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Transcription:

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2 要 約 1 研 究 の 目 的 流 通 や 航 空 業 界 での 利 用 度 が 高 いポイント 制 のすそ 野 が 広 がっており 交 換 して 発 行 企 業 以 外 でも 使 用 できるなど 疑 似 通 貨 の 機 能 を 持 つポイント も 出 てきている 家 電 量 販 店 のポイントシステムや 航 空 会 社 のマイレージサービスなど 種 類 は 多 種 多 様 に 及 んでおり ポイントとマイルの 相 互 交 換 もでき 貯 まったポ イントは 商 品 代 金 の 値 引 きや 景 品 商 品 券 電 子 マネーとの 交 換 に 利 用 でき る このようなポイントについて 平 成 19 年 1 月 直 近 決 算 期 における 未 使 用 ポ イントの 負 債 総 額 は 上 場 企 業 で 3,200 億 円 超 と 報 じられており また 経 済 産 業 省 も 平 成 19 年 7 月 2 日 に 企 業 ポイントのさらなる 発 展 と 活 用 に 向 け て ( 企 業 ポイント 研 究 会 取 りまとめ)について を 発 表 したが 今 回 はガイ ドラインなど 新 たなルール 作 りは 見 送 られたところである さらに 平 成 19 年 7 月 25 日 付 新 聞 報 道 によると 欧 州 など 世 界 約 100 ヶ 国 で 利 用 されている 国 際 会 計 基 準 を 作 る 専 門 家 組 織 の 国 際 会 計 基 準 理 事 会 は 顧 客 が 利 用 するまでポイントに 相 当 する 金 額 を 売 上 から 除 外 し 負 債 として 計 上 するという ポイント の 会 計 処 理 として 初 の 統 一 指 針 をまとめたと 報 じられている そのような 状 況 ではあるが 我 が 国 法 人 税 法 上 ポイントについて 明 確 な 規 定 や 取 扱 いを 明 らかにしているものがないのが 現 状 である そこで ポイント 制 について 各 種 情 報 を 収 集 するとともに 研 究 し ポイ ントの 発 生 交 換 ( 売 買 ) 利 用 に 係 る 法 人 税 消 費 税 の 取 扱 いを 考 察 するも のである 2 研 究 の 概 要 等 (1)ポイントシステムの 歴 史

3 ポイントシステムの 原 形 は スタンプカードである それは 各 店 舗 が 独 自 に 発 行 するスタンプカードに 買 上 げ 金 額 や 利 用 回 数 に 応 じたスタン プを 押 印 し スタンプカードがすべて 埋 まれば 金 券 や 景 品 と 交 換 できる システムである これらは 顧 客 にとっては 貯 める 楽 しみと 景 品 交 換 に 期 待 を 持 つことができ 店 舗 側 にとっても 顧 客 の 固 定 化 と 販 促 効 果 を 得 ら れる 仕 組 みとなっている このような 中 一 社 だけのカードではスタンプが 溜 まり 難 いとか 景 品 が 魅 力 的 でないという 利 用 者 からの 意 見 により グリーンスタンプやブル ーチップのような 共 通 スタンプサービスが 発 足 した その 後 1980 年 代 の POS システム(Point of Sales system)の 普 及 に 伴 い デジタル 式 の ポイントカード の 普 及 が 始 まり PVC カード( 代 表 はクレジットカード)や PET カード( 代 表 はテレホンカード)で 作 成 し たカードを 顧 客 に 配 付 し 会 員 コード 毎 にポイントをカウントしていく 現 状 のシステムが 普 及 していくこととなった 流 通 業 界 で 最 も 早 く 現 在 のポイントカードシステムを 導 入 したのは カ メラ 量 販 店 のヨドバシカメラ(1989 年 導 入 )であったとされており その 後 競 合 する 家 電 量 販 店 などに 広 がっていったとされている 現 在 他 企 業 にも 大 きな 影 響 を 与 えているマイレージ(マイル)に 関 し ては 1983 年 に JAL( 日 本 航 空 )が 1986 年 に ANA( 全 日 本 空 輸 )が ア メリカ 路 線 限 定 で 導 入 し 1993 年 に 両 社 とも 国 際 線 全 体 にサービスを 拡 大 し 1997 年 には 両 社 国 内 線 にもサービスを 拡 大 している また 1997 年 に は JAL がマイレージサービスの 異 業 種 間 提 携 を 開 始 し その 後 グループ などでの 共 通 ポイントサービスの 提 供 が 加 速 した 特 に 2000 年 以 降 他 企 業 とのポイント 交 換 サービスが 広 く 取 り 入 れら れたことにより ポイントの 擬 似 通 貨 化 が 進 んでおり その 動 きは 更 に 加 速 しつつ 状 況 にある (2)ポイントカード 発 行 の 目 的 マーケティングのなかの 販 売 顧 客 管 理 では 20:80 のパレートの 法

4 則 が 働 くと 言 われている つまり 企 業 の 売 上 の 80%は 顧 客 数 の 20%に よりもたらされているという 定 説 である したがって 企 業 の 収 益 性 ( 利 益 ) 向 上 に 貢 献 する 優 良 顧 客 を 識 別 し 愛 顧 に 対 してより 多 く 還 元 するこ とで 顧 客 維 持 や 買 上 額 を 高 めるという よい 循 環 をつくることが 企 業 の 収 益 性 向 上 につながることとなる そのようなマーケティング 手 法 の 一 つ に FSP(Frequent Shoppers Program) 及 び FFP(Frequent Flyers Program: 多 利 用 搭 乗 客 向 けプログラム)というプログラムがある これはポイント カードやサービス 提 供 カードといった 顧 客 カードを 発 行 して 顧 客 一 人 一 人 の 購 買 データを 捉 えながら 顧 客 を 購 入 金 額 や 来 店 頻 度 によって 選 別 し セ グメント 別 にサービスや 特 典 を 変 えることによって 個 々の 顧 客 に 最 も 適 し たサービスを 提 供 し かつ 効 果 的 な 販 売 戦 略 を 展 開 して 優 良 固 定 客 の 維 持 拡 大 を 図 る 手 法 である よって ポイントカード 発 行 のメリットとしては 第 一 に カード 発 行 の 宣 伝 効 果 とディスカウント(ポイント 還 元 )による 顧 客 流 出 の 防 止 があ り 第 二 に 顧 客 データを 収 集 し データ 分 析 後 の 効 果 的 なマーケティン グ 活 動 による 優 良 顧 客 の 囲 い 込 みというメリットがある しかしながら ポイントカードシステムは 競 合 他 社 が 導 入 すれば 競 って 導 入 するという 傾 向 が 続 き カードの 発 行 自 体 が 目 的 となってしまっ た 状 況 も 見 受 けられ ディスカウントによる 販 促 目 的 のカードとなり そ の 結 果 ポイントカード 発 行 の 最 大 のメリットである 顧 客 データの 管 理 分 析 による 効 果 的 なマーケティングの 実 施 及 び 優 良 顧 客 の 囲 い 込 み が 出 来 ず ディスカウント 合 戦 により 利 益 を 圧 迫 するケースも 見 受 けられる (3)ポイントの 性 格 等 ポイントの 種 類 は 大 きく2つに 分 けられる 1 購 入 のたびに 購 入 金 額 に 応 じてポイントが 蓄 積 され 一 定 ポイントに 達 した 時 点 で 初 めて 商 品 の 値 引 き 等 のサービスが 受 けられる 又 は 金 券 等 を 受 領 できるタイプ( 蓄 積 型 ポイ ント)と 2ポイントが 付 与 された 時 点 ですぐそのポイントを 使 用 してサ ービスが 受 けられるタイプ( 即 時 使 用 可 能 型 ポイント)の2つである

5 また 企 業 が 付 与 するポイントについても1 自 社 発 行 型 2 共 同 発 行 型 3 他 社 買 取 発 行 型 などがあり ポイントが 企 業 間 で 売 買 されているものも あるようである さらに 消 費 者 側 のポイントの 利 用 も 値 引 き( 割 引 ) 景 品 交 換 商 品 券 交 換 電 子 マネー 交 換 キャッシュバック 更 には 公 共 料 金 の 支 払 と 多 種 多 様 である このようなポイントとは 一 体 何 かとなると 平 成 15 年 4 月 23 日 衆 議 院 経 済 産 業 委 員 会 において 民 主 党 中 山 義 活 代 議 士 の ポイントカードは 景 品 か 値 引 きなのか 明 らかにしていただきたい という 質 問 に 対 し 公 正 取 引 委 員 会 竹 島 委 員 長 は 公 取 としては これは 値 引 きである 景 品 では ない 値 引 きであるという 扱 いをさせていただいております また その 旨 も 世 の 中 に 明 らかにさせていただいているところでございます と 答 弁 している しかしながら 現 状 の 利 用 のされ 方 をみると ポイントの 性 格 は 1 売 上 値 引 2 売 上 割 引 3おまけ 景 品 ( 販 売 促 進 費 ) 4 民 法 でいう 予 約 に 似 たもの 5 売 上 前 受 金 6 企 業 通 貨 などが 考 えられ その 価 値 の 認 識 と 測 定 において 各 々が 混 在 していて 一 つに 特 定 することはできないのではな いかと 思 われる (4) 企 業 通 貨 企 業 通 貨 とは 企 業 が 独 自 に 発 行 するポイントプログラム( 名 称 として は ポイントやマイル)で 発 行 企 業 以 外 の 商 品 やサービスと 交 換 でき るものや 電 子 マネー( 例 として Edy や Suica)などである 一 般 的 には 有 償 契 約 に 基 づいて 発 行 される 電 磁 的 記 録 であって 契 約 に 基 づく 範 囲 内 で 金 銭 債 務 を 弁 済 する 効 力 を 有 する 情 報 と 定 義 されている したがって 企 業 通 貨 は 流 通 通 貨 として 国 家 などによって 価 値 が 保 証 さ れた 通 貨 ではなく サービスを 提 供 する 会 社 による 私 製 通 貨 ( 代 用 通 貨 など)の 一 種 である そして 企 業 通 貨 が 質 量 ともに 急 速 に 発 達 してい るため 立 法 による 本 格 的 な 手 当 てが 不 可 避 であるとの 認 識 が 高 まってき

6 ている( 現 在 商 品 券 やプリペイドカードを 保 護 規 制 する 法 律 としては 前 払 式 証 票 の 規 制 に 関 する 法 律 ( 通 称 プリカ 法 )がある ) なお 企 業 通 貨 の 類 似 概 念 として 電 子 決 済 地 域 通 貨 電 子 債 権 など がある (5) 会 計 処 理 について 自 社 発 行 のポイントサービスでは ポイント 発 行 時 ではなく 特 典 還 元 時 に 実 コストが 発 生 する 仕 組 みとなっている ポイント 発 行 時 に 数 %のポイ ントを 付 与 しても 期 限 切 れによるポイント 失 効 やカードの 紛 失 などの 要 因 により 実 際 の 値 引 き 発 生 額 や 実 コストは 大 幅 に 減 少 するのが 現 実 とな っている そのため 特 典 還 元 時 に 販 売 促 進 費 等 として 会 計 処 理 する 方 法 が 一 般 的 に 用 いられてきたが 発 行 してから 特 典 還 元 されるまでに 会 計 年 度 をまたぐことも 多 く 特 典 還 元 時 に 計 上 する 方 法 は 一 種 の 隠 れ 債 務 を 生 むこととなる そのため 近 年 では 会 計 の 透 明 性 を 高 めるべく 企 業 会 計 原 則 等 に 従 い 大 手 企 業 を 中 心 に 発 行 ポイントに 応 じた 引 当 処 理 が 一 般 的 に 行 われる ようになっている ポイント 発 行 企 業 は 決 算 時 のポイント 発 行 残 高 に 想 定 される 使 用 率 を 乗 じた 金 額 を 負 債 として 引 当 てている なお 引 当 率 は 30%~100%の ようである この 場 合 の 引 当 金 の 計 上 については 企 業 会 計 原 則 注 解 ( 注 18) 引 当 金 について で 将 来 の 特 定 の 費 用 又 は 損 失 であって 1その 発 生 が 当 期 以 前 の 事 象 に 起 因 し 2 発 生 の 可 能 性 が 高 く かつ 3その 金 額 を 合 理 的 に 見 積 もることができる 場 合 には 当 期 の 負 担 に 属 する 金 額 を 当 期 の 費 用 又 は 損 失 として 引 当 金 に 繰 入 れ 当 該 引 当 金 の 残 高 を 貸 借 対 照 表 の 負 債 の 部 又 は 資 産 の 部 に 記 載 するものとする と 規 定 されており 具 体 的 には 製 品 保 証 引 当 金 売 上 割 戻 引 当 金 返 品 調 整 引 当 金 賞 与 引 当 金 工 事 補 償 引 当 金 退 職 給 与 引 当 金 修 繕 引 当 金 特 別 修 繕 引 当 金 債 務 保 証 損 失 引 当 金 損 害 補 償 損 失 引 当 金 貸 倒 引 当 金 等 がこれに 該 当 する

7 なお 前 述 の 国 際 会 計 基 準 理 事 会 によるポイントの 会 計 処 理 統 一 指 針 で は 顧 客 が 利 用 するまでポイントに 相 当 する 金 額 を 売 上 から 除 外 し 負 債 として 計 上 する また 未 使 用 のポイントについては 一 定 期 間 が 過 ぎて 顧 客 が 利 用 する 可 能 性 がないと 判 断 されればその 時 点 で 売 上 への 計 上 を 認 める としているが 日 本 では ポイントを 付 与 する 企 業 と 実 際 にそのポ イントを 使 ってサービスを 提 供 する 企 業 が 異 なることも 多 く このため 顧 客 が 将 来 利 用 するポイントを 正 確 に 見 積 もることが 難 しく 企 業 は 一 般 に 過 去 の 実 績 を 参 考 に 引 当 て 処 理 をしているところである 仮 に 新 指 針 を 適 用 すれば 会 計 処 理 が 煩 雑 になるとの 指 摘 もあるが 国 際 会 計 基 準 との 共 通 化 作 業 を 進 めている 日 本 の 会 計 基 準 づくりがどのよう に 対 応 するかは 未 定 である (6) 法 人 税 法 上 の 取 扱 い 企 業 会 計 上 は 数 多 くの 引 当 金 が 認 められているが 現 行 の 法 人 税 法 上 の 引 当 金 は 貸 倒 引 当 金 ( 法 52)と 返 品 調 整 引 当 金 ( 法 53)の 2 つである( 平 成 10 年 の 税 制 改 正 で 課 税 ベースの 拡 大 の 観 点 から 賞 与 引 当 金 特 別 修 繕 引 当 金 製 品 保 証 等 引 当 金 が 廃 止 となり 平 成 14 年 の 税 制 改 正 で 連 結 納 税 制 度 の 採 用 に 伴 う 法 人 税 収 の 減 少 を 緩 和 するため 退 職 給 与 引 当 金 が 廃 止 となっている ) なお 租 税 特 別 措 置 法 において 特 定 の 政 策 目 的 のため に 準 備 金 の 積 み 立 てが 規 定 されている 以 上 の 引 当 金 準 備 金 の 状 況 からポイント 累 積 残 高 の 金 額 が 多 額 である からといって 税 法 上 新 たな 引 当 金 の 創 設 は 困 難 であると 判 断 される 次 にポイントの 損 金 計 上 については 原 則 として 法 人 税 基 本 通 達 9-7-2 金 品 引 換 券 付 販 売 に 要 する 費 用 により その 引 き 換 えた 日 の 属 する 事 業 年 度 の 損 金 の 額 に 算 入 する こととなるが 例 外 として 同 基 本 通 達 9-7-3 金 品 引 換 費 用 の 未 払 金 計 上 の 販 売 の 日 の 属 する 事 業 年 度 にお いて 損 金 経 理 により 未 払 金 に 計 上 することができる 旨 の 取 扱 いがある この 例 外 的 取 扱 いは 引 換 券 1 枚 だけの 呈 示 を 受 けてもその 引 換 えに 応 じることとしているものである 場 合 には 期 末 においてその 引 換 えに 要 す

8 る 費 用 を 合 理 的 に 算 定 することが 可 能 であり また その 性 質 上 一 種 の 確 定 債 務 ともいえることから その 引 換 えに 要 する 費 用 について 未 払 金 計 上 を 認 めることとされたものであり これは 費 用 収 益 対 応 の 原 則 及 び 債 務 の 確 定 からの 取 扱 いと 考 えられる (7) 消 費 税 法 上 の 取 扱 い 消 費 税 法 における 支 払 手 段 とは 外 国 為 替 及 び 外 国 貿 易 管 理 法 6 条 1 項 7 号 に 規 定 されており 銀 行 券 政 府 紙 幣 小 切 手 手 形 そして 電 子 マネ ーをいう なお 電 子 マネーとは 証 票 電 子 機 器 その 他 の 物 に 電 磁 的 方 法 ( 電 子 的 方 法 磁 気 的 方 法 その 他 の 人 の 知 覚 によって 認 識 することがで きない 方 法 をいう )により 入 力 されている 財 産 的 価 値 であって 不 特 定 又 は 多 数 の 者 相 互 間 で 支 払 のために 使 用 することができるもので その 使 用 の 状 況 が 通 貨 のそれに 近 似 しているものに 限 るものである また 物 品 切 手 等 とは 商 品 券 その 他 名 称 のいかんを 問 わず 物 品 の 給 付 請 求 権 を 表 彰 する 証 書 及 び 役 務 提 供 又 は 物 品 の 貸 付 けに 係 る 請 求 権 を 表 彰 する 証 書 をいい この 場 合 の 請 求 権 を 表 彰 する 証 書 とは その 証 書 の 所 持 人 に 対 してその 作 成 者 又 は 給 付 義 務 者 がこれと 引 換 えに 一 定 の 物 品 の 給 付 若 しくは 貸 付 け 又 は 特 定 の 役 務 の 提 供 をすることを 約 する 証 書 をい い 記 名 式 であるかどうか 又 はその 証 書 の 作 成 者 と 給 付 義 務 者 とが 同 一 であるかどうかを 問 わない そして いわゆるプリペイドカードは 物 品 切 手 等 に 該 当 する 3 結 論 当 初 のポイントは 顧 客 囲 い 込 みのためのマーケティングツールとして 活 用 され 古 くはスタンプ 等 で 自 社 の 商 品 やサービスに 充 当 できるものであり 現 在 でも 多 々 存 在 している その 場 合 のポイントは 景 品 引 換 券 又 は 次 回 割 引 券 のようなものに 過 ぎないものである しかし 発 行 企 業 以 外 でも 利 用 でき 流 通 性 を 持 った 企 業 通 貨 としてのポイ ントは 今 後 消 費 者 保 護 や 企 業 提 携 を 踏 まえて なお 一 層 の 発 展 が 予 想 さ

9 れ その 性 格 はまさに 擬 似 貨 幣 と 考 えられる よって 企 業 通 貨 としてのポイントについては 以 下 のような 取 扱 いとすべ きであると 考 える (1) 法 人 税 法 上 の 取 扱 いについて デジタル 化 された 現 在 のポイントは いつ どこで どのような 付 与 理 由 によって 発 生 したものかを 時 系 列 で 把 握 しており そのデータは 異 業 種 間 でのポイントの 交 換 でも 引 き 継 がれているようである また ポイント の 使 用 に 当 たっては 先 入 れ 先 出 しにより 発 生 消 滅 し 残 高 が 管 理 されて いる その 残 高 に 対 する 企 業 会 計 の 処 理 は 上 記 で 述 べたとおりである 法 人 税 法 上 のポイント 累 積 残 高 に 係 る 引 当 金 の 計 上 は 現 在 はもとより 将 来 においても 困 難 であると 考 えられる しかしながら ポイントの 性 格 等 から 法 人 税 基 本 通 達 9-7-3 金 品 引 換 費 用 の 未 払 金 計 上 の 取 扱 いを 解 釈 して 企 業 通 貨 としての 即 時 使 用 可 能 型 ポイント については 発 生 利 用 状 況 残 高 管 理 費 用 の 合 理 的 見 積 が 呈 示 できるのであれば 未 払 金 計 上 を 認 めて 差 し 支 えないのではな いかと 考 える (2) 消 費 税 法 上 の 取 扱 いについて 現 在 のポイントは 色 々な 性 格 が 混 在 しているため その 発 生 流 通 利 用 等 の 各 取 引 時 点 における 対 価 性 ( 無 償 取 引 )の 有 無 とその 取 引 の 性 格 か ら ポイントの 課 否 判 定 すべきと 考 える そして 擬 似 貨 幣 と 考 えられる 企 業 通 貨 としてのポイントを そのある 位 置 ( 形 態 )から 検 討 すると 次 のような 取 扱 いが 相 当 と 考 えられる 1 ポイントの 発 生 発 行 付 与 時 は 不 課 税 2 ポイントの 流 通 ( 企 業 間 消 費 者 間 消 費 者 と 媒 介 業 者 間 )では 交 換 売 買 ともに 非 課 税 ( 企 業 間 での 新 規 発 行 は1の 不 課 税 と 同 取 扱 い) 3 ポイントの 利 用 ( 消 費 者 と 発 行 企 業 ( 提 携 企 業 を 含 む) 間 )では 景 品 交 換 は 不 課 税 ( 景 品 の 仕 入 れは 課 税 取 引 ) 商 品 券 交 換 は 不 課 税 ( 商 品 券 利 用 時 は 課 税 取 引 )

10 電 子 マネー 交 換 は 不 課 税 ( 電 子 マネー 利 用 時 は 課 税 取 引 ) 現 金 交 換 (キャッシュバック)は 課 税 ( 対 価 の 返 還 )( 提 携 企 業 の 場 合 は 不 課 税 ) 値 引 割 引 ( 支 払 代 金 の 控 除 相 殺 )は 不 課 税 ( 差 額 支 払 金 額 の 対 価 が 課 税 取 引 ) 4 ポイント 利 用 に 係 る 提 携 企 業 からの 請 求 等 は 支 払 側 は 課 税 ( 販 売 促 進 費 ) 入 金 側 は 不 課 税 5 ポイントの 期 末 残 高 は 対 象 外

11 目 次 はじめに 13 第 1 章 ポイントシステムとは 14 1 ポイントシステムの 歴 史 14 2 ポイントカード 発 行 の 目 的 15 3 ポイントの 性 格 等 16 第 2 章 企 業 通 貨 19 1 総 説 19 2 電 子 決 済 19 3 地 域 通 貨 21 4 電 子 債 権 22 5 電 子 マネー 24 (1) 電 子 マネーの 定 義 24 (2) 電 子 マネーの 類 型 25 (3) 電 子 マネーの 法 的 性 格 27 (4) 電 子 マネーの 法 的 構 成 27 6 ポイントの 進 化 と 電 子 マネーとの 相 関 28 第 3 章 会 計 処 理 について 30 1 総 説 30 2 国 際 会 計 基 準 解 釈 指 針 (IFRIC13) の 我 が 国 の 会 計 処 理 への 影 響 について 31 3 ポイントの 仕 訳 ( 例 示 ) 33 第 4 章 法 人 税 の 取 扱 い 35 1 総 説 35 2 費 用 収 益 対 応 の 原 則 36 3 費 用 の 見 越 とは 36 4 引 当 金 とは 37

12 5 準 備 金 とは 39 6 現 行 の 金 品 引 換 券 の 取 扱 い 40 7 小 括 41 (1) 蓄 積 型 ポイント 42 (2) 即 時 使 用 可 能 型 ポイント 42 第 5 章 消 費 税 の 取 扱 い 43 1 総 説 43 2 ポイント 及 び 類 似 取 引 に 係 る 質 疑 応 答 43 (1)ポイントカード 点 数 による 値 引 販 売 43 (2)スタンプカードによる 商 品 の 引 渡 し 44 (3)ポイント 点 数 に 応 じて 交 付 する 景 品 45 (4) 買 上 げ 額 に 応 じて 交 付 する 商 品 券 46 (5) 買 上 げ 額 に 応 じて 交 付 する 自 社 商 品 券 47 (6) 系 列 店 でのポイントカードの 利 用 48 (7)スタンプ 券 とトレーディングスタンプ 49 (8) 顧 客 カードによる 値 引 販 売 51 (9) 組 合 が 支 払 うキャッシュバック 51 (10) 商 品 券 の 販 売 と 引 換 え( 原 則 ) 52 (11) 商 品 券 の 販 売 と 引 換 え( 特 例 ) 53 (12) 安 売 り 商 品 の 物 品 切 手 等 との 引 換 え 54 (13) 引 換 済 商 品 券 の 引 渡 し 55 (14) 商 品 代 として 受 領 した 商 品 券 の 換 金 55 3 小 括 57 結 びに 代 えて 59 (1) 法 人 税 法 上 の 取 扱 いについて 59 (2) 消 費 税 法 上 の 取 扱 いについて 59

13 はじめに 流 通 や 航 空 業 界 での 利 用 度 が 高 いポイント 制 のすそ 野 が 広 がっており 交 換 して 発 行 企 業 以 外 でも 使 用 できるなど 疑 似 通 貨 の 機 能 を 持 つポイントも 出 てきている 家 電 量 販 店 のポイントシステムや 航 空 会 社 のマイレージサービスなど 種 類 は 多 種 多 様 に 及 んでおり ポイントとマイルの 相 互 交 換 もでき 貯 まったポイン トは 商 品 代 金 の 値 引 きや 景 品 商 品 券 電 子 マネーとの 交 換 に 利 用 できる このようなポイントについて 平 成 19 年 1 月 直 近 決 算 期 における 未 使 用 ポイ ントの 負 債 総 額 は 上 場 企 業 で 3,200 億 円 超 と 報 じられており (1) また 経 済 産 業 省 も 平 成 19 年 7 月 2 日 に 企 業 ポイントのさらなる 発 展 と 活 用 に 向 けて ( 企 業 ポイント 研 究 会 取 りまとめ)について を 発 表 したが 今 回 はガイドラ インなど 新 たなルール 作 りは 見 送 られたところである さらに 平 成 19 年 7 月 25 日 付 新 聞 報 道 (2) によると 欧 州 など 世 界 約 100 ヶ 国 で 利 用 されている 国 際 会 計 基 準 を 作 る 専 門 家 組 織 の 国 際 会 計 基 準 理 事 会 は 顧 客 が 利 用 するまでポイントに 相 当 する 金 額 を 売 上 から 除 外 し 負 債 として 計 上 するという ポイント の 会 計 処 理 として 初 の 統 一 指 針 をまとめたと 報 じら れている そのような 状 況 ではあるが 我 が 国 法 人 税 法 上 ポイントについて 明 確 な 規 定 や 取 扱 いを 明 らかにしているものがないのが 現 状 である そこで ポイント 制 について 各 種 情 報 を 収 集 するとともに 研 究 し ポイン トの 発 生 交 換 ( 売 買 ) 利 用 に 係 る 法 人 税 消 費 税 の 取 扱 いについて 考 察 する ものである (1) 週 刊 東 洋 経 済 (2007.1.20)58 頁 (2) 日 本 経 済 新 聞 (2007.7.25) 夕 刊

14 第 1 章 ポイントシステムとは (3) 1 ポイントシステムの 歴 史 ポイントシステムの 原 形 は スタンプカードである それは 各 店 舗 が 独 自 に 発 行 するスタンプカードに 買 上 げ 金 額 や 利 用 回 数 に 応 じたスタンプを 押 印 し スタンプカードがすべて 埋 まれば 金 券 や 景 品 と 交 換 できるシステ ムである これらは 顧 客 にとっては 貯 める 楽 しみと 景 品 交 換 に 期 待 を 持 つ ことができ 店 舗 側 にとっても 顧 客 の 固 定 化 と 販 促 効 果 を 得 られる 仕 組 み となっている このような 中 一 社 だけのカードではスタンプが 溜 まり 難 いとか 景 品 が 魅 力 的 でないという 利 用 者 からの 意 見 により グリーンスタンプやブルーチ ップのような 共 通 スタンプサービスが 発 足 した その 後 1980 年 代 の POS システム(Point of Sales system)の 普 及 に 伴 い デジタル 式 の ポイントカード の 普 及 が 始 まり PVC カード( 代 表 は クレジットカード)や PET カード( 代 表 はテレホンカード)で 作 成 したカー ドを 顧 客 に 配 付 し 会 員 コード 毎 にポイントをカウントしていく 現 状 のシス テムが 普 及 していくこととなった 流 通 業 界 で 最 も 早 く 現 在 のポイントカードシステムを 導 入 したのは カメ ラ 量 販 店 のヨドバシカメラ(1989 年 導 入 )であったとされており その 後 競 合 する 家 電 量 販 店 などに 広 がっていったとされている 現 在 他 企 業 にも 大 きな 影 響 を 与 えているマイレージ(マイル)に 関 して は 1983 年 に JAL( 日 本 航 空 )が 1986 年 に ANA( 全 日 本 空 輸 )が アメリ カ 路 線 限 定 で 導 入 し 1993 年 に 両 社 とも 国 際 線 全 体 にサービスを 拡 大 し 1997 年 には 両 社 国 内 線 にもサービスを 拡 大 している また 1997 年 には JAL がマイレージサービスの 異 業 種 間 提 携 を 開 始 し その 後 グループなどでの 共 通 ポイントサービスの 提 供 が 加 速 した (3) 矢 野 経 済 研 究 所 2007 年 ポイントカードシステム FSP の 現 状 と 展 開 3~4 頁 参 照 (2007)

15 特 に 2000 年 以 降 他 企 業 とのポイント 交 換 サービスが 広 く 取 り 入 れられ たことにより ポイントの 擬 似 通 貨 化 が 進 んでおり その 動 きは 更 に 加 速 し つつ 状 況 にあり 更 には ネットショッピングの 普 及 拡 大 に 伴 い ネット 上 でのポイントサービスを 提 供 する 取 組 も 急 速 に 増 加 し 商 品 の 購 入 だけでは なく 広 告 の 閲 覧 などに 対 するポイント 付 与 サービスが 提 供 されるなど ポ イント 付 与 方 法 のバリエーションも 拡 大 している 2 ポイントカード 発 行 の 目 的 マーケティングのなかの 販 売 顧 客 管 理 では 20:80 のパレートの 法 則 が 働 くと 言 われている つまり 企 業 の 売 上 の 80%は 顧 客 数 の 20%によりも たらされているという 定 説 である したがって 企 業 の 収 益 性 ( 利 益 ) 向 上 に 貢 献 する 優 良 顧 客 を 識 別 し 愛 顧 に 対 してより 多 く 還 元 することで 顧 客 維 持 や 買 上 額 を 高 めるという よい 循 環 をつくることが 企 業 の 収 益 性 向 上 に つながることとなる そのようなマーケティング 手 法 の 一 つに FSP(Frequent Shoppers Program) 及 び FFP(Frequent Flyers Program: 多 利 用 搭 乗 客 向 け プログラム)というプログラムがある これはポイントカードやサービス 提 供 カードといった 顧 客 カードを 発 行 して 顧 客 一 人 一 人 の 購 買 データを 捉 えな がら 顧 客 を 購 入 金 額 や 来 店 頻 度 によって 選 別 し セグメント 別 にサービスや 特 典 を 変 えることによって 個 々の 顧 客 に 最 も 適 したサービスを 提 供 し かつ 効 果 的 な 販 売 戦 略 を 展 開 して 優 良 固 定 客 の 維 持 拡 大 を 図 る 手 法 である よって ポイントカード 発 行 のメリットとしては 第 一 に カード 発 行 の 宣 伝 効 果 とディスカウント(ポイント 還 元 )による 顧 客 流 出 の 防 止 があり 第 二 に 顧 客 データを 収 集 し データ 分 析 後 の 効 果 的 なマーケティング 活 動 による 優 良 顧 客 の 囲 い 込 みというメリットがある しかしながら ポイントカードシステムは 競 合 他 社 が 導 入 すれば 競 っ て 導 入 するという 傾 向 が 続 き カードの 発 行 自 体 が 目 的 となってしまった 状 況 も 見 受 けられ ディスカウントによる 販 促 目 的 のカードとなり その 結 果 ポイントカード 発 行 の 最 大 のメリットである 顧 客 データの 管 理 分 析 によ

16 る 効 果 的 なマーケティングの 実 施 及 び 優 良 顧 客 の 囲 い 込 み が 出 来 ず ディ スカウント 合 戦 により 利 益 を 圧 迫 するケースも 見 受 けられる (4) 3 ポイントの 性 格 等 ポイントの 種 類 は 大 きく2つに 分 けられる 1 購 入 のたびに 購 入 金 額 に 応 じてポイントが 蓄 積 され 一 定 ポイントに 達 した 時 点 で 初 めて 商 品 の 値 引 き 等 のサービスが 受 けられる 又 は 金 券 等 を 受 領 できるタイプ( 蓄 積 型 ポイント) と 2ポイントが 付 与 された 時 点 ですぐそのポイントを 使 用 してサービスが 受 けられるタイプ( 即 時 使 用 可 能 型 ポイント)の2つである また 企 業 が 付 与 するポイントについても1 自 社 発 行 型 2 共 同 発 行 型 3 他 社 買 取 発 行 型 などがあり ポイントが 企 業 間 で 売 買 されているものもあ るようである さらに 消 費 者 側 のポイントの 利 用 も 値 引 き( 割 引 ) 景 品 交 換 商 品 券 交 換 電 子 マネー 交 換 キャッシュバック 更 には 公 共 料 金 の 支 払 と 多 種 多 様 である このようなポイントとは 一 体 何 かとなると 平 成 15 年 4 月 23 日 衆 議 院 経 済 産 業 委 員 会 において 民 主 党 中 山 義 活 代 議 士 の ポイントカードは 景 品 か 値 引 きなのか 明 らかにしていただきたい という 質 問 に 対 し 公 正 取 引 委 員 会 竹 島 委 員 長 は 公 取 としては これは 値 引 きである 景 品 ではない 値 引 きであるという 扱 いをさせていただいております また その 旨 も 世 の 中 に 明 らかにさせていただいているところでございます と 答 弁 している さらに 平 成 18 年 6 月 29 日 公 正 取 引 委 員 会 公 表 の 家 電 用 電 気 製 品 の 流 通 における 不 当 廉 売 差 別 対 価 等 への 対 応 について( 通 称 : 家 電 ガイドライ ン) において ポイントの 提 供 について の 記 載 の 中 には 家 庭 用 電 気 製 品 の 小 売 業 者 は 商 品 を 販 売 する 際 に 消 費 者 に 対 し 販 売 価 格 の 一 部 又 は 全 部 の 減 額 に 充 当 できるポイント(1 ポイントを (4) 矢 野 前 掲 注 (3)7 頁

17 一 定 の 率 で 金 額 に 換 算 するなどの 方 法 による )を 提 供 する 場 合 がある 家 庭 用 電 気 製 品 についてのこのようなポイントの 提 供 は 一 般 に 値 引 きと 同 等 の 機 能 を 有 すると 認 められ 対 価 の 実 質 的 な 値 引 きと 判 断 される ただし 1ポイントを 利 用 する 消 費 者 の 割 合 2ポイントの 提 供 条 件 ( 購 買 額 の 多 寡 にかかわらず 提 供 されるものか 一 定 金 額 の 購 入 を 条 件 として 提 供 されるものなのか 等 ) 3ポイントの 利 用 条 件 (ポイン トが 利 用 可 能 となるタイミング ポイントの 有 効 期 限 利 用 に 当 たっ ての 最 低 ポイント 数 の 設 定 の 有 無 等 )といった 要 素 を 勘 案 し ポイン トの 提 供 が 値 引 きと 同 等 の 機 能 を 有 すると 認 められない 場 合 について はこの 限 りではない と 記 載 されている 上 記 下 線 部 分 については ポイントの 提 供 すなわち 商 品 販 売 時 点 にお ける 値 引 きと 判 断 される 旨 を 記 載 している と 考 え 方 が 述 べられている また 他 業 種 ポイントとの 交 換 については 当 該 ポイントが 現 金 と 等 価 とされる 他 のポイントに 交 換 できるか 否 かも 含 め ただし 書 き 記 載 の 諸 要 素 を 勘 案 し ポイントの 提 供 が 値 引 きと 同 等 の 機 能 を 有 すると 認 められる 否 かについては 個 別 具 体 的 に 判 断 すべき 事 項 である と 述 べられている 公 正 取 引 委 員 会 の 考 え 方 は 以 上 のとおりである しかしながら 現 状 の 利 用 のされ 方 をみると ポイントの 性 格 は 1 売 (5) 上 値 引 2 売 上 割 引 3おまけ 景 品 ( 販 売 促 進 費 ) 4 民 法 でいう 予 約 に 似 たもの 5 売 上 前 受 金 (6) 6 企 業 通 貨 などが 考 えられ その 価 値 の 認 識 と 測 定 において 各 々が 混 在 していて 一 つに 特 定 することはできないの ではないかと 思 われる なお 上 記 で 売 上 値 引 (7) 売 上 割 引 (8) という 表 現 をしているが 脚 注 の (5) 民 法 第 556 条 売 買 の 予 約 第 1 項 売 買 の 一 方 の 予 約 は 相 手 方 が 売 買 を 完 結 す る 意 思 を 表 示 した 時 より 売 買 の 効 力 を 生 じる (6) 前 掲 注 (2) 新 聞 報 道 による 国 際 会 計 基 準 指 針 の 考 え 方 (7) 売 上 値 引 a/c とは 販 売 した 商 品 の 品 質 不 良 数 量 不 足 破 損 などの 理 由 によって

18 会 計 学 辞 典 での 用 語 の 説 明 をみてもわかるように ポイントの 性 格 を 説 明 する 上 では 純 然 たる 会 計 用 語 ではないことに 留 意 すべきである 販 売 先 から 要 求 された 販 売 価 額 からの 減 額 を 記 入 する 勘 定 である ( 会 計 学 辞 典 ( 第 六 版 ) 同 文 舘 出 版 2007) (8) 売 上 割 引 a/c とは 商 品 の 販 売 において 信 用 取 引 が 行 われる 場 合 売 り 手 側 が 設 定 する 売 価 は 現 金 取 引 における 売 価 より 通 常 高 く 設 定 される それは 現 金 取 引 と 比 べて 現 金 の 受 け 取 りが 後 日 に 延 期 されるため 延 期 分 の 利 息 に 相 当 すると 考 えられ る 部 分 が 売 上 代 金 に 含 められるからである 現 金 受 取 りの 延 期 が 売 上 代 金 の 増 大 に つながるということは 現 金 の 受 け 取 りが 予 定 より 早 くなった 場 合 には 売 上 代 金 か ら 差 し 引 くことが 考 えられる つまり 支 払 い 期 日 前 の 掛 代 金 の 支 払 は 早 期 支 払 分 の 利 息 に 相 当 すると 考 えられる 部 分 がもとの 売 上 代 金 から 控 除 されるのである その 結 果 利 息 相 当 分 が 割 引 され 掛 代 金 から 差 し 引 かれる 場 合 がある これを 現 金 割 引 と いう 売 上 側 から 支 払 い 側 へ 与 えられる 現 金 割 引 を 売 上 割 引 といい 一 種 の 金 融 費 用 と 考 えられる これを 記 入 する 勘 定 を 売 上 割 引 a/c という 仕 入 側 からみれば 掛 代 金 から 差 し 引 かれる 現 金 割 引 は 仕 入 割 引 とよばれ 金 融 収 益 と 考 えられる これを 記 入 する 勘 定 が 仕 入 割 引 a/c である さらに 売 上 割 戻 し a/c における 売 上 割 戻 しとは 売 手 が 取 引 高 の 増 大 を 目 的 として 行 うもので 一 定 期 間 以 内 に 一 定 の 販 売 額 あるいは 販 売 数 量 以 上 の 取 引 が 行 われた 場 合 取 引 全 体 の 売 上 代 価 の 一 定 率 を 売 上 代 価 から 差 し 引 いて 得 意 先 に 現 金 で 支 払 う かあるいは 売 掛 金 と 相 殺 するものをいう 買 手 側 からいえば これに 関 連 して 受 け 取 った 現 金 または 買 掛 金 の 相 殺 されたものを 仕 入 割 戻 しという ( 前 掲 注 (7) 会 計 学 辞 典 )

19 第 2 章 企 業 通 貨 1 総 説 企 業 通 貨 とは 企 業 が 独 自 に 発 行 するポイントプログラム( 名 称 としては ポイントやマイル)で 発 行 企 業 以 外 の 商 品 やサービスと 交 換 できるも のや 電 子 マネー( 例 として Edy や Suica)などである 一 般 的 には 有 償 契 約 に 基 づいて 発 行 される 電 磁 的 記 録 であって 契 約 に 基 づく 範 囲 内 で 金 銭 債 務 を 弁 済 する 効 力 を 有 する 情 報 (9) と 定 義 されている したがって 企 業 通 貨 は 流 通 通 貨 として 国 家 などによって 価 値 が 保 証 され た 通 貨 ではなく サービスを 提 供 する 会 社 による 私 製 通 貨 ( 代 用 通 貨 な ど)の 一 種 である そして 企 業 通 貨 が 質 量 ともに 急 速 に 発 達 しているため 立 法 による 本 格 的 な 手 当 てが 不 可 避 であるとの 認 識 が 高 まってきている( 現 在 商 品 券 やプリペイドカードを 保 護 規 制 する 法 律 としては 前 払 式 証 票 の 規 制 に 関 する 法 律 ( 通 称 プリカ 法 )がある ) なお 企 業 通 貨 の 類 似 概 念 として 電 子 決 済 地 域 通 貨 電 子 債 権 などが ある そこで 電 子 決 済 地 域 通 貨 電 子 債 権 及 び 電 子 マネーについて その 内 容 を 考 察 することで ポイントプログラムとはどういうものが 概 観 できるの ではないかと 考 える 2 電 子 決 済 電 子 決 済 とは ある 商 品 またはサービスの 代 価 としてお 金 を 支 払 う 場 合 硬 貨 や 紙 幣 などの 現 金 で 支 払 うのではなく 電 子 データでやり 取 りすること で 支 払 いを 行 うことである その 電 子 決 済 手 段 は その 金 銭 的 価 値 がどこに 存 在 し どのように 決 済 されるのかに 応 じて ストアドバリュー 型 商 品 とア クセス 型 商 品 という2つに 大 きく 分 類 することができる (9) 野 村 総 合 研 究 所 2010 年 の 企 業 通 貨 40 頁 ( 東 洋 経 済 新 報 社 2006)

20 電 子 決 済 手 段 の 分 類 (10) 電 子 決 済 手 段 アクセス 型 商 品 ストア ドバリュー 型 商 品 (= 電 子 マネー) オンラインバ クレジットカ 電 子 小 切 手 IC カード ネットワー ンキング 型 ード 型 型 型 ク 型 (ソフト 電 子 的 価 値 が 存 クレジットカー 小 切 手 情 報 を 電 子 的 価 値 を ウェア 型 ) 在 する 預 金 口 座 ド 情 報 を 暗 号 に ネットワーク IC カード 上 に 電 子 的 価 値 を に 対 してネット より 安 全 に 小 売 経 由 で 電 子 的 保 存 し IC カ パソコンのソ ワーク 経 由 で 振 店 に 送 信 し そ に 送 信 し そ ードを 物 理 的 フトウェア 上 替 指 示 を 行 うこ の 後 は 物 理 的 の 後 は 通 常 の に 提 示 して 本 に 保 存 し こ とにより 決 済 を にカードを 提 示 小 切 手 と 同 価 値 を 相 手 に れをネットワ 行 う する 場 合 と 同 様 様 預 金 口 座 引 き 渡 すこと ーク 経 由 で 送 に 預 金 口 座 間 の 間 の 資 金 移 動 により 決 済 を 信 することに 資 金 移 動 で 決 済 により 決 済 を 行 う より 決 済 を 行 を 行 う 行 う う 上 記 のストアドバリュー 型 商 品 (11) は 現 預 金 と 引 き 換 えに 発 行 された 電 子 的 な 情 報 である 金 銭 的 価 値 (または 金 銭 的 価 値 への 請 求 権 )を 資 金 の 保 有 者 自 身 が 管 理 する IC カードやパソコン 上 のソフトウェア 等 に 蓄 えておき 財 サービスの 購 入 時 にこれを 取 引 相 手 に 引 き 渡 す またはこれを 書 き 換 え ることによって 電 子 的 に 決 済 を 行 う 手 段 である なお この 定 義 では 利 用 (10) 館 龍 一 郎 電 子 マネー 電 子 商 取 引 と 金 融 政 策 7 頁 ( 東 京 大 学 出 版 会 2002) 及 び 野 村 前 掲 注 (9)41 頁 (11) 館 前 掲 注 (10)6 頁

21 者 の 手 元 にある IC やパソコン 内 のソフトウェアでデータに 対 するコントロ ールを 行 うようにシステムを 設 計 したという 意 味 でストアドバリュー 型 商 品 と 呼 んでおり 価 値 の 所 在 に 関 する 法 的 な 解 釈 は 異 なり 得 る 一 般 的 にはこ のような 決 済 手 段 を 電 子 マネーと 呼 ぶことが 多 い (12) もう 一 方 のアクセス 型 商 品 は インターネットをはじめとする 各 種 ネッ トワークや 汎 用 のパソコン 等 を 用 い 預 金 振 替 等 の 集 中 処 理 型 の 決 済 手 段 に 対 して 遠 隔 地 から 支 払 指 示 を 行 うことにより 電 子 的 に 決 済 を 行 う 手 段 であ る アクセス 型 商 品 における 金 銭 的 価 値 は 利 用 者 の 手 元 ではなく 常 に 銀 行 の 預 金 口 座 等 決 済 手 段 の 提 供 主 体 に 存 在 する したがってアクセス 型 商 品 の 新 規 性 は 単 体 でも 独 立 して 存 在 し 得 る 決 済 手 段 を 通 信 技 術 や 暗 号 技 術 を 用 いて 遠 隔 地 から 安 全 に 利 用 できるようにしたことにある 多 くのアクセス 型 商 品 は 銀 行 預 金 の 振 替 で 決 済 を 行 っているが これらは ストアドバリュ ー 型 商 品 と 比 較 すればシステム 障 害 や 価 値 紛 失 時 の 復 元 不 正 処 理 の 発 見 追 跡 の 面 で 信 頼 性 が 高 いと 考 えられる (13) 以 上 の 電 子 決 済 手 段 の 特 徴 は 次 の6つとなる 1 決 済 のために 使 用 2 民 間 企 業 が 提 供 3 電 子 的 情 報 の 交 換 のみにより 完 了 4 現 預 金 との 引 き 換 えで 発 行 (ストアドバリュー 型 商 品 の 場 合 ) 5 前 払 いによる 決 済 (ストアドバリュー 型 商 品 の 場 合 ) 6 分 散 処 理 的 なスキーム(ストアドバリュー 型 商 品 の 場 合 ) 3 地 域 通 貨 地 域 通 貨 (14) とは 法 定 通 貨 ではないが ある 特 定 の 地 域 またはコミュニ ティーの 範 囲 に 限 り 法 定 通 貨 と 同 等 の 価 値 あるいは 全 く 異 なる 価 値 があるも (12) 館 前 掲 注 (10)9 頁 (13) 館 前 掲 注 (10)12~14 頁 (14) 野 村 前 掲 注 (9)46~49 頁

22 のとして 使 用 される 通 貨 のことである 日 本 国 内 では 2008 年 2 月 18 日 現 在 646 件 の 地 域 通 貨 が 存 在 するとの 報 告 (15) がある また 最 近 の エコマネ ー も 地 域 通 貨 の 一 種 である 円 やドルなどの 法 定 通 貨 の 場 合 には それを 通 貨 と 定 めた 国 の 内 部 では 1どこでも 2なんとでも 3 誰 でも 交 換 手 段 として 利 用 できる これに 対 して 地 域 通 貨 は まず 国 によってその 価 値 が 保 障 されることなく 利 用 できる 場 所 も 限 定 され 入 手 できる 商 品 やサービスの 種 類 も 限 定 される このような 地 域 通 貨 の 特 徴 として 次 の3つのメリットが 考 えられる 1 目 的 性 とメッセージ 地 域 福 祉 やまちづくりなど 公 共 的 あるいは 社 会 的 な 目 的 に 基 づいて 発 行 されている 2 私 たち という 感 覚 ニューヨーク 州 イサカ 市 の イサカアワーズ のアワーズは 時 間 という 意 味 の hourとわれわれという 意 味 の ourが 名 称 の 由 来 だといわれており 地 域 社 会 への 参 画 意 識 を 高 めようという 意 図 が 名 づけ 方 にもうかがえる 3 あらかじめデザインされた 道 筋 法 定 通 貨 の 流 れを 決 めるのは 市 場 であり 法 定 通 貨 の 流 れのイニシャティブを 握 っているのは 市 場 である これに 対 して 地 域 通 貨 はその 流 れをあらかじめデザインしておくこと ができる NPO への 寄 附 を 誘 導 したり 地 方 の 農 業 と 商 業 を 連 携 させた りしたい というようなニーズに 基 づいて 通 貨 の 流 れをデザインする ことができる 4 電 子 債 権 電 子 債 権 (16) とは 手 形 や 売 掛 債 権 を 電 子 化 したものであり 経 済 産 業 省 は 平 成 17 年 4 月 13 日 に 電 子 債 権 構 想 -IT 社 会 における 経 済 金 融 インフラ (15) http://www.cc-pr.net/list/ 地 域 通 貨 全 リスト 2008.2.18 現 在 =646 件 (2008 年 5 月 21 日 現 在 ) (16) 野 村 前 掲 注 (9)50~51 頁

23 の 構 築 を 目 指 して- を 公 表 (17) した その 内 容 は 商 取 引 の 決 済 や 売 掛 債 権 のファイナンスへの 活 用 について 従 来 は 手 形 ( 手 形 債 権 )が 広 く 利 用 され てきたが 紙 媒 体 を 利 用 することに 由 来 するコストやリスクがあるため 近 年 利 用 が 大 幅 に 減 少 している これに 代 わって 売 掛 金 ( 指 名 債 権 )を 活 用 した 新 しい 金 融 商 品 ( 一 括 決 済 方 式 電 子 手 形 等 )が 登 場 しているが 指 名 債 権 ゆえの 課 題 ( 二 重 譲 渡 のリスクや 対 抗 要 件 の 確 認 の 手 間 等 )を 抱 えて いる そこで 既 存 の 権 利 の 課 題 を 克 服 し IT 社 会 における 経 済 金 融 イン フラを 構 築 するため 金 銭 債 権 に 関 する 電 子 データに 一 定 の 効 力 を 認 めて IT 社 会 に 合 致 した 権 利 を 創 造 し 債 権 の 発 生 譲 渡 消 滅 を 電 子 的 に 完 結 で きる 法 制 ( 電 子 債 権 法 制 )を 創 設 することを 提 案 している 電 子 債 権 のイメージ (18) 電 子 債 権 は 電 子 債 権 管 理 機 関 ( 仮 称 )において 管 理 している 電 子 債 権 原 簿 ( 仮 称 )への 登 録 によって 発 生 し また 電 子 債 権 原 簿 の 記 載 を 書 き 換 えることで 対 抗 要 件 を 備 え 電 子 債 権 原 簿 への 記 載 だけを 対 抗 要 件 具 備 の 手 段 とすることを 想 定 低 イニシャルコスト 低 ランニングコストにより 債 権 譲 渡 の 電 子 化 への 取 組 に 対 する 法 的 な 手 助 けを 図 る 指 名 債 権 とも 手 形 債 権 とも 異 なる 類 型 として 電 子 債 権 という 新 し い 金 銭 債 権 の 類 型 を 創 設 することを 想 定 複 数 の 電 子 債 権 管 理 機 関 ( 民 間 企 業 )が 併 存 し かつ 単 層 構 造 をと る 制 度 が 望 ましいとの 想 定 (17) http://www.meti.go.jp/press/20050413002.20050413002.html(2008 年 5 月 21 日 現 在 ) (18) http://www.meti.go.jp/press/20050413002.20050413002.html(2008 年 5 月 21 日 現 在 )

24 5 電 子 マネー (1) 電 子 マネーの 定 義 電 子 マネー という 語 句 は 普 及 しているものの その 定 義 は 人 により 視 点 によりさまざまである 例 えば 現 代 用 語 の 基 礎 知 識 2006 では 金 融 問 題 の 用 語 の 解 説 で 現 金 の 価 値 を 電 子 的 な 情 報 に 置 き 換 えたもの IC カードや 携 帯 電 話 に 利 用 可 能 金 額 を 入 力 した Edy や Suica が 代 表 例 現 金 と 同 様 に 実 際 の 店 舗 で 利 用 でき かつ 金 額 を 補 充 でききる とあり 片 や IT 社 会 の 用 語 の 解 説 では 決 済 手 段 を 電 子 化 した 電 子 現 金 と 決 済 方 法 を 電 子 化 した 電 子 決 済 ( 電 子 振 替 ) を 指 す 今 のところ 日 常 生 活 で 現 金 代 わりに 使 われる 点 が 注 目 され 前 者 の 意 味 で 用 いられることが 多 い 電 子 現 金 としての 電 子 マネーは IC カード 型 電 子 マネーとネットワ ーク 型 電 子 マネーの2つのシステムに 現 時 点 では 大 別 される とある 定 義 がさまざまとなった 理 由 (19) としては 社 会 現 象 をとられた 定 義 経 済 現 象 をとらえた 定 義 システムの 仕 組 みをとらえた 定 義 法 律 面 の 定 義 (19) 野 村 前 掲 注 (9)166~167 頁

25 が 入 り 乱 れていることが 挙 げられる しかしながら こうした 定 義 の 議 論 は 概 念 的 ではあるが 何 を 何 のために 議 論 するかを 明 らかにするうえでは 重 要 である 定 義 の 例 示 を 追 加 すると 以 下 となる 決 済 手 段 の 電 子 化 の 仕 組 みにおいて 貨 幣 価 値 を 有 するものとさ れるデジタル データを 意 味 するもの ( 平 成 9 年 5 月 23 日 大 蔵 省 電 子 マネー 及 び 電 子 決 済 に 関 する 懇 談 会 ( 通 称 : 第 1 次 マネ 懇 ) 報 告 書 (20) ) 利 用 者 から 受 け 入 れられる 資 金 に 応 じて 発 行 される 電 磁 的 記 録 を 利 用 者 間 で 授 受 し あるいは 更 新 することによって 決 済 が 行 われる 仕 組 み または その 電 磁 的 記 録 自 体 をいう ( 平 成 10 年 6 月 17 日 大 蔵 省 電 子 マネー 及 び 電 子 決 済 の 環 境 整 備 に 向 けた 懇 談 会 ( 通 称 : 第 2 (21) 次 マネ 懇 ) 報 告 書 ) その 金 額 に 応 ずる 対 価 を 得 て 電 磁 的 に 記 録 された 金 額 情 報 であっ て その 記 録 者 との 契 約 関 係 に 基 づき それを 移 転 することによって 契 約 に 基 づく 一 定 の 範 囲 の 金 銭 債 務 の 弁 済 としての 効 力 を 有 するもの (22) ( 杉 浦 宣 彦 = 片 岡 義 広 電 子 マネーの 将 来 とその 法 的 基 盤 金 融 庁 金 融 研 究 研 修 センター 2003) (23) (2) 電 子 マネーの 類 型 法 的 な 扱 いを 考 える 上 で 意 味 を 持 つ 電 子 マネーの 類 型 を 列 挙 すると 以 下 のとおりとなる 1 IC カード 型 とネットワーク 型 これは 電 子 マネー 情 報 がいかなるデバイスに 収 められているかという (20) http://www.hsa.go.jp/p_mof/singikai/kinyusei/tosin/1a1201.htm(2008 年 5 月 22 日 現 在 ) (21) http://www.fsa.go.jp/p_mof/singikai/kinyusei/top.htm(2008 年 5 月 22 日 現 在 ) (22) http://www.hsa.go.jp/frtc/seika/discussion/2003/20030828-2.pdf(2008 年 5 月 23 日 現 在 ) (23) 岩 原 紳 作 電 子 決 済 と 法 448~449 頁 ( 有 斐 閣 2003)

26 電 子 マネー 情 報 の 所 在 による 類 型 分 けである IC カード 型 の 場 合 電 子 マネー 情 報 は IC カードに 収 められているのに 対 し ネットワーク 型 の 場 合 は オンラインで 電 子 マネーに 関 するデータベースに 接 続 している 2 オフライン 型 とオンライン 型 電 子 マネーに 関 するデータベースと 接 続 しているか 否 かによる 区 分 で ある 電 子 マネーに 関 しては IC カード 型 とネットワーク 型 に 対 応 して いる 3 預 金 口 座 への 接 続 これは 電 子 マネー 情 報 が 預 金 口 座 の 変 動 と 接 続 されているかによる 区 分 である IC カード(オフライン) 型 であっても プリペイドカード 方 式 のように 預 金 口 座 と 全 く 切 れているもの( 現 金 を 対 価 に 取 得 される もの)と 取 引 情 報 が 定 期 的 に 銀 行 等 の 中 央 データベース( 預 金 口 座 )に 移 し 替 えられるタイプのもの( 電 子 マネー id 等 )もある このよう な 区 別 は 預 金 口 座 への 接 続 のあるものは 預 金 に 関 する 法 規 制 の 適 用 がありうることから 意 味 がある 4 オープンループ 型 とクローズドループ 型 支 払 等 に 使 用 された 電 子 マネーを 譲 受 人 が 必 ず 発 行 者 に 預 け 戻 さな ければ 譲 受 人 自 身 が 再 使 用 できないような 仕 組 になっているタイプの 電 子 マネーをクローズドループ 型 の 電 子 マネーと 呼 び 発 行 者 に 預 け 戻 さなくても 第 三 者 に 直 ちに 譲 渡 するなど 再 使 用 できるようになってい る 電 子 マネーを オープンループ 型 の 電 子 マネーと 呼 ばれている 5 独 立 管 理 型 と 残 高 管 理 型 独 立 管 理 型 というのは 個 々の 独 立 したマネー 情 報 毎 にそれぞれ 金 額 情 報 と 識 別 番 号 等 が 付 されて 個 々の 独 立 したマネー 情 報 毎 に 発 行 者 や 流 通 経 路 等 を 管 理 特 定 できる 電 子 マネーである これに 対 し 残 高 管 理 型 は 各 デバイス 毎 に 差 引 残 高 の 金 額 情 報 のみが 管 理 され 個 別 のマ ネー 情 報 を 特 定 し 区 別 したり 発 行 者 や 流 通 経 路 等 を 管 理 することが 不 可 能 な 電 子 マネーである

27 6 一 元 発 行 型 と 多 元 発 行 型 発 行 及 び 換 金 をオリジネーターと 呼 ばれる 機 関 に 一 元 化 している 一 元 発 行 型 と 複 数 の 発 行 体 がそれぞれ 電 子 マネーの 発 行 及 び 換 金 を 行 い 発 行 体 相 互 間 で 決 済 を 行 う 多 元 発 行 型 があるとされている (24) (3) 電 子 マネーの 法 的 性 格 電 子 マネーに 関 する 私 的 な 法 律 問 題 を 考 えていく 上 では 電 子 マネーの 法 的 性 質 をいかに 考 えるかということが 重 要 で 問 題 になってくる しか しながら 抽 象 的 に 電 子 マネーの 法 的 性 格 を 決 定 し そこからあらゆる 具 体 的 な 法 的 問 題 に 対 する 答 えを 引 き 出 そうとすることは 適 切 とは 考 えら れないが 法 的 性 格 が 様 々な 法 的 問 題 を 考 える 上 で 一 つの 視 点 になること は 確 かである 現 在 学 説 等 によって 唱 えられている 電 子 マネーの 法 的 性 格 は 次 のようなものに 整 理 されている 第 一 に 電 子 マネーを 発 行 者 ( 発 行 銀 行 )に 対 する 金 銭 債 権 ( 預 金 債 権 ) とみる 見 方 である 第 二 に 電 子 マネーを 振 込 指 図 とみる 見 方 である 第 三 に 電 子 マネーの 使 用 により 発 行 会 社 が 譲 渡 人 に 対 する 金 銭 債 務 の 引 受 を 行 うという 法 律 構 成 とみる 見 方 である 第 四 に 電 子 マネーを 有 価 証 券 とみる 見 方 である 第 五 に 電 子 マネーを 金 券 とみる 見 方 である (25) (4) 電 子 マネーの 法 的 構 成 電 子 マネーが 誰 の 誰 に 対 する どのような 債 権 によって 発 行 及 び 弁 済 が 行 われるのかについては 多 くの 説 が 提 唱 されて 議 論 されており 諸 説 の 主 なものは 次 のとおりである 電 子 マネーの 情 報 を 重 視 する 構 成 金 券 説 債 務 の 弁 済 に 使 用 できる 金 券 と 同 様 な 存 在 だと 考 える 価 値 説 電 子 データ 自 体 に 価 値 があり 売 買 時 に 価 値 が 移 転 す (24) 岩 原 前 掲 注 (23)458~459 頁 (25) 野 村 前 掲 注 (9)170~171 頁

28 ると 考 える 代 物 弁 済 説 売 主 は 電 子 データそのものを 代 物 弁 済 として 受 領 すると 考 える 裏 付 けとなる 債 権 関 係 を 重 視 する 構 成 債 権 譲 渡 説 買 主 が 電 子 マネー 発 行 企 業 に 対 して 持 つ 金 銭 債 権 が 決 済 時 に 売 主 に 移 転 すると 考 える(デビット カードの 法 的 構 成 ) 支 払 指 図 説 買 主 が 電 子 マネー 発 行 企 業 に 対 して 売 主 に 代 金 相 当 を 支 払 うよう 指 図 すると 考 える 免 責 的 債 務 引 受 説 電 子 マネー 発 行 企 業 が 買 主 の 売 主 に 対 す る 代 金 支 払 債 務 を 引 き 受 けて 買 主 は 免 責 されると 考 える(プリペイドカードの 法 的 構 成 ) 以 上 の 電 子 マネーについての 各 説 考 え 方 には 一 長 一 短 があり 個 別 の 問 題 にぴったりした 解 決 をもたらすものはなく さらに 各 説 の 細 かな バリエーションも 主 張 されている 状 況 であるため 未 だ 統 一 した 結 論 は 出 ていない 状 況 である しかしながら 企 業 通 貨 としての 電 子 マネーは 同 じく 企 業 通 貨 とし ての 汎 用 性 を 高 めたポイントプログラムを 考 察 する 上 で 十 分 に 参 考 に なると 考 えられる (26) 6 ポイントの 進 化 と 電 子 マネーとの 相 関 自 社 の 顧 客 を 囲 い 込 むために 導 入 されたポイントプログラムは 最 初 に 提 携 先 である 他 社 での 購 買 で 自 社 のポイントが 蓄 積 できるというパターンへと 拡 張 し やがて 提 携 している 複 数 社 で 共 通 のポイントを 発 行 するパターンや (26) 上 田 恵 陶 奈 法 制 度 改 革 と 電 子 マネーにおける 立 法 の 方 向 性 15 頁 (http://nri.co.jp/souhatsu/research/2006/pdf/rd200607_01.pdf)2008 年 5 月 21 日 現 在

29 それぞれが 運 営 するポイントを 交 換 できるパターンへと 進 んでいき この 提 携 先 が 増 えれば 増 えるほど ポイントの 使 い 先 が 増 え 汎 用 性 が 生 まれるこ とになる 一 方 貯 めたポイントを 交 換 する 景 品 として 商 品 券 を 用 意 する 場 合 広 く 使 える 商 品 券 であるほど 汎 用 性 を 持 つことになり 今 ではポイント 交 換 サイ ト (27) を 通 じて 銀 行 預 金 に 変 換 ( 現 金 に 交 換 し 指 定 口 座 へ 入 金 )する 例 も 珍 し くない このように ポイント 自 体 の 流 通 性 決 済 性 を 高 める 動 きやポイントを 交 換 する 先 に 汎 用 的 な 決 済 手 段 となる 景 品 を 用 意 する 動 きが 進 んだ 結 果 ポイ ントと 電 子 マネーの 区 別 は 事 実 上 消 滅 したに 等 しいと 思 われる なお 電 子 マネーへの 価 値 の 充 当 は 現 金 等 によって 行 われているのであるが 海 外 で は ポイントを 購 入 できる 例 が 増 えてきており そういう 意 味 においても 消 費 者 の 意 思 で 価 値 を 充 当 できるか 否 かで 電 子 マネーとポイントは 異 なると いう 区 分 は 意 味 をなさないものである したがって 従 来 ポイントとされてきたものでも 電 子 マネーの 機 能 面 か ら その 定 義 に 当 てはまる 場 合 には 電 子 マネーに 含 めて 考 慮 すべきと 考 え る (27) 例 えば インターネットで ポイント 現 金 交 換 等 で 検 索 すると 各 種 情 報 が 入 手 できる

30 第 3 章 会 計 処 理 について 1 総 説 自 社 発 行 のポイントサービスでは ポイント 発 行 時 ではなく 特 典 還 元 時 に 実 コストが 発 生 する 仕 組 みとなっている ポイント 発 行 時 に 数 %のポイ ントを 付 与 しても 期 限 切 れによるポイント 失 効 やカードの 紛 失 などの 要 因 により 実 際 の 値 引 き 発 生 額 や 実 コストは 大 幅 に 減 少 するのが 現 実 とな っている そのため 特 典 還 元 時 に 販 売 促 進 費 等 として 会 計 処 理 する 方 法 が 一 般 的 に 用 いられてきたが 発 行 してから 特 典 還 元 されるまでに 会 計 年 度 をまたぐことも 多 く 特 典 還 元 時 に 計 上 する 方 法 は 一 種 の 隠 れ 債 務 を 生 むこととなる そのため 近 年 では 会 計 の 透 明 性 を 高 めるべく 企 業 会 計 原 則 等 に 従 い 大 手 企 業 を 中 心 に 発 行 ポイントに 応 じた 引 当 処 理 が 一 般 的 に 行 われるように なっている ポイント 発 行 企 業 は 決 算 時 のポイント 発 行 残 高 に 想 定 される 使 用 率 を 乗 じた 金 額 を 負 債 として 引 当 てている なお 引 当 率 は 30%~100%のよう である (28) この 場 合 の 引 当 金 の 計 上 については 企 業 会 計 原 則 注 解 ( 注 18) 引 当 金 について で 将 来 の 特 定 の 費 用 又 は 損 失 であって 1その 発 生 が 当 期 以 前 の 事 象 に 起 因 し 2 発 生 の 可 能 性 が 高 く かつ 3その 金 額 を 合 理 的 に 見 積 もることができる 場 合 には 当 期 の 負 担 に 属 する 金 額 を 当 期 の 費 用 又 は 損 失 として 引 当 金 に 繰 入 れ 当 該 引 当 金 の 残 高 を 貸 借 対 照 表 の 負 債 の 部 又 は 資 産 の 部 に 記 載 するものとする と 規 定 されており 具 体 的 には 製 品 保 証 引 当 金 売 上 割 戻 引 当 金 返 品 調 整 引 当 金 賞 与 引 当 金 工 事 補 償 引 当 金 退 職 給 与 引 当 金 修 繕 引 当 金 特 別 修 繕 引 当 金 債 務 保 証 損 失 引 当 金 損 害 補 償 損 失 引 当 金 貸 倒 引 当 金 等 がこれに 該 当 する (28) 矢 野 前 掲 注 (3)19 頁

31 なお 前 述 の 国 際 会 計 基 準 理 事 会 によるポイントの 会 計 処 理 統 一 指 針 では 顧 客 が 利 用 するまでポイントに 相 当 する 金 額 を 売 上 から 除 外 し 負 債 とし て 計 上 する また 未 使 用 のポイントについては 一 定 期 間 が 過 ぎて 顧 客 が 利 用 する 可 能 性 がないと 判 断 されればその 時 点 で 売 上 への 計 上 を 認 める と しているが 日 本 では ポイントを 付 与 する 企 業 と 実 際 にそのポイントを 使 ってサービスを 提 供 する 企 業 が 異 なることも 多 く このため 顧 客 が 将 来 利 用 するポイントを 正 確 に 見 積 もることが 難 しく 企 業 は 一 般 に 過 去 の 実 績 を 参 考 に 引 当 て 処 理 をしているところである (29) 仮 に 新 指 針 を 適 用 すれば 会 計 処 理 が 煩 雑 になるとの 指 摘 もあるが 国 際 会 計 基 準 との 共 通 化 作 業 を 進 めている 日 本 の 会 計 基 準 づくりがどのように 対 応 するかは 未 定 である 2 国 際 会 計 基 準 解 釈 指 針 (IFRIC13) の 我 が 国 の 会 計 処 理 への 影 響 について (30) 国 際 会 計 基 準 解 釈 指 針 (IFRIC13) の 要 点 は ポイント 発 行 企 業 が 商 品 やサービスの 販 売 時 にポイントを 付 与 するつど ポイントの 公 正 価 値 ( 現 時 点 では 具 体 的 な 算 出 方 法 は 公 表 されていない)を 売 上 から 除 外 し 当 該 金 額 を 負 債 として 計 上 する 点 にある 一 方 除 外 された 売 上 の 計 上 は ポイント が 使 用 された 時 点 もしくは 使 用 期 限 の 到 来 によって 失 効 した 時 点 となる つ まり ポイントを 明 確 な 価 値 ( 売 上 げ)と 認 識 して ポイントの 付 与 と 同 時 に 繰 り 延 べる 点 で 超 保 守 的 な 会 計 処 理 といえる 我 が 国 の 会 計 処 理 基 準 は 国 際 会 計 基 準 との 共 通 化 作 業 を 進 めているとこ ろではあるが 現 時 点 で 国 際 会 計 基 準 審 議 会 (IASB) 解 釈 指 針 と 日 本 のポイ ント 会 計 処 理 の 間 には ポイント 関 連 負 債 の 計 上 タイミング (ポイント 発 行 残 高 からポイント 関 連 負 債 を 算 出 するための) 算 出 方 法 性 質 ( 原 価 の 引 当 て 売 上 げの 繰 延 べ) の 点 で 大 きな 隔 たりがある これは 日 本 にお (29) 前 掲 注 (2) 日 本 経 済 新 聞 (30) NTT データ 経 営 研 究 所 ( 大 河 原 久 和 = 上 条 洋 ) ポイントビジネスのあり 方 を 再 検 討 する 時 期 に 週 刊 金 融 財 政 事 情 2766 号 (2007)

32 ける 一 般 的 なポイント 会 計 処 理 は 将 来 的 なポイント 使 用 予 想 額 が 年 一 回 程 度 見 直 されて 負 債 計 上 ( 原 価 の 引 当 て)されるのに 対 し IASB 解 釈 指 針 では 商 品 やサービスのつど 毎 回 販 売 価 格 に 基 づく 公 正 価 値 が 負 債 計 上 ( 売 上 げ の 繰 延 べ)されるからである この 隔 たりを 解 消 するために ポイント 発 行 企 業 は 財 務 面 と 会 計 事 務 面 で 制 度 変 更 の 影 響 による 負 担 を 強 いられ ると 考 えられる 財 務 面 への 影 響 として IASB 解 釈 指 針 では ポイント 関 連 負 債 の 算 出 方 法 が 将 来 のポイント 使 用 額 と 失 効 額 に 基 づいているため 現 状 の 会 計 処 理 ( 将 来 のポイント 使 用 額 のみに 基 づく 算 出 )に 比 べ 失 効 額 分 の 負 債 が 積 み 増 しされる また 原 価 の 引 当 て( 現 状 の 会 計 処 理 )から 売 上 げ 繰 延 べ (ISAB 解 釈 指 針 )への 負 債 の 性 質 変 更 によっても ポイント 使 用 時 の 商 品 やサービスの 原 価 と 当 該 商 品 やサービスの 売 上 げの 差 額 分 つまり 利 益 分 の 負 債 積 み 増 しという 影 響 が 考 えられる 会 計 事 務 面 への 影 響 については ISAB 解 釈 指 針 による 計 上 タイミン グ では ポイント 発 行 企 業 はポイントを 付 与 するたびに 毎 回 適 正 な 公 正 価 値 を 算 出 するように 会 計 処 理 の 変 更 が 求 められ そのため 従 来 よりも 頻 繁 に 詳 細 かつ 大 量 の 顧 客 データを 管 理 するポイント 管 理 システムを 構 築 し なければならず ポイントプログラムの 運 営 負 担 ( 特 にシステム 負 担 )が 増 すものと 考 えられる

33 3 ポイントの 仕 訳 ( 例 示 ) 一 般 的 と 考 えられる 仕 訳 借 方 貸 方 10,500 円 ( 消 費 税 込 み)の 売 上 に 対 しポイント 付 与 率 1%105P(105 円 相 当 )のポイントを 付 与 現 金 10,500 円 売 上 10,000 円 仮 受 消 費 税 500 円 ポイント 口 座 管 理 ポイント 新 規 発 生 105 (10,500 1%) 10,500 円 ( 消 費 税 込 み)の 売 上 に 対 し 105P(105 円 相 当 )のポイントを 利 用 される 現 金 10,395 円 売 上 10,000 円 (10,500-105) 売 上 値 引 100 円 仮 受 消 費 税 5 円 仮 受 消 費 税 500 円 ( 貸 借 が 相 殺 され495 円 10,395 105 5) ポイント 口 座 管 理 ポイント 新 規 発 生 103.95 (10,395 1%) 10,500 円 ( 消 費 税 込 み)の 売 上 に 対 し 蓄 積 されたポイント(10,500P(10,500 円 相 当 ))を 利 用 される 売 上 値 引 10,000 円 売 上 10,000 円 仮 受 消 費 税 500 円 仮 受 消 費 税 500 円 ( 対 価 がないため 通 常 は 貸 借 の 消 費 税 の 仕 訳 は 行 われない) ( 全 額 ポイント 利 用 なので 新 規 ポイン ポイント 口 座 管 理 トは 発 生 しない) ポイント 新 規 発 生 0

34 国 際 会 計 基 準 の 指 針 による 仕 訳 借 方 貸 方 10,500 円 ( 消 費 税 込 み)の 売 上 に 対 しポイント 付 与 率 1%105P(105 円 相 当 )のポイントを 付 与 現 金 10,500 円 売 上 9,900 円 (10,000-100) 仮 受 消 費 税 495 円 (500-5) 売 上 前 受 金 105 円 (10,500 1%) 内 訳 は(100+5) 10,500 円 ( 消 費 税 込 み)の 売 上 に 対 し 105P(105 円 相 当 )のポイントを 利 用 される 現 金 10,395 円 (10,500-105) 又 は(9,900+495) 売 上 前 受 金 105 円 売 上 9,901 円 (9,900+100-99) 仮 受 消 費 税 495.05 円 (495+5-4.95) 売 上 前 受 金 103.95 円 (10,395 1%) 内 訳 は(99+4.95) 10,500 円 ( 消 費 税 込 み)の 売 上 に 対 し 蓄 積 されたポイント(10,500P (10,500 円 相 当 ))を 利 用 される 売 上 前 受 金 10,500 円 売 上 10,000 円 仮 受 消 費 税 500 円 ( 全 額 ポイント 利 用 なので 売 上 前 受 金 は 発 生 しない)

35 第 4 章 法 人 税 の 取 扱 い 1 総 説 企 業 会 計 上 は 数 多 くの 引 当 金 が 認 められているが 現 行 の 法 人 税 法 上 の 引 当 金 は 貸 倒 引 当 金 ( 法 52)と 返 品 調 整 引 当 金 ( 法 53)の 2 つである( 平 成 10 年 の 税 制 改 正 で 課 税 ベースの 拡 大 の 観 点 から 賞 与 引 当 金 特 別 修 繕 引 当 金 製 品 保 証 等 引 当 金 が 廃 止 となり 平 成 14 年 の 税 制 改 正 で 連 結 納 税 制 度 の 採 用 に 伴 う 法 人 税 収 の 減 少 を 緩 和 するため 退 職 給 与 引 当 金 が 廃 止 となって いる ) なお 租 税 特 別 措 置 法 において 特 定 の 政 策 目 的 のために 準 備 金 の 積 み 立 てが 規 定 されている 以 上 の 引 当 金 準 備 金 の 状 況 からポイント 累 積 残 高 の 金 額 が 多 額 であるか らといって 税 法 上 新 たな 引 当 金 の 創 設 は 困 難 であると 判 断 される 次 にポイントの 損 金 計 上 については 原 則 として 法 人 税 基 本 通 達 9-7-2 金 品 引 換 券 付 販 売 に 要 する 費 用 により その 引 き 換 えた 日 の 属 する 事 業 年 度 の 損 金 の 額 に 算 入 する こととなるが 例 外 として 同 基 本 通 達 9-7-3 金 品 引 換 費 用 の 未 払 金 計 上 の 販 売 の 日 の 属 する 事 業 年 度 において 損 金 経 理 に より 未 払 金 に 計 上 することができる 旨 の 取 扱 いがある この 例 外 的 取 扱 いは 引 換 券 1 枚 だけの 呈 示 を 受 けてもその 引 換 えに 応 じ ることとしているものである 場 合 には 期 末 においてその 引 換 えに 要 する 費 用 を 合 理 的 に 算 定 することが 可 能 であり また その 性 質 上 一 種 の 確 定 債 務 ともいえることから その 引 換 えに 要 する 費 用 について 未 払 金 計 上 を 認 める こととされたものであり これは 費 用 収 益 対 応 の 原 則 及 び 債 務 の 確 定 (31) から の 取 扱 いと 考 えられる (31) 法 人 税 基 本 通 達 2-2-12 債 務 の 確 定 の 判 定 ⑴ 当 該 事 業 年 度 終 了 の 日 までに 当 該 費 用 に 係 る 債 務 が 成 立 していること ⑵ 当 該 事 業 年 度 終 了 の 日 までに 当 該 債 務 に 基 づいて 具 体 的 な 給 付 をすべき 原 因 となる 事 実 が 発 生 していること ⑶ 当 該 事 業 年 度 終 了 の 日 までにその 金 額 を 合 理 的 に 算 定 することができるものであること

36 (32) 2 費 用 収 益 対 応 の 原 則 企 業 会 計 においては 期 間 損 益 を 正 確 に 把 握 するため 収 益 とそれを 生 み 出 すのに 要 した 費 用 とは 同 一 の 会 計 年 度 に 計 上 されなければならない と 考 えられている これを 費 用 収 益 対 応 の 原 則 という たとえば 固 定 資 産 の 取 得 に 要 した 支 出 を 一 度 に 費 用 として 計 上 しないで 減 価 償 却 の 方 法 で 徐 々 に 費 用 化 してゆくのは 費 用 と 収 益 を 対 応 させるという 考 え 方 の 現 れである 費 用 収 益 対 応 の 原 則 は 法 人 所 得 の 計 算 についても 妥 当 とすると 解 すべき であり 費 用 のうち 売 上 原 価 のように 特 定 の 収 益 との 対 応 関 係 が 明 らかに できるものは 当 該 収 益 と 同 じ 費 用 として 計 上 すべきであり 一 般 の 人 件 費 や 事 務 費 のようにそれを 明 らかにできないものは それが 発 生 した 年 度 の 費 用 として 計 上 すべきである たとえば 宅 地 建 物 取 引 業 者 が 外 務 員 に 支 払 う 歩 合 給 債 務 は 現 実 の 支 払 時 ではなく 当 該 業 者 の 収 益 である 仲 介 手 数 料 が 収 益 計 上 される 年 度 に それに 対 応 して 損 金 として 計 上 されるべきである この 点 で しばしば 問 題 になるのは 費 用 の 繰 延 と 見 越 である 次 年 度 以 降 の 費 用 の 前 払 をした 場 合 は 当 面 は 繰 延 資 産 として 益 金 に 計 上 し 次 年 度 以 降 の 該 当 年 度 において 計 上 すべきである 逆 に 次 年 度 以 降 に 発 生 する 費 用 で あっても それが 当 該 年 度 の 収 益 と 対 応 するものである 場 合 は 当 該 年 度 の 費 用 として 見 越 計 上 する 必 要 がある ただし 費 用 の 見 越 は 当 該 年 度 の 終 了 の 日 において 将 来 その 費 用 が 生 ずることが 確 実 であり かつ その 金 額 を 正 確 に 確 認 することができる 場 合 に 限 って 認 められると 解 するべきであろ う ( 傍 点 筆 者 ) 3 費 用 の 見 越 (33) とは 費 用 の 引 当 すなわち 引 当 金 勘 定 の 設 定 も 一 種 の 費 用 の 見 越 である この 点 につき 所 得 税 法 第 37 条 第 1 項 括 弧 書 および 法 人 税 法 第 22 条 第 3 項 第 2 号 括 弧 書 の 償 却 費 以 外 の 費 用 で 当 該 事 業 年 度 終 了 の 日 までに 債 務 が 確 定 し (32) 金 子 宏 租 税 法 第 13 版 267 頁 ( 弘 文 堂 2008) (33) 金 子 前 掲 注 (32)267~268 頁

37 ないもの は 費 用 として 計 上 できない 旨 の 規 定 は 一 般 に 所 得 税 法 または 法 人 税 法 が 特 に 定 めている 場 合 を 除 いては 費 用 の 見 越 や 引 当 金 への 繰 入 損 の 計 上 を 認 めない 趣 旨 であると 解 されている しかし 著 者 ( 金 子 教 授 )と しては この 規 定 はそのようにせまく 解 すべきではなく 債 務 の 確 定 とい うのは 上 記 で 述 べたように 債 務 の 発 生 が 確 実 であり かつその 金 額 が 確 認 できることを 意 味 するものと 解 し このような 要 件 がみたされる 限 り 費 用 の 見 越 は 許 されると 解 しておきたい と 述 べられている ( 傍 点 筆 者 ) (34) 4 引 当 金 とは 将 来 の 費 用 または 損 失 の 発 生 に 備 えて その 合 理 的 な 見 積 額 のうち 当 該 年 度 の 負 担 に 属 する 金 額 を 費 用 または 損 失 に 繰 り 入 れて 貸 借 対 照 表 の 負 債 の 部 の 引 当 金 勘 定 に 繰 り 入 れられる 金 額 を 引 当 金 という 引 当 金 の 制 度 は 一 定 の 金 額 を 引 当 金 勘 定 に 繰 り 入 れておき 将 来 の 支 出 または 損 失 に 備 えると いう 意 味 をもつが 企 業 会 計 の 観 点 からは 将 来 の 支 出 または 損 失 であって も それが 当 年 度 の 収 益 を 生 み 出 すのに 役 立 っている 場 合 には その 金 額 を 引 当 金 勘 定 に 繰 り 入 れると 同 時 に 当 年 度 の 費 用 または 損 失 として 計 上 する ことによって 費 用 と 収 益 を 対 応 させ 期 間 損 益 を 正 確 に 把 握 計 算 するた めの 技 術 である(その 意 味 で 引 当 金 の 損 金 算 入 は 費 用 の 見 越 にほかならない) ところで 費 用 収 益 対 応 の 観 点 から 将 来 の 支 出 または 損 失 のために 引 当 金 勘 定 を 設 定 し そこへの 繰 入 額 を 当 年 度 の 費 用 または 損 失 として 計 上 するため には 1 将 来 におけるその 費 用 または 損 失 の 発 生 が 確 実 に 予 想 されること 2その 費 用 または 損 失 の 金 額 が 相 当 に 正 確 に 予 測 できること 3その 費 用 ま たは 損 失 が 当 年 度 の 収 益 と 対 応 関 係 に 立 っていること の3つの 要 件 をみた さなければならないと 解 すべきである これらの 要 件 をみたさないにもかか わらず 引 当 金 の 計 上 を 認 めると 利 益 留 保 の 実 質 をもつ 引 当 金 を 認 めること となり 期 間 損 益 の 計 算 が 恣 意 的 となり ひいては 所 得 金 額 が 不 当 に 減 少 す (34) 金 子 前 掲 注 (32)303~304 頁

38 ることになるからである 旧 商 法 施 行 規 則 43 条 が 特 定 の 支 出 又 は 損 失 に 備 えるための 引 当 金 は その 営 業 年 度 の 費 用 又 は 損 失 とすることを 相 当 とす る 額 に 限 り 貸 借 対 照 表 の 負 債 の 部 に 計 上 することができる と 定 めていた のも 同 じ 趣 旨 からである 引 当 金 は 評 価 性 引 当 金 と 負 債 性 引 当 金 とに 分 かれる 前 者 は 将 来 におい て 資 産 について 生 ずべき 費 用 ないし 損 失 が 当 年 度 の 収 益 に 対 応 する 場 合 に 計 上 されるもので 貸 倒 引 当 金 返 品 調 整 引 当 金 がこれに 属 する 後 者 は 将 来 において 生 ずる 債 務 が 当 年 度 の 収 益 に 対 応 するため 計 上 されるもので 退 職 給 与 引 当 金 がこれに 属 する 法 人 税 法 は 貸 倒 引 当 金 および 返 品 調 整 引 当 金 の2 種 類 の 引 当 金 の 計 上 を 認 め 企 業 会 計 の 考 え 方 に 従 って 費 用 収 益 対 応 の 観 点 から 当 該 引 当 金 勘 定 への 繰 入 額 のうち 一 定 の 金 額 を 損 金 に 算 入 することとしている 法 人 税 法 における 退 職 給 与 引 当 金 は 連 結 納 税 制 度 の 採 用 に 伴 う 法 人 税 収 の 減 収 を 緩 和 するため 平 成 14 年 7 月 の 税 制 改 正 で 廃 止 された 引 当 金 制 度 の 適 用 につ いて 法 人 税 は 損 金 経 理 および 確 定 申 告 書 への 明 細 の 記 載 をその 適 用 の 条 件 としている なお 平 成 10 年 の 法 人 税 の 改 正 までは 上 記 3 種 類 のほかに 賞 与 引 当 金 特 別 修 繕 引 当 金 製 品 保 証 引 当 金 の3 種 類 の 引 当 金 が 認 められ ていたが 課 税 ベースの 拡 大 の 観 点 から 賞 与 引 当 金 と 製 品 保 証 引 当 金 は 廃 止 され 特 別 修 繕 引 当 金 は 準 備 金 として 存 続 することになった なお 以 上 の 引 当 金 以 外 の 引 当 金 を 計 上 することが 許 されるかどうかにつ いては 法 人 税 法 が 償 却 費 以 外 の 費 用 でその 年 度 において 債 務 の 確 定 しな いものを 損 金 の 範 囲 から 除 いていることを 根 拠 として これを 否 定 する 見 解 が 有 力 であるが 前 述 の3つの 要 件 がみたされる 場 合 には 期 間 損 益 の 適 正 な 把 握 の 見 地 からこれを 肯 定 すべきであろう 例 えば 返 品 調 整 引 当 金 の 規 定 がなかった 時 代 に 通 達 限 りでそれと 内 容 の 類 似 した 返 品 調 整 勘 定 が 認 め られていたことは 租 税 行 政 庁 もこのような 解 釈 の 余 地 を 認 めていたことを 意 味 するといえよう もっとも 上 述 の 引 当 金 以 外 にこの3 要 件 がみたされ る 場 合 は 非 常 に 少 ないと 考 えられる

39 5 準 備 金 (35) とは 将 来 における 多 額 の 支 出 または 損 失 の 準 備 として 準 備 金 勘 定 に 積 み 立 てる 金 額 のことを 準 備 金 という 引 当 金 との 相 違 は 引 当 金 が 当 年 度 の 収 益 に 対 応 するのに 対 し 準 備 金 は 当 年 度 の 収 益 とは 対 応 せず 将 来 の 年 度 の 収 益 に 対 応 することである したがって 準 備 金 は 企 業 会 計 上 も 租 税 理 論 上 も 当 年 度 の 損 金 の 額 に 算 入 することができず 税 引 後 の 留 保 利 益 の 中 から 積 み 立 て るべき 性 質 のものである(これらの 準 備 金 は それを 計 上 した 年 度 の 収 益 に 対 応 しないのみではなく それらの 支 出 または 損 失 が 将 来 において 発 生 する かどうかが 不 確 実 であり しかもその 金 額 を 予 測 することが 困 難 である) し かし 租 税 特 別 措 置 法 は 経 済 政 策 上 の 理 由 から 法 人 税 についても 多 数 の 準 備 金 勘 定 の 設 定 を 認 め 一 定 の 限 度 額 の 範 囲 内 でその 勘 定 に 積 み 立 てた 金 額 を 損 金 の 額 に 算 入 することを 認 めている このような 準 備 金 は いずれも 費 用 収 益 対 応 の 原 則 に 反 するという 意 味 で 租 税 特 別 措 置 の 性 格 を 持 っている その 経 済 政 策 上 の 目 的 は それぞれ の 準 備 金 ごとに 異 なるが その 共 通 の 特 色 は 1つには 利 益 の 平 準 化 に 役 立 つことにある これは 程 度 の 差 はあるが すべての 準 備 金 についていえる ことである しかし 企 業 会 計 の 目 的 が 企 業 の 債 権 者 や 投 資 家 に 各 年 度 の 事 業 の 成 果 を 利 益 の 金 額 としてありのままに 示 すことにあることからすると 利 益 の 平 準 化 という 考 え 方 には 問 題 があるといえよう 第 2の 共 通 の 特 色 は 企 業 が 将 来 の 特 定 の 支 出 または 損 失 を 備 えることを 租 税 制 度 を 通 じて 奨 励 し ようとしていることである しかし 将 来 の 支 出 や 損 失 に 備 えることは 企 業 が 自 己 の 責 任 と 判 断 によって 税 引 後 の 利 益 の 一 部 を 任 意 準 備 金 として 積 み 立 てることによって 可 能 である 結 局 準 備 金 の 制 度 は 所 得 の 一 部 を 当 面 課 税 の 対 象 から 除 外 し 企 業 の 税 負 担 を 軽 減 することによって その 分 だけ 企 業 の 内 部 蓄 積 を 促 進 し 自 己 資 本 を 増 加 させることを 狙 いとしているといえよう (35) 金 子 前 掲 注 (32)309~310 頁

40 6 現 行 の 金 品 引 換 券 の 取 扱 い 法 人 が 商 品 等 の 金 品 引 換 券 付 販 売 により 金 品 引 換 券 と 引 換 えに 金 銭 又 は 物 品 を 交 付 することとしている 場 合 には その 金 銭 又 は 物 品 の 代 価 に 相 当 する 額 は その 引 き 換 えた 日 の 属 する 事 業 年 度 の 損 金 の 額 に 算 入 する( 法 人 税 基 本 通 達 9-7-2 金 品 引 換 券 付 販 売 に 要 する 費 用 )とある その 解 説 では 商 品 等 の 販 売 に 当 たり 購 入 者 に 点 数 等 を 表 示 した 金 品 引 換 券 を 交 付 し 後 日 その 金 品 引 換 券 と 引 換 えに 金 銭 又 は 物 品 を 交 付 すること としている 場 合 には その 交 付 する 金 銭 の 額 又 は 物 品 の 取 得 のために 要 した 費 用 は 現 実 にその 金 銭 又 は 物 品 の 交 付 をした 日 の 属 する 事 業 年 度 の 損 金 の 額 に 算 入 される したがって その 金 品 引 換 券 を 交 付 しただけでは その 引 換 えに 要 する 費 用 を 損 金 の 額 に 算 入 することはできない とされている しかし 例 外 として 法 人 が 商 品 等 の 金 品 引 換 券 販 売 をした 場 合 において そ の 金 品 引 換 券 が 販 売 価 額 又 は 販 売 数 量 に 応 ずる 点 数 等 で 表 示 されており かつ たとえ1 枚 の 呈 示 があっても 金 銭 又 は 物 品 と 引 き 換 えることとしているもので あるときは 9-7-2 にかかわらず 次 の 算 式 により 計 算 した 金 額 をその 販 売 の 日 の 属 する 事 業 年 度 において 損 金 経 理 により 未 払 金 に 計 上 することができ る( 法 人 税 基 本 通 達 9-7-3 金 品 引 換 費 用 の 未 払 金 の 計 上 )の 取 扱 いがある ( 算 式 ) 1 枚 又 は 1 点 について その 事 業 年 度 において 交 付 する 金 銭 の 額 発 行 した 枚 数 又 は 点 数 ( 注 )1 算 式 中 1 枚 又 は 1 点 について 交 付 する 金 銭 の 額 は 物 品 だけの 引 換 えをすることとしている 場 合 には 1 枚 又 は 1 点 について 交 付 する 物 品 の 購 入 単 価 (2 以 上 の 物 品 のうちそ の 一 つを 選 択 することができることとしている 場 合 には そ の 最 低 購 入 単 価 ) 2 算 式 中 その 事 業 年 度 において 発 行 した 枚 数 又 は 点 数 のう ち その 事 業 年 度 終 了 の 日 までに 引 換 えの 済 んだもの 及 び 引 換 期 間 の 終 了 したものは 含 まない

41 その 解 説 では ⑴ 商 品 等 の 金 品 引 換 券 付 販 売 をした 場 合 のその 引 換 えに 要 する 費 用 は 原 則 として その 引 換 えにより 金 銭 又 は 物 品 の 交 付 をした 事 業 年 度 において 損 金 に 算 入 するものとされているのであるが その 金 品 引 換 券 が 商 品 等 の 販 売 価 額 又 は 販 売 数 量 に 応 ずる 点 数 等 で 表 示 されており そして 1 枚 だけの 呈 示 を 受 けてもその 引 換 えに 応 ずる こととしているものである 場 合 には 期 末 においてその 引 換 えに 要 する 費 用 を 合 理 的 に 算 定 することが 可 能 であり また その 性 格 上 一 種 の 確 定 債 務 ともいえるところから その 引 換 えに 要 する 費 用 について 未 払 金 計 上 を 認 めることとされたものである この 場 合 の 未 払 金 計 上 が 認 められる 金 額 は その 金 品 引 換 券 の 1 枚 又 は 1 点 当 たりの 物 品 の 最 低 購 入 単 価 とその 期 中 において 発 行 した 金 品 引 換 券 のうち 期 末 において 引 換 期 間 の 経 過 していないもので 引 換 未 了 のものの 枚 数 又 は 点 数 を 基 礎 として 算 定 される 金 額 である ⑵ なお 金 品 引 換 券 に 類 似 するものとして その 後 の 商 品 等 の 購 入 に 際 し 一 定 金 額 の 値 引 きを 約 する 割 引 券 があるが この 割 引 券 は 顧 客 が 再 び 商 品 等 を 購 入 することが 絶 対 条 件 となっているもので その 性 格 は 単 なる 値 引 きの 予 約 にすぎず 到 底 確 定 債 務 とはいえない したがって たとえその 割 引 券 に 値 引 額 の 表 示 があるとしても 本 通 達 でいう 1 枚 又 は 1 点 当 たりの 最 低 引 換 金 額 がある 金 品 引 換 券 には 当 た らないから これらについて 未 払 金 の 計 上 を 行 うことは 認 められないこ とに 注 意 する 必 要 がある 現 在 百 貨 店 や 家 電 の 量 販 店 等 が 発 行 しているポイントカードについ ては 発 行 法 人 によって 引 換 えの 条 件 等 が 異 なっている 場 合 が 多 いので それぞれのポイントカードごとに 本 通 達 の 趣 旨 等 に 照 らし 判 断 するこ ととになる 7 小 括 ポイントの 性 格 等 から 蓄 積 型 ポイント と 即 時 使 用 可 能 型 ポイント

42 の 法 人 税 法 上 の 取 扱 いを 考 察 することとする (1) 蓄 積 型 ポイント このタイプのポイントは 一 定 の 水 準 に 達 するまでは 商 品 の 値 引 等 のサ ービスをなすべき 義 務 が 確 定 しているとはいえないため 債 務 の 確 定 の 要 件 の 1その 費 用 に 係 る 債 務 が 成 立 しているとはいえないこと 及 び2 給 付 すべき 原 因 となるべき 事 実 が 発 生 しているともいえないとなる また 蓄 積 型 ポイントでは 一 定 の 水 準 にポイントがたまることなく 失 効 してし まうポイントがかなり 多 いと 考 えられ 費 用 としての 発 生 の 可 能 性 が 高 い とはいえないと 思 われる よって ポイント 使 用 時 の 損 金 算 入 が 相 当 と 考 えられる (2) 即 時 使 用 可 能 型 ポイント このタイプのポイントは 当 初 販 売 金 額 の 一 定 割 合 がポイントとなり そのポイントが 即 時 使 用 可 能 となるため 当 初 販 売 時 点 で 当 初 販 売 金 額 に 対 応 して 発 生 したポイント 相 当 額 が 顧 客 に 対 する 債 務 として 成 立 している と 考 えられる また 即 時 使 用 型 ポイントでは そのポイントの 発 生 を 電 算 処 理 で 管 理 しており 過 去 からのポイントの 発 行 額 使 用 額 期 末 時 点 の 残 高 及 び 期 末 時 点 でのポイントの 評 価 を 係 数 として 表 示 することが 可 能 と 考 えられる よって その 係 数 からポイント 発 行 に 係 る 将 来 費 用 ( 期 末 時 点 の 引 当 金 又 は 未 払 金 )の 計 上 が 可 能 と 考 えられる

43 第 5 章 消 費 税 の 取 扱 い 1 総 説 擬 似 通 貨 企 業 通 貨 としてのポイントは 消 費 税 法 上 どのような 取 扱 いと なるのか ポイントの 性 格 等 から 考 察 すると 支 払 手 段 または 物 品 切 手 等 に 準 ずるものといえるのではないかと 思 われる 消 費 税 法 における 支 払 手 段 とは 外 国 為 替 及 び 外 国 貿 易 管 理 法 6 条 1 項 7 号 に 規 定 されており 銀 行 券 政 府 紙 幣 小 切 手 手 形 そして 電 子 マネーを いう なお 電 子 マネーとは 証 票 電 子 機 器 その 他 の 物 に 電 磁 的 方 法 ( 電 子 的 方 法 磁 気 的 方 法 その 他 の 人 の 知 覚 によって 認 識 することができない 方 法 をいう )により 入 力 されている 財 産 的 価 値 であって 不 特 定 又 は 多 数 の 者 相 互 間 で 支 払 のために 使 用 することができるもので その 使 用 の 状 況 が 通 貨 のそれに 近 似 しているものに 限 るものである また 物 品 切 手 等 とは 商 品 券 その 他 名 称 のいかんを 問 わず 物 品 の 給 付 請 求 権 を 表 彰 する 証 書 及 び 役 務 提 供 又 は 物 品 の 貸 付 けに 係 る 請 求 権 を 表 彰 す る 証 書 をいい この 場 合 の 請 求 権 を 表 彰 する 証 書 とは その 証 書 の 所 持 人 に 対 してその 作 成 者 又 は 給 付 義 務 者 がこれと 引 換 えに 一 定 の 物 品 の 給 付 若 しくは 貸 付 け 又 は 特 定 の 役 務 の 提 供 をすることを 約 する 証 書 をいい 記 名 式 であるかどうか 又 はその 証 書 の 作 成 者 と 給 付 義 務 者 とが 同 一 であるかどう かを 問 わない そして いわゆるプリペイドカードは 物 品 切 手 等 に 該 当 する 2 ポイント 及 び 類 似 取 引 に 係 る 質 疑 応 答 ポイント 及 び 類 似 取 引 に 係 る 質 疑 応 答 を 概 観 すると 以 下 のとおりとなる (36) (1)ポイントカード 点 数 による 値 引 販 売 当 社 は 100 円 の 買 上 額 につき 1 点 の 点 数 を 付 す 磁 気 カードを 会 員 顧 客 (36) 上 杉 秀 文 消 費 税 の 課 否 判 定 と 仕 訳 処 理 43 頁 ( 税 務 研 究 会 2006)

44 に 交 付 しており 次 回 以 降 1 年 間 有 効 の 条 件 でその 残 高 1 点 につき 1 円 の 値 引 きに 利 用 できることとしている 今 回 1,000 点 の 残 高 を 有 する 会 員 に 10 万 円 ( 税 込 )の 商 品 を 販 売 し 1,000 円 を 差 し 引 いた 金 額 を 現 金 で 受 け 取 った ( 借 方 ) 現 金 99,000 ( 貸 方 ) 売 上 ( 課 ) 94,286 仮 受 消 費 税 等 4,714 コメント ポイントカードを 金 券 とみる 場 合 には 10 万 円 の 商 品 の 販 売 に 対 し 現 金 と 金 券 で 支 払 いを 受 けたものとして 10 万 円 ( 税 込 )の 売 上 に 単 なる 値 引 整 理 券 とみる 場 合 には 10 万 円 の 商 品 販 売 と 1,000 円 の 値 引 となり そ の 区 分 はポイントカードが 物 品 切 手 等 に 該 当 するかどうかで 決 まります 事 例 の 場 合 には 本 人 のみ 使 用 できるもので 物 品 切 手 等 にあたりません から 後 者 のカードとなります 値 引 を 伴 う 場 合 に 差 引 額 を 継 続 して 売 上 に 計 上 しているときにはその 処 理 も 認 められます( 消 基 通 10-1-15)ので 上 記 のような 仕 訳 を 行 な います (2)スタンプカードによる 商 品 の 引 渡 し (37) 当 社 は パン ケーキ 等 の 製 造 販 売 を 行 なっているが お 買 上 げ 額 200 円 ごとにスタンプを 押 し 20 回 のスタンプ 印 で 400 円 相 当 の 当 店 の 商 品 と 引 き 替 えることができることとしている 経 理 上 金 券 による 売 上 分 は 販 売 促 進 費 / スタンプ 売 上 として 区 分 しているが 本 日 現 金 による 通 常 売 上 額 105,000 円 スタンプ 売 上 分 2,000 円 があった (37) 上 杉 前 掲 注 (36)44 頁

45 ( 借 方 ) 現 金 105,000 ( 貸 方 ) 売 上 ( 課 ) 100,000 販 売 促 進 費 ( 不 ) 2,000 仮 受 消 費 税 等 5,000 スタンプ 売 上 ( 不 ) 2,000 コメント 事 業 者 がスタンプ 等 を 自 ら 作 成 し 自 己 の 他 の 商 品 又 は 役 務 の 提 供 を 行 なう 際 にその 対 価 の 額 に 応 じて 顧 客 にスタンプ 等 を 無 償 で 交 付 する 行 為 及 びそのスタンプ 等 を 所 定 の 枚 数 取 りまとめて 呈 示 を 受 けた 場 合 に 自 ら 一 定 の 商 品 を 引 渡 し 又 は 一 定 の 役 務 の 提 供 を 行 なう いわゆる 自 社 専 用 のスタンプ 取 引 に 係 る 行 為 は いずれも 無 償 の 取 引 として 資 産 の 譲 渡 等 には 該 当 しない 取 扱 いになります( 庁 消 質 資 産 の 譲 渡 等 の 範 囲 19) なお 販 売 促 進 費 / スタンプ 売 上 を 計 上 することにより 売 上 に 該 当 するのではないかとの 疑 念 も 生 じます 実 態 が 資 産 の 譲 渡 等 に 該 当 しないものであれば 経 理 上 そのような 仕 訳 を 行 なうこととしても 消 費 税 の 課 税 に 影 響 しないものと 考 えます ( 注 )スタンプカードの 呈 示 により 商 品 の 販 売 代 金 の 一 定 額 の 値 引 きを 行 なう 方 式 の 場 合 には 実 際 に 収 受 する 金 額 による 商 品 の 販 売 と して 消 費 税 が 課 税 されます (38) (3)ポイント 点 数 に 応 じて 交 付 する 景 品 当 社 では 販 売 促 進 の 一 環 として ポイントカードにより 管 理 している 顧 客 の 購 入 額 に 応 じ 当 社 が 用 意 した 景 品 の 中 から 顧 客 が 選 択 したものを 給 付 することとしている 本 日 景 品 420,000 円 ( 税 込 )を 補 充 するとともに 顧 客 に 30,000 円 分 の 景 品 を 給 付 した (38) 上 杉 前 掲 注 (36)212 頁

46 ( 借 方 ) 販 売 促 進 費 ( 課 ) 400,000 ( 貸 方 ) 未 払 金 420,000 仮 払 消 費 税 等 20,000 コメント 顧 客 の 購 入 額 に 応 じて 景 品 を 給 付 しても 対 価 の 額 を 返 還 し 又 は 売 掛 金 を 減 額 するものではありませんから 売 上 対 価 の 返 還 等 に 該 当 しま せん 景 品 の 取 得 は 課 税 仕 入 れに 該 当 しますから 仮 払 消 費 税 等 を 計 上 し 残 額 を 販 売 促 進 費 等 の 科 目 に 経 理 します この 景 品 の 期 末 在 庫 高 は 貯 蔵 品 に 振 替 えることで 期 中 の 給 付 額 を 確 定 させることとなり 個 々の 景 品 の 引 渡 しについては 特 に 仕 訳 を 行 ない ません (39) (4) 買 上 げ 額 に 応 じて 交 付 する 商 品 券 当 社 では ポイントカードにより 管 理 している 顧 客 の 購 入 額 100,000 円 に 達 したごとに 商 店 街 共 通 の 商 品 券 1,000 円 券 1 枚 を 交 付 し その 商 品 券 は 商 店 街 の 各 店 で 利 用 できる 今 回 100,000 円 の 商 品 を 購 入 した 顧 客 に 対 し 1,000 円 の 商 品 券 を 交 付 したところ 後 日 5,250 円 で 販 売 した 商 品 の 代 金 の 支 払 いに 際 しその 商 品 券 と 差 額 4,250 円 の 現 金 による 支 払 いを 受 けた ( 商 品 券 の 購 入 時 ) ( 借 方 ) 販 売 促 進 費 ( 非 不 ) ( 貸 方 ) 現 金 預 金 ( 当 初 の 売 上 ) ( 借 方 ) 現 金 100,000 ( 貸 方 ) 売 上 ( 課 ) 95,238 仮 受 消 費 税 等 4,762 ( 商 品 券 の 呈 示 による 売 上 ) ( 借 方 ) 現 金 4,250 ( 貸 方 ) 売 上 ( 課 ) 5,000 (39) 上 杉 前 掲 注 (36)213 頁

47 商 品 券 ( 不 ) 1,000 仮 受 消 費 税 等 250 コメント 商 店 街 共 通 の 商 品 券 は 販 売 即 品 用 の 景 品 として 取 得 するものであり 販 売 促 進 費 等 に 計 上 しますが 物 品 切 手 等 の 購 入 ですから 非 課 税 ( 又 は 不 課 税 )の 仕 入 れとなり 仮 払 消 費 税 等 の 計 上 はできません 顧 客 の 購 入 高 等 に 応 じて 商 品 券 等 を 交 付 することは 一 種 の 金 券 を 交 付 するものですが 景 品 として 給 付 し 対 価 の 額 を 返 還 するものではありま せんから 売 上 対 価 の 返 還 等 には 該 当 しないと 考 えられます( 消 法 38 1) したがって 当 初 の 売 上 は 通 常 の 売 上 とし 商 品 券 の 交 付 は 無 償 によ る 給 付 ( 不 課 税 )に 該 当 する 仕 訳 を 行 ないます 次 に 商 品 券 等 の 呈 示 に 係 る 売 上 については 商 品 券 等 の 券 面 金 額 に よる 売 上 となります( 消 基 通 10-1-9)から 商 品 券 等 の 券 面 金 額 と 差 額 現 金 との 合 計 額 による 売 上 とし その 合 計 額 に 対 する 仮 受 消 費 税 等 を 計 上 します (40) (5) 買 上 げ 額 に 応 じて 交 付 する 自 社 商 品 券 当 社 では 顧 客 の 購 入 金 額 10,000 円 ごとに 500 円 の 自 社 商 品 券 を 交 付 し 当 社 での 商 品 の 引 換 に 利 用 できることとしている 本 日 50,000 円 の 商 品 を 購 入 した 顧 客 から 以 前 に 交 付 した 自 社 商 品 券 10,000 円 と 差 額 として 現 金 40,000 円 の 支 払 いを 受 けた ( 借 方 ) 現 金 40,000 ( 貸 方 ) 売 上 ( 課 ) 47,620 売 上 値 引 等 ( 課 ) 9,524 仮 受 消 費 税 等 2,380 売 上 返 還 消 費 税 等 ( 課 ) 476 コメント 自 社 の 店 舗 でのみ 使 用 できる 商 品 券 を 売 上 額 に 応 じて 無 償 で 交 付 し (40) 上 杉 前 掲 注 (36)214 頁

48 自 社 の 商 品 と 引 換 給 付 を 行 なう 場 合 には その 商 品 券 を 無 償 で 交 付 する 行 為 及 びその 商 品 券 の 提 示 により 一 定 の 商 品 を 引 き 渡 す 行 為 は いずれ も 無 償 の 取 引 として 資 産 の 譲 渡 等 に 該 当 しない 取 扱 いを 受 けます( 庁 消 質 資 産 の 譲 渡 の 範 囲 20) この 場 合 引 換 える 商 品 が 提 示 を 受 ける 商 品 券 の 金 額 より 多 いときはその 差 額 を 現 金 で 受 け 取 ることとなり 結 果 としてその 差 額 現 金 による 商 品 の 売 上 ということになります(そのよう な 処 理 でも 差 し 支 えない )が 通 常 価 額 での 売 上 と 提 示 を 受 ける 商 品 券 の 金 額 分 の 売 上 値 引 という 処 理 を 行 なうこともできます (41) (6) 系 列 店 でのポイントカードの 利 用 当 社 の 会 員 顧 客 に 交 付 している 磁 気 カードに 表 示 しているポイントにつ いては 当 社 の 系 列 店 での 買 物 の 値 引 きにも 利 用 できることとし 系 列 店 での 利 用 については 当 社 がその 利 用 額 を 系 列 店 に 支 払 うこととしている 本 日 系 列 店 から 10,000 円 の 商 品 のお 買 上 げに 対 して 2,000 円 のポイン トの 利 用 があった 旨 の 連 絡 と 代 金 の 請 求 があった ( 当 社 の 仕 訳 ) ( 借 方 ) 販 売 促 進 費 ( 課 ) 1,905 ( 貸 方 ) 未 払 金 2,000 仮 払 消 費 税 等 95 ( 系 列 店 の 仕 訳 ) ( 借 方 ) 現 金 8,000 ( 貸 方 ) 売 上 ( 課 ) 9,524 未 収 入 金 等 ( 不 ) 2,000 仮 受 消 費 税 等 476 コメント ポイント 点 数 を 代 金 に 充 当 することは 通 常 はその 充 当 時 の 売 上 の 対 価 の 返 還 等 に 該 当 しますが 系 列 店 で 利 用 する 場 合 には 自 店 での 対 価 の 返 還 等 に 対 応 する 売 上 は 存 在 せず 売 上 対 価 の 返 還 等 には 該 当 しないと 考 えられます (41) 上 杉 前 掲 注 (36)215 頁