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Transcription:

タンパク 質 の 高 次 構 造 基 本 事 項 の 復 習

タンパク 質 タンパク 質 は COOH 基 とNH 2 基 が 脱 水 縮 合 して ペプチド 結 合 で 連 なったもの. オリゴペプチド タンパク 質 ( 分 子 量 >1 万 システイン S-S 結 合 タンパク 質 の 立 体 構 造 1 次 構 造 primary structure (N 端 末 のアミノ 酸 残 基 から C 端 末 にむかって.)

インシュリンの1次構造の決定 イギリスの生化学者サンガー 1968年ノーベル賞 DNAおよびRNAの塩基配列の決定で 1980年再びノーベル賞

その 前 に ペプチド 結 合 とは 何 ですか? どの 原 子 とどの 原 子 が 結 合 するのですか? ペプチドには 方 向 があることに 注 意! N 末 端 (アミノ 末 端 )を 左 側 C 末 端 (カルボキシ 末 端 )を 右 側 に 書 くことが 国 際 的 規 約

その 前 に ペプチド 結 合 とは 何 ですか? どの 原 子 とどの 原 子 が 結 合 するのですか?

ペプチド 結 合 電 子 を 豊 富 に 持 った(δー) 原 子 (ルイス 塩 基 )が 電 子 が 不 足 した(δ+) 原 子 (ルイス 酸 )に 結 合 する 電 気 陰 性 度 孤 立 電 子 対 共 鳴 効 果 カルボキシル 基 の 中 の カルボニル 基 (C=O)に 着 目 共 鳴 安 定 化 電 気 陰 性 度 C<O 誘 起 効 果 電 子 : C O (δ+) (δ ) C=Oは 分 極 している アミノ 基 H 3 N + は 電 子 を 沢 山 持 っているので 電 子 の 少 ないC=Oの Cと 結 合 しやすい

タンパク 質 の 立 体 構 造 形 成 アミノ 酸 がリボゾーム 上 で 脱 水 縮 合 してタンパク 質 ができる ひも のようなグニャグニャしたものであろう これがどうして しっかりした 一 定 の 構 造 を とるようになるのか? タンパク 質 の 立 体 構 造 を 形 成 させる 要 因 は 何 か?

タンパク 質 の 立 体 構 造 および 高 次 構 造 一 次 構 造 二 次 構 造 三 次 構 造 アミノ 酸 の 配 列 順 序 タンパク 質 中 の 部 分 的 かつ 特 徴 的 な 立 体 構 造 αへリックス βシート ポリペプチド 鎖 一 本 の 全 立 体 構 造 四 次 構 造 複 数 のポリペプチド 鎖 がつくる 幾 何 学 的 位 置 関 係 注 意 : 一 二 三 四 次 というのは 空 間 構 造 の 次 元 とは 違 う ( 一 次 と3 次 は 空 間 構 造 の 次 元 に 一 致 するが 二 次 と 四 次 は 違 う )

タンパク 質 の 立 体 構 造 および 高 次 構 造

一 次 構 造 (Primary structure) アミノ 酸 がペプチド 結 合 で 脱 水 縮 合 して ポリペプチド 鎖 をつくる ポリペプチド 鎖 のアミノ 酸 のつながり 方 ( 配 列 )を 一 次 構 造 という 2つの 端 には ペプチドに 関 与 しないαアミノ 基 (N 末 端 )とαカル ボキシ 基 (C 末 端 )が 残 る 配 列 は N 末 端 のアミノ 酸 を 左 から 書 き 最 後 はC 末 端 を 書 く ペプチド 結 合 -CO-NH- C(α1)-CO-NH-C(α2)は 平 面 上 にある これは 共 鳴 構 造 のため C-Nは 二 重 結 合 性 を 持 っているため (sp 2 混 成 軌 道 )

ペプチド結合は平面構造である アミド平面 C Nが共鳴安定化して二重結合性 C+ N- を持っている 共鳴構造と考えてもよい p96 および図2 3を参照 タンパク質の構造の自由度は かなり減少する 平面で回転しない

α 炭 素 に 結 合 している 2つのアミド 平 面 の 回 転 角 α 炭 素 には 水 素 原 子 側 鎖 および2つのアミド 平 面 の 合 計 4つの グループが 結 合 している 従 って 2つの 角 度 φ(ファイ)とψ(プサイ) の 自 由 度 しかない 側 鎖 のコンフォメーションの 自 由 度 は 残 っている

ラマチャンドラン プロット(Ramachandran plot) 出典 生命薬学テキストシリーズ 物理化学 下 桐野 豊 編 共立出版

さらに 種 々の 相 互 作 用 ( 非 共 有 結 合 )で 高 水 素 結 合 次 構 造 が 固 定 化 されてくる N H O C (ほぼ 直 線 状 に 結 合 ) 側 鎖 とNHまたはCO 間 ( 電 気 陰 性 度 差 が 大 ) 側 鎖 間 疎 水 性 相 互 作 用 ( 結 合 ではない 安 定 な 状 態 ) 疎 水 性 アミノ 酸 残 基 は 水 と 接 しない( 内 部 に 存 在 する) 親 水 性 アミノ 酸 残 基 は 表 面 静 電 的 相 互 作 用 比 較 的 長 距 離 に 及 ぶ

二 次 構 造 (secondary structure) 二 次 構 造 ; 主 鎖 の2つのペプチド 結 合 間 の 水 素 結 合 によって 形 成 されるタンパク 質 の 部 分 的 な 規 則 構 造 側 鎖 は 関 与 しない αへリックスやβシート( 平 行 と 逆 平 行 の2つがある ) 水 素 結 合 (hydrogen bond) 水 素 がO, N, F, Clなどの 電 気 陰 性 度 の 高 い 原 子 の 間 で 作 る X-H Yという 結 合 Xを 供 与 体 Yを 受 容 体 という XとYの 距 離 ; 約 3A (0.3nm) 結 合 エネルギー; -20 kj mol -1 程 度 重 要 なことはXーH Y はほぼ 直 線 O-H O 水 や 氷 ; NーH O=C タンパク 質 ; N-H N 核 酸

アミド平面上の水素 原子と酸素原子と の水素結合 アミド平面間で水素結合をつくる αへリックス 左 と βシート 右

αへリックス( 生 体 では 右 巻 きらせん 構 造 ) 1930 年 代 にL. PaulingとR. Corey 右 巻 き 左 巻 きの 両 方 が 可 能 である が 生 体 では 右 巻 きらせん( 右 ねじ と 同 じ) 1 回 転 で 3.6 残 基 5.4A 18 残 基 で1 回 転 27A NH 基 はポリペプチド 鎖 にそって4 残 基 離 れたC=Oと 水 素 結 合 をつく る

αへリックス ヘリックス らせん カルボニール酸素が4つ上の残基の アミドの水素原子と水素結合 3 6残基/1回転 0 54nm/1回転 右まき Lアミノ酸の立体障害による プロリン αアミノ基 イミノ基 は水素結合できない αへリックスを壊す傾向 グリシン 自由なコンフォメーションをとれる 二次構造を壊す傾向がある

βシート 隣のポリペプチド鎖と水素結合をつくる 平行 parallel 2つのN Cのポリペプチド鎖が同じ 方向 逆平行(anti-parallel) 2つのN Cの向きが逆 プリーツシート状

βシート β 構 造 βストランド 遠 く 離 れたポリペプ チド 鎖 や 異 なるポ リペプチド 間 で 水 素 結 合 し ひだ 状 構 造 を 作 ったもの 平 行 と 逆 平 行 があ る (ポリペプチド 鎖 の 伸 長 の 方 向 が 同 じか 逆 か ) 水 素 結 合 は ポリペプチド 鎖 に 垂 直 に 出 ている

疎 水 性 相 互 作 用 とアミノ 酸 残 基 (メカニズムは 後 で 説 明 ) 疎 水 性 アミノ 酸 (グリシン アラニン バリン ロイシン イソロイシ ン メチオニン プロリン フェニールアラニン トリプトファン) ハイドロパシーインデックスを 参 照 水 に 接 しない 水 溶 性 タンパク 質 では 疎 水 性 アミノ 酸 同 士 が 集 ま り タンパク 質 内 部 に 存 在 することが 多 い 親 水 性 アミノ 酸 は 主 に 水 と 接 する 表 面 に 存 在 (ただし 機 能 に 必 須 の 親 水 性 アミノ 酸 が 内 部 に 存 在 する 場 合 もある) 束 縛 条 件 が 加 わり タンパク 質 の 立 体 構 造 が 決 まってくる

静 電 的 相 互 作 用 中 性 水 溶 液 中 で 正 電 荷 を 持 つアミノ 酸 リジン アルギニン ヒスチジン(pKa~7) 負 電 荷 を 持 つアミノ 酸 グルタミン 酸 アスパラギン 酸 比 較 的 長 距 離 で 働 く イオン 強 度 に 影 響 される タンパク 質 とタンパク 質 の 相 互 作 用 でも 静 電 的 相 互 作 用 は 重 要 例 えば 7 回 膜 貫 通 型 受 容 体 とGタンパク 質 との 相 互 作 用 受 容 体 の 細 胞 内 第 3ループ(5 番 目 のへリックスと6 番 目 のへリックスを 結 ぶ)は へリックスで その 片 面 にプラスチャージをもつアミノ 酸 がかた まっている Gタンパク 質 のマイナスチャージと 相 互 作 用 をする

三 次 構 造 (tertiary structure) αへリックスやβ 構 造 (ストランド)のような 二 次 構 造 がいくつか 形 成 され これらの 構 造 や 側 鎖 がファンデルワールス 力 やクーロン 力 に よって 三 次 元 的 に 組 み 立 てられて 1 本 のポリペプチド 鎖 の 形 状 ができ 上 がる

三 次 構 造 を 形 成 する 相 互 作 用 ( 非 共 有 結 合 ) 疎 水 性 相 互 作 用 結 合 ではない 静 電 的 相 互 作 用 ( 塩 橋 )

四 次 構 造 (quaternary structure) 二 つ 以 上 のポリペプチドが 相 互 作 用 して 1つのタンパク 質 を 作 っている 場 合 それぞれのポリペプチド 鎖 をサブユニット アクアポリン 同 じものの4 量 体 ヘモグロビン α 2 β 2 の 2つの 異 なる サブユニットの4 量 体

ヘモグロビン( 赤 血 球 中 の 酸 素 運 搬 タンパク 質 )の 構 成 要 素 単 量 体 は 筋 肉 中 の 酸 素 運 搬 タンパク 質 ミオグロビンと 似 ている

四 次 構 造 を 形 成 する 意 義 ~ いくつかある ヘモグロビンの 場 合 - 協 同 効 果 (アロステリック 効 果 ) 一 つのサブユニットに 酸 素 が 結 合 すると 残 りのサブユニットに 酸 素 が 結 合 しや すくなる 酸 素 の 多 いところで 酸 素 を 結 合 し 少 ないところで 離 すことができる

タンパク 質 の 高 次 構 造 ( 近 年 の 発 展 ) タンパク 質 の 立 体 構 造 を 規 定 する 因 子 静 電 的 相 互 作 用 分 散 相 互 作 用 と 反 発 力 ファンデルワールス 相 互 作 用 水 素 結 合 疎 水 性 相 互 作 用 結 合 力 結 合 距 離 結 合 角 に 注 目

αへリックス βシート(ストランド 構 造 )の 表 示 法 [ 注 意 ]

静 電 的 相 互 作 用 ~ 基 本 はクーロン 力 陽 陰 イオン 間 にはたらく 力 このとき エネルギー= 力 距 離 (r) q 1 q 2 / r

静 電 的 相 互 作 用 相 互 作 用 のエネルギー クーロンの 法 則 に 従 う 塩 橋 酸 性 アミノ 酸 側 鎖 と 塩 基 性 アミノ 酸 側 鎖 との 間 で 形 成 イオン 対 間 2~20kJmol -1 イオン- 双 極 子 間 双 極 子 - 双 極 子 間 ( 逆 平 行 ) 双 極 子 - 双 極 子 間 ( 自 由 回 転 ) 弱

荷 電 アミノ 酸 -αへリックス ~8kJmol -1 αへリックスの 束 構 造

双 極 子 (dipole)とファンデルワールス 力 ファンデルワールス 力 も 結 局 は 静 電 的 相 互 作 用 によるものだが 原 動 力 になるのは 双 極 子 という 分 子 の 分 極 状 態 である ファンデルワールス 力 は 以 下 の3 種 類 に 分 けて 考 えることができる 34

分 散 相 互 作 用 ( 瞬 間 的 に 双 極 子 間 に 形 成 される 引 力 ) 反 発 力 ( 原 子 間 距 離 が 小 さいとき 原 子 核 間 電 子 間 の 反 発 に 起 因 する 反 発 力 ) (I: 第 一 イオン 化 エネルキ ー α: 分 極 率 ) ファンデルワールス 相 互 作 用 ca. 0.8kJmol -1 原 子 間 距 離 4A の 場 合 レナードージョーンズの ポテンシャル(Lennard-Jones)

水 素 結 合 10~50kJmol -1

疎 水 性 相 互 作 用 水 と 油 が 混 ざらないのはどうしてか? ( 後 日 配 布 ) 水 の 構 造 と 性 質 酸 素 と 水 素 の 電 気 陰 性 度 違 いにより 水 素 原 子 がややプラス 酸 素 原 子 がややマイナスに 分 極 している 直 線 分 子 でないので 双 極 子 モーメントがある そのため 誘 電 率 が 大 きい 水 和 と 大 きな 誘 電 率 のため イオンが 溶 ける 双 極 子 を 持 っている 有 機 化 合 物 に 対 しては 小 さいけれど 溶 解 させる ( 電 気 的 相 互 作 用 ) 水 素 結 合 で クラスターを 作 っている H-O-Hの 角 104.52 炭 化 水 素 炭 素 と 水 素 の 電 気 陰 性 度 はほぼ 同 じ 分 極 していない イオンとは 違 い 水 に 溶 けない ただし 水 に 溶 けないのはこの 理 由 ばかりでは ない

水素結合 水素結合とは O, N, F, Cl などの 電気陰性度の大きな 原子を XとYとする XδーーHδ という結合が あったとき 別のY原子と X H Yという結合を作る タンパク質の二次構造を 参照 X H Y は直線

水 の 特 異 な 性 質 水 分 子 が 水 素 結 合 で クラスターを 作 っていることに 起 因 する 液 体 の 水 分 子 は 動 き 回 りながら 解 離 と 結 合 ( 水 素 結 合 )を 繰 り 返 している 1) 水 は 分 子 量 の 割 には 融 点 沸 点 が 高 いし 蒸 発 熱 も 大 きい (クラスターのために 実 効 的 分 子 量 は18より 大 きい ) 化 合 物 分 子 量 融 点 ( ) 沸 点 ( ) 蒸 発 熱 (kj/mol) CH 4 16.04-182 -164 8.16 NH 3 17.03-78 -33 23.26 H 2 O 18.02 0 +100 40.71 H 2 S 34.08-86 -61 18.66 2) 固 体 が 液 体 より 軽 い 0 で 氷 が 水 に 浮 かぶ 氷 は 水 素 結 合 のために すかすか の 構 造 になっている 融 解 でこの 構 造 が 一 部 なくなり 密 度 が 上 昇 する 3) 表 面 張 力 が 大 きい 4) 粘 度 が 大 きい 5) 水 素 結 合 を 作 ることのできる 水 酸 基 化 合 物 アミン エステル ケトン 等 を 溶 かす

大 学 で 学 ぶ 重 要 な 事 項 自 由 エネルギー これまで 習 った 古 典 力 学 (ニュートンの 運 動 の 法 則 )では エネルギー = 仕 事 をする 能 力 仕 事 = ( 物 体 に 働 いた) 力 ( 物 体 が 動 いた) 距 離 だから 分 子 間 に 働 く 力 からすぐにエネルギーが 出 てくると 考 えがち しかし 分 子 集 団 では 以 下 のようなことが 起 こる ( 例 ) 同 じ 位 置 エネルギーと 運 動 エネルギーを 持 った 分 子 がN 個 ある (A) 全 ての 分 子 が 同 じ 方 向 を 向 いて 運 動 している 場 合 (B) 全 ての 分 子 がばらばらの 方 向 に 向 かって 運 動 している 場 合 では どちらが 仕 事 をする 能 力 が 高 いだろうか? 当 然 仕 事 をする 能 力 (=エネルギー)は (A) > (B) である つまり 分 子 集 団 のエネルギーには 力 ( 位 置 エネルギー 運 動 エネルギー)だけではなく 分 子 集 団 の 秩 序 ( 乱 れ 方 )が 含 まれる < 乱 れている=エネルギーが 低 い= 安 定 > このエネルギーをギブス( 自 由 )エネルギーという ΔG = ΔH - TΔS G:Gibbs(ギブス) 自 由 エネルギー H:エンタルピー( 力 に 由 来 するエネルギー) T: 絶 対 温 度 S:エントロピー( 集 団 の 乱 れの 度 合 いを 表 す)

水中の疎水性物質のまわりには 水が氷の ような規則正しい構造を作る 水素原子 水分子が 疎水性物 質のまわりに 籠 を 作っている 酸素原子 水素結合で水分子が 結ばれ 規則的構造 を作っている エントロピーSの減少

油 が 水 と 混 ざらない のは 水 が 構 造 形 成 すると エントロピーが 減 少 することに 原 因 がある 疎 水 性 相 互 作 用 分 配 率 測 定 により 有 機 溶 媒 中 から 水 への 移 行 に 関 する 熱 力 学 量 を 求 める µ + RT ln X = µ + RT ln X HC 分 配 率 測 定 から HC W µ W µ HC W ギブズ ヘルムホルツの 式 を 使 って 分 配 率 の 温 度 依 存 性 からΔHが 求 められる G T 1 T P = H ΔHは 実 験 で 測 定 できる

油 が 水 と 混 ざらない = 疎 水 性 相 互 作 用 は 水 のクラスター 形 成 によるエントロピー 減 少 を 起 こさない 低 エネルギー( 安 定 ) 状 態 になった 結 果 である 種 々の 有 機 化 合 物 の 有 機 溶 媒 中 から 水 への 移 行 に 関 する 熱 力 学 量 ΔHは 溶 解 に 有 利! vs 溶 解 S 減 少 = 高 エネルギー (μ o w - μ o HC ) /KJ mol - 1 (h o w - h o HC ) /KJ mol - 1 (s o w - s o HC ) /J K - 1 mol - 1 CH 4 (CCl 4 ) CH 4 (H 2 O) 12.1-10.5-75.8 CH 4 (C 6 H 6 ) CH 4 (H 2 O) 10.9-11.7-75.8 C 2 H 6 (C 6 H 6 ) C 2 H 6 (H 2 O) 15.7-9.2-83.6 ΔG = H TS < 0 ならば 自 然 に 起 こる (μ o w -μ o HC )>0 であることは 有 機 化 合 物 (CH 4 やC 2 H 6 )が 水 に 溶 けない 事 を 示 す ただし (h o w -h o HC )の 項 は 負 になっているので エンタルピー 的 には 水 に 溶 ける 傾 向 にある ΔG>0にしている 原 因 は ΔS<0である 規 則 的 構 造 の 生 成 疎 水 性 相 互 作 用 は タンパク 質 の 立 体 構 造 の 形 成 にも 重 要 である

疎 水 性 相 互 作 用 によるタンパク 質 の 構 造 形 成 水 中 において 無 極 性 の 物 質 が 水 との 接 触 面 積 を 可 能 な 限 り 小 さく するように 集 合 するときの 凝 集 力 (cohesive force) ただし 分 子 間 力 ではなく 溶 液 全 体 の 自 由 エネルギー が 低 い 状 態 に 安 定 化 する 結 果 として 起 こる 現 象 溶 媒 の 水 分 子 は 無 極 性 分 子 が 溶 質 として 存 在 する 場 合 溶 質 の 周 囲 に クラスレート(clathrate)と 呼 ばれる 水 分 子 の 層 を 形 成 し 溶 質 を 内 部 に 閉 じ 込 める クラスレートは 水 素 結 合 による 連 結 されたかご 状 の 構 造 体 で 水 分 子 の 併 進 エントロピーを 顕 著 に 減 少 させる

疎 水 性 相 互 作 用 はタンパク 質 の 水 溶 性 にも 影 響 タンパク 質 の 溶 解 度 と 塩 析 塩 溶 phの 依 存 性 ( 塩 濃 度 一 定 ); 等 電 点 で 溶 解 度 は 最 低 水 和 による 塩 濃 度 の 影 響 (ph 一 定 ); 塩 溶 と 塩 析 塩 溶 塩 析 たとえば 卵 白 は 真 水 では 白 濁 生 理 食 塩 水 (0.9 w/v% NaCl)には 溶 ける( 塩 溶 ) 高 濃 度 のNaClでは 白 濁 ( 塩 析 ) 塩 析 では 溶 解 度 がイオン 強 度 の 増 加 で 直 線 的 に 減 少 する イオン 強 度 の 定 義 塩 析 はタンパク 質 の 精 製 に 利 用 される

自 由 エネルギー: G = H - TS 自 然 な( 自 発 的 に 起 こる) 変 化 は エネルギーの 高 い 状 態 から 低 い 状 態 に 移 る 変 化 = 自 由 エネルギーの 値 は 小 さくなる 方 向 に 変 化 する 自 由 エネルギーの 値 が 最 も 小 さい 状 態 =それ 以 上 変 化 しない 状 態 = 平 衡 状 態 だから 秩 序 のある 集 団 ( 原 子 の 集 団 という 意 味 では 分 子 構 造 も 集 団 の 一 種 )は 秩 序 のない 乱 れた 状 態 に 変 化 するのが 自 然 な 変 化 ということになる だから 物 質 は 年 月 とともに 崩 壊 する! 私 たち 生 物 は? 最 後 には 崩 壊 する(= 死 = 分 解 して ばらばらに 乱 れた 分 子 原 子 の 状 態 になる ) しかしその 前 は 少 なくとも 受 精 卵 から 固 体 が 発 生 し 成 長 する 過 程 は 新 しい 分 子 や 生 体 という 非 常 に 高 い 秩 序 を 持 った 構 造 がどんどん 作 られている いわゆる 自 然 な( 自 発 的 に 起 こる) 変 化 とは 反 対!!< 非 平 衡 状 態 > なぜよのような 変 化 化 学 反 応 が 起 こるのか? - 生 命 科 学 の 基 本 問 題 - 生 化 学 生 理 学 生 物 物 理 ( 化 ) 学 を 勉 強 しよう