学 習 活 動 ごとにみたSNSとLMSの 比 較 - 最 適 な 学 習 支 援 環 境 の 提 供 を 目 指 して- 長 岡 千 香 子 *, 平 岡 斉 士 * *, 喜 多 敏 博 * *, * * * * 熊 本 大 学 大 学 院 自 然 科 学 研 究 科 附 属 減 災 型 社 会 システム 実 践 研 究 教 育 センター * * 熊 本 大 学 大 学 院 社 会 文 化 科 学 研 究 科 教 授 システム 学 専 攻 * * * 熊 本 大 学 eラーニング 推 進 機 構 1
当 発 表 の 概 要 本 研 究 の 背 景 大 学 生 のメディア 活 用 状 況 SNSを 利 用 した 教 育 実 践 LMSとSNS 本 当 に 最 適 なツールを 選 択 しているのか? LMSとSNSの 比 較 ISO9126ユーザビリティ システムとしての 機 能 面 他 者 との 交 流 この 比 較 を 土 台 としてツール 選 択 のための 指 標 を 作 成 ツール 選 択 の ための 指 標 連 絡, 情 報 共 有, 議 論, 成 果 物 管 理, 成 績 評 価 の 学 習 活 動 ごとに 最 適 なツールを 提 案 この 指 標 をもとに 架 空 の 教 育 実 践 の 評 価 とコースの 提 案 指 標 の 利 用 (1)Facebookを 利 用 したレポートの 相 互 添 削 (2)Moodleを 利 用 したフィールドワークの 記 録 (3) 指 標 にもとづくコースのデザイン 2
1. 本 研 究 の 背 景 大 学 生 のメディア 活 用 状 況 LMS プライベート 空 間 におけるSNSの 利 用 Twitter 履 修 クラス 情 報 の 発 信 情 報 の 共 有 Google+ 資 料 情 報 の 共 有 課 題 の 提 出 友 人 との 交 流 情 報 の 発 信 Facebook 友 人 との 交 流 LINE 3
1. 本 研 究 の 背 景 SNSを 利 用 した 教 育 実 践 高 橋 ほか(2012) 学 習 者 は 小 論 文 をFacebookに 投 稿 し,お 互 いの 小 論 文 に 対 し て 相 互 添 削 を 行 った. 野 寺 ほか(2010) SNS 上 に 海 外 研 修 用 のコミュニティを 形 成 し, 研 修 に 関 する 情 報 交 換 を 行 うように 学 生 を 促 した. これから 教 育 実 践 を 行 う 教 員 がLMSとSNSのどちらを 利 用 すべ きか 判 断 する 際 の 明 確 な 基 準 がない 本 研 究 の 目 的 LMSとSNSの 特 性 ( 強 み 弱 み)を 比 較 し,その 比 較 に 基 づき, 判 断 基 準 の 一 つとして 利 用 できる 指 標 を 作 成 する 4
2.LMSとSNSの 比 較 ( 配 布 資 料 表 面 ) 理 解 性 運 用 性 習 得 性 ISO9126ユーザビリティ 使 いやすさ 魅 力 性 ユーザーの 権 限 プライバシ セキュリティ データの 保 持 学 習 コミュニティ 外 からの 関 与 ユーザー 間 の 交 流 システムとしての 側 面 他 者 との 交 流 ロールの 設 定 ができる 個 人 情 報 を 守 れる データを 保 持 できる 関 係 者 以 外 にも 関 わってもらえる 学 習 者 同 士 で 交 流 がある 5
3. 指 標 の 開 発 LMSとSNSの 比 較 表 学 習 活 動 ごとに 見 た ツール 選 択 のための 指 標 LMSとSNSの 比 較 表 をもとに,どちらのツールがより 適 切 である のかについて 学 習 活 動 ごとに 示 す 指 標 を 作 成. 6
3. 指 標 の 開 発 指 標 の 見 方 ( 配 布 資 料 裏 面 ) 連 絡 議 論 情 報 共 有 成 果 物 管 理 成 績 管 理 の5つの 学 習 活 動 ごとにLMSとSNSを 比 較 連 絡 LMS 情 報 の 表 示 が 時 系 列 ではないので 過 去 のお 知 らせなども 簡 単 に 見 つけることがで きる また ロールの 設 定 ができるので 教 員 のみがお 知 らせを 掲 載 することができ るなどの 制 限 をかけることができる しかし 学 生 側 の 利 用 頻 度 や 魅 力 が 高 くないの で そのお 知 らせを 見 るとは 限 らない Moodle: 掲 示 板 機 能 を 利 用 SNS まとめ 学 生 の 利 用 頻 度 や 魅 力 が 高 いので 課 題 の 連 絡 など 何 回 か 確 認 する 可 お 知 らせなどを 細 めにチェックする 可 能 能 性 が 高 い 情 報 に 関 してはLMSを 性 が 高 い しかし 情 報 の 表 示 が 時 系 利 用 し それ 以 外 の 軽 い 連 絡 につ 列 なので 過 去 のお 知 らせなどを 探 す いてはSNSを 利 用 した 方 がよい ことは 難 しい Facebook:グループ 内 の 投 稿 機 能 を 利 用 議 論 データの 保 持 ができるので 次 年 度 に 参 照 をすることができる ただ 学 習 者 同 士 の 交 流 は 工 夫 をしない 限 り 発 生 しにくい Moodle: 掲 示 板 機 能 を 利 用 コメント 機 能 などを 利 用 することで 容 易 に 意 見 交 換 を 行 える またグループを 公 開 することで 学 習 グループ 以 外 か らのコミュニケーションも 発 生 する た だ データの 保 持 はサービスが 終 了 す れば 二 度 とみることができない Facebook:グループ 内 の 投 稿 機 能 と 投 稿 に 対 するコメント 機 能 を 利 用 議 論 の 内 容 を 確 実 に 次 年 度 も 確 認 できるようにする 必 要 がある 場 合 な どを 除 いて SNSを 利 用 した 方 がよ い その 学 習 活 動 で 利 用 する 場 合 の 向 きや 不 向 きについて 記 号 で 表 示 7
3. 指 標 の 開 発 指 標 の 活 用 イメージ 1. 既 存 の 教 育 実 践 に 対 する 改 善 架 空 の 教 育 実 践 に 対 する 活 用 Facebookを 利 用 したレポートの 相 互 添 削 Moodleを 利 用 したフィールドワークの 記 録 紹 介 紹 介 2. 新 しくコースデザインをする 際 に 参 照 指 標 を 用 いたコースのデザイン 紹 介 3.LMSとSNSを 連 携 させるプラグインを 開 発 する 際 に 参 照 8
4. 指 標 の 利 用 Facebookを 利 用 した 課 題 の 相 互 添 削 < 架 空 の 教 育 実 践 1> 英 語 の 授 業 において,Facebook 上 に 学 習 グループを 作 成 し, 作 成 途 中 のレポートをFacebookに 投 稿 し,お 互 いのレポートに 対 して 相 互 添 削 を 行 った. Facebook レポートの 提 出 Facebook 上 で 相 互 添 削 レポートの 提 出 関 連 する 学 習 活 動 連 絡 情 報 共 有 議 論 成 果 物 管 理 成 績 管 理 9
4. 指 標 の 利 用 指 標 にもとづく 設 計 の 改 善 提 案 議 論 成 果 物 管 理 指 標 での 評 価 : 新 しくコメントがつけられた 投 稿 がタイムラインの 最 上 位 に 表 示 され るので,その 都 度 探 す 必 要 がなく, 手 間 が 省 ける 指 標 での 評 価 : サービスの 停 止 などによるデータの 消 失 があり 得 る.また 過 去 の 成 果 物 の 検 索 などが 非 常 に 困 難. この 科 目 を 担 当 する 教 員 や 他 の 教 員 との 情 報 の 共 有 が 困 難 SNSを 利 用 することで 容 易 に 議 論 などの 学 習 活 動 を 行 うことが できる 一 方, 成 果 物 の 管 理 が 非 常 に 困 難 成 果 物 の 管 理 のみはLMSで 行 うなどの 工 夫 が 必 要 10
4. 指 標 の 利 用 Moodleを 利 用 した 実 習 日 誌 の 共 有 < 架 空 の 教 育 実 践 2> 森 林 を 訪 れるフィールドワークができる 実 習 科 目 で 学 生 はその 実 習 に2 週 間 参 加 し,その 中 で 体 験 したこと を 毎 日 LMSの 掲 示 板 に 投 稿 して, 他 の 学 習 者 と 共 有 する. フィールドワーク Moodle レポートの 提 出 フィールドワークの 時 に クラスメイトが 投 稿 した 内 容 を 確 認 しよう. 関 連 する 学 習 活 動 連 絡 情 報 共 有 議 論 成 果 物 管 理 成 績 管 理 11
4. 指 標 の 利 用 指 標 にもとづく 設 計 の 改 善 提 案 情 報 共 有 議 論 成 果 物 管 理 指 標 での 評 価 : 学 習 場 面 以 外 に 必 ずしも 日 常 的 に 利 用 するものではないため, 他 の 学 習 者 の 投 稿 を 閲 覧 するとは 限 らない. 指 標 での 評 価 : データの 保 持 ができる 一 方, 学 習 者 が 自 発 的 に 他 学 習 者 と 議 論 すると は 考 えにくい. 指 標 での 評 価 : データの 保 持 が 容 易 なので,eポートフォリオなどと 連 携 させることで, 振 り 返 り 学 習 に 役 立 てることができる. 記 録 された 情 報 を 活 用 することは 容 易 である 一 方, 学 習 者 の 自 発 的 な 議 論 などは 期 待 できないという 問 題 がある 議 論 のみはSNS 上 で 行 うなどの 工 夫 が 必 要 12
4. 指 標 の 利 用 指 標 を 利 用 したコースのデザイン < 想 定 > 各 グループで 決 めたテーマに 関 するレポートを 作 成 し, ウェブ 上 で 公 開, 専 門 家 からコメントをもらうことを 想 定 している. LMSとSNSのどちらを 利 用 するのかについては 未 定 である. どう 設 計 したら よいのかなあ 教 員 関 連 する 学 習 活 動 連 絡 情 報 共 有 議 論 成 果 物 管 理 成 績 管 理 13
4. 指 標 の 利 用 指 標 にもとづくツールの 選 択 連 絡 (LMS) 情 報 共 有 (SNS) 議 論 (SNS) 成 果 物 管 理 (LMS) 成 績 評 価 (LMS) 確 実 に 学 習 者 に 周 知 することができ,また 過 去 の 連 絡 事 項 なども 簡 単 に 確 認 できる アクセスの ついで として 授 業 に 関 連 する 情 報 共 有 を 自 発 的 に 行 う 可 能 性 が 高 い. Facebookのユーザーであれば, 授 業 の 関 係 者 でなくても 議 論 に 参 加 ができる. どのグループが 課 題 を 提 出 したのかを 容 易 に 確 認 でき, 次 年 度 や 他 の 教 員 に 過 去 の 課 題 や 提 出 物 などを 参 照 させることができる. 成 績 評 価 機 能 を 利 用 することで, 学 習 者 の 成 績 の 一 元 管 理 が 可 能 と なる. 14
4. 指 標 の 利 用 指 標 にもとづく 設 計 の 提 案 学 習 者 専 門 家 記 事 記 事 教 員 教 員 連 絡 情 報 の 共 有 議 論 成 果 物 管 理 成 績 評 価 LMS SNS SNS LMS 各 学 習 活 動 に 対 して 最 適 なツールを 選 択 することで,よりよい 学 習 環 境 につながると 考 えられる. 15
今 後 の 予 定 : 再 検 討 の 必 要 がある 事 項 1) 比 較 項 目 の 再 検 討 ISOユーザビリティなどを 比 較 項 目 としてあげているが, 不 足 などはないか? 2) 指 標 の 妥 当 性 の 検 討 5つの 学 習 活 動 をあげているが, 不 足 などはないか? eラーニングの 専 門 家 にレビューをしてもらい, 改 善 を 行 う 上 記 の 改 善 が 終 了 したら LMSとSNSの 強 みと 弱 みを 補 完 しあえるプラグインの 開 発 16
今 後 の 予 定 :プラグインの 開 発 への 適 用 17
SUPPLEMENT 補 足 資 料 18
3. 指 標 の 開 発 連 絡 LMS SNS 情 報 の 表 示 が 時 系 列 ではないので, 学 生 の 利 用 頻 度 や 魅 力 が 高 いので, 過 去 のお 知 らせなどを 簡 単 に 見 つ お 知 らせなどを 細 めにチェックする けられる. 可 能 性 が 高 い. ロールの 設 定 ができるので, 教 員 のみがお 知 らせを 掲 載 することがで きるなどの 制 限 をかけることができ る. 学 生 側 の 利 用 頻 度 や 魅 力 が 高 くな いので,そのお 知 らせを 見 るとは 限 らない. 情 報 の 表 示 が 時 系 列 なので, 過 去 のお 知 らせなどを 探 すことは 難 しい. 課 題 の 連 絡 など 何 回 か 確 認 する 可 能 性 が 高 い 情 報 に 関 しては LMSを 利 用 し,それ 以 外 の 軽 い 連 絡 についてはSNSを 利 用 した 方 がよい. 19
3. 指 標 の 開 発 議 論 LMS SNS データの 保 持 ができるので, 次 年 度 に 参 照 をすることができる. 学 習 者 同 士 の 交 流 は 工 夫 をしない 限 り 発 生 しにくい. コメント 機 能 などを 利 用 することで 容 易 に 意 見 交 換 を 行 える. グループを 公 開 することで, 学 習 グ ループ 以 外 からのコミュニケーショ ンも 発 生 する. データの 保 持 はサービスが 終 了 す れば, 二 度 とみることができない. 議 論 の 内 容 を 確 実 に 次 年 度 も 確 認 できるようにする 必 要 がある 場 合 などを 除 いて,SNSを 利 用 した 方 がよい. 20
3. 指 標 の 開 発 情 報 共 有 LMS 掲 示 板 などで 情 報 の 共 有 をすること ができるが, 学 習 者 以 外 からの 関 与 は 発 生 しない. SNS 日 常 の 中 で 簡 単 に 情 報 を 投 稿 で きるようなデザインになっている ので, 学 習 者 自 ら 情 報 共 有 をする 可 能 性 が 高 い. 問 題 がない 限 りは,SNSで 情 報 共 有 をした 方 がよい. 21
3. 指 標 の 開 発 成 果 物 管 理 LMS SNS ロールの 設 定 ができるので, 提 出 した 投 稿 をする 際 にファイルを 添 付 す 課 題 が 他 の 学 習 者 には 閲 覧 できない ることで 課 題 の 提 出 などはできる ように 設 定 することもできる. が,データの 保 持 や 過 去 の 情 報 データの 保 持 ができるので, 提 出 され の 検 索 が 困 難 である. た 課 題 などを 半 永 久 的 に 保 管 するこ ロールの 設 定 ができないので, 他 とができ, 次 年 度 に 役 立 てたり,ポー の 学 習 者 が 提 出 した 課 題 を 閲 覧 トフォリオで 利 用 することができる. できないように 設 定 したくてもでき ない. 他 の 学 習 者 が 提 出 した 課 題 に 対 してコメントをするなどの 共 同 学 習 の 場 合 はSNSでもよいが,LMSを 利 用 した 方 がよい. 22
3. 指 標 の 開 発 成 績 管 理 LMS SNS 成 績 管 理 をするための 機 能 が 実 装 さ れているので, 容 易 にできる. SNSのはそのような 機 能 がなく, あったとしてもデータの 保 持 がで きない. SNSには 成 績 管 理 の 機 能 はないので,LMSを 利 用 した 方 がよい. 23