専任教員 各位



Similar documents
<6D313588EF8FE991E58A778D9191E5834B C8EAE DC58F4992F18F6F816A F990B32E786C73>

(2)大学・学部・研究科等の理念・目的が、大学構成員(教職員および学生)に周知され、社会に公表されているか

平成25年度 独立行政法人日本学生支援機構の役職員の報酬・給与等について

学校安全の推進に関する計画の取組事例

Ⅰ 調 査 の 概 要 1 目 的 義 務 教 育 の 機 会 均 等 その 水 準 の 維 持 向 上 の 観 点 から 的 な 児 童 生 徒 の 学 力 や 学 習 状 況 を 把 握 分 析 し 教 育 施 策 の 成 果 課 題 を 検 証 し その 改 善 を 図 るもに 学 校 におけ

参 考 様 式 再 就 者 から 依 頼 等 を 受 けた 場 合 の 届 出 公 平 委 員 会 委 員 長 様 年 月 日 地 方 公 務 員 法 ( 昭 和 25 年 法 律 第 261 号 ) 第 38 条 の2 第 7 項 規 定 に 基 づき 下 記 のとおり 届 出 を します この

平成16年年金制度改正 ~年金の昔・今・未来を考える~

Microsoft PowerPoint - 報告書(概要).ppt

学校法人日本医科大学利益相反マネジメント規程

0605調査用紙(公民)

学校教育法等の一部を改正する法律の施行に伴う文部科学省関係省令の整備に関する省令等について(通知)

16 日本学生支援機構

18 国立高等専門学校機構

2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 役 名 法 人 の 長 理 事 理 事 ( 非 常 勤 ) 平 成 25 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 16,936 10,654 4,36

(2) 広 島 国 際 学 院 大 学 ( 以 下 大 学 という ) (3) 広 島 国 際 学 院 大 学 自 動 車 短 期 大 学 部 ( 以 下 短 大 という ) (4) 広 島 国 際 学 院 高 等 学 校 ( 以 下 高 校 という ) ( 学 納 金 の 種 類 ) 第 3 条

●幼児教育振興法案

<6D33335F976C8EAE CF6955C A2E786C73>

<4D F736F F D C482C682EA817A89BA90BF8E7793B1834B A4F8D91906C8DDE8A A>

(Microsoft Word - \221\346\202P\202U\201@\214i\212\317.doc)

<819A955D89BF92B28F BC690ED97AA8EBA81418FA48BC682CC8A8890AB89BB816A32322E786C7378>

預 金 を 確 保 しつつ 資 金 調 達 手 段 も 確 保 する 収 益 性 を 示 す 指 標 として 営 業 利 益 率 を 採 用 し 営 業 利 益 率 の 目 安 となる 数 値 を 公 表 する 株 主 の 皆 様 への 還 元 については 持 続 的 な 成 長 による 配 当 可

Microsoft Word - 目次.doc

< F2D819A8B638E968E9197BF82528E968BC68C7689E68F C>

する ( 評 定 の 時 期 ) 第 条 成 績 評 定 の 時 期 は 第 3 次 評 定 者 にあっては 完 成 検 査 及 び 部 分 引 渡 しに 伴 う 検 査 の 時 とし 第 次 評 定 者 及 び 第 次 評 定 者 にあっては 工 事 の 完 成 の 時 とする ( 成 績 評 定

接 支 払 制 度 を 活 用 するか 意 思 を 確 認 する 確 認 に 当 たっては 次 の 各 号 に 掲 げる 事 項 について 書 面 により 世 帯 主 の 合 意 を 得 て 代 理 契 約 を 締 結 するものとする (1) 医 療 機 関 等 が 本 市 に 対 し 世 帯 主

公表表紙

Microsoft PowerPoint - 経営事項審査.ppt

為 が 行 われるおそれがある 場 合 に 都 道 府 県 公 安 委 員 会 がその 指 定 暴 力 団 等 を 特 定 抗 争 指 定 暴 力 団 等 として 指 定 し その 所 属 する 指 定 暴 力 団 員 が 警 戒 区 域 内 において 暴 力 団 の 事 務 所 を 新 たに 設

2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 平 成 27 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 役 名 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 2,142 ( 地 域 手 当 ) 17,205 11,580 3,311 4 月 1

<4D F736F F D208ED089EF95DB8CAF89C193FC8FF38BB CC8EC091D492B28DB88C8B89CA82C982C282A282C42E646F63>

(Microsoft Word - \220\340\226\276\217\221.doc)

社会保険加入促進計画に盛込むべき内容

Microsoft Word - 諮問第82号答申(決裁後)

別 紙 第 号 高 知 県 立 学 校 授 業 料 等 徴 収 条 例 の 一 部 を 改 正 する 条 例 議 案 高 知 県 立 学 校 授 業 料 等 徴 収 条 例 の 一 部 を 改 正 する 条 例 を 次 のように 定 める 平 成 26 年 2 月 日 提 出 高 知 県 知 事 尾

(6) 事 務 局 職 場 積 立 NISAの 運 営 に 係 る 以 下 の 事 務 等 を 担 当 する 事 業 主 等 の 組 織 ( 当 該 事 務 を 代 行 する 組 織 を 含 む )をいう イ 利 用 者 からの 諸 届 出 受 付 事 務 ロ 利 用 者 への 諸 連 絡 事 務

Microsoft Word - 奨学金相談Q&A.rtf

●電力自由化推進法案

平 成 27 年 11 月 ~ 平 成 28 年 4 月 に 公 開 の 対 象 となった 専 門 協 議 等 における 各 専 門 委 員 等 の 寄 附 金 契 約 金 等 の 受 取 状 況 審 査 ( 別 紙 ) 専 門 協 議 等 の 件 数 専 門 委 員 数 500 万 円 超 の 受

は 固 定 流 動 及 び 繰 延 に 区 分 することとし 減 価 償 却 を 行 うべき 固 定 の 取 得 又 は 改 良 に 充 てるための 補 助 金 等 の 交 付 を 受 けた 場 合 にお いては その 交 付 を 受 けた 金 額 に 相 当 する 額 を 長 期 前 受 金 とし

<4D F736F F D AC90D1955D92E CC82CC895E DD8C D2816A2E646F63>

(5 ) 当 該 指 定 居 宅 介 護 事 業 所 の 新 規 に 採 用 し た 全 て の 居 宅 介 護 従 業 者 に 対 し 熟 練 し た 居 宅 介 護 従 業 者 の 同 行 に よ る 研 修 を 実 施 し て い る こ と (6 ) 当 該 指 定 居 宅 介 護 事 業

m07 北見工業大学 様式①

(3) 調 査 の 進 め 方 2 月 28 日 2 月 28 日 ~6 月 30 日 平 成 25 年 9 月 サウンディング 型 市 場 調 査 について 公 表 松 戸 市 から 基 本 的 な 土 地 情 報 サウンディングの 実 施 活 用 意 向 アイデアのある 民 間 事 業 者 と

< F2D CA795F18CB48D E B835E816A20>

国立研究開発法人土木研究所の役職員の報酬・給与等について

一般競争入札について

公 的 年 金 制 度 について 制 度 の 持 続 可 能 性 を 高 め 将 来 の 世 代 の 給 付 水 準 の 確 保 等 を 図 るため 持 続 可 能 な 社 会 保 障 制 度 の 確 立 を 図 るための 改 革 の 推 進 に 関 する 法 律 に 基 づく 社 会 経 済 情

スライド 1

私立大学等研究設備整備費等補助金(私立大学等

財団法人○○会における最初の評議員の選任方法(案)

セルフメディケーション推進のための一般用医薬品等に関する所得控除制度の創設(個別要望事項:HP掲載用)

(5) 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しの 実 施 状 況 について 概 要 の 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しにおいては 俸 給 表 の 水 準 の 平 均 2の 引 き 下 げ 及 び 地 域 手 当 の 支 給 割 合 の 見 直 し 等 に 取 り 組 むとされている

頸 がん 予 防 措 置 の 実 施 の 推 進 のために 講 ずる 具 体 的 な 施 策 等 について 定 めることにより 子 宮 頸 がんの 確 実 な 予 防 を 図 ることを 目 的 とする ( 定 義 ) 第 二 条 この 法 律 において 子 宮 頸 がん 予 防 措 置 とは 子 宮

Taro-07-1提言概要.jtd


定款

養 老 保 険 の 減 額 払 済 保 険 への 変 更 1. 設 例 会 社 が 役 員 を 被 保 険 者 とし 死 亡 保 険 金 及 び 満 期 保 険 金 のいずれも 会 社 を 受 取 人 とする 養 老 保 険 に 加 入 してい る 場 合 を 解 説 します 資 金 繰 りの 都

根 本 確 根 本 確 民 主 率 運 民 主 率 運 確 施 保 障 確 施 保 障 自 治 本 旨 現 資 自 治 本 旨 現 資 挙 管 挙 管 代 表 監 査 教 育 代 表 監 査 教 育 警 視 総 監 道 府 県 警 察 本 部 市 町 村 警 視 総 監 道 府 県 警 察 本 部

定款  変更

Microsoft Word - 佐野市生活排水処理構想(案).doc

独立行政法人国立病院機構呉医療センター医療機器安全管理規程

平成17年度高知県県産材利用推進事業費補助金交付要綱

<4D F736F F D2091E F18CB48D C481698E7B90DD8F9590AC89DB816A2E646F63>

2 県 公 立 高 校 の 合 格 者 は このように 決 まる (1) 選 抜 の 仕 組 み 選 抜 の 資 料 選 抜 の 資 料 は 主 に 下 記 の3つがあり 全 高 校 で 使 用 する 共 通 の ものと 高 校 ごとに 決 めるものとがあります 1 学 力 検 査 ( 国 語 数

横浜市障害者ガイドヘルプ事業実施要綱

教 科 No. 3N03 授 業 科 目 保 存 修 復 研 究 3 一 つの 主 題 を 丹 念 に 追 求 する 自 主 学 習 能 力 を 形 成 することを 目 標 とする 習 得 した 知 識 の 確 認 と 応 用 力 をたかめ, 専 門 演 習 を 深 める 2. 研 究 計 画 書

<4D F736F F D E598BC68A8897CD82CC8DC490B68B7982D18E598BC68A8893AE82CC8A C98AD682B782E993C195CA915B C98AEE82C382AD936F985E96C68B9690C582CC93C197E1915B927582CC898492B75F8E96914F955D89BF8F915F2E646F6

推 進 項 目 15 人 材 育 成 の 強 化 重 要 A 番 号 取 組 事 業 名 151 職 員 の 専 門 性 向 上 作 成 日 H 更 新 日 H 担 当 部 署 32 総 務 部 人 事 課 責 任 者 吉 田 克 夫 担 当 者 人 事 人 材 育 成 担

島根大学における学生等の授業料その他の費用に関する規則

* 解 雇 の 合 理 性 相 当 性 は 整 理 解 雇 の 場 合 には 1 整 理 解 雇 の 必 要 性 2 人 員 選 択 の 相 当 性 3 解 雇 回 避 努 力 義 務 の 履 行 4 手 続 きの 相 当 性 の 四 要 件 ( 要 素 )で 判 断 され る 部 門 閉 鎖 型

製 品 設 計 のための3 次 元 検 証 技 術 (ソリッド 編 ) ~ 製 品 設 計 の 考 え 方 に 基 づいた3 次 元 CADの 使 い 方 をマスターしよう!~ 受 講 料 11,500 円 /28,29.30 ( 金 土 日 ) 筆 記 製 品 設 計 業 務 において

Microsoft Word - ★HP版平成27年度検査の結果

Microsoft Word - 通達(参考).doc

<4D F736F F D D3188C091538AC7979D8B4B92F F292B98CF092CA81698A94816A2E646F63>

二 資本金の管理

目 標 を 達 成 するための 指 標 第 4 章 計 画 における 環 境 施 策 世 界 遺 産 への 登 録 早 期 登 録 の 実 現 史 跡 の 公 有 地 化 平 成 27 年 度 (2015 年 度 )までに 235,022.30m 2 施 策 の 体 系 1 歴 史 的 遺 産 とこ

本 校 の 沿 革 昭 和 21 年 昭 和 49 年 昭 和 54 年 昭 和 60 年 平 成 9 年 平 成 11 年 平 成 18 年 北 海 道 庁 立 農 業 講 習 所 として 発 足 北 海 道 立 農 業 大 学 校 に 改 組 修 業 年 限 を1 年 制 から2 年 制 に 改

Microsoft Word - 全国エリアマネジメントネットワーク規約.docx

職 員 の 平 均 給 与 月 額 初 任 給 等 の 状 況 (1) 職 員 の 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 及 び 平 均 給 与 月 額 の 状 況 ( 平 成 年 月 1 日 現 在 ) 1 一 般 行 政 職 福 岡 県 技 能 労 務 職 歳 1,19,98 9,9 歳 8,

PowerPoint プレゼンテーション

( 教 育 職 員 免 許 状 の 取 得 ) 第 9 条 教 育 職 員 免 許 状 ( 幼 稚 園 教 諭 二 種 免 許 状 )を 取 得 しようとする 者 は 教 育 職 員 免 許 法 に 基 づき 別 表 2に 掲 げる を 修 得 しなければならない 2 教 育 職 員 免 許 状 の

大学と学生第545号ビジネスモデルからみた卒業生就職支援の課題_関西学院大学(澤谷 敏行)-JASSO

Microsoft Word - 公表用答申422号.doc

6 構 造 等 コンクリートブロック 造 平 屋 建 て4 戸 長 屋 16 棟 64 戸 建 築 年 1 戸 当 床 面 積 棟 数 住 戸 改 善 後 床 面 積 昭 和 42 年 36.00m m2 昭 和 43 年 36.50m m2 昭 和 44 年 36.

職務発明等の申請に関する手続要領について(通達)

<4D F736F F D208E52979C8CA78E598BC68F5790CF91A390698F9590AC8BE08CF D6A2E646F6378>

財政再計算結果_色変更.indd

<6E32355F8D918DDB8BA697CD8BE28D C8EAE312E786C73>

文化政策情報システムの運用等

その 他 事 業 推 進 体 制 平 成 20 年 3 月 26 日 に 石 垣 島 国 営 土 地 改 良 事 業 推 進 協 議 会 を 設 立 し 事 業 を 推 進 ( 構 成 : 石 垣 市 石 垣 市 議 会 石 垣 島 土 地 改 良 区 石 垣 市 農 業 委 員 会 沖 縄 県 農

代 議 員 会 決 議 内 容 についてお 知 らせします さる3 月 4 日 当 基 金 の 代 議 員 会 を 開 催 し 次 の 議 案 が 審 議 され 可 決 承 認 されました 第 1 号 議 案 : 財 政 再 計 算 について ( 概 要 ) 確 定 給 付 企 業 年 金 法 第

( 別 紙 ) 以 下 法 とあるのは 改 正 法 第 5 条 の 規 定 による 改 正 後 の 健 康 保 険 法 を 指 す ( 施 行 期 日 は 平 成 28 年 4 月 1 日 ) 1. 標 準 報 酬 月 額 の 等 級 区 分 の 追 加 について 問 1 法 改 正 により 追 加


入 札 参 加 者 は 入 札 の 執 行 完 了 に 至 るまではいつでも 入 札 を 辞 退 することができ これを 理 由 として 以 降 の 指 名 等 において 不 利 益 な 取 扱 いを 受 けることはない 12 入 札 保 証 金 免 除 13 契 約 保 証 金 免 除 14 入

Ⅰ 元 請 負 人 を 社 会 保 険 等 加 入 建 設 業 者 に 限 定 平 成 28 年 10 月 1 日 以 降 に 入 札 公 告 指 名 通 知 随 意 契 約 のための 見 積 依 頼 を 行 う 工 事 から 以 下 に 定 める 届 出 の 義 務 ( 以 下 届 出 義 務 と

03 平成28年度文部科学省税制改正要望事項

検 討 検 討 の 進 め 方 検 討 状 況 簡 易 収 支 の 世 帯 からサンプリング 世 帯 名 作 成 事 務 の 廃 止 4 5 必 要 な 世 帯 数 の 確 保 が 可 能 か 簡 易 収 支 を 実 施 している 民 間 事 業 者 との 連 絡 等 に 伴 う 事 務 の 複 雑

4 調 査 の 対 話 内 容 (1) 調 査 対 象 財 産 の 土 地 建 物 等 を 活 用 して 展 開 できる 事 業 のアイディアをお 聞 かせく ださい 事 業 アイディアには, 次 の 可 能 性 も 含 めて 提 案 をお 願 いします ア 地 域 の 活 性 化 と 様 々な 世

<81696D373188A E58A77816A E93788D9191E5834B C8EAE82502E786C73>


Transcription:

教 育 実 践 における 言 語 活 動 主 体 のあり 方 再 検 討 日 本 語 教 育 と 日 本 研 究 を 結 ぶために Reconsider the concept of the executor under language activities by the education practice - To relate Japanese-language education and Japanese studies 細 川 英 雄 ( 早 稲 田 大 学 大 学 院 日 本 語 教 育 研 究 科 ) キーワード:コミュニケーション 能 力 育 成 ; 研 究 と 教 育 ;テーマの 発 見 ;ことばの 市 民 はじめに 日 本 語 教 育 の 世 界 では これまで 多 くの 日 本 語 学 習 者 は 日 本 語 を 学 びその 運 用 を 習 得 することで それが 直 接 的 に 何 かの 役 に 立 つことだと 信 じて 学 習 してきた そし て 日 本 語 教 師 もまた その 学 習 者 の 願 いをニーズとして 受 け 止 め 効 果 的 効 率 的 な 学 習 / 教 育 をめざしてさまざまな 教 室 活 動 を 行 ってきた しかし そのことで 学 習 者 は 自 分 を 取 り 囲 むさまざまな 問 題 についてどのように 考 えることができたのだろうか あるいは これから 日 本 語 を 学 ぶ 人 たちはそのような 学 習 環 境 の 中 で どのように 個 人 と 社 会 の 関 係 について 関 わることができるのだろう か とくに 海 外 での 日 本 語 教 育 について 考 えると 日 本 語 教 育 と 日 本 研 究 の 関 係 は 等 閑 視 できない 重 要 な 課 題 である ここでは 専 門 分 野 としての 日 本 研 究 と 日 本 語 教 育 の 関 係 の 現 状 からはじめ それ ぞれの 分 野 領 域 における 問 題 点 を 指 摘 するとともに 歴 史 的 社 会 的 状 況 を 含 めた 日 本 語 教 育 と 日 本 研 究 の 関 係 を 考 えることによって 両 者 が 陥 っている 闇 と これか ら 切 り 拓 くべき 日 本 語 教 育 学 の 専 門 性 とその 未 来 について 論 ずる 日 本 語 教 育 と 日 本 研 究 の 現 状 -その 分 断 化 の 意 味 するもの 日 本 語 教 育 と 日 本 研 究 の 関 係 は 19 世 紀 半 ばから 存 在 するが(1) その 連 携 について 双 方 において 話 題 となってくるのは 1970 年 代 後 半 から 80 年 代 にかけてであろう この 時 期 には 日 本 経 済 の 発 展 と 日 本 企 業 の 海 外 進 出 により 日 本 語 学 習 への 動 機 が 高 まるとともに 日 本 語 学 習 の 目 的 が 大 衆 化 し むしろ 日 本 語 学 習 者 の 大 半 は 実 用 的 な 日 本 語 習 得 に 走 り 日 本 研 究 の 専 門 家 をめざすものは その 中 の 一 握 りという 状 況 に なっていく(2) このことがまず 教 師 と 学 習 者 の 乖 離 を 生 む いわば 日 本 語 学 習 者 の 飛 躍 的 な 増 加 を 支 える 学 習 ニーズは 疑 いもなく 実 用 的 な 日 本 語 習 得 であったにもかかわらず 教 員 側 の 人 的 構 成 や 制 度 は これに 追 いつくことができず 日 本 研 究 者 がそうした 実 用 的 日 本 語 の 教 育 に 携 わらざるを 得 ない 現 象 が 生 まれた この 現 象 は 次 の 風 潮 を 引 き 起 こす それは 日 本 研 究 者 にとって 実 用 日 本 語 の 教 育 は 自 らの 関 心 の 枠 外 にあるため できるだけ 関 わりたくない 関 わらないように 1

しようという 風 潮 である その 根 底 には 日 本 語 を 教 えるという 行 為 は いわば 余 技 だという 認 識 が 日 本 研 究 者 の 側 にあったのかもしれない こうしたことが 複 合 して 制 度 としては 日 本 語 母 語 話 者 を 日 本 語 教 育 スタッフと して 短 期 契 約 で 雇 用 するという 事 態 が 世 界 的 に 始 まる 国 際 交 流 基 金 の 日 本 語 教 育 専 門 家 派 遣 制 度 は この 風 潮 を 限 りなく 支 援 した さらに 1980 年 前 後 から 世 界 的 な 言 語 教 育 の 流 れとしてコミュニカティブな 教 室 活 動 がコミュニケーション 能 力 育 成 と いう 目 的 が 顕 在 化 し その 意 味 で 日 本 語 教 育 が 技 術 的 に 発 達 したため 訳 読 法 に 慣 れ た 日 本 研 究 者 にとっては コミュニケーション 能 力 育 成 として 日 本 語 を 教 えることは 荷 の 重 い 仕 事 になり 日 本 研 究 者 が 日 本 語 教 育 現 場 から 遠 ざかる 傾 向 に 拍 車 をかけた 一 方 日 本 語 教 育 側 では 自 分 たちを お 手 伝 い と 位 置 づけるような 言 説 も 珍 し くない たとえば 専 門 日 本 語 教 育 ビジネス 日 本 語 の 発 想 は それぞれの 分 野 への 準 備 として 行 われていると 思 われる( 細 川 2007) 最 近 の 医 療 分 野 における 看 護 介 護 の 日 本 語 にもほぼ 同 様 の 現 象 が 見 られる この お 手 伝 い の 発 想 が 日 本 語 教 育 のバターナリズム( 差 別 的 温 情 主 義 )と 深 い 関 係 があることは 別 に 述 べたが( 細 川 2011) 問 題 は 日 本 語 教 育 それ 自 体 が その 準 備 主 義 を 生 む 土 壌 を 自 らすすんで 形 成 していることでもある 以 上 日 本 語 教 育 と 日 本 研 究 の 分 断 化 は 双 方 の 分 野 で 顕 著 に 見 られるが このこ とは 教 育 と 研 究 の 分 業 化 へという 流 れとも 連 動 していると 考 えることができる こ のような 観 点 から もう 一 度 両 者 の 日 本 語 をめぐる 研 究 教 育 観 を 見 直 す 必 要 があ る 両 者 を 分 断 せず いかに 連 続 したものとして 捉 え 直 す 視 点 を 回 復 しなければなら ないからである(3) 日 本 語 教 育 の 有 する 問 題 性 -コミュニケーション 能 力 育 成 という 技 術 主 義 ここで 日 本 語 教 育 の 有 する 問 題 性 に 着 目 するならば これは コミュニケーショ ン 能 力 育 成 という 技 術 主 義 の 立 場 への 批 判 として 現 れるだろう 個 人 の 日 本 語 能 力 だけに 着 目 して これを 訓 練 するという これまでの 日 本 語 教 育 側 の 専 門 性 の 発 想 を 見 直 すことがまず 必 要 となる つまり コミュニケーシヨン 及 びその 能 力 とは 何 か という 議 論 が 必 要 なのである 考 えてみれば コミュニケー ションとは 広 く 自 己 と 他 者 の 人 間 関 係 を 構 築 する 行 為 であると 言 えるし さらにそ のことによって 共 通 のコミュニティを 形 成 していく 行 為 でもある( 細 川 2007) こ のことは それぞれの 価 値 観 の 交 流 やそれに 伴 う 自 己 の 内 省 が 重 要 な 要 素 となるだろ うし それはコミュニティ 当 事 者 自 身 のアイデンティティの 問 題 とも 深 く 関 与 してい ることを 認 識 しなければなるまい この 問 題 は 日 本 語 教 育 の 専 門 性 とは 何 かという 議 論 と 連 動 する 日 本 語 教 育 では 前 述 のように 70 年 代 後 半 から 80 年 代 にかけて コミュニカテ ィプ アプローチの 影 響 のもと コミュニケーション 能 力 育 成 が 謳 われてきた しかし 教 育 の 現 場 では コミュニケーション 能 力 とは 何 かという 本 格 的 な 議 論 もな いまま 例 えば 実 社 会 に 役 立 つコミュニケーションを 育 てるという 観 点 から 教 育 すべき 言 語 知 識 ( 語 彙 文 型 )を 定 め 現 実 場 面 に 合 わせたタスクを 想 定 した そし 2

て これを 展 開 することで 効 果 的 な 日 本 語 教 育 の 実 現 をめざすという 教 室 実 践 が 一 般 的 になってきた いわゆる 文 法 語 彙 発 音 漢 字 といった 項 目 に 限 定 された 運 用 知 識 を 高 めることがすなわち 日 本 語 能 力 を 上 げることであり それがそのままコミュ ニケーション 能 力 育 成 につながるとされてきた この 日 本 語 教 育 の 技 術 意 識 は 一 方 で 言 語 活 動 の 内 容 に 立 ち 入 ることを 拒 否 するとともに その 技 術 を 高 めるところに 徹 底 し それを 専 門 性 とするというような 傾 向 によって 自 らのアイデンティティを 保 つという いわば 表 裏 二 面 の 現 象 が 起 こった 前 述 の お 手 伝 い の 発 想 は こう した 二 面 性 による 矛 盾 の 現 れだと 解 釈 することができる 日 本 語 教 育 のための 研 究 すなわち 日 本 語 教 育 学 とは あらかじめ 定 められた 環 境 の 中 で 指 定 された 教 材 を 手 際 よく 効 率 的 に 言 語 を 教 えることでは 決 してなく 自 らの 教 育 実 践 の 理 念 設 計 実 施 を 根 底 から 問 い 直 し 絶 えず 思 考 試 行 しつづけることであろう( 細 川 2010) 同 時 に その 専 門 性 はと 問 うならば 固 定 的 な 知 識 や 技 能 の 実 体 をさすのでは 決 してなく こ の 動 態 的 な 問 い 直 しの 姿 勢 とプロセスそれ 自 体 をいうものであると 定 義 することにな るからである 日 本 研 究 のあり 方 と 私 の 問 題 - 研 究 と 教 育 の 関 係 一 方 日 本 研 究 では 当 該 分 野 の 必 要 な 専 門 的 知 識 を 身 に 着 けさせ 独 立 した 論 文 が 執 筆 できるような 指 導 が 行 われてきたといっていいだろう しかし 専 門 研 究 という 枠 組 みの 中 での 成 果 発 表 が 重 要 視 されてきたため その 学 生 個 人 にとってなぜそのテーマなのかという 問 いや またその 専 門 性 とは 何 かという 問 題 に 関 しては 中 心 的 な 論 点 としては 取 り 上 げられてこなかった このことは 日 本 事 情 という 教 育 分 野 で 日 本 の 社 会 文 化 に 関 する 通 り 一 遍 の 解 説 が 行 われ るのみで なぜ 日 本 事 情 なのか という 問 いを 専 門 分 野 の 研 究 者 たちが 持 ち 得 なか ったこととも 連 動 している( 細 川 2002) この 課 題 は 学 習 者 の 側 にあるのではなく むしろ 担 当 者 としての 研 究 者 側 のあり 方 にあるのだろう どのような 分 野 領 域 であろうと 研 究 者 自 身 にとって なぜ 私 はこの 研 究 をする のかという 問 題 意 識 がなければ 研 究 活 動 は 成 り 立 たない しかも その 問 題 意 識 の 確 立 にはことばの 活 動 が 不 可 欠 であること その 際 に ことばの 運 用 知 識 の 自 明 性 を 疑 うことの 意 味 すなわちことばができるとはどういうことかを 専 門 分 野 領 域 の 別 を 超 えて 考 える 必 要 がある たとえば 村 上 春 樹 の 文 学 に 興 味 関 心 をもつ 学 生 が 世 界 中 に 増 加 している この 場 合 日 本 研 究 者 はどのように 研 究 対 象 としての 村 上 春 樹 作 品 と 向 き 合 うのだろうか 私 の 知 る 限 りでは 日 本 文 学 研 究 者 の 多 くは 村 上 春 樹 の 作 品 の 解 釈 解 説 あるいは 位 置 づけに 終 始 していて 肝 心 の 学 生 ひとりひとりの 有 り 様 について 考 えてはいない つまり 対 象 としての 事 象 や 作 品 の 解 釈 を 通 して 研 究 者 と 学 生 一 人 ひとりが 教 室 あるいは 研 究 室 という 場 において 切 り 結 ぶことにどのような 意 味 があるかを 研 究 者 は 考 えなければならないのではないか そのことは 担 当 者 が 学 生 一 人 ひとりの 多 様 な 人 間 生 成 の 現 場 に 立 ちあうことではないのか このことは 日 本 語 教 育 も 同 じで 日 本 語 教 育 というのは 日 本 語 による 活 動 を 通 3

して 学 習 者 一 人 ひとりの 多 様 な 言 語 活 動 の 有 り 様 に 立 ち 会 うことであるにもかかわ らず 日 本 語 という 言 語 だけを 見 て その 構 造 や 形 式 を 教 えることだと 思 い 込 んでい る 教 師 のいかに 多 いことか 研 究 対 象 の 解 釈 解 説 あるいは 位 置 づけに 終 始 することが 研 究 で その 成 果 を 未 熟 な 学 生 学 習 者 に 与 えることが 教 育 という 図 式 は もはや 成 り 立 たない 教 育 と 研 究 はともに ことばによる 活 動 を 通 して 学 生 学 習 者 一 人 ひとりの 多 様 な 言 語 活 動 の ありように 立 ち 会 うことを 通 して 自 らのテーマを 求 めているはずなのである すな わち 教 師 も 学 生 学 習 者 も 一 個 の 言 語 活 動 主 体 (4)としてどのような 活 動 が 可 能 なの かと 問 われているのである テーマを 発 見 するということ( 細 川 2012a) では 一 人 ひとりの 言 語 活 動 主 体 としての 自 らのテーマの 発 見 はどのように 形 成 さ れるのか 自 分 の 考 えていること(テーマ)を 相 手 に 伝 え その 内 容 についてやり 取 りす る 行 為 ( 自 己 の 内 省 と 他 者 とのインターアクションの 活 性 化 ) 行 為 者 によるテーマ 主 題 動 機 の 構 築 の 重 要 性 ( 具 体 的 なテーマにもとづく 固 有 性 と 共 有 性 をめぐる 行 為 者 自 身 の 活 動 ) < 情 報 INPUT 認 識 判 断 REFLECTION 他 者 への 表 現 化 OUTPUT 他 者 からの 反 応 NOTICING 情 報 INPUT>という 活 動 循 環 を 螺 旋 状 (スパイラル)に 描 く 全 体 から 部 分 へ 部 分 から 全 体 へ(テーマ/ 動 機 > 文 脈 > 文 章 / 文 ) このように 見 てみると 言 語 関 連 項 目 そのものは 言 語 分 析 の 結 果 に 過 ぎないこと がわかる 分 解 したものを 組 み 立 てて 積 み 上 げても 本 来 の 活 動 にはならない したが って ここでは 活 動 全 体 を 動 態 的 なモデルとして 構 築 されたものを 考 慮 しなければな らない そのために 次 の 三 点 を 挙 げよう 1 言 語 活 動 によってさまざまな 思 考 と 表 現 のあり 方 を 学 ぶこと 2 他 者 の 存 在 を 受 け 止 め コミュニティの 多 様 性 と 複 雑 性 を 理 解 すること 3 複 数 コミュニティのありようの 中 で 自 己 アイデンティティを 確 認 すること そして 最 終 的 には 人 間 とは 何 か という 大 きな 問 いのできる 個 人 の 育 成 が 必 要 になる すなわち 日 本 語 の 活 動 によって 生 じる 諸 問 題 を 対 象 として 自 らのテーマ とは 何 かという 問 いに 真 正 面 から 向 き 合 い 徹 底 的 に 考 える 研 究 的 態 度 の 涵 養 がこの 活 動 の 目 的 となろう このことによって 個 人 と 社 会 を 結 び 人 間 としての 生 を 肯 定 的 に 捉 えられるようになることをめざす ここでは さまざまな 問 いを 自 分 で 立 て そのことをコミュニティ( 教 室 研 究 室 等 )のメンバーと 共 有 していくことが 求 めら れるだろう ことばの 市 民 としての 言 語 活 動 主 体 - 日 本 語 教 育 と 日 本 研 究 を 結 ぶもの この 課 題 を 個 人 としての 枠 を 超 えて 社 会 における 他 者 との 関 係 の 中 で 構 築 してい くことが 重 要 であると 私 は 考 える そしてさらに それを 他 者 との 協 働 において 社 会 そのものへ 働 き 掛 けていくこととして 考 えるとき 一 人 の 人 間 にとって 社 会 におけ 4

る 自 分 の 位 置 づけを 考 えないわけにはいかなくなる それがすなわち 個 人 と 社 会 を 結 ぶことであり このことが 社 会 の 中 での 個 人 すなわち 市 民 として 生 きるこ とになると 私 は 考 える(5) このとき あえて ことばの 市 民 ( 細 川 2012b)という 概 念 が 重 要 であると 私 は 提 案 したい ことばの 市 民 になるという 議 論 は 決 して 母 語 話 者 にのみ 向 けられる ものではなく すべての 言 語 使 用 者 つまり 人 間 としての 個 人 に 宛 てたものであるこ とを 意 味 している ことばに 即 して 厳 密 に 思 考 することによって 自 らのテーマを 発 見 し それを 人 間 探 求 へのたしかな 道 筋 として 認 識 し それを 実 現 する 社 会 を 形 成 す るに 至 るにはどうしたらいいのか このプロセスを 模 索 することこそ ことばの 市 民 たるものの 資 格 である さらに 大 きく 考 えれば そのような 人 格 を 持 った 個 人 はどのように 形 成 されるのか という 問 題 は 分 野 の 別 を 超 えた 人 間 形 成 としての 普 遍 的 な 教 育 課 題 であるといえる だろう ことばによって 自 律 的 に 考 え 他 者 との 対 話 を 通 して 社 会 を 形 成 していく 個 人 を ことばの 市 民 と 呼 ぶとするならば その 行 為 者 自 身 が 一 個 の 言 語 活 動 主 体 として( 主 体 的 に 活 動 する/させる という 意 味 ではなく) 言 語 使 用 の 問 題 の みではなく 人 と 人 のいる 環 境 としての 社 会 全 体 を 構 成 することの 意 味 を 考 えなけれ ばならないだろう 注 : (1) 1855 年 にオランダ ライデン 大 学 に 日 本 学 科 設 立 1863 年 にパリ 東 洋 語 学 校 の 日 本 語 講 座 開 設 が 制 度 としての 日 本 学 の 発 祥 とすれば 海 外 における 日 本 学 と 日 本 語 教 育 の 関 係 の 始 まりはこのあたり か 当 初 は 日 本 学 と 日 本 語 教 育 は ほぼ 一 体 化 したものとして 発 展 し 二 回 の 世 界 大 戦 を 経 て 1960 年 代 まで 続 く 当 時 は おそらく 専 門 分 野 としての 日 本 学 ( 歴 史 文 学 )と 日 本 語 習 得 は 一 つのものとし て 認 識 把 握 されていたか なぜなら 全 体 として 学 習 者 人 口 も 少 なく 日 本 語 習 得 は 明 らかに 文 献 資 料 解 読 のためのツールとして 固 定 化 した 存 在 だったからだ 歴 史 文 学 が 中 心 だった 当 初 の 日 本 学 から 社 会 学 や 経 済 学 の 分 野 も 含 めた 社 会 文 化 を 総 称 した 名 称 としての 日 本 研 究 という 呼 称 が 用 いられるようになるのは 1980 年 代 ごろからか (2) 一 方 で 日 本 研 究 は 盛 んに 行 われるという 現 象 も 見 られる たとえば 中 国 の 北 京 日 本 学 研 究 セ ンターの 開 設 (1980 年 )と 日 本 の 大 学 共 同 利 用 機 関 国 際 日 本 文 化 センター 創 設 (1987 年 )は 中 曽 根 政 権 の 折 の 留 学 生 10 万 人 計 画 (1983 年 )による 日 本 語 学 習 者 の 急 増 とも 関 連 している (3) 日 本 研 究 と 日 本 語 教 育 の 連 携 は 近 年 の 関 連 学 会 の 重 大 関 心 事 である 日 本 語 教 育 学 会 世 界 大 会 では シドニー2009 台 湾 2010 天 津 2011 において 学 会 の 主 要 テーマとして 掲 載 されている また これを 受 けてトムソン 2011 もある (4) 言 語 活 動 主 体 という 考 え 方 そのものは すでに 戦 前 の 国 語 教 育 に 見 られる ( 西 尾 実 1951) また その 継 承 として 言 語 行 動 主 体 の 形 成 ( 田 近 洵 一 1975)という 立 場 も 存 在 する そうした 議 論 も 踏 まえつ つ あえて 日 本 語 教 育 の 文 脈 において 言 語 活 動 主 体 という 用 語 使 用 を 検 討 したい (5) たとえば 2001 年 に 発 表 されたヨーロッパ 言 語 共 通 参 照 枠 (CEFR)では 民 主 的 シチズンシッ プ 教 育 education for democratic Citizenship との 関 連 から ヨーロッパにおいて 社 会 において 共 存 する 人 (a person co-existing in a society) という 個 人 のあり 方 は 複 言 語 複 文 化 主 義 の 理 念 と 個 人 の 5

ア イ デ ン テ ィ テ ィ の 概 念 と が 一 体 化 し た Citizenship と し て 捉 え ら れ て い る 言 語 教 育 に お け る citizenship に 関 しては ヨーロッパ 評 議 会 の 近 年 の 議 論 が 有 効 であろう この 状 況 については 福 島 青 史 (2011)にくわしい 福 島 によれば citizenship そのものの 定 義 は 決 して 固 定 したものではなく 歴 史 的 には 帰 属 を 中 心 とした 考 え 方 から 個 人 のアイデンティティの 方 向 へと 流 動 的 に 変 容 している ことが 指 摘 されている 引 用 文 献 ( 著 者 50 音 順 ): 田 近 洵 一 (1975) 言 語 行 動 主 体 の 形 成 国 語 教 育 への 視 座 新 光 閣 書 店 トムソン 木 下 千 尋 牧 野 成 一 (2011) 日 本 語 教 育 と 日 本 研 究 の 連 携 ココ 出 版 西 尾 実 (1951) 国 語 教 育 学 の 構 想 筑 摩 書 房 福 島 青 史 (2011) 共 に 生 きる 社 会 のための 言 語 教 育 欧 州 評 議 会 の 活 動 を 例 とし て リテラシーズ 8 2011 細 川 英 雄 (2002) 日 本 語 教 育 は 何 をめざすか- 言 語 文 化 活 動 の 理 論 と 実 践 明 石 書 店 細 川 英 雄 (2007) 日 本 語 教 育 学 のめざすもの 言 語 活 動 環 境 設 計 論 による 教 育 パラダ イム 転 換 とその 意 味 日 本 語 教 育 132 pp.79-88.< 細 川 2012b に 所 収 > 細 川 英 雄 (2010) 実 践 研 究 は 日 本 語 教 育 に 何 をもたらすか 早 稲 田 日 本 語 教 育 学 第 7 号 pp.69-81 < 細 川 2012b に 所 収 > 細 川 英 雄 (2010) 日 本 語 教 育 は 日 本 語 能 力 を 育 成 するためにあるのか 能 力 育 成 から 人 材 育 成 へ 言 語 教 育 とアイデンティティを 考 える 立 場 から 早 稲 田 日 本 語 教 育 学 9 号 pp.21-25 < 細 川 2012b に 所 収 > 細 川 英 雄 (2012a) 研 究 活 動 デザイン- 出 会 いと 対 話 は 何 を 変 えるか 東 京 図 書 細 川 英 雄 (2012b) ことばの 市 民 になる- 言 語 文 化 教 育 学 の 思 想 と 実 践 ココ 出 版 付 記 本 研 究 は 文 部 科 学 省 科 学 研 究 補 助 金 アイデンティティ 形 成 にかかわる 言 語 教 育 とその 教 師 養 成 研 修 プログラムのための 実 践 的 研 究 ( 基 盤 研 究 C 課 題 番 号 :22520540 研 究 代 表 者 : 細 川 英 雄 )の 成 果 の 一 部 である 6