全 大 教 資 料 No.12-02 2012 年 11 月 退 職 金 の 大 幅 切 り 下 げをさせないための 第 1 次 討 議 資 料 2012 年 11 月 22 日 全 国 大 学 高 専 教 職 員 組 合 中 央 執 行 委 員 会 政 府 は 8 月 7 日 国 家 公 務 員 の 退 職 手 当 を 平 均 402.6 万 円 引 き 下 げること および 独 立 行 政 法 人 や 地 方 公 務 員 に 対 しても 同 様 な 措 置 を 要 請 することを 閣 議 決 定 しました 国 家 公 務 員 の 退 職 給 付 の 給 付 水 準 の 見 直 し 等 のための 国 家 公 務 員 退 職 手 当 法 等 の 一 部 を 改 正 する 法 律 案 は 11 月 2 日 に 閣 議 決 定 の 上 国 会 に 提 出 され 衆 議 院 解 散 日 の 11 月 16 日 に 審 議 が 開 始 され 同 日 に 採 決 され 可 決 成 立 しました 国 家 公 務 員 給 与 の 臨 時 特 例 減 額 法 と 同 様 に 国 会 の 末 期 に 充 分 な 審 議 が 行 われず 極 めて 短 時 間 に 採 決 された 手 続 き 的 にも 極 めて 問 題 の 大 きいものです 国 家 公 務 員 に 対 する 退 職 手 当 の 引 き 下 げ 実 施 日 が 2013 年 1 月 1 日 であることから 年 内 に 国 立 大 学 等 法 人 が 8 月 7 日 閣 議 決 定 の 要 請 に 応 える 必 要 があるとして 組 合 に 退 職 金 の 切 り 下 げを 提 案 する 事 態 が 予 想 されます この 第 1 次 討 議 資 料 は 退 職 金 切 り 下 げの 解 説 と 団 体 交 渉 に 臨 む 論 点 を 示 しました ので 活 用 ください また 顧 問 弁 護 士 による 退 職 金 削 減 に 係 る 判 例 等 の 解 説 などを 補 強 した 第 2 次 討 議 資 料 を 発 行 する 予 定 ですので それに 向 けて 単 組 の 皆 様 のご 意 見 を お 寄 せください 1. 国 の 退 職 手 当 切 り 下 げの 内 容 (1) 1 年 と 半 年 で 退 職 手 当 を 平 均 402.6 万 円 (14.9%) 引 き 下 げる 退 職 給 付 の 官 民 較 差 ( 平 均 402.6 万 円 )の 全 額 を 解 消 ( 退 職 手 当 の 支 給 水 準 を 2707.1 万 円 から 2304.5 万 円 に 約 14.9% 引 下 げ)するために 段 階 的 引 き 下 げを 2013 年 1 月 1 日 から 実 施 し 2014 年 7 月 1 日 に 制 度 完 成 これまで 勤 続 年 数 が 20 年 以 上 の 退 職 者 に 適 用 されていた 調 整 率 を すべて の 退 職 者 に 適 用 し 調 整 率 の 引 き 下 げによって 退 職 手 当 を 引 き 下 げる 2012 年 12 月 31 日 まで 104/100( 調 整 率 ) 2013 年 1 月 1 日 ~ 98/100 2013 年 10 月 1 日 ~ 92/100 2014 年 7 月 1 日 ~ 87/100 これにより 勤 続 年 数 20 年 以 上 の 者 の 調 整 率 は これまでの 104/100 から 最 終 的 には 87/100 に 引 き 下 げられ 最 高 支 給 率 は 59.28 月 から 49.59 月 率 にしてマイ ナス 16.3%という 大 幅 な 引 き 下 げとなる 勤 続 20 年 に 満 たない 退 職 者 において も 13%の 大 きな 引 き 下 げとなる (2) 早 期 退 職 募 集 制 度 の 導 入 定 年 前 15 年 以 内 に 退 職 する 勤 続 20 年 以 上 の 職 員 は 定 年 前 1 年 につき 最 大 3% 1
の 割 増 (3) 共 済 年 金 職 域 部 分 (243 万 円 )の 廃 止 と それに 替 わる 年 金 払 い 退 職 給 付 の 新 設 共 済 年 金 の 職 域 部 分 はすでに 2015 年 10 月 に 廃 止 することが 決 定 済 みであるの で 年 金 払 い 退 職 給 付 を 新 設 するというものです そのことが 法 律 案 の 概 要 の 3 ページ 年 金 払 い 退 職 給 付 で 説 明 されてい ます ここで 問 題 は 年 金 払 い 退 職 給 付 部 分 を 労 使 の 積 み 立 てによるとし 労 使 折 半 で 1.5% 労 働 者 は 0.75%の 新 たな 負 担 が 発 生 することです この 共 済 年 金 の 制 度 改 定 は 国 立 大 学 高 専 教 職 員 が 国 家 公 務 員 共 済 組 合 に 加 入 していることから 直 接 の 影 響 があります 全 体 としては 退 職 手 当 の 支 給 水 準 を 引 き 下 げて(402 万 円 ) 共 済 年 金 職 域 部 分 (243 万 円 )が 廃 止 されるので それに 替 って 民 間 の 企 業 年 金 に 対 応 した 年 金 払 い 退 職 給 付 を 新 設 し その 財 源 は 労 使 折 半 で 共 済 組 合 加 入 者 にも 新 たなに 負 担 を 求 めるというものになっています 詳 細 は 下 記 の 共 済 年 金 職 域 部 分 と 退 職 給 付 に 関 する 有 識 者 会 議 をご 覧 くだ さい 国 家 公 務 員 の 退 職 給 付 について 法 律 案 の 概 要 ( 資 料 1) http://www.soumu.go.jp/main_content/000184241.pdf 閣 議 決 定 http://www.soumu.go.jp/main_content/000178755.pdf (4) 国 家 公 務 員 退 職 手 当 の 引 き 下 げ 決 定 にいたる 経 緯 2012 年 3 月 人 事 院 が 総 務 大 臣 財 務 大 臣 の 要 請 により 退 職 手 当 の 調 査 報 告 ( 資 料 2)を 行 いました それは 企 業 規 模 50 人 以 上 の 民 間 企 業 3614 社 を 集 計 した 結 果 退 職 給 付 水 準 の 官 民 較 差 として 年 金 ( 使 用 者 拠 出 分 ) 退 職 一 時 金 を 合 わせた 退 職 給 付 総 額 での 官 民 比 較 民 間 25,477 千 円 公 務 29,503 千 円 (4,026 千 円 (13.65%) 公 務 が 上 回 る) とし 官 民 均 衡 の 観 点 から 民 間 との 較 差 を 埋 める 措 置 が 必 要 とい う 見 解 を 示 しました その 報 告 を 踏 まえ 政 府 の 国 家 公 務 員 制 度 改 革 推 進 本 部 ( 副 総 理 のもとに 設 置 )に 共 済 年 金 職 域 部 分 と 退 職 給 付 に 関 する 有 識 者 会 議 を 設 置 し 検 討 7 月 5 日 に 有 識 者 会 議 の 報 告 ( 資 料 3)がされました そこでは 人 事 院 調 査 結 果 にもとづき 官 民 較 差 を 是 正 すべきとの 結 論 に 至 った と し 較 差 全 額 を 退 職 手 当 の 支 給 水 準 引 き 下 げにより 行 うことが 適 当 と 結 論 づけて います そうした 中 で 段 階 的 引 き 下 げ 措 置 を 講 ずることが 適 切 との 意 見 が 多 数 とも 結 論 づけ そのことについての 検 討 ポイントとして 次 の 諸 点 を 挙 げています 2
退 職 手 当 引 下 げにおける 段 階 的 引 下 げ 措 置 検 討 のポイント 民 間 では 大 きな 引 下 げの 場 合 には 段 階 的 に 引 下 げを 行 うのが 一 般 的 であること 就 業 規 則 の 不 利 益 変 更 に 係 る 判 例 法 理 等 を 踏 まえると 引 下 げを 一 時 に 行 うこ とは 訴 訟 リスクの 可 能 性 が 高 いレベルであると 考 えられること 退 職 手 当 が 退 職 後 の 生 活 保 障 の 性 格 を 有 すること 等 を 考 えると 引 下 げを 一 時 に 行 うことは 生 活 設 計 に 大 きな 影 響 を 及 ぼし 得 ること 国 家 公 務 員 の 労 働 基 本 権 が 制 約 されている 中 で 一 方 的 に 不 利 益 を 課 すには 手 続 的 にも 慎 重 であるべきこと 段 階 的 引 下 げ 措 置 を 講 ずることが 適 切 との 意 見 が 多 数 この 報 告 を 受 け 政 府 は 8 月 7 日 の 退 職 手 当 の 切 り 下 げを 閣 議 決 定 にいたりました ( 資 料 2) 民 間 の 企 業 年 金 及 び 退 職 金 の 調 査 結 果 並 びに 当 該 調 査 結 果 に 係 る 本 院 の 見 解 の 概 要 平 成 24 年 3 月 人 事 院 http://www.jinji.go.jp/nenkin/h23/gaiyou23.pdf 共 済 年 金 職 域 部 分 と 退 職 給 付 に 関 する 有 識 者 会 議 http://www.gyoukaku.go.jp/koumuin/kaigi/ 共 済 年 金 職 域 部 分 と 退 職 給 付 に 関 する 有 識 者 会 議 の 報 告 ( 平 成 24 年 7 月 5 日 ) http://www.gyoukaku.go.jp/koumuin/kaigi/houkokusyo.pdf ( 資 料 3)( 報 告 書 の 概 要 ) http://www.gyoukaku.go.jp/koumuin/kaigi/houkokusyogaiyou.pdf 2. 国 立 大 学 大 学 共 同 利 用 機 関 国 立 高 専 の 退 職 金 支 給 と 運 営 費 交 付 金 の 関 係 8 月 7 日 の 閣 議 決 定 では 国 家 公 務 員 に 対 する 退 職 手 当 引 き 下 げ 等 の 実 施 について 述 べた 上 で 国 立 大 学 等 法 人 については 次 のように 言 及 をしています 独 立 行 政 法 人 ( 総 務 省 設 置 法 ( 平 成 11 年 法 律 第 91 号 ) 第 4 条 第 13 号 に 規 定 する 独 立 行 政 法 人 をいう )の 役 職 員 ( 独 立 行 政 法 人 通 則 法 ( 平 成 11 年 法 律 第 103 号 以 下 通 則 法 という ) 第 2 条 第 2 項 に 規 定 する 特 定 独 立 行 政 法 人 の 職 員 を 除 く )の 退 職 手 当 については 国 家 公 務 員 の 退 職 手 当 の 見 直 しの 動 向 に 応 じて 通 則 法 等 の 趣 旨 を 踏 まえつつ 今 般 の 国 家 公 務 員 の 退 職 手 当 制 度 の 改 正 に 準 じて 必 要 な 措 置 を 講 ずるよう 要 請 等 を 行 う 11 月 21 日 の 段 階 で 文 部 科 学 省 国 立 大 学 法 人 支 援 課 は 全 大 教 からの 電 話 による 問 い 合 わせに 対 し 財 務 当 局 とこの 問 題 に 関 する 新 しいやり 取 りはない 国 立 大 学 法 人 に 対 して 運 営 費 交 付 金 の 取 り 扱 いの 変 更 を 含 めた 新 たな 通 知 情 報 提 供 はおこな 3
っていない と 回 答 しています 国 立 大 学 等 法 人 の 退 職 金 支 給 と 運 営 費 交 付 金 の 関 係 は 次 のとおりです (1) 国 立 大 学 法 人 高 専 機 構 等 の 教 職 員 の 退 職 金 は 就 業 規 則 の 一 部 である 退 職 金 支 給 規 程 等 によって 規 定 され それにしたがって 支 給 されています 現 段 階 にお いて その 規 程 内 容 は 現 時 点 では 国 の 規 程 と 同 じです (2) 国 立 大 学 法 人 等 に 対 して 教 職 員 ( 承 継 職 員 および 承 継 職 員 退 職 に 伴 い 補 充 した 職 員 分 )の 退 職 金 相 当 額 が 運 営 費 交 付 金 の 一 部 である 特 殊 要 因 運 営 費 交 付 金 と して 交 付 されています このことは 法 人 化 時 点 の 平 成 16 年 4 月 21 日 文 部 科 学 省 大 臣 官 房 人 事 課 長 名 の 国 立 大 学 法 人 に 措 置 する 退 職 金 相 当 額 の 運 営 費 交 付 金 の 積 算 方 法 等 について (16 文 科 人 第 26 号 )( 資 料 4)で 通 知 されています そこでは 国 立 大 学 法 人 等 の 退 職 金 に 係 る 運 営 費 交 付 金 は 義 務 的 に 必 要 な 経 費 であり かつ 毎 年 度 の 所 要 額 の 変 動 が 大 きいことから 特 殊 要 因 経 費 として 措 置 され 清 算 義 務 が 課 されることになりました として 対 象 は 承 継 職 員 及 び 承 継 職 員 の 退 職 に 伴 い 補 充 した 職 員 であり 退 職 金 に 係 る 運 営 費 交 付 金 の 対 象 者 台 帳 の 作 成 管 理 及 び 報 告 が 求 められ この 運 営 費 交 付 金 の 積 算 対 象 となる 退 職 金 の 支 給 率 は 国 家 公 務 員 退 職 手 当 法 に 基 づいた 支 給 率 とする こととなって います( 詳 細 は 資 料 4 参 照 ) (3) 国 立 大 学 等 法 人 における 退 職 金 の 引 当 について 前 項 においてしめしたとおり 現 在 は 承 継 職 員 等 の 退 職 金 相 当 額 は 運 営 費 交 付 金 により 措 置 され 国 立 大 学 等 法 人 において 引 当 は 行 われていません( 法 人 化 後 の 新 規 職 員 等 のうち 退 職 金 が 必 要 な 職 員 については 引 当 がされています) 国 立 大 学 法 人 会 計 基 準 では 退 職 金 の 引 当 について 第 86 退 職 給 付 に 係 る 会 計 処 理 で 定 め ています 第 86 退 職 給 付 に 係 る 会 計 処 理 1 退 職 給 付 債 務 のうち 運 営 費 交 付 金 に 基 づく 収 益 以 外 の 収 益 によってその 支 払 財 源 が 手 当 されることが 予 定 されている 部 分 については 第 35 退 職 給 付 引 当 金 の 計 上 方 法 により 退 職 給 付 引 当 金 を 計 上 する 2 退 職 給 付 債 務 について 次 の 要 件 に 該 当 する 場 合 には 退 職 給 付 引 当 金 は 計 上 しな い なお その 場 合 は 次 の 要 件 に 合 致 しない 場 合 に 計 上 したであろう 退 職 給 付 引 当 金 の 見 積 額 を 貸 借 対 照 表 の 注 記 において 表 示 するとともに 退 職 給 付 債 務 に 係 る 毎 事 業 年 度 の 増 加 額 は 国 立 大 学 法 人 等 業 務 実 施 コスト 計 算 書 に 表 示 する (1) 退 職 一 時 金 ( 役 員 及 び 教 職 員 の 退 職 時 に 支 払 われる 退 職 手 当 をいう )につい ては 退 職 一 時 金 に 充 てるべき 財 源 措 置 が 運 営 費 交 付 金 により 行 われること が 例 えば 中 期 計 画 等 で 明 らかにされている 場 合 ( 以 下 省 略 ) 4
この 規 定 について 文 部 科 学 省 国 立 大 学 法 人 支 援 課 は 全 大 教 からの 問 い 合 わせに 対 し 次 の 通 り 回 答 しています(11 月 20 日 ) i. 第 86 の 第 1 項 に 該 当 する 場 合 には 引 当 金 を 計 上 する 第 2 項 (1)の 場 合 す なわち 運 営 費 交 付 金 により 財 源 措 置 が 行 われている 場 合 には 引 当 を 行 わな いとなっている ii. ( 問 ) ある 特 定 の 個 人 の 退 職 金 を 二 分 して その 一 部 を 運 営 費 交 付 金 から 残 りを 引 当 金 による ということも 可 能 だということで 良 いか に 対 して は そのとおりと 回 答 した iii. ( 問 ) 運 営 費 交 付 金 以 外 ということは たとえば 具 体 的 には 間 接 経 費 の 収 益 によるというようなイメージで 良 いか に 対 しては そのとおりと 回 答 した iv. ( 問 ) 逆 に 言 えば 運 営 費 交 付 金 による 退 職 給 付 との 差 額 を 支 払 うための 引 当 は 運 営 費 交 付 金 ではできない ということか に 対 しては そのとお りと 回 答 した (4) 現 行 の 退 職 金 の 支 給 率 を 維 持 した 場 合 の 国 立 大 学 等 法 人 の 負 担 程 度 以 下 の 交 渉 の 論 点 の 項 で 詳 述 するとおり 運 営 費 交 付 金 が 減 額 されても 各 法 人 の 判 断 により 退 職 金 水 準 を 切 り 下 げない 事 が 可 能 です その 場 合 の 各 法 人 の 負 担 については 法 人 との 団 体 交 渉 で 明 らかにさせることを 前 提 としつつ 組 合 として その 程 度 をおおまかに 推 計 することは 可 能 です なお 各 法 人 の 退 職 金 の 所 要 額 は 教 職 員 の 年 齢 構 成 による 定 年 退 職 者 の 数 の 年 々 変 動 病 気 や 死 亡 自 己 都 合 による 突 発 的 な 退 職 者 の 発 生 等 によって 毎 年 相 当 程 度 変 動 します i. 国 立 大 学 法 人 全 体 を 考 える 場 合 国 立 大 学 法 人 運 営 費 交 付 金 のうち 特 殊 要 因 運 営 費 交 付 金 は 主 に 退 職 金 相 当 額 として 計 上 されていると 言 われています こ のことから 2012 年 度 政 府 予 算 国 立 大 学 法 人 運 営 費 交 付 金 の 特 殊 要 因 運 営 費 交 付 金 が 1,013 億 円 であり これは 運 営 費 交 付 金 総 額 (11,423 億 円 )の 8.9% 総 事 業 費 (24,019 億 円 )の 4.2%であり 退 職 金 がそれぞれに 占 める 割 合 はお およそこの 程 度 かと 推 計 されます 国 家 公 務 員 の 退 職 手 当 支 給 基 準 引 き 下 げ 率 (マイナス 14.9%) 通 りに 運 営 費 交 付 金 の 中 の 相 当 額 が 減 額 されるものとすれ ば 特 殊 要 因 運 営 費 交 付 金 が 約 862 億 円 (マイナス 151 億 円 )と 試 算 され 減 額 は 運 営 費 交 付 金 総 額 の 1.3% 国 立 大 学 法 人 の 総 事 業 費 の 0.63%を 占 める ことになります ii. 各 法 人 の 毎 年 の 退 職 手 当 支 給 額 は 毎 年 公 表 されホームページにも 掲 載 されて いる 役 職 員 の 給 与 水 準 の III 総 人 件 費 について に 記 載 されています また 役 員 職 員 の 別 教 員 職 員 の 別 常 勤 非 常 勤 の 別 の 詳 細 については 財 務 諸 表 の 財 務 諸 表 明 細 書 中 の 業 務 費 および 一 般 管 理 費 の 明 細 に 5
記 載 されています これらの 値 を 用 いれば 各 法 人 の 年 々の 退 職 手 当 の 支 給 実 績 がわかりますので 運 営 費 交 付 金 の 相 当 額 が 減 額 された 場 合 にも 現 行 の 支 給 率 を 維 持 した 場 合 の 各 法 人 の 負 担 程 度 が 推 計 できます 国 立 大 学 法 人 会 計 基 準 及 び 国 立 大 学 法 人 会 計 基 準 注 解 報 告 書 ( 表 紙 目 次 ) 平 成 15 年 3 月 5 日 ( 平 成 24 年 1 月 25 日 改 訂 ) 国 立 大 学 法 人 会 計 基 準 等 検 討 会 議 http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/ icsfiles/afieldfil e/2012/04/09/1289344_03.pdf 国 立 大 学 法 人 会 計 基 準 及 び 国 立 大 学 法 人 会 計 基 準 注 解 報 告 書 http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/ icsfiles/afieldfil e/2012/04/09/1289344_04.pdf 3. 実 施 された 場 合 の 退 職 金 減 額 モデル 国 と 同 様 に 規 則 改 正 実 施 された 場 合 について A 大 学 の 試 算 によると 教 授 で 2 年 後 の 2015 年 3 月 31 日 退 職 では 529 万 円 の 減 額 となり 課 長 レベルの 職 員 で 401 万 円 の 減 額 となります ( 大 学 等 職 員 の 場 合 6 級 退 職 は 少 数 です) (A 大 学 の 試 算 ) 教 授 教 1 5 級 74 号 俸 546,500 円 勤 続 年 数 35 年 定 年 退 職 退 職 年 月 日 退 職 手 当 額 現 行 との 差 現 行 (2013 年 3 月 31 日 ) 34,898,520 改 正 後 2013 年 3 月 31 日 33,029,490 1,869,030 2014 年 3 月 31 日 31,160,460 3,738,060 2015 年 3 月 31 日 29,602,935 5,295,585 課 長 一 般 1 6 級 63 号 俸 413,900 円 勤 続 年 数 38 年 定 年 退 職 退 職 年 月 日 退 職 手 当 額 現 行 との 差 現 行 (2013 年 3 月 31 日 ) 26,086,392 改 正 後 2013 年 3 月 31 日 24,670,854 1,415,538 2014 年 3 月 31 日 23,255,316 2,831,076 2015 年 3 月 31 日 22,075,701 4,010,691 4. 団 体 交 渉 の 論 点 多 くの 国 立 大 学 法 人 等 では 平 均 7.8%の 給 与 臨 時 減 額 により 2012 年 度 2013 年 度 の 2 年 間 で 給 与 が 最 大 200 万 円 も 不 当 に 引 き 下 げられました それについて 福 岡 6
教 育 大 学 教 職 員 組 合 高 エネルギー 加 速 器 研 究 機 構 職 員 組 合 全 大 教 高 専 単 組 が 労 働 契 約 法 違 反 として 11 月 27 日 未 払 い 賃 金 請 求 訴 訟 を 提 訴 します 来 年 3 月 に 訴 訟 を 準 備 している 組 合 もあります また 多 くの 大 学 等 において 臨 時 賃 下 げ 問 題 が 現 在 でも 労 使 交 渉 中 です そうした 中 で 法 人 側 が 退 職 手 当 の 切 り 下 げ 提 案 は 労 使 関 係 を 悪 化 させ 労 使 交 渉 による 解 決 を 不 可 能 なものとすることは 明 らかです そし て 労 使 紛 争 訴 訟 が 続 発 することになりかねません 組 合 側 は 以 下 の 論 点 を 活 用 し 冷 静 に 団 体 交 渉 に 当 たりつつ こうした 情 勢 を 踏 まえて 今 回 の 退 職 金 切 り 下 げが 強 行 されるような 事 態 になれば この 問 題 について も 訴 訟 を 辞 さない 構 えを 示 すことも 大 切 です (1) 就 業 規 則 ( 退 職 金 支 給 規 程 )の 不 利 益 変 更 には 高 度 の 必 要 性 に 基 づいた 合 理 的 な 内 容 と 労 働 組 合 の 合 意 が 必 要 退 職 金 の 支 給 は 賃 金 と 同 じく 就 業 規 則 に 規 定 された 労 働 条 件 の 一 部 であり 労 働 契 約 法 により 労 働 者 との 合 意 のない 一 方 的 な 不 利 益 変 更 は 違 法 です( 労 働 契 約 法 第 9 条 ) 賃 金 や 退 職 金 等 労 働 者 にとって 重 要 な 権 利 や 労 働 条 件 の 改 変 の 際 には 高 度 の 必 要 性 に 基 づいた 合 理 的 な 内 容 のもの (みちのく 銀 行 事 件 最 高 裁 平 成 12 年 9 月 7 日 判 決 )でなければ 就 業 規 則 変 更 は 拘 束 力 を 持 たない( 労 働 契 約 法 第 10 条 ) したがって 法 人 側 が 組 合 に 労 使 交 渉 を 申 し 入 れ まずは 組 合 に 退 職 金 切 り 下 げ 変 更 の 必 要 性 その 合 理 性 を 充 分 に 説 明 する 義 務 がある (2) 平 均 7.8%の 給 与 臨 時 減 額 と 同 時 実 施 の 退 職 金 平 均 15% 切 り 下 げの 不 利 益 変 更 は 認 められない 2012 年 度 2013 年 度 の 人 事 院 勧 告 分 と 給 与 臨 時 削 減 で 5%~10%の 大 幅 給 与 引 き 下 げが 実 施 され 同 時 に 退 職 金 平 均 15% 切 り 下 げが 実 施 されるのは 極 めて 大 きな 不 利 益 変 更 であり 認 められない 今 後 退 職 する 者 にとっては 住 宅 ローンや 教 育 費 の 支 払 計 画 の 変 更 や 退 職 後 の 生 活 の 切 り 詰 めなど 現 実 に 大 きな 影 響 を 与 える 実 際 に 給 与 減 額 が 不 当 に 実 施 される 期 間 中 に 2013 年 1 月 1 日 ~9 月 30 日 の 間 の 退 職 金 を 平 均 6% 程 度 引 き 下 げ 2013 年 10 月 1 日 以 降 は 平 均 12% 程 度 引 き 下 げら れる この 時 期 に 定 年 退 職 するものは 給 与 が 平 均 7.8% 退 職 金 が 平 均 6%~12% 程 度 引 き 下 げられるという 極 めて 大 きな 不 利 益 変 更 を 受 けることになる さらに 2014 年 3 月 31 日 に 給 与 臨 時 減 額 が 終 了 したとしても 2014 年 3 月 31 日 に 退 職 するものは 約 12% 2014 年 7 月 1 日 以 降 に 退 職 するものは 約 15%の 退 職 金 が 切 り 下 げられる ( 給 与 と 退 職 金 の 切 り 下 げの 同 時 進 行 ) 給 与 平 均 7.8% 臨 時 減 額 退 職 金 平 均 15% 切 り 下 げ 2012 年 4 月 以 降 ~ 現 行 ( 調 整 率 ) 2012 年 12 月 31 日 まで 104/100 2013 年 1 月 1 日 ~ 98/100 7
2014 年 3 月 31 日 まで 2013 年 10 月 1 日 ~ 92/100 2014 年 7 月 1 日 ~ 87/100 (3) 退 職 金 支 給 水 準 の 決 定 は 労 使 自 治 の 範 囲 大 学 法 人 等 は 自 主 的 な 法 人 運 営 が 可 能 であり 退 職 金 支 給 規 程 を 国 と 同 じにする 法 的 な 規 制 はない 国 立 大 学 法 人 等 の 給 与 退 職 金 に 関 わる 法 的 規 定 は 独 立 行 政 法 人 通 則 法 第 63 条 による 社 会 一 般 の 情 勢 に 適 合 するという 規 定 だけである 国 立 大 学 法 人 等 の 退 職 金 支 給 規 程 により 支 給 されることによって 国 からの 運 営 費 交 付 金 として 措 置 される 退 職 手 当 分 で 不 足 する 分 を 法 人 が 補 填 すれことは 可 能 であ る すでに 国 立 大 学 付 属 病 院 の 7 対 1 看 護 実 施 による 看 護 職 員 の 増 員 により 増 員 さ れた 看 護 職 員 の 退 職 金 は 大 学 の 自 前 の 財 源 ( 退 職 積 立 金 )から 支 払 われている (4) 国 立 大 学 教 職 員 等 の 退 職 金 水 準 は 低 く 切 り 下 げの 必 要 性 は 明 らかではない 国 立 大 学 等 の 職 員 の 給 与 退 職 金 は 独 立 行 政 法 人 通 則 法 第 63 条 により 社 会 一 般 の 情 勢 に 適 合 することが 原 則 とされている この 規 定 は 必 ずしも 国 家 公 務 員 と 同 じであることを 求 めているものではない その 視 点 から 国 立 大 学 法 人 等 の 教 職 員 の 実 際 の 退 職 金 水 準 はどの 程 度 であるか 民 間 企 業 と 比 較 してどうなのか 法 人 側 が 示 す 必 要 がある 大 学 等 職 員 の 給 与 水 準 は 国 家 公 務 員 と 比 較 して 85% 程 度 である このことから 基 本 給 が 退 職 金 算 出 の 基 本 データーとなるため 大 学 等 職 員 の 退 職 金 は 国 の 水 準 より 15% 低 くなる さらに 退 職 時 の 国 家 公 務 員 と 国 立 大 学 等 職 員 の 給 与 水 準 の 格 差 は 15%よりさらに 大 きなものとなるため 退 職 金 は 2 割 以 上 の 格 差 が 想 定 できる したがって 民 間 企 業 と 比 較 しても 当 然 20% 程 度 低 くなることになり 退 職 金 切 り 下 げの 必 要 性 や 合 理 性 はない 教 員 の 退 職 金 については 人 事 院 調 査 が 民 間 企 業 の 事 務 技 術 系 職 員 の 調 査 である ことから 水 準 比 較 はできない しかし 国 の 支 給 基 準 が 勤 続 年 数 が 35 年 ~45 年 における 最 高 支 給 率 は 59.28 から 49.59 に 引 き 下 げらたが 東 京 にある 私 立 大 学 の 退 職 金 支 給 率 ( 下 記 は 一 部 の 例 )は 勤 続 40 年 定 年 退 職 では 55 ヵ 月 から 70 ヵ 月 と なっており 国 の 49.59 ヵ 月 を 下 回 る 私 立 大 学 は 少 数 である 東 京 の 私 立 大 学 教 職 員 の 退 職 金 支 給 率 ( 定 年 退 職 ) 勤 続 20 年 勤 続 30 年 勤 続 40 年 東 京 大 手 A 大 32.6 50.7 70 東 京 大 手 B 大 30 ヵ 月 50 ヵ 月 65 ヵ 月 東 京 中 規 模 C 大 26.2 49.5 65 東 京 小 規 模 D 大 21.3 41.55 55.3 8
総 務 省 国 家 公 務 員 の 退 職 手 当 支 給 率 一 覧 http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jinji/pdf/teate_t_gaiyo_2.pdf (5) 退 職 金 の 段 階 的 な 大 幅 切 り 下 げによる 教 育 研 究 への 影 響 退 職 金 の 切 り 下 げは 教 職 員 の 士 気 の 低 下 や 人 材 流 失 人 材 確 保 が 困 難 となり 国 立 大 学 等 の 研 究 教 育 の 質 の 低 下 を 招 くことは 明 らかである それに 加 え 退 職 金 を 段 階 的 に 切 り 下 げることは 条 件 のいい 時 期 を 選 んだ 駆 け 込 み 退 職 を 誘 発 するおそれがある 駆 け 込 み 退 職 が 起 きると 退 職 者 の 予 想 外 の 増 加 により 研 究 教 育 の 現 場 でスタッフが 不 足 する 管 理 運 営 部 門 でも 仕 事 が 回 らな くなる 事 態 となるなど 職 場 の 混 乱 が 予 想 され 残 されたスタッフの 負 担 が 増 える 結 果 ともなる 法 人 側 は そうした 事 態 が 発 生 する 可 能 性 をよく 認 識 し これを 回 避 す るためにも 退 職 金 の 切 り 下 げは 行 うべきではない ( 資 料 ) 労 働 契 約 法 第 9 条 使 用 者 は 労 働 者 と 合 意 することなく 就 業 規 則 を 変 更 することにより 労 働 者 の 不 利 益 に 労 働 契 約 の 内 容 である 労 働 条 件 を 変 更 することはできない た だし 次 条 の 場 合 は この 限 りでない 第 10 条 使 用 者 が 就 業 規 則 の 変 更 により 労 働 条 件 を 変 更 する 場 合 において 変 更 後 の 就 業 規 則 を 労 働 者 に 周 知 させ かつ 就 業 規 則 の 変 更 が 労 働 者 の 受 ける 不 利 益 の 程 度 労 働 条 件 の 変 更 の 必 要 性 変 更 後 の 就 業 規 則 の 内 容 の 相 当 性 労 働 組 合 等 との 交 渉 の 状 況 その 他 の 就 業 規 則 の 変 更 に 係 る 事 情 に 照 らして 合 理 的 なものであるときは 労 働 契 約 の 内 容 である 労 働 条 件 は 当 該 変 更 後 の 就 業 規 則 に 定 めるところによるものとする ただし 労 働 契 約 において 労 働 者 及 び 使 用 者 が 就 業 規 則 の 変 更 によっては 変 更 されない 労 働 条 件 として 合 意 していた 部 分 については 第 十 二 条 に 該 当 する 場 合 を 除 き この 限 りでない 第 四 銀 行 事 件 最 高 裁 判 決 1 労 働 者 の 被 る 不 利 益 の 程 度 2 使 用 者 側 の 変 更 の 必 要 性 の 内 容 程 度 3 変 更 後 の 就 業 規 則 の 内 容 自 体 の 相 当 性 4 代 償 措 置 その 他 関 連 する 他 の 労 働 条 件 の 改 善 状 況 5 労 働 組 合 等 との 交 渉 の 経 緯 6 他 の 労 働 組 合 又 は 他 の 従 業 員 の 対 応 7 同 種 事 項 に 関 する 我 が 国 社 会 における 一 般 的 状 況 等 9
上 記 を 総 合 判 断 合 理 性 判 断 変 更 の 必 要 性 経 営 財 政 理 由 : 退 職 金 相 当 額 の 運 営 費 交 付 金 が 減 額 される (だから 同 額 を 削 減 する 必 要 性 は 何 か) 不 利 益 の 程 度 最 終 的 には 400 万 円 という 極 めて 大 きな 減 額 平 均 15%の 減 額 になる 退 職 後 の 生 活 への 影 響 は 極 めて 大 きい 退 職 後 の 住 宅 や 教 育 ローンの 支 払 計 画 に 影 響 する 経 過 措 置 期 間 として(1 年 6 月 )は 極 めて 短 期 間 で ある 2012 年 度 2013 年 度 は 人 事 院 勧 告 分 と 給 与 臨 時 削 減 で 5%~10%の 大 幅 給 与 切 り 下 げとダブルパンチ 退 職 金 の 水 準 : 人 事 院 の 官 民 格 差 調 査 からで あるので 社 会 一 般 と 適 合 する ため ( 企 業 規 模 50 人 からを 比 較 対 象 とするのが 妥 当 か) 労 働 組 合 等 との 交 渉 の 経 緯 ( 組 合 の 対 応 ) 平 均 7.8%の 大 幅 賃 下 げが 強 行 実 施 された 直 後 であり この 件 で 訴 訟 や 継 続 交 渉 中 の 状 況 では 法 人 側 から 新 たに 退 職 金 の 大 幅 切 り 下 げの 提 案 を 組 合 は 同 意 できない 今 後 労 使 紛 争 を 多 発 させることになる 同 種 事 項 に 関 する 我 が 国 社 会 における 一 般 的 状 況 等 大 学 教 員 については 私 立 大 学 の 水 準 を 調 査 し それ も 考 慮 することが 必 要 だ 私 立 大 学 で 退 職 金 が 400 万 円 も 削 減 された 例 がある か 代 償 措 置 その 他 関 連 する 他 の 労 働 条 件 の 改 善 状 況 運 営 費 交 付 金 が 削 減 されるとして 給 与 臨 時 減 額 が され 代 償 措 置 は 出 来 ていない さらに 退 職 金 が 引 き 下 げられた 代 償 措 置 も 実 施 は 困 難 である 10