter 上 に 突 然 声 明 や 動 画 を 投 稿 する 一 方 ISILを 騙 る 多 く の 団 体 個 人 から 大 量 の 偽 情 報 がネット 上 に 流 されている 中 外 務 省 は 限 られ た 人 的 資 源 で 臨 時 的 な24 時 間 の 監 視 体 制 を 組 み 情 報 の 早 期 発 見 に 努 め 真 正 なISILの 声 明 動 画 等 を 把 握 確 認 した ( 関 係 国 との 連 携 ) 1 月 20 日 19 時 30 分 頃 から 総 理 は ラマッラ(パレスチナ)において アッバース パレスチナ 大 統 領 との 首 脳 会 談 を 実 施 した 同 日 23 時 30 分 頃 21

からアブドッラー ヨルダン 国 王 との 間 で 電 話 会 談 を 実 施 し 協 力 を 要 請 した アブドッラー 国 王 からは 日 本 人 人 質 が 無 事 解 放 されるよう 可 能 な 限 りの 情 報 を 集 める 等 ヨルダンとしてあらゆる 協 力 を 行 う 用 意 がある との 言 及 があった 総 理 は 1 月 21 日 0 時 頃 からエルドアン トルコ 大 統 領 引 き 続 き0 時 3 0 分 頃 からエルシーシ エジプト 大 統 領 との 間 で 電 話 会 談 を 実 施 し 協 力 を 要 請 した いずれの 首 脳 からも 本 件 事 案 の 解 決 に 向 けて 協 力 を 惜 しまないとの 姿 勢 が 示 された イスラエルについては 現 地 滞 在 中 の 総 理 からの 指 示 を 受 け 在 イスラエル 大 使 館 が 情 報 収 集 に 当 たった 1 月 20 日 深 夜 中 山 外 務 副 大 臣 が 現 地 対 策 本 部 長 としてアンマンに 到 着 し 直 ちに ハッサン ヨルダン 王 宮 府 国 王 室 長 と 面 会 し 協 力 を 要 請 した 翌 21 日 中 山 外 務 副 大 臣 はアブドッラー ヨルダン 国 王 に 拝 謁 し 協 力 を 要 請 した アブドッラー 国 王 以 下 ヨルダン 政 府 関 係 者 から 全 面 的 な 協 力 の 表 明 があった 以 降 中 山 外 務 副 大 臣 はアンマン 滞 在 期 間 中 連 日 にわたりヨルダ ン 政 府 関 係 者 と 面 会 し アブドッラー ヨルダン 国 王 を 含 むヨルダン 政 府 要 人 に 対 して 情 報 収 集 を 含 む 各 種 協 力 要 請 を 行 った 現 地 対 策 本 部 では 本 部 長 の 下 24 時 間 体 制 を 構 築 した TRT-2は 各 国 の 治 安 情 報 機 関 と 接 触 して 情 報 収 集 を 行 うとともに 現 地 対 策 本 部 が 治 安 情 報 機 関 と 接 触 する 際 に は 平 素 から 警 察 庁 が 緊 密 な 関 係 を 構 築 していたことに 鑑 み これを 積 極 的 に 支 援 した トルコとの 関 係 においては 1 月 20 日 の 動 画 確 認 後 在 トルコ 日 本 国 大 使 館 から 直 ちにトルコ 政 府 に 対 して 情 報 提 供 を 要 請 した 1 月 21 日 0 時 からの 首 脳 電 話 会 談 において エルドアン トルコ 大 統 領 から 日 本 を 支 援 するためにあらゆることをするよう 命 じておく 旨 発 言 があった 首 脳 電 話 会 談 を 受 けて 在 トルコ 大 使 とトルコ 政 府 関 係 者 との 面 会 が 行 われ その 後 も 連 日 協 議 が 行 われた ベルギーを 訪 問 中 の 外 務 大 臣 は 1 月 20 日 にシュタインマイヤー 独 外 相 翌 21 日 英 国 に 移 動 した 後 ファビウス 仏 外 相 ケリー 米 国 務 長 官 ジェン ティローニ 伊 外 相 との 間 でそれぞれ 電 話 会 談 を 実 施 した また 同 日 夜 ハモ ンド 英 外 相 との 日 英 外 相 戦 略 対 話 キャメロン 首 相 への 表 敬 日 英 外 務 防 衛 閣 僚 会 合 を 実 施 した 翌 22 日 にザリーフ イラン 外 相 と 電 話 会 談 を 実 施 した いずれの 会 談 においても 日 本 側 からの 協 力 要 請 に 対 し 全 面 的 な 協 力 につい て 表 明 があった 総 理 は 帰 国 後 1 月 22 日 にアボット 豪 首 相 キャメロン 英 首 相 との 間 で それぞれ 電 話 会 談 を 実 施 し 協 力 を 要 請 した 22

1 月 24 日 総 理 はアブドッラー ヨルダン 国 王 と 電 話 で 会 談 し 国 王 から は1 月 20 日 の 電 話 会 談 以 降 の 状 況 について 説 明 があり 総 理 から 再 度 協 力 を 要 請 した 1 月 25 日 総 理 はオバマ 米 大 統 領 と 電 話 会 談 を 行 い 協 力 要 請 を 行 った 1 月 27 日 外 務 大 臣 はケリー 米 国 務 長 官 チャヴシュオール トルコ 外 相 との 間 でそれぞれ 電 話 会 談 を 実 施 した 2 月 1 日 外 務 大 臣 は ジュデ ヨルダン 外 相 との 間 で 電 話 会 談 を 実 施 した 2 月 1 日 総 理 はアブドッラー ヨルダン 国 王 との 間 で 電 話 会 談 を 実 施 した ( 対 外 発 信 ) 1 月 20 日 17 時 45 分 から 総 理 がイスラエルにおいて 内 外 記 者 会 見 を 行 い 人 命 を 盾 にとって 脅 迫 をすることは 許 しがたいテロ 行 為 である 日 本 はテ ロに 屈 することなく 国 際 社 会 によるテロとの 闘 いに 貢 献 していく 今 回 の 中 東 訪 問 で 発 表 した2 億 ドルは 難 民 支 援 をはじめ 非 軍 事 分 野 でできる 限 りの 貢 献 を 行 うためのものであるとの 立 場 を 表 明 した 内 外 記 者 会 見 は NHK 及 び 民 放 各 社 において 生 中 継 で 放 映 された また この 会 見 記 録 全 文 ( 英 文 )に ついては 官 邸 ホームページ( 英 語 )に 掲 載 し 在 京 外 国 報 道 機 関 等 にもメー ルで 発 信 した 1 月 20 日 の 動 画 公 開 以 降 2 月 1 日 まで 官 房 長 官 は 定 例 会 見 のほか 事 態 の 展 開 に 応 じて 適 時 に 臨 時 会 見 を4 回 ぶら 下 がり 会 見 を2 回 行 った また 総 理 についても 同 様 に 適 時 にぶら 下 がり 会 見 を3 回 行 うとともに 湯 川 氏 が 殺 害 されたとみられる 写 真 がインターネットに 掲 載 されたとき 後 藤 氏 が 殺 害 されたとみられる 動 画 が 公 開 されたときに それぞれ 総 理 声 明 を 発 出 した こ れらにより 適 時 に 国 民 への 説 明 を 行 うとともに 国 際 社 会 への 日 本 としての メッセージを 発 信 した 1 月 20 日 Twitter 等 のソーシャルメディア 外 務 省 及 び 在 外 公 館 のホー ムページ さらには 中 東 最 大 規 模 の 視 聴 者 を 有 するテレビ 局 アル ジャジー ラ 等 を 通 じ 人 命 を 盾 にとって 脅 迫 をすることは 許 しがたいテロ 行 為 である 2 人 の 日 本 人 に 危 害 を 加 えないよう そして 直 ちに 解 放 するよう 強 く 要 求 す る 今 回 の 中 東 訪 問 で 発 表 した2 億 ドルは 難 民 支 援 をはじめ 非 軍 事 分 野 で できる 限 りの 貢 献 を 行 うためのものとの 日 本 の 立 場 を 発 信 した 外 務 大 臣 は 外 国 訪 問 から 帰 国 後 1 月 22 日 から2 月 1 日 まで 定 例 会 見 のほか 臨 時 会 見 を17 回 行 った 外 務 大 臣 及 び 外 務 報 道 官 記 者 会 見 につき 会 見 記 録 全 文 を 迅 速 に 外 務 省 ホームページ( 日 本 語 ) 外 務 省 ソーシャルメデ ィア( 日 本 語 )を 活 用 して 情 報 発 信 を 行 った 中 山 外 務 副 大 臣 は アンマンの 現 地 対 策 本 部 長 として アンマン 滞 在 の 日 本 23

及 び 外 国 の 報 道 関 係 者 に 対 し 随 時 ぶら 下 がり 会 見 を 通 じ 説 明 を 行 った 1 月 20 日 の 邦 人 殺 害 予 告 事 案 に 対 する 日 本 からのメッセージ 並 びに1 月 25 日 及 び2 月 1 日 の 総 理 声 明 について 英 文 及 びアラビア 語 訳 版 を 迅 速 に 官 邸 ホームページ 及 び 外 務 省 ホームページのトップページの 目 立 つ 場 所 に 掲 載 するとともに 外 務 省 ソーシャルメディアにおいても 情 報 発 信 を 行 った また 外 務 本 省 から 指 示 を 出 し ホームページ 及 びソーシャルメディアを 有 す る 全 在 外 公 館 において これらメッセージ 及 び 声 明 を 掲 載 した また 中 東 地 域 のメディアを 含 む 在 京 外 国 報 道 機 関 過 去 に 日 本 に 招 へいした 記 者 海 外 イ ンターネットメディア 等 に 対 して これらメッセージ 及 び 声 明 をメールで 送 信 したほか 外 務 本 省 からの 指 示 により 在 外 公 館 から 駐 在 国 の 主 要 メディア に 共 有 した 外 務 省 の 担 当 部 局 ( 外 務 報 道 官 組 織 )において 2 月 10 日 までに 外 国 報 道 機 関 からの 照 会 に 計 50 回 以 上 対 応 するとともに BBC 等 主 要 メディア によるインタビューに 副 報 道 官 が 対 応 した また2 月 上 旬 には 事 件 を 受 けた 日 本 のテロ 対 策 中 東 政 策 等 の 立 場 につき 説 明 すべく 外 務 報 道 官 が 訪 米 し 国 連 において 記 者 会 見 を 実 施 (40 社 程 度 が 出 席 し 各 国 で 報 道 された)した ほか 現 地 テレビに 出 演 するとともに ウォールストリートジャーナル ニュ ーヨークタイムズ 等 主 要 メディアにも 日 本 の 立 場 を 説 明 した ( 御 家 族 との 関 係 ) 御 家 族 との 関 係 では 外 務 省 及 び 警 察 においては 1 月 20 日 の 動 画 公 開 以 降 湯 川 氏 父 後 藤 氏 夫 人 に 対 して 事 件 の 現 状 に 係 る 情 報 提 供 御 家 族 の 心 労 のケア 等 に 係 る 必 要 な 助 言 を 行 った 外 務 省 及 び 警 察 は 連 携 して 2 月 1 日 の 動 画 公 開 後 も 御 家 族 の 意 向 を 踏 ま えつつ 湯 川 氏 父 後 藤 氏 夫 人 への 往 訪 電 話 連 絡 を 含 め 様 々な 懸 念 事 項 に 係 る 御 家 族 との 相 談 必 要 な 情 報 の 提 供 等 を 行 っている 湯 川 氏 及 び 後 藤 氏 両 名 の 御 遺 体 については 御 遺 族 の 意 向 を 踏 まえ 御 遺 体 の 御 遺 族 への 返 還 を 実 現 させたいとの 強 い 思 いのもと 現 地 対 策 本 部 等 にお いて 情 報 収 集 に 最 大 限 努 めている ( 邦 人 保 護 の 観 点 ) 邦 人 保 護 の 観 点 では 1 月 20 日 から2 月 10 日 までの 間 外 務 省 は 主 と して 以 下 の 措 置 をとった 1 スポット 情 報 広 域 情 報 の 発 出 ( 合 計 4 件 ) 2 報 道 機 関 への 注 意 喚 起 の 発 出 ( 合 計 3 件 さらに 報 道 機 関 へ 電 話 での 個 別 の 働 きかけを 実 施 ) 24

3 在 外 邦 人 安 全 対 策 及 び 在 外 公 館 警 備 対 策 の 徹 底 を 指 示 ( 合 計 6 回 ) 4 現 地 対 策 本 部 長 ( 中 山 外 務 副 大 臣 )が 在 ヨルダン 大 の 警 備 体 制 を 実 地 確 認 し 退 避 訓 練 を 実 施 1 月 29 日 シリアに 渡 航 していたことが 発 覚 した 報 道 関 係 者 に 対 して 即 時 出 国 するよう 外 務 本 省 及 び 在 外 公 館 から 報 道 機 関 側 に 働 きかけを 行 った 1 月 30 日 外 務 省 は トルコのシリア 国 境 付 近 について 危 険 情 報 の 中 で 最 も 厳 しい 退 避 を 勧 告 します 渡 航 は 延 期 してください を 発 出 し た ヨルダンでは 1 月 25 日 2 月 1 日 2 月 4 日 に 在 ヨルダン 大 使 が 安 全 対 策 連 絡 協 議 会 を 主 催 し 在 留 邦 人 に 対 する 注 意 喚 起 を 行 った 2 月 3 日 外 務 省 は 中 根 外 務 大 臣 政 務 官 を 座 長 とする 在 外 邦 人 の 安 全 対 策 強 化 に 係 る 検 討 チーム を 立 ち 上 げ 今 回 の 事 件 を 受 けて 外 務 省 として 海 外 における 邦 人 安 全 対 策 に 関 し 今 後 の 必 要 な 施 策 とその 実 現 に 向 けた 方 策 について 改 めて 検 討 を 行 うこととなった 2 月 6 日 在 外 邦 人 の 安 全 対 策 強 化 に 係 る 検 討 チーム の 第 2 回 会 合 が 開 催 され 座 長 である 中 根 外 務 大 臣 政 務 官 から 在 外 邦 人 安 全 対 策 強 化 のために 直 ちにとりかかるべき 施 策 としてとりまとめられた5 項 目 (1SMS(ショー トメッセージサービス)による 在 留 邦 人 への 緊 急 一 斉 通 報 システムの 運 用 開 始 2 たびレジ (いざという 時 在 外 公 館 などから 緊 急 時 情 報 提 供 を 受 け られる 海 外 旅 行 登 録 システム)の 利 便 性 向 上 広 報 強 化 3 海 外 安 全 ホームペ ージのスマートフォン 対 応 4 日 本 人 学 校 の 警 備 強 化 5 在 留 邦 人 向 け 安 全 対 策 セミナーの 実 施 )を 発 表 した 2 月 7 日 外 務 省 は 旅 券 法 第 19 条 第 1 項 第 4 号 の 規 定 に 基 づき シリア への 渡 航 を 計 画 する 邦 人 に 対 し 旅 券 の 返 納 を 命 じ 同 人 の 旅 券 を 受 領 した その 後 も 外 務 省 は 退 避 勧 告 地 域 に 渡 航 滞 在 しようとする 邦 人 に 関 する 具 体 的 な 情 報 を 入 手 した 場 合 には 可 能 な 限 り 個 別 に 渡 航 の 中 止 を 働 き かけている 25

(1) 政 府 内 の 体 制 構 築 は 十 分 であったか 論 点 政 府 内 の 体 制 構 築 は 十 分 であったか 外 国 訪 問 中 の 総 理 一 行 との 連 携 は 十 分 であったか 現 地 対 策 本 部 をヨルダンに 設 置 したことは 適 切 か 評 価 検 討 ( 政 府 内 の 体 制 構 築 総 理 一 行 との 連 携 ) 1 月 20 日 15 時 に 官 邸 に 内 閣 危 機 管 理 監 を 長 とする 官 邸 対 策 室 を 設 置 し て 以 降 同 16 時 30 分 には 内 閣 危 機 管 理 監 が 議 長 となり 国 家 安 全 保 障 局 長 と 連 携 して 関 係 省 庁 局 長 級 会 議 を 開 催 した その 後 も 関 係 省 庁 は24 時 間 体 制 での 対 処 を 行 った こうした 中 官 邸 対 策 室 は 外 務 省 警 察 庁 から24 時 間 体 制 でリエゾンの 派 遣 を 受 け これにより 関 係 省 庁 との 密 接 な 連 携 のも と 官 邸 において 情 報 を 一 元 化 し 官 邸 の 意 思 決 定 に 資 することができた 1 月 20 日 の 動 画 確 認 後 外 国 訪 問 中 の 総 理 一 行 との 間 で 適 時 かつ 緊 密 な 連 携 が 図 られたことにより 東 京 ( 官 邸 及 び 関 係 省 庁 )に 対 し 迅 速 かつ 適 切 な 指 示 がなされるとともに 日 本 の 立 場 が 内 外 に 明 確 に 示 された また 関 係 各 国 からは 全 面 的 協 力 の 表 明 を 得 ることができた 今 回 の 事 案 では 在 アルジェリア 邦 人 に 対 するテロ 事 件 の 際 の 経 験 教 訓 を 活 かして 臨 機 応 変 に 対 応 することができた 今 後 とも 総 理 外 国 訪 問 中 にお いては いかなる 場 合 においても 東 京 との 間 で 迅 速 かつ 円 滑 な 連 絡 ができる ような 体 制 を 整 えておく 必 要 がある 当 該 事 案 は 危 機 管 理 及 び 外 交 安 全 保 障 と 大 きく 二 つの 要 素 があることか ら 直 ちに 内 閣 官 房 として 内 閣 官 房 副 長 官 補 ( 事 態 対 処 危 機 管 理 ) 付 が 国 家 安 全 保 障 局 と 連 携 し 対 処 することとした また とりわけ 在 外 邦 人 の 保 護 や 外 交 を 主 管 する 外 務 省 と 内 閣 官 房 の 緊 密 な 連 携 が 必 要 であるが 在 ア ルジェリア 邦 人 に 対 するテロ 事 件 以 降 の 省 庁 間 連 携 訓 練 等 を 通 じて 構 築 され た 基 盤 を 活 かし 速 やかな 連 携 を 図 ることができた 1 月 23 日 及 び2 月 1 日 には 国 家 安 全 保 障 会 議 ( 四 大 臣 会 合 )を 開 催 し 特 に 外 交 安 全 保 障 政 策 の 観 点 から 本 件 事 案 に 関 する 詳 細 な 審 議 を 行 った 国 家 安 全 保 障 局 はその 事 務 局 として 関 連 する 情 報 を 集 約 して 総 合 整 理 した そのような 形 で 整 理 された 情 報 は この 間 官 邸 の 状 況 判 断 及 び 意 思 決 定 に 活 かされた また 国 家 安 全 保 障 局 長 は 本 件 事 案 に 関 し 総 理 官 房 長 官 の 下 で 行 われた 打 合 わせや 電 話 首 脳 会 談 に 出 席 し 外 交 安 全 保 障 の 観 点 から 適 切 な 助 言 を 行 った この 種 の 事 案 への 対 応 については 平 素 からの 情 報 共 有 連 携 が 重 要 であり 26

今 後 とも 情 報 ニーズを 踏 まえた 適 時 適 切 な 情 報 共 有 を 旨 とし 速 やかに 体 制 を 構 築 して 円 滑 に 対 応 できるよう 関 係 省 庁 は 訓 練 演 習 等 を 通 じて 日 頃 から 関 係 を 密 にしておく 必 要 がある 在 アルジェリア 邦 人 に 対 するテロ 事 件 の 際 の 経 験 教 訓 を 活 かして 要 員 に あらかじめ 数 次 旅 券 を 発 給 していたこともあり 今 回 の 事 案 では 迅 速 かつ 円 滑 にTRT-2を 派 遣 することができ また 同 事 件 を 契 機 として 警 察 庁 に 設 けられた 外 事 特 殊 事 案 対 策 官 を 派 遣 しその 指 揮 を 執 らせた ただし 情 報 を 整 理 分 析 し TRT-2に 対 して 適 切 な 指 示 を 行 うための 警 察 庁 本 庁 の 人 的 態 勢 が 必 ずしも 十 分 ではなかったことから 今 後 強 化 を 図 る 必 要 がある ( 現 地 対 策 本 部 ) 現 地 対 策 本 部 の 設 置 場 所 についてはトルコも 選 択 肢 としてあったが 在 ヨ ルダン 大 内 にある 在 シリア 大 臨 時 事 務 所 が8 月 の 湯 川 氏 行 方 不 明 発 覚 後 現 地 対 策 本 部 を 設 置 して 常 時 フォローしていたこと ヨルダンは 地 域 の 情 報 集 約 地 であること また 時 間 的 制 約 がある 中 でヨルダン 政 府 からは 実 際 に 緊 密 な 協 力 を 得 られたこと 等 を 踏 まえれば 引 き 続 きヨルダンに 現 地 対 策 本 部 が 維 持 されたことは 適 切 と 考 えられる 同 時 に 政 府 としては 他 の 関 係 各 国 等 とも 緊 密 に 連 携 し あらゆるルート チャンネルを 活 用 し その 一 環 として トルコについても 事 件 発 生 後 総 理 からエルドアン 大 統 領 に 電 話 し あらゆるレベルで 協 力 関 係 を 築 き 連 携 した 現 地 対 策 本 部 の 設 置 に 当 たっては 相 手 国 政 府 の 協 力 情 報 集 約 の 度 合 い 有 効 な 情 報 提 供 者 仲 介 者 の 存 在 秘 密 の 保 全 を 確 保 できる 設 備 の 有 無 等 を 総 合 的 に 勘 案 する 必 要 があるところ 今 後 も 同 様 の 事 案 が 発 生 した 場 合 には そ れらの 点 を 十 分 に 検 討 しつつ 設 置 場 所 を 迅 速 に 決 定 することが 肝 要 である 有 識 者 との 議 論 における 指 摘 及 び 課 題 政 府 の 体 制 構 築 については 有 識 者 から 1 月 20 日 の 動 画 公 開 以 降 の 政 府 の 初 動 体 制 構 築 は 極 めて 迅 速 かつ 円 滑 に 行 われており 動 画 が 公 開 された 後 直 ちに 総 理 が 自 らメッセージを 発 信 したこと 等 総 理 の 外 国 訪 問 中 の 危 機 対 応 と しても 適 切 であった 旨 の 指 摘 がなされた 一 方 今 回 の 事 案 の 対 応 で 官 邸 や 関 係 省 庁 の 幹 部 が 長 時 間 にわたり 拘 束 され たのは 明 らかであり これ 以 上 事 案 が 長 期 化 した 場 合 に 持 続 可 能 であったの か 同 時 に 他 の 危 機 が 発 生 した 場 合 に 対 応 可 能 だったのか といった 点 につい ても 考 慮 する 必 要 があるとの 指 摘 もあった 27

この 期 間 における 現 地 対 策 本 部 の 設 置 場 所 については トルコという 選 択 肢 もあったことは 事 実 であるが 言 語 の 問 題 (ISIL 支 配 地 域 及 びヨルダンは アラビア 語 トルコはトルコ 語 ) 湯 川 氏 行 方 不 明 以 降 対 策 本 部 がヨルダンに おかれていたこと 及 び 犯 人 側 が 提 示 した 時 間 的 制 約 に 鑑 み 有 識 者 からもヨル ダンに 対 策 本 部 を 置 いたことは 妥 当 な 判 断 であるとの 指 摘 がなされた なお ヨルダンの 現 地 対 策 本 部 においては 多 くの 報 道 関 係 者 に 取 り 囲 まれ ての 活 動 となったが 有 識 者 からは 人 質 の 命 がかかっている 事 案 についての 報 道 については 国 内 の 人 質 拘 束 事 案 と 同 じような 慎 重 さも 必 要 と 考 えられる のではないかとの 指 摘 がなされた こうした 指 摘 も 踏 まえ 今 後 類 似 の 事 案 が 発 生 した 際 の 現 地 対 策 本 部 と 報 道 対 応 の 在 り 方 についても 検 討 していく 必 要 がある 28

(2) 情 報 収 集 分 析 は 十 分 であったか 論 点 情 報 収 集 分 析 は 十 分 であったか 各 国 インテリジェンス 機 関 との 連 携 は 十 分 かつ 適 切 であったか インターネット 上 の 各 種 情 報 の 確 認 及 び 信 ぴょう 性 確 認 は 迅 速 かつ 適 切 で あったか 評 価 検 討 ( 情 報 収 集 分 析 ) 1 月 20 日 以 降 の 首 脳 外 相 を 含 む 様 々なレベルでの 協 力 要 請 の 結 果 外 務 省 に 対 して ISILによるこれまでの 拘 束 事 案 に 多 大 な 情 報 を 有 するヨル ダン トルコ 及 び 画 像 音 声 分 析 に 係 る 高 い 技 術 を 有 する 西 側 関 係 国 等 から 平 素 から 構 築 してある 在 外 公 館 を 通 じた 情 報 入 手 の 経 路 等 を 通 じて 治 安 情 報 機 関 の 最 も 高 いレベルからの 情 報 提 供 を 含 め 質 及 び 量 ともに 高 いレベル での 情 報 提 供 があった 今 後 もこれら 治 安 情 報 機 関 とのさらに 緊 密 な 関 係 の 構 築 に 努 め また 事 案 発 生 時 には 東 京 からの 職 員 の 派 遣 も 含 め 今 回 同 様 に 機 動 的 な 対 応 を 行 うことが 重 要 である 政 府 が 在 外 公 館 を 現 に 有 さず 退 避 勧 告 を 発 出 しているシリア 領 内 に 人 員 を 派 遣 することが 極 めて 困 難 な 状 況 下 において さらには シリア 政 府 の 実 効 的 な 支 配 が 及 ばない 地 域 における 事 案 であったこともあり 例 えば2004 年 のイラクにおける 邦 人 拘 束 事 案 との 比 較 においても 情 報 収 集 面 で 一 定 の 限 界 があった 〇 今 回 の 事 案 において SNS(ソーシャル ネットワーキング サービス) を 含 むインターネット 上 の 各 種 情 報 の 確 認 分 析 が 重 要 な 役 割 を 果 たしてい たが アラビア 語 媒 体 からの 情 報 収 集 分 析 をより 迅 速 かつ 効 果 的 に 実 施 する ため アラビア 語 専 門 家 を 一 層 拡 充 することが 必 要 である ( 画 像 把 握 信 ぴょう 性 確 認 ) 政 府 は 個 人 の Twitter に 投 稿 された1 月 20 日 のISILの 動 画 を 即 座 に 把 握 したことをはじめ 2 月 1 日 の 動 画 に 至 るほとんどのケースにおいて 内 外 メディアが 報 じるよりも 迅 速 に 動 画 画 像 について 把 握 した また 今 般 多 数 の 偽 ISILサイトから 様 々な 情 報 が 流 れ それらをメディアが 取 り 上 げる 中 で 政 府 は 分 析 を 通 じてISILの 真 正 な 声 明 を 選 別 確 認 した ISIL 等 国 際 テロ 組 織 はSNS 等 インターネットを 通 じた 情 報 発 信 を 巧 みに 行 っており 今 後 類 似 の 事 案 が 発 生 した 場 合 に 可 能 な 限 り 速 やかにイン ターネット 上 の 配 信 映 像 等 を 把 握 できるようにするためには 語 学 力 や 地 域 29

と 宗 教 の 専 門 性 を 有 した 人 員 による24 時 間 体 制 のモニタリングを 平 素 から 持 続 可 能 な 形 で 運 用 していくことが 必 須 であり そのための 人 的 リソース( 育 成 を 含 む )を 含 む 体 制 強 化 を 今 後 検 討 していくことが 必 要 である 今 後 類 似 の 事 案 が 発 生 した 場 合 に 的 確 に 検 査 分 析 を 行 うため 科 学 警 察 研 究 所 における 鑑 定 技 術 の 高 度 化 等 について 検 討 する 必 要 がある ( 情 報 の 混 乱 防 止 ) 政 府 としては 在 アルジェリア 邦 人 に 対 するテロ 事 件 の 教 訓 を 踏 まえ 情 報 の 混 乱 錯 綜 を 回 避 すべく 関 係 省 庁 による 連 携 を 強 化 し 官 邸 における 情 報 集 約 のための 体 制 を 整 えた また 犯 人 側 が 設 定 した 期 限 が 近 づくにつれて インターネット 上 にISILを 名 乗 る 者 による 偽 の 情 報 が 大 量 に 出 回 った しかし 政 府 として 未 確 認 の 情 報 によって 政 府 の 対 応 を 揺 るがすことなく 情 報 収 集 分 析 評 価 及 び 情 報 管 理 の 点 で 適 切 な 対 応 に 努 めた このような 国 際 テロ 事 案 における 被 害 者 の 安 否 については 国 内 外 の 報 道 機 関 を 含 め 国 際 社 会 における 大 きな 関 心 事 項 であるため 信 ぴょう 性 不 明 の ものも 含 め 様 々な 情 報 が 錯 綜 して 報 じられることは 避 けがたい 面 もある そ のような 事 態 に 陥 った 際 無 用 な 混 乱 が 生 じることを 避 けるためには 平 素 か らの 公 開 情 報 の 収 集 分 析 能 力 を 強 化 し 大 量 に 報 じられる 公 開 情 報 の 中 から 真 に 信 頼 できる 価 値 ある 情 報 を 見 極 める 体 制 を 構 築 し 能 力 を 養 うことが 肝 要 である ( 今 後 の 対 策 ) 在 アルジェリア 邦 人 に 対 するテロ 事 件 以 降 政 府 においては その 検 証 結 果 に 基 づき 国 際 テロ 情 勢 に 関 する 情 報 収 集 分 析 機 能 の 強 化 に 努 めてきたとこ ろであるが 今 後 とも 事 案 発 生 の 未 然 防 止 や 事 案 発 生 時 の 情 勢 把 握 に 資 する 情 報 収 集 分 析 能 力 の 強 化 を 進 めていく 必 要 がある 今 後 類 似 の 事 案 が 発 生 した 場 合 に 犯 行 主 体 被 害 者 の 所 在 等 について 確 度 の 高 い 情 報 を 確 実 に 収 集 し 緻 密 な 分 析 を 行 うため インターネット 上 の 情 報 をはじめとする 公 開 情 報 関 係 各 国 の 治 安 情 報 機 関 や 外 交 防 衛 当 局 等 から の 情 報 部 族 や 民 間 団 体 等 あらゆるチャンネルで 情 報 を 入 手 し 情 報 収 集 分 析 能 力 を 強 化 する 必 要 がある そのため 以 下 のような 取 組 について 検 討 す べきである 関 係 省 庁 による 平 素 からの 諸 外 国 関 係 機 関 との 更 なる 連 携 強 化 ( 特 に IS IL 及 び 関 連 組 織 が 活 動 している 地 域 において 治 安 情 報 機 関 とのネット ワークを 構 築 して 情 報 収 集 にあたる 体 制 を 整 えることが 必 要 ) 部 族 や 民 間 団 体 をはじめ 現 地 に 人 脈 を 有 する 職 員 の 育 成 活 用 30

中 東 における 研 修 等 を 通 じ 現 地 言 語 習 慣 等 に 精 通 し 情 報 整 理 分 析 評 価 能 力 の 高 い 専 門 家 の 更 なる 育 成 採 用 及 び 適 正 な 配 置 収 集 した 関 連 情 報 の 集 約 分 析 の 強 化 海 外 メディアからの 情 報 収 集 の 拡 大 及 びサイバー 空 間 のインテリジェンス を 含 むインターネット 上 の 情 報 の 的 確 な 収 集 分 析 能 力 の 強 化 緊 急 事 態 発 生 時 に より 一 層 質 の 高 い 画 像 地 理 空 間 情 報 を 適 時 適 切 に 関 係 省 庁 に 提 供 する 能 力 体 制 の 構 築 これらの 活 動 に 必 要 な 身 分 資 金 及 び 装 備 資 機 材 等 の 体 制 環 境 の 整 備 有 識 者 との 議 論 における 指 摘 及 び 課 題 現 地 における 情 報 収 集 体 制 について 有 識 者 より 従 前 に 比 べて 警 察 庁 と 外 務 省 の 連 携 が 進 んでいることは 心 強 く 今 回 連 携 が 円 滑 だった 背 景 として 動 画 の 公 開 直 後 から 中 山 外 務 副 大 臣 が 現 地 対 策 本 部 長 を 務 めたという 要 素 が 大 きいと 思 うが そのような 事 情 がなくとも 現 地 で 関 係 省 庁 が 緊 密 に 連 携 するよ う 努 めるべきとの 指 摘 がなされた また 東 京 における 関 係 省 庁 間 の 情 報 共 有 についても 従 前 に 比 べて 改 善 しているが 引 き 続 き 関 係 省 庁 間 の 情 報 共 有 に 努 めることが 望 ましいとの 指 摘 もあった さらに 有 識 者 からは アラビア 語 の 専 門 家 については 養 成 が 難 しいうえに 近 隣 地 域 の 専 門 家 に 比 べると 平 素 の 活 用 の 頻 度 が 低 いという 困 難 はあるが 活 用 可 能 な 専 門 家 の 層 を 厚 くするよう 努 めて 欲 しいとの 指 摘 があった さらに アラビア 語 やアラブ 研 究 を 専 攻 する 日 本 の 若 い 学 生 研 究 者 の 中 には 優 秀 な 人 が 多 く こうした 人 たちを 適 切 に 活 用 すれば 欧 米 諸 国 に 負 けない 分 析 能 力 が 育 つはずであるとの 指 摘 もなされた 31

(3) 被 害 者 の 救 出 に 向 けた 措 置 は 適 切 であったか 論 点 関 係 国 宗 教 関 係 者 部 族 長 等 との 連 携 は 十 分 であったか ISILと 直 接 交 渉 をしなかったのはなぜか 評 価 検 討 ( 関 係 国 等 との 連 携 ) 1 月 20 日 の 動 画 確 認 の 数 時 間 後 に 行 われた 日 ヨルダン 首 脳 電 話 会 談 にお いて アブドッラー 国 王 から 全 面 的 な 協 力 の 表 明 があり その 後 中 山 外 務 副 大 臣 以 下 現 地 対 策 本 部 関 係 者 は ヨルダン 政 府 関 係 機 関 の 当 事 者 との 間 で 頻 繁 に 協 議 を 行 った 結 果 として 両 名 の 邦 人 の 解 放 には 結 びつかなかったもの の ISIL 側 への 対 応 において 緊 密 に 連 携 した ヨルダン 政 府 関 係 者 との 間 でも 頻 繁 に 面 会 が 実 現 する 等 良 好 な 日 ヨルダ ン 二 国 間 関 係 とりわけ 首 脳 間 の 個 人 的 な 信 頼 関 係 の 存 在 によって より 緊 密 に 連 携 することができたと 考 えられる 関 係 各 国 に 対 する 協 力 要 請 は 1 月 20 日 の 動 画 確 認 後 首 脳 及 び 外 相 レベ ルで 迅 速 かつ 広 範 囲 に 行 われ いずれも 日 本 の 立 場 に 対 する 支 持 全 面 的 な 協 力 の 表 明 を 得 ることができた トルコとの 間 では 1 月 20 日 の 動 画 確 認 から 数 時 間 後 に 総 理 がエルドア ン 大 統 領 に 電 話 で 協 力 を 要 請 し エルドアン 大 統 領 から 全 面 的 な 協 力 の 約 束 がなされた これを 受 けて 日 本 政 府 関 係 者 がトルコ 政 府 関 係 機 関 と 頻 繁 に 接 触 し 緊 密 に 連 携 した 以 上 を 踏 まえると 平 素 からの 外 国 の 機 関 と 我 が 方 機 関 の 密 接 な 連 携 や 関 係 構 築 の 上 に 事 案 発 生 または 確 認 直 後 に 首 脳 や 外 相 等 高 いレベルで 協 力 要 請 を 行 ったことは その 後 の 関 係 国 からの 情 報 提 供 連 携 において 有 効 に 働 い た 今 後 も 必 要 な 時 にすぐに 連 絡 をとり 協 力 を 得 られるよう 事 務 レベル の 連 携 を 一 層 緊 密 なものとしつつ 首 脳 外 相 レベルでの 信 頼 関 係 の 構 築 に 努 めることが 肝 要 である また 外 務 省 警 察 庁 等 の 関 係 省 庁 も 平 素 から 在 外 公 館 や 出 張 等 を 通 じて 治 安 情 報 機 関 との 連 携 強 化 に 取 り 組 むとともに 事 案 発 生 時 には 東 京 からの 職 員 の 派 遣 も 含 め 今 回 同 様 に 機 動 的 な 対 応 を 行 うこと が 重 要 である 過 去 の 例 ( 例 :イラクにおける 邦 人 拘 束 事 案 )において 部 族 長 宗 教 指 導 者 に 対 する 働 きかけが 功 を 奏 し 当 該 邦 人 の 解 放 につながったこともあった ことから 今 回 も 外 務 省 関 係 者 が 現 地 の 部 族 長 や 宗 教 関 係 者 に 連 絡 をし 日 本 の 中 東 への 貢 献 等 の 情 報 を 現 地 に 発 信 するよう 依 頼 するなど 2 名 の 邦 人 を 解 放 するために 何 が 最 も 効 果 的 な 方 法 かという 観 点 から あらゆるルー 32

ト チャンネルを 活 用 したと 評 価 できる 結 果 として 両 名 の 邦 人 の 解 放 には 結 びつかなかったが 中 東 地 域 におい ては 有 力 な 部 族 長 や 宗 教 指 導 者 等 の 有 する 影 響 力 人 的 ネットワークは 非 常 に 重 要 であるところ 平 素 からこれら 人 物 との 関 係 構 築 に 努 めることが 肝 要 であり そのための 必 要 な 体 制 の 構 築 (アラビア 語 職 員 の 増 強 適 切 な 配 置 等 )を 検 討 すべきものと 考 えられる (ISILとの 直 接 交 渉 ) ISILから 政 府 に 対 する 直 接 の 接 触 や 働 きかけがなく また ISILは テロ 集 団 であって 実 態 が 定 かではないとの 状 況 下 政 府 は ISILと 直 接 交 渉 を 行 わなかった また ISILは 際 立 った 独 善 性 暴 力 性 を 有 するテロ 集 団 であり 理 性 的 な 対 応 や 交 渉 が 通 用 するような 相 手 ではなく そのような 相 手 に 対 して 人 質 を 解 放 するために 何 が 最 も 効 果 的 な 方 法 かという 観 点 から メールを 通 じて 直 接 コンタクトすることではなく 関 係 各 国 や 部 族 長 宗 教 指 導 者 等 あらゆるルート チャンネルを 活 用 し 最 大 限 の 努 力 を 行 ったものであ る 1 月 22 日 中 田 考 氏 が 日 本 外 国 特 派 員 協 会 において 日 本 政 府 がISI L 支 配 地 域 に2 億 ドルの 人 道 支 援 を 行 うという 具 体 的 提 案 を 示 し 日 本 政 府 が 受 け 入 れれば 同 提 案 をISIL 側 につなぐ 用 意 がある 旨 述 べた しかしな がら 中 田 氏 の 提 案 はISIL 支 援 にもつながりかねないものであったほか 一 般 論 として こうした 事 案 については 様 々な 協 力 の 申 し 出 が 寄 せられる 中 で 当 然 取 捨 選 択 をしなければならず また 他 のチャンネルにおける 信 頼 関 係 への 影 響 という 要 素 も 考 える 必 要 もあった こうした 観 点 から 政 府 として は 中 田 氏 の 提 案 については 受 け 入 れなかったものである 1 月 29 日 リーシャーウィ 死 刑 囚 が 移 送 されたという 報 道 そして 後 藤 氏 がトルコ 国 境 周 辺 に 移 送 されたとの 報 道 も 見 られたが 政 府 としては そのよ うな 事 実 を 確 認 していない 有 識 者 との 議 論 における 指 摘 及 び 課 題 有 識 者 からは 人 質 の 解 放 に 向 け 現 地 で 大 規 模 なオペレーションを 実 施 する 可 能 性 も 念 頭 に すべての 政 府 関 係 者 が 現 地 対 策 本 部 長 の 下 で 一 体 となって 対 処 に 当 たることが 重 要 であるが 今 回 は 現 地 における 関 係 省 庁 間 の 連 携 は 円 滑 に 行 われたとの 指 摘 がなされた 有 識 者 からは ISILが 情 報 と 交 渉 カードを 一 方 的 に 握 る 中 人 質 解 放 の ために 政 府 ができることは 限 られていたとの 指 摘 もなされた さらに 今 回 の 33

事 件 は 極 めて 残 念 な 結 果 に 終 わったが 展 開 によっては テロに 屈 して 裏 取 引 や 超 法 規 的 措 置 を 行 ったと 国 際 的 にみなされる 結 果 や ヨルダン 政 府 や 同 国 民 との 関 係 に 重 大 な 影 響 を 及 ぼす 結 果 となる 可 能 性 もあったが 全 体 としてみれ ば 取 りうる 手 段 が 限 られた 中 で 政 府 はできる 限 りの 措 置 をとり 国 際 的 なテ ロとの 戦 いやヨルダン 政 府 との 関 係 で 決 定 的 な 負 の 影 響 を 及 ぼすことは 避 け られたとの 評 価 も 有 識 者 から 示 された 34

(4) 情 報 発 信 ( 我 が 国 のテロへの 姿 勢 中 東 政 策 等 )は 十 分 かつ 適 切 であった か 論 点 我 が 国 の 立 場 の 情 報 発 信 は 十 分 かつ 適 切 であったか 各 国 政 府 から 我 が 国 の 立 場 に 対 する 理 解 支 持 は 十 分 得 られたか 評 価 検 討 ( 対 外 的 な 情 報 発 信 各 国 の 支 持 ) 政 府 はISILと 直 接 交 渉 を 行 わなかったが 湯 川 氏 及 び 後 藤 氏 の 安 全 が 確 保 され 早 期 に 解 放 されることを 目 指 して 総 理 官 房 長 官 を 含 む 高 いレベ ルの 政 府 要 人 が 様 々な 媒 体 を 通 じて 湯 川 氏 後 藤 氏 の 即 時 解 放 要 求 日 本 政 府 のこれまでの 中 東 への 貢 献 日 本 の 中 東 への 支 援 が 人 道 目 的 であること 等 を 積 極 的 に 発 信 した また 本 件 事 案 について 関 係 各 国 と 緊 密 な 協 力 関 係 を 構 築 し 我 が 国 の 立 場 を 積 極 的 に 対 外 発 信 したこともあり 湯 川 氏 後 藤 氏 の 殺 害 前 後 で 合 計 70 以 上 の 外 国 政 府 国 際 機 関 等 が 首 脳 外 相 を 含 む 高 いレベルで ISILの 犯 行 を 強 く 非 難 し 我 が 国 の 立 場 を 支 持 する 声 明 等 を 発 出 した これら 各 国 等 への 説 明 努 力 とともに 対 外 発 信 の 効 果 が 出 たものと 考 えられる 1 月 20 日 の 動 画 確 認 後 同 日 中 に 邦 人 殺 害 予 告 事 案 に 対 する 日 本 からの メッセージ を 日 本 語 英 語 アラビア 語 で 発 出 し あらゆる 広 報 ツールを 使 い 幅 広 く 発 信 され その 後 の 総 理 声 明 についても 同 様 の 対 応 がとられており 本 件 事 案 に 関 する 我 が 国 の 立 場 は 適 時 適 切 に 発 信 できたものと 考 えられる 特 に アラビア 語 版 を 作 成 したことで 中 東 地 域 での 発 信 力 強 化 に 効 果 をあげ たものと 考 えられる アラビア 語 での 発 信 に 関 しては 外 務 省 のアラビア 語 職 員 が 本 件 事 案 への オペレーションに 対 応 しながら 翻 訳 作 業 を 行 っており 総 理 声 明 やメッセー ジ 以 外 の 発 信 内 容 について アラビア 語 翻 訳 作 業 に 一 定 の 限 界 があった 今 後 アラビア 語 に 限 らず 英 語 以 外 での 言 語 での 発 信 が 必 要 な 場 合 に 十 分 な 発 信 ができるような 体 制 を 整 える 必 要 がある ( 国 民 に 対 する 説 明 ) 国 民 への 説 明 についても 24 時 間 いつどこで 画 像 等 が 発 出 されるかわか らない 状 況 の 中 かつ 厳 しい 時 間 的 制 約 のもとではあったが 関 係 省 庁 にお いて 画 像 確 認 後 速 やかに 信 ぴょう 性 確 認 を 行 い 官 房 長 官 会 見 等 で 迅 速 かつ 適 切 に 政 府 としての 立 場 を 発 信 することができた また 事 態 の 展 開 に 応 じ 官 房 長 官 による 臨 時 会 見 ぶら 下 がり 会 見 適 時 35

に 総 理 のぶら 下 がり 会 見 を 実 施 したほか 湯 川 氏 が 殺 害 されたとみられる 写 真 がインターネットに 掲 載 された 際 及 び 後 藤 氏 が 殺 害 されたとみられる 動 画 が 公 開 された 際 にそれぞれ 総 理 声 明 を 発 出 しており 国 民 への 説 明 を 行 うタ イミングは 適 切 であったと 判 断 される 外 務 大 臣 の 会 見 も 官 房 長 官 会 見 をフ ォローする 形 で 適 時 適 切 に 行 われた 今 後 とも 迅 速 かつ 丁 寧 な 国 民 への 説 明 に 努 めていく 必 要 がある テロ 行 為 への 非 難 テロに 屈 しない 姿 勢 及 び 人 質 の 早 期 解 放 に 向 けた 努 力 を1 月 20 日 の 動 画 公 開 以 降 会 見 や 声 明 において 一 貫 して 表 明 しており 内 容 的 に 適 切 であったと 考 えられる 有 識 者 との 議 論 における 指 摘 及 び 課 題 有 識 者 からは 動 画 公 開 直 後 の 会 見 で 総 理 がテロに 屈 しない 姿 勢 を 明 らかに し その 後 も 一 貫 して 同 様 の 姿 勢 を 示 したことは 在 アルジェリア 邦 人 に 対 す るテロ 事 件 の 際 の 対 応 を 踏 まえたものと 評 価 でき 日 本 という 国 の 立 ち 位 置 を 世 界 に 示 す 上 で 重 要 であったとの 指 摘 がなされた その 一 方 平 素 からISI Lにより 困 窮 に 追 いやられている 中 東 の 人 々に 関 する 発 言 が 少 ないまま 邦 人 が 被 害 にあったとたんに 強 い 表 現 で 非 難 したことには 違 和 感 があるとの 指 摘 や 2 月 1 日 の 総 理 大 臣 声 明 にある 罪 を 償 わせる は 不 必 要 に 緊 張 を 生 む 表 現 であったとの 指 摘 もなされた 人 命 優 先 とともにテロに 屈 しないとのメッ セージを 出 すことは 必 要 であるが このような 事 案 における 政 府 の 発 信 は テ ロリストに 対 するメッセージともなることに 留 意 したうえで 引 き 続 き 内 容 や 表 現 等 について 十 分 検 討 していく 必 要 がある また 有 識 者 から テロリストに 非 があることは 明 らかであるが テロへの 対 応 においては 政 府 として 理 念 や 正 当 性 を 示 すことが 重 要 であるとの 指 摘 が なされた この 観 点 からは 政 府 の 対 応 に 対 して 根 拠 が 明 瞭 ではない 風 説 に 基 づいた 批 判 が 行 われて 国 内 外 で 過 度 の 政 治 問 題 化 が 進 み それによって 政 府 の 政 策 が 不 適 切 に 制 約 され 方 向 づけられれば 結 果 として 自 由 や 民 主 主 義 の 理 念 原 則 が 暴 力 とその 威 嚇 によって 脅 かされることになりかねないとして 政 府 の 対 応 に 対 する 批 判 の 政 治 問 題 化 を 極 力 回 避 し テロリスト 等 による 情 報 操 作 を 防 ぐために 事 実 無 根 の 指 摘 批 判 に 対 しては 即 時 に 正 しい 見 解 を 国 内 及 び 外 国 メディアに 発 信 することの 重 要 性 が 指 摘 された 同 時 に 総 理 や 官 房 長 官 が 今 回 の 事 案 への 対 応 で 深 夜 や 早 朝 も 含 め 長 時 間 拘 束 されたことは 明 ら かであり 仮 にその 結 果 他 の 重 要 な 業 務 遂 行 に 支 障 をきたすようなことがあ ればそれはまさにテロリストの 狙 うところであり このような 事 態 を 防 ぐ 観 点 から 危 機 対 応 において 事 案 に 関 する 専 門 性 に 裏 付 けられ かつ 効 果 的 な 36