資 料 10-1-2 H-ⅡAロケット26 号 機 の 打 上 げに 係 る 飛 行 安 全 計 画 平 成 26 年 8 月 独 立 行 政 法 人 宇 宙 航 空 研 究 開 発 機 構 説 明 者 宇 宙 輸 送 ミッション 本 部 宇 宙 輸 送 安 全 計 画 室 室 長 加 納 康 臣
まえがき 本 計 画 は 人 工 衛 星 等 打 上 げ 基 準 第 4 条 に 基 づき 打 上 げに 係 る 安 全 計 画 について 定 める ものであり 同 第 3 条 に 従 い 宇 宙 開 発 利 用 部 会 の 調 査 審 議 を 受 けるものである 26 号 機 は 三 菱 重 工 業 株 式 会 社 ( 以 下 MHI という )が 打 上 事 業 者 としてロケット 打 上 げを 執 行 し 宇 宙 航 空 研 究 開 発 機 構 ( 以 下 JAXA という )は 打 上 安 全 監 理 に 係 る 業 務 を 行 う また MHIは 飛 行 安 全 解 析 を 実 施 して 飛 行 安 全 適 合 性 報 告 書 等 をJAXAに 提 出 し JA XAが 評 価 確 認 を 行 う JAXAは 確 認 結 果 に 基 づき 飛 行 安 全 計 画 書 を 制 定 し 飛 行 安 全 運 用 を 実 施 する i
目 次 1. 全 般... 1 1.1 飛 行 安 全 の 目 的... 1 1.2 飛 行 安 全 の 実 施 範 囲... 1 1.3 関 連 法 規 等... 2 1.3.1 法 令... 2 1.3.2 宇 宙 開 発 利 用 部 会 基 準... 2 1.3.3 独 立 行 政 法 人 宇 宙 航 空 研 究 開 発 機 構 規 程... 2 2. 飛 行 経 路 の 安 全 性... 3 2.1 飛 行 経 路... 3 2.2 落 下 予 想 区 域 と 海 上 警 戒 区 域 及 び 陸 上 警 戒 区 域... 3 2.3 落 下 予 測 点 軌 跡... 3 2.4 地 上 局 との 電 波 リンク... 3 2.5 軌 道 上 のロケット 機 体 等 の 処 置... 4 3. 飛 行 安 全 管 制... 11 3.1 飛 行 安 全 システム... 11 3.1.1 システムの 概 要... 11 3.1.2 飛 行 安 全 情 報 の 流 れ... 11 3.1.3 ロケットの 飛 行 を 中 断 すべき 条 件... 11 3.2 落 下 限 界 線 の 設 定... 12 3.2.1 種 子 島 周 辺 の 落 下 限 界 線... 12 3.2.2 種 子 島 周 辺 以 外 の 落 下 限 界 線... 12 4. 航 空 機 及 び 船 舶 に 対 する 通 報... 15 4.1 航 空 機 に 対 する 通 報... 15 4.2 船 舶 に 対 する 通 報... 15 5. 飛 行 安 全 組 織 及 び 業 務... 16 6. 安 全 教 育 訓 練... 16 6.1 安 全 教 育... 16 6.2 飛 行 安 全 管 制 訓 練... 16 6.3 飛 行 中 断 時 の 情 報 連 絡 訓 練... 16 7. ロケット 飛 行 中 断 後 の 対 策 及 び 措 置... 16 7.1 射 点 近 傍 での 飛 行 中 断... 17 7.2 射 点 近 傍 以 外 での 飛 行 中 断... 17 ii
図 表 目 次 表 1 H-ⅡAロケット26 号 機 の 飛 行 計 画 概 要... 5 図 1 H-IIA26 号 機 の 飛 行 経 路 概 要 ( 機 体 現 在 位 置 )... 6 図 2 投 棄 物 の 落 下 予 想 区 域... 7 図 3 落 下 予 想 区 域 と 航 空 路... 8 図 4 海 上 警 戒 区 域... 9 ( 注 ) 図 5 ロケットの 落 下 予 測 点 軌 跡 と3σ 分 散 範 囲... 10 図 6 飛 行 安 全 システム 概 念 図... 13 図 7 射 点 周 辺 の 落 下 限 界 線... 14 図 8 MHI 打 上 げ 執 行 体 制... 18 図 9 JAXA 打 上 安 全 監 理 体 制... 19 図 10 飛 行 安 全 関 連 組 織... 20 図 11 現 地 事 故 対 策 本 部 の 構 成... 21 図 12 安 全 に 関 わる 重 大 な 事 故 発 生 時 の 事 故 対 策 本 部 の 構 成... 22 iii
1. 全 般 JAXAは H-ⅡAロケット26 号 機 の 打 上 げに 係 る 業 務 を 行 うに 当 たって 飛 行 安 全 確 保 業 務 を 行 うものとする 本 計 画 書 は H-ⅡAロケット26 号 機 打 上 げに 係 る 飛 行 安 全 計 画 を 定 め たものである 1.1 飛 行 安 全 の 目 的 飛 行 安 全 は 地 上 より 打 上 げられたロケットの 燃 え 殻 投 棄 物 故 障 した 機 体 もしくは その 破 片 等 が 落 下 する 際 落 下 点 または 落 下 途 中 において 人 命 または 財 産 に 対 し 被 害 を 与 え る 可 能 性 を 最 小 限 にとどめ 公 共 の 安 全 を 確 保 することを 目 的 とする 1.2 飛 行 安 全 の 実 施 範 囲 上 記 の 目 的 を 達 成 するために ロケットの 打 上 げに 際 して 実 施 すべき 飛 行 安 全 の 作 業 範 疇 は 以 下 の 通 りである (1) 設 定 されたロケットの 飛 行 経 路 が 上 記 目 的 に 照 らして 適 当 であることを 確 認 す ること (2) ロケットの 打 上 げ 時 に 飛 行 安 全 管 制 を 実 施 すること すなわち リフトオフより 地 球 周 回 軌 道 投 入 直 前 の 南 米 海 岸 到 達 時 まで ロケットが 設 定 された 飛 行 経 路 に 沿 って 飛 行 しているか 否 かを 判 定 し その 経 路 を 外 れて 落 下 予 測 域 ( 注 ) が 地 表 に 危 害 を 与 えるおそれが 生 じた 場 合 は 災 害 を 最 小 限 に 抑 えるための 措 置 を 講 じるこ と また このために 必 要 な 準 備 作 業 を 行 うこと (3) ロケットの 燃 え 殻 及 び 投 棄 物 の 落 下 予 想 区 域 に 関 連 し 必 要 に 応 じて 国 内 外 に 事 前 通 報 を 行 うこと ( 注 ) ロケットの 落 下 予 測 域 とは ロケットの 飛 行 を 中 断 した 場 合 に 落 下 物 の 衝 突 飛 行 中 の 爆 発 に 伴 う 爆 風 固 体 推 進 薬 破 片 の 地 上 落 下 時 の 二 次 爆 発 及 び 二 次 破 片 の 飛 散 並 びに 搭 載 推 進 薬 の 流 出 及 び 拡 散 等 により 危 害 が 及 ぶおそれのある 範 囲 1
1.3 関 連 法 規 等 1.3.1 法 令 国 内 法 令 等 には 飛 行 安 全 という 用 語 はなく また 特 にその 内 容 を 直 接 規 定 する 条 文 はない 航 空 機 及 び 船 舶 に 対 する 通 報 に 関 しては 航 空 法 及 び 海 上 保 安 庁 法 に 基 づ き 実 施 する 国 際 的 には 宇 宙 物 体 により 引 き 起 こされる 損 害 についての 国 際 的 責 任 に 関 する 条 約 があり ロケット 打 上 げ 国 の 損 害 賠 償 に 関 する 義 務 が 明 文 化 されている 日 本 は 本 条 約 に1983 年 6 月 に 加 入 した 上 記 の 飛 行 安 全 の 目 的 及 び 実 施 範 囲 は 本 条 約 の 主 旨 に 沿 っている 1.3.2 宇 宙 開 発 利 用 部 会 基 準 (1) ロケットによる 人 工 衛 星 等 の 打 上 げに 係 る 安 全 対 策 の 評 価 基 準 1.3.3 独 立 行 政 法 人 宇 宙 航 空 研 究 開 発 機 構 規 程 (1) 安 全 管 理 規 程 ( 規 程 第 25-30 号 ) (2) 人 工 衛 星 等 打 上 げ 基 準 ( 規 程 第 24 42 号 ) ( 平 成 25 年 12 月 24 日 宇 宙 開 発 利 用 部 会 ) 2
2. 飛 行 経 路 の 安 全 性 2.1 飛 行 経 路 ロケットの 飛 行 計 画 を 表 1に 飛 行 経 路 を 図 1に 示 す 2.2 落 下 予 想 区 域 と 海 上 警 戒 区 域 及 び 陸 上 警 戒 区 域 ロケットが 正 常 に 飛 行 した 場 合 の 落 下 物 としては 2 本 の 固 体 ロケットブースタ 衛 星 フ ェアリング 及 び 第 1 段 機 体 がある 図 2にこれらの 落 下 予 想 区 域 を 示 す また これらの 落 下 予 想 区 域 を 航 空 路 図 の 上 に 示 すと 図 3のとおりである 固 体 ロケットブースタ 衛 星 フェ アリング 及 び 第 1 段 機 体 の 落 下 予 想 区 域 については 航 空 機 の 安 全 航 行 のため 第 4 章 に 記 す 通 報 の 手 続 きを 確 実 に 行 い 安 全 を 確 保 する また 打 上 げ 直 後 の 飛 行 中 断 に 伴 う 破 片 の 落 下 分 散 を 解 析 し ロケットの 落 下 破 片 が 船 舶 に 当 たるおそれのある 海 域 を 図 4のように 海 上 警 戒 区 域 として 射 点 を 含 む 周 辺 の 陸 地 にお いて 破 片 抗 力 落 下 予 測 域 を 収 めることができる 適 切 な 範 囲 を 陸 上 警 戒 区 域 として 設 定 する なお 落 下 予 想 区 域 及 び 両 警 戒 区 域 について 第 4 章 に 記 す 方 法 によって 航 空 機 及 び 船 舶 に 対 し 周 知 を 図 る 2.3 落 下 予 測 点 軌 跡 ロケットの 落 下 予 測 点 軌 跡 及 び3σ 分 散 範 囲 を 図 5に 示 す 3σ 分 散 飛 行 経 路 を 飛 行 中 の ロケットが 推 力 を 停 止 したと 想 定 した 場 合 の 落 下 域 は 人 口 稠 密 地 域 から 可 能 な 限 り 離 れて 通 過 するよう 飛 行 経 路 が 設 定 されている また 万 一 ロケットが 異 常 を 生 じた 場 合 に 災 害 を 最 小 にとどめられるように 飛 行 安 全 管 制 を 実 施 する その 方 法 については 第 3 章 に 述 べる 2.4 地 上 局 との 電 波 リンク H-ⅡAロケット26 号 機 の 打 上 げでは 打 上 げから 第 2 段 ロケット 軌 道 投 入 直 前 まで 飛 行 安 全 管 制 を 実 施 するため その 期 間 の 電 波 リンク 確 保 に 必 要 な 追 尾 局 (レーダ テレメータ) 及 びコマンド 局 を 使 用 する 3
2.5 軌 道 上 のロケット 機 体 等 の 処 置 ミッション 終 了 後 のロケット 第 2 段 機 体 が 残 留 燃 料 等 のため 軌 道 上 で 破 壊 爆 発 等 に 至 っ た 場 合 大 量 の 宇 宙 デブリ 破 片 の 発 生 が 想 定 される また 衛 星 分 離 機 構 を 作 動 させる 際 軌 道 上 に 火 工 品 の 破 片 等 が 放 出 される 可 能 性 がある H-ⅡAロケットではこれらを 防 止 す る 処 置 として 以 下 を 考 慮 している (1) 第 2 段 機 体 の 地 球 周 回 軌 道 投 入 後 保 安 用 コマンド 受 信 装 置 の 電 源 遮 断 を 行 い 飛 行 中 断 用 火 工 品 の 誤 作 動 を 防 止 する なお 火 工 品 は 太 陽 輻 射 加 熱 によって 誤 爆 しない 設 計 となっている (2) 第 2 段 機 体 が 推 薬 タンクの 内 圧 上 昇 により 破 壊 することを 防 止 する 目 的 でミッシ ョン 終 了 後 に 残 留 推 進 薬 の 排 出 を 行 う また 排 出 が 完 了 しなかった 場 合 にも 推 薬 タンクは 内 圧 上 昇 に 対 する 安 全 弁 または 吹 出 し 弁 を 備 えているので 破 壊 する ことはない (3) ミッション 終 了 後 常 温 ヘリウム 気 蓄 器 内 の 残 留 ガスは 機 械 式 調 圧 弁 よりリーク する 極 低 温 ヘリウム 気 蓄 器 内 の 残 留 ガスについては 安 全 弁 を 有 する 液 体 酸 素 タ ンク 内 に 排 出 するとともに 極 低 温 ヘリウム 気 蓄 器 自 身 も 機 械 式 の 安 全 弁 を 有 し ている (4) 第 2 段 に 搭 載 されている 電 池 については 内 部 圧 力 上 昇 により 破 壊 することを 防 止 する 目 的 で 内 部 圧 力 が 規 定 以 上 に 上 昇 した 場 合 には ベントできる 機 能 を 有 している (5) 衛 星 分 離 機 構 はマルマンバンド 方 式 であり 作 動 時 に 破 片 等 を 放 出 しないよう 配 慮 した 方 式 を 採 用 している 4
表 1 H-ⅡAロケット26 号 機 の 飛 行 計 画 概 要 事 象 打 上 後 経 過 時 間 距 離 高 度 慣 性 速 度 時 分 秒 km km km/s (1) リフトオフ 0 0 0 0 0.4 (2) * 固 体 ロケットブースタ 燃 焼 終 了 1 39 34 46 1.6 (3) ** 固 体 ロケットブースタ 分 離 1 48 43 53 1.6 (4) 衛 星 フェアリング 分 離 4 10 268 137 2.8 (5) 第 1 段 主 エンジン 燃 焼 停 止 (MECO) 6 36 777 202 5.6 (6) 第 1 段 第 2 段 分 離 6 44 817 207 5.6 (7) 第 2 段 エンジン 第 1 回 始 動 (SEIG1) 6 50 847 210 5.6 (8) 第 2 段 エンジン 第 1 回 燃 焼 停 止 (SECO1) 11 18 2430 254 7.8 (9) 第 2 段 エンジン 第 2 回 始 動 (SEIG2) 1 39 23 433 250 7.8 (10) 第 2 段 エンジン 第 2 回 燃 焼 停 止 (SECO2) 1 43 24 1883 313 11.8 (11) はやぶさ2 分 離 1 47 15 4187 889 11.4 (12) しんえん2 分 離 1 53 55 7069 2867 10.4 (13) ARTSAT2-DETHPACH 分 離 1 58 5 8230 4418 9.7 (14) PROCYON 分 離 2 2 15 9066 6068 9.2 *) 燃 焼 室 圧 最 大 値 の2% 時 点 **) スラスト ストラット 切 断 ***) は 飛 行 安 全 管 制 区 間 飛 行 安 全 管 制 終 了 時 刻 は666 秒 5
図 1 H-IIA26 号 機 の 飛 行 経 路 概 要 ( 機 体 現 在 位 置 ) 6
図 2 投 棄 物 の 落 下 予 想 区 域 7
図 3 落 下 予 想 区 域 と 航 空 路 8
図 4 海 上 警 戒 区 域 9
( 注 ) 図 5 ロケットの 落 下 予 測 点 軌 跡 と3σ 分 散 範 囲 ( 注 ) 落 下 予 測 点 :ある 時 点 でロケットの 飛 行 を 中 断 した 場 合 の ロケットの 落 下 予 測 点 10
3. 飛 行 安 全 管 制 3.1 飛 行 安 全 システム 3.1.1 システムの 概 要 飛 行 安 全 システムの 概 念 図 を 図 6に 示 す 3.1.2 飛 行 安 全 情 報 の 流 れ 地 上 システムによる 飛 行 安 全 情 報 等 の 流 れは 以 下 の 通 りである 飛 行 安 全 管 制 に 使 用 する 設 備 等 は 種 子 島 宇 宙 センター 等 に 設 置 されている 飛 行 安 全 管 制 には レーダ 情 報 及 びテレメータ 情 報 を 用 いる これらの 情 報 を 飛 行 安 全 計 算 機 により 処 理 して 得 られるロケットの 経 路 情 報 及 びエンジン 燃 焼 圧 ロケット 姿 勢 等 のテレメータ 情 報 を 監 視 画 面 に 表 示 する また 射 点 近 傍 では あわせてITV 及 び 光 学 設 備 による 画 像 を 飛 行 安 全 管 制 に 用 いる 飛 行 中 断 の 処 置 が 必 要 な 場 合 は 飛 行 安 全 室 長 の 指 揮 のもと コマンド 局 から 飛 行 中 断 指 令 を 送 信 する ( 注 ) 飛 行 中 断 指 令 を 受 信 する 保 安 用 コマンド 受 信 装 置 は 第 2 段 にのみ 搭 載 されている そのため 第 1 段 固 体 ロケットブースタは 予 定 より 早 期 に 分 離 する 不 具 合 に 対 処 するために 自 動 破 壊 機 能 を 備 えている 3.1.3 ロケットの 飛 行 を 中 断 すべき 条 件 次 のいずれかの 場 合 に 該 当 する 時 は 安 全 を 確 保 するためロケットに 装 備 した 装 置 を 作 動 させることにより ロケットの 推 力 飛 行 を 中 断 する (1) ロケットの 落 下 予 測 域 が 落 下 限 界 線 と 接 触 するとき ただし 正 常 飛 行 範 囲 を 飛 行 するロケットの 落 下 予 測 域 が 落 下 限 界 線 を 通 過 する 場 合 には その 直 前 までの 飛 行 状 況 を 十 分 監 視 して 正 常 であることを 条 件 として 飛 行 中 断 条 件 の 適 用 を 見 合 わせる (2) ロケットの 落 下 予 測 域 の 監 視 が 不 可 能 となり ロケットの 落 下 予 測 域 が 落 下 限 界 線 と 接 触 するおそれがあると 判 断 されるとき (3) ロケットの 飛 行 中 断 機 能 が 喪 失 する 可 能 性 が 生 じ かつ ロケットの 落 下 予 測 域 が 落 下 限 界 線 と 接 触 するおそれがあると 判 断 されるとき (4) その 他 ロケットの 飛 行 続 行 により 安 全 確 保 上 支 障 が 生 じるおそれがあると 判 断 されるとき ( 注 )ロケットの 落 下 予 測 域 とは ロケットの 飛 行 を 中 断 した 場 合 に 落 下 物 の 衝 突 飛 行 中 の 爆 発 に 伴 う 爆 風 固 体 推 進 薬 破 片 の 地 上 落 下 時 の 二 次 爆 発 及 び 二 次 破 片 の 飛 散 並 びに 搭 載 推 進 薬 の 流 出 及 び 拡 散 等 により 危 害 が 及 ぶおそれのある 範 囲 11
3.2 落 下 限 界 線 の 設 定 ロケットの 推 力 飛 行 を 中 断 した 場 合 の 落 下 破 片 飛 行 中 の 爆 発 に 伴 う 爆 風 固 体 推 進 薬 破 片 の 地 上 落 下 時 の 二 次 爆 発 の 爆 風 及 び 二 次 破 片 の 飛 散 並 びに 搭 載 推 進 薬 の 流 出 及 び 拡 散 に よる 被 害 を 防 止 することを 目 的 として 以 下 に 定 める 落 下 限 界 線 を 設 定 する 3.2.1 種 子 島 周 辺 の 落 下 限 界 線 種 子 島 周 辺 の 落 下 限 界 線 は 以 下 のように 設 定 する ( 詳 細 は 図 7を 参 照 ) (1) 射 点 周 辺 の 落 下 限 界 線 は 陸 上 警 戒 区 域 とその 区 域 外 との 境 界 線 とする また 竹 崎 地 区 以 南 については 種 子 島 宇 宙 センター 管 理 棟 の 東 側 と 観 望 台 の 東 側 を 結 ぶ 線 を 落 下 限 界 線 とする (2) 広 田 集 落 より 北 の 海 岸 線 については 海 岸 線 から3kmの 点 を 結 んだ 線 を 落 下 限 界 線 とする 3.2.2 種 子 島 周 辺 以 外 の 落 下 限 界 線 種 子 島 周 辺 以 外 の 落 下 限 界 線 は 以 下 のように 設 定 する (1) 原 則 として 陸 地 の 海 岸 線 から30kmの 線 を 落 下 限 界 線 とする (2) 飛 行 経 路 のクロスレンジ 方 向 に 陸 地 がない 場 合 には 飛 行 安 全 管 制 の 運 用 を 考 慮 して(1)において 設 定 した 落 下 限 界 線 を 飛 行 経 路 に 沿 ってつなぐこととし つないだ 線 についても 落 下 限 界 線 とする (3) 正 常 飛 行 時 のロケットの 落 下 予 測 域 が 陸 地 を 長 秒 時 にわたって 通 過 する 場 合 に は 当 該 の 陸 地 の 人 口 稠 密 な 地 域 の 手 前 に 落 下 限 界 線 を 設 定 する 12
IMU GCC 搭 載 機 器 系 テ レ メ ー タ 送 信 機 レ ー ダ ト ラ ン ス ポ ン ダ データ 取 得 系 ITV(スカイ スクリーン 情 報 含 む) 光 学 レーダ テレメータ 伝 送 系 処 理 系 計 算 機 通 信 制 御 装 置 飛 行 安 全 管 制 ソフトウェア 表 示 系 表 示 盤 音 声 ITV 液 晶 ディ スプレイ 飛 行 中 断 基 準 落 下 限 界 線 その 他 飛 行 中 断 条 件 飛 行 中 断 機 構 飛 行 中 断 指 令 送 信 系 コマンド 送 信 局 異 常 時 コマンド 送 信 判 断 飛 行 安 全 管 制 卓 正 常 時 監 視 継 続 IMU : 慣 性 センサユニット GCC : 誘 導 制 御 計 算 機 ITV : 産 業 用 テレビ 図 6 飛 行 安 全 システム 概 念 図 13
図 7 射 点 周 辺 の 落 下 限 界 線 14
4. 航 空 機 及 び 船 舶 に 対 する 通 報 航 空 機 及 び 船 舶 に 対 する 安 全 のための 通 報 に 関 して JAXAが 措 置 すべき 事 項 は 次 のとおり である 4.1 航 空 機 に 対 する 通 報 JAXAは 航 空 法 第 99 条 の2 及 びこれに 関 連 する 規 程 に 基 づき ロケット 打 上 げ 実 施 の 判 断 を 事 前 に 国 土 交 通 大 臣 に 通 報 するとともに 打 上 げ 直 前 までの 打 上 げ 時 刻 の 変 更 等 につ いて 情 報 を 通 報 する 通 報 先 は 航 空 情 報 センター 大 阪 航 空 局 鹿 児 島 空 港 事 務 所 及 び 種 子 島 空 港 出 張 所 航 空 交 通 管 理 センター 並 びに 東 京 福 岡 及 び 那 覇 の 各 航 空 交 通 管 制 部 である 4.2 船 舶 に 対 する 通 報 海 上 保 安 庁 法 第 5 条 第 20 号 及 びこれに 関 連 する 規 定 に 基 づき 海 上 保 安 庁 は 船 舶 交 通 の 安 全 のために 必 要 な 事 項 の 通 報 に 関 することを 掌 握 する JAXAはこれに 従 いロケットの 打 上 げを 行 うに 際 して 打 上 げを 行 う 旨 事 前 に 海 上 保 安 庁 に 通 報 し 船 舶 への 周 知 を 依 頼 する また JAXAはロケット 打 上 げ 事 項 に 変 更 があった 場 合 速 やかに 海 上 保 安 庁 に 通 報 する 15
5. 飛 行 安 全 組 織 及 び 業 務 打 上 げ 作 業 の 実 施 に 当 たっては MHIが 打 上 輸 送 サービスとして 打 上 げ 執 行 責 任 者 の 下 で 打 上 げ 執 行 作 業 の 実 施 を 行 う( 図 8) JAXAの 打 上 安 全 監 理 組 織 は 打 上 げの 安 全 を 統 括 する 打 上 安 全 監 理 責 任 者 の 下 に 飛 行 安 全 管 制 に 関 連 する 責 任 者 として 飛 行 安 全 室 長 等 ( 図 9)がおかれる 飛 行 安 全 管 制 に 直 接 関 係 する 飛 行 安 全 室 及 び 射 場 技 術 開 発 室 については 業 務 内 容 も 示 す( 図 10) また 打 上 安 全 監 理 責 任 者 の 下 打 上 管 制 安 全 評 価 室 長 を 置 き 射 場 整 備 作 業 に 係 るシス テム 安 全 評 価 を 行 う 6. 安 全 教 育 訓 練 打 上 げに 先 立 つ 期 間 には 故 障 の 発 生 を 想 定 した 訓 練 等 飛 行 安 全 の 確 保 に 必 要 な 安 全 教 育 を 実 施 する 6.1 安 全 教 育 ロケット 打 上 げに 係 る 飛 行 安 全 管 制 業 務 を 円 滑 且 つ 確 実 に 実 施 するため JAXA 及 び 契 約 会 社 の 飛 行 安 全 系 担 当 を 対 象 として 業 務 の 実 施 に 必 要 な 飛 行 安 全 知 識 運 用 手 順 飛 行 中 断 時 の 処 置 手 順 等 について 飛 行 安 全 系 実 施 計 画 書 及 び 飛 行 安 全 系 作 業 手 順 書 等 をテキストとして 安 全 教 育 を 実 施 する 6.2 飛 行 安 全 管 制 訓 練 飛 行 安 全 室 長 管 制 リーダ 及 び 飛 行 安 全 系 担 当 が ロケットの 飛 行 安 全 管 制 中 に 発 生 しう る 種 々の 異 常 事 態 に 際 して 適 切 且 つ 迅 速 な 報 告 判 断 が 行 えるよう 以 下 に 示 す 内 容 の 飛 行 安 全 管 制 訓 練 を 実 施 する (1) 正 常 飛 行 ケース 及 び 判 断 の 容 易 な 異 常 ケースに 対 する 対 応 訓 練 (2) 地 上 設 備 系 異 常 又 はロケット 系 異 常 ケースに 対 する 対 応 訓 練 (3) 地 上 設 備 系 及 びロケット 系 双 方 異 常 ケースに 対 する 対 応 訓 練 (4) 過 去 の 実 機 データを 用 いた 訓 練 6.3 飛 行 中 断 時 の 情 報 連 絡 訓 練 飛 行 中 のロケットに 異 常 が 発 生 し 飛 行 中 断 措 置 を 実 施 した 場 合 のロケット 等 落 下 物 の 落 下 予 想 区 域 等 の 情 報 連 絡 が 迅 速 に 行 えるよう 速 報 訓 練 を 実 施 する 7. ロケット 飛 行 中 断 後 の 対 策 及 び 措 置 打 上 げ 後 飛 行 中 断 等 によりロケットが 地 表 に 落 下 した 場 合 には あらかじめ 定 められた 規 程 (1.3.3 項 (1))に 従 って 被 害 状 況 の 把 握 に 努 め 必 要 な 措 置 を 講 じる 16
7.1 射 点 近 傍 での 飛 行 中 断 ロケットが 打 上 げ 直 後 に 地 表 に 落 下 した 場 合 には 打 上 安 全 監 理 責 任 者 は 警 戒 体 制 を 宣 言 し 直 ちに 放 送 電 話 等 により 射 場 内 外 に 周 知 徹 底 を 図 る 事 故 及 び 災 害 の 状 況 に 応 じ 現 地 事 故 対 策 本 部 ( 図 11) 事 故 対 策 本 部 ( 図 12)を 設 置 し 必 要 な 措 置 を 講 じる 7.2 射 点 近 傍 以 外 での 飛 行 中 断 ロケットがダウンレンジで 地 表 に 落 下 した 場 合 には 事 故 及 び 災 害 の 状 況 に 応 じ 本 社 に 事 故 対 策 本 部 を 設 置 し 外 部 関 係 機 関 との 連 絡 等 必 要 な 措 置 を 講 じる ロケット 飛 散 物 の 範 囲 が 国 内 の 場 合 は 関 係 省 庁 及 び 地 方 公 共 団 体 等 外 部 関 係 機 関 に 緊 急 通 報 するとと もに 被 害 状 況 の 把 握 に 努 める また 外 部 関 係 機 関 からの 要 請 に 応 じて 救 援 等 災 害 対 策 に 必 要 な 情 報 の 提 供 職 員 派 遣 等 所 要 の 協 力 を 行 う ロケット 飛 散 物 の 範 囲 が 公 海 また は 外 国 及 びその 周 辺 に 及 ぶ 場 合 には 関 係 省 庁 に 通 報 し 主 務 官 庁 に 対 して 外 務 省 及 び 国 際 連 合 への 通 報 を 依 頼 するとともに 被 害 状 況 の 把 握 に 努 める また 国 際 連 合 または 外 国 政 府 からの 要 請 に 応 じて 救 援 等 災 害 対 策 に 必 要 な 情 報 の 提 供 職 員 の 派 遣 等 所 要 の 協 力 を 行 う 17
打 上 げ 執 行 責 任 者 打 上 げ 執 行 責 任 者 付 ミ ッ シ ョ ン マ ネー ジ ャ 三 菱 打 上 げ サ ービ ス 射 場 チ ー ム 長 ( 統 括 安 全 衛 生 責 任 者 ) 法 定 保 安 責 任 者 システム 安 全 評 価 担 当 副 長 (ロケット 設 備 ) 副 長 ( 打 上 げ 運 営 ) 管 理 グループ 長 ( 注 1) ( 安 全 衛 生 担 当 者 ) ( 注 1) 安 全 に 関 しては 統 括 安 全 衛 生 責 任 者 と 安 全 衛 生 担 当 者 との 間 で 直 接 指 示 報 告 を 行 う 図 8 MHI 打 上 げ 執 行 体 制 18
19 図 9 JAXA 打 上 安 全 監 理 体 制 鹿 児 島 宇 宙 セ ン ター 打 上 管 制 安 全 評 価 室 長 鹿 児 島 宇 宙 センター 射 場 技 術 開 発 室 長 ( 企 画 管 理 射 場 管 制 ) 鹿 児 島 宇 宙 センター 飛 行 安 全 室 長 ( 飛 行 安 全 ) 鹿 児 島 宇 宙 センター 射 場 安 全 課 長 ( 保 安 ) ( 打 上 安 全 監 理 責 任 者 ) 法 定 保 安 責 任 者 鹿 児 島 宇 宙 セ ン タ ー 所 長 ( シ ス テ ム 安 全 評 価 )
打 上 安 全 監 理 責 任 者 打 上 安 全 監 理 業 務 の 総 括 指 揮 MHI( 打 上 げ 執 行 責 任 者 )から 打 上 げ 準 備 作 業 完 了 の 報 告 を 受 け 安 全 確 保 の 観 点 からの 打 上 げ 執 行 可 否 判 断 を 行 う 打 上 管 制 安 全 評 価 室 長 射 場 整 備 作 業 に 係 るシステム 安 全 評 価 を 行 い 打 上 安 全 監 理 責 任 者 に 必 要 な 勧 告 及 び 助 言 を 行 う 飛 行 安 全 室 長 飛 行 安 全 解 析 及 び 飛 行 安 全 管 制 並 びにこれらに 必 要 な 施 設 設 備 の 運 用 に 関 する 業 務 を 統 括 する 飛 行 安 全 系 担 当 の 状 況 を 把 握 し 指 揮 する 飛 行 安 全 措 置 を 実 行 する 管 制 リーダー 飛 行 安 全 室 長 を 補 佐 する 経 路 系 を 監 視 する テレメータ 担 当 推 進 系 姿 勢 制 御 系 テレメータデータを 監 視 する スカイスクリーン 担 当 ITVによりリフトオフ 直 後 のロケットを 監 視 する 計 算 担 当 飛 行 安 全 計 算 機 を 運 用 するとともに 飛 行 安 全 計 算 結 果 を 整 理 する 解 析 担 当 飛 行 安 全 解 析 作 業 を 実 施 する ( 注 1) コマンド 担 当 追 尾 運 用 状 態 を 監 視 し コマンド 送 信 局 を 選 択 する 射 場 技 術 開 発 室 長 射 場 管 制 及 び 飛 行 データ 取 得 業 務 並 びにこれらに 必 要 な 施 設 設 備 の 整 備 および 運 用 に 関 する 業 務 を 統 括 する ( 注 1) 飛 行 安 全 管 制 作 業 については 飛 行 安 全 室 長 と 各 担 当 の 間 で 直 接 指 示 報 告 を 行 う 図 10 飛 行 安 全 関 連 組 織 20
救 護 班 安 全 防 護 班 本 部 長 ( 理 事 / 宇 宙 輸 送 ミッション 本 部 長 ) 副 本 部 長 ( 打 上 安 全 監 理 責 任 者 ) ( 鹿 児 島 宇 宙 センター 所 長 ) 避 難 誘 導 班 通 報 連 絡 班 非 常 持 出 班 初 期 消 火 班 非 常 持 出 班 本 部 長 付 ( 射 場 安 全 課 長 を 含 む) ( 若 干 名 ) 事 故 調 査 班 広 報 班 防 火 管 理 者 輸 送 班 管 理 班 MHI 現 地 事 故 対 策 本 部 各 関 連 メ ー カ ( 注 1) 救 護 班 安 全 防 護 班 避 難 誘 導 班 初 期 消 火 班 及 び 通 報 連 絡 班 は 自 衛 消 防 隊 の 編 成 で 構 成 する ( 注 2) MHI 現 地 事 故 対 策 本 部 の 体 制 は MHI 安 全 管 理 計 画 書 に 規 定 される ( 注 3) 各 関 連 メーカは 緊 急 時 の 体 制 を 明 確 にし 事 前 にJAXAに 届 出 を 行 う ( 注 4) 現 地 事 故 対 策 本 部 長 が 必 要 と 認 めた 場 合 は 適 宜 組 織 及 び 業 務 分 担 を 改 編 する 図 11 現 地 事 故 対 策 本 部 の 構 成 21
JAXA 事 故 対 策 本 部 本 部 長 ( 理 事 長 奥 村 直 樹 ) 総 括 責 任 者 ( 兼 本 部 長 代 理 ) 本 部 長 付 協 力 MHI 事 故 対 策 本 部 本 部 長 ( 三 菱 重 工 業 ( 株 ) 防 衛 宇 宙 ドメイン 長 水 谷 久 和 ) 現 地 事 故 対 策 本 部 原 因 究 明 チーム 対 外 対 応 チーム ( 注 1) 安 全 確 保 に 関 わる 組 織 を 実 線 で 示 す 図 12 安 全 に 関 わる 重 大 な 事 故 発 生 時 の 事 故 対 策 本 部 の 構 成 22